JP5784789B1 - 車両用障害物検出装置 - Google Patents
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Abstract
Description
超音波センサによる障害物の検出方法としては、超音波センサより周期的に送信される超音波が障害物にて反射し、その反射波を受信するまでの時間差(遅れ時間)に基づいて障害物までの距離を検出する方法がある。この場合、検出可能な最大距離は超音波の送信周期に依存する。すなわち、送信周期が短いほど、次の送信周期までの観測期間が短くなり、検出可能な最大距離も短くなる。
このような場合、2次エコーであれば、遠方に位置する障害物を誤って近辺に位置する障害物と誤検出することになり、また多重反射波であれば、偽像を観測することになるので、偽像か実際の障害物かを判定する必要が生じる。
このような問題を解決するための方法として、特許文献1には、超音波の送信周期や観測期間を変化させることで、本来検出すべき反射波と他の反射波(多重反射波)を区別するものが記載されている。
また、特許文献1の技術では、1回目に受信した反射波を無条件で障害物からの反射波であると認識するため、2次エコーと反射波を区別することができないという問題がある。
[構成]
図1は、この発明の実施の形態1による車両用障害物検出装置の構成を示すブロック図である。
図1において、実施の形態1の車両用障害物検出装置は、車載機器である超音波センサECU10、ブレーキ制御ECU11及びCAN通信線12から構成される。超音波センサECU10とブレーキ制御ECU11は、CAN通信線12を介して接続され、各ECUは、それぞれ通信手段101、111を用いることで互いに通信することが可能である。
超音波センサ102は、マイコン103から入力された超音波駆動指示信号を昇圧し、駆動パルス電圧に変換するトランス部1022と、駆動パルス電圧を電気的に励振し、圧電素子により機械振動に変換して、空間に対して超音波を放射する超音波トランスデューサ部1021と、放射された超音波が障害物により反射され、超音波トランスデューサ部1021に到来した反射波が、圧電素子により変換された電気信号(超音波信号)を電圧増幅するAMP部1023と、AMP部1023の出力にフィルターをかけてマイコン103に入力させるフィルター部1024とを有する。
遅れ時間測定部10321は、A/D変換部1031にてデジタル信号に変換された受信信号からピークを検出し、超音波送信タイミングを基準とした、検出したピークの時間差(遅れ時間)を測定する。多重反射判定部10322は、遅れ時間測定部10321によって測定したピークの遅れ時間を基に、多重反射が発生しているか否かを判定する。障害物判定部10323は、遅れ時間測定部10321の遅れ時間と多重反射判定部10322の多重反射波の発生有無情報を基に、検出すべき障害物の反射波を選定して、障害物までの距離を算出する。
図2(a)は、超音波の送信信号と受信信号のタイミングを示す図であり、周期的に送信信号を送信する。送信周期の間を観測期間として、障害物からの反射波は当該観測期間内に受信信号として受信している。
図2(b)は、最大検知距離よりも遠方に位置する障害物に対する超音波の送信信号と受信信号のタイミングを示す図であり、この最大検知距離よりも遠方に位置する障害物からの反射波(2次エコー)を、次の観測期間で受信している。
すなわち、送信Aによる反射波Aを観測期間Aではなく、観測期間Bにて受信することになり、遠方に位置する障害物を誤って近辺に位置する障害物と誤検出する場合である。
図2(c)は、多重反射が発生している場合の超音波の送信信号と受信信号のタイミングを示す図であり、同一障害物からの多重反射波を、次の観測期間で受信する場合を示している。
すなわち、送信Aによる多重反射波A’と送信Bによる反射波Bを観測期間Bにて受信することになり、多重反射波A’と反射波Bのどちらが検出すべき障害物であるかを判定する必要がある場合である。
図3において、車両用障害物検出装置である超音波センサECU10は、先行車両2を検出するために、自車両1の前方部分に搭載されている。この超音波センサECU10には、ホーン14が装荷されているものとする。これにより、超音波センサECU10の超音波の放射パターン3は、ホーン14によって正面方向に絞られるため、先行車両2をより遠方地点で検出することができる。
図4において、1〜3、10、14は図3におけるものと同一のものである。図4では、本来遠方に位置する先行車両2を、誤検出する偽像車両2’が示されている。
図9において、1〜3、10、14、2’は図4におけるものと同一のものである。
図9(a)の2次エコーによる偽像車両2’と、図9(b)の実際の先行車両2が自車両1に対して同じ位置にある。
図10(a)は、図9(a)における超音波の送信信号と受信信号のタイミング関係を示す図、図10(b)は、図9(b)における超音波の送信信号と受信信号のタイミング関係を示す図である。
図11において、1〜3、10、14は図3におけるものと同一のものである。図11では、自車両1と先行車両2の間で多重反射が発生している。
図12は、図11の自車両1と先行車両2の間で多重反射が発生している状況における超音波の送信信号と受信信号のタイミング関係を示している。
図13は、図9(b)の自車両1と先行車両2の間で多重反射が発生している状況下での、超音波の送信信号と受信信号のタイミング関係を表したもので、図10(b)の観測期間Aを拡大した図であるが、1点だけ異なり、遅れ時間:T_noiseの所にノイズNがピークとして検出されている。
超音波センサ102は、マイコン103から超音波駆動指示信号が入力されると、この超音波駆動指示信号は、トランス部1022により昇圧され、駆動パルス電圧に変換される。これにより、駆動パルス電圧が超音波トランスデューサ部1021に入力されることによって、超音波トランスデューサ部1021は、電気的に励振され、超音波トランスデューサ部1021内の圧電素子により機械振動に変換され、空間に対して超音波が放射される。
そして、空間を伝搬した超音波は、障害物において反射し、その反射波が障害物エコーとして、超音波トランスデューサ部1021に到来する。
この反射波は、超音波トランスデューサ部1021内の圧電素子により再び電気信号に変換され、受信信号としてAMP部1023により電圧増幅され、フィルター部1024を介してマイコン103に入力される。
センシング処理部1032では、A/D変換部1031にてデジタル信号に変換した受信信号からピークを検出し、超音波送信タイミングを基準とした、検出したピークの時間差(遅れ時間)を遅れ時間測定部10321により測定する。
遅れ時間測定部10321により測定したピークの遅れ時間を基に、多重反射判定部10322により、多重反射が発生しているか否かを判定する。
そして、遅れ時間測定部10321の遅れ時間と多重反射判定部10322の多重反射波の発生有無情報を基に、障害物判定部10323が、検出すべき障害物の反射波を選定して、障害物までの距離を算出するようになっている。
図3に、2次エコーが発生している状況を示す。図3に示したように、先行車両2は、1観測期間の最大検知距離よりも遠方に位置するため、先行車両2からの反射波は、超音波を送信した次の観測期間にて、2次エコーとして受信される(超音波の送受信タイミングとしては、図2(b)と同じ)。
つまり、図4に示すように、本来、遠方に位置する先行車両2を、偽像車両2’として誤検出することになる。その結果、衝突する可能性がないにも関わらず、ブレーキ制御が行われてしまう。
以降、図5から図8の各処理部のフローチャートを用いて、センシング処理部1032の各処理の流れを順次、説明する。
まず、図5を用いて、センシング処理部1032の大まかな処理フローについて説明する。
センシング処理部1032の起動タイミングは、A/D変換部1031で、1観測期間内の超音波の受信信号をすべてデジタル信号に変換した後に起動するものとする。
センシング処理部1032は、起動すると、超音波の受信信号の遅れ時間を測定する(ステップS10321)。ステップS10321の処理内容の詳細は後述する。ステップS10321完了後、ステップS10322へ進む。
ステップS10323では、ステップS10321の遅れ時間測定結果と、ステップS10322の多重反射判定結果を基に、検出すべき障害物が存在するか否かを判定し、障害物までの距離を算出する。ステップS10323の処理内容の詳細は後述する。
ステップS10323の完了後、センシング処理部1032の処理を終了する。
まず、受信した超音波の受信信号(デジタル化されている)からピークを検出する(ステップS103211)。ステップS103211完了後、ステップS103212へ進む。
ステップS103212では、ステップS103211のピーク検出結果に基づいて、検出したピークの遅れ時間を測定する。ステップS103212完了後、遅れ時間測定部10321の処理を終了する。
まず、遅れ時間測定部10321のピーク検出結果を基に、超音波の受信信号内にピークが存在するか否かを判定する(ステップS103221)。ピークが存在する場合は、ステップS103222へ進み、存在しない場合は、検出すべき障害物なしとして、多重反射判定部10322の処理を終了する。
基準ピークに選定されていないピークが存在する場合、ステップS103223へ進み、基準ピークに選定されていないピークが存在しない場合、多重反射判定部10322の処理を終了する。
ステップS103224では、ステップS103223で選定した基準ピーク:P_Std_kの遅れ時間:T_Std_kを基に、多重反射が発生しているか否かを判定する。
具体的には、基準ピーク:P_Std_kの遅れ時間:T_Std_kを整数倍した時間:M(整数)×T_Std_kの前後付近に、遅れ時間:T_iであるピーク:P_iが存在するか否かを判定する。本条件を満たすピーク:P_iが存在した場合は、ステップS103225へ、本条件を満たすピーク:P_iが存在しない場合は、ステップS103227へ進む。
ステップS103226では、ステップS103225にて基準ピーク:P_Std_kの多重反射波:MPR_kと判定された個数:MPR_k_cntをカウントする。多重反射波の個数のカウント完了後、ステップS103227へ進む。
ステップS103227では、基準ピーク:P_Std_k(ピーク:P_k)の多重反射波判定処理が完了したとして、基準ピークを次のピーク:P_k+1に更新する。ピークの更新完了後、ステップS103222へ戻る。
まず、遅れ時間測定部10321のピーク検出結果を基に、受信した超音波の受信信号内にピークが存在するか否かを判定する(ステップS103231)。ピークが存在する場合は、ステップS103232へ進む。ピークが存在しない場合は、ステップS103233へ進み、検出すべき障害物なしと判定して、障害物判定部10323の処理を終了する。
遅れ時間:T_iが観測期間:T_obsvの半分以下であるピーク:P_iが存在しないのであれば、超音波の受信信号の中に2次エコーや多重反射波が含まれているか否かを判定できないため、ステップS103237へ進む。
実施の形態1による2次エコーによる誤検出の抑制効果について、図9と図10を用いて説明する。
図9(a)は、2次エコーにより見える偽像と超音波の伝搬状況を表し、図9(b)は、図9(a)の偽像と同じ位置に実際の車両が存在する場合の超音波の伝搬状況を表す図である。
図10(a)は、図9(a)における超音波の送信信号と受信信号のタイミング関係を、図10(b)は、図9(b)における超音波の送信信号と受信信号のタイミング関係を表している。
また、図10(b)において、反射波A1(B1、C1)の遅れ時間:T_A(T_B、T_C)は、観測期間:T_obsvの4分の1以下とする。
つまり、図9(b)と図10(b)に示す状況下では、反射波A1(B1、C1)の遅れ時間:T_A(T_B、T_C)を整数倍した時間前後に、送信A(B、C)の多重反射波A2、A3(B2、B3、C2、C3)が観測される。
図11は、自車両1と先行車両2の間で多重反射が発生している状況を表している。この状況における超音波の送信信号と受信信号のタイミング関係は、図12に示すとおりである。
図12において、反射波A1(B1、C1)の遅れ時間:T_A1(T_B1、T_C1)は、観測期間:T_obsvの半分以上、4分の3以下とする。また、反射波B2(C2)は送信A(B)における多重反射波:A’(B’)であるため、反射波B2(C2)の遅れ時間:T_B2(T_C2)は観測期間:T_obsvの半分以下となる。
まず、各反射波の遅れ時間が観測期間:T_obsvの半分以下の時間であるか否かを判定する。この場合、反射波B2の遅れ時間:T_B2が観測期間:T_obsvの半分以下である。
観測期間:T_obsvの半分以下の遅れ時間である反射波B2が、送信Bによって障害物から返ってきた反射波であると仮定した場合、反射波B2の遅れ時間:T_B2を整数倍した時間前後に、送信Bの多重反射波が観測されるはずである。
しかし、反射波B2の遅れ時間:T_B2を整数倍した時間前後に送信Bの多重反射波は観測されていない。よって、反射波B2は、送信Bによる反射波ではないと判定され、障害物として認識されない。
図13は、図9(b)に示すように、自車両1と先行車両2の間で多重反射が発生している状況下での、超音波の送信信号と受信信号のタイミング関係を表したものである。
図13は、図10(b)の観測期間Aを拡大した図であり、基本的に同じ状況を表す図である。しかし、1点だけ異なり、遅れ時間:T_noiseの所にノイズNがピークとして検出されている。
ここで、ノイズNの遅れ時間:T_noiseが、反射波A1の遅れ時間:T_Aの半分、もしくは反射波A1の遅れ時間:T_Aの1.5倍かつ観測期間:T_obsvの半分以下、のいずれの条件も満たさない場合、ノイズNの遅れ時間:T_noiseを整数倍した時間前後に、送信Aの反射波や多重反射波が観測されていないので、ノイズNを障害物として誤検出することはない。
図13より、障害物として検出されるピークは、反射波A1とノイズNである。多重反射波A2とA3に関しては、それぞれを基準ピークとした場合に、対応する多重反射波が観測されないので、障害物として検出されない。
したがって、ノイズNではなく、反射波A1の方が障害物である可能性が高いので、反射波A1を、送信Aによる障害物からの反射波であると判定して障害物として検出する。
これにより、超音波の送信周期や観測期間を変更することなく、2次エコーや多重反射波等による誤検出を抑制することができる。
11 ブレーキ制御ECU、12 CAN通信線、14 ホーン、
101、111 通信手段、102 超音波センサ、103 マイコン、
1021 超音波トランスデューサ部、1022 トランス部、1023 AMP部、
1024 フィルター部、1031 A/D変換部、1032 センシング処理部、
1033 車両制御部、10321 遅れ時間測定部、10322 多重反射判定部、
10323 障害物判定部。
Claims (1)
- 自車両周辺に存在する障害物を検出する車両用障害物検出装置であって、
超音波信号の送信と受信を行うように構成された超音波センサ、
及びこの超音波センサによって受信された超音波信号から、自車両周辺に存在する障害物を検出するセンシング処理部を備え、
上記センシング処理部は、
上記超音波センサにより受信された超音波信号のピークを検出し、上記超音波センサが超音波信号を送信したタイミングを基準として、上記検出したピークの遅れ時間を測定する遅れ時間測定部と、
この遅れ時間測定部により測定された上記ピークの遅れ時間に基づいて、上記障害物による多重反射が発生しているか否かを判定する多重反射判定部と、
上記遅れ時間測定部により測定された上記ピークの遅れ時間と上記多重反射判定部の判定結果に基づいて、障害物の存在の有無を判定する障害物判定部とを有し、
上記多重反射判定部は、上記遅れ時間測定部により測定された各ピークについて、遅れ時間の短い順に、当該ピークの上記遅れ時間を整数倍した時間前後に当該ピークよりも後に受信したピークが複数存在する場合、上記後に受信した複数のピークを多重反射波と判定するとともに上記多重反射波の数を計数する処理を行い、
上記障害物判定部は、
上記遅れ時間測定部により測定された上記各ピークの遅れ時間、並びに上記多重反射判定部により判定された上記多重反射波の情報及び上記多重反射波の数に基づいて、障害物の存在の有無を判定し、障害物が存在する場合は上記障害物までの距離を算出することを特徴とする車両用障害物検出装置。
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