JP5522239B2 - 固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法に関する。
固体高分子形燃料電池は、高分子電解質膜の両面に電極(カソード(空気極)およびアノード(燃料極))を配置した膜電極接合体を、ガス流路が形成された導電性のセパレータを介して複数スタックして構成される。電極は、高分子電解質膜に接する触媒層と、該触媒層の外側に配置された多孔質のガス拡散層とから構成される。ガス拡散層は、空気または燃料ガスを電極内に拡散させる役割と、電極内で発生する水を排水する役割とを果たす。
膜電極接合体の製造方法としては、以下の方法が知られている。
(1)ガス拡散層の上に電極触媒およびイオン交換樹脂を含む塗工液を塗工して触媒層を形成して電極とし、2つの電極の間に高分子電解質膜を挟んだ状態で熱プレスして接合する方法(特許文献1)。
(2)基材フィルムの上に電極触媒およびイオン交換樹脂を含む塗工液を塗工、乾燥して第1の触媒層を形成し、該第1の触媒層の上にイオン交換樹脂を含む塗工液を塗工、乾燥して高分子電解質膜を形成し、該高分子電解質膜の上に電極触媒およびイオン交換樹脂を含む塗工液を塗工、乾燥して第2の触媒層を形成し、第1の触媒層と高分子電解質膜と第2の触媒層とを含む積層体から前記基材フィルムを剥離し、該積層体を2つのガス拡散層の間に挟んだ状態で熱プレスして接合する方法(特許文献2)。
しかし、(1)の方法では、電極触媒およびイオン交換樹脂を溶媒に分散した塗工液をガス拡散層の上に直接、塗工し、触媒層を形成しているため、ガス拡散層にイオン交換樹脂および触媒の一部が侵入し、ガス拡散層の空隙の一部を閉塞してしまう。特に、イオン交換樹脂は、溶媒とともに触媒層からガス拡散層の内部に浸透しやすい。その結果、ガス拡散層のガス拡散性が低下し、高電流密度領域において固体高分子形燃料電池の出力電圧が不充分となる問題を有する。
また、(1)の方法で得られる電極は、該触媒層に存在するイオン交換樹脂が少なくなっているため、熱プレス時に触媒層と高分子電解質膜との接合が充分に行われない。その結果、下記の問題が生ずる。
(i)触媒層と高分子電解質膜との界面の抵抗が上昇する。
(ii)高分子電解質膜が、加湿による膨潤および乾燥による収縮を起こしやすくなるため、加湿と乾燥を繰り返した場合に、触媒層と高分子電解質膜との界面が剥離しやすい、すなわち加湿度変動耐性が低くなる。
(2)の方法では、高分子電解質膜を第1の触媒層の上に直接、塗工によって形成しているため、第1の触媒層にイオン交換樹脂の一部が侵入し、第1の触媒層の空隙の多くを閉塞してしまう。その結果、第1の触媒層のガス拡散性が低下し、高電流密度領域において固体高分子形燃料電池の出力電圧が不充分となる問題を有する。
特開平04−162365号公報 国際公開第02/005371号パンフレット
本発明は、広範囲な電流密度において高い出力電圧が得られ、加湿度変動耐性に優れる固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を製造できる方法を提供する。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法は、剥離層、触媒層およびガス拡散層を順に有する第1の電極と、触媒層およびガス拡散層を有する第2の電極と、前記第1の電極の剥離層と前記第2の電極の触媒層との間に配置される高分子電解質膜とを備える固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法であり、下記の工程(a’)、工程(b)、工程(c)および工程(g)を有することを特徴とする。
(a’)基材フィルムの表面に形成された剥離層の上に、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む塗工液を塗工して塗工液層を形成する工程。
(b)工程(a’)で形成された塗工液層の上に、ガス拡散層を被せた後、該塗工液層を乾燥して触媒層を形成する工程。
(c)工程(b)の後、前記剥離層から基材フィルムを剥がして前記第1の電極を得る工程。
(g)工程(c)で得られた第1の電極と、第2の電極と、高分子電解質膜とを、前記第1の電極の剥離層と前記高分子電解質膜とが接するように、かつ前記第2の電極の触媒層と前記高分子電解質膜とが接するように加熱接合する工程。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法は、剥離層、触媒層およびガス拡散層を順に有する第1の電極と、剥離層、触媒層およびガス拡散層を順に有する第2の電極と、前記第1の電極の剥離層と前記第2の電極の剥離層との間に配置される高分子電解質膜とを備える固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法であり、下記の工程(a’)、工程(b)〜工程(g)を有することを特徴とする。
(a’)基材フィルムの表面に形成された剥離層の上に、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む塗工液を塗工して塗工液層を形成する工程。
(b)工程(a’)で形成された塗工液層の上に、ガス拡散層を被せた後、該塗工液層を乾燥して触媒層を形成する工程。
(c)工程(b)の後、前記剥離層から基材フィルムを剥がして前記第1の電極を得る工程。
(d’)基材フィルムの表面に形成された剥離層の上に、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む塗工液を塗工して塗工液層を形成する工程。
(e)工程(d’)で形成された塗工液層の上に、ガス拡散層を被せた後、該塗工液層を乾燥して触媒層を形成する工程。
(f)工程(e)の後、前記剥離層から基材フィルムを剥がして前記第2の電極を得る工程。
(g)工程(c)で得られた第1の電極と、工程(f)で得られた第2の電極と、高分子電解質膜とを、前記剥離層と前記高分子電解質膜とが接するように、加熱接合する工程。
前記剥離層は、その上に形成する触媒層を壊さずに基材から剥がしやすくするためのものであり、剥離層の材料としては、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、界面活性剤等の剥離性の高い材料が用いられる。しかし、後工程で該剥離層を高分子電解質膜と接合するため、剥離層は、イオン交換樹脂を含むことが好ましく、フッ素系イオン交換樹脂を主体として含むことが特に好ましい。イオン交換樹脂を主体として含まない場合には、剥離層の厚さはできるだけ薄い方が好ましく、0.3μm以下が好ましい。イオン交換樹脂を主体として含む場合には、剥離層の厚さは、0.1〜5μmが好ましい。
前記電極触媒は、貴金属を含み、前記触媒層の単位面積あたりの貴金属の量は、0.01〜0.5mg/cmであることが好ましい。
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法によれば、広範囲な電流密度において高い出力電圧が高い出力電圧が得られ、加湿度変動耐性に優れる固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を製造できる。
固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の一例を示す断面図である。 本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法の一工程を示す断面図である。 本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法の一工程を示す断面図である。 固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の他の例を示す断面図である。 本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法の一工程を示す断面図である。 固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の他の例を示す断面図である。
本明細書においては、式(2)で表される化合物を化合物(2)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
〔第1の実施形態〕
図1は、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体(以下、膜電極接合体と記す。)の一例を示す断面図である。膜電極接合体10は、触媒層12およびガス拡散層14を有する第1の電極20と、触媒層12およびガス拡散層14を有する第2の電極30と、第1の電極20と第2の電極30との間に、各触媒層12に接した状態で介在する高分子電解質膜40とを具備する。
第1の電極20は、アノードであってもよく、カソードであってもよい。第2の電極30は、第1の電極20がアノードの場合、カソードであり、第1の電極20がカソードの場合、アノードである。
(触媒層)
触媒層12は、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む。
電極触媒は、貴金属を含むことが好ましい。貴金属としては、白金または白金合金が好ましい。
電極触媒としては、カーボン担体に、白金または白金合金が担持された担持触媒が好ましい。
カーボン担体としては、活性炭、カーボンブラック等が挙げられる。
カーボン担体の比表面積は、200m/g以上が好ましい。カーボン担体の比表面積は、BET比表面積装置によりカーボン表面への窒素吸着により測定する。
白金合金としては、白金を除く白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム。)、金、銀、クロム、鉄、チタン、マンガン、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、およびスズからなる群から選ばれる1種以上の金属と白金との合金が好ましい。該白金合金には、白金と合金化される金属と、白金との金属間化合物が含まれていてもよい。
アノード用の白金合金としては、一酸化炭素を含む燃料ガスがアノードに供給される場合には、電極触媒の活性安定性の点から、白金とルテニウムとを含む合金が好ましい。
白金または白金合金の担持量は、電極触媒(100質量%)のうち、10〜80質量%が好ましい。
イオン交換樹脂のイオン交換容量は、導電性およびガス拡散性の点から、0.5〜2.5ミリ当量/グラム乾燥樹脂が好ましく、1.0〜2.0ミリ当量/グラム乾燥樹脂が特に好ましい。
イオン交換樹脂としては、含フッ素イオン交換樹脂、非フッ素系イオン交換樹脂等が挙げられ、耐久性の点から含フッ素イオン交換樹脂が好ましい。
イオン性基を有する含フッ素イオン交換樹脂としては、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)が好ましく、テトラフルオロエチレン(以下、TFEと記す。)に基づく単位と、スルホン酸基を有する繰り返し単位とを有する共重合体(以下、共重合体Hと記す。)が特に好ましい。スルホン酸基を有する繰り返し単位としては、下式(1)で表される繰り返し単位が好ましい。
Figure 0005522239
ただし、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数であり、nは1〜12の整数であり、pは0または1である。
共重合体Hは、TFEおよび−SOF基を有するモノマーの混合物を重合して前駆体重合体Fを得た後、前駆体重合体F中の−SOF基をスルホン酸基に変換することにより得られる。−SOF基のスルホン酸基への変換は、加水分解および酸型化処理により行われる。
−SOF基を有するモノマーとしては、化合物(2)が好ましい。
CF=CF(OCFCFX)−O−(CF−SOF ・・・(2)。
ただし、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数であり、nは1〜12の整数である。
化合物(2)としては、化合物(2−1)〜(2−3)が好ましい。
CF=CFO(CFSOF ・・・(2−1)、
CF=CFOCFCF(CF)O(CFSOF ・・・(2−2)、
CF=CF(OCFCF(CF))O(CFSOF ・・・(2−3)。
ただし、q、r、sは1〜8の整数であり、tは1〜3の整数である。
非フッ素系イオン交換樹脂としては、スルホン化ポリアリーレン、スルホン化ポリベンゾオキサゾール、スルホン化ポリベンゾチアゾール、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリフェニレンスルホン、スルホン化ポリフェニレンオキシド、スルホン化ポリフェニレンスルホキシド、スルホン化ポリフェニレンサルファイド、スルホン化ポリフェニレンスルフィドスルホン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルケトンケトン、スルホン化ポリイミド等が挙げられる。
イオン交換樹脂の質量(F)と電極触媒中のカーボンの質量(C)との質量比(F/C)は、電極の導電性および撥水性の点から、0.2〜2.5が好ましく、0.7〜2.0がより好ましい。F/Cが0.2以上であれば、触媒層12が割れにくい。F/Cが2.5以下であれば、触媒層12が緻密な構造とならず、ガス拡散性が良好となる。
触媒層12は、単層であってもよく、複数層であってもよい。複数層の場合、各層のF/Cは、高分子電解質膜40に近くなるにつれて、しだいに大きくすることが好ましい。
触媒層12の単位面積あたりの貴金属の量は、0.01〜0.5mg/cmが好ましく、0.05〜0.4mg/cmがより好ましく、0.1〜0.3mg/cmが特に好ましい。貴金属の量が0.01mg/cm以上であれば、基材フィルムの上に塗工液を塗工する際の塗工液の量が少なくなりすぎず、塗工液層が安定する。貴金属の量が0.5mg/cm以下であれば、塗工液の量が多くなりすぎず、ガス拡散層14への塗工液の浸入が抑えられ、また、触媒層12が割れにくい。貴金属の量が0.05〜0.4mg/cmであれば、塗工液の量が適量となるため、均一な厚さの触媒層12を形成できる。貴金属の量が0.1〜0.3mg/cmであれば、ガス拡散層14への塗工液の浸入および触媒層12の割れが充分に抑えられる。
触媒層12の厚さは、触媒層12のガス拡散性を良好にし、かつ固体高分子形燃料電池の発電特性を向上させる点から、20μm以下が好ましく、1〜15μmがより好ましい。また、触媒層12の厚さは、均一であることが好ましい。なお、触媒層12の厚さを薄くすると、単位面積あたりの電極触媒の量が少なくなり、電極の反応活性が低くなるおそれがあるが、該場合は、電極触媒として白金または白金合金が高担持率で担持された担持触媒を用いることにより、電極触媒の量が不足することなく、電極の反応活性を高く維持できる。
(ガス拡散層)
ガス拡散層14は、ガス拡散性基材を有する。
ガス拡散性基材は、導電性を有する多孔質基材である。ガス拡散性基材としては、カーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンフェルト等が挙げられる。
ガス拡散性基材は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す。);PTFEとカーボンブラックとの混合物等によって撥水処理されていることが好ましい。撥水処理することにより、カソード側の触媒層12で発生する水等によるガス拡散性基材の細孔の閉塞が抑えられるため、ガス拡散性の低下が抑制される。また、撥水処理の際にカーボンブラックを用いることにより、膜電極接合体10の導電性が良好となる。
ガス拡散層14の厚さは、100〜400μmが好ましく、140〜350μmがより好ましい。
(電解質膜)
高分子電解質膜40は、イオン交換樹脂膜からなる。
該膜のイオン交換樹脂としては、触媒層12のイオン交換樹脂と同様のものが挙げられ、触媒層12のイオン交換樹脂と同じイオン交換樹脂が好ましい。
高分子電解質膜40は、過酸化物の生成を抑制する抑制剤を含むことが好ましい。固体高分子形燃料電池を長時間運転した場合、過酸化物の生成により、高分子電解質膜40が劣化し、固体高分子形燃料電池の出力電圧が低下する。該抑制剤は、後述の電解質膜塗工液に含ませておくことが好ましい。
高分子電解質膜40の厚さは、50μm以下が好ましく、3〜40μmがより好ましく、5〜30μmが特に好ましい。高分子電解質膜40の厚さが50μm以下であれば、高分子電解質膜40が乾燥した状態になりにくく、固体高分子形燃料電池の発電特性の低下が抑えられる。高分子電解質膜40の厚さが3μm以上であれば、短絡が起きにくい。
高分子電解質膜40の製造方法としては、イオン交換樹脂が共重合体Hの場合、下記の方法(x)または方法(y)が挙げられ、厚さの精度および生産性の点から、方法(y)が好ましい。
(x)前駆体重合体Fを膜状に成形した後、−SOF基をスルホン酸基に変換する方法。
(y)共重合体Hを膜状に成形する方法。
方法(x):
前駆体重合体Fを膜状に成形する方法としては、押出成形法、加圧プレス成形法、延伸法等が挙げられる。
−SOF基のスルホン酸基への変換は、加水分解および酸型化処理により行われる。
方法(y):
共重合体Hを膜状に成形する方法としては、共重合体Hを含む電解質膜用塗工液を基材フィルムの上に塗工、乾燥する方法(キャスト法)が挙げられる。
電解質膜用塗工液は、アルコールおよび水を含む分散媒に、共重合体Hを分散させた分散液である。
乾燥温度は、70〜170℃が好ましい。
乾燥後または乾燥と同時に、高分子電解質膜40は熱処理(アニール処理)される。
熱処理温度は、100〜250℃が好ましく、130〜220℃が好ましく、共重合体Hのガラス転移温度(Tg)超、(Tg+100)℃以下が特に好ましい。
熱処理時間は、5分〜3時間が好ましく、10分〜1時間がより好ましい。熱処理時間が5分以上であれば、高分子電解質膜40の強度が充分となる。熱処理時間が3時間以下であれば、生産性が良好となる。
(膜電極接合体の製造方法)
膜電極接合体10の製造方法としては、下記の方法(I)または方法(II)が挙げられる。
(方法(I))
方法(I)は、下記の工程(a)〜工程(g)を有する方法である。
(a)図2に示すように、基材フィルム50の上に、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む触媒層用塗工液を塗工して塗工液層16を形成する工程。
(b)図2に示すように、工程(a)で形成された塗工液層16の上に、ガス拡散層14を被せた後、塗工液層16を乾燥して触媒層12を形成する工程。
(c)図2に示すように、工程(b)で形成された触媒層12から基材フィルム50を剥がして第1の電極20を得る工程。
(d)図2に示すように、基材フィルム50の上に、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む触媒層用塗工液を塗工して塗工液層16を形成する工程。
(e)図2に示すように、工程(d)で形成された塗工液層16の上に、ガス拡散層14を被せた後、塗工液層16を乾燥して触媒層12を形成する工程。
(f)図2に示すように、工程(e)で形成された触媒層12から基材フィルム50を剥がして第2の電極30を得る工程。
(g)工程(c)で得られた第1の電極20と、工程(f)で得られた第2の電極30と、高分子電解質膜40とを、各触媒層12と高分子電解質膜40とが接するように、加熱接合する工程。
工程(a):
基材フィルム50としては、樹脂フィルムが挙げられる。樹脂フィルムの材料としては、下記の樹脂が挙げられ、耐熱性、化学的安定性、離型性の点から、含フッ素樹脂が好ましい。
非フッ素系樹脂:ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等。
含フッ素樹脂:PTFE、エチレン−TFE共重合体(以下、ETFEと記す。)、エチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、TFE−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリフッ化ビニリデン等。
触媒層用塗工液は、電極触媒を溶媒に分散させ、イオン交換樹脂を溶媒に溶解または分散させることにより調製される。
イオン交換樹脂が含フッ素イオン交換樹脂の場合、溶媒としては、アルコール類または含フッ素溶媒が好ましい。
アルコール類としては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等が挙げられる。イオン交換樹脂の溶解性を上げるために、アルコール類と水との混合溶媒を用いてもよい。
含フッ素溶媒としては、下記のものが挙げられる。
ヒドロフルオロカーボン:2H−パーフルオロプロパン、1H,4H−パーフルオロブタン、2H,3H−パーフルオロペンタン、3H,4H−パーフルオロ(2−メチルペンタン)、2H,5H−パーフルオロヘキサン、3H−パーフルオロ(2−メチルペンタン)等。
フルオロカーボン:パーフルオロ(1,2−ジメチルシクロブタン)、パーフルオロオクタン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロヘキサン等。
ヒドロクロロフルオロカーボン:1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1,1−トリフルオロ−2,2−ジクロロエタン、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン等。
フルオロエーテル:1H,4H,4H−パーフルオロ(3−オキサペンタン)、3−メトキシ−1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン等。
含フッ素アルコール:2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール等。
イオン交換樹脂が非フッ素系イオン交換樹脂の場合、溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等が挙げられる。
触媒層用塗工液の固形分濃度は、5〜25質量%が好ましく、8〜15質量%がより好ましい。触媒層用塗工液の固形分濃度が5質量%以上であれば、塗工液層16の上にガス拡散層14を被せた際にガス拡散層14への触媒層用塗工液の浸入が少ない。触媒層用塗工液の固形分濃度が25質量%以下であれば、均一な厚さの触媒層12を形成できる。触媒層用塗工液の固形分濃度が8〜15質量%であれば、触媒層用塗工液の安定性が向上する。
触媒層用塗工液の粘度は、ずり速度が1(1/S)のとき、200〜8000mPa・sが好ましく、1000〜4000mPa・sがより好ましい。触媒層用塗工液の粘度が200mPa・s以上であれば、ガス拡散層14への触媒層用塗工液の浸入が少ない。触媒層用塗工液の粘度が8000mPa・s以下であれば、均一な厚さの触媒層12を形成できる。触媒層用塗工液の粘度が1000〜4000mPa・sであれば、触媒層用塗工液の安定性が向上する。
触媒層用塗工液中のF/Cは、0.2〜2.5が好ましく、0.7〜2.0がより好ましい。F/Cが0.2以上であれば、触媒層12が割れにくい。F/Cが2.5以下であれば、触媒層12が緻密な構造とならず、ガス拡散性が良好となる。F/Cが0.7〜2.0であれば、触媒層12がより割れにくく、かつガス拡散性もより良好となる。
塗工液層16は、単層であってもよく、複数層であってもよい。複数層の場合、層数に対応する触媒層用塗工液を複数調製し、同時または逐次塗工する。複数層の場合、各触媒層用塗工液のF/Cは、高分子電解質膜40に近くなるにつれて、しだいに大きくすることが好ましい。
塗工法としては、バッチ式塗工法または連続式塗工法が挙げられる。
バッチ式塗工法としては、バーコータ法、スピンコータ法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
連続式塗工法としては、後計量法または前計量法が挙げられる。後計量法は、過剰の触媒層用塗工液を塗工し、後から所定の厚さとなるように触媒層用塗工液を除去する方法である。前計量法は、所定の厚さを得るのに必要な量の触媒層用塗工液を塗工する方法である。
後計量法としては、エアドクタコータ法、ブレードコータ法、ロッドコータ法、ナイフコータ法、スクイズコータ法、含浸コータ法、コンマコータ法等が挙げられる。
前計量法としては、ダイコータ法、リバースロールコータ法、トランスファロールコータ法、グラビアコータ法、キスロールコータ法、キャストコータ法、スプレイコータ法、カーテンコータ法、カレンダコータ法、押出コータ法等が挙げられる。
塗工法としては、均一な厚さの塗工液層16を形成できる点から、スクリーン印刷法またはダイコータ法が好ましく、生産効率の点から、ダイコータ法がより好ましい。
工程(b):
ガス拡散層14としては、前記ガス拡散性基材をそのまま用いることができる。必要に応じて、ガス拡散性基材を撥水処理してもよい。
塗工液層16は、触媒層用塗工液を塗工して形成され、かつ触媒層用塗工液に含まれていた溶媒の全部または一部が残っている塗膜である。塗工液層16に残存する溶媒は、触媒層用塗工液に含まれる溶媒(100質量%)に対し、20質量%以上が好ましい。
塗工液層16の上にガス拡散層14を被せるのは、基材フィルム50の上に触媒層用塗工液を塗工した直後でもよく、塗工液層16に含まれる溶媒の一部を蒸発させた後であってもよい。通常は、溶媒として水やアルコールを用いるため、塗工液層16の上にガス拡散層14を被せるのは、基材フィルム50の上に触媒層用塗工液を塗工してから5分以内が好ましい。
塗工液層16に含まれる溶媒の一部は、室温で蒸発させてもよく、加熱して蒸発させてもよい。塗工液層16の上にガス拡散層14を被せる前に、塗工液層16に含まれる溶媒の一部を蒸発させる際の加熱温度は、100℃以下が好ましい。
塗工液層16の上にガス拡散層14を被せた後、塗工液層16を乾燥する際の乾燥温度は、50〜150℃が好ましい。乾燥温度が50℃以上であれば、乾燥に時間がかからず、また、触媒層12のイオン交換樹脂が充分に熱処理され、安定化する。乾燥温度が150℃以下であれば、触媒層12が劣化しにくく、また、触媒層12が燃焼することもない。
塗工液層16の乾燥を連続乾燥炉にて行う場合、乾燥温度は徐々に上昇させることが好ましく、乾燥時間が短い点、触媒層12のイオン交換樹脂が充分に熱処理されて安定的な構造となる点、固体高分子形燃料電池の発電特性が良好となる点から、乾燥炉入口温度は50〜80℃とし、乾燥炉出口温度は120〜150℃とすることがより好ましい。
塗工液層16の上にガス拡散層14を被せた後、塗工液層16を乾燥する際の乾燥時間は、3〜30分が好ましく、5〜15分がより好ましい。乾燥時間が3分以上であれば、充分に乾燥が行われ、溶媒がほとんど残存しない。乾燥時間が30分以下であれば、生産性が向上し、また、乾燥温度が130℃より高い高温条件であっても、触媒層12の劣化が進行しにくい。乾燥時間が5〜15分であれば、固体高分子形燃料電池の発電特性も充分に発揮される。
工程(c):
工程(c)は、工程(g)の直前で行えばよく、工程(b)で得られた基材フィルム50付きの第1の電極20は、工程(g)の直前まで基材フィルム50で保護した状態で保管しておいてもよい。
工程(d)〜工程(f):
工程(d)〜工程(f)は、工程(a)〜工程(c)と同様に行えばよい。
工程(g):
加熱接合の際には、第1の電極20と第2の電極30と高分子電解質膜40とを同時に加熱接合してもよく、第1の電極20および第2の電極30のうちの一方の電極と高分子電解質膜40とを加熱接合した後、残りの電極と高分子電解質膜40とを加熱接合してもよい。
接合方法としては、熱プレス法、熱ロールプレス、超音波融着等が挙げられ、面内の均一性の点から、熱プレス法が好ましい。
プレス温度(プレス機内のプレス板の温度)は、120〜160℃が好ましく、130〜150℃がより好ましい。プレス温度が120℃以上であれば、接合が充分に行われ、接触不良による抵抗の上昇が抑えられる。プレス温度が160℃以下であれば、触媒層12が劣化しにくく、また、高分子電解質膜40が変形しにくい。プレス温度が130〜150℃であれば、固体高分子形燃料電池の発電特性、耐久性が良好となる。
プレス圧力は、0.5〜5MPaが好ましく、1〜4MPaがより好ましい。プレス圧力が0.5MPa以上であれば、接合が充分に行われ、接触不良による抵抗の上昇が抑えられる。プレス圧力が5MPa以下であれば、触媒層12が劣化しにくく、また、高分子電解質膜40が変形しにくい。プレス圧力が1〜4MPaであれば、固体高分子形燃料電池の発電特性、耐久性が良好となる。
プレス時間は、0.5〜10分が好ましく、1〜5分がより好ましい。プレス時間が0.5分以上であれば、接合が充分に行われ、接触不良による抵抗の上昇が抑えられる。プレス時間が10分以下であれば、触媒層12が劣化しにくく、また、高分子電解質膜40が変形しにくい。プレス時間が1〜5分であれば、固体高分子形燃料電池の発電特性、耐久性が良好となる。
(方法(II))
方法(II)は、下記の工程(a)〜工程(c)、工程(d”)、工程(e”)および工程(g)を有する方法である。
(a)図2に示すように、基材フィルム50の上に、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む触媒層用塗工液を塗工して塗工液層16を形成する工程。
(b)図2に示すように、工程(a)で形成された塗工液層16の上に、ガス拡散層14を被せた後、塗工液層16を乾燥して触媒層12を形成する工程。
(c)図2に示すように、工程(b)で形成された触媒層12から基材フィルム50を剥がして第1の電極20を得る工程。
(d”)図3に示すように、ガス拡散層14の上に、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む触媒層用塗工液を塗工して塗工液層16を形成する工程。
(e”)図3に示すように、工程(d”)で形成された塗工液層16を乾燥して触媒層12を形成し、第2の電極30を得る工程。
(g)工程(c)で得られた第1の電極20と、工程(e”)で得られた第2の電極30と、高分子電解質膜40とを、各触媒層12と高分子電解質膜40とが接するように、加熱接合する工程。
工程(a)〜工程(c):
工程(a)〜工程(c)は、方法(I)における工程(a)〜工程(c)と同様に行えばよい。
工程(d”):
ガス拡散層14としては、前記ガス拡散性基材をそのまま用いることができる。必要に応じて、ガス拡散性基材を撥水処理してもよい。
触媒層用塗工液の材料、組成、調製方法等は、工程(a)と同様である。
触媒層用塗工液の塗工法、塗工条件等は、工程(a)と同様である。
工程(e”):
塗工液層16の乾燥条件等は、工程(b)と同様である。
工程(g):
工程(g)は、方法(I)における工程(g)と同様に行えばよい。
以上説明した膜電極接合体10の製造方法によれば、少なくとも一方の触媒層12を、基材フィルム50の上に触媒層用塗工液を塗工して塗工液層16を形成した後、塗工液層16を完全に乾燥させることなく、塗工液層16が溶媒を含んだ状態にて、塗工液層16の上にガス拡散層14を被せ、該状態にて塗工液層16を乾燥して形成しているため、塗工液層16の一部がガス拡散層14に浸入し、得られる触媒層12とガス拡散層14との密着性が向上するとともに、該触媒層12の表面側にイオン交換樹脂が多く存在するようになる。そのため、加熱接合による触媒層12と高分子電解質膜40との界面の接着力が高くなり、該界面における抵抗が低くなり、固体高分子形燃料電池の発電特性が良好となる。また、加湿度が変動した場合であっても、該界面の接着力が高いため剥離が起こらず、それによる固体高分子形燃料電池の出力電圧が低下することがない、すなわち、加湿度変動耐性に優れる。
〔第2の実施形態〕
図4は、膜電極接合体の他の例を示す断面図である。膜電極接合体60は、剥離層18、触媒層12およびガス拡散層14を順に有する第1の電極22と、剥離層18、触媒層12およびガス拡散層14を順に有する第2の電極32と、第1の電極22と第2の電極32との間に、各剥離層18に接した状態で介在する高分子電解質膜40とを具備する。
第1の電極22は、アノードであってもよく、カソードであってもよい。第2の電極32は、第1の電極22がアノードの場合、カソードであり、第1の電極22がカソードの場合、アノードである。
本実施形態において、第1の実施形態と同じ構成については図1と同じ符号を付して説明を省略する。
(剥離層)
剥離層18は、電極の形成時における電極からの基材フィルムの剥離性を向上させるためのものである。
剥離層18の材料としては、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、界面活性剤等の剥離性の高い材料が用いることができる。しかし、後工程で高分子電解質膜と接合するため、剥離層18は、イオン交換樹脂を含むことが好ましく、フッ素系イオン交換樹脂を主体として含むことが特に好ましい。イオン交換樹脂を主体として含むと、高分子電解質膜と接合した場合に、電極と高分子電解質膜40との界面の接着力を向上できる。
該イオン交換樹脂としては、触媒層12のイオン交換樹脂と同様のものが挙げられ、触媒層12および高分子電解質膜40のイオン交換樹脂と同じイオン交換樹脂であることが特に好ましい。
また、剥離層18の一部は、触媒層12の細孔に侵入していてもよい。
剥離層18の厚さは、イオン交換樹脂を主体として含まない場合には、できるだけ薄い方が好ましく、0.3μm以下が好ましい。イオン交換樹脂を主体として含む場合には、剥離層18の厚さは、0.1〜5μmが好ましく、0.5〜3μmが特に好ましい。剥離層18の厚さが0.1μm以上であれば、電極から基材フィルムを剥がす際に触媒層12が割れにくく、基材フィルムに触媒層12が残らない。剥離層18の厚さが5μm以下であれば、高分子電解質膜40と接合した際に、2つの触媒層12の間の間隔の増加が抑えられ、抵抗の上昇が抑えられる。剥離層18の厚さが0.5〜3μmであれば、電極からの基材フィルムの剥離性が良好で、かつ高分子電解質膜40との接着力も充分確保でき、かつ抵抗の上昇もわずかである。
剥離層18は、イオン交換樹脂を含む場合、基材フィルムの上にイオン交換樹脂を含む剥離層用塗工液を塗工、乾燥することにより得られる。
剥離層用塗工液の固形分濃度は、1〜10質量%が好ましく、3〜8質量%がより好ましい。
乾燥温度は、70〜170℃が好ましい。
(膜電極接合体の製造方法)
膜電極接合体60の製造方法としては、下記の方法(III)が挙げられる。
(方法(III))
方法(III)は、下記の工程(a’)、工程(b)、工程(c)、工程(d’)、工程(e)〜工程(g)を有する方法である。
(a’)図5に示すように、基材フィルム50の表面に形成された剥離層18の上に、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む触媒層用塗工液を塗工して塗工液層16を形成する工程。
(b)図5に示すように、工程(a’)で形成された塗工液層16の上に、ガス拡散層14を被せた後、塗工液層16を乾燥して触媒層12を形成する工程。
(c)図5に示すように、工程(b)の後、剥離層18から基材フィルム50を剥がして第1の電極22を得る工程。
(d’)図5に示すように、基材フィルム50の表面に形成された剥離層18の上に、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む触媒層用塗工液を塗工して塗工液層16を形成する工程。
(e)図5に示すように、工程(d’)で形成された塗工液層16の上に、ガス拡散層14を被せた後、塗工液層16を乾燥して触媒層12を形成する工程。
(f)図5に示すように、工程(e)の後、剥離層18から基材フィルム50を剥がして第2の電極32を得る工程。
(g)工程(c)で得られた第1の電極22と、工程(f)で得られた第2の電極32と、高分子電解質膜40とを、各剥離層18と高分子電解質膜40とが接するように、加熱接合する工程。
工程(a):
触媒層用塗工液の材料、組成、調製方法等は、方法(I)における工程(a)と同様である。
触媒層用塗工液の塗工法、塗工条件等は、方法(I)における工程(a)と同様である。
工程(b)〜工程(c):
工程(b)〜工程(c)は、方法(I)における工程(b)〜工程(c)と同様に行えばよい。
工程(d’)〜工程(f):
工程(d’)〜工程(f)は、工程(a’)〜工程(c)と同様に行えばよい。
工程(g):
工程(g)は、方法(I)における工程(g)と同様に行えばよい。
以上説明した膜電極接合体60の製造方法によれば、剥離層18により触媒層12が壊れることなく基材フィルム50から剥がすことができる。特に、剥離層18がイオン交換樹脂を含む場合には、各電極の触媒層12の表面に、触媒層12よりもイオン交換樹脂を多く含む剥離層18が設けられているため、加熱接合による剥離層18と高分子電解質膜40との界面の接着力が高くなり、該界面における抵抗が低くなり、固体高分子形燃料電池の発電特性が良好となる。また、加湿度が変動した場合であっても、該界面の接着力が高いため剥離が起こらず、それによる固体高分子形燃料電池の出力電圧が低下することがない、すなわち、加湿度変動耐性に優れる。
また、基材フィルム50の表面に形成された剥離層18の上に触媒層用塗工液を塗工して塗工液層16を形成した後、塗工液層16を完全に乾燥させることなく、塗工液層16が溶媒を含んだ状態にて、塗工液層16の上にガス拡散層14を被せ、該状態にて塗工液層16を乾燥して触媒層12を形成しているため、該触媒層12の表面側にイオン交換樹脂が多く存在するようになる。そのため、剥離層18と触媒層12との界面の接着力も高くなり、該界面における抵抗が低くなり、固体高分子形燃料電池の発電特性が良好となる。また、加湿度が変動した場合であっても、該界面の接着力が高いため剥離が起こらず、それによる固体高分子形燃料電池の出力電圧が低下することがない、すなわち、加湿度変動耐性に優れる。
〔第3の実施形態〕
図6は、膜電極接合体の他の例を示す断面図である。膜電極接合体70は、剥離層18、触媒層12およびガス拡散層14を順に有する第1の電極22と、触媒層12およびガス拡散層14を有する第2の電極30と、第1の電極22と第2の電極30との間に、第1の電極22の剥離層18および第2の電極30の触媒層12に接した状態で介在する高分子電解質膜40とを具備する。
第1の電極22は、アノードであってもよく、カソードであってもよい。第2の電極30は、第1の電極22がアノードの場合、カソードであり、第1の電極22がカソードの場合、アノードである。
本実施形態において、第1の実施形態と同じ構成については図1と同じ符号を付して説明を省略する。また、第2の実施形態と同じ構成については図4と同じ符号を付して説明を省略する。
(膜電極接合体の製造方法)
膜電極接合体70の製造方法としては、下記の方法(IV)または方法(V)が挙げられる。
(方法(IV))
方法(IV)は、下記の工程(a’)、工程(b)、工程(c)、工程(d”)、工程(e”)および工程(g)を有する方法である。
(a’)図5に示すように、基材フィルム50の表面に形成された剥離層18の上に、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む触媒層用塗工液を塗工して塗工液層16を形成する工程。
(b)図5に示すように、工程(a’)で形成された塗工液層16の上に、ガス拡散層14を被せた後、塗工液層16を乾燥して触媒層12を形成する工程。
(c)図5に示すように、工程(b)の後、剥離層18から基材フィルム50を剥がして第1の電極22を得る工程。
(d”)図3に示すように、ガス拡散層14の上に、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む触媒層用塗工液を塗工して塗工液層16を形成する工程。
(e”)図3に示すように、工程(d”)で形成された塗工液層16を乾燥して触媒層12を形成し、第2の電極30を得る工程。
(g)工程(c)で得られた第1の電極22と、工程(e”)で得られた第2の電極30と、高分子電解質膜40とを、第1の電極22の剥離層18と高分子電解質膜40とが接するように、かつ第2の電極30の触媒層12と高分子電解質膜40とが接するように加熱接合する工程。
工程(a’)、工程(b)、工程(c):
工程(a’)、工程(b)、工程(c)は、方法(III)における工程(a’)、工程(b)、工程(c)と同様に行えばよい。
工程(d”)〜工程(e”):
工程(d”)〜工程(e”)は、方法(II)における工程(d”)〜工程(e”)と同様に行えばよい。
工程(g):
工程(g)は、方法(III)における工程(g)と同様に行えばよい。
(方法(V))
方法(V)は、下記の工程(a’)、工程(b)〜工程(g)を有する方法である。
(a’)図5に示すように、基材フィルム50の表面に形成された剥離層18の上に、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む触媒層用塗工液を塗工して塗工液層16を形成する工程。
(b)図5に示すように、工程(a’)で形成された塗工液層16の上に、ガス拡散層14を被せた後、塗工液層16を乾燥して触媒層12を形成する工程。
(c)図5に示すように、工程(b)の後、剥離層18から基材フィルム50を剥がして第1の電極22を得る工程。
(d)図2に示すように、基材フィルム50の上に、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む触媒層用塗工液を塗工して塗工液層16を形成する工程。
(e)図2に示すように、工程(d)で形成された塗工液層16の上に、ガス拡散層14を被せた後、塗工液層16を乾燥して触媒層12を形成する工程。
(f)図2に示すように、工程(e)で形成された触媒層12から基材フィルム50を剥がして第2の電極30を得る工程。
(g)工程(c)で得られた第1の電極22と、工程(f)で得られた第2の電極30と、高分子電解質膜40とを、第1の電極22の剥離層18と高分子電解質膜40とが接するように、かつ第2の電極30の触媒層12と高分子電解質膜40とが接するように加熱接合する工程。
工程(a’)、工程(b)、工程(c):
工程(a’)、工程(b)、工程(c)は、方法(III)における工程(a’)、工程(b)、工程(c)と同様に行えばよい。
工程(d)〜工程(f):
工程(d)〜工程(f)は、方法(I)における工程(d)〜工程(f)と同様に行えばよい。
工程(g):
工程(g)は、方法(III)における工程(g)と同様に行えばよい。
以上説明した膜電極接合体70の製造方法によれば、剥離層18により触媒層12が壊れることなく基材フィルム50から剥がすことができる。特に、剥離層18がイオン交換樹脂を含む場合には、第1の電極22の触媒層12の表面に、触媒層12よりもイオン交換樹脂を多く含む剥離層18が設けられているため、加熱接合による剥離層18と高分子電解質膜40との界面の接着力が高くなり、該界面における抵抗が低くなり、固体高分子形燃料電池の発電特性が良好となる。また、加湿度が変動した場合であっても、該界面の接着力が高いため剥離が起こらず、それによる固体高分子形燃料電池の出力電圧が低下することがない、すなわち、加湿度変動耐性に優れる。
また、基材フィルム50の表面に形成された剥離層18の上に触媒層用塗工液を塗工して塗工液層16を形成した後、塗工液層16を完全に乾燥させることなく、塗工液層16が溶媒を含んだ状態にて、塗工液層16の上にガス拡散層14を被せ、該状態にて塗工液層16を乾燥して触媒層12を形成しているため、該触媒層12の表面側にイオン交換樹脂が多く存在するようになる。そのため、剥離層18と触媒層12との界面の接着力も高くなり、該界面における抵抗が低くなり、固体高分子形燃料電池の発電特性が良好となる。また、加湿度が変動した場合であっても、該界面の接着力が高いため剥離が起こらず、それによる固体高分子形燃料電池の出力電圧が低下することがない、すなわち、加湿度変動耐性に優れる。
〔固体高分子形燃料電池〕
本発明の製造方法で得られた膜電極接合体の両面に、ガスの流路となる溝が形成されたセパレータを配置することにより、固体高分子形燃料電池が得られる。
セパレータとしては、金属製セパレータ、カーボン製セパレータ、黒鉛と樹脂を混合した材料からなるセパレータ等、各種導電性材料からなるセパレータが挙げられる。
該固体高分子形燃料電池においては、カソードに酸素を含むガス、アノードに水素を含むガスを供給することにより、発電が行われる。また、アノードにメタノールを供給して発電を行うメタノール燃料電池にも、本発明の製造方法で得られた膜電極接合体を適用できる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。
例1、2は参考例であり、例3は実施例であり、例4は比較例である。
(共重合体H)
TFEに基づく単位と、下式(1−1)で表される繰り返し単位とからなる共重合体H1(イオン交換容量1.1ミリ当量/g乾燥樹脂)を用意した。
Figure 0005522239
(高分子電解質膜)
共重合体H1を、エタノールと水との混合溶媒(エタノール/水=60/40(質量比))に分散させ、固形分濃度25質量%の電解質膜用塗工液を調製した。
ETFEフィルム(基材フィルム)の上に電解質膜用塗工液を、乾燥膜厚が25μmとなるようにダイコータを用いて塗工し、90℃の乾燥器内で10分間乾燥し、さらに140℃で30分アニール処理した。ETFEフィルムを剥がし、高分子電解質膜(A)を得た。
(ガス拡散層)
ガス拡散層を構成するガス拡散性基材として、カーボンブラック粒子とポリテトラフルオロエチレンとを含む分散液により表面が撥水処理されたカーボンペーパー(NOK社製、商品名:H2315T10AC1)(以下、カーボンペーパー(B)と記す。)を用意した。
(アノード触媒層用塗工液)
共重合体H1をエタノールに分散させ、固形分濃度10質量%の共重合体分散液を調製した。
カーボン担体(比表面積800m/g)に白金・ルテニウム合金(白金/ルテニウム=31/22(質量比))が担持された触媒(田中貴金属工業社製、商品名:TEC61E54、白金・ルテニウム合金担持量:53質量%。)の33gを、蒸留水の227.5gに添加し、超音波印加装置を用いて粉砕し、さらにエタノールの117.5gを添加し、よく撹拌して電極触媒分散液を調製した。
該電極触媒分散液に、共重合体分散液の122.5gを添加し、よく撹拌してアノード触媒層用塗工液(C)を調製した。
(カソード触媒層用塗工液)
共重合体H1をエタノールに分散させ、固形分濃度10質量%の共重合体分散液を調製した。
カーボン担体(比表面積250m/g)に白金・コバルト合金(白金/コバルト=36/4(質量比))が担持された触媒(白金・コバルト合金担持量:40質量%)の35gを、蒸留水の226.5gに添加し、超音波印加装置を用いて粉砕し、さらにエタノールの37.5gを添加し、よく撹拌して電極触媒分散液を調製した。
該電極触媒分散液に、共重合体分散液の210gを添加し、よく撹拌してカソード触媒層用塗工液(D)を調製した。
(剥離層が表面に形成された基材フィルム)
共重合体H1を、エタノールと水との混合溶媒(エタノール/水=60/40(質量比))に分散させ、固形分濃度6質量%の剥離層用塗工液を調製した。
ETFEフィルムの上に剥離層用塗工液を、乾燥膜厚が2μmとなるようにダイコータを用いて塗工し、80℃の乾燥器内で10分間乾燥し、剥離層が表面に形成された基材フィルムを得た。
〔例1〕
工程(a):
ETFEフィルムの上にアノード触媒層用塗工液(C)を、白金量が0.2mg/cmとなるようにダイコータを用いて塗工し、塗工液層を形成した。
工程(b):
塗工液層を形成した直後に、塗工液層の上にカーボンペーパー(B)を被せ、塗工液層を80℃の乾燥器内で15分間乾燥し、アノード触媒層を形成した。
工程(c):
アノード触媒層からETFEフィルムを剥がし、カーボンペーパー(B)とアノード触媒層とからなるアノードを得た。
工程(d):
ETFEフィルムの上にカソード触媒層用塗工液(D)を、白金量が0.2mg/cmとなるようにダイコータを用いて塗工し、塗工液層を形成した。
工程(e):
塗工液層を形成した直後に、塗工液層の上にカーボンペーパー(B)を被せ、塗工液層を80℃の乾燥器内で15分間乾燥し、カソード触媒層を形成した。
工程(f):
カソード触媒層からETFEフィルムを剥がし、カーボンペーパー(B)とカソード触媒層とからなるカソードを得た。
工程(g):
アノードとカソードとの間に高分子電解質膜(A)を配置し、各電極の触媒層が高分子電解質膜(A)と接するように積み重ね、あらかじめ140℃に加熱したプレス機の中に入れ、1.5MPaのプレス圧力で1分間熱プレスし、電極面積が25cmである膜電極接合体を得た。
(発電特性の評価)
膜電極接合体を発電用セルに組み込み、常圧にて、水素(利用率70%)/空気(利用率50%)を供給し、セル温度65℃にて、電流密度0.2A/cmまたは1.0A/cmにおける運転初期のセル電圧を測定した。ただし、アノード側には露点65℃の水素を供給し、カソード側には露点65℃の空気を供給した。セル電圧を表1に示す。
(加湿度変動耐性の評価)
膜電極接合体を発電用セルに組込み、常圧にて、両極に窒素を1L/分の速度で流した。2分毎に乾燥空気と150%加湿空気とが交互に流れるようにし、定期的に差圧を20kPaかけた状態にて、窒素透過量を測定した。20000回経過後の窒素透過量を表1に示す。初期値と比較して変化がなかった。
(膜/電極界面の接着強度)
アノードの触媒層と高分子電解質膜(A)とが接するように配置し、あらかじめ140℃に加熱したプレス機の中に入れ、1.5MPaのプレス圧力で1分間熱プレスし、アノードと高分子電解質膜(A)とが接合された、膜アノード接合体を作製した。該接合体のガス拡散層側を固定し、高分子電解質膜(A)の端部を引っ張り試験機のチャックに挟み、90度剥離強度を下記条件にて測定した。90度剥離強度を表1に示す。
サンプル幅:25mm、
剥離速度:50mm/分、
温度:25℃。
カソードの触媒層と高分子電解質膜(A)とが接するように配置し、あらかじめ140℃に加熱したプレス機の中に入れ、1.5MPaのプレス圧力で1分間熱プレスし、カソードと高分子電解質膜(A)とが接合された、膜カソード接合体を作製した。該接合体について、同様に90度剥離強度を測定した。90度剥離強度を表1に示す。
〔例2〕
工程(a)〜工程(c):
例1の工程(a)〜工程(c)と同様にして、アノードを得た。
工程(d”):
カーボンペーパー(B)の上にカソード触媒層用塗工液(D)を、白金量が0.2mg/cmとなるようにダイコータを用いて塗工し、塗工液層を形成した。
工程(e”):
塗工液層を80℃の乾燥器内で15分間乾燥し、カソード触媒層を形成して、カーボンペーパー(B)とカソード触媒層とからなるカソードを得た。
工程(g):
例1の工程(g)と同様にして、電極面積が25cmである膜電極接合体を得た。
該膜電極接合体について、発電特性および加湿度変動耐性を評価する。結果を表1に示す。20000回経過後の窒素透過量は、初期値と比較して変化がない。
〔例3〕
工程(a’):
剥離層が表面に形成された基材フィルムの剥離層の上に、アノード触媒層用塗工液(C)を、白金量が0.2mg/cmとなるようにダイコータを用いて塗工し、塗工液層を形成した。
工程(b):
塗工液層を形成した直後に、塗工液層の上にカーボンペーパー(B)を被せ、塗工液層を80℃の乾燥器内で15分間乾燥し、アノード触媒層を形成した。
工程(c):
剥離層からETFEフィルムを剥がし、カーボンペーパー(B)とアノード触媒層と剥離層とからなるアノードを得た。
工程(d’)
剥離層が表面に形成された基材フィルムの剥離層の上に、カソード触媒層用塗工液(D)を、白金量が0.2mg/cmとなるようにダイコータを用いて塗工し、塗工液層を形成した。
工程(e):
塗工液層を形成した直後に、塗工液層の上にカーボンペーパー(B)を被せ、塗工液層を80℃の乾燥器内で15分間乾燥し、カソード触媒層を形成した。
工程(f):
剥離層からETFEフィルムを剥がし、カーボンペーパー(B)とカソード触媒層と剥離層とからなるカソードを得た。
工程(g):
例1の工程(g)と同様にして、電極面積が25cmである膜電極接合体を得た。
該膜電極接合体について、発電特性および加湿度変動耐性を評価する。結果を表1に示す。20000回経過後の窒素透過量は、初期値と比較して変化がない。
また、例1と同様にして90度剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
〔例4〕
工程(a”):
カーボンペーパー(B)の上にアノード触媒層用塗工液(C)を、白金量が0.2mg/cmとなるようにダイコータを用いて塗工し、塗工液層を形成した。
工程(b”):
塗工液層を80℃の乾燥器内で15分間乾燥し、アノード触媒層を形成して、カーボンペーパー(B)とアノード触媒層とからなるアノードを得た。
工程(d”)〜(e”)
例2の工程(d”)〜(e”)と同様にして、カソードを得た。
工程(g)
例1の工程(g)と同様にして、電極面積が25cmである膜電極接合体を得た。
該膜電極接合体について、発電特性および加湿度変動耐性を評価した。結果を表1に示す。20000回経過後の窒素透過量は、初期値と比較して著しく増大した。
また、例1と同様にして90度剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005522239
本発明の製造方法で得られた膜電極接合体は、広範囲な電流密度において、高い出力電圧を有することから、自動車等の移動体用電源、分散発電システム、家庭用コージェネレーションシステム等として用いられる固体高分子形燃料電池にきわめて有用である。
10 膜電極接合体
12 触媒層
14 ガス拡散層
16 塗工液層
18 剥離層
20 第1の電極
22 第1の電極
30 第2の電極
32 第2の電極
40 高分子電解質膜
50 基材フィルム
60 膜電極接合体
70 膜電極接合体

Claims (4)

  1. 剥離層、触媒層およびガス拡散層を順に有する第1の電極と、
    触媒層およびガス拡散層を有する第2の電極と、
    前記第1の電極の剥離層と前記第2の電極の触媒層との間に配置される高分子電解質膜と
    を備える固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法であり、
    下記の工程(a’)、工程(b)、工程(c)および工程(g)を有する、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
    (a’)基材フィルムの表面に形成された剥離層の上に、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む塗工液を塗工して塗工液層を形成する工程。
    (b)工程(a’)で形成された塗工液層の上に、ガス拡散層を被せた後、該塗工液層を乾燥して触媒層を形成する工程。
    (c)工程(b)の後、前記剥離層から基材フィルムを剥がして前記第1の電極を得る工程。
    (g)工程(c)で得られた第1の電極と、第2の電極と、高分子電解質膜とを、前記第1の電極の剥離層と前記高分子電解質膜とが接するように、かつ前記第2の電極の触媒層と前記高分子電解質膜とが接するように加熱接合する工程。
  2. 剥離層、触媒層およびガス拡散層を順に有する第1の電極と、
    剥離層、触媒層およびガス拡散層を順に有する第2の電極と、
    前記第1の電極の剥離層と前記第2の電極の剥離層との間に配置される高分子電解質膜と
    を備える固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法であり、
    下記の工程(a’)、工程(b)〜工程(g)を有する、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
    (a’)基材フィルムの表面に形成された剥離層の上に、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む塗工液を塗工して塗工液層を形成する工程。
    (b)工程(a’)で形成された塗工液層の上に、ガス拡散層を被せた後、該塗工液層を乾燥して触媒層を形成する工程。
    (c)工程(b)の後、前記剥離層から基材フィルムを剥がして前記第1の電極を得る工程。
    (d’)基材フィルムの表面に形成された剥離層の上に、電極触媒およびイオン交換樹脂を含む塗工液を塗工して塗工液層を形成する工程。
    (e)工程(d’)で形成された塗工液層の上に、ガス拡散層を被せた後、該塗工液層を乾燥して触媒層を形成する工程。
    (f)工程(e)の後、前記剥離層から基材フィルムを剥がして前記第2の電極を得る工程。
    (g)工程(c)で得られた第1の電極と、工程(f)で得られた第2の電極と、高分子電解質膜とを、前記剥離層と前記高分子電解質膜とが接するように、加熱接合する工程。
  3. 前記剥離層が、イオン交換樹脂を含み、前記剥離層の厚さが、0.1〜5μmである、請求項1または2に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
  4. 前記電極触媒が、貴金属を含み、前記触媒層の単位面積あたりの貴金属の量が、0.01〜0.5mg/cmである、請求項1〜3のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
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