JP5612339B2 - 自動車用ホイール - Google Patents
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Description
(i)ディスクフランジがリング状で、かつ飾り穴が大きくディスクフランジ付近まであるため、ホイール周方向でディスクの、飾り穴が設けられる位置とスポークが設けられる位置との剛性差が大きい。そのため、ホイールが回転しながら荷重を受けると、ディスクとリムに捩れ変形などが生じやすい。ディスクとリムに捩れ変形が生じると、リムとディスクの継ぎ手強度が低下してホイールの耐久性が低くなってしまう。
(ii)ディスクフランジがリング状で、かつ飾り穴が大きくディスクフランジ付近まであるため、ホイール周方向でディスクの、飾り穴が設けられる位置とスポークが設けられる位置との剛性差が大きい。そのため、ディスクをリムに嵌入する時にリムが変形してしまう(歪んでしまう)おそれがある。リムが変形すると、ホイールの振れ精度(リムの振れ精度)が低下してしまう。
(iii)スポークの曲げ変形抑制および耐久性向上のため、スポークが底壁部と側壁部と縁部とから構成されている。そのため、ディスクフランジをプレス加工により絞り成形すると、スポークの径方向外側につながるディスクフランジの外形が凸凹形状となりやすい。そのため、ホイールの耐久性およびホイールの振れ精度が低下してしまう。
(1) (a)ドロップ部を有するリムと、
(b)ハブ取付け部と、ホイール半径方向外側に放射状に延びる複数のスポークと、ホイール半径方向外側端部に位置し前記複数のスポーク部のホイール半径方向外側端部をホイール周方向に連結するディスクフランジと、を備え、前記スポーク間に飾り穴が形成されているディスクと、
を有し、前記ドロップ部と前記ディスクフランジ部とが接合する自動車用ホイールであって、
前記ディスクフランジは、前記スポークの幅方向中心線のホイール半径方向外側延長部位に、前記リムの内周面と非接触の非接触部を有し、
前記非接触部は、前記ディスクフランジの、前記スポークの幅方向中心線のホイール半径方向外側延長部位に設けられる切欠きからなり、
前記切欠きのホイール軸方向内側の開口は、前記ハブ取付け部よりもホイール軸方向内側に位置する、自動車用ホイール。
(2) 前記スポークは、ホイール周方向に延びる底壁部と、該底壁部のホイール周方向両端からホイール軸方向外側に立ち上がる一対の側壁部と、該一対の側壁部の立ち上がり方向先端からホイール周方向に延びる縁部と、を備えており、
各前記飾り穴は、前記スポークの前記縁部によって部分的に境界付けられている、(1)記載の自動車用ホイール。
また、切欠きを設けることで非接触部を設けることができ、ホイールの軽量化を図ることができる。
本発明実施例1と本発明実施例2にわたって共通する部分には、本発明実施例1と実施例2にわたって同じ符号を付してある。
まず、本発明実施例1と実施例2にわたって共通する部分を説明する。
ハブ取付け部32は、ハブ穴31の周囲に設けられている。ハブ取付け部32は、平板状または略平板状であり、ホイール軸方向と直交またはほぼ直交する平面内にある。ハブ取付け部32にはハブ取付けボルト穴32aが複数設けられている。ハブ取付けボルト穴32aは、ホイール周方向に等間隔にたとえば5個設けられている。ただし、ハブ取付けボルト穴32aの数は、5個に限定されるものではなく、3個であってもよく、4個であってもよく、6個以上であってもよい。ハブから延びてくるハブ取付けボルト(両方共に図示略)をハブ取付けボルト穴32aに挿通し、ハブ取付けボルトに図示略のハブナットを螺合することにより、ディスク30(ホイール10)はハブに固定される。図2に示すように、ハブ取付け部32には、ハブ取付け部32の剛性向上、耐久性向上などのために、ハブ取付けボルト穴32aの周囲で僅か(0.3mm〜5mm程度)にホイール軸方向外側に凸状に膨らんだ膨らみ部32bが、設けられている。実施例においては、互いのハブ取付けボルト穴32aをつなぐ円弧状の膨らみ部32bを示す。ただし、これに限らず他の形状でも良い。
ハブ取付け部32のホイール軸方向内側の面は、図3に示すように、ホイール軸方向で、ディスクフランジ35のホイール軸方向外側とホイール軸方向内側との間にある。
ハブ取付けボルト穴32aは、図2に示すように隣接するスポーク33の間の周方向位置に位置してもよく、図12に示すようにスポーク33と同じ周方向位置に位置しても良い。
側壁部33bのホイール軸方向幅Hは、ホイール10の剛性を効果的に向上させるために、図3に示すように、飾り穴34のホイール半径方向内側端部の近傍部分で最大である。側壁部33bのホイール軸方向幅Hの最大幅は、底壁部33aの板厚の2倍から20倍の範囲内にある。なお、側壁部33bのホイール軸方向幅Hの最大幅は、底壁部33aの板厚の4倍から10倍の範囲内にあることが望ましい。その理由は、ホイール10の剛性も高く、ディスク30の成形性も良いからである。
スポーク33の幅の最も狭い部分の幅(ホイール周方向の幅)B1は、図2に示すように、飾り孔34の最も広い部分の幅(ホイール周方向の幅)B2よりも狭い。
ホイール周方向に隣り合うスポーク33,33の間に、飾り穴34が位置している。スポーク33のホイール周方向の幅は、ホイール周方向両側の飾り穴34のホイール周方向の幅が最大の部位と同じホイール半径方向の部位で最も狭い。
飾り穴34は、隣り合うスポーク33、33の間に、ホイール周方向に等間隔に、スポーク33の数と同数設けられている。各飾り穴34は、スポーク33の縁部33cによって部分的に境界付けられている。図3および図13に示すように、飾り穴34のホイール半径方向外側端部分34aは、飾り穴34のうち最もディスク軸方向内側になっている。図3ないし図7および図13では、飾り穴34の、ホイール半径方向外側端部分34aは、ディスクフランジ35に達し、断面視でホイール軸方向に直線状に延びるディスクフランジ35に直接接続している。ただし、図8および図9に示すように、飾り穴34と断面視でホイール軸方向に直線状に延びるディスクフランジ35との間に、テーパ状または段付き状の移行部35aがあっても良い。
図8では、移行部35aの飾り穴34側の直径がディスクフランジ35側の直径より大きく、飾り穴34の外周部のホイール半径方向外側端部分34aがディスクフランジ35の直径より大きく、飾り穴34の外周部のホイール半径方向外側端部分34aが、ディスクフランジ35の外周面より半径方向外側にある。ディスクフランジ35の外周面と移行部35aの外周面との半径の差(段付きの量)d1は、ディスクフランジ35の板厚(例えば5mm、さらに一般的には、2.5mm〜8mm)より小さいことが望ましい。さらに望ましくは、段付きの量d1は、0.5mm以上でディスクフランジ35の板厚以下が望ましい。段付きの量d1が0.5mm以上でディスクフランジ35の板厚以下であると、ディスクフランジ35の剛性が向上し、結果としてホイール10の耐久性が向上する。また、移行部35aの段付き部分により、リム20とディスク30の組付け時にリム20とディスク30とのホイール軸方向の位置決めが容易となる。段付きの量d1が0.5mmより小さいとホイール軸方向の位置決めの効果が少なくなってしまう。段付きの量d1がディスクフランジ35の板厚より大きくてもよいが、ディスク30の成形性が悪化する。
また、図9では、移行部35aの飾り穴34側の直径がディスクフランジ35側の直径より小さく、飾り穴34の外周部のホイール半径方向外側端部分34aがディスクフランジ35の直径より小さく、飾り穴34の外周部のホイール半径方向外側端部分34aが、ディスクフランジ35の外周面より半径方向内側にある。ディスクフランジ35の外周面と移行部35aの外周面との半径の差(段付きの量)d2は、ディスクフランジ35の板厚(例えば5mm、さらに一般的には、2.5mm〜8mm)より小さいことが望ましい。さらに望ましくは、段付きの量d2は、0.5mm以上でディスクフランジ35の板厚以下が望ましい。段付きの量d2が0.5mm以上でディスクフランジ35の板厚以下であると、ディスクフランジ35の剛性が向上し、結果としてホイール10の耐久性が向上する。また、移行部35aの直径がディスクフランジ35の直径より小さくなっているため、リム20とディスク30の組付け時にリム20とディスク30との嵌合が容易となる。段付きの量d2が0.5mmより小さいと、リム20とディスク30との嵌合が締り嵌めとなっているため、段付きが少なくなるようにディスク30が変形して、そのため段付きの効果が少なくなる。段付きの量d2がディスクフランジ35の板厚より大きくてもよいが、ディスク30の成形性が悪化するとともに、飾り穴34が小さくなり意匠性が低下する。
図3および図13に示すように移行部を有しない場合、飾り穴34に隣接するディスクフランジ35の軸方向幅(最小部分)B4は、飾り孔34のホイール周方向の幅の最も広い部分の幅B2(図2、図12、図16参照)よりも狭い。さらに、飾り穴34に隣接するディスクフランジ35の軸方向幅(最小部分)B4は、スポーク33の最も狭い部分の幅(ホイール周方向の幅)B1(図2、図12、図16参照)よりも狭い。
ディスクフランジ35は、飾り穴34のホイール軸方向内側に位置する第1の部分35b(図4参照)のみでリム20に接合されていてもよく、第1の部分35b以外の部分であり後述する非接触部36のホイール周方向両側に位置する部分である第2の部分35c(図4参照)のみでリム20に接合されていてもよく、第1の部分35bと第2の部分35cの両方でリム20に接合されていてもよい。また接合が溶接の場合の溶接位置Wは、第1の部分35bあるいは第2の部分35cの軸方向内側(図3参照)、または第1の部分35bあるいは第2の部分35cの軸方向外側で溶接されていてもよい。さらに軸方向外側と内側の両方で溶接されていてもよい。
ディスクフランジ35が第1の部分35bでリム20に溶接にて接合される場合、スポーク33の外周側のディスクフランジ35の位置で溶接にて接合される場合に比べて剛性の小さい位置で溶接されることになり、溶接部の応力集中が緩和され、ホイール10の疲労耐久性が向上する。
ディスクフランジ35が第2の部分35cでリム20に溶接にて接合される場合、飾り穴34をディスクフランジ35になる部分のプレス成形より先に形成した場合であっても、第2の部分35cのプレス成形後のホイール軸方向位置は安定しており、溶接を確実に行なうことができる。
本発明実施例では、ディスクフランジ35が、スポーク33の幅方向中心線のホイール半径方向外側延長部位に、リム20の内周面と非接触の非接触部36を有するため、非接触部36を有していない場合(従来)に比べて、ホイール周方向でディスク30の、スポーク33が設けられる位置の剛性(ディスクフランジ35の対象部位に対して、ディスクフランジ35の対象部位を除くディスク30全体が、ディスクフランジ35の対象部位の板材を板厚方向に曲げる場合の剛性、面剛性)を低下させることができる。そのため、ホイール周方向でディスク30の、飾り穴34が設けられる位置とスポーク33が設けられる位置との剛性差を、従来に比べて小さくできる。また、ホイール周方向でディスク30の、スポーク33が設けられている位置のディスクフランジ35とリム20のドロップ部24との嵌合強度を低下させることができる。そのため、ディスクフランジ35の飾り穴34が設けられている位置と、ディスクフランジ35のスポーク33が設けられている位置とリム20のドロップ部24との嵌合強度との差を小さくできる。その結果、従来に比べて、ホイールの耐久性を高めることができ、ホイールの振れ精度を向上させることができる。また、スポーク33からスポーク両側の飾り穴34が設けられる位置に対応するディスクフランジ35への力の伝達がスムーズになり応力集中を軽減できる。
本発明実施例1では、非接触部36が、ディスクフランジ35の、スポーク33の幅方向中心線のホイール半径方向外側延長部位に設けられる切欠き36aからなり、切欠き36aがスポーク33の底壁部33aに達している。そのため、図2および図12に示すように、ホイール10の正面視で非接触部36が隙間として見えている。
切欠き36aの正面視での形状は、図4に示すように略矩形状であってもよく、図5に示すように、略半円形(単一円弧形状)であってもよく、図6に示すように略半長円形(複数の円弧と直線とで形成される形状)であってもよく、図7に示すように図4に比べて幅広の略矩形状であってもよく、その他の形状であってもよい。切欠き36aのホイール周方向の最大幅B5は、ディスクフランジ35の板厚より大きく、スポーク33がディスクフランジ35と接続する部位のホイール周方向の幅B6より小さいことが望ましい。切欠き36aのホイール周方向の最大幅B5は、スポーク33の最も狭い部分のホイール周方向の幅B1より小さいことがさらに望ましい。
切欠き36aのホイール周方向の最大幅B5が大きすぎると、スポーク33とディスクフランジ35との接続強度が低下して耐久性が下がる。切欠き36aのホイール周方向の最大幅B5が小さすぎると、切欠き36aに応力が集中して耐久性が下がる。
切欠き36aは、ハブ穴31、ハブ取付けボルト穴32aおよび飾り穴34を形成する工程で同時に設けられていてもよく、ディスク30を成形した後の段階で設けられていてもよく、ディスク30を成形する前の板材の段階で設けられていてもよい。切欠き36aのホイール周方向の幅が最大の部位は、ディスクフランジ35の軸方向内側端(切欠き36aの開口端)でもよく、ディスクフランジ35の軸方向内側端より軸方向外側に入った部位でもよい。
切欠き36aを設けることで非接触部36を設けることができる。
切欠き36aのホイール軸方向長さが、ディスクフランジ35のホイール軸方向長さより大となっているため、あるいは切欠き36aがスポーク33の底壁部33aに達しているため、切欠き36aを設けることで、非接触部36を確実にリム20の内周面と非接触にすることができる。
また、切欠き36aを設けることで、切欠き36aを設けない場合に比べてディスク30(ホイール10)の軽量化を図ることができる。
また、切欠き36aがハブ穴31等を形成する工程で同時に設けられる場合、新たな別工程を要することなく切欠き36aを設けることができる。
本発明実施例2では、非接触部36が、ディスクフランジ35の、スポーク33の幅方向中心線のホイール半径方向外側延長部位で、リム20の内周面からホイール半径方向内側に凹む凹部36bからなる。図16の例では、凹部36bはディスクフランジ35の外周側と内周側が対応して径方向内側に凹んでいるが、ディスクフランジ35の厚みが局部的に薄くなることで外周側が凹んで凹部36bを形成してもよい。
凹部36bの最も深い部位のホイール軸方向長さは、ディスクフランジ35のホイール軸方向長さより大となっている。ただし、凹部36bがスポーク33の底壁部33aに達していれば、凹部36bの最も深い部位のホイール軸方向長さは必ずしもディスクフランジ35のホイール軸方向長さより大でなくてもよい。
凹部36bは、ディスク30の成形と同時に設けられていてもよく、ディスク30を成形した後の段階で設けられていてもよい。
凹部36bを設けることで非接触部36を設けることができる。
凹部36bがディスク30の成形と同時に設けられる場合、新たな別工程を要することなく凹部36bを設けることができる。
20 リム
21 内側フランジ部
22 内側ビードシート部
23 内側サイドウォール部
24 ドロップ部
25 外側サイドウォール部
26 外側ビードシート部
27 外側フランジ部
30 ディスク
31 ハブ穴
32 ハブ取付け部
32a ハブ取付けボルト穴
33 スポーク
34 飾り穴
35 ディスクフランジ
35a 移行部
36 非接触部
36a 切欠き
36b 凹部
37 傾斜部
38 突起部
Claims (2)
- (a)ドロップ部を有するリムと、
(b)ハブ取付け部と、ホイール半径方向外側に放射状に延びる複数のスポークと、ホイール半径方向外側端部に位置し前記複数のスポーク部のホイール半径方向外側端部をホイール周方向に連結するディスクフランジと、を備え、前記スポーク間に飾り穴が形成されているディスクと、
を有し、前記ドロップ部と前記ディスクフランジ部とが接合する自動車用ホイールであって、
前記ディスクフランジは、前記スポークの幅方向中心線のホイール半径方向外側延長部位に、前記リムの内周面と非接触の非接触部を有し、
前記非接触部は、前記ディスクフランジの、前記スポークの幅方向中心線のホイール半径方向外側延長部位に設けられる切欠きからなり、
前記切欠きのホイール軸方向内側の開口は、前記ハブ取付け部よりもホイール軸方向内側に位置する、自動車用ホイール。 - 前記スポークは、ホイール周方向に延びる底壁部と、該底壁部のホイール周方向両端からホイール軸方向外側に立ち上がる一対の側壁部と、該一対の側壁部の立ち上がり方向先端からホイール周方向に延びる縁部と、を備えており、
各前記飾り穴は、前記スポークの前記縁部によって部分的に境界付けられている、請求項1記載の自動車用ホイール。
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