JP5777655B2 - ズームレンズ及びそれを有する撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明はズームレンズに関し、特にビデオカメラ、監視カメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、銀塩写真用カメラ等の撮像装置に用いる撮像光学系として好適なものである。
固体撮像素子を用いた撮像装置に用いる撮影光学系には、全系が小型で広画角、高ズーム比のズームレンズであることが求められている。さらに、全ズーム範囲にわたり高い光学性能を有するズームレンズであることが要望されている。これらの要求を満足するズームレンズとして、物体側より像側へ順に、正、負、正、正の屈折力の第1乃至第4レンズ群を有するポジティブリード型の4群ズームレンズが知られている。
このうち、第2レンズ群と第3レンズ群を移動させて変倍を行い、第4レンズ群を移動させて変倍に伴う像面変動を補正すると共にフォーカシングを行う、所謂リアフォーカスタイプの4群ズームレンズが知られている(特許文献1、2)。特許文献1、2では、高ズーム比で全ズーム範囲にわたり高い光学性能を有する小型の4群ズームレンズを開示している。
特開平8−82743号公報 特開2011−145565号公報
前述した構成のポジティブリード型の4群ズームレンズは全系の小型化及び高ズーム比化を図るのが比較的容易である。しかしながら、広画角化及び高ズーム比化を図りつつ、全ズーム範囲にわたり高い光学性能を得るには、各レンズ群の屈折力、特に第2レンズ群の屈折力、そして各レンズ群のレンズ構成等を適切に設定することが重要になってくる。例えば、変倍用の第2レンズ群の屈折力やズーミングに伴う移動距離(移動量)等を適切に設定することが重要になってくる。
これらの構成を適切に設定しないと、全系の小型化を図りつつ、広画角化及び高ズーム比化を図り、全ズーム範囲にわたり高い光学性能を得るのが困難になってくる。
本発明は全系が小型で広画角かつ高ズーム比で、全ズーム範囲にわたり高い光学性能を有するズームレンズ及びそれを有する撮像装置を提供することを目的とする。
本発明のズームレンズは、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成され、ズーミングに際して、前記第1レンズ群は不動であり、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群、前記第4レンズ群が移動することによって隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第2レンズ群の移動量をm2、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第3レンズ群の移動量をm3、前記第2レンズ群の焦点距離をf2、広角端における全系の焦点距離をfwとするとき、
−4.9<m2/f2<−3.7
−2.0<f2/fw<−1.5
−25.0<m2/m3<−5.5
なる条件式を満足することを特徴としている。
この他、本発明のズームレンズは、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成され、ズーミングに際して、前記第1レンズ群は不動であり、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群、前記第4レンズ群が移動することによって隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
前記第2レンズ群は、物体側から像側へ順に、負レンズ、負レンズ、負レンズ、正レンズから構成され、
広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第2レンズ群の移動量をm2、前記第2レンズ群の焦点距離をf2、広角端における全系の焦点距離をfwとするとき、
−4.9<m2/f2<−3.7
−2.0<f2/fw<−1.5
なる条件式を満足することを特徴としている。
本発明によれば、全系が小型で広画角かつ高ズーム比で、全ズーム範囲にわたり高い光学性能を有したズームレンズが得られる。
実施例1のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図 (A),(B),(C) 実施例1のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図 実施例2のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図 (A),(B),(C) 実施例2のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図 実施例3のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図 (A),(B),(C) 実施例3のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図 実施例4のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図 (A),(B),(C) 実施例4のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図 本発明のズームレンズを搭載するビデオカメラ(撮像装置)の要部概略図
以下、図面を用いて本発明のズームレンズ及びそれを有する撮像装置の実施例について説明する。本発明のズームレンズは、物体側より像側へ順に正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成されている。そしてズーミングに際して、第1レンズ群は不動で第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群が移動する。
図1は本発明の実施例1のズームレンズの広角端(短焦点距離端)におけるレンズ断面図、図2(A)、(B)、(C)はそれぞれ実施例1のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端(長焦点距離端)における収差図である。実施例1はズーム比19.69、Fナンバー1.85〜2.88のズームレンズである。
図3は本発明の実施例2のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図、図4(A)、(B)、(C)はそれぞれ実施例2のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図である。実施例2はズーム比29.59、Fナンバー1.85〜3.30のズームレンズである。
図5は本発明の実施例3のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図、図6(A)、
(B)、(C)はそれぞれ実施例3のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端
における収差図である。実施例3はズーム比22.27、Fナンバー1.85〜2.88のズームレンズである。
図7は本発明の実施例4のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図、図8(A)、(B)、(C)はそれぞれ実施例4のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図である。実施例4はズーム比19.34、Fナンバー1.85〜2.88のズームレンズである。図9は本発明のズームレンズを搭載するビデオカメラ(撮像装置)の要部概略図である。
各実施例のズームレンズは撮像装置に用いられる撮影光学系であり、レンズ断面図において、左方が被写体側(物体側)で、右方が像側である。レンズ断面図において、L1は正の屈折力の第1レンズ群、L2は負の屈折力の第2レンズ群、L3は正の屈折力の第3レンズ群、L4は正の屈折力の第4レンズ群である。SPは開口絞りであり、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間に位置している。矢印は広角端から望遠端へのズーミングに際しての移動軌跡及びフォーカスの際の移動方向を示している。
各実施例のズームレンズは、ズーミングに際して開口絞りSPを不動としているが、適切な範囲で可動としても良い。これによればさらなる全系の小型化が容易になる。各実施例では開口絞りSPをズーミングに際して不動とし、撮像装置を簡素化している。Pは光学フィルター、フェースプレート等に相当する光学ブロックである。Iは像面であり、デジタルスチルカメラやビデオカメラの撮影光学系として使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子の撮像面が、銀塩フィルム用カメラのときはフィルム面に相当する。
収差図のうち、球面収差においてdはd線、gはg線である。非点収差図においてΔM,ΔSは各々メリジオナル像面、サジタル像面である。倍率色収差はg線によって表している。また、FnoはFナンバーである。ωは半画角(度)である。尚、以下の各実施例において広角端と望遠端は変倍レンズ群が機構上光軸方向において移動可能な範囲の両端に位置したときのズーム位置をいう。
各実施例では、広角端から望遠端へのズーミングに際して、矢印のように、第2レンズ群L2が像側に単調移動している。また、第3レンズ群L3は広角端に比べて望遠端において物体側に位置する
ように移動して変倍を行っている。
また、第4レンズ群L4を物体側に凸状の軌跡で移動させることで変倍に伴う像面変動を補正している。また、各実施例では、第4レンズ群L4を光軸上移動させてフォーカシング(フォーカス)を行うリヤーフォーカス式を採用している。第4レンズ群L4に関する実線の曲線4aと点線の曲線4bは、各々無限遠と近距離にフォーカスしているときのズーミングに伴う像面変動を補正するための移動軌跡である。第4レンズ群L4を物体側へ凸状の軌跡とすることで第3レンズ群L3と第4レンズ群L4間の空間の有効利用を図り、レンズ全長の短縮化を図っている。
又、各実施例では望遠端において無限遠から近距離へフォーカスを行う場合には、矢印4cに示すように第4レンズ群L4を前方に繰り出すことで行っている。尚、各実施例においては撮影時に、第3レンズ群L3の全体または一部を光軸に対して垂直方向の成分を持つ方向に移動させることによってズームレンズが振動したときに生ずる撮影画像のブレを補正するようにしても良い。即ち像ぶれ補正を行っても良い。
各実施例のズームレンズは、物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4から構成されている。ズーミングに際して、第1レンズ群L1は不動であり、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3、第4レンズ群L4が移動することによって隣り合うレンズ群の間隔が変化する。広角端から望遠端へのズーミングにおける第2レンズ群L2の移動量をm2、第2レンズ群L2の焦点距離をf2、広角端における全系の焦点距離をfwとする。
このとき、
−4.9<m2/f2<−3.7 ・・・(1)
−2.0<f2/fw<−1.5 ・・・(2)
なる条件式を満足する。ここで広角端から望遠端へのズーミングにおけるレンズ群の移動量とは、レンズ群の広角端と望遠端における光軸上の位置の差でありレンズ群の移動量の符号は広角端に比べて望遠端においてレンズ群が像側に位置するときを正とし物体側に位置するときを負とする。
本発明のズームレンズは前述の如く構成して全系が小型で高ズーム比化を確保するのに適した構成としている。第1レンズ群L1は偏芯すると望遠端において像面湾曲が回転対称でなくなり、例えば画面の左右で合焦する被写体距離が異なってしまい好ましくない。その為、第1レンズ群L1はズーミングに際して不動としている。第2レンズ群L2及び第3レンズ群L3を移動させることで変倍を行なっている。
第3レンズ群L3を移動させて中間のズーム位置において入射瞳位置を短くして前玉有効径の小型化も図っている。第4レンズ群L4は変倍に伴う像面変動を補正する為に移動させている。そして前述の条件式(1),(2)を満足している。
次に条件式(1),(2)の技術的意味について説明する。条件式(1)は第2レンズ群L2の広角端から望遠端へのズーミングに際しての位置の差と第2レンズ群L2の焦点距離の比に関する。条件式(1)の上限値を超えると、所定のズーム比を得る為に第3レンズ群L3の位置の差を増やすために、広角端において第3レンズ群L3を像側へ近づける必要がある。そうすると、広角端において第3レンズ群L3の位置と第4レンズ群L4の位置が近くなり、この結果、第3レンズ群L3及び第4レンズ群L4を駆動させる為のカムやアクチュエーターが接近してきて、双方を精度良く配置するのが困難になる。
逆に下限値を超えると、前玉有効径及びレンズ全長(第1レンズ面から像面までの距離)が増大する、もしくは、第2レンズ群L2の負の屈折力が強くなりすぎて、ズーミングに際しての像面湾曲の変動が増大し、この変動を補正するのが困難となる。
条件式(2)は第2レンズ群L2の焦点距離と広角端における焦点距離の比に関する。条件式(2)の上限値を超えると、広角端において所定の画角を保つに、第1レンズ群L1の屈折力を強くしなければならず、この結果、特に中間のズーム位置から望遠端において球面収差や軸上色収差が増大し、これらの補正が困難となる。逆に下限値を超えると、前玉有効径及びレンズ全長が大きくなってくる。
本発明のズームレンズにおいて更に好ましくは次の条件式のうち1以上を満足するのが良い。広角端から望遠端へのズーミングにおける第3レンズ群L3の移動量をm3とする。第1レンズ群L1は最も像側に正の屈折力のレンズG1prを有し、レンズG1prの材料の屈折率をN1pr、第1レンズ群L1に含まれるレンズG1pr以外の正の屈折力のレンズの材料の屈折率の平均値をN1pfとする。
第3レンズ群L3及び第4レンズ群L4に含まれる負レンズの材料の屈折率の平均値をN34n、第3レンズ群L3及び第4レンズ群L4に含まれる正レンズの材料の屈折率の平均値をN34pとする。このとき、次の条件式のうち1以上を満足するのが良い。
−25.0<m2/m3<−5.5 ・・・(3)
1.05<N1pr/N1pf<1.40 ・・・(4)
1.1<N34n/N34p<1.3 ・・・(5)
次に各条件式の技術的意味について説明する。条件式(3)は広角端から望遠端へのズーミングにおける第2レンズ群L2の移動量と、広角端から望遠端へのズーミングにおける第3レンズ群L3の移動量の比に関する。
条件式(3)の上限値を超えて、第2レンズ群L2の移動量が減少し、第3レンズ群L3の移動量が増えると第3レンズ群L3の変倍負担が大きくなるが、第3レンズ群L3は第2レンズ群L2より変倍への寄与が小さい。この為、高ズーム比化が困難となる。逆に下限値を超えて、第3レンズ群L3の移動量が小さくなると、ズーミングに際して第3レンズ群L3の移動によって入射瞳の位置の移動量が小さくなり、前玉有効径の小型化と広画角化を図るのが困難となる。
条件式(4)は第1レンズ群L1の最も像側に位置した正レンズG1prの材料の屈折率と第1レンズ群L1の最も像側に位置した正レンズG1pr以外の正レンズの材料の屈折率の平均値との比に関する。第1レンズ群L1において、レンズ内を通る光線と光軸の成す角は、最も像側の正レンズG1pr内で最大となる。その為、第1レンズ群L1内で最も像側の正レンズG1prを薄くすると物体側のレンズ面と像側のレンズ面の光線有効径差が小さくなり前玉有効径の小型化が容易になる。
但し、第1レンズ群L1内で最も像側の正レンズG1prの屈折力を弱くしてしまうと、より物体側まで光軸に対して急な角度で光線が通過する様になってしまい、前玉有効径が大きくなってしまう。従って、第1レンズ群L1内で最も像側の正レンズG1prの材料の屈折率を高くすることでレンズ面の曲率半径を大きくし、屈折力を一定の位置に維持したままレンズを薄くすることが、前玉有効径の小型化には有効である。
条件式(4)の上限値を超えると、前玉有効径の小型化は有利となるが、ペッツバール和が増大し像面湾曲の補正が困難となる。逆に下限値を超えると、前玉有効径が大きくなってくる。
条件式(5)は第3レンズ群L3及び第4レンズ群L4の負レンズの材料の屈折率の平均値と、第3レンズ群L3及び第4レンズ群L4の正レンズの材料の屈折率の平均値の比を規定している。条件式(5)の上限値を超えて、正レンズの材料の屈折率が低くなるとレンズ面の曲率半径が小さくなり、高次収差が多く発生し、波長毎の球面収差やコマ収差等の補正が困難となる。逆に下限値を超えると、広角端において球面収差が増大し、またズーミングに際して像面湾曲の変動が増大し、これを補正するのが困難となる。なお、条件式(1)〜(5)の数値範囲は以下の如く特定するのが更に望ましい。
−4.85<m2/f2<−3.80 ・・・(1a)
−2.00<f2/fw<−1.55 ・・・(2a)
−23.5<m2/m3<−5.5 ・・・(3a)
1.08<N1pr/N1pf<1.35 ・・・(4a)
1.15<N34n/N34p<1.25 ・・・(5a)
本発明のズームレンズは、第1レンズ群L1を1の負レンズと3以下の正レンズで構成するのが望ましい。
広画角で高ズーム比のズームレンズにおいて前玉有効径を小さくする際に、第2レンズ群L2以降の各レンズ群の合成焦点距離が長くなるズームタイプでは、物体側にワイドコンバーター同様の構成を持つ第1レンズ群L1を配する方法がある。しかしながら、この方法は、レンズ全長が増加し、また第1レンズ群L1の重量が増加してくる。
そこで本発明のズームレンズでは第1レンズ群L1を前述の如く構成してレンズ全長や第1レンズ群L1の重量の増加を最小限に抑えながら前玉有効径の小型化を図っている。特に、色消しのために1つの負レンズと、主に望遠端において球面収差、コマ収差、軸上色収差等を補正するために3以下の正レンズで構成するのが望ましい。また、本発明のズームレンズは、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間に開口絞りSPを有し、開口絞りSPはズーミングに際して不動である。
本発明の4群構成のズームレンズでは、開口絞りSPの開口径を小さく絞った際にも軸外光線を開口径内を通過させる為に、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間、もしくは第3レンズ群L3内に開口絞りSPを配するのが良い。しかしながら、ズーミングに際して開口絞りSPを移動させるとアクチュエーターの増加やレンズ鏡筒が大型化してくる。
そこで、本発明のズームレンズでは、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間に開口絞りを配置し、ズーミングに際して開口絞りSPを不動としている。
以上説明した様に、各実施例によれば、少ないレンズ枚数で製造誤差を考慮しても良好な光学性能を有する高ズーム比のズームレンズを実現することが容易である。
次に各レンズ群のレンズ構成について説明する。第1レンズ群L1は負レンズ(負の屈折力のレンズ)と正レンズ(正の屈折力のレンズ)とを接合した接合レンズ、物体側の面が凸でメニスカス形状の1以上の正レンズで構成している。各実施例のズームレンズでは全系を小型にするために第1レンズ群L1の屈折力を強めている。屈折力を強めた際、第1レンズ群L1において諸収差が多く発生する。特に望遠側において球面収差が多く発生してくる。そこで第1レンズ群L1の正の屈折力を接合レンズと1以上の正レンズで分担しこれらの諸収差の発生を低減している。
第2レンズ群L2は屈折力の絶対値が物体側に比べて像側に強く、像側のレンズ面が凹形状の負レンズ、2つの負レンズ、正レンズの4つの互いに独立したレンズで構成している。各実施例のズームレンズでは広角端において広い画角を得ながら第1レンズ群L1の有効径を小型にするために第2レンズ群L2の屈折力を強めている。
第2レンズ群L2の屈折力を強めた際、第2レンズ群L2において諸収差が多く発生してくる。特に広角側において像面湾曲、倍率色収差が多く発生してくる。各実施例では第2レンズ群L2の負の屈折力を3つの負レンズで分担している。また、正レンズにて倍率色収差の発生を低減している。このようなレンズ構成により広画角化を図りながら前玉有効径の小型化と高い光学性能を得ている。
第3レンズ群L3は物体側のレンズ面が凸形状の正レンズ、負レンズ、正レンズより構成している。各実施例のズームレンズでは広角端においてレンズ全長を短縮しつつ、ズーミングに際しての移動量(位置の差)を短くするために第3レンズ群L3の屈折力を強めている。屈折力を強めた際、第3レンズ群L3において諸収差が多く発生してくる。特に軸上色収差やコマ収差が多く発生してくる。
そこで第3レンズ群L3を2枚の正レンズと負レンズでパワーを分担し、さらには物体側から数えて1枚目の正レンズの1つのレンズ面を非球面形状とすることによりコマ収差を低減している。また物体側から数えて、2枚目の正レンズの材料に低分散材料(アッベ数70以上)を用いることで軸上色収差を低減している。
第4レンズ群L4は正レンズと負レンズとを接合した接合レンズより構成している。各実施例では第4レンズ群L4を接合レンズの構成とすることでズーミングに際しての倍率色収差や像面湾曲の変動を低減している。
各実施例では以上のように各レンズ群を構成することによって、広角端における撮影画角が65〜72°と広画角であり、また、ズーム比19〜30程度の高ズーム比に対応した、全系が小型なズームレンズを得ている。尚、各実施例のズームレンズは、撮像装置に用いたとき諸収差のうち歪曲収差の補正を電気的な画像処理によって補正しても良い。特に広角側は最大撮影範囲に対して小さい撮像範囲とし、上記歪曲収差の補正を行うことによって、前玉有効径の小型化が容易になる。
また本発明のズームレンズは、広角側での有効像円径が望遠端での有効像円径よりも小さくなるように構成しても良い。
以下に、実施例1〜4に各々対応する数値実施例1〜4を示す。各数値実施例において、iは物体側からの面の順番を示し、riは第i番目(第i面)の曲率半径、diは第i+1面との間の間隔、ndi、νdiはそれぞれd線を基準とした第i番目の光学部材の材料の屈折率、アッベ数を示す。
また、数値実施例1〜4では最も像側の2つの面は光学ブロックに相当する平面である。BFはバックフォーカスであり最終レンズ面から像面までの空気換算したときの距離である。非球面形状は光軸からの高さHの位置での光軸方向の変位を面頂点を基準にしてXとする。光の進行方向を正としRを近軸曲率半径、kを円錐定数、A4、A6を各々非球面係数とする。このとき
なる式で表している。*は非球面形状を有する面を意味している。「e−x」は10-xを意味している。画角は像高をY、焦点距離をfとした時、tan-1(y/f)で求めた値である。前述の各条件式と数値実施例における諸数値との関係を表1に示す。
[数値実施例1]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 78.363 1.55 1.85478 24.8
2 30.860 6.28 1.59282 68.6
3 -308.803 0.20
4 30.208 3.59 1.83481 42.7
5 100.485 (可変)
6 248.972 0.80 1.91082 35.3
7 7.731 3.28
8 -42.970 0.65 1.83481 42.7
9 30.582 1.39
10 -21.227 0.60 1.83481 42.7
11 -394.864 0.17
12 29.903 2.14 1.95906 17.5
13 -40.022 (可変)
14(絞り) ∞ (可変)
15* 9.641 3.17 1.58313 59.4
16 -195.002 4.23
17 33.596 0.60 2.00100 29.1
18 8.880 0.44
19* 12.155 2.19 1.55332 71.7
20 -164.942 (可変)
21 13.336 3.19 1.63854 55.4
22 -17.040 0.60 1.84666 23.9
23 -55.163 (可変)
24 ∞ 1.97 1.51633 64.1
25 ∞ 1.00
像面 ∞

非球面データ
第15面
K =-1.03637e+000 A 4= 5.15644e-005 A 6= 8.02003e-008

第19面
K =-7.32904e-001 A 4=-2.11685e-005 A 6= 5.90416e-007

各種データ
ズーム比 19.69
広角 中間 望遠
焦点距離 3.78 28.09 74.43
Fナンバー 1.85 2.68 2.88
半画角(度) 36.07 5.60 2.12
像高 2.75 2.75 2.75
レンズ全長 87.68 87.68 87.68
BF 9.33 14.84 9.68

d 5 0.94 23.29 28.88
d13 29.83 7.48 1.90
d14 7.64 2.85 2.85
d20 4.84 4.12 9.28
d23 7.04 12.55 7.39

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 41.95
2 6 -7.34
3 14 ∞
4 15 23.08
5 21 19.79
6 24 ∞
[数値実施例2]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 156.468 1.65 1.80610 33.3
2 48.625 5.92 1.43700 95.1
3 -179.010 0.17
4 65.127 2.83 1.49700 81.5
5 432.018 0.17
6 35.270 4.29 1.59522 67.7
7 139.631 (可変)
8 220.919 0.66 1.88300 40.8
9 7.915 3.10
10 487.280 0.60 2.00069 25.5
11 50.122 1.30
12 -21.009 0.60 1.91082 35.3
13 42.671 0.17
14 23.455 2.02 2.10205 16.8
15 -73.508 (可変)
16(絞り) ∞ (可変)
17* 11.018 3.24 1.58313 59.4
18 -217.714 3.64
19 -97.507 0.60 1.80610 33.3
20 12.376 0.52
21* 18.354 2.21 1.55332 71.7
22 -29.919 (可変)
23 15.788 3.01 1.59522 67.7
24 -14.064 0.60 1.90366 31.3
25 -29.892 (可変)
26 ∞ 1.97 1.51633 64.1
27 ∞ 1.00
像面 ∞

非球面データ
第17面
K =-2.48235e-001 A 4=-1.62827e-005 A 6=-1.20469e-007

第21面
K =-5.88650e+000 A 4= 3.74746e-005 A 6=-5.23611e-007

各種データ
ズーム比 29.59
広角 中間 望遠
焦点距離 3.90 42.44 115.42
Fナンバー 1.85 2.94 3.30
半画角(度) 35.23 3.71 1.37
像高 2.75 2.75 2.75
レンズ全長 105.99 105.99 105.99
BF 10.22 17.44 9.45

d 7 0.83 33.21 38.15
d15 38.98 6.60 1.66
d16 6.55 3.86 3.09
d22 12.11 7.59 16.35
d25 7.93 15.15 7.15

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 51.74
2 8 -7.76
3 16 ∞
4 17 26.55
5 23 22.10
6 26 ∞
[数値実施例3]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 80.533 1.63 1.80610 33.3
2 35.312 6.55 1.43700 95.1
3 -731.128 0.16
4 66.197 2.31 1.49700 81.5
5 239.131 0.17
6 31.288 4.12 1.59522 67.7
7 188.277 (可変)
8 117.072 0.62 1.88300 40.8
9 7.241 3.20
10 -348.351 0.60 2.00069 25.5
11 78.155 1.12
12 -18.328 0.60 1.91082 35.3
13 35.258 0.17
14 22.320 1.92 2.10205 16.8
15 -63.226 (可変)
16(絞り) ∞ (可変)
17* 9.731 3.37 1.58313 59.4
18 -72.681 2.96
19 526.078 0.60 1.80610 33.3
20 8.789 0.85
21* 11.845 2.14 1.55332 71.7
22 -62.598 (可変)
23 15.631 3.15 1.59522 67.7
24 -12.878 0.60 1.90366 31.3
25 -27.059 (可変)
26 ∞ 1.97 1.51633 64.1
27 ∞ 1.00
像面 ∞

非球面データ
第17面
K =-4.50803e-001 A 4=-1.33946e-005 A 6=-2.84777e-007

第21面
K =-1.31826e+000 A 4= 2.06647e-005 A 6= 1.32008e-006

各種データ
ズーム比 22.27
広角 中間 望遠
焦点距離 3.94 38.76 87.68
Fナンバー 1.85 2.68 2.88
半画角(度) 34.97 4.06 1.80
像高 2.75 2.75 2.75
レンズ全長 95.72 95.72 95.72
BF 8.94 16.20 10.62

d 7 0.66 28.95 33.27
d15 34.24 5.95 1.64
d16 4.56 3.17 3.11
d22 10.48 4.62 10.25
d25 6.64 13.90 8.33

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 46.74
2 8 -7.09
3 16 ∞
4 17 22.97
5 23 21.44
6 26 ∞
[数値実施例4]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 53.156 1.29 2.00069 25.5
2 34.139 4.62 1.43700 95.1
3 -804.569 0.17
4 32.500 3.35 1.43875 94.9
5 116.329 0.17
6 44.909 1.82 1.88300 40.8
7 89.988 (可変)
8 120.894 0.60 1.95375 32.3
9 7.651 2.84
10 63.868 0.60 1.83481 42.7
11 26.578 1.60
12 -16.232 0.60 1.71300 53.9
13 25.881 0.17
14 20.245 1.79 2.10300 18.1
15 -100.309 (可変)
16(絞り) ∞ (可変)
17* 10.374 3.64 1.58313 59.4
18 -73.078 3.49
19 -77.487 0.60 1.91082 35.3
20 10.233 0.46
21* 11.144 2.64 1.55332 71.7
22 -25.870 (可変)
23 16.078 2.92 1.59522 67.7
24 -14.750 0.60 2.00100 29.1
25 -28.599 (可変)
26 ∞ 1.97 1.51633 64.1
27 ∞ 1.00
像面 ∞

非球面データ
第17面
K =-3.95101e-001 A 4=-7.22781e-006 A 6=-1.67185e-007

第21面
K =-1.49619e+000 A 4=-5.51867e-007 A 6= 7.68037e-007

各種データ
ズーム比 19.34
広角 中間 望遠
焦点距離 4.33 37.32 83.84
Fナンバー 1.85 2.68 2.88
半画角(度) 32.43 4.22 1.88
像高 2.75 2.75 2.75
レンズ全長 94.99 94.99 94.99
BF 8.94 16.59 12.16

d 7 1.24 27.12 31.07
d15 32.11 6.23 2.28
d16 6.21 4.09 3.10
d22 12.52 6.98 12.41
d25 6.64 14.30 9.86

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 44.92
2 8 -6.94
3 16 ∞
4 17 23.22
5 23 22.79
6 26 ∞
次に本発明のズームレンズを撮影光学系として用いた撮像装置(ビデオカメラ)の実施例を図9を用いて説明する。
図9において、10はビデオカメラ本体、11は実施例1乃至4で説明したいずれかのズームレンズによって構成された撮影光学系である。12はカメラ本体に内蔵され、撮影光学系11によって形成され被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子である。13は固体撮像素子12によって光電変換された被写体像に対応する情報を記録するメモリである。14は撮影した12によって光電変換された被写体像を観察するための電子ビューファインダーである。
L1 : 第1レンズ群 L2 : 第2レンズ群 L3 : 第3レンズ群
L4 : 第4レンズ群

Claims (8)

  1. 物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成され、ズーミングに際して、前記第1レンズ群は不動であり、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群、前記第4レンズ群が移動することによって隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第2レンズ群の移動量をm2、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第3レンズ群の移動量をm3、前記第2レンズ群の焦点距離をf2、広角端における全系の焦点距離をfwとするとき、
    −4.9<m2/f2<−3.7
    −2.0<f2/fw<−1.5
    −25.0<m2/m3<−5.5
    なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
  2. 前記第1レンズ群は、1枚の負レンズと3枚以下の正レンズから構成されることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
  3. 前記第2レンズ群は、物体側から像側へ順に、負レンズ、負レンズ、負レンズ、正レンズから構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
  4. 前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間に開口絞りを有し、前記開口絞りはズーミングに際して不動であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  5. 前記第1レンズ群は最も像側に正の屈折力のレンズG1prを有し、該レンズG1prの材料の屈折率をN1pr、前記第1レンズ群に含まれる前記レンズG1pr以外の正の屈折力のレンズの材料の屈折率の平均値をN1pfとするとき、
    1.05<N1pr/N1pf<1.40
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  6. 前記第3レンズ群及び前記第4レンズ群に含まれる負レンズの材料の屈折率の平均値をN34n、前記第3レンズ群及び前記第4レンズ群に含まれる正レンズの材料の屈折率の平均値をN34pとするとき、
    1.1<N34n/N34p<1.3
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  7. 物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成され、ズーミングに際して、前記第1レンズ群は不動であり、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群、前記第4レンズ群が移動することによって隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
    前記第2レンズ群は、物体側から像側へ順に、負レンズ、負レンズ、負レンズ、正レンズから構成され、
    広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第2レンズ群の移動量をm2、前記第2レンズ群の焦点距離をf2、広角端における全系の焦点距離をfwとするとき、
    −4.9<m2/f2<−3.7
    −2.0<f2/fw<−1.5
    なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のズームレンズと、該ズームレンズによって形成される像を受光する撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
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