JP5840025B2 - 整髪用エアゾールスプレー化粧料 - Google Patents

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本発明は、整髪用エアゾールスプレー化粧料に関する。
従来の整髪用エアゾールスプレー化粧料は、主溶媒にエタノールが用いられ、噴射剤に液化石油ガス(LPG)を配合し、霧状に噴射塗布される製品形態が主流であり、その使用目的は、セットしたヘアスタイルを固定するものが大半である。そのため、エタノールが多量に配合されている整髪用エアゾールスプレー化粧料の多くは、塗布後の乾燥速度が速く、ヘアスタイルを整える前に剤が固まってしまうため、ヘアスタイルを作りこむことができないものである。
一方、噴霧塗布する製品形態として、ノンエアゾールタイプのミスト状整髪用化粧料がある。ミスト状整髪用化粧料は、主溶媒として水を多く使用しており、塗布後の乾燥速度が遅いため、ヘアスタイルを作りこむことができるものである。しかしながら、水が多量に配合されているノンエアゾールタイプのミスト状整髪用化粧料では、霧が粗く、均一に塗布できないため、ムラが生じ、使用感に劣るといった問題がある。
これまでにも、整髪用エアゾールスプレー化粧料において、エタノールの配合量を減らし水分量を多くする試みがなされている。具体的には、エタノール1〜50重量%、毛髪固定用高分子化合物0.05〜5重量%、水を含有する整髪剤原液と、ジメチルエーテルからなる噴射剤を特定比率で含有する整髪用エアゾールスプレー製品(例えば、特許文献1を参照)、整髪用樹脂、水およびジメチルエーテルからなるエアゾール整髪用組成物(例えば、特許文献2を参照)、特定量の水/アルコール、毛髪固定用ポリマーおよびジメチルエーテルからなる毛髪化粧料(例えば、特許文献3を参照)、特定量の水/アルコール、皮膜形成性ポリマーおよびジメチルエーテルからなる毛髪化粧料(例えば、特許文献4を参照)などが提案されている。
しかしながら、上記試みでは、水の配合を高めたスプレー剤型とすることはできるものの、十分な整髪力を付与することのできる量の毛髪固定用樹脂を配合することができないといった問題がある。一方で、上記試において、十分な整髪力を付与するために毛髪固定用樹脂の配合量を高める手段も考えられるが、主溶媒が水であるため、毛髪固定用樹脂が析出し、目詰まりが生じるといった問題や、原液の粘度が高くなり、霧状で噴射されないといった問題がある。
さらには、例え噴射されたとしても、噴射物が発泡するといった事象が発生し、使用感が悪くなるだけでなく、エアゾールスプレー化粧料特有の均一に薄く塗布できるという利点までもが失われてしまうといった問題がある。また、噴射口にも泡が残存するため、噴射異常が発生しやすくなるといった問題もある。
これら問題は、エタノール量を増やすことで解決することはできるが、前記試みでは、従来の整髪用エアゾールスプレー化粧料と同様の仕様となり、ヘアスタイルを作りこむことができないといった問題がある。
特開平9−124449号公報 特開平3−112918号公報 特開平11−92345号公報 特開平11−92346号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、水が多量に含有される系であっても、原液中における毛髪固定用樹脂の析出がなく、内容物を発泡させることなく霧状として噴射することができるとともに、十分な整髪力を付与し、ヘアスタイルを作りこむことができる整髪用エアゾールスプレー化粧料を提供することを課題とする。
即ち、本発明は、
〔1〕(A)アクリル酸、メタクリル酸およびイソフタル酸の内から選ばれる1種又は2種以上を構成成分として少なくとも含む陰イオン性被膜形成ポリマー、(B)水、(C)エタノール、並びに(D)多価アルコールおよび糖アルコールの内から選ばれる少なくとも1種を含有してなる原液部と、ジメチルエーテルからなる噴射剤部とを、原液部/噴射剤部=40/60〜60/40の質量比で配合し、霧状に噴射されてなる整髪用エアゾールスプレー化粧料であって、
前記(A)成分が(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMPおよびポリアクリレート−22の内から選ばれる少なくとも1種であり、
前記原液部100質量%中、前記(A)成分の含有量が6〜15質量%であり、前記(B)成分の含有量が51〜83質量%であり、前記(C)成分の含有量が10〜40質量%であり、前記(D)成分の含有量が1〜5質量%である整髪用エアゾールスプレー化粧料、
〔2〕非発泡性であることを特徴とする前記〔1〕に記載の整髪用エアゾールスプレー化粧料
に関する。
本発明の整髪用エアゾールスプレー化粧料は、水が多量に配合される系であっても、原液中における毛髪固定用樹脂の析出や毛髪固定用樹脂に起因する白濁がなく、目詰まりせずに吐出することができるとともに、内容物を発泡させることなく霧状として噴射することができるという効果を奏する。また、本発明の整髪用エアゾールスプレー化粧料は、速乾しないことから、望むヘアスタイルへと作りこむことができるとともに、毛髪固定用樹脂を高配合できることから、十分な整髪力を付与することができるという効果を奏する。
本発明の整髪用エアゾールスプレー化粧料は、(A)アクリル酸、メタクリル酸およびイソフタル酸の内から選ばれる1種又は2種以上を構成成分として少なくとも含む陰イオン性被膜形成ポリマー、(B)水、並びに(C)エタノールを含有してなる原液部と、ジメチルエーテルからなる噴射剤部とを、原液部/噴射剤部=40/60〜60/40の質量比で配合し、霧状に噴射されてなる。
本発明の整髪用エアゾールスプレー化粧料の原液部について説明する。本発明においては、毛髪固定用樹脂として、(A)成分のアクリル酸、メタクリル酸およびイソフタル酸の内から選ばれる1種又は2種以上を構成成分として少なくとも含む陰イオン性被膜形成ポリマーが用いられる。
(A)成分のアクリル酸、メタクリル酸およびイソフタル酸の内から選ばれる1種又は2種以上を構成成分として少なくとも含む陰イオン性被膜形成ポリマーとしては、優れた整髪力を付与することができれば特に限定されない。本発明においては、(A)成分のナトリウム塩(以下、Naを略す)、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール塩(以下、AMPと略す)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール塩(以下、AMPDと略す)であってもよい。
具体的な(A)としては、例えば、アクリル酸アルキルコポリマー、アクリル酸アルキルコポリマーAMP、アクリル酸アルキルコポリマーNa、アクリル酸アルキルコポリマーアンモニウム、アクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPD、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)コポリマー、(アクリレーツ/t−ブチルアクリルアミド)コポリマー、アクリレーツコポリマー、アクリレーツコポリマーAMP、アクリレーツコポリマーNa、(酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボロリル)コポリマー、(スチレン/アクリル酸アルキル)コポリマー、(スチレン/アクリレーツ)コポリマー、(スチレン/アクリル酸アミド)コポリマー、ポリウレタン−1(INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第13版,第2巻,CTFA,2010年,p.2411−2412):POLYURETHANE−1で表記される、イソフタル酸、アジピン酸、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジメチロールプロピオン酸およびジイソシアン酸イソホロンからなる共重合体)、ポリアクリレート−22(INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第13版,第2巻,CTFA,2010年,p.2314):POLYACRYLATE−22で表記される、アジピン酸およびネオペンチルグリコールの共重合体とジイソシアン酸イソホロンの複合重合体のイソシアナート基をメタクリル酸ヒドロキシエチルと反応させた後、エタノールを加え残留ウレタン基を除き、最後にアクリル酸、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルと共重合させ、アミノメチルプロパノールで部分中和して得られるもの)などを例示することができる。これら(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、霧状として噴射することができ、優れた整髪力を付与する観点から、上記した(A)成分の中でも、アクリル酸アルキルコポリマー、アクリル酸アルキルコポリマーAMP、アクリル酸アルキルコポリマーNa、アクリル酸アルキルコポリマーアンモニウム、ー、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)コポリマー、アクリレーツコポリマー、ポリウレタン−1、ポリアクリレート−22を用いることが好ましい。これら好ましい(A)成分の中でも、下記溶解性試験において、析出や溶液の濁りが生じない陰イオン性被膜形成ポリマーを用いることが最も好ましい。
<溶解性試験>
エタノール:水=1:4の含有比の水溶液100質量%中、ポリマー純分として9質量%含有させ、クエン酸を用いてpH6〜7に調整時の溶解性(析出の有無、若しくは、溶液の濁りの有無)について、目視確認する。
最も好ましい(A)成分としては、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMP、ポリアクリレート−22が挙げられる。最も好ましい(A)成分を用いることにより、後述する(B)成分である水が多量に配合される系であっても、原液の析出がなく、内容物を発泡することなく霧状として噴射することができるようになる。
尚、(A)成分の陰イオン性被膜形成ポリマーは、市販品をそのまま用いることもできる。(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPの市販品としては、例えば、プラスサイズL−6330(商品名,互応化学社製)、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMPの市販品としては、例えば、プラスサイズL−6740B(商品名,互応化学社製)などを例示することができる。ポリアクリレート−22の市販品としては、例えば、LUVISet shape(商品名,BASFジャパン社製)などを例示することができる。
(A)成分の含有量は、十分な整髪力を付与する観点から、原液部100質量%中、6質量%以上である。また、霧状として噴射する観点および目詰まり防止の観点から、15質量%以下である。これらの観点から、(A)成分の含有量は、6〜15質量%である。
用いられる(B)成分の水は、通常化粧品に用いられるものであれば特に限定されず、通常、精製水、イオン交換水などが用いられる。(B)成分の含有量は、速乾するのを抑え、望むヘアスタイルへと作りこむことができる観点から、原液部100質量%中、51質量%以上である。また、噴射剤や被膜形成ポリマーとの溶解性の観点から、83質量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、51〜83質量%である。
用いられる(C)成分のエタノールは、通常化粧品に用いられるものであれば特に限定されない。(C)成分の含有量は、噴射剤や被膜形成ポリマーとの溶解性の観点から、原液部100質量%中、10質量%以上である。また、速乾を抑える観点から、40質量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、10〜40質量%である。
また、本発明の整髪用エアゾールスプレー化粧料の原液部には、使用感を高め、ヘアスタイルの作りこみをより優れたものとする観点から、(D)多価アルコールおよび糖アルコールの内から選ばれる少なくとも1種を含有させることができる。
用いられる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオールなどを例示することができる。
用いられる糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、アラビトール、リビトール、ガラクチトール、グルシトール、エリトリトールなどを例示することができる。
(D)成分の含有量は、使用感を高め、ヘアスタイルの作りこみを良好とする観点から、原液部100質量%中、0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上である。また、原液の粘度を抑え、細かな霧で噴射する観点から、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下である。これらの観点から、(D)成分の含有量は、0.1〜10質量%であり、1〜5質量%であることが好ましい。
また、整髪用エアゾールスプレー化粧料の原液部には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記した成分の他、通常化粧品に用いられる成分、例えば、ツバキ油、流動パラフィンなどの炭化水素油;セチルアルコール、イソステアリルアルコールなどの高級アルコール;イソオクタン酸セチル、パルミチン酸イソプロピルなどのエステル油;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーンなどのシリコーン油;防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、植物抽出エキス、粉体、pH調整剤などを目的に応じて適宜配合することができる。
次に、本発明の整髪用エアゾールスプレー化粧料の噴射剤部について説明する。
噴射剤部は、水可溶性であるジメチルエーテルが用いられる。噴射剤部としてジメチルエーテルを用いることで、(B)成分である水の含有量が多い原液部であっても均一に混合することができ、霧状に噴射させることができるようになる。
また、本発明の整髪用エアゾールスプレー化粧料における原液部と噴射剤部の配合比(原液部/噴射剤部)は、細かな霧状として噴射される観点および目詰まりを防止する観点から、40/60〜60/40を満たす範囲で調製される。
本発明の整髪用エアゾールスプレー化粧料は、原液部に水が多量に配合されているにもかかわらず、上記した構成とすることにより、発泡することなく内容物を霧状として噴射することができるだけでなく、整髪付与成分を高配合できることから、十分な整髪力を付与することができる。尚、本発明でいう「発泡」とは、噴射時に泡となること、若しくは、付着後に泡(後発泡)となることを言い、上記「発泡することなく」とは、噴射時に発泡しない、若しくは、付着後に発泡しないことを意味し、非発泡性であることを言う。
本発明の整髪用エアゾールスプレー化粧料を製造するには、既知の方法により製造すれば良く、例えば、原液部に配合する各成分を均一に分散させた溶液をエアゾール容器に充填し、エアゾール用バルブにより容器をクリンチした後、噴射剤であるジメチルエーテルをステムから容器内へ規定量を圧力充填し、噴霧状態に適した噴射ボタンを装着する製造方法を例示することができる。
整髪用エアゾールスプレー化粧料のエアゾール容器の内圧は、噴射剤の充填量により適宜調整することができることから、所望の効果が十分に付与される圧力に調整されるのであれば特に限定されないが、霧状として噴射させる観点から、25℃において、0.30〜0.65MPaを満たす範囲で調整することが好ましく、より好ましくは0.40〜0.60MPaである。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、特記しない限り「質量%」を表す。
実施例および比較例では、下記被膜形成ポリマーを用いた。また、表中の各被膜形成ポリマーの配合量は純分に換算した。
被膜形成ポリマー(1):(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP(互応化学社製「プラスサイズL−6330」,純分30質量%)
被膜形成ポリマー(2):(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMP(互応化学社製「プラスサイズL−6740B」,純分40質量%)
被膜形成ポリマー(3):ポリアクリレート−22(BASFジャパン社製「LUVISet shape」,純分34質量%)
被膜形成ポリマー(4):(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー(アイエスピー・ジャパン社製「ガントレッツES−225」,純分50質量%)
被膜形成ポリマー(5):(酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル)コポリマー(アクゾノーベル社製「RESYN 28−2930」,純分100質量%)
被膜形成ポリマー(6):ポリビニルピロリドン(第一工業製薬社製「クリージャス K−90」,純分100質量%)
被膜形成ポリマー(7):ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩(大阪有機化学工業社製「HCポリマー 1N,純分20質量%」
被膜形成ポリマー(8):メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体(三菱化学社製「ユカフォーマー104D」,純分30質量%)
(試料の調製1)
表1〜3に記した組成に従い、原液部を常法に準じて調製し、エアゾール用の耐圧ガラス容器に充填した。次いで、エアゾール用バルブを容器にクリンチした後、噴射剤をステムより充填し、実施例1〜9および比較例1〜17の各整髪用エアゾールスプレー化粧料を調製し、下記評価(試験例1)に供した。結果を表1〜3に併記する。
(試験例1:溶解性の評価)
実施例および比較例の各試料を、15秒間上下によく振って噴射剤と混合させた。次いで、1分間静置させ、原液の状態を下記評価基準に従って目視評価した。
<溶解性の評価基準>
○:析出又は濁りが認められない
×:析出又は濁りが認められる
(試料の調製2)
表1〜3に記した組成に従い、原液部を常法に準じて調製し、エアゾール容器に充填した。次いで、エアゾール用バルブ(ステム孔径:0.45mm、ハウジング孔径(下孔:0.65mm、横孔径:0.65mm)を容器にクリンチした後、噴射剤をステムより充填し、実施例1〜9および比較例1〜17の各整髪用エアゾールスプレー化粧料を調製し、下記評価(試験例2〜5)に供した。結果を表1〜3に併記する。
(試験例2:「噴射状態」および「発泡の有無」の評価)
実施例および比較例の各試料を5℃の恒温槽に1時間保管した。次いで、恒温槽より各試料を取出し、直ちに15秒間上下によく振ってから、紙製タオル上に10cm離れた距離から2秒間噴射した。噴射時の状態、並びに紙製タオルに付着したものの発泡の有無について、下記評価基準に従って目視評価した。
<噴射状態の評価基準>
○:細かな霧状で噴射される
△:やや粗い霧状で噴射される
×:霧状で噴射されない
<発泡の評価基準>
○:発泡は認められない
△:一瞬発泡するが、すぐに消泡する
×:発泡し、泡状として残る
(試験例3:目詰まりの評価)
各実施例および各比較例の各試料を5℃の恒温槽に保管し、毎日下記操作を繰り返し、噴射状態についての確認試験を行った。
(操作)
恒温槽より各試料を取出し、直ちに15秒間上下によく振ってから、5秒間噴射した。噴射後、再び恒温器に戻し、翌日同様の試験を実施した。この操作を、原液が完全に無くなるまで、或いは、目詰まりにより原液が噴射されなくなるまで繰り返し実施し、その状態を下記の基準に従い評価した。
<目詰まりの評価基準>
○:観察期間内に噴射状態(吐出状態)に異常は見られない
△:観察期間内に噴射状態(吐出状態)がやや弱くなり、噴射量(吐出量)が減少する
×:観察期間内に全く噴射(吐出)しなくなる
(試験例4:ヘアスタイルの作りこみ)
官能評価パネル20名により、ウィッグ(レッスンマネキン:ユーカリジャパン社製)を用いて、実施例および比較例の各試料を噴霧塗布してもらい、望むヘアスタイルとなるように整髪を施して(作りこみをして)もらった。整髪時の「ヘアスタイルの作りこみ易さ」について、下記評価基準に従って官能評価した。尚、評価は、23℃、湿度60%の恒温恒湿の一定条件下で実施した。
<ヘアスタイルの作りこみの評価基準>
◎:20名中16名以上が、速乾しないことから、望むヘアスタイルへと作りこむことができると回答
○:20名中11〜15名が、速乾しないことから、望むヘアスタイルへと作りこむことができると回答
△:20名中6〜10名が、速乾しないことから、望むヘアスタイルへと作りこむことができると回答
×:20名中5名以下が、速乾しないことから、望むヘアスタイルへと作りこむことができると回答
(試験例5:整髪力)
試験例4の評価1時間後、同評価パネル20名により、自らが施したヘアスタイルを見てもらい、「整髪力」について、下記評価基準に従って目視評価した。
尚、「整髪力」の評価は、施したヘアスタイルの形状が持続しているものを整髪力が高いとして評価を行った。
<整髪力の評価基準>
◎:20名中16名以上が、整髪力が高いと回答
○:20名中11〜15名が、整髪力が高いと回答
△:20名中6〜10名が、整髪力が高いと回答
×:20名中5名以下が、整髪力が高いと回答
Figure 0005840025
Figure 0005840025
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表1〜3に示された結果から、実施例1〜9の整髪用エアゾールスプレー化粧料は、水を多量に含有する系であっても、噴射剤を混合した際の毛髪固定用樹脂の析出や毛髪固定用樹脂に起因する白濁がなく、目詰まりせずに細かな霧状で噴射することができ、発泡しないものであることが分かる。また、速乾しないことから、望むヘアスタイルへと作りこむことができ、毛髪固定用樹脂を高配合できることから、十分な整髪力を付与できていることも分かる。
これに対して、本願発明の構成を充足しない比較例1〜8では、本願発明の効果を十分に発揮できないものであることが分かる。また、水を含有しない比較例9〜10では、従来の整髪用エアゾールスプレー化粧料と同様に、整髪力には優れるものの、塗布後の乾燥速度が速いために、望むヘアスタイルへと作りこむことができないものであることが分かる。さらに、エタノールを含有しない比較例11〜12では、製剤として成り立たず、全く評価できないものであった。
また、本発明の(A)成分を、(A)成分以外の陰イオン性被膜形成ポリマー、非イオン性被膜形成ポリマー、陽イオン性被膜形成ポリマー、両性被膜形成ポリマーへと置き換えた比較例13〜17では、細かな霧状で噴射することができず、また、例え霧状で噴射することができたとしても目詰まりが生じ、さらには、水が多量に配合される系において、十分な整髪力を発揮させることができないものであることが分かる。

Claims (2)

  1. (A)アクリル酸、メタクリル酸およびイソフタル酸の内から選ばれる1種又は2種以上を構成成分として少なくとも含む陰イオン性被膜形成ポリマー、(B)水、(C)エタノール、並びに(D)多価アルコールおよび糖アルコールの内から選ばれる少なくとも1種を含有してなる原液部と、ジメチルエーテルからなる噴射剤部とを、原液部/噴射剤部=40/60〜60/40の質量比で配合し、霧状に噴射されてなる整髪用エアゾールスプレー化粧料であって、
    前記(A)成分が(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMPおよびポリアクリレート−22の内から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記原液部100質量%中、前記(A)成分の含有量が6〜15質量%であり、前記(B)成分の含有量が51〜83質量%であり、前記(C)成分の含有量が10〜40質量%であり、前記(D)成分の含有量が1〜5質量%である整髪用エアゾールスプレー化粧料。
  2. 非発泡性であることを特徴とする請求項1に記載の整髪用エアゾールスプレー化粧料。
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