JP5489521B2 - ゴム組成物及びその製造方法 - Google Patents
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また、補強材としてナノオーダの微細な繊維を用いた場合、その補強性は粒状補強材をはるかに凌ぐ補強性能を有し、このような繊維状補強材をゴムとの界面を適切に設計し複合化することで、耐久性、剛性に優れた繊維補強ゴムが得られ、タイヤ製品等の耐久化、軽量化などの大きなメリットを示すことが知られている。
従って、本発明は、セルロース繊維からなる補強材のゴム成分への親和性及び補強性を高めて十分な耐久性及び剛性を発揮するゴム組成物及びその製造方法を提供することにある。
即ち、本発明に係るゴム組成物及びその製造方法は、以下の(1)乃至(5)に記載される構成或いは手段を特徴とするものである。
(2)上記セルロース繊維は、平均繊維径が1〜1000nmの範囲にあり、平均繊維長さが0.1〜100μmの範囲にあるセルロースナノ繊維である(1)に記載のゴム組成物。
(3)上記(1)又は(2)の何れかの項に記載のゴム組成物の製造方法において、上記セルロース繊維を変性セルロース繊維とし、ゴムラテックスと、水に分散させた該変性セルロース繊維のスラリーとを混合した後、混合液を乾燥して水を除去して得ることを特徴とするゴム組成物の製造方法。
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分中に、セルロース繊維を含むゴム組成物において、該セルロース繊維を変性させて、ゴム成分中に該変性セルロース繊維を混合する。
ゴム成分は大別して、天然ゴム、及び合成ゴムから選択され、両者を混合使用しても良い。合成ゴムは、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、ジエン系ゴムが好ましく、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、及びブチルゴム等がある。
ここで、平均繊維径及び平均繊維長さは、繊維をエチレングリコール溶液中に分散させ、細孔電気抵抗法(コールター原理法)により計測する。
また、上記セルロースナノ繊維等はゴム成分100質量部に対して、1〜50質量部の範囲、特に、3〜20質量部の範囲で含まれることが好ましい。繊維の量が少ないと補強効果が十分でなく、逆に多いとゴムの加工性が悪くなってくる。
このようなことから、本発明の変性セルロース繊維に使用する変性物はイソシアネート基とビニル基を含む化合物であることが好ましい。
このようなイソシアネート系化合物としてはイソシアナトアルキルアクリレート等が好ましく、アルキルの炭素数nが1乃至6の範囲の低級アルキルが好ましい。具体的には、2−イソシアナトエチルアクリレート、3−イソシアナトプロピルアクリレートなどを挙げることができる。尚、ビニル基を形成するものとして、その作用効果を発揮する範囲の化合物である限り、アクリレートに限る必要はない。
このような変性化合物は、セルロースの1単位(水酸基6個)当たり、平均で2〜6個の範囲、特に3〜6個の範囲で化合物が水酸基に結合したものであることが好ましい。このような範囲にある変性セルロース繊維あれば、変性化合物がセルロースとゴム成分との間に十分な結合を形成して補強性を向上する。
また、重合触媒を適宜用いることができる。重合触媒としては、CuCl/2,2−ビピリジン、CuBr/2,2−ビピリジン、CuCl/4、4−ジ−n−へプチル−2,2−ビピリジン、CuBr/4,4−ジ−n−へプチル−2,2−ビピリジンなどが、ATRP法の重合触媒として好適に用いられる。
上記変性セルロース繊維は、その変性物のビニル基から架橋が開始される。即ち、図2に示すように、重合開始剤を付与した後、上記モノマー及びポリマーの重合架橋を行う。
本発明において、混合液から水を除去するのには、例えば、オーブン乾燥、凍結乾燥、噴露乾燥などの一般的方法によることができる。
本発明における上記混合液の固形分濃度には特に限定はないが、40質量%以下であるのが好ましく、更に5〜15質量部の範囲にあるのが好ましい。この固形分濃度が40質量%を超えると、混合液の粘度が高くなり過ぎ、変性繊維の分散性が低下する。
またゴム組成物に、上記ゴム成分100質量部に対してカーボンブラックが40質量部以上、更には40乃至100質量部、特に、50乃至100質量部配合させることが好ましい。カーボンブラックは、通常ゴム業界で用いられるものから適宜選択することができ、例えば、SRF、GPF、FER、HAF、ISAF等を挙げることができるが、中でもGPF、HAFが物性とコストのバランスの面から好ましい。
<セルロース繊維の変性処理および繊維複合ゴムの製造方法>
セルロース繊維のスラリー(平均繊維径100nm、平均繊維長45μm、固形分濃度:5質量%のものを使用)繊維1500gを、溶媒アセトン中で分散させ、イソシアネート−ビニル化合物としてカレンズMOI(昭和電工社製)を50g添加して、高速混合ホモジナイザー中で毎秒3000回転で10分間混合し、セルロース−イソシアネート混合物を得た。これを温度60℃で攪拌しながら反応させ、イソシアネート変性セルロースを得た。
天然ゴムラテックス(固形分濃度:60質量%)500gを混合し、高速混合ホモジナイザー中で毎秒3000回転で5分間混合した後、これをバットに展開し、温度100℃オーブン中にて乾燥固化させ、セルロース繊維複合天然ゴムを得た(繊維複合ゴム)。
繊維複合ゴムのゴム成分100質量部に対して、下記の表1に示す構成により、ラボ混練機により通常の混練を行い、得られた混合物を加圧プレス加硫し、厚さ2mmのゴムシートを得た。
評価試験
ゴムシートを所定のダンベルを打ち抜いき、ASTM D412に準じた加硫ゴムの張り試験を行い、破断応力(300%モジュラス)と破断歪み(破壊強度)を測定した。測定値は、比較例1の値を100として、それぞれの実施例の値をそのインデックス表示としたものである。指数値が大きい程、弾性率及び破壊強度が大きいことを示す。
Claims (3)
- ゴム成分中に、セルロース繊維を含むゴム組成物において、該セルロース繊維をイソシアネート基とビニル基と有する化合物で該セルロース繊維の水酸基に該イソシアネート基を反応結合させ変性させて、ゴム成分中に該変性セルロース繊維をゴム成分100質量部に対して、1〜50質量部の範囲で混合することを特徴とするゴム組成物。
- 上記セルロース繊維は、平均繊維径が1〜1000nmの範囲にあり、平均繊維長さが0.1〜100μmの範囲にあるセルロースナノ繊維である請求項1に記載のゴム組成物。
- 上記請求項1又は2の何れかの項に記載のゴム組成物の製造方法において、上記セルロース繊維を変性セルロース繊維とし、ゴムラテックスと、水に分散させた該変性セルロース繊維のスラリーとを混合した後、混合液を乾燥して水を除去して得ることを特徴とするゴム組成物の製造方法。
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