JP5995695B2 - Led装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、チップサイズパッケージに有効なLED装置の製造方法に関する。
高輝度化にともないベアチップであるLEDダイも大型化し、1mm×(0.5〜1)mm程度のものが入手できるようになってきた。この大きさは抵抗等の他のチップ部品と同程度になるため、LEDダイを樹脂等でパッケージ化したLED装置はLEDダイと同程度の平面サイズを有することが望まれるようになった。このパッケージはLEDダイのサイズを直接的に反映するためチップサイズパッケージ(以下CSPと呼ぶ)と呼ばれることがある。CSPは実装面積が小さくて済むことやパッケージ用部材が少なくて良いということばかりでなく、必要な輝度に応じてマザー基板に搭載する個数を簡単に変えられることから照明装置等の設計の自由度を増すという特徴がある。
CSPの究極的なものとしてLEDダイのチップサイズがパッケージの外形と一致するLED装置が知られている(例えば特許文献1の図6)。そこで特許文献1の図6(a)を図9に再掲しこのLED装置について説明する。図9は、第1の従来例として示すCSP化した発光装置6(LED装置)の断面図である。なお一部符号を変更している。積層体12c(半導体層)の上面には蛍光体層30とレンズ32が積層している。積層体12cの下部には電解メッキ時の共通電極がエッチングされずに残ったシード金属22a,22b、銅配線層24a,24b、電解メッキで形成した柱状の銅ピラー26a,26bがある。
積層体12cはp型クラッド層12a、発光層12e、n型クラッド層12bを備えている。積層体12cの下面は一部が開口した絶縁層20で覆われている。銅ピラー26a,26bの下部には半田ボール36a,36bが付着している。また銅ピラー26a,26bの間に補強樹脂28が充填されている。
図9に示したLED装置6の平面サイズは積層体12cの平面サイズと一致する。このLED装置6は、LED装置6が配列して連結したウェハーを個片化して得られ、CSPで区分される製品群のなかで最も小型化しているためWLP(ウェハーレベルパッケージ)と呼ばれることもある。このLED装置6は積層体12c上にもともとあった透明絶縁基板(特許文献1の段落0026、図2参照。)を除去しているため発光層12eからの光が上方(図中矢印で示した)にのみ出射する。このためLED装置6の上部にのみ蛍光体層30を設ければ良い。
図9に示したLED装置6は、ふつう透明絶縁基板を除去するのにレーザーが用いられるため、製造装置が大掛かりになったり製造工程が長くなったりする。またLED装置6は、ウェハーレベルで蛍光体層30を形成しているため、ウェハー上の個別のLEDダイが有する発光特性のばらつきに対応することができない。この結果、発光色の管理が難しくなるという課題がある。そこで本願の発明者は、小型でありながら作り易く発光色の管理が容易なLED装置として、透明絶縁基板を残し、その下面に形成された半導体層の側面とともに透明絶縁基板の側面を白色反射部材で被覆し、透明絶縁基板及び白色反射部材の上面を蛍光体シートで被覆したフリップチップ実装用のLED装置を製作した(特許文献2の図1)。
特許文献2の図1に示されたLED装置を図10に再掲示しその構造を説明する。図1
0は第2の従来例として示すLED装置10bの断面図である。なお図10では符号を変更している。LED装置10bは、サファイヤ基板14b(透明絶縁基板)とその下面に形成された半導体層15bとを有するLEDダイ16bを含み、側面に白色反射部材17bを備え、LEDダイ16b及び白色反射部材17bの上面に出射光を波長変換する蛍光体シート11bを備えている。蛍光体シート11bとサファイヤ基板14bの間には接着層13bがあり、蛍光体シート11bとサファイヤ基板14bとが接着している。またLEDダイ16bの半導体層15bと接続する突起電極18b,19bは、それぞれアノードとカソードであり、マザー基板と接続するための外部接続電極となっている。なお、マザー基板とは抵抗やコンデンサなど他の電子部品とともにLED装置10bを実装する基板である。また、白色反射部材17bは厚さが100μm以下でも充分に機能するのでLED装置10bを小型化できる。さらにLED装置10bは集合工法が適用できるため製造し易い。
特開2010−141176号公報 (図6(a)) 特開2012−227470号公報 (図1)
しかしながら前述のLED装置10b同士を基板上に近接させた状態で載置しLEDモジュールを構成したところ、このLEDモジュールの発光色(色度座標)がLED装置10b単体の発光色からずれてしまった。本願発明者がこの原因を調査したところ、一のLED装置10bから発した光の一部分が、隣接する他のLED装置10bに入り込み、当該他のLED装置10bの蛍光体を励起したためであることが判明した。
そこで本発明は、この課題に鑑みて為されたものであり、小型で作り易く、近接させて配列させても発光色がずれることのないLED装置及びその製造方法を提供する。
以上の目的を達成するため本発明のLED装置は、透明絶縁基板とその下面に形成された半導体層とを有するLEDダイとを備えたLED装置において、
前記透明絶縁基板の上面を被覆する蛍光体シートと、
前記透明絶縁基板及び前記蛍光体シートの側面を被覆する白色反射部材と
を備え、
前記蛍光体シートの平面サイズが前記透明絶縁基板の平面サイズより大きい
ことを特徴とする。
本発明のLED装置は、LEDダイに含まれる透明絶縁基板の上面を蛍光体シートで被覆し、さらに透明絶縁基板及び蛍光体シートの側面を白色反射部材で被覆している。この側面の白色反射部材は、その厚さが数十μmから100μm程度にできるためLED装置の平面サイズを略LEDダイの平面サイズと等しくできる。この結果、LED装置の小型化を阻害しない。またLEDダイの発光を波長変換するために蛍光体シートを絶縁基板に貼り付けているだけなので本発明のLED装置は作り易い。このとき蛍光体シートの平面サイズを透明絶縁基板の平面サイズより大きくしておくことにより、蛍光体シートの貼り付けにともなう加工上の公差を吸収できるため、本発明のLED装置はいっそう作り易くなる。さらに当該LED装置は、白色反射部材で枠状にLEDダイを囲んでいるので、LED装置同士を近接させて配列しても、各LED装置が側方に光を出射しないこと、及び白色反射部材が側方から侵入しようとする外光を遮っていること、とにより発光色がずれることがない。
前記LEDダイの電極が外部接続電極であっても良い。
前記LEDダイがサブマウント基板又はリードにフリップチップ実装されていても良い。
前記LEDダイの下面が前記電極を除き前記白色反射部材で被覆されていても良い。
上記の目的を達成するため本発明のLED装置の製造方法は、蛍光体シートと、透明絶縁基板とその下面に形成された半導体層とを有するLEDダイと、前記蛍光体シート及び前記LEDダイの側面を覆う白色反射部材とを備えたLED装置の製造方法において、蛍光体を含有する樹脂をシート状に加工して形成され且つ支持シート上に貼り付けられた大判蛍光体シートと、複数の前記LEDダイとを準備する準備工程と、前記大判蛍光体シートと前記透明絶縁基板とが接するようにして、前記大判蛍光体シートに前記LEDダイを配列し、前記大判蛍光体シートと前記LEDダイとを接着する素子配列工程と、記LEDダイと接着する前記大判蛍光体シートの接着部及び前記大判蛍光体シートに含まれ前記接着部に隣接して前記接着部を取り囲む周辺部からなる前記蛍光体シートを残すようにして前記大判蛍光体シートから前記蛍光体シート以外の部分を切除する除去工程と、前記LEDダイ及び前記蛍光体シートの側部に反射性微粒子を含有する前記白色反射部材を充填し硬化させる白色反射部材充填工程と、前記蛍光体シートの側面の前記白色反射部材を残ようにして前記白色反射部材を切断し前記LED装置に個片化する個片化工程とを備えることを特徴とする。

本発明におけるLED装置の一の製造方法では、まず個片化すると多数の蛍光体シートが得られる大判蛍光体シートの上に、LEDダイを配列させて接着する。このときLEDダイの透明絶縁基板が大判蛍光体シートに接するようにしておく。その後、透明絶縁基板に接着した大判蛍光体シート及びその周辺部を残すようにして、大判蛍光体シートから非接着部分を除去する。続いて整列したLED装置の間に白色反射部材を充填し、最後に個片化して所望のLED装置を得る。このように本発明におけるLED装置の一の製造方法は、いわゆる集合工法が適用できるため、一連の工程で多数のLED装置を同時に大量に得られるため製造しやすいものとなる。さらに大判蛍光体シートの切除に際し、大判蛍光体シート接着部の周辺部も残すようにしているため、この部分で様々な公差が吸収されいっそう作り易くなっている。またこの方法で製造したLED装置では、LEDダイの周囲を覆う白色反射部材の厚さを数十μmから100μmにできるため、LED装置の平面サイズがLEDダイの平面サイズと略等しくなり小型化が阻害されない。また本製造方法で製造したLED装置は、LEDダイ及び蛍光体シートの側部が白色反射部材で被覆されるので、側面から入射しようとする外光を遮断できるため発光色のずれが生じない。
以上の目的を達成するため本発明のLED装置の製造方法は、透明絶縁基板とその下面に形成された半導体層とを有するLEDダイとを備えたLED装置の製造方法において、
個片化するとサブマウント基板又はリードとなる大判サブマウント基板又はリードフレームと、複数の前記LEDダイとを準備する準備工程と、
前記大判サブマウント基板又は前記リードフレームと前記LEDダイの前記半導体層側が接するようにして、前記大判サブマウント基板又は前記リードフレームに前記LEDダイを配列し、前記大判サブマウント基板又はリードフレームと前記LEDダイとを接続する素子配列工程と、
前記透明絶縁基板に蛍光体微粒子を含有する樹脂をシート状に加工した大判蛍光体シートを前記LEDダイの上面に貼り付ける大判蛍光体シート貼付工程と、
前記大判蛍光体シートと前記LEDダイの接着部及びその周辺部を残すようにして前記蛍光体シートを切除する除去工程と、
前記LEDダイ及び前記蛍光体シートの側部に反射性微粒子を含有する白色反射部材を充填し硬化させる白色反射部材充填工程と、
前記蛍光体シートの側面の前記白色反射部材を残ようにして前記大判サブマウント基板又は前記リードフレーム及び前記白色反射部材を切断し前記LED装置に個片化する個片化工程と
を備えることを特徴とする。
本発明におけるLED装置の他の製造方法では、まず、LEDダイとともに個片化すると多数のサブマウント基板又はリードが得られる大判サブマウント基板又はリードフレームを準備する。次にこの大判サブマウント基板又はリードフレームの上にLEDダイを配列させて接続する。このときLEDダイの半導体層に形成された電極が大判サブマウント基板又はリードフレームに接するようにしておく。続いて整列したLEDダイの上部に大判蛍光体シートを貼りつけ、その後、LEDダイと接着している部分及びその周辺部を残すように大判蛍光体シートの非接着部を除去する。次にLED装置間に白色反射部材を充填し、最後に個片化して所望のLED装置を得る。このように本発明におけるLED装置の他の製造方法は、いわゆる集合工法が適用できるため、一連の工程で多数のLED装置を同時に大量に得られるため製造しやすいものとなる。さらに大判蛍光体シートの切除に際し、大判蛍光体シート接着部の周辺部も残すようにしているため、この部分で様々な公差が吸収されいっそう作り易くなっている。またこの方法で製造したLED装置は、LEDダイの周囲を覆う白色反射部材の厚さを数十μm〜100μmにできるため、LED装置の平面サイズがLEDダイの平面サイズと略等しくできるので小型化が阻害されない。また本製造方法で製造したLED装置は、LEDダイ及び蛍光体シートの側部が白色反射部材で被覆されるので、側面から入射しようとする外光を遮断できるため発光色のずれが生じない。
本発明のLED装置は、白色反射部材の厚さを100μm以下にできるため小型化が阻害されないうえ、波長変換部材として蛍光体シートを透明絶縁基板に貼り付けるだけでよいため作り易い構造となっている。さらにLED装置の側面から入射しようとする外光を遮断できるので発光色のずれが生じない。以上、本発明のLED装置は、小型で作り易く、近接させて配列させても発光色がずれることがない。
本発明のLED装置の製造方法は、いわゆる集合工法の適用により一連の工程で多数のLED装置が同時に大量に得られ、さらにLED装置が蛍光体シートの貼り付けにともなう加工上の公差を吸収できる構造となっているため製造し易い。また白色反射部材は厚さを100μm以下にできるため小型化を阻害しない。さらにLED装置の側面から入射しようとする外光を遮断できるので発光色のずれが生じない。以上、本発明のLED装置の製造方法は、小型で作り易く、近接させて配列させても発光色がずれることのないLED装置を提供できる。
本発明の第1実施形態におけるLED装置の外観図。 図1に示すLED装置の断面図。 図1に示すLED装置の製造方法の説明図。 本発明の第2実施形態におけるLED装置の断面図。 本発明の第3実施形態におけるLED装置の外観図。 図5に示すLED装置の断面図。 図5に示すLED装置の製造工程の説明図。 本発明の第4実施形態におけるLED装置の断面図。 第1の従来例におけるLED装置の断面図。 第2の従来例におけるLED装置の断面図。
以下、添付図1〜8を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また説明のため部材の縮尺は適宜変更している。さらに特許請求の範囲に記載した発明特定事項との関係をカッコ内に記載している。
(第1実施形態)
添付図1〜3を参照して本発明の第1実施形態として示すLED装置10を詳細に説明する。まず図1によりLED装置10の外観を説明する。図1はLED装置10の外観図であり、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が底面図である。(a)に示すようにLED装置10を上部から眺めると、長方形で枠状の白色反射部材12とその内側にある蛍光体シート11が見える。(b)に示すようにLED装置10を正面から眺めると、白色反射部材12の下に2個の電極15が見える。(c)に示すようにLED装置10を下から眺めると、長方形で枠状の白色反射部材12と、その内側にある半導体層14と、半導体層14の内側の領域にある2個の電極15が見える。なお白色反射部材12について(a)と(c)を比較すると、(c)の方が枠が太くなっている。
次に図2によりLED装置10の内部構造を説明する。図2は、図1(a)のAA線に沿って描いたLED装置10の断面図である。LED装置10では、LEDダイ16の上部が蛍光体シート11で覆われ、LEDダイ16及び蛍光体シート11の側部が白色反射部材12で覆われている。また蛍光体シート11はサファイヤ基板13より平面的に大きく、その周辺部は50μm程度張り出している。LEDダイ16は、サファイヤ基板13(透明絶縁基板)、半導体層14及び二つの電極15からなり、電極15上に半導体層14及びサファイヤ基板13が積層している。またサファイヤ基板13と蛍光体シート11の間には接着材17が存在する。
蛍光体シート11はフェニル系シリコーン樹脂に蛍光体微粒子を混練し、シート状に加工したもので厚さが100〜300μm程度である。濃度消光による損失を軽減したい場合は蛍光体シート11を厚めに設定する。白色反射部材12はシリコーン樹脂に反射性微粒子を混練し熱硬化させたものであり、幅は概ね100μmである。接着材17も熱硬化型のシリコーン接着材であり、厚さは概ね10μm以下である。この結果、平面サイズが0.8mm×0.3mmのLEDダイ16の場合、LED装置10の平面サイズは1.0mm×0.5mmとなり、サーフェースマウンタ(表面実装機)で扱いやすい大きさになる。また蛍光体シート11はLEDダイ16の青色発光を波長変換し白色化する。
LEDダイ16に含まれるサファイヤ基板13は厚さが80〜120μm程度である。サファイヤ基板13の下面に形成された半導体層14は、厚みが10μm程度で、p型半導体層及びn型半導体層を含み、その境界面が発光層となる。半導体層14の下部には層間絶縁膜や保護膜が存在し、保護膜上に電極15が形成される。二つの電極15はアノード及びカソードであり、それぞれ層間絶縁膜上の配線を介してp型半導体層及びn型半導体層と接続している。また電極15は、抵抗やコンデンサなど他の電子部品が実装されたマザー基板と接続するための外部接続電極であり、厚さが数100nmから数十μmであり、半田付けのため表面に金層を備えている。
次に図3によりLED装置10の製造方法を説明する。図3はLED装置10の製造工程の説明図である。まず(a)で準備工程を説明する。準備工程では大判蛍光体シート11aとLEDダイ16を準備する。このとき所望の発光色が得られるように、蛍光体シート11の波長変換特性にあうような発光特性を有するLEDダイ16を選別しておく。ま
た大判蛍光体シート11aは個片化により多数の蛍光体シート11が得られるものである。なお大判蛍光体シート11aには数100から数1000個のLEDダイ16を貼り付けることとなるが、図3(a)ではLEDダイ16を2個で示している(以下同様)。また大判蛍光体シート11aは支持シート11b上に載置される。また本実施形態の各工程は大判蛍光体シート11aの片面のみの処理に限定され、さらに重力を利用するので、図1に対し上下方向を倒置して図示している。
次に(b)と(c)で素子配列工程について説明する。素子配列工程では、先ず(b)で示すように、大判蛍光体シート11aに接着材17を塗布する。塗布は印刷法で良く、接着材17を塗布する区画とLEDダイ16の平面的な大きさを等しくしておく。なお接着材17はLEDダイ16のサファイヤ基板13(図2参照)に塗布しても良い。この場合はピッカー(又はソーター)でLEDダイ16を取り上げたら、いったんLEDダイ16に接着材をつけ、その後大判蛍光体シート11aに貼り付ければ良い。
次に(c)に示すように大判蛍光体シート11aにLEDダイ16のサファイヤ基板13(図2参照)を貼り付ける。LEDダイ16はピッカー等で一個ずつ大判蛍光体シート11a上に配置しても良い。また、いったん他の粘着シートに複数のLEDダイ16を配列させておき、この複数のLEDダイ16を一括して大判蛍光体シート11aに貼り付けることもできる。大判蛍光体シート11aにLEDダイ16を配置し終えたら、加熱し接着材17を硬化させる。なおこの硬化は架橋が完全でない仮硬化でもよい。
次に(d)で除去工程について説明する。除去工程では、大判蛍光体シート11aとLEDダイ16の接着部及びその周辺部を残すようにして蛍光体シート11aを切除する。このとき支持シート11bの上部が僅かに切除されるよう切り込む深さを調整する。LEDダイ16同士の間隔は0.5mmとした場合、公差を加味し、例えば厚さが400μmのブレードでLEDダイ16間の大判蛍光体シート11aを切除する。このようにして蛍光体シート11がサファイヤ基板13の平面サイズより50μm程度張り出させる。なお白色反射部材12は完成時に厚さが30〜50μmあれば充分に遮光できる。また切除用のブレードはV字型のものであっても良い。
次に(e)で白色反射部材充填工程を説明する。白色反射部材充填工程ではLEDダイ16の側部及び蛍光体シート11の間隙に白色反射部材12を充填し、その後加熱して白色反射部材12を硬化させる。充填に際し予め図示していない大判蛍光体シート11aの支持シートの外周部を図示していないダム材でとり囲んでおき、ディスペンサで正確に計量した硬化前の白色反射部材12を滴下する。なお電極15を厚めに設定しておけば、白色反射部材12が多少半導体層14(図1参照)を覆っても許容される。また半導体層14は保護膜で覆われているので、充填量が僅かに少なくても許容される。
最後に(f)で個片化工程を説明する。個片化工程では白色反射部材12を切断しLED装置10に個片化する。切断にはダイサーを使用し、蛍光体シート11の側面に白色反射部材12を残す。切断に先立ち前述の支持シート11bから大判蛍光体シート11aをダイシングテープ上に移しておく。切断をする工程では不良発生率の増加を低く抑えられるので、個片化前の大判の状態で各LED装置10の電気的及び光学的検査を済ましておいても良い。
(第2実施形態)
図1〜3で示したようにLED装置10の底面は、半導体層14が露出していた。しかしながら半導体層14を露出させなくても良い。そこで図4により底面において半導体層14が露出しない第2実施形態としてLED装置40を説明する。図4はLED装置40の断面図である。LED装置40と図2で示したLED装置10との違いは、LED装置
40では底部において白色反射部材12が電極15を除いて半導体層14を被覆していることだけである。LED装置40は、図3(e)の白色反射部材充填工程で白色反射部材12を多めに充填し、白色反射部材12の硬化後、白色反射部材12の上面側を研磨して電極15を露出させることにより製造できる。またLED装置40の底部に白色反射部材12が存在すると、底部における汚染から半導体層14を保護することができ、さらに半導体層14の底部周辺から漏れ出そうとする青色光を遮光できる。
(第3実施形態)
第1及び第2実施形態で示したLED装置10,40では、LEDダイ16の底面に形成された電極15が外部接続電極となっていた(図2,4参照)。しかしながら本発明のLED装置はLEDダイ16の底面に外部接続電極を設ける場合に限られず、良く知られているように、LEDダイ16をサブマウント基板やリードフレームに実装してもよい。そこで図5〜7により第3実施形態としてLEDダイ16をサブマウント基板54に実装したLED装置50を説明する。
まず図5によりLED装置50の外観を説明する。図5はLED装置50の外観図であり、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が底面図である。(a)に示すようにLED装置50を上部から眺めると、長方形で枠状の白色反射部材12とその内側に長方形の蛍光体シート11とが見える。(b)に示すようにLED装置50を正面から眺めると、白色反射部材12、サブマウント基板54が見える。サブマウント基板54は基材52の下に2個の電極53を備えている。(c)に示すようにLED装置50を下から眺めると、基材52に囲まれた二つの電極53が見える。
次に図6によりLED装置50の内部構造を説明する。図6は、図5(a)のBB線に沿って描いたLED装置50の断面図である。LED装置50では、LEDダイ16及び蛍光体シート11の側部並びにLEDダイ16の底部が白色反射部材12で覆われ、LEDダイ16の上部と蛍光体シート11とが接着材55により接着している。また蛍光体シート11はサファイヤ基板13より平面的に大きく、その周辺部は50μm程度張り出している。LEDダイ16は、サブマウント基板54上にフリップチップ実装されている。サブマウント基板54は、基材52の上面と下面に電極51,53を備え、電極51がLEDダイ16の電極15と接続し、電極53が外部接続電極となる。なお基材52は、コストや熱伝導性等を考慮し、表面に備えられた絶縁層より備え例えば電極51,53などの配線要素から絶縁した状態を維持できる金属板、セラミック板又は樹脂板などから選択する。電極51と電極15は、LED装置50をマザー基板に実装するときに接続部を溶融させないため高融点半田で接続する。
次に図7によりLED装置50の製造方法を説明する。図7はLED装置50の製造工程の説明図である。まず(a)で準備工程を説明する。準備工程では大判サブマウント基板54aとLEDダイ16を準備する。このときLEDダイ16の発光特性を揃えておく。また大判サブマウント基板54aは個片化すると多数のサブマウント基板54が得られるものである。なお大判サブマウント基板54aには数100から数1000個のLEDダイ16を接続することとなるが、図7(a)ではLEDダイ16を2個で示している(以下同様)。また大判サブマウント基板54aは支持台上に載置されるが図示していない(以下同様)。
次に(b)で素子配列工程について説明する。素子配列工程では、大判サブマウント基板54aの電極51にLEDダイ16の電極15が接触するようにしてLEDダイ16を配列し、その後加熱して電極51と電極15を接続する。LEDダイ16はピッカー等で一個ずつ大判サブマウント基板54a上に配置しても良い。また、いったん他の粘着シートに複数のLEDダイ16を配列させておき、この複数のLEDダイ16を一括して大判
サブマウント基板54aに貼り付けることもできる。
次に(c)と(d)で大判蛍光体シート貼付工程を説明する。大判蛍光体シート貼付工程では、LEDダイ16のサファイヤ基板13に蛍光体微粒子を含有する樹脂をシート状に加工した大判蛍光体シート11aを貼り付ける。まず(c)に示すように大判蛍光体シート11aを準備する。このとき大判蛍光体シート11aの下面には硬化前の接着材55が塗布されている。続いて(d)で示すように大判蛍光体シート11aをLEDダイ16の上面に重ね、加熱して貼り付ける。
次に(e)で除去工程について説明する。除去工程では、大判蛍光体シート11aとLEDダイ16の接着部及びその周辺部を残すようにして蛍光体シート11aを切除する。LEDダイ16同士の間隔は0.5mmとした場合、公差を加味し、例えば厚さが400μmのブレードでLEDダイ16間の大判蛍光体シート11aを切除する。このようにして蛍光体シート11がサファイヤ基板13の平面サイズより50μm程度張り出させる。なお白色反射部材12は完成時に厚さが30〜50μmあれば充分に遮光できる。
次に(f)で白色反射部材充填工程を説明する。白色反射部材充填工程ではLEDダイ16及び蛍光体シート11の側部に白色反射部材12を充填し、その後加熱して白色反射部材12を硬化させる。充填に際し予め大判サブマウント基板54aの外周部を図示していないダム材で囲んでおき、ディスペンサで正確に計量した硬化前の白色反射部材12を滴下する。
最後に(g)で個片化工程を説明する。個片化工程では白色反射部材12及び大判サブマウント基板54aを切断し、個片化されたLED装置50を得る。切断にはダイサーを使用し、蛍光体シート11の側面に白色反射部材12を残す。切断に先立ち前述の支持台から大判サブマウント基板54aをダイシングテープ上に移しておく。切断をする工程では不良発生率の増加を低く抑えられるので、個片化前の大判の状態で各LED装置50の電気的及び光学的検査を済ましておいてもよい。
(第4実施形態)
図5〜図7で示したLED装置50は、LEDダイ16をサブマウント基板54上にフリップチップ実装していた。しかしながら本発明のLED装置では、サブマウント基板54にLEDダイ16を実装する場合に限られず、例えばリードフレーム又はリード上に実装しても良い。そこで図8により第4実施形態としてリード81上にLEDダイ16をフリップチップ実装したLED装置80を説明する。図8はLED装置80の断面図である。LED装置80では、LEDダイ16及び蛍光体シート11の側部並びにリード81の側部が白色反射部材12で覆われ、LEDダイ16の上部と蛍光体シート11とが接着材55により接着している。また蛍光体シート11はサファイヤ基板13より平面的に大きく、その周辺部は50μm程度張り出している。LEDダイ16はリード81上にフリップチップ実装されている。リード81は大判のリードフレームを個片化して得たものであり、上面がLEDダイ16の電極15と接続し、下面が外部接続電極となっている。LED装置50と同様にリード81と電極15は、LED装置80をマザー基板に実装するときに接続部を溶融させないため高融点半田で接続する。
LED装置80は、図7に示したLED装置50の製造工程に対し、大判サブウマウント基板54aを大判のリードフレームに置き換えればよい。大判のリードフレームは隙間があるので大判のリードフレームを支持シート上に配置して白色反射部材12を充填しても良いし、金型を使って白色反射部材12を充填しても良い。LED装置80は、LEDダイ16の底部とリード81の側部を覆う白色反射部材12が存在するため、LED装置
80の底部の汚染から半導体層14を保護することができ、さらにマザー基板からLEDダイ16に向かってLED装置80に入り込もうとする応力を緩和できる。また半導体層14の底部周辺から漏れ出す青色光を遮光している。
10,40,50,80…LED装置、
11…蛍光体シート、
11a…大判蛍光体シート、
11b…支持シート、
12…白色反射部材、
13…サファイヤ基板(透明絶縁基板)、
14…半導体層、
15,51,53…電極、
16…LEDダイ、
17,55…接着材、
52…基材、
54…サブマウント基板、
54a…大判サブマウント基板、
81…リード。

Claims (1)

  1. 蛍光体シートと、透明絶縁基板とその下面に形成された半導体層とを有するLEDダイと、前記蛍光体シート及び前記LEDダイの側面を覆う白色反射部材とを備えたLED装置の製造方法において、
    蛍光体を含有する樹脂をシート状に加工して形成され且つ支持シート上に貼り付けられた大判蛍光体シートと、複数の前記LEDダイとを準備する準備工程と、
    前記大判蛍光体シートと前記透明絶縁基板とが接するようにして、前記大判蛍光体シートに前記LEDダイを配列し、前記大判蛍光体シートと前記LEDダイとを接着する素子配列工程と、
    記LEDダイと接着する前記大判蛍光体シートの接着部及び前記大判蛍光体シートに含まれ前記接着部に隣接して前記接着部を取り囲む周辺部からなる前記蛍光体シートを残すようにして前記大判蛍光体シートから前記蛍光体シート以外の部分を切除する除去工程と、
    前記LEDダイ及び前記蛍光体シートの側部に反射性微粒子を含有する前記白色反射部材を充填し硬化させる白色反射部材充填工程と、
    前記蛍光体シートの側面の前記白色反射部材を残ようにして前記白色反射部材を切断し前記LED装置に個片化する個片化工程と
    を備えることを特徴とするLED装置の製造方法。
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