JP5889654B2 - 電池ケース封止装置及び電池ケース封止方法 - Google Patents

電池ケース封止装置及び電池ケース封止方法 Download PDF

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Description

この発明は、電池素子が収容された電池ケースのケース本体を蓋体により封止するための電池ケース封止装置及び電池ケース封止方法に関するものである。
従来、この種の電池ケース封止装置としては、例えば特許文献1〜特許文献4に開示されるような構成が提案されている。これらの従来装置においては、電池素子を収容したケース本体の開口端に蓋体を嵌着し、その嵌着部に沿ってレーザ溶接装置からレーザ光を照射することにより、蓋体をケース本体に溶接するようになっている。
特開平8−315788号公報 特開平8−315789号公報 特許第3099670号公報 特許第4074012号公報
ところで、この種の電池ケース封止装置において、電池ケースのケース本体に蓋体を溶接する場合には、電池ケースをレーザ溶接装置の溶接位置に対して搬入したり、溶接位置から搬出したりする必要がある。また、レーザ溶接装置の溶接位置においては、搬入した電池ケース上の溶接部がレーザ溶接装置からのレーザ光の焦点位置に配置されるように、電池ケースの位置を規制する等の段取り作業を行う必要もある。
しかしながら、前記特許文献1〜特許文献4には、レーザ溶接装置の溶接位置に対する電池ケースの搬入、溶接位置における電池ケースの位置規制等の段取り、及び溶接位置からの電池ケースの搬出について全く記載されていない。当然、これらの従来装置においては、電池ケースのケース本体に対する蓋体の溶接作業を能率良く行うための手段や方法は明らかにされていない。
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、電池ケースのケース本体に対する蓋体の溶接作業を高精度にかつ能率良く行うことができる電池ケース封止装置及び電池ケース封止方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、電池ケース封止装置に関する発明は、搬入位置、段取り位置、溶接位置及び搬出位置に対応して割り出し回転されるテーブルを機台に支持するとともに、そのテーブルの外周の少なくとも3箇所には電池ケースのケース本体をクランプするためのクランプ治具を設け、前記機台の段取り位置には電池ケースの蓋体の上面位置をクランプ治具に対して位置決めするための位置決め手段を設け、前記溶接位置には蓋体をケース本体に溶接するためのレーザ溶接装置を設け、前記機台の溶接位置には、治具を移動させて電池ケースの蓋体の上面位置を溶接位置に規制するための規制手段を設けるとともに、電池ケースからの溶接熱の放散を促進するための放熱手段を設け、前記放熱手段は、溶接位置に規制された前記クランプ治具のクランプ片の上端面に接触する冷却器によって構成したことを特徴としている。
従って、この発明の電池ケース封止装置においては、テーブルの割り出し回転により、テーブルの外周に設けられたクランプ治具が搬入位置、段取り位置、溶接位置及び搬出位置に順に配置される。そして、搬入位置ではクランプ治具に電池ケースが搬入され、段取り位置では位置決め手段により電池ケースの蓋体の位置規制が行われる。また、溶接位置ではレーザ溶接装置により蓋体がケース本体に溶接され、搬出位置では溶接後の電池ケースがクランプ治具から搬出される。よって、電池ケースのケース本体に対する蓋体の溶接作業を、能率良く行うことができる。
記の構成において、前記位置決め手段は、機台と一体のフレームに設けられ前記蓋体の上面に当接可能な位置決め部材と、クランプ治具に設けられ電池ケースをその位置決め部材に向かって移動させる駆動手段とによって構成することが好ましい。
前記の構成において、前記規制手段は、機台と一体のフレームに設けられ前記蓋体の上面に当接可能な規制部材と、テーブルに設けられクランプ治具をその規制部材に向かって移動させる駆動手段とによって構成することが好ましい。
電池ケース封止方法に関する発明は、電池ケースのケース本体をクランプするためのクランプ治具を少なくとも外周3箇所に有するテーブルを搬入位置、段取り位置、溶接位置及び搬出位置に順に対応するように割り出し回転させ、搬入位置においてクランプ治具に保持されたケース本体に組み付けられた電池ケースの蓋体の上面位置を、段取り位置においてクランプ治具に対して位置決めし、次いで、電池ケースをクランプ治具にクランプした状態で、溶接位置において電池ケースの蓋体をレーザ光の焦点に対して位置規制して、溶接位置に規制されたクランプ治具のクランプ片の上端面に接触する冷却器で冷却しながらレーザ光によってケース本体に対する蓋体の溶接を行ない、溶接後の電池ケースを搬出位置において搬出することを特徴としている。
前記の方法において、蓋体をケース本体に対して部分的に溶接して仮止めした後、蓋体の全周をケース本体に対して溶接することが好ましい。
以上のように、この発明によれば、電池ケースのケース本体に対する蓋体の溶接作業を高精度にかつ能率良く行うことができるという効果を発揮する。
一実施形態の電池ケース封止装置を示す斜視図。 図1の一部を拡大して示す要部斜視図。 図2と異なった方向から見た要部斜視図。 段取り位置の規制機構を拡大して示す部分断面図。 図4の5−5線における断面図。 溶接位置の規制機構を拡大して示す部分断面図。 溶接位置の放熱機構を示す部分断面図。 (a)は溶接位置の規制機構を示す平面図、(b)は溶接位置の放熱機構を示す平面図。 実施形態の装置で封止される電池ケースを示す斜視図。
以下に、この発明を具体化した電池ケース封止装置及び電池ケース封止方法の一実施形態を、図面に従って説明する。
(概要構成)
図1及び図2に示すように、この実施形態の電池ケース封止装置においては、機台11の上面に支持軸12が突設され、その支持軸12にはテーブル13が水平面内で図2の矢印方向へ90度ずつ割り出し回転可能に支持されている。テーブル13の外周面の4箇所には、電池ケースCのケース本体Caをクランプするためのクランプ治具14が設けられている。
図9に示すように、電池ケースCのケース本体Caはアルミニウム等の金属材料により上面を開口した四角箱形状に形成されている。そして、ケース本体Ca内に図示しない電池素子が収容された状態で、ケース本体Caの上面開口端に同様な金属材料よりなる蓋体Cbが被覆装着されている。
図1及び図2に示すように、前記テーブル13の外側において機台11上の4箇所には、搬入位置P1、段取り位置P2、溶接位置P3及び搬出位置P4が割り当てられている。そして、テーブル13が90度ずつ割り出し回転されることにより、テーブル13上の各クランプ治具14が搬入位置P1、段取り位置P2、溶接位置P3及び搬出位置P4に順に対応配置される。また、テーブル13の割り出し回転にともない、クランプ治具14が搬入位置P1に対応配置された状態で、そのクランプ治具14に対して電池ケースCが搬入される。
前記機台11上の段取り位置P2及び溶接位置P3には、安全カバーを兼用する枠状のフレーム15が立設されている。段取り位置P2のフレーム15には、位置決め手段としての位置決め機構16が設けられている。そして、テーブル13の割り出し回転にともない、クランプ治具14に支持された電池ケースCが段取り位置P2に対応配置された状態で、クランプ治具14の高さが移動しない状態で、電池ケースCのみが上昇されて、この位置決め機構16により電池ケースCの蓋体Cbの上面位置がクランプ治具14に対して位置決めされる。このため、蓋体Cbの上面の溶接部分がクランプ治具14の上面高さより上方へ突出する規定高さとなるように位置決めされて、その位置決め状態でクランプ治具14がクランプ動作し、電池ケースCがクランプされる。
前記溶接位置P3のフレーム15には、規制手段としての規制機構17、レーザ溶接装置18及び放熱手段としての放熱機構19が設けられている。そして、テーブル13の割り出し回転にともない、クランプ治具14に支持された電池ケースCが溶接位置P3に対応配置された状態で、クランプ治具14が上方に移動されて、電池ケースCの蓋体Cbの上面位置がレーザ溶接装置18に対して所定高さに位置決めされるように規制機構17により規制される。このため、蓋体Cb上の溶接部がレーザ溶接装置18からのレーザ光の焦点位置に配置されるように位置決め規制される。
さらに、この電池ケースCの位置規制状態で、レーザ溶接装置18からのレーザ光の照射により、電池ケースCの蓋体Cbがケース本体Caの開口端に溶接される。この場合、図9に示すように、蓋体Cbの上面外周縁の複数箇所w1に部分的に溶接が施されて、蓋体Cbがケース本体Caに仮止めされた後に、蓋体Cbの上面外周縁の全周W2にわたって連続的に溶接が施される。また、この溶接時には、放熱機構19によって電池ケースCからの溶接熱の放散が促進される。そして、テーブル13の割り出し回転にともない、溶接後の電池ケースCが搬出位置P4に対応配置された状態で、クランプ治具14から電池ケースCが搬出される。
次に、前記クランプ治具14、位置決め機構16、規制機構17、レーザ溶接装置18及び放熱機構19の構成を詳細に説明する。
(クランプ治具14)
図2〜図5及び図8(a)(b)に示すように、前記テーブル13の外面には、取付板21が一対のガイドレール22を介して上下方向へ移動可能に支持されている。この取付板21は、通常時には自重により図示しないストッパによって規制される下方位置に配置されるようになっている。取付板21上には、支持用シリンダ23と、第1クランプ用シリンダ28と、一対の第2クランプ用シリンダ31とが配設され、これらの各シリンダ23,28,31により電池ケースCの下面を支持するための支持部材25、電池ケースCを長辺部をクランプするための第1可動クランプ片30、短辺部を支持するための一対の第2可動クランプ片32の動作がそれぞれ駆動される。
図2〜図4に示すように、前記取付板21には、固定クランプ片27が配設されている。そして、前記搬入位置P1等において支持部材25上に電池ケースCが支持された状態で、第1可動クランプ片30と固定クランプ片27との間で電池ケースCのケース本体Caが厚さ方向においてクランプされる。
また、図2及び図3に示すように、前記搬入位置P1等において支持部材25上に電池ケースCが支持された状態で、両第2可動クランプ片32間で電池ケースCのケース本体Caが長さ(水平)方向にクランプされる。
(位置決め機構16)
図2〜図4に示すように、前記段取り位置P2のフレーム15の内側面には、支持板34が取り付けられている。この支持板34には、位置決め機構16を構成する位置決め部材35がブラケット36を介して回転軸37を中心に回動可能に支持されている。位置決め部材35の先端には、テーブル13の外周のクランプ治具14に支持された電池ケースCの蓋体Cbの上面に当接可能な位置決め片35aが形成されている。支持板34には、回転軸37を回動させるためのロータリアクチュエータ38がブラケット39を介して支持されている。
そして、テーブル13の割り出し回転にともない、クランプ治具14上の電池ケースCが段取り位置P2に配置された状態で、ロータリアクチュエータ38が作動されることにより、位置決め部材35が図4に鎖線で示す上方の退避位置から、実線で示す下方の規制位置に回動される。この状態で、クランプ治具14のクランプ片30,32のクランプ力を緩和してクランプ治具14の位置決め機構16の駆動手段を構成する支持用シリンダ23のピストンロッドが突出動作されることにより、支持部材25が上昇されて、電池ケースCが位置決め部材35に向かって押し上げられる。このため、電池ケースCの蓋体Cbの上面が位置決め部材35の位置決め片35aに当接されて、その蓋体Cbの上面位置が規制され、この位置でクランプ治具14のクランプ片30,32が再びクランプ動作してクランプ治具14に対して位置決めクランプされる。
(規制機構17)
図2、図3及び図6に示すように、前記溶接位置P3のフレーム15の内側面には支持板41が取り付けられ、その支持板41上には前記規制機構17及び放熱機構19が支持されている。この溶接位置P3の規制機構17は、前記段取り位置P2の位置決め機構16と同一構造となっているため、位置決め機構16の各部材の符号35〜39に対応して、規制機構17の各部材に符号135〜139を付すことにより、それらの部材135〜139の詳細な構造説明を省略する。ただし、位置決め部材35は規制部材135とする。そして、テーブル13の割り出し回転にともない、クランプ治具14上の電池ケースCが溶接位置P3に配置された状態で、規制機構17のロータリアクチュエータ138が作動されることにより、規制部材135が図6に鎖線で示す上方の退避位置から、実線で示す下方の規制位置に回動される。
図3及び図6に示すように、溶接位置P3における機台11の上面には、クランプ治具14を規制部材135に向かって移動させるための駆動手段としての上昇用シリンダ42がブラケット43を介して配設されている。シリンダ42のピストンロッド上には、溶接位置P3に割り出されたクランプ治具14の取付板21の下端縁に接合可能な作動部材44が取り付けられている。そして、図6に実線で示すように、前記規制機構17の規制部材135が規制位置に回動配置された状態で、上昇用シリンダ42が突出動作されることにより、作動部材44がクランプ治具14の取付板21の下端縁に接合して、クランプ治具14全体が上昇移動される。この上昇移動により、クランプ治具14にクランプされた電池ケースCが規制部材135に向かって押し上げられて、蓋体Cbの上面が規制部材135の規制片135aに当接され、その蓋体Cbの上面の溶接部がレーザ光の焦点位置に配置されるように規制される。
(レーザ溶接装置18)
図1〜図3に示すように、前記レーザ溶接装置18は、溶接位置P3の規制機構17及び放熱機構19よりも上方に位置するように、フレーム15の内側面に装着されている。このレーザ溶接装置18は、カルバノスキャナー装置(図示しない)を有し、光軸を任意の範囲に振らせる(スキャンさせる)ことができる。そして、前記のように電池ケースCの蓋体Cb上の溶接部がレーザ光の焦点位置に位置決めされた状態で、このレーザ溶接装置18からレーザ光が照射されることにより、蓋体Cbがケース本体Caの開口端に対して溶接される。
(放熱機構19)
図2、図3、図7及び図8(a)(b)に示すように、前記溶接位置P3の規制機構17の上方において支持板41には、支持枠46が取り付けられている。溶接位置P3に割り出し配置されたクランプ治具14の固定クランプ片27、第1可動クランプ片30及び両第2可動クランプ片32の上端面に接触可能に対応するように、支持枠46には冷却器47が取付板50に支持した状態で、ガイドレール51を介して上下方向へ移動可能に支持されている。
前記冷却器47は冷媒としての冷却水を収容した冷却タンクから構成され、それらの内部には図示しない循環パイプを介して冷却水が供給されるようになっている。この冷却水は循環パイプを介して外部の熱交換機と冷却器47との間を循環されて、冷却器47が定温に維持される。また、図7に示すように、冷却器47の取付板50は、フレーム15に対して吊下バネ52を介して弾性的に吊下支持されている。
そして、電池ケースCをクランプしたクランプ治具14が溶接位置P3に割り出された状態で、前記上昇用シリンダ42の突出動作によりクランプ治具14全体が上昇移動されたとき、そのクランプ治具14の各クランプ片27,30,32の上端面が下端位置にある冷却器47に接触され、冷却器47は吊下バネ52による緩衝作用をともないながら若干上昇される。この状態で、レーザ溶接装置18により電池ケースCの蓋体Cbがケース本体Caに溶接されるとき、冷却器47によって各クランプ片27,30,32が温度低下され、このため、電池ケースCからの溶接熱が溶接位置に近い各クランプ片27,30,32を介して放散されるようになっている。
(作用)
次に、前記のように構成された電池ケース封止装置の作用を説明する。
さて、この電池ケース封止装置の運転時には、テーブル13の割り出し回転により、テーブル13の外周の4箇所に設けられたクランプ治具14が搬入位置P1、段取り位置P2、溶接位置P3及び搬出位置P4に順に配置される。搬入位置P1においては、クランプ治具14の各可動クランプ片30,32が開放された状態で、クランプ治具14の支持部材25上に電池ケースCが搬入される。この状態で、クランプ用シリンダ28,31により各可動クランプ片30,32がクランプ位置に移動されて、電池ケースCのケース本体Caが各クランプ片27,30,32間にクランプされる。
そして、テーブル13の割り出し回転にともなって、クランプ治具14にクランプされた電池ケースCが段取り位置P2に配置されると、位置決め機構16の位置決め部材35が図4に実線で示す規制位置に回動配置されるとともに、クランプ治具14の支持用シリンダ23により、支持部材25が上昇される。この上昇により、電池ケースCが位置決め部材35に向かって押し上げられて、電池ケースCの蓋体Cbの上面が位置決め部材35の位置決め片35aに当接され、その蓋体Cbの上面位置が水平面内において所定の高さとなって、クランプ治具14に対して位置決めされる。この状態で、位置決め部材35が図4に鎖線で示す退避位置に回動配置される。
その後、テーブル13の割り出し回転にともなって、クランプ治具14に位置決め状態でクランプされた電池ケースCが溶接位置P3に配置されると、規制機構17の規制部材135が図6に実線で示す規制位置に回動配置される。それとともに、上昇用シリンダ42により作動部材44が上方に移動されて、クランプ治具14全体が上昇移動され、クランプ治具14上の電池ケースCが規制部材135に向かって押し上げられる。この押し上げにより、蓋体Cbの上面が規制部材135の規制片135aに当接され、その蓋体Cbの上面の溶接部がレーザ溶接装置18からのレーザ光の焦点位置に配置されるように規制される。このとき、前記クランプ治具14の上昇移動にともなって、クランプ治具14の各クランプ片27,30,32の上端面が、放熱機構19の冷却器47に接触される。
この状態で、レーザ溶接装置18からのレーザ光の照射によって、電池ケースCの蓋体Cbがケース本体Caの開口端に溶接される。この場合、前記規制部材135が蓋体Cbの上面の規制位置に配置された状態で、図9に示すように、規制部材135と干渉しない位置において蓋体Cbの上面外周縁の複数箇所w1に対して部分的に溶接が施されて、蓋体Cbがケース本体Caに仮止めされる。その後、規制部材135が蓋体Cbの上方の退避位置に回動されて、レーザ光のスキャン範囲外に位置した状態で、蓋体Cbの上面外周縁の全周W2にわたって連続的に溶接が施される。これらの溶接時には、放熱機構19の冷却器47により、電池ケースCからの溶接熱が各クランプ片27,30,32を介して放散される。
そして、前記溶接位置P3において、レーザ溶接装置18による電池ケースCの溶接が完了すると、前記上昇用シリンダ42によるクランプ治具14の押し上げ動作が解放されて、クランプ治具14が自重により図示しないストッパによって規制される下方位置に移動される。このため、クランプ治具14の各クランプ片27,30,32の上端面が、放熱機構19の冷却器47から離間される。この状態で、テーブル13の割り出し回転にともなって、クランプ治具14にクランプされた溶着後の電池ケースCが搬出位置P4に配置される。そして、この搬出位置P4において、各クランプ片27,30,32によるケース本体Caのクランプが解放された後、電池ケースCがクランプ治具14の支持部材25上から搬出される。
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この電池ケース封止装置及び封止方法においては、テーブル13の割り出し回転により、テーブル13の外周の4箇所に設けられたクランプ治具14が搬入位置P1、段取り位置P2、溶接位置P3及び搬出位置P4に順に配置されるようになっている。そして、搬入位置P1ではクランプ治具14に電池ケースCが搬入され、段取り位置P2では位置決め機構16により電池ケースCの蓋体Cbの上面高さ位置がクランプ治具14に対して位置決めされる。また、溶接位置P3では蓋体Cbがレーザ光の焦点位置に規制されて、レーザ溶接装置18により蓋体Cbがケース本体Caに溶接され、搬出位置P4では溶接後の電池ケースCがクランプ治具14から搬出される。このため、電池ケースCのケース本体Caに対する蓋体Cbの溶接作業を1つの位置において連続して能率良く行うことができるとともに、レーザ溶接と同時に、後続の電池ケースCの位置決めクランプと、搬入及び搬出の工程とを同時に実行できるため、単位時間当たりの生産個数を増やすことができる。
(2) この電池ケース封止装置及び封止方法においては、電池ケースCを段取り位置P2において、クランプ治具14に対して位置決めし、溶接位置P3において、電池ケースCをクランプ治具14ごと移動させて、電池ケースCの溶接位置をレーザ光の焦点位置に規制させる。これに対し、段取り位置P2を省略して、溶接位置において、クランプ治具14とともに電池ケースCをレーザ光の焦点位置に規制させた場合は、クランプ治具14の移動が正確であっても、電池ケースCとクランプ治具14との位置関係が一定しないおそれがあるため、レーザ光の焦点が定まらず、適切な溶接を行い得ないおそれがある。また、電池ケースCを段取り位置P2で位置決めして、その状態を維持して溶接位置P3において溶接することも考えられるが、このようにした場合は、クランプ治具14を溶接位置P3で上下に移動させることができないため、各クランプ片27,30,32を冷却器47に対して移動させることできず、各クランプ片27,30,32の積極的な冷却が不可能になる。これを解決するために、冷却器47を各クランプ片27,30,32に対して接近・離間移動可能にすることも考えられるが、このようにすると、冷却器47と外部の熱交換ユニットとの間の冷媒ホースの接続部に冷却器47の移動にともなう負荷がかかり、冷媒漏洩のおそれがある。これらのことを全て防止するために、溶接位置P3において、クランプ治具14に対する電池ケースCの位置決め及びレーザ光の焦点に対する位置規制を行なうことも考えられるが、この場合は、溶接位置P3における作業量が増えてタクトタイムが長くなり、全体の作業効率が低下して、サイクルタイムが長くなる。この実施形態においては、以上のような問題は生じることがなく、正確な加工を能率よく行なうことができる。
(3) この電池ケース封止装置及び封止方法においては、前記溶接位置P3に、電池ケースCからの溶接熱の放散を促進するための放熱機構19が設けられている。このため、ケース本体Caに対する蓋体Cbの溶接時に、放熱機構19により電池ケースCからの溶接熱を有効に放散させることができて、電池ケースCの変形を防止できるとともに、各クランプ片27,30,32の熱膨張量を一定に維持できる。従って、高精度な溶接加工を実現できる。
(4) この電池ケース封止装置及び封止方法においては、前記放熱機構19が、クランプ治具14のクランプ片27,30,32の上端面に接触する冷却器47によって構成されている。このため、放熱機構19の構成が簡単であるとともに、クランプ片27,30,32に対する冷却器47の接触により、溶接位置に近いクランプ片27,30,32を介して電池ケースCからの溶接熱を効果的に放散させることができる。
(5) この電池ケース封止装置及び封止方法においては、前記位置決め機構16及び規制機構17が、機台11と一体のフレームに設けた蓋体Cbの上面に当接可能な位置決め部材35及び規制部材135によって構成されている。このため、位置決め機構16及び規制機構17の構成が簡単であるとともに、電池ケースCの蓋体Cbの上面が位置決め部材35及び規制部材135に当接されることにより、蓋体Cbの上面位置を容易に位置決めあるいは規制することができる。
(6) この電池ケース封止装置及び封止方法においては、蓋体Cbを複数箇所でケース本体Caに対して部分的に溶接して仮止めした後、蓋体Cbの全周をケース本体Caに対して溶接するようにしている。このため、全周溶接の際の熱によって蓋体Cbが湾曲したり、その湾曲によって蓋体Cbとケース本体Caとの間に隙間が生じたりすることを防止でき、高精度な溶接加工が可能となる。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 搬入位置P1と搬出位置P4とを同一ステーションとして、クランプ治具14を3箇所のみ設けること。
・ 冷媒を利用した冷却器47に代えて、ペルチェ効果を利用した冷却器を採用すること。
・ テーブル13が垂直面内において割り出し回転する構成に本発明を具体化すること。
・ 前記実施形態では、蓋体Cbを複数箇所でケース本体Caに対して部分的に溶接して仮止めした後、蓋体Cbの全周をケース本体Caに対して溶接するようにしているが、この部分的な仮止めのための溶接を省略してもよい。
11…機台、13…テーブル、14…クランプ治具、15…フレーム、16…位置決め手段としての位置決め機構、17…規制機構、18…レーザ溶接装置、19…放熱手段としての放熱機構、23…支持用シリンダ、25…支持部材、27…固定クランプ片、28…第1クランプ用シリンダ、30…第1可動クランプ片、31…第2クランプ用シリンダ、32…第2可動クランプ片、35…位置決め部材、38…ロータリアクチュエータ、42…上昇用シリンダ、44…作動部材、47…冷却器、135…規制部材、138…ロータリアクチュエータ、C…電池ケース、Ca…ケース本体、Cb…蓋体、P1…搬入位置、P2…段取り位置、P3…溶接位置、P4…搬出位置、W2…全周。

Claims (5)

  1. 搬入位置、段取り位置、溶接位置及び搬出位置に対応して割り出し回転されるテーブルを機台に支持するとともに、そのテーブルの外周の少なくとも3箇所には電池ケースのケース本体をクランプするためのクランプ治具を設け、前記機台の段取り位置には電池ケースの蓋体の上面位置をクランプ治具に対して位置決めするための位置決め手段を設け、前記溶接位置には蓋体をケース本体に溶接するためのレーザ溶接装置を設け
    前記機台の溶接位置には、治具を移動させて電池ケースの蓋体の上面位置を溶接位置に規制するための規制手段を設けるとともに、電池ケースからの溶接熱の放散を促進するための放熱手段を設け、
    前記放熱手段は、溶接位置に規制された前記クランプ治具のクランプ片の上端面に接触する冷却器によって構成したことを特徴とする電池ケース封止装置。
  2. 前記位置決め手段は、機台と一体のフレームに設けられ前記蓋体の上面に当接可能な位置決め部材と、テーブルに設けられ電池ケースをその位置決め部材に向かって移動させる駆動手段とによって構成したことを特徴とする請求項1に記載の電池ケース封止装置。
  3. 前記規制手段は、前記蓋体の上面に当接可能な規制部材と、クランプ治具をその規制部材に向かって移動させる駆動手段とによって構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の電池ケース封止装置。
  4. 電池ケースのケース本体をクランプするためのクランプ治具を少なくとも外周3箇所に有するテーブルを搬入位置、段取り位置、溶接位置及び搬出位置に順に対応するように割り出し回転させ、搬入位置においてクランプ治具に保持されたケース本体に組み付けられた電池ケースの蓋体の上面位置を、段取り位置においてクランプ治具に対して位置決めし、次いで、電池ケースをクランプ治具にクランプした状態で、溶接位置において電池ケースの蓋体をレーザ光の焦点に対して位置規制して、溶接位置に規制されたクランプ治具のクランプ片の上端面に接触する冷却器で冷却しながらレーザ光によってケース本体に対する蓋体の溶接を行ない、溶接後の電池ケースを搬出位置において搬出することを特徴とする電池ケース封止方法。
  5. 蓋体をケース本体に対して部分的に溶接して仮止めした後、蓋体の全周をケース本体に対して溶接することを特徴とする請求項に記載の電池ケース封止方法。
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