JP5542814B2 - 5−イソプロピル−3−アミノメチル−2−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン(カルボンジアミン)及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、5−イソプロピル−3−アミノメチル−2−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン(カルボンジアミン)、並びにa)カルボンをシアン化水素と反応させ、b)引き続き、段階a)において得られたカルボンニトリルをアンモニアと、イミン形成触媒(Iminbildungskatalysator)の存在で反応させ、かつc)その後、段階b)において得られたカルボンニトリルイミン含有反応混合物を水素及びアンモニアと、水素化触媒上で反応させることによる、その製造方法に関する。
本発明はさらに、カルボンジアミンの使用に関する。
脂環式ジアミンは、エポキシ樹脂の場合の硬化剤として、ジイソシアナートを製造する際の中間生成物として − これらはポリウレタンを製造する際に重要な役割を果たす − 、ポリエーテルオールを製造する際の開始剤として並びにポリアミド製造用のモノマーとして使用される。
使用される前記ジアミンの構造は、前記ジアミンから製造されたポリマー材料の性質、例えば耐候性、耐加水分解性、耐薬品性、耐光性、電気的性質並びに機械的性質に影響を及ぼしうる。この構造は、しかしまた、前記ジアミンの加工性に及び相応するポリマー材料への加工 − 例えばエポキシ樹脂の硬化 − にも影響を及ぼしうる。
工業的に使用される脂環式ジアミンは、例えばイソホロンジアミン(IPDA)、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)及び1,2−ジアミノシクロヘキサン(DACH)である。PACM及びDACHは、相応する芳香族化合物、例えば4,4′−ジアミノジフェニルメタンもしくはo−フェニレンジアミンの水素化により、合成されることができる。DACHはさらに、ヘキサメチレンジアミン生産における副生物として生じる。
DACH及びPACMの場合に、双方のアミノ基は、脂肪族環上で直接置換されており、それゆえ同じ反応性もしくは少なくとも類似した反応性を有する。
特定の用途及び性質にとっては、前記ジアミンの双方のアミノ基が異なる反応性を有する場合が有利でありうる、それというのも、これにより加工挙動及び硬化挙動が影響を受けるからである。例えば、IPDAの場合に、一方のアミノ基が、脂肪族環上に直接位置しているのに対し、他方のアミノ基が、メチレン橋を介して脂肪族環と結合されている。IPDAは通例、シアン化水素をイソホロンに付加させてイソホロンニトリルにし、かつ引き続きアンモニアの存在で水素化してIPDAにすることによって製造される。
欧州特許出願公開(EP-A1)第0394058号明細書には、異なる反応性のアミノ基を有する脂環式ジアミンが同様に開示されている。アルキルフェニルケトンのニトロ化により、ニトロフェニルアルキルケトンが得られ、これらは、水素及びアンモニアの存在で(アミノフェニル)アルキルアミンに転化される。これらは、引き続き、相応する(アミノシクロヘキシル)アルキルアミンに還元される。最後の水素化段階における収率は、ほぼ80〜90%である。
欧州特許出願公開(EP-A1)第0895984号明細書には、アルキル置換された3−ホルミルシクロアルカノンの還元的アミノ化による、異なる反応性のアミノ基を有する脂環式ジアミンの製造が記載されている。アルキル置換された3−ホルミルシクロアルカノンはそしてまた、アルキル置換されたシクロアルケノン及びホルムアルデヒドの反応により得ることができる。使用される前記シクロアルケノンから出発して、アルキル置換された脂環式ジアミンの収率は、50〜60%の範囲内である。
IPDAは通常、アセトンから製造されるのに対し、前記のアルキル置換されたシクロアルキルジアミンは通例、シクロヘキセンをベースとしている。アセトン並びにシクロヘキセンは一般的に、石油化学原料であるナフサから得られる。
本発明の課題は、再生可能資源(nachwachsenden Rohstoffen)をベースとしても製造されることができる脂環式ジアミンを提供することであった。再生可能資源を用いることは、枯渇しうる資源の保護に貢献することができ、かつ持続可能な経済活動を可能にする。
本発明のさらなる課題は、IPDAに類似して、脂肪族環に直接結合されているアミノ基を有するだけなく、メチレン基を介して脂肪族環と結合されているアミノ基を有する脂環式ジアミンを合成することにあった。それゆえ、IPDAと類似した反応性を有し、かつ多くの場合にIPDAの代用品として使用されることができる、再生可能資源をベースとするジアミンが得られるべきである。
さらなる課題は、新規ジアミンを、ジアミンが使用される用途の特性プロファイルを制御及びコントロールするために提供することにあった。多くの用途において、例えばエポキシ樹脂の場合の硬化剤としての、ポリウレタンを製造する際の中間生成物としての、ポリエーテルオールを製造する際の開始剤としての並びにポリアミド製造用のモノマーとしての前記ジアミンの使用において、いろいろな要求及び多様な使用分野に基づいて、耐候性、耐加水分解性、耐薬品性、耐光性、電気的性質並びに機械的性質のような性質を意図的に調節でき、かつ影響を及ぼすことができるように、異なる基本構成要素の変化が必要とされる。
そのうえ、反応混合物から分離するのが困難である副生物がごくわずかにのみ形成される、例えば還元的アミノ化の際に異なる分子の2つのニトリル基又はケト基のカップリングにより生じうる二量体の形成のない、カルボンジアミンの製造方法が提供されるべきである。特に、反応生成物の高いニトリル転化率もしくは飽和度が達成されるべきである、それというのも、ニトリルアミン又はアミノイミンが、ポリマー材料の性質を悪化させ、かつC−C二重結合が、色堅ろう度を損ねうるからである。そのうえ、部分飽和化合物は通例、飽和反応生成物から分離するのが困難でしかない。
さらに、高いプロセス経済性が高い収率及び選択率の達成により達成されるべきである。
それに応じて、式(I)
Figure 0005542814
で示される化合物5−イソプロピル−3−アミノメチル−2−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン(カルボンジアミン)が見出された。
本発明のさらなる対象は、式(I)のカルボンジアミンを、
a)式(II)
Figure 0005542814
で示されるカルボンをシアン化水素と、塩基性触媒の存在で、式(III)
Figure 0005542814
で示されるカルボンニトリルに転化させ、
b)段階a)において得られたカルボンニトリルをアンモニアと、イミン形成触媒の存在で式(IV)
Figure 0005542814
で示されるカルボンニトリルイミンに転化させ、かつ
c)段階b)において得られたカルボンニトリルイミン含有反応混合物を水素及びアンモニアと、水素化触媒上で反応させる
ことによって製造する方法である。
本発明によるカルボンジアミンの製造方法において、カルボンは、出発物質として使用される。カルボンの製造もしくは取得は、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Verlag Chemie, Electronic Edition Release 2008, 7th Edition, 章"Flavor and Fragrances"に記載されている。そして、カルボンは、例えば、カラウェー油又ははっか油の分別蒸留により取得されることができ、又はリモネンの酸化により得ることができる。リモネンはそしてまた、天然物抽出により得ることができる。そして、リモネンは、例えば、オレンジジュース製造の際に又はα−及びβ−ピネンの酸触媒された異性化の際に副生物として大量に生じる。
カルボンは、純粋な鏡像体(R−(−)−カルボン又はS−(+)−カルボン)の形で、ラセミ混合物として、又は鏡像体豊富化した混合物として、本方法へ装入されることができる。
R−(−)−カルボンは、通例、柑橘類の果皮由来のリモネンから、NOClでの酸化及びHClの脱離により製造される(R.H. Reitsema, Journal of Organic Chemistry, 1958, 2039)。R−(−)−カルボンは、ミドリハッカ(スペアミント)からも得ることができる。鏡像体S−(+)−カルボンは、カラウェー油及びジラ油(Dilloel)中に存在する。ラセミカルボン、例えばR−(−)−カルボンは、ピネンの酸触媒された異性化からか又はイソプレンのディールス−アルダー反応から取得されることができるラセミリモネンから、製造されることができる。別の方法は、Cu(II)及び空気酸素の存在でのPd(II)塩でのアリル酸化(国際公開(WO-A)第99/12880号)又はリモネンの触媒作用によらない空気酸化である。通常、カルボンは、90%よりも多い、好ましくは95%よりも多い及び特に好ましくは98%よりも多い純度で使用される。
さらなる装入物として、シアン化水素(HCN)が本発明による方法へ装入される。HCNの製造のためには、次の方法が本質的に重要である:メタンのアンモ酸化(Andrussow法)の場合に、アンモニア及びメタンの混合物が、約1200℃で触媒としての白金網上で酸化され;メタンのアンモン脱水素(Degussa−BMA法)の場合に、アンモニア及びメタンが、触媒の助けをかりてシアン化水素酸及び水素に転化され、かつホルムアミド開裂(BASF法)の場合に、ホルムアミドが蒸発され、かつ強熱され、その際にホルムアミドがシアン化水素酸及び水へと開裂される。
カルボンのヒドロシアン化は、例えばChemistry & Industry (London, UK), 1967, (2), 1175に記載されている。
本発明によるカルボンジアミンの製造方法において、第一段階a)において、カルボン(5−イソプロペニル−2−メチル−シクロヘキサ−2−エノン)はシアン化水素(HCN)と、塩基性触媒の存在で反応される。
カルボンとシアン化水素との反応は、塩基性触媒の存在で行われる。塩基性触媒として、反応条件下でシアン化水素の存在でシアン化物イオンを形成するか又は含有する全ての物質が適している。それらには、例えばアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、シアン化物及びアルコラート並びに第四級アンモニウム化合物が含まれる。好ましくは、アルカリ金属シアン化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物及びC1〜C4−アルカリ金属アルコラート、例えばナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、カリウム−t−ブチラート、リチウムメチラートであり、特に好ましくは、ナトリウムメチラートが使用される。極めて特に好ましくは、NaCNが使用され、これは、例えば単離せずに、NaOH及びHCNとの接触により製造されることができる。
触媒濃度は、反応混合物を基準として0.01〜3質量%である。好ましくは、触媒濃度は、反応温度及び反応混合物の組成に依存する塩基性触媒の溶解度を超えないように選択され、これは好ましくは、反応混合物を基準として0.01〜0.3質量%の濃度である。
カルボンとシアン化水素との反応は、80〜220℃、好ましくは100〜180℃、特に好ましくは120〜170℃の反応温度で、実施されることができる。
反応圧(絶対で測定)は、通例0.05〜2MPa、好ましくは0.09〜1MPa、特に好ましくは大気圧(常圧)ないし3barである。圧力は、例えば不活性ガス(窒素)の押込み(Aufpressen)により、発生されることができる。
本発明によるカルボンとシアン化水素との反応の際に、通例、カルボンは、シアン化水素を基準としてモル過剰量で使用される。双方の装入物であるカルボン及びシアン化水素(HCN)のモル比カルボン:HCNは、通常2:1〜10:1、好ましくは2:1〜5:1、特に好ましくは2:1〜3:1である。
前記反応は、不活性溶剤の存在又は不在で行われることができる。
前記反応用の不活性溶剤として、水及びC1〜C20−アルカノール、好ましくはC1〜C8−アルカノール、特に好ましくはC1〜C4−アルカノール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール及びt−ブタノール、炭素原子5〜30個を有する、好ましくは炭素原子5〜20個を有する、特に好ましくは炭素原子5〜10個を有する、脂肪族炭化水素、例えばn−ペンタン、ペンタン異性体混合物、n−ヘキサン、ヘキサン異性体混合物、n−ヘプタン、ヘプタン異性体混合物、n−オクタン、オクタン異性体混合物、炭素原子5〜20個を有する、好ましくは炭素原子5〜12個を有する、特に好ましくは炭素原子5〜8個を有する、脂環式炭化水素、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン及びシクロオクタン、アミド、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、尿素、例えばN,N′−ジメチルエチレン尿素、N,N′−ジメチルプロピレン尿素、N,N,N′,N′−テトラ−n−ブチル尿素、又は炭酸エステル、例えばエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートが適している。
特に好ましくは、カルボンを、HCNを基準としてモル過剰量で使用し、かつ外部溶剤を添加しない。
本発明によるカルボンとシアン化水素との反応は、不連続に、半連続的に又は好ましくは連続的に、実施されることができる。
反応容器もしくは反応器として、例えば撹拌反応器、管型反応器、撹拌槽カスケード、ループ型反応器又は混合回路(Mischkreise)が適している。
例えば、連続的な方法実施は、塩基性触媒が、場合により不活性溶剤中又はカルボン中に溶解されて、連続的に装置中へ供給され、前記装置中でカルボンがシアン化水素と、常圧下又は高められた圧力(0.09〜1MPa、絶対で測定)下に連続的に反応されるようにして、行われることができる。
通常、前記反応は、多段階の撹拌槽カスケード中で実施される。
しかしながら、前記反応を2つの別個の反応帯域中で実施することも可能であり、その際に、第一反応帯域は本質的に完全な逆混合を有し、かつ第二反応帯域は本質的に逆混合を有しない。
本質的に完全な逆混合を有する第一反応帯域用の反応器として、例えば撹拌槽、混合回路又はループ型反応器が、使用されることができる。放出される反応熱は、適した熱交換器を介して導出される。
本質的に逆混合を有しない第二反応帯域用の反応器として、逆混合を完全に又は部分的に防止する充填物又は固定配置された内部構造物を備えた円筒形の反応器が適している。しかしながら、前記合成を実験室規模で実施する際に、乱流領域内で操作される管型反応器も使用されることができる。
完全HCN転化に必要な滞留時間は、反応温度及び触媒濃度に依存している。この時間は、撹拌反応器については、通例1〜4時間、逆混合せずに操作される後反応器については、通例0.2〜1.5時間である。
不連続もしくは半連続的な方法手順は、
a)カルボンが塩基性触媒と共に装入され、かつシアン化水素が不活性溶剤中又はカルボン中に添加されるか、又は
b)カルボンがシアン化水素と共に装入され、かつ塩基性触媒が不活性溶剤又はカルボン中に添加されるか、又は
c)カルボンが装入され、かつシアン化水素及び塩基性触媒が不活性溶剤又はカルボン中に添加される
ようにして行われることができる。
変法a)がこの場合に好ましい。
カルボンとシアン化水素との反応により得られた反応混合物は、式(III)のカルボンニトリル(5−イソプロペニル−3−シアノ−2−メチル−シクロヘキサノン)を含有する。
得られた反応混合物は、溶解された触媒を除去するために、水で抽出されることができる。
しかしながら、塩基性触媒は、等量又は過剰量の有機酸又は無機酸の添加によっても中和されることができる。
反応排出物(Reaktionsaustrages)の中和のためには、酸、例えば無機酸、例えばリン酸及び硫酸、又は有機酸、例えばスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、2−エチル−ヘキサン酸及びアジピン酸が、使用されることができる。
反応混合物は、引き続き、場合により水での抽出又は中和が行われた後に、分別蒸留により精製されることができる。
式(III)のカルボンニトリル(5−イソプロペニル−3−シアノ−2−メチル−シクロヘキサノン)が得られる。
未反応カルボンは、反応プロセスへ返送されることができる。
段階b)において、段階a)から得られたカルボンニトリルは過剰のアンモニアと、イミン形成触媒の存在で反応される(イミノ化(Iminierung))。
イミン形成触媒として、例えば固体ブレーンステッド酸又は固体ルイス酸が考慮に値し、これらは例えば欧州特許出願公開(EP-A1)第449089号明細書(2頁、2欄、11-20行)に及びTanabeらの論文(K. Tanabe, Studies in Surface Science and Catalysis, Vol. 51, 1989,. 1頁以降)に記載されている。例示的に、ここでは、酸性金属酸化物触媒、例えば酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム及び二酸化ケイ素が挙げられる。さらに、アンモニウムイオンが負荷された無機又は有機のイオン交換体、例えばゼオライトあるいはスチレン及びジビニルベンゼンのスルホン化コポリマー(例えばLanxess社の商標Lewatit(登録商標)、Rohm & Haas社のAmberlite(登録商標))又はシロキサンをベースとするイオン交換体(例えばDegussa社の商標Deloxan(登録商標))が考慮に値する。
使用されるカルボンニトリル1モルにつき、通常、アンモニア(NH3)5〜500モル、好ましくはNH3 10〜400モル、特に好ましくはNH3 20〜300モルが使用される。
カルボンニトリルのイミノ化は、溶剤の存在で、例えばアルカノール又はエーテル、例えばエタノール、ブタノール又はテトラヒドロフラン(THF)中で、行われることができる。好ましくは、カルボンニトリルのイミノ化は、溶剤を添加せずに、実施される。
イミノ化は、不連続に又は好ましくは連続的に、実施されることができる。
不連続イミノ化は、例えば撹拌オートクレーブ、気泡塔又は循環反応器中で、例えばジェットループ型反応器中で、実施されることができる。
不連続イミノ化の場合に、通常、カルボンニトリル及び触媒の懸濁液は、反応器中に装入される。高い転化率及び高い選択率を保証するために、カルボンニトリル及び触媒の懸濁液はアンモニアと、通常十分に、例えばオートクレーブ中のタービン撹拌機により、混合される。懸濁された触媒材料は、一般に使われている技術を用いて導入され、かつ再び分離されることができる(沈降、遠心分離、ケークろ過、十字流ろ過)。前記触媒は、一度又は何度も使用されることができる。
触媒濃度は、カルボンニトリル及び触媒からなる懸濁液の全質量をそれぞれ基準として、有利に0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜40質量%、特に好ましくは1〜30質量%、殊に5〜20質量%である。
平均触媒粒度は、有利に0.001〜1mm、好ましくは0.005〜0.5mmの範囲内、特に0.01〜0.25mmの範囲内である。
イミノ化は、好ましくは連続的に、通常、圧力容器又は圧力容器カスケード中で、実施される。好ましくは、カルボンニトリル及びNH3は、イミン形成触媒が固定床の形で配置されている管型反応器に導通される。
通例、連続的イミノ化の際に、触媒1kg及び1時間あたり、カルボンニトリル0.01〜10、好ましくは0.05〜7、特に好ましくは0.1〜5kgの触媒負荷に調節する。
イミノ化は、好ましくは20〜150℃、より好ましくは30〜130℃の温度範囲内で及び特に好ましくは50〜100℃で実施される。
イミノ化の際の圧力は、通例50〜300bar、好ましくは100〜250barである。
イミノ化からの反応混合物は通常、カルボンニトリルイミン及びアンモニア及び未反応カルボンニトリルを含有する。カルボンニトリルイミンへのカルボンニトリルの転化率は通常80%より多く、好ましくは90%より多く、及び特に好ましくは95%より多い。
段階b)からの反応混合物は、段階c)において、水素及びアンモニアと、水素化触媒上で反応される(還元的アミノ化)。
カルボンニトリルイミンを含有する反応混合物の反応は、好ましくは液体アンモニア中で、行われる。カルボンニトリルイミン1モルにつき、通常、NH3 5〜500モル、好ましくはNH3 10〜400モル及び特に好ましくはNH3 20〜300モルを使用する。好都合には、上流のイミノ化の際に、カルボンニトリルとNH3とのモル比を、前記モル比が還元的アミノ化の際にも適した範囲内であるように調節する。NH3割合はしかしながら、還元的アミノ化の前に、追加のNH3の添加により、所望の値に高められることができる。
カルボンニトリルイミン含有反応混合物の反応のためのさらなる出発物質として、水素が使用される。水素とカルボンニトリルイミンとのモル比は、通例3〜10 000対1、好ましくは4〜5000対1及び特に好ましくは対5〜1000対1である。
水素は、カルボンニトリルイミン含有反応混合物に、好ましくはイミノ化の後及び還元的アミノ化の前に、供給される。しかしながら、水素がイミノ化の前に既に供給されることも考えられる、それというのも、イミノ化は通常、水素化を触媒しない触媒上で行われるからである。それゆえ、イミノ化の前に供給される水素も、カルボンニトリルイミン含有反応混合物の反応のための出発物質として、還元的アミノ化中に利用されることができる。
水素化触媒として、ニッケル、コバルト、鉄、銅、ルテニウム、パラジウム、白金、ロジウム及び/又は周期表の第VIII亜族の他の金属を含有する、原則的に全ての水素化触媒が使用されることができる。水素化触媒として、さらに元素クロム、マンガン、モリブデン、タングステン及び/又はレニウムを含有する触媒が適している。
好ましくは、ルテニウム、コバルト及び/又はニッケルを含有する水素化触媒を使用する。ルテニウム及び/又はコバルトを含有する触媒が特に好ましい。
前記の水素化触媒は、通常、助触媒で、例えばクロム、鉄、コバルト、マンガン、タリウム、モリブデン、チタン及び/又はリンでドープされることができる。
触媒活性金属は、非担持触媒(Vollkontakte)として又は担体上で、使用されることができる。そのような担体として、例えば酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム又は酸化マグネシウム/酸化アルミニウムが考慮に値する。前記担体は、イミン基の水素化の間にイミンと平衡状態で存在しているケトンを反応させることを可能にするために、イミノ化活性であってもよい。
本発明による方法へ装入可能な水素化触媒は、通例、水素でのいわゆる触媒前駆物質の還元により得られる。
触媒前駆物質は、通常、前記の金属の含酸素化合物を含有する。
触媒前駆物質は、知られた方法に従って、例えば沈殿(Faellung)、担体上への沈殿(Auffaellung)又は含浸によって、製造されることができる。
そのような触媒前駆物質は、例えば次のものである:
欧州特許出願公開(EP-A)第0636409号明細書に開示された触媒、前記触媒の触媒活性材料は、水素での還元前に、CoOとして計算して、Co 55〜98質量%、H3PO4として計算して、リン0.2〜15質量%、MnO2として計算して、マンガン0.2〜15質量%、及びM2O(M=アルカリ金属)として計算して、アルカリ金属0.2〜15質量%を含有する、又は
欧州特許出願公開(EP-A)第0742045号明細書に開示された触媒、前記触媒の触媒活性材料は、水素での還元前に、CoOとして計算して、Co 55〜98質量%、H3PO4として計算して、リン0.2〜15質量%、MnO2として計算して、マンガン0.2〜15質量%、及びM2O(M=アルカリ金属)として計算して、アルカリ金属0.05〜5質量%を含有する、又は
欧州特許出願公開(EP-A)第696572号明細書に開示された触媒、前記触媒の触媒活性材料は、水素での還元前に、ZrO2 20〜85質量%、CuOとして計算して、銅の含酸素化合物1〜30質量%、NiOとして計算して、ニッケルの含酸素化合物30〜70質量%、MoO3として計算して、モリブデンの含酸素化合物0.1〜5質量%、及びAl23もしくはMnO2として計算して、アルミニウム及び/又はマンガンの含酸素化合物0〜10質量%を含有する、例えば上記引用文献の第8頁に開示された、組成ZrO2 31.5質量%、NiO 50質量%、CuO 17質量%及びMoO3 1.5質量%を有する触媒。
触媒活性金属は、スポンジ触媒、いわゆるラネー触媒の形でも、使用されることができる。ラネー触媒として、好ましくはラネーコバルト触媒、ラネーニッケル触媒及び/又はラネー銅触媒が使用される。特に好ましくは、ラネーコバルト触媒が使用される。
水素化触媒として、有利に選択的水素化触媒も使用されることができ、その際に選択的水素化触媒は、カルボンニトリルイミンのニトリル基に対してイミン基を好ましくは水素化するような触媒であると理解されるべきである。
選択的水素化触媒は、例えば、ルテニウム、パラジウム及び/又はロジウムを含有する水素化触媒である。好ましい選択的水素化触媒は、ルテニウム及び/又はロジウムを含有し、かつ特に好ましい選択的水素化触媒は、ルテニウムを含有する。
還元的アミノ化は、好ましくは塩基性化合物及び/又は塩基性の水素化触媒の存在で実施される。
その際に、塩基性化合物という概念は、出発物質であるアンモニアを包含するのではなく、後で挙げる化合物の1つ又はそれ以上又は後で挙げる化合物と同様にして作用するような化合物を含むと理解される。
適した塩基性化合物として、塩基性金属化合物、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類金属の酸化物、水酸化物又は炭酸塩が考慮に値する。
好ましいのは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の金属化合物、例えば相応する酸化物、水酸化物及び炭酸塩、例えばLi2O、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2O、LiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOH、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3、Rb2CO3、MgO、CaO、SrO、BaO、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2、MgCO3、CaCO3、SrCO3又はBaCO3である。LiOH、NaOH又はKOHが特に好ましい。
同様に適した、好ましい塩基性化合物は、アミン又は水酸化アンモニウムである。
特に好ましくは、水又は適した他の溶剤、例えばアルカノール、例えばC1〜C4−アルカノール、例えばメタノール又はエタノール、又はエーテル、例えば環状エーテル、例えばTHF又はジオキサン中の塩基性化合物の溶液が、反応混合物に添加される。特に好ましくは、水中のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の溶液、特に好ましくは水中のLiOH、NaOH又はKOHの溶液が、添加される。
好ましくは、水又は適した他の溶剤中の塩基性化合物の濃度は、0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%及び特に好ましくは0.2〜5質量%である。
添加される塩基性化合物の溶液の量は通常、添加される塩基性化合物の質量対反応混合物中のカルボンニトリルイミンの質量の比が、100〜10 000対1 000 000、好ましくは150〜5000対1 000 000及び特に好ましくは200〜1000対1 000 000であるように選択される。
還元的アミノ化は、塩基性の水素化触媒の存在でも行われることができる。そのような塩基性の水素化触媒は、前記の水素化触媒であり、これらは塩基性成分、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属の酸化物又は水酸化物でドープされたもの及び/又は塩基性担体上に施与されたものである。
水素化触媒に適した塩基性担体は、例えばβ−酸化アルミニウムであるか、又は酸化マグネシウム/酸化アルミニウム混合物であり、その際に酸化マグネシウムの割合は好ましくは5〜40質量%である。その場合に、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムを含有する担体は、無定形であってよく、又はスピネルとして存在することができる。塩基性担体上の触媒は、工業的にそれ自体として知られた方法で得られる。そして、例えば塩基性担体上のルテニウムは、ルテニウム塩水溶液、例えば塩化ルテニウム及び硝酸ルテニウムを、相応する塩基性担体上へ施与することにより取得される。
塩基性担体上の前記金属、特にルテニウムの濃度は、通例0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%及び特に好ましくは1〜4質量%である。
塩基性触媒はまた、前記の塩基性成分、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属の酸化物又は水酸化物でドープされるような水素化触媒であると理解される。好ましくは、塩基性触媒は、少なくとも1つの塩基性成分、例えばLi2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO又はBaOを含有する。
塩基性の水素化触媒中の塩基性成分、すなわち塩基性ドーパントの割合は、塩基性の水素化触媒の全質量を基準として、通例0.5質量%より多く、及び特に好ましくは0.7質量%より多く、及び特に好ましくは1質量%より多い。
前記のように塩基性担体上に施与されなかった及び/又は触媒の全質量を基準として0.5質量%又はそれ未満の塩基性成分、すなわち塩基性ドーパントを含有する、はじめに記載された水素化触媒は、以下に非塩基性の水素化触媒と呼ばれる。
還元的アミノ化は、通常、50〜160℃の温度及び50〜300barの圧力で行われる。
還元的アミノ化は、不連続に又は好ましくは連続的に、実施されることができる。
不連続な還元的アミノ化は、例えば撹拌オートクレーブ、気泡塔又は循環反応器中で、例えばジェットループ型反応器中で、実施されることができる。
不連続な還元的アミノ化の場合に、通常、カルボンニトリルイミン及び触媒の懸濁液は、反応器中に装入される。高い転化率及び高い選択率を保証するために、カルボンニトリルイミン及び触媒の懸濁液は、水素及びアミノ化剤と、通常十分に、例えばオートクレーブ中のタービン撹拌機により、混合される。懸濁された触媒材料は一般に使われている技術を用いて導入され、かつ再び分離されることができる(沈降、遠心分離、ケークろ過、十字流ろ過)。前記触媒は、一度又は何度も使用されることができる。
前記触媒濃度は、カルボンニトリルイミン及び触媒からなる懸濁液の全質量をそれぞれ基準として、有利に0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜40質量%、特に好ましくは1〜30質量%、特に5〜20質量%である。
平均触媒粒度は、有利に0.001〜1mmの範囲内、好ましくは0.005〜0.5mm、特に0.01〜0.25mmの範囲内である。
場合により、3−イミノ−5−イソプロペニル−2−メチル−シクロヘキサンカルボニトリルが良好な溶解度を有する適した不活性溶剤、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチルピロリドンでの出発物質の希釈が行われることができる。
連続的な還元的アミノ化は、例えば連続的に操作される撹拌オートクレーブ、連続的に操作される気泡塔、連続的に操作される循環反応器、例えばジェットループ型反応器又は固定床反応器中で、実施されることができる。
連続的な還元的アミノ化は、好ましくは触媒固定床を備えた管型反応器中で、実施される。
特に、この反応のためには、触媒固定床を備えた管型反応器が適している。
連続的な運転方式の場合の触媒負荷は、触媒1kg及び1時間あたり、典型的にはカルボンニトリルイミン0.01〜10kg、好ましくは0.05〜7kg、特に好ましくは0.1〜5kgである。
好ましくは、還元的アミノ化は、触媒固定床を備えた管型反応器中で連続的に行われる。
還元的アミノ化、すなわち水素化触媒上でのカルボンニトリルイミン含有出発物質流と水素及びアンモニアとの反応は、1つの反応空間中で又は互いに別個の複数の反応空間中で、行われることができる。
還元的アミノ化が、1つのみの反応空間中で実施される場合には、通常、反応器入口と反応器出口との間の温度プロファイルは、かなり大体において一定であり、かつ還元的アミノ化の際に遊離する反応熱により、決定される。
しかしながら、反応器入口と反応器出口との間の温度プロファイルを調節することも可能である。そのような温度プロファイルの形成は、前記反応器の個々の領域を分離し、かつ互いに個々に調節できて温度調節されることができることによって実現されることができる。そのような場合に、反応器入口と反応器出口との間の温度が高められる場合が有利である。好ましくは、反応器入口での温度は50〜100℃の範囲内であるのに対し、反応器出口での温度は100〜160℃である。反応器入口と反応器出口との間での増大する温度プロファイルは、連続的な関数であってよく、又は離散的な段階で増加してよい。
好ましい一実施態様において、還元的アミノ化はしかしながら2つ又はそれ以上の段階で行われ、その際に前記段階は、別個の反応空間中で行われる。
特に好ましい一実施態様において、還元的アミノ化が二段階で実施され、その際に前記段階は、別個の反応空間中で行われる。
第一段階(段階I)は、通例50〜100℃、好ましくは55〜95℃の温度範囲内及び特に好ましくは60〜90℃で及び15〜300bar、好ましくは20〜250barの圧力で及び特に好ましくは30〜230barで実施される。
第二段階(段階II)は、通常70〜160℃の温度範囲内、好ましくは75〜150℃及び特に好ましくは80〜140℃で及び50〜300bar、好ましくは80〜250barの圧力で及び特に好ましくは100〜230barで実施される。
双方の段階は通常、それぞれ圧力容器中で、特に固定床反応器中で、実施される。
触媒として、双方の段階において、冒頭に記載された非塩基性及び/又は塩基性の水素化触媒が使用されることができ、その際に好ましくは、コバルトを含有する非塩基性触媒が使用される。
本発明のさらなる実施態様において、段階I並びに段階IIを、さらなる部分段階へ区分することが可能であり、その際に前記部分段階もそれぞれ別個の反応空間中で実施される。
そして、段階Iの部分段階を、2つ又はそれ以上の圧力容器、特に固定床反応器中で、実施することが可能である。
前記のように、段階Iの部分段階は通常、50〜100℃の温度範囲内及び15〜300barの圧力で実施される。圧力及び温度は、前記部分段階中で同じか又は互いに異なっていてよい。有利には、前記部分段階は、同じ温度及び同じ圧力で操作される。前記部分段階が異なる温度及び圧力で操作される場合には、圧力及び温度が、部分段階から部分段階へと増加する、すなわち第一部分段階における圧力及び温度が最も低い場合が有利である。
各部分段階において、はじめに記載された非塩基性及び/又は塩基性の水素化触媒が使用されることができ、その際に好ましくは非塩基性の水素化触媒が使用される。
好ましい一実施態様において、第一部分段階において又は第一反応段階の第一部分段階において、非塩基性の水素化触媒として選択的水素化触媒が使用される。
プロセス経済性の理由からは、還元的アミノ化の段階Iが、3つ以下、好ましくは2つ及び特に好ましくは1つの部分段階からなる場合が有利である、それというのも、投資は、増大する反応器の数が増加するにつれて、増加するからである。
還元的アミノ化の段階Iが1つのみの部分段階で実施される場合には、塩基性化合物が反応混合物と、段階Iの出口の後で接触されることにより、反応混合物の塩基性度が高められる場合が有利である。
さらに、還元的アミノ化の段階IIをさらなる部分段階へ区分することが可能であり、その際に前記部分段階は、好ましくはそれぞれ別個の反応空間中で実施される。
還元的アミノ化の段階IIの部分段階は、前記のように、通常70〜160℃の温度範囲内で及び50〜300barの圧力で実施される。好ましくは、還元的アミノ化の段階IIの部分段階は、2つ又はそれ以上の圧力容器、特に固定床反応器中で、実施される。
還元的アミノ化から得られた反応排出物からは、NH3及び水素が、場合により加圧下に、分離される。こうして得られたカルボンジアミンは、例えば分別精留により、単離されることができる。
還元的アミノ化から得られた反応排出物は、しかしまた結晶化によるか又はクロマトグラフィーにより、精製されることができる。
本発明による方法により、5−イソプロピル−3−アミノメチル−2−メチル−1−アミノシクロヘキサン(カルボンジアミン)の立体異性体の混合物が得られる。生じる異性体混合物は、ラセミであってよく、又は鏡像体豊富化していてよく(enantiomerenangereichert)、又は鏡像体的に純粋であってよい。立体異性は、部分的に、ヒドロシアン化の段階において確定されるが、しかしながら完全には、還元的アミノ化/水素化において定義される。
反応排出物中の立体異性体比を、カルボンニトリルイミン含有出発物質流が、還元的アミノ化の段階Iへ導通する前に導通されることによって、調整することが可能である。一部分は、水素及びNH3と併せて、段階Iに又は段階Iの第一部分段階に導通されるのに対し、他の部分は、後の段階(段階II)又は段階Iもしくは段階IIの部分段階へ供給される。好ましくは、カルボンニトリルイミン含有出発物質流の一部分は、還元的アミノ化(段階II)の第二段階へもしくは還元的アミノ化の第二段階の部分段階へ、供給される。
通例、出発物質流の分割により、熱力学的に優先される生成物が形成されるので、出発物質流の分割を調整することにより、異性体比が調節されることができる。第二の水素化段階において、すなわちキラル中心の部分的な異性化が、前記アミノ基から再びプロキラルなイミノ基もしくはケト基が形成されることによって、行われることができる。ケト−エノール互変異性もしくはイミノ−エナミン互変異性を通じて、ついで隣接したメチル基も、環平面に関してそれらの空間配置を変えうる。
立体異性体比のさらなる制御の可能性は、段階Iの第一部分段階中での温度の調整にある。双方の場合に、最終的に段階Iの第一部分段階における出発物質流の転化率が調整される。段階Iにおけるもしくは段階Iの第一部分段階における転化率が高ければ高いほど、通常、生成物流中の速度論的に優先される生成物の割合が一層高くなる。
特に好ましい一実施態様において、反応混合物をアンモニアとは異なる塩基性化合物と及び/又は塩基性触媒と、カルボンニトリルイミンの一部が反応された後に、接触させることによって、カルボンニトリルイミンとアンモニア及び水素との反応の間の反応混合物の塩基性度を高める。
カルボンニトリルイミン、アンモニア、水素及び水素化触媒を含有する反応混合物の塩基性度は、反応混合物を塩基性化合物と接触させることによって、高められることができる。
例えば、反応混合物の塩基性度は、反応混合物に塩基性化合物を添加することによって、高められることができる。
さらなる一実施態様において、反応混合物の塩基性度は、塩基性の水素化触媒を反応混合物と接触させることによって、高められることができる。
特に好ましいこの実施態様において、反応中の反応混合物の塩基性度は、カルボンニトリルイミンの一部が反応された後に、反応混合物を塩基性化合物と接触させることによって高められる。
その際、通例、塩基性度の増加は、反応混合物中のカルボンニトリルイミンの1〜95%、好ましくは5〜80%及び特に好ましくは10〜40%が反応された後で、反応混合物と塩基性化合物との接触により行われる。
塩基性度の増加の前に、反応混合物に、通例、塩基性化合物は添加されない。しかしながら、反応混合物が少量の塩基性化合物を含有することが可能である。好ましくは、反応混合物中の塩基性化合物の質量対カルボンニトリルイミンの質量の比は、塩基性度の増加の前にしかしながら100未満対1 000 000、好ましくは50未満対1 000 000である。
塩基性度の増加の前に、反応混合物は通常、非塩基性触媒と接触される。
還元的アミノ化が、1つのみの反応空間中で、例えば固定床反応器中で、実施される場合には、塩基性度の増加は、反応混合物を塩基性化合物と接触させることによって、塩基性化合物の計量供給が、カルボンニトリルイミン含有出発物質流がアンモニア及び水素と併せて供給される反応器入口と、反応器出口との間で行われるようにして、行われることができる。出発物質流を塩基性化合物と接触させることは、この特に好ましい実施態様の範囲内で、還元的アミノ化の前に行われない。
前記のように、前記反応は好ましくは高圧下で行われるので、故に通例、塩基性化合物の計量供給を反応器中の高い操作圧力で行うことが必要である。物質を高圧条件下で計量供給するのに適した工業用装置は、当業者に知られている。特に、ポンプ、例えば高圧ポンプもしくはピストンポンプが、物質を高圧条件下で計量供給するのに使用されることができる。
しかしながら、塩基性触媒との接触による反応混合物の塩基性度の増加が、まず最初にカルボンニトリルイミン含有出発物質流が、水素及びアンモニアと、はじめに記載された非塩基性の水素化触媒の1つに及びその後、塩基性の水素化触媒に導通されるようにして行われることも可能である。これは、前記触媒が、適したようにして層状にされている(geschichtet)ことによって実現されることができる。
有利には、非塩基性の水素化触媒の層と塩基性の水素化触媒の層との移行部で、前記のように、塩基性化合物が計量供給される、それというのも、水素化触媒の塩基性成分は、操作期間が増大するにつれて、洗い流されることができるからである。
還元的アミノ化が、しかしながら二段階で実施され、その際に前記段階が通常、別個の反応空間中で行われる場合には、反応混合物を塩基性化合物と接触させることによる反応混合物の塩基性度の増加は好ましくは、段階Iの出口と段階IIの入口との間で、塩基性化合物の溶液が計量供給されることによって、行われることができる。
塩基性化合物との接触による反応混合物の塩基性度の増加は、しかしまた、はじめに記載された非塩基性の水素化触媒の1つが段階Iへ、及び塩基性の水素化触媒が段階IIへ、装入されるようにして行われることができる。
前記塩基性成分は塩基性触媒から、操作期間が増大するにつれて洗い流されることができるので、段階Iの出口と段階IIの入口との間で、追加の塩基性化合物の溶液が計量供給される場合が有利である。
特に好ましい一実施態様において、段階Iへ、非塩基性の水素化触媒として、冒頭に記載された選択的水素化触媒が装入される。
還元的アミノ化の段階Iが、2つ又はそれ以上の部分段階において実施される場合には、反応混合物の塩基性度を、反応混合物と塩基性化合物との接触が段階Iの第一部分段階の後で行われることによって、高めることが推奨に値する。
好ましくは、塩基性化合物が段階Iの部分段階の出口とその後の部分段階の入口との間で計量供給されることにより、反応混合物は塩基性化合物と接触される。
有利には、塩基性化合物の計量供給は、段階Iの第一部分段階と第二部分段階との間で行われる。しかし、塩基性化合物を、任意に連続した2つの部分段階の出口と入口との間で計量供給することも可能である。塩基性化合物の計量供給は通例、段階Iの第一部分段階の前に行われない。
塩基性の水素化触媒との接触による反応混合物の塩基性度の増加は、第一段階において又は第一部分段階において、はじめに記載された非塩基性の水素化触媒の1つが使用され、かつ次の部分段階の1つにおいて塩基性の水素化触媒が使用されるようにして行われることもできる。前記部分段階において、非塩基性の水素化触媒及び塩基性の水素化触媒の層状配置(Schichtung)が行われることも考えられる。
さらに、塩基性の水素化触媒を有する部分段階へ、付加的に塩基性化合物の溶液の計量供給を行って、塩基性の水素化触媒の塩基性成分が洗い流れる可能性を補償することが有利である。
好ましくは、反応混合物を塩基性化合物及び/又は塩基性の水素化触媒と接触させることによる反応混合物の塩基性度の増加は、段階IIの前に行われるべきである。しかしながら、反応混合物の接触は、第二反応段階の部分段階の1つ中で行うことも可能である。これは、同様にして、塩基性化合物の溶液が、段階IIの部分段階の間で計量供給されるか、又は段階IIの第一部分段階の後で塩基性の水素化触媒が使用されることによって、行われることができる。
さらに、段階IIの部分段階における水素化触媒及び塩基性の水素化触媒の層状配置が可能である。
本発明は、そのうえ、エポキシ樹脂用の硬化剤として、ジイソシアナートを製造する際の中間生成物として、ポリエーテルオールを製造する際の開始剤として及び/又はポリアミド製造用のモノマーとしての、5−イソプロピル−3−アミノメチル−2−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン(カルボンジアミン)の使用に関する。
5−イソプロピル−3−アミノメチル−2−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン(カルボンジアミン)は、エポキシ樹脂用の選択的な硬化剤であり、前記硬化剤は、エポキシ樹脂の配合及び加工の際の新たな可能性を可能にし、かつエポキシ樹脂の特性範囲の調整に使用されることができる。カルボンジアミンは、IPDAに類似して、環に直接結合されているアミン基並びにメチレン基を介して脂肪族環と結合されているアミノ基を有する。それゆえ、カルボンジアミンは、IPDAと類似した反応性挙動を示し、かつ多くの場合にIPDAの代用品として使用されることができる。
5−イソプロピル−3−アミノメチル−2−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン(カルボンジアミン)は、式(V)のカルボンジイソシアナート(5−イソプロピル−3−イソシアナトメチル−2−メチル−1−イソシアナト−シクロヘキサン)を製造する際の中間生成物としても使用されることができる。
Figure 0005542814
このジイソシアナートは、耐光性のポリウレタンの製造に、例えば塗料又はコーティングとして、適しており、かつその構造に基づいて、新しい配合物の可能性、ひいては新規の興味深い特性プロファイルへの入口を提供する。カルボンジイソシアナートは、例えばカルボンジアミンとホスゲンとの反応により、得ることができる。
5−イソプロピル−3−アミノメチル−2−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン(カルボンジアミン)は、ポリエーテルオールを製造する際の開始剤としても使用されることができる。5−イソプロピル−3−アミノメチル−2−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン(カルボンジアミン)は、CH−酸性化合物であり、前記化合物は、塩基で脱プロトン化されることができ、かつこれに、引き続くアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドが付加されることができる。アルコキシル化ジアミンは、例えばPUR製造における触媒として、使用されることができる。
さらに、5−イソプロピル−3−アミノメチル−2−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン(カルボンジアミン)は、ポリアミドを製造する際のモノマーとして使用されることができる。そして、5−イソプロピル−3−アミノメチル−2−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン(カルボンジアミン)は、例えばジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、テレフタル酸及び/又はフタル酸と反応してポリマーにすることができる。
記載の発明を用いて、高いカルボンジアミン収率を達成することが可能である。立体異性体比は、反応条件の調節により調整されることができる。
示された方法は、高い空時収率で操作されることができる。妨げになる副生物、特に二量体の形成は、かなり大体において回避される。本方法の特別な特徴は、反応生成物のできるだけ高いニトリル転化率もしくは飽和度の達成である、それというのも、最適な性質のためには、ポリマー中に、ニトリルアミン、アミノイミン及びオレフィン基が存在していてはならないからである。部分飽和化合物はふつう、飽和化合物から分離するのが困難でしかない。
カルボンジアミンは、ポリマー材料、例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリエステル等を製造する際に、これらのポリマー材料の特性プロファイルを、例えば耐候性、耐加水分解性、耐薬品性、耐光性、電気的性質及び機械的性質に関して調整するために利用されることができ、かつそれゆえ、これらの材料を配合する際のより高い変更の可能性を許す。
本発明を用いて、IPDAに類似して、環に直接結合しているアミン基並びにメチレン基を介して脂肪族環と結合されているアミノ基を有するジアミンが得られることができた。カルボンジアミンは、故にIPDAと類似した反応性プロファイルを有し、かつIPDAの代用品として多くの用途において使用されることができる。
カルボンジアミンは、そのうえ、再生可能資源をベースとして製造されることができる。それゆえ、カルボンジアミンの使用は、石油化学的なベースで製造されることができる装入物質の代わりに、天然ガス及び石油備蓄を保護することができる。再生可能資源であるカルボンは通常、食料としてもしくは食品工業用の原料として使用されないので、その使用は、食料不足に寄与しない。
本発明は、以下の例において説明される。
例1:カルボンからカルボンニトリルへの転化
98%の純度(5−イソプレニル−2メチル−シクロヘキサ−2−エノン)を有するR−(−)−カルボン(5−イソプレニル−2メチル−シクロヘキサ−2−エノン)1379.4g(9モル)を、4000mlガラスフラスコ中で及び約150℃に、撹拌しながら加熱した。144℃で、水中30%Naメチラート18.4g(0.1モル)を添加し、引き続き撹拌しながら、98%R−(−)−カルボン(5−イソプレニル−2メチル−シクロヘキサ−2−エノン)1287.9g(8.4モル)及びシアン化水素酸(HCN)330.5g(12.15モル)の混合物を、8hかけて136〜148℃で滴加した。後反応時間は約1時間であった。引き続き、HCN転化率を調べ、これは99.5%であった。全粗排出物は、3014gの重さがあり、かつ暗赤色を有していた。粗排出物を、ビグリューカラム上で蒸留した。第一の留分として、未反応カルボンを回収し(約900g)、混合留分(147.5g)の後に、98〜99%の純度(ガスクロマトグラフィー)を有するカルボンニトリル1809.8gが得られた。
混合留分中に含まれる有用生成物を含めた収率は、HCNを基準として93.7%であった。
例2:カルボンニトリルからカルボンジアミンへの転化
使用される装置は、8つの直列接続された管型反応器(1500×6×1mmの寸法を有する2つの管(C1〜C2)及びそれぞれ2000×8×1.5mmの寸法を有する6つの管(C3〜C8))からなっていた。第一の双方の反応器C1〜C2を、1.5mmのビレット直径を有するTiO2ビレット15.7gで充填し、その他の6つの反応器を、水素化触媒各約85g(Mn34 5〜6.2%、Na2O 0〜0.5%、H3PO4 2.8〜3.8%、残部Co+CoO)で充填し、前記触媒は水素で280℃で1barの圧力で24時間還元した。
温度を、オイルジャケット加熱により、反応器C1及びC2中で60℃に、反応器C3〜C4中で90℃に、反応器C5〜C6中で115℃に及び反応器C7〜C8中で130℃に、調節した。反応器C2とC3との間で、水素を加圧下(230bar)に反応混合物中へ供給した。
1時間毎に、THF及びカルボンニトリルの混合物23gを1:1の比でNH3 73gと併せて第一の反応器(C1)中へポンプ輸送し、かつ反応器C3の前で、水素17標準リットル/hをさらに供給した。反応排出物を、調整弁を介して放圧した。後接続された相分離器中で、引き続き水素を分離し、かつアンモニアを蒸発させた。
反応排出物の試料を、21.5時間の操作期間後に、ガスクロマトグラフィーを用いて分析した。反応排出物は、次の組成を有していた(ガスクロマトグラフィーを用いて化合物の含量を、面積パーセントとして算出した。この場合に、信号の面積パーセントは、水信号及びアンモニア信号を除く、測定された信号を下回る全面積を基準としている):
一般式VIの二環式アミン3.86%、
式VIの異性体二環式アミン0.68%、
Figure 0005542814
及び4つのジアステレオ異性体の混合物としてのカルボンジアミン、合計で89.16%。
さらに、不飽和のCN又はCC結合のいずれかを有する不完全に水素化された化合物1.5%が含まれていた。
45時間の操作期間をかけて沈殿させ、かつ捕集した粗製生成物から、THFを除去し、かつ蒸留により精製した。
10mbarの操作圧力で、有用生成物であるカルボンジアミンを129〜130℃で蒸留した。
THFの乏しい粗生成物1024gから、99%(GC−分析)を超えるカルボンジアミン含量を有する異性体混合物としてのカルボンジアミン791gが得られ、これは、使用されるカルボンニトリル 1035gを基準として74%の収率に相当する。
カルボンジアミンの異性体混合物を、GC−MS、NMR及び元素分析により特性決定した。
30m db1701、1μm、初期温度80℃、280℃への温度上昇10℃/minの方法によるGC−MSにおいて、カルボンジアミンの相応する純粋なジアステレオ異性体に相当する4つの主要ピークが検出された、保持時間17.41分(12.4面積%)、17.45分(11.4面積%)、17.72分(17.1面積%)及び18.23分(58.5面積%)。純度はすなわち、GCによれば99.4%であった。
1H−NMR(500MHz、DMSO):0.6−0.8(二重の二重線(dedublierten Dublett)の部分、1.5 H)、0.8−0.95(シグナルクラスタ(Signalhaufen)、8.5 H)、1.0−1.5(シグナルクラスタ、8 H)、1.55〜1.92(シグナルクラスタ、3 H)、2.25−2.85(m、3 H)。
次のフラグメント分布が得られた(M+=184、それぞれモルピークに相当する):
ピーク番号1:
m/z (%) = 18 (5), 27 (8), 28 (10), 29 (10), 30 (93), 39 (10), 41 (33), 42 (14), 43 (41), 44 (16), 45 (3), 53 (9), 54 (6), 55 (46), 56 (81), 57 (54), 58 (7), 65 (3), 67 (15), 68 (12), 69 (27), 70 (30), 71 (19), 72 (5), 77 (6), 79 (14), 80 (6), 81 (29), 82 (41), 83 (13), 84 (35), 85 (4), 91 (6), 93 (8), 94 (9), 95 (46), 96 (16), 97(6), 98 (28), 99 (3), 106 (3), 107 (17), 108 (5), 109 (8), 110 (8), 111 (4), 112 (15), 121 (3), 122 (3), 123 (4), 124 (100), 125 (15), 126 (3), 135 (4), 136 (6), 137 (4), 138 (19), 139 (3), 141 (29), 142 (4), 150 (10), 152 (8), 154 (19), 155 (14), 184 (5)。
ピーク番号2:
m/z (%) = 18 (4), 27 (6), 28(5), 29 (8), 30 (70), 39 (7), 41 (25), 42 (10), 43 (31), 44 (12), 45 (4), 53 (7), 54 (5), 55 (38), 56 (38), 57 (31), 58 (6), 65 (3), 67 (10), 68 (8), 69 (21), 70 (24), 71 (16), 72 (5), 77 (5), 79 (11), 80 (3), 81 (21), 82 (28), 83 (10), 84 (35), 85 (5), 91 (5), 93 (6), 94 (6), 95 (29), 96 (10), 97 (5), 96 (30), 99 (3), 101 (3), 107 (11), 108 (4), 109 (6), 110 (8), 111 (4), 112 (14), 123 (3), 124 (100), 125 (21), 126 (4), 137 (3), 138 (14), 141 (30), 142 (6), 150 (3), 152 (6), 154 (26), 155 (9), 184 (3)。
ピーク番号3:
m/z (%) = 18 (3), 27 (5), 28 (8), 29 (6), 30 (54), 39 (6), 41 822), 42 (10), 43 (28) , 44 (9), 53 (6), 54 (4), 55 (25), 56 (36), 57 (16), 58 (4), 67 (10), 68 (8), 69 (16), 70 (25), 71 (70), 72 (7), 77 (4), 79 (9), 80 84), 81 (16), 82 (32), 83 (9), 84 (21), 91 (4), 93 (5), 94 (5), 95 (28), 96 (13), 97 (3), 98 (15), 107 (9), 108 (3), 109 (5), 110 (12), 111 (3), 112 (8), 138 (8), 141 (11), 152 (6), 154 (11), 155 (6)。
ピーク番号4:
m/z (%) = 18 (4), 27 (7), 28 (11), 29 (8), 30 (68), 39 (8), 41 (29), 42 (12), 43 (36), 44 (13), 45 (3), 53 (8), 54 (5), 55 (33), 56 (100), 57 (51), 58 (6), 67 (13), 68 (11), 69 (21), 70 (32), 71 (27), 72 (5), 77 (5), 79 (12), 80 (5), 81 (23), 82 (42), 83 (12), 84 (28), 85 (3), 91 (6), 93 (7), 94 (8), 95 (37), 96 (16), 97 (5), 98 (20), 107(14), 108 (4), 109 (7), 111 (4), 112 (17), 121 (3), 123 (4), 124 (84), 125 (21), 126 (4), 135 (4), 136 (5), 137 (3), 138 (15), 141 (22), 142 (3), 150 (5), 152 (10), 154 (30), 155 (17), 169 (3), 184 (4)。
元素分析の決定のために、Elementar社のAnalysenautomat Vario El IIIを使用した。
元素分析の結果は、次のとおりであった:
C=71.3(予測:71.7);N=15.6(予測:15.2);H=13.4(予測:13.1)g/100g。
例3:イソホロンジアミン(IPDA)もしくはカルボンジアミンでのDGEBA(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル)の硬化の比較
使用された配合物は次の組成を有していた:
配合物1:DGEBA 17.96g、IPDA 4.10g
配合物2:DGEBA 29.51g、カルボンジアミン7.27g。
硬化の前に、配合物の成分を2分間、3000rpm(スピードミキサーDAC 150 FVZ)で混合した。
混合後に、それぞれの配合物約15.5gを、寸法7×3.5×3cm(L×W×H)を有するアルミニウムシャーレ中へ注いで、3〜4mmの層厚を有する樹脂プレートを製造した。樹脂プレートを、60℃、80℃、100℃、120℃、140℃、160℃及び180℃でそれぞれ30min硬化させた。
前記プレートの製造に並行して、それぞれの配合物の硬化を、DSCを用いて調べた。このためには、通常、樹脂配合物3〜10mgを使用した。前記測定を、空気中でMettler Toledo社のDSC822e装置上で動的モードで10℃/minの加熱速度で行った。重合反応のオンセット温度To(発熱−ピークのタンジェント−オンセット)、ピーク極大値Tmax及び反応エンタルピーΔHは、第1表にまとめられている。
ガラス転移温度を測定するために、硬化された樹脂プレートから、試料、通常数mgを取り、これから、DSCを用いて(3つの加熱セグメントを30℃/minの加熱速度で、セグメント2及び3の平均値から決定)、ガラス転移温度Tgを決定した。
さらに、窒素流中の熱重量分析(TGA)により、前記ポリマーの分解を調べ、5%の質量損失(5%分解)の時点を測定した。前記測定を、Mettler Toledo社のTGA/SDTA851e装置を用いて実施した。
100℃でのポットライフを、GELNORM(登録商標)-RVNポットライフ測定装置を用いて、この温度での相対粘度が記録されることより、算出した。データは、硬化の期間への重要な指摘を提供する。
生成物を、DSC及びTGAを用いて調べた。
第1表:イソホロンジアミン(1)もしくはカルボンジアミンでのDGEBA(9)の硬化
Figure 0005542814

Claims (19)

  1. 式(I)
    Figure 0005542814
    で示される5−イソプロピル−3−アミノメチル−2−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン(カルボンジアミン)。
  2. 請求項1記載の式(I)のカルボンジアミンを、
    a)式(II)
    Figure 0005542814
    で示されるカルボンをシアン化水素と、塩基性触媒の存在反応させて、式(III)
    Figure 0005542814
    で示されるカルボンニトリルに転化させ、
    b)段階a)において得られたカルボンニトリルをアンモニアと、イミン形成触媒の存在反応させて、式(IV)
    Figure 0005542814
    で示されるカルボンニトリルイミンに転化させ、かつ
    c)段階b)において得られたカルボンニトリルイミン含有反応混合物を水素及びアンモニアと、水素化触媒上で反応させる
    ことによって、製造する方法。
  3. 段階a)における塩基性触媒として、水酸化ナトリウム、シアン化ナトリウム又はナトリウムメチラートが使用される、請求項2記載の方法。
  4. イミン形成触媒として1つ又はそれ以上の酸性金属酸化物触媒が使用される、請求項2または3記載の方法。
  5. 酸性金属酸化物触媒が、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム及び二酸化ケイ素からなる群から選択される、請求項4記載の方法。
  6. 段階c)が、アンモニアとは異なる塩基性化合物の存在及び/又は塩基性触媒の存在で実施される、請求項2からまでのいずれか1項記載の方法。
  7. 反応混合物を、アンモニアとは異なる塩基性化合物と及び/又は塩基性触媒と、カルボンニトリルイミンの一部が反応された後に接触させることによって、段階c)における反応中の反応混合物の塩基性度を高める、請求項2からまでのいずれか1項記載の方法。
  8. 塩基性度の増加の前に、非塩基性の水素化触媒を装入する、請求項記載の方法。
  9. 塩基性化合物を溶液として添加することにより、反応混合物の塩基性度を高め、かつ溶液として添加される塩基性化合物の量を、添加される塩基性化合物の質量対出発物質流中のカルボンニトリルイミンの質量の比が、100〜10 000対1 000 000であるように選択する、請求項7または8記載の方法。
  10. 塩基性化合物として塩基性の水素化触媒を使用し、その際に塩基性の水素化触媒中の塩基性成分の割合が塩基性の水素化触媒の全質量を基準として少なくとも0.5質量%であり、及び/又は水素化触媒を塩基性担体上に担持することにより反応混合物の塩基性度を高める、請求項7から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. コバルト含有水素化触媒を使用する、請求項2から10までのいずれか1項記載の方法。
  12. 段階c)における反応を二段階(段階I及び段階II)で実施する、請求項2から11までのいずれか1項記載の方法。
  13. 段階Iを50〜100℃の温度範囲内で15〜300barの圧力で実施し、かつ段階IIを70〜160℃の温度範囲内で50〜300barの圧力で実施する、請求項12記載の方法。
  14. 段階Iにおいてルテニウム及び/又はロジウムを含有する触媒を使用する、請求項13記載の方法。
  15. 反応混合物を塩基性化合物と、段階Iの後に接触させる、請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
  16. 段階I及び/又は段階IIを、2つ又はそれ以上の部分段階で実施し、その際に反応混合物を塩基性化合物と、早くとも段階Iの第一部分段階の後に、接触させる、請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
  17. 出発物質流の一部を段階Iに、及び出発物質流の一部を直接、段階IIに導通することによって、出発物質流を分割する、請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
  18. 再生可能資源をベースとするカルボンを方法において使用する、請求項から17までのいずれか1項記載の方法。
  19. エポキシ樹脂用の硬化剤として、ジイソシアナートを製造する際の中間生成物として、ポリエーテルオールを製造する際の開始剤として及び/又はポリアミド製造用のモノマーとしての、請求項1記載の式(I)のカルボンジアミンの使用。
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