JP5558236B2 - レンズ鏡筒 - Google Patents

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Description

本発明は、非使用時に全長を短縮可能な沈胴式のレンズ鏡筒に関する。
スチルカメラ及びビデオカメラ等の撮像装置に用いられるレンズを保持するレンズ鏡筒において、非使用時におけるレンズ鏡筒の光学系部材の光軸に沿う方向についての長さを、撮影等の使用時における長さよりも短くすることができるように伸縮可能に構成されたものが知られている。このような非使用時に全長を短縮可能なレンズ鏡筒の形態は、一般に沈胴式レンズ鏡筒等と称されるものであり、例えば特開2009−169285号公報に開示されている。
特開2009−169285号公報に開示されているレンズ鏡筒は、複数のレンズのうちの一部を光軸上から軸直交方向へ退避させることによって、沈胴時のレンズ鏡筒の全長をより短縮する構成を有している。このようなレンズ鏡筒では、沈胴時において複数のレンズ同士を光軸に沿う方向に寄せ集めるだけではなく、比較的小径なレンズを光軸上から退避させることでレンズを軸直交方向に重なるように配置することで、レンズ鏡筒の体積に占めるレンズの体積の割合を上げるように複数のレンズを密集させて沈胴時の体積を小さくしている。
このように、沈胴時に複数のレンズの一部を光軸上から退避させてレンズを密集させるレンズ鏡筒では、沈胴時におけるレンズを保持する保持部材同士の干渉を避けるために、各部材に開口部や切れ込みを設ける必要がある。これらの開口部や切れ込みは、撮影等の使用時において撮影には不要な光線を通過させてしてしまい、この不要な光線が撮影結果に影響を及ぼしてしまうことがある。
このため、特開2009−169285号公報に開示されているレンズ鏡筒では、保持部材の開口部等に、遮光用の可撓性のシートを配設することで、不要な光線を遮る構成としている。このシートは、沈胴時においては、保持部材等に押されることによって各部材間に収まるように変形することで、レンズ鏡筒の小型化を妨げないようになっている。
特開2009−169285号公報
特開2009−169285号公報に開示されているレンズ鏡筒のように、不要な光線が通過する場所に遮光用のシートを設ける場合、撮影等の使用時においてシートの一部が、レンズを保持する保持部材に接触する場合がある。このように、使用時においてシートが保持部材に接触すると、変形したシートの反力によって、保持部材の姿勢を変化させてしまい、レンズの位置決めにばらつきを生じさせてしまうおそれがあり好ましくない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、レンズ保持部材に設けられた開口部からの不要な光線の通過を防止し、かつレンズの位置決めを精度よく行うことができる沈胴可能なレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
本発明のレンズ鏡筒は、複数のレンズを保持し、全ての前記レンズを光軸上に配置する繰り出し状態と、前記レンズのうちの一部のレンズからなる退避レンズを前記光軸上から退避させ前記繰り出し状態よりも前記光軸方向の長さを短縮した沈胴状態と、に変化可能に構成されたレンズ鏡筒であって、前記光軸が通過する開口部を有する保持部材と、前記退避レンズを保持し、前記保持部材に固定された前記光軸と平行な回動軸周りに回動可能であって、前記光軸に沿う方向から見た場合に、前記繰り出し状態においては前記開口部に重なる領域内に位置し、前記沈胴状態においては前記開口部から退避するように、前記保持部材に対して相対的に移動可能に支持された退避レンズ枠と、前記保持部材と前記退避レンズ枠との間に配設され、前記回動軸周りに回動可能であって、前記光軸に沿う方向から見た場合に、前記繰り出し状態においては前記開口部のうちの前記退避レンズ枠が退避する方向に位置する領域を遮蔽し、前記沈胴状態においては前記開口部から退避して前記退避レンズ枠と重なる位置に移動するように、前記保持部材に対して相対的に移動可能に支持された遮光羽根と、を具備し、前記退避レンズ枠及び前記遮光羽根は、互いに係合する係合部を具備し、前記遮光羽根は、前記係合部を介して前記退避レンズ枠の移動に連動して、前記回動軸周りに回動するレンズ鏡筒において、前記回動軸は、前記保持部材に設けられた互いに平行かつ前記光軸に直交する一対の平面部の間に設けられた円柱状の部材であって、前記退避レンズ枠は、前記回動軸の外周に摺動可能に嵌合し外周形状が前記回動軸を中心軸とした円筒形状部、及び前記円筒形状部の前記光軸に沿う方向の一端に設けられた前記円筒形状部よりも外径の小さい円筒面部を具備し、前記円筒形状部の前記回動軸に沿う方向の移動は、前記一対の平面部の間に前記円筒形状部が配設されることによって規制されており、前記遮光羽根は、前記円筒面部の外周に摺動可能に嵌合する摺動孔を具備し、当該摺動孔が形成された箇所の前記光軸に沿う方向の厚さが、前記円筒面部の前記光軸に沿う方向の厚さよりも薄いことを特徴とする。
本発明によれば、レンズ保持部材に設けられた開口部からの不要な光線の通過を防止し、かつレンズの位置決めを精度よく行うことができる沈胴可能なレンズ鏡筒を実現できる。
繰り出し状態にあるレンズ鏡筒の断面図である。 沈胴状態にあるレンズ鏡筒の断面図である。 繰り出し状態における直進枠、第3群レンズ保持枠及び遮光羽根を後方から見た図である。 沈胴状態における直進枠、第3群レンズ保持枠及び遮光羽根を後方から見た図である。 第3群レンズ保持枠を後方から見た図である。 図5のA矢視図である。 遮光羽根を後方から見た図である。 図6のB矢視図である。 第3群レンズ保持枠及び遮光羽根の動作を説明する図である。 第3群レンズ保持枠及び遮光羽根の動作を説明する図である。 回動軸の断面図である。
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
本実施形態のレンズ鏡筒1は、スチルカメラ及びビデオカメラ等の撮像装置に適用されるものであって、レンズ等からなる光学系部材を保持する複数の枠部材を具備して構成されている。また、レンズ鏡筒1は、非撮影時におけるレンズ鏡筒1の光学系部材の光軸に沿う方向についての長さを、撮影時における長さよりも短くすることができるように、光軸に沿う方向に伸縮可能に構成されている。このようなレンズ鏡筒1の形態は、一般に沈胴式のレンズ鏡筒と称される。
以下の説明においては、レンズ鏡筒1における撮影光学系部材の光軸を符号Oで表すものとする。この光軸Oに沿う方向において被写体側(物体側)を前方とし、レンズ鏡筒を構成する各枠部材が、前方に向かう際の方向を繰り出し方向というものとする。一方、光軸Oに沿う方向において結像側(像側)を後方とし、各枠部材が後方に向かう際の方向を繰り込み方向というものとする。当該レンズ鏡筒における各構成部材の回転方向は、前方側から見た回転方向で表わすものとする。
図1は、繰り出し状態(撮影時)のレンズ鏡筒1の断面図を示している。また、図2は、沈胴状態(非撮影時)のレンズ鏡筒1の断面図を示している。レンズ鏡筒1は、第1群レンズ21、第2群レンズ22、第3群レンズ23及び第4群レンズ24からなる光学系部材を保持するように構成されている。なお、レンズ鏡筒1に配設される光学系部材は、レンズに限られるものではなく、NDフィルタ等の光学フィルタ、及びプリズム等を含む形態であってもよい。
レンズ鏡筒1は、第1群レンズ21、第2群レンズ22、第3群レンズ23及び第4群レンズ24をそれぞれ保持し移動可能な枠部材である、第1群レンズ保持枠11、第2群レンズ保持枠12、第3群レンズ保持枠13及び第4群レンズ保持枠14を具備して構成されている。第1群レンズ保持枠11、第2群レンズ保持枠12、第3群レンズ保持枠13及び第4群レンズ保持枠14は、固定枠2に対して光軸O方向に相対的に移動可能である。また、レンズ鏡筒1は、図示しない電動モータの駆動力によって光軸O周りに回転しながら光軸O方向に進退移動する回転枠4及びカム枠5と、光軸O周りの回転を規制された状態で光軸O方向に進退移動する移動枠3と、を具備して構成されている。
固定枠2は、レンズ鏡筒1を撮像装置に固定するために、撮像装置に固定される部材である。固定枠2は、略筒形状の部材であって、光軸Oを中心軸とした円筒面である内周面にカム溝2aが彫設されている。カム溝2aは、光軸Oに対して斜行するような所定のカムプロファイルを有して設けられている。固定枠2の外周部には、図示しない電動モータが固定されている。また、本実施形態では一例として、固定枠2の後方には、保持板27を介して例えばCCD又はCMOSセンサと称される形態の撮像素子26が固定されている。撮像素子26は、光軸Oに対して受光面が直交するように固定されている。なお、撮像素子26は、撮像素子26を光軸Oに対して移動可能に保持するいわゆる像ブレ補正機構を介して固定枠2に固定される形態であってもよい。
回転枠4は、固定枠2の内側に収まる略円筒形状の枠部材である。回転枠4は、固定枠2の内周部において、光軸O周りに回転可能かつ、光軸Oに沿って進退可能に配設されている。回転枠4の外周部には、固定枠2のカム溝2aに摺動可能に係合するカムフォロアが設けられている。移動枠3は、回転枠4の内側に収まる略円筒形状の枠部材である。移動枠3は、回転枠4の内周部に、光軸O周りの回動が記載された状態で配設されている。移動枠3の内周面には、カム溝3aが彫設されている。カム溝3aは、所定のカムプロファイルを有して設けられている。
回転枠4は、電動モータの駆動力によって、固定枠2に対して相対的に光軸O周りに回転駆動される。回転枠4は、カムフォロアと固定枠2のカム溝2aとの係合によって、光軸O周りの回転に伴って光軸Oに沿って進退移動する。
カム枠5は、移動枠3の内側に収まる略円筒形状の枠部材である。カム枠5は、移動枠3の内周部において、光軸O周りに回転可能かつ、光軸Oに沿って進退可能に配設されている。カム枠5の外周部には、移動枠3のカム溝3aに摺動可能に係合するカムフォロアが設けられている。
カム枠5の内周面には、カム溝5a及び5bと、図示しないレンズ退避用カム溝が彫設されている。また、カム枠5の外周面には、カム溝5cが彫設されている。カム溝5a、5b及び5cとレンズ退避用カム溝は、それぞれ所定のカムプロファイルを有して設けられている。
カム枠5は、電動モータの駆動力によって、回転枠3と共に移動枠3に対して相対的に光軸O周りに回転駆動される。カム枠5は、カムフォロアと移動枠3のカム溝3aとの係合によって、光軸O周りの回転に伴って光軸Oに沿って進退移動する。
第1群レンズ保持枠11は、第1群レンズ21を光軸O上に保持する略円筒形状の枠部材である。第1群レンズ保持枠11は、移動枠3の内側に収まり、かつカム枠5の外側に所定の隙間を有して嵌合している。第1群レンズ保持枠11は、光軸O周りの回転を規制され、かつカム枠5に対して相対的に光軸Oに沿って進退移動可能に配設されている。
第1群レンズ保持枠11の内周面には、カム枠5のカム溝5cに摺動可能に係合するカムフォロアが設けられている。第1群レンズ保持枠11は、光軸O周りの回転を規制されていることから、カムフォロアとカム枠5のカム溝5cとの係合によって、カム枠5の回転に伴って光軸Oに沿って進退移動する。
第2群レンズ保持枠12は、第2群レンズ22を第1群レンズ21よりも後方において光軸O上に保持し、カム枠5内にカム枠5の前方から収まる形状を有する枠部材である。第2群レンズ保持枠12は、光軸O周りの回転を規制され、かつカム枠5に対して相対的に光軸Oに沿って進退移動可能に配設されている。
第2群レンズ保持枠12の外周部には、カム枠5のカム溝5aに摺動可能に係合するカムフォロアが設けられている。第2群レンズ保持枠12は、光軸O周りの回転を規制されていることから、カムフォロアとカム枠5のカム溝5aとの係合によって、カム枠5の回転に伴って光軸Oに沿って進退移動する。
退避レンズ枠である第3群レンズ保持枠13は、レンズ鏡筒1が繰り出し状態である場合に、第3群レンズ23を第2群レンズ23よりも後方において光軸O上に保持する枠部材である。詳しくは後述するが、図2に示すように、第3群レンズ保持枠13は、レンズ鏡筒1が沈胴状態である場合に、光軸O上から退避するように配設されている。このように、本実施形態のレンズ鏡筒1は、沈胴状態において第3群レンズ保持枠13を光軸O上から退避させることにより、沈胴状態時において、第2群レンズ保持枠12と第4群レンズ保持枠14との光軸O方向の距離を短縮することができ、沈胴状態におけるレンズ鏡筒1の長さを短縮することができる。第3群レンズ保持枠13は、詳しくは後述するが、直進枠7によって保持されている。
保持部材である直進枠7は、カム枠5内にカム枠5の後方から収まる形状を有する略円筒形状の枠部材である。直進枠7は、光軸O周りの回転を規制され、かつカム枠5に対して相対的に光軸Oに沿って進退移動可能に配設されている。
直進枠7の外周面には、カム枠5のカム溝5bに摺動可能に係合するカムフォロアが設けられている。第1群レンズ保持枠11は、光軸O周りの回転を規制されていることから、カムフォロアとカム枠5のカム溝5bとの係合によって、カム枠5の回転に伴って光軸Oに沿って進退移動する。直進枠7は、光軸O周りの回転を規制されていることから、カムフォロアとカム枠5のカム溝5cとの係合によって、カム枠5の回転に伴って光軸Oに沿って進退移動する。第3群レンズ保持枠13は、この直進枠7の進退移動に伴って、光軸Oに沿って進退移動する。
直進枠7は、第3群レンズ保持枠13の他に、第3群レンズ保持枠13の後方にシャッターユニット25及び後述する遮光羽根8を保持している。シャッターユニット25は、撮影光路を開閉するためのシャッター機能と、撮影光量の調整を行うための絞り機能を有して構成されている。
直進枠7内には、光軸Oと略平行な円柱形状の摺動軸7aが設けられている。一方、シャッターユニット25には、摺動軸7aに摺動可能に嵌合する貫通孔25bが設けられている。シャッターユニット25は、直進枠7に対して相対的に光軸Oに沿って移動可能に配設されている。
また、シャッターユニット25には、レンズ鏡筒1の沈胴状態において、光軸O方向から見た場合に、第3群レンズ保持枠13と重なる領域に貫通孔25aが設けられている。レンズ鏡筒1が繰り出し状態から沈胴状態へ移る場合には、シャッターユニット25は、第3群レンズ保持枠13に対して前方へ相対的に移動する。このとき、貫通孔25a内に、第3群レンズ保持枠13の後端部が挿通される。このように、レンズ鏡筒1の沈胴状態時に、第3群レンズ保持枠13の一部とシャッターユニット25の一部とを、光軸Oに直交する方向から見た場合に重なるようにすることによって、沈胴状態におけるレンズ鏡筒1の長さを短縮することができる。
第4群レンズ保持枠14は、第4群レンズ24をシャッターユニット25よりも後方において光軸O上に保持する枠部材である。第4群レンズ保持枠14は、光軸O周りの回転が規制された状態で光軸Oに沿って進退可能に配設されている。第4群レンズ枠14は、回転枠4を回転駆動する電動モータとは異なるアクチュエータによって、光軸Oに沿う方向に移動するように構成されている。第4群レンズ24は、いわゆるフォーカシングレンズであって、光学系部材の合焦距離を変化させる場合に、第4群レンズ保持枠14は光軸Oに沿って進退駆動される。
以下に、直進枠7、第3群レンズ保持枠13及び遮光羽根8の詳細な構成について説明する。図3は、レンズ鏡筒1が繰り出し状態である場合における直進枠7、第3群レンズ保持枠13及び遮光羽根8を後方から見た図である。図4は、レンズ鏡筒1が沈胴状態である場合における直進枠7、第3群レンズ保持枠13及び遮光羽根8を後方から見た図である。
図3に示すように、保持部材である直進枠7は、前方側に光軸Oに略直交する平面形状の平面部7bを有し、平面部7bの後方に光軸を中心軸とした略円筒形状の側面部7dを有する形状の部材である。平面部7bには、貫通孔である開口部7cが形成されている。開口部7cは、第2群レンズ保持枠13の後方側端部を内部に挿通することが可能な形状を有する。
本実施形態では、開口部7cは略円形の貫通孔である。本実施形態では、第2群レンズ22の最も後方のレンズの外径が、第3群レンズ23の最も外径の大きいレンズの外径よりも大きいため、光軸O方向から見た場合に、開口部7cは、第3群レンズ23よりも大きい直径を有する。
また、平面部7bには、回動軸10が立設されている。回動軸10は、光軸Oから所定の距離R1だけ離間し、光軸Oに略平行な軸部材であって、第3群レンズ保持枠13及び遮光羽根8の少なくとも一方を、回動可能に支持する部材である。
具体的に本実施形態では、回動軸10は、円柱形状の部材であって、図11に示すように、平面部7b、及び平面部7bと略平行であって側面部7dから径方向内側に延出する舌片部7h、によって前端部及び後端部が支持されている。
また、直進枠7の平面部7bには、後述する第3群レンズ保持枠13及び遮光羽根8に当接することによって、第3群レンズ保持枠13及び遮光羽根8の前記回動軸10周りの位置決めを行うための凸部であるストッパ7f及び7gが設けられている。
直進枠7の側面部7dには、貫通孔である退避用開口部7eが形成されている。退避用開口部7eは、図2に示すように、第3群レンズ保持枠13が光軸O上から退避した状態において、第3群レンズ保持枠13の一部を内部に収容可能に設けられている。言い換えれば、退避用開口部7eは、側面部7dの第3群レンズ保持枠13と干渉する位置に設けられた貫通孔である。このように、側面部7dに退避用開口部7eを設けることによって、沈胴状態において第3群レンズ保持枠13を光軸Oからより遠くに退避させることができ、第2群レンズ保持枠12と第4群レンズ保持枠14との光軸O方向の距離をより短縮することができる。
図5は、第3群レンズ保持枠13を後方から見た図である。図5に示すように、第3群レンズ保持枠13は、円筒形状部13dと、円筒形状部13dの外周部から延出する腕部13bと、腕部13bの先端部に固定された第3群レンズ23を保持するレンズ保持部13aと、レンズ保持部13aから延出する当接部13fと、を具備して構成されている。
円筒形状部13dは、摺動軸10の外周に摺動可能に嵌合する摺動孔13cが形成された略円筒形状の部位である。第3群レンズ保持枠13において、摺動孔13cの中心軸と、レンズ保持部13aに保持される第3群レンズ23のレンズ光軸とが略平行であり、かつこの中心軸とレンズ光軸との間の距離R2は、回動軸10の中心軸と光軸Oとの間の距離R1と略同一である。したがって、回動軸10と摺動孔13cとを嵌め合わせることによって、第3群レンズ保持枠13は、直進枠7に対して光軸Oと略平行な回動軸10周りに回動可能に支持される。
円筒形状部13dの軸方向の長さは、図11に示すように、直進枠7の平面部7b及び舌片部7hの間に、摺動可能に内挿される長さとされている。これにより、直進枠7に対する、第3群レンズ保持枠13の光軸O方向の位置決めがなされる。
また、円筒形状部13dの外周部には、円筒面部13gが設けられている。円筒面部13gは、後述する遮光羽根8が、この円筒面部13g周りに回動可能に外挿される部位である。円筒面部13gの中心軸は、摺動孔13cの中心軸と略一致する。本実施形態では図6に示すように、円筒面部13gは、円筒形状部13dの他の部位よりも外径が小さく、軸方向に所定の長さL1を有して形成されている。
また、円筒形状部13dの外周部からは、作動レバー13fが径方向外側に向かって立設されている。作動レバー13fは、図11に示すように、直進枠7の側面部7dに形成された貫通孔を介して、側面部7dの外周側に突出するように設けられている。作動レバー13fは、カム枠5の内周面に彫設されたレンズ退避用カム溝に摺動可能に係合する。直進枠7の外周に配設されたカム枠5が、直進枠7に対して光軸O周りに相対的に回動することによって、第3群レンズ保持枠13は、回動軸10周りに回動する。
当接部13hは、直進枠7の平面部7bに設けられた凸形状のストッパ7fに当接することによって、レンズ鏡筒1の繰り出し状態における第3群レンズ保持枠13の回動軸10周りの位置決めをするための部位である。図4に示すように第3群レンズ23が光軸O上から退避した状態から図3及び図9に示すように光軸O上に進出する方向へ第3群レンズ保持枠13を回動させた場合に、第3群レンズ23のレンズ光軸が光軸Oに略一致する場所において、当接部13hは、ストッパ7fに当接する。
本実施形態では、当接部13hは、レンズ保持部13aよりも回動軸10から離れた位置に設けられている。このように、当接部13hを回動軸10から径方向により離れた位置に設けることによって、レンズ鏡筒1の繰り出し状態における第3群レンズ23の位置決めに対する、各部材の寸法誤差の影響を小さくすることができる。
腕部13bには、係合部13eが設けられている。係合部13eは、後述する遮光羽根8に係合し、第3群レンズ保持枠13の回動に伴って遮光羽根8を連動させるための部位である。本実施形態では、係合部13eは、腕部13bの前方側の面から、前方に向かって突出する凸形状を有している。より具体的には、係合部13eは、直径D1の円柱形状を有している。そして係合部13eは、中心軸が摺動孔13cの中心軸と略平行となり、かつ中心軸が摺動孔13cの中心軸から距離R3だけ離れた位置に配設されている。
また、本実施形態では、第3群レンズ保持枠13は、弾性を有する付勢部材9によって、光軸O上に進出する方向に付勢されている。すなわち、付勢部材9は、第3群レンズ保持枠13の当接部13hがストッパ7fに当接する方向に、第3群レンズ保持枠13を付勢している。本実施形態では一例として、付勢部材9は、回動軸10周りに巻回されたねじりばねによって構成されている。
このように付勢部材9によって、第3群レンズ保持枠13を当接部13hがストッパ7fに当接する方向に付勢することによって、繰り出し状態における、第3群レンズ23の位置決めを、遊びのない状態で行うことができる。なお、付勢部材9の形態は、ねじりばねに限られるものではなく、板バネやコイルばねであってもよい。
図7は、遮光羽根8を後方から見た図である。図7に示すように、遮光羽根8は、円筒形状部8bと、円筒形状部8bの外周部から延出する遮光部8aと、当接部8dとを具備して構成されている。
円筒形状部8bは、第3群レンズ保持枠13の円筒面部13gの外周に所定の隙間を有して嵌合する摺動孔8cが形成された略円筒形状の部位である。摺動孔8cが第3群レンズ保持枠13の円筒面部13gに嵌合することによって、遮光羽根8は、円筒面部13gの中心軸周りに回動可能に支持される。言い換えれば、遮光羽根8は、直進枠7に対して光軸Oと略平行な回動軸10周りに回動可能に支持される。
円筒形状部8bの中心軸方向の厚さL2は、円筒面部13gの中心軸方向の長さL1よりも所定の値だけ小さい値とされている。前述したように、円筒面部13gは、円筒形状部13dの他の部位よりも外径が小さいことから、摺動孔8cを第3群レンズ保持枠13の円筒面部13gに嵌合させ、かつ第3群レンズ保持枠13の摺動孔13cを回動軸10に嵌合させた場合には、図11に示すように、円筒形状部8bは、平面部7bと、円筒形状部13dの円筒面部13gよりも外径の大きい部位とによって、光軸O方向に所定の隙間を有して挟持される。すなわち、この状態において、直進枠7に対する、遮光羽根8の光軸O方向の位置決めがなされる。
以上のように、本実施形態のレンズ鏡筒1では、遮光羽根8を、第3群レンズ保持枠13の円筒面部13gの外周に隙間を有した状態で嵌め合わせることによって、第3群レンズ保持枠13及び遮光羽根8は、直進枠7に対して回動軸10周りに回動可能に支持されている。このため本実施形態では、直進枠7に対する第3群レンズ保持枠13の位置決めの精度は、直進枠7に設けられた平面部7b、舌片部7h及びストッパ7gと、直進枠7に固定された回動軸10とによって影響されるのみとなる。
すなわち、本実施形態では、遮光羽根8の回動や、遮光羽根8の形状寸法のばらつきが、直進枠7に対する第3群レンズ保持枠13の位置決めの精度に影響を及ぼすことがない。このため本実施形態では、沈胴状態において光軸O上から退避する第3群レンズ23を、繰り出し状態において精度よく位置決めして保持することができる。
当接部8dは、直進枠7の平面部7bに設けられた凸形状のストッパ7gに当接することによって、レンズ鏡筒1の繰り出し状態における遮光羽根8の回動軸10周りの位置決めをするための部位である。図4に示すように遮光羽根8が直進枠7の開口部7cに重なる位置から退避した状態から、図3及び図9に示すように開口部7cに重なる位置へ遮光羽根8を進出するように回動させた場合に、当接部8dは、所定の位置でストッパ7gに当接する。
遮光部8aは、円筒形状部8bの外周部から径方向外側に向かって延出する略平板状の部位である。遮光部8aは、レンズ鏡筒1の繰り出し状態、すなわち遮蔽羽根8が進出した状態において、光軸O方向から見た場合に、開口部7cの第3群レンズ23の有効光路を妨げない領域の少なくとも一部を遮蔽する形状を有する。
具体的に本実施形態では、遮光部8aは、図9に示すように、レンズ鏡筒1の繰り出し状態において、光軸O方向から見た場合に、第3群レンズ保持枠13よりも第3群レンズ保持枠13が退避する方向に存在する開口部7cの領域を遮蔽する形状を有している。
遮光部8aには、係合部8eが設けられている。係合部8eは、第3群レンズ保持枠13の係合部13eと係合することによって、第3群レンズ保持枠13の回動に伴って遮光羽根8を連動させるための部位である。本実施形態では、係合部8eは、遮光部8aの後方側の面に彫設された凹形状の溝部である。
より具体的に、係合部8eは、摺動孔8cの中心軸を中心とした半径R4の略円弧形状の溝である。係合部8eの幅D2は、第3群レンズ保持枠13の係合部13eの直径D1よりも所定の値だけ大きい。また略円弧形状の係合部8eの半径R4は、係合部13eと摺動孔13cの中心軸との離間距離R3と略同一である。
そして、図9に示すように、レンズ鏡筒1が繰り出し状態である場合において、溝である係合部8eと、溝部内に突出する係合部13eとの間に、所定の隙間が生じるように、溝である係合部8eの一方の端部は形成されている。したがって、繰り出し状態における遮光羽根8の回動方向の位置決めは、開口部7c側に進出する方向については、当接部8dがストッパ7gに突き当たることによって行われ、開口部7cから退避する方向については、係合部8e及び係合部13eの係合関係によって行われる。すなわち、遮光羽根8は、繰り出し状態において、回動軸10周りの回動方向に若干の遊びを有した状態で位置決めされている。
このように、レンズ鏡筒1が繰り出し状態である場合において、第3群レンズ保持枠13の係合部13eと、遮光羽根8の係合部8eとの間に隙間が生じるようにすることによって、係合部13e及び係合部8eの係合が、第3群レンズ保持枠13の位置決め精度に影響を及ぼすことを防止している。
なお、以上のような構成を有する遮光羽根8は、例えば黒色の合成樹脂を材料とした一体成形により作成される。また、遮光部8aの表面には、光の反射率を抑えるために、凹凸形状が一面に形成されることが好ましい。
以上のような構成を有する本実施形態のレンズ鏡筒1では、繰り出し状態において、直進枠7の開口部7cのうちの第3群レンズ保持枠13と重ならない領域の一部を、遮光羽根8の遮光部8aによって遮蔽することができる。具体的には、本実施形態のレンズ鏡筒1では、繰り出し状態において、光軸O方向から見た場合に、第3群レンズ保持枠13よりも第3群レンズ保持枠13が退避する方向に存在する開口部7cの領域が、遮光部8aによって遮蔽される。
レンズ鏡筒1において、光軸O方向から見た場合に第3群レンズ保持枠13が退避する方向には、直進枠7の退避用開口部7eや、シャッターユニット25の貫通孔25aが設けられている。この退避用開口部7e及び貫通孔25aは、沈胴状態において第3群レンズ保持枠13を収容する空間を形成するために設けられたものである。
退避用開口部7e及び貫通孔25aは、図1に矢印A1及びA2で示すように、繰り出し状態において光学系部材による像の結像には不要な光線を通過させてしまう可能性があるが、本実施形態では、この退避用開口部7e及び貫通孔25aよりも前方に遮光羽根8が位置し、遮光羽根8が、開口部7cの退避用開口部7e及び貫通孔25aが位置する方向の領域を遮蔽しているため、退避用開口部7e及び貫通孔25aを通過する不要な光線が生じることがない。
したがって、本実施形態のレンズ鏡筒1は、沈胴状態において第3群レンズ23を光軸O上から退避させることによって、沈胴状態のレンズ鏡筒1の全長を短縮することができ、かつ繰り出し状態において第3群レンズ23を退避させるために形成した退避用開口部7e及び貫通孔25aを通過する不要な光線の発生を防止することができ、高い画質の結像を得ることができる。
遮光羽根8は、レンズ鏡筒1は繰り出し状態である場合において、第3群レンズ保持枠13の位置決めに干渉することがない。このため、本実施形態のレンズ鏡筒1は、第3群レンズ23の位置決めを精度よく行うことができる。以上に説明したように、本実施形態のレンズ鏡筒1は、不要な光線の通過を防止、及びレンズの位置決め精度の向上を実現することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うレンズ鏡筒もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明に係るレンズ鏡筒は、実施形態で説明した撮像装置に限らず、撮影機能を備えた電子機器のレンズ鏡筒にも適用可能であるし、フィルムカメラのレンズ鏡筒にも適用可能である。
1 レンズ鏡筒、
2 固定枠、
3 移動枠、
4 回転枠、
5 カム枠、
7 直進枠(保持部材)、
7a 摺動軸、
7b 平面部、
7c 開口部、
7d 側面部、
7e 退避用開口部、
7f ストッパ、
7g ストッパ、
7h 舌片部、
8 遮光羽根、
8a 遮光部、
8b 円筒形状部、
8c 摺動孔、
8d 当接部、
9 付勢部材、
10 回動軸、
11 第1群レンズ保持枠、
12 第2群レンズ保持枠、
13 第3群レンズ保持枠(退避レンズ枠)、
13a レンズ保持部、
13b 腕部、
13c 摺動孔、
13d 円筒形状部、
13e 係合部、
13f 作動レバー、
13g 円筒面部、
13h 当接部、
14 第4群レンズ保持枠、
21 第1群レンズ、
22 第2群レンズ、
23 第3群レンズ、
24 第4群レンズ、
25 シャッターユニット、
25a 貫通孔、
25b 貫通孔、
26 撮像素子、
27 保持板。

Claims (2)

  1. 複数のレンズを保持し、全ての前記レンズを光軸上に配置する繰り出し状態と、前記レンズのうちの一部のレンズからなる退避レンズを前記光軸上から退避させ前記繰り出し状態よりも前記光軸方向の長さを短縮した沈胴状態と、に変化可能に構成されたレンズ鏡筒であって
    前記光軸が通過する開口部を有する保持部材と、
    前記退避レンズを保持し、前記保持部材に固定された前記光軸と平行な回動軸周りに回動可能であって、前記光軸に沿う方向から見た場合に、前記繰り出し状態においては前記開口部に重なる領域内に位置し、前記沈胴状態においては前記開口部から退避するように、前記保持部材に対して相対的に移動可能に支持された退避レンズ枠と、
    前記保持部材と前記退避レンズ枠との間に配設され、前記回動軸周りに回動可能であって、前記光軸に沿う方向から見た場合に、前記繰り出し状態においては前記開口部のうちの前記退避レンズ枠が退避する方向に位置する領域を遮蔽し、前記沈胴状態においては前記開口部から退避して前記退避レンズ枠と重なる位置に移動するように、前記保持部材に対して相対的に移動可能に支持された遮光羽根と、を具備し、
    前記退避レンズ枠及び前記遮光羽根は、互いに係合する係合部を具備し、前記遮光羽根は、前記係合部を介して前記退避レンズ枠の移動に連動して、前記回動軸周りに回動するレンズ鏡筒において、
    前記回動軸は、前記保持部材に設けられた互いに平行かつ前記光軸に直交する一対の平面部の間に設けられた円柱状の部材であって、
    前記退避レンズ枠は、前記回動軸の外周に摺動可能に嵌合し外周形状が前記回動軸を中心軸とした円筒形状部、及び前記円筒形状部の前記光軸に沿う方向の一端に設けられた前記円筒形状部よりも外径の小さい円筒面部を具備し、前記円筒形状部の前記回動軸に沿う方向の移動は、前記一対の平面部の間に前記円筒形状部が配設されることによって規制されており、
    前記遮光羽根は、前記円筒面部の外周に摺動可能に嵌合する摺動孔を具備し、当該摺動孔が形成された箇所の前記光軸に沿う方向の厚さが、前記円筒面部の前記光軸に沿う方向の厚さよりも薄い
    ことを特徴とするレンズ鏡筒。
  2. 前記保持部材を前記光軸上に進出させる方向に付勢する付勢部材を具備し、
    前記繰り出し状態における前記退避レンズ枠の前記回動軸周りの位置決めは、前記退避レンズ枠が前記付勢部材の付勢力によって前記保持部材に突き当てられることによってなされ、
    前記係合部は、前記繰り出し状態において、前記羽根部材が前記回動軸周りに所定の範囲で回動可能なように、前記羽根部材との間に隙間を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
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