JP5586232B2 - 微小粒子の凝集反応を用いる検体の免疫学的測定方法および測定用キット - Google Patents

微小粒子の凝集反応を用いる検体の免疫学的測定方法および測定用キット Download PDF

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Description

本発明は、物質を結合した微小粒子を用いる免疫学的測定法に関する。特に、主として工業、環境、および臨床検査の分野における、抗原抗体反応を利用した微量成分の免疫学的測定方法ならびに免疫測定試薬キットに関する。
近年、臨床検査などの各種検査では自動化および測定時間の短縮が図られている。その検査の方法として、生体試料中の物質を測定するために免疫反応を利用する測定方法が広く用いられている。免疫学的測定方法としては、RIA法、EIA法、免疫比濁法、ラテックス凝集法、金コロイド凝集法、イムノクロマト法などの多くの方法がある。その中でも、ラテックス凝集法や金コロイド凝集法は、反応液の分離や洗浄操作を必要としないホモジニアス系での測定が可能なため、測定の自動化や短時間での測定に適している。特に、金コロイド粒子は5nm〜100nmの大きさであり、これはラテックス粒子より小さいため、より微量物質の測定に利用可能である(特開2005−283250号公報および特開2004−325192号公報)。
これらの測定法における主反応成分は、被測定物質に特異的に反応(例えば、結合)する物質を結合したラテックス粒子や金コロイド粒子などの微小粒子である。微小粒子上に存在する抗体などの特異的結合物質が被測定物質と結合することにより、微小粒子の凝集が生じる。その凝集は被測定物質の量依存的に生じるので、その現象を機械的に測定することで、被測定物質量を算出することができる。
しかしながら、被測定物質の分子量が小さい薬剤や化学物質などは、特異的結合物質と被測定物質との結合部位が少なく、凝集反応が生じにくいため、凝集反応を用いたホモジニアスな測定系を組むことは困難であった。そのため、特別にハプテンを結合させた競合体を反応系に添加することなどの工夫が必要であった(例えば、特開2004−325192号公報および特開2006−38594号公報参照)。
本発明の目的は、分子中に特異的結合部位が少ない被測定物質についての、免疫学的微小粒子の凝集反応を用いる測定方法および測定用キットを提供することである。
本発明では、被測定物質または被測定物質の類似体と、被測定物質に特異的に結合し得る物質に特異的に結合する物質とを、共に不溶性担体上に結合させた微小粒子を用いて、被測定物質の測定を行うことにより、特別にハプテンを結合させた競合体と被測定物質とを同時に競合させることなく、より簡便に被測定物質を測定することを可能にした。
本発明は、検体中の被測定物質を測定する方法を提供し、該方法は、
(a)該被測定物質、第1の特異的結合物質、および微小粒子を混合する工程であって、該第1の特異的結合物質が、該被測定物質に特異的に結合し得る物質であり、該微小粒子が、該被測定物質または該被測定物質の類似体と、第2の特異的結合物質とを共に表面上に結合させた不溶性担体であり、そして該第2の特異的結合物質が、該第1の特異的結合物質に特異的に結合し得る物質である、工程;および
(b)該工程(a)で得られた該混合液において、該微小粒子の凝集反応を測定する工程;
を含む。
1つの実施態様では、上記被測定物質はハプテンであり、そして上記被測定物質の類似体はハプテン結合蛋白質である。
1つの実施態様では、上記被測定物質に特異的に結合し得る物質は該被測定物質に対する抗体である。
ある実施態様では、上記第2の特異的結合物質は、前記第1の特異的結合物質に対するモノクローナル抗体である。
さらなる実施態様では、上記被測定物質の類似体は上記被測定物質に特異的に結合し得る物質と結合し得る認識部位、または該認識部位の構造類似体である。また、上記認識部位または構造類似体が複数個結合した物質であってもよい。
1つの実施態様では、上記不溶性担体は、ラテックスまたは金コロイドである。
本発明はまた、測定用試薬キットを提供し、該キットは、
被測定物質に特異的に結合し得る物質である第1の特異的結合物質を含む第一試薬;および
微小粒子を含む第二試薬であって、該微小粒子が、該被測定物質または該被測定物質の類似体と、第2の特異的結合物質とを共に表面上に結合させた不溶性担体であり、そして該第2の特異的結合物質が、該第1の特異的結合物質に特異的に結合し得る物質である、第二試薬;
を含む。
1つの実施態様では、上記被測定物質はハプテンであり、そして上記被測定物質の類似体はハプテン結合蛋白質である。
本発明の方法によれば、ラテックスや金コロイドなどの不溶性担体に、被測定物質または被測定物質の類似体と、被測定物質に特異的に結合し得る物質に特異的に結合し得る物質とを、共に結合させた微小粒子を凝集反応の主成分として使用するので、特別にハプテンを結合させた競合体を反応系に添加して被測定物質と競合体とを同時に競合させることなく、より簡便に凝集反応を用いたホモジニアスな測定系を組むことが可能である。
図1は、ジアセチルスペルミン測定におけるジアセチルスペルミン濃度と吸光度変化量との関係を示すグラフである(実施例4)。
図2は、ジアセチルスペルミン測定におけるジアセチルスペルミン濃度と吸光度変化量との関係を示すグラフである(実施例6)。
図3は、ブロムペリドールにおけるブロムペリドール濃度と吸光度変化量との関係を示すグラフである(実施例9)。
本発明において、測定に供する被測定物質を含む検体としては、血液、血漿、血清、尿、糞便(懸濁液)、髄液、腹水などの生体試料;環境中より得られたサンプルまたはその抽出物などが挙げられる。
被測定物質は、該被測定物質に特異的に結合する物質(第1の特異的結合物質)が存在し得るものであれば、特に限定されない。被測定物質としては、例えば、アルブミン、ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c、ミオグロビン、トランスフェリン、ラクトフェリン、シスタチンC、フェリチン、α−フェトプロテイン、癌胎児性抗原、CA19−9、前立腺特異抗原、C反応性蛋白質(CRP)、繊維素分解産物(FDP)、ペプシノーゲンIおよびII、コラーゲンなどの蛋白質;高比重リポ蛋白質、低比重リポ蛋白質、超低比重リポ蛋白質などの脂質蛋白質;デオキシリボ核酸、リボ核酸などの核酸;アルカリ性ホスファターゼ、乳酸脱水素酵素、リパーゼ、アミラーゼなどの酵素;IgG、IgM、IgA、IgD、IgEなどの免疫グロブリン;B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヘリコバクターピロリ、これらに対する抗体などの感染症に関する抗原や抗体;スペルミン、スペルミジン、プトレッシン、ジアセチルスペルミンなどのポリアミン、および生理活性物質;ハロペリドール、ブロムペリドールなどの薬物;性ホルモンなどのホルモンなどが挙げられる。
被測定物質に特異的に結合する物質(第1の特異的結合物質)としては、免疫反応を利用する免疫学的測定法に使用され得る抗体または抗原が挙げられる。例えば、抗体または抗原、レセプター、レクチン、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)などの結合親和性を有する物質が挙げられる。被測定物質を特異的に認識できかつ以下で詳述する不溶性担体に結合した第2の特異的結合物質に認識されやすい(すなわち、特異的に結合する)点で、該第1の結合物質に対するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体が好ましい。また、第1の特異的結合物質は、第2の特異的結合物質による認識部位(例えば、タグ)が化学的または分子生物学的手法を用いて付加されていてもよい。このような第1の特異的結合物質は、市販のものであってもよく、あるいは被測定物質に応じて当業者が通常用いる方法によって調製したものであってもよい。
被測定物質に特異的に結合する物質(第1の特異的結合物質)に特異的に結合する物質(第2の特異的結合物質)は、不溶性担体の表面上に結合される。第2の特異的結合物質としては、免疫反応を利用した免疫測定法に使用され得る抗体または抗原が挙げられる。あるいは、測定対象に特異的に結合する物質に特異的に結合するものも利用可能である。例えば、抗体または抗原、レセプター、レクチン、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)などの結合親和性を有する物質が挙げられる。
第2の特異的結合物質は、第1の特異的結合物質に特異的に結合し、その結合部位は、第1の特異的結合物質に存在する任意の領域を認識する。例えば、第1の特異的結合物質が抗体である場合は、抗体のFc領域、V領域、あるいは化学的または分子生物学的手法を用いて付加されたタグ領域などが挙げられる。第2の特異的結合物質は、抗体である場合、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよい。このような第2の特異的結合物質は、市販のものであってもよく、あるいは第1の特異的結合物質に応じて当業者が通常用いる方法によって調製したものであってもよい。
第2の特異的結合物質と共に不溶性担体に結合される被測定物質または被測定物質の類似体は、第1の特異的結合物質に特異的に結合するものであればよく、被測定物質自体、第1の特異的結合物質により認識される被測定物質の認識部位(すなわち、被測定物質の一部)、またはその構造類似体である。また、それらが複数個結合した物質であってもよい。被測定物質が、免疫原性を欠き反応原性のみを有するハプテン(例えば、分子量数百以下の低分子)である場合は、被測定物質の類似体はハプテン結合蛋白質であることが好ましい。複数の被測定物質(例えば、ハプテン)、その一部、またはその構造類似体を結合させるための蛋白質としては、各種動物由来のアルブミン、ヘモシアニン、サイログロブリン、フィブリノーゲン、酵素などから適宜選択される。本発明においては、ウシ血清アルブミン(BSA)が好ましい。ハプテン結合蛋白質としては、蛋白質1分子当たり、4〜40程度の被測定物質(ハプテン)、その一部、またはその構造類似体が結合していることが好ましい。
被測定物質またはその一部とこれらの蛋白質との結合は、当業者が通常用いる方法により行うことができる。このような結合方法は、被測定物質またはその一部に存在するアミノ基、カルボキシル基またはチオール基などの官能基を利用して、被測定物質またはその一部と担体とを直接または結合剤を介して化学結合させるものであり、被測定物質またはその一部の構造に応じて種々のものが知られている(生化学実験法11 エンザイムイムノアッセイ、P.Tijssen著、石川栄治編、252頁、1989年、東京化学同人)。化学結合を形成させるための試薬としては、アシル化剤、アルキル化剤などが挙げられる。好ましくは、カルボキシル基を活性化することにより得られるN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、弱アルカリ条件下で用いられるマレイミド類などである。
本発明において、被測定物質または被測定物質の類似体と第2の特異的結合物質とを共に結合させるための不溶性担体は、免疫測定試薬に使用され得る微小粒子であればよい。ラテックスおよび金属コロイドが好ましい。金属コロイドの場合、金コロイドが一般的に利用されやすい点で好ましい。金コロイド粒子は、市販されているものを用いてもよく、あるいは当業者が通常用いる方法(例えば、塩化金酸をクエン酸ナトリウムで還元する方法)により調製したものを用いてもよい。金コロイド粒子の粒径は、通常10nm〜100nm、好ましくは30nm〜60nmの範囲である。
本発明の方法に用いられる被測定物質または被測定物質の類似体と第2の特異的結合物質とを共に結合した金コロイド粒子(以下、結合金コロイド粒子という場合がある)は、例えば、以下のように調製し得る:金コロイド粒子溶液(540nmにおける吸光度が約2.0)1Lに対して、通常、0.01mg〜100mg、好ましくは0.1mg〜10mgの被測定物質または被測定物質の類似体(例えば、ウシ血清アルブミン結合被測定物質)と0.01mg〜100mg、好ましくは0.1mg〜10mgの第2の特異的結合物質(例えば、抗体)を添加し、冷蔵または室温下で5分〜24時間撹拌する。次いで、牛血清アルブミン(BSA)などでブロッキングし、遠心分離を行うことにより、目的の結合金コロイド粒子を得ることができる。得られた微小粒子は、測定に必要な濃度となるように緩衝液に分散させる。緩衝液のpHは5〜9が好ましく、濃度は1〜100mMが好ましい。緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、コハク酸緩衝液、あるいはグリシルグリシン、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、HEPES(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸)、TES(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸)、MOPS(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸))、Bis−Tris(ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン)などのグッド緩衝液が好適に用いられる。
緩衝液は、必要に応じて、糖および糖アルコール、アジ化ナトリウム、アルブミン、塩化ナトリウムなどの塩類、防腐剤などの添加物を含有してもよい。糖および糖アルコールとしては、グルコース、マンノース、サッカロース、ラクトース、マルトース、マンニトール、ソルビトールなどが挙げられ、その濃度は、0.01〜10w/v%が好ましい。アルブミンとしては、ウシ血清アルブミン(BSA)が好ましく、その濃度は0.001〜1w/v%が好ましい。防腐剤としてはアジ化ナトリウムが好ましく、その濃度は、0.01〜0.5w/v%が好ましい。その他の添加物としては、Tween20、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、5−ブロモサリチル酸、サリチル酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、フェノール、チモールなどが挙げられる。
被測定物質と第1の特異的結合物質との結合反応、および得られた結合物と第2の特異的結合物質などが結合した不溶性担体との凝集反応において、反応温度、pH、緩衝液の種類、共存する塩の種類や濃度、その他の共存物質などの反応条件は、従来の免疫学的反応と同様である。例えば、一般的に行われているように、反応促進の目的で、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、デキストラン、コンドロイチン硫酸ナトリウムなどの水溶性高分子を反応系に添加してもよい。例えば、ポリエチレングリコールの場合、測定系によっても異なるが、1〜5w/v%程度添加される。
本発明において、検体中の被測定物質を測定する方法は、
(a)該被測定物質、第1の特異的結合物質、および微小粒子を混合する工程であって、該第1の特異的結合物質が、該被測定物質に特異的に結合し得る物質であり、該微小粒子が、該被測定物質または該被測定物質の類似体と、第2の特異的結合物質とを共に表面上に結合させた不溶性担体であり、そして該第2の特異的結合物質が、該第1の特異的結合物質に特異的に結合し得る物質である、工程;および
(b)該工程(a)で得られた該混合液において、該微小粒子の凝集反応を測定する工程;
を含む。
この方法において、被測定物質が、第1の特異的結合物質を複数個結合し得る場合は、例えば、工程(a)で、まず、被測定物質と該被測定物質に特異的に結合する物質(第1の特異的結合物質)とを反応させて複合体を形成させ、次いで、被測定物質に特異的に結合する物質を認識する物質(第2の特異的結合物質)を結合させたラテックスや金コロイドなどの不溶性担体でなる微小粒子と反応させることによって凝集反応を生じさせ、その程度を工程(b)で機械的に測定する。
本発明の方法は、例えば、以下のように行われる:第1の反応として、被測定物質を含む検体または該検体を緩衝液などで適切に希釈したものなどと被測定物質に特異的に結合する第1の特異的結合物質とを混合する。次いで第2の反応として、この混合液に、上記のように得られた不溶性担体でなる微小粒子を添加して混合する。第1の反応で被測定物質と結合していない第1の特異的結合物質は、不溶性担体上の被測定物質または被測定物質類似体と結合する。不溶性担体上の第2の特異的結合物質が、不溶性担体上の被測定物質または被測定物質類似体に結合した第2の特異的結合物質に結合することにより、微粒子の凝集反応が生じる。この凝集反応は、第2の反応において不溶性担体上の被測定物質に結合する第1の特異的結合物質の量に依存するので、第1の反応で被測定物質と結合していない第1の特異的結合物質の量に依存することになる。すなわち、第1の反応の被測定物質の量に依存して第2の反応の凝集反応が減少する。例えば、不溶性担体として金コロイドを用いる場合は、この凝集反応に起因する所定の波長における吸光度変化を測定する。測定結果を、予め作成しておいた金コロイド凝集反応の吸光度変化と被測定物質の量との関係を表す検量線に当てはめることにより、容易に検体中の被測定物質の量を求めることができる。なお、例えば、吸光度変化が一定値未満であれば陰性、一定値以上であれば陽性と設定して判定を行うことにより、定性および半定量をすることも可能である。
金コロイドを用いる場合、反応開始後の吸光度変化は、一波長測定であっても二波長測定であってもよい。二波長測定の場合は、測定波長は、第一波長610nm〜800nm、好ましくは630nm〜750nmと、第二波長360nm〜580nm、好ましくは500nm〜550nmである。一波長測定の場合は、上記二波長測定の場合の第一波長または第二波長のいずれか一方の波長領域の波長で測定することができる。本発明の方法において吸光度変化とは、以下の2通りの測定により得られた値であり、いずれであってもよい:
(1)反応開始後に反応液の吸光度を適当な間隔で2回測定し、その差を吸光度変化とする;または
(2)反応開始後に反応液の吸光度を連続的に測定し、時間当たりの吸光度変化率(その最大変化率を用いる場合もある)を吸光度変化とする。
上記測定には、分光光度計、マイクロプレートリーダー、生化学自動分析装置などが利用できる。特に、本発明の方法を生化学自動分析装置での測定に適用することにより、多数の検体を短時間に測定することが可能である。
本発明によれば、本発明の方法に用いるための測定用試薬キットが提供される。このキットは、被測定物質に特異的に結合し得る物質である第1の特異的結合物質を含む第一試薬;および微小粒子を含む第二試薬であって、該微小粒子が、該被測定物質または該被測定物質の類似体と、第2の特異的結合物質とを共に表面上に結合させた不溶性担体であり、そして該第2の特異的結合物質が、該第1の特異的結合物質に特異的に結合し得る物質である、第二試薬;を含む。
上記の試薬は、どのような形態で提供されてもよく、それぞれ個別に密封包装されて提供されることが好ましい。上記キットは、検量線作成用の被測定物質の標準品、使用時に各物質を溶解して適切な濃度の溶液を調製するための緩衝液、使用説明書など含んでいてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(実施例1:金コロイド液の調製)
95℃の蒸留水1Lに10w/v%塩化金酸溶液2mLを撹拌しながら加え、1分後に2w/v%クエン酸ナトリウム溶液10mLを加え、さらに20分間撹拌した後、30℃に冷却した。冷却後、0.1w/v%炭酸カリウムでpH7.1に調節した。
(実施例2:ジアセチルスペルミンと抗マウスIgGラットモノクローナル抗体とを結合した金コロイド試薬の調製)
ジアセチルスペルミン結合BSA(特開2006−38594号公報参照)を、0.05w/v%アジ化ナトリウムを含む10mMのHEPES(pH7.1)で希釈して0.1mg/mLの濃度のジアセチルスペルミン結合BSA溶液を得た。これとは別に、抗マウスIgGラットモノクローナル抗体(Production of Antibodies,Reagents for Immunology and Services社)を、0.05w/v%アジ化ナトリウムを含む10mMのHEPES(pH7.1)で希釈して、40μg/mLの濃度のモノクローナル抗体溶液を得た。ジアセチルスペルミン結合BSA溶液50mLを上記実施例1で調製した約1Lの金コロイド液に加え10分間室温で撹拌し、続いてモノクローナル抗体溶液を50mL加え、冷蔵下で18時間撹拌した。この液に、5.46w/v%マンニトール、0.5w/v%BSA、および0.05w/v%アジ化ナトリウムを含む10mMのHEPES(pH7.1)を110mL添加し、室温にて1時間撹拌した。8000回転で40分間遠心分離し、上清を除去した。次いで、沈渣に3w/v%マンニトール、0.1w/v%BSA、および0.05w/v%アジ化ナトリウムを含む5mMのHEPES(pH7.5)(A溶液)を約1L加え、抗体結合金コロイドを分散させた後、8000回転で40分間遠心分離し、上清を除去し、A溶液を加えて抗体結合金コロイドを分散させ、全量を70mLとし、ジアセチルスペルミンと抗マウスIgGラットモノクローナル抗体とを結合した金コロイド溶液を調製した。
次いで、得られたジアセチルスペルミンと抗マウスIgGラットモノクローナル抗体とを結合した金コロイド溶液70mLに、A溶液を280mL添加し、ジアセチルスペルミンと抗マウスIgGラットモノクローナル抗体とを結合した金コロイド試薬を調製した。
(実施例3:ジアセチルスペルミン測定例1用第一試薬の調製)
1.0w/v%塩化ナトリウム、0.5w/v%EDTA、および0.35w/v%ポリオキシエチレンラウリルエーテルを含む0.2M PIPES(pH6.5)の溶液(B溶液)に、抗ジアセチルスペルミンマウスIgG抗体(株式会社トランスジェニック)を0.5μg/mL、ならびに反応促進剤としてポリエチレングリコールを2.0w/v%添加して、ジアセチルスペルミン用第一試薬とした。
(実施例4:ジアセチルスペルミンの測定例1)
本実施例では、第一試薬として実施例3で調製したジアセチルスペルミン測定例1用第一試薬を、第二試薬として実施例2で調製したジアセチルスペルミンと抗マウスIgGラットモノクローナル抗体とを結合した金コロイド試薬を用いた。ジアセチルスペルミンを、それぞれ0、5、10、25、50、75、100および200nMの濃度になるように、試料を調製した。ジアセチルスペルミン含有試料10μLに、第一試薬を160μL添加し、37℃で約5分間加温した後、第二試薬を80μL加えて37℃にて反応させて、日立7070自動分析装置により、波長546nmおよび660nmでの測光ポイントとして18から31ポイントにおける吸光度変化量を測定した。図1および表1にジアセチルスペルミン濃度と吸光度変化量との関係を示す。
Figure 0005586232
図1および表1に示すように、被測定物質であるジアセチルスペルミンの濃度依存的に、凝集反応による吸光度変化量が変化した。すなわち、ジアセチルスペルミンの濃度が高いほど、吸光度変化量が少なくなった。したがって、検体中の被測定物質であるジアセチルスペルミン量を、凝集反応の吸光度変化量として測定し、検量線と比較することによって定量できることがわかる。
(実施例5:ジアセチルスペルミン測定例2用第二試薬の調製)
1.0w/v%塩化ナトリウム、0.5w/v%EDTA、および0.35w/v%ポリオキシエチレンラウリルエーテルを含む0.2M PIPES(pH6.5)の溶液(B溶液)に、抗ジアセチルスペルミンマウスIgG抗体(株式会社トランスジェニック)を0.75μg/mL、ならびに反応促進剤としてポリエチレングリコールを2.0w/v%添加して、ジアセチルスペルミン測定例2用第二試薬とした。
(実施例6:ジアセチルスペルミンの測定例2)
本実施例では、第一試薬として実施例2で調製したジアセチルスペルミンと抗マウスIgGラットモノクローナル抗体とを結合した金コロイド試薬、第二試薬として実施例5で調製したジアセチルスペルミン測定例2用第二試薬を用いた。ジアセチルスペルミンを、それぞれ0、200、400、600および1000nMの濃度になるように、試料を調製した。ジアセチルスペルミン含有試料10μLに、第一試薬を80μL添加し、37℃で約5分間加温した後、第二試薬を160μL加えて37℃にて反応させて、日立7070自動分析装置により、波長546nmおよび660nmでの測光ポイントとして18から31ポイントにおける吸光度変化量を測定した。図2および表2にジアセチルスペルミン濃度と吸光度変化量との関係を示す。
Figure 0005586232
図2および表2に示すように、被測定物質であるジアセチルスペルミンの濃度依存的に、凝集反応による吸光度変化量が変化した。すなわち、ジアセチルスペルミンの濃度が高いほど、吸光度変化量が少なくなった。したがって、検体中の被測定物質であるジアセチルスペルミン量を、凝集反応の吸光度変化量として測定し、検量線と比較することによって定量できることがわかる。
(実施例7:ブロムペリドールと抗ウサギIgG−Fcマウスモノクローナル抗体とを結合した金コロイド試薬の調製)
ブロムペリドール結合BSA(特開2004−325192号公報参照)を、0.05w/v%アジ化ナトリウムを含む10mMのHEPES(pH7.1)で希釈して0.1mg/mLの濃度のブロムペリドール結合BSA溶液を得た。これとは別に、抗ウサギIgG−Fcマウスモノクローナル抗体(Biogenesis社)を、0.05w/v%アジ化ナトリウムを含む10mMのHEPES(pH7.1)で希釈して40μg/mLの濃度のモノクローナル抗体溶液を得た。ブロムペリドール結合BSA溶液50mLを上記実施例1で調製した約1Lの金コロイド液に加え10分間室温で撹拌し、続いてモノクローナル抗体溶液を50mL加え、冷蔵下で18時間撹拌した。この液に、5.46w/v%マンニトール、0.5w/v%BSA、および0.05w/v%アジ化ナトリウムを含む10mM HEPES(pH7.1)を110mL添加し、室温にて1時間撹拌した。8000回転で40分間遠心分離し、上清を除去した。次いで、沈渣にA溶液を約1L加え、抗体結合金コロイドを分散させた後、8000回転で40分間遠心分離し、上清を除去し、A溶液でブロムペリドールと抗体結合金コロイドを分散させ、全量を70mLとし、ブロムペリドールと抗ウサギIgG−Fcマウスモノクローナル抗体とを結合した金コロイド溶液を調製した。
次いで、ブロムペリドールと抗ウサギIgG−Fcマウスモノクローナル抗体とを結合した金コロイド溶液70mLに、A溶液を280mL添加し、ブロムペリドールと抗ウサギIgG−Fcマウスモノクローナル抗体とを結合した金コロイド試薬を調製した。
(実施例8:ブロムペリドール測定用第一試薬の調製)
上記実施例3に記載のB溶液に、抗ブロムペリドールウサギポリクローナル抗体(特開2004−325192号公報参照)を6μg/mL、ウサギIgGネガティブコントロール(Dako社)を4μg/mL、および反応促進剤としてポリエチレングリコールを4.5w/v%添加して、ブロムペリドール測定用第一試薬とした。
(実施例9:ブロムペリドールの測定)
本実施例では、第一試薬として実施例8で調製したブロムペリドール測定用第一試薬を、第二試薬として実施例7で調製したブロムペリドールと抗ウサギIgG−Fcマウスモノクローナル抗体とを結合した金コロイド試薬を用いた。ブロムペリドールを、それぞれ0、10、20、50、および100ng/mLの濃度になるように3w/v%ウシ血清アルブミン含有0.05M HEPES溶液(pH7.4)に溶解したものを試料とした。ブロムペリドール含有試料20μLに、第一試薬を160μL添加し、37℃で約5分間加温した後、第二試薬を80μL加えて37℃にて反応させて、日立7070自動分析装置により、波長546nmおよび660nmでの測光ポイントとして18から31ポイントにおける吸光度変化量を測定した。図3および表3にブロムペリドール濃度と吸光度変化量との関係を示す。
Figure 0005586232
図3および表3に示すように、被測定物質であるブロムペリドールの濃度依存的に、凝集反応による吸光度変化量が変化した。すなわち、ブロムペリドールの濃度が高いほど、吸光度変化量が少なくなった。したがって、検体中の被測定物質であるブロムペリドール量を、凝集反応の吸光度変化量として測定し、検量線と比較することによって定量できることがわかる。
本発明によれば、ラテックスや金コロイドなどの不溶性担体に、被測定物質または被測定物質の類似体と、被測定物質に特異的に結合し得る物質に特異的に結合する物質とを、共に結合させた微小粒子を凝集反応の主成分として使用することにより、特別にハプテンを結合させた競合体を反応系に添加して被測定物質と競合体とを同時に競合させることなく、より簡便に凝集反応を用いたホモジニアスな測定系を組むことが可能になる。
また、B/F分離を必要としないため、自動化にも非常に適している。したがって、工業、環境、および臨床検査の分野における、抗原抗体反応を利用した微量成分の免疫学的測定方法に好適である。

Claims (7)

  1. 検体中の被測定物質を測定する方法であって、
    (a)該被測定物質、第1の特異的結合物質、および微小粒子を混合する工程であって、該第1の特異的結合物質が、該被測定物質に特異的に結合し得る物質であり、該微小粒子が、該被測定物質または該被測定物質の類似体と、第2の特異的結合物質とを共に表面上に結合させた不溶性担体であり、そして該第2の特異的結合物質が、該第1の特異的結合物質に特異的に結合し得る物質である、工程;および
    (b)該工程(a)で得られた該混合液において、該微小粒子の凝集反応を測定する工程;を含み、
    該被測定物質が、該被測定物質と特異的に結合する物質との結合部位が少なく、かつ競合法による測定が可能な物質であり、
    該第2の特異的結合物質が、該第1の特異的結合物質に対するモノクローナル抗体である、方法。
  2. 前記被測定物質がハプテンであり、そして前記被測定物質の類似体がハプテン結合蛋白質である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記被測定物質に特異的に結合し得る物質が、該被測定物質に対する抗体である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記被測定物質の類似体が、前記被測定物質に特異的に結合し得る物質と結合し得る認識部位、該認識部位の構造類似体、あるいは、それらが複数個結合した物質である、請求項1からのいずれかに記載の方法。
  5. 前記不溶性担体が、ラテックスまたは金コロイドである、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
  6. 検体中の被測定物質を測定する測定用試薬キットであって、
    被測定物質に特異的に結合し得る物質である第1の特異的結合物質を含む第一試薬;および
    微小粒子を含む第二試薬であって、該微小粒子が、該被測定物質または該被測定物質の類似体と、第2の特異的結合物質とを共に表面上に結合させた不溶性担体であり、そして該第2の特異的結合物質が、該第1の特異的結合物質に特異的に結合し得る物質である、第二試薬;を含み、
    該被測定物質が、該被測定物質と特異的に結合する物質との結合部位が少なく、かつ競合法による測定が可能な物質であり、
    該第2の特異的結合物質が、前記第1の特異的結合物質に対するモノクローナル抗体である、測定用試薬キット。
  7. 前記被測定物質がハプテンであり、そして前記被測定物質の類似体がハプテン結合蛋白質である、請求項6に記載の測定試薬キット。
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