JP5471616B2 - 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 - Google Patents
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Description
リチウムイオン二次電池の電解液としては、LiPF6、LiBF4、LiN(CF3SO2)2、LiCF3(CF2)3SO3等の電解質を、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の高誘電率溶媒と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の低粘度溶媒との混合溶媒に溶解させた非水系電解液が代表例として挙げられる。
特許文献1では、リチウム二次電池において、有機フッ素化エーテル化合物を電解液に用いることにより、サイクル寿命が長くなることが提案されている。
特許文献3では、特定の構造を持つハロゲン置換エーテルを含有した電解液を用いることにより、サイクル特性や保存特性等が優れることが提案されている。
特許文献5には、フッ素原子を有するエーテル類と、モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩を含有する電解液を用いることで、出力特性やサイクル特性に優れることが提案されている。
高容量化する方法として、例えば、電極の活物質層を加圧して高密度化して、電池内部の活物質以外の占める体積を極力少なくする方法や、正極の利用範囲を広げて高電位まで使用する方法が検討されている。しかし、電極の活物質層を加圧して高密度化すると、活物質を均一に使用することができにくくなり、不均一な反応により一部リチウムが析出したり、活物質の劣化が促進されたりして、十分な特性が得られないという問題が発生しやすくなる。また、正極の利用範囲を広げて高電位まで使用すると、正極の活性は更に高くなり、正極と電解液との反応により劣化が促進される問題が発生しやすくなる。特に充電状態において高温条件下で保存した場合、電極と電解液との副反応により、電池容量が低下することが知られており、保存特性を改良するために、非水系溶媒や電解質について種々の検討がなされている。
よって、高温保存特性については、ガス発生を抑制することが求められるが、特許文献1〜5に記載されている電解液を用いた非水系電解液二次電池では、満足しうるものではなかった。
本発明は、上記従来の問題を解決すべくなされたものであり、初期効率、低温放電特性に優れ、且つ高温保存時のガス発生量が抑制された非水系電解液二次電池に用いるための非水系電解液と、この非水系電解液を用いた非水系電解液二次電池を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の要旨は、下記に存する。
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液とを備える非水系電解液二次電池に用いられる非水系電解液であって、該非水系電解液が、CF 3 CH 2 OCF 2 H、CF 2 HCH 2 OCF 2 H、CF 3 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CH 2 OCF 2 CH 3 、CF 2 HCH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 2 HCH 2 OCH 2 CF 2 H、CF 2 HCH 2 OCF 2 CH 3 、CF 3 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 2 HCF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CFH 2 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 CF 2 H、CF 2 HCF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 CF 2 H、CF 2 HCH 2 OCH 2 OCF 3 、CF 2 HCH 2 OCH 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CH 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CF 3 、CF 3 CH 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CF 3 、CF 3 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 3 、CF 3 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CF 3 、CF 2 HCH 2 OCH 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CF 2 OCF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H及びCF 3 CH 2 OCF(C 2 F 5 )CF 2 Hよりなる群より選ばれる少なくとも一種のフッ素置換エーテル及び、モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩を含有することを特徴とする非水系電解液。
(3)エチレンカーボネート及び炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物以外の環状カーボネート化合物として、化学式(II)で表される環状カーボネートを含有することを特徴とする上記(2)に記載の非水系電解液。
(4)更に、モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩を含有することを特徴とする上記(2)又は(3)に記載の非水系電解液。
(5)リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液二次電池であって、該非水系電解液が上記(1)〜(4)のいずれかに記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
<非水系電解液>
本発明の請求項1に係る非水系電解液は、一般的な非水系電解液と同様に、通常はその主成分として、電解質及びこれを溶解する非水溶媒を有し、更に化学式(I)で表されるフッ素置換エーテル及び、モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩を非水系電解液中に含有する。
CF3CH2OCF2H
CF3CH2OCFH2
CF2HCH2OCF2H
CF2HCH2OCFH2
CF3CH2OCF2CF2H
CF3CH2OCH2CF2H
CF3CH2OCF2CH3
CF2HCH2OCF2CF2H
CF2HCH2OCH2CF2H
CF2HCH2OCH2CFH2
CF2HCH2OCF2CH3
CF3CF2CH2OCF2CF2H
CF2HCF2CH2OCF2CF2H
CFH2CF2CH2OCF2CF2H
CF3CF2CH2OCF2CF2CF2H
CF2HCF2CH2OCF2CF2CF2H
CF2HCF2CH2OCH2CF2CF2H
CF2HCF2CH2OCH2CH2CF2H
CF3CH2OCH2OCF3
CF2HCH2OCH2OCF3
CF3CH2OCH2OCH3
CF2HCH2OCH2CH2OCH3
CF2HCH2OCH2CH2OCF3
CF2HCH2OCH2CH2OCF2CF2H
CF3CH2OCF2CF2OCF2CF3
CF3CH2OCF2CF2OCF2CF2H
CF3CH2OCH2CH2OCH2CF3
CF3CH2OCH2CH2OCH2CH3
CF3CH2OCH2CH2OCH2CH2CF3
CF3CH2OCH2CH2OCH2CH2CH3
CF2HCH2OCH2CH2OCF2CF2H
CF2HCH2OCF2CH2OCF2CF2H
CF3CF2OCF2CH2OCF2CF2H
CF3CH2OCF(CF3)CF2H
CF3CH2OCF(CF2H)CF2H
CF3CH2OCF(C2F5)CF2H
中でも、
CF3CH2OCF2H
CF2HCH2OCF2H
CF3CH2OCF2CF2H
CF3CH2OCF2CH3
CF2HCH2OCF2CF2H
CF2HCH2OCH2CF2H
CF2HCH2OCF2CH3
CF3CF2CH2OCF2CF2H
CF2HCF2CH2OCF2CF2H
CFH2CF2CH2OCF2CF2H
CF3CF2CH2OCF2CF2CF2H
CF2HCF2CH2OCF2CF2CF2H
CF2HCH2OCH2OCF3
CF2HCH2OCH2CH2OCF2CF2H
CF3CH2OCF2CF2OCF2CF3
CF3CH2OCF2CF2OCF2CF2H
CF3CH2OCH2CH2OCH2CF3
CF3CH2OCH2CH2OCH2CH3
CF3CH2OCH2CH2OCH2CH2CF3
CF2HCH2OCH2CH2OCF2CF2H
CF3CF2OCF2CH2OCF2CF2H
CF3CH2OCF(C2F5)CF2H
が好ましく、更に、
CF2HCH2OCF2H
CF3CH2OCF2CF2H
CF2HCH2OCF2CF2H
CF2HCH2OCH2CF2H
CF3CF2CH2OCF2CF2H
CF2HCF2CH2OCF2CF2H
CF2HCH2OCH2OCF3
CF2HCH2OCH2CH2OCF2CF2H
CF3CH2OCH2CH2OCH2CF3
CF3CH2OCH2CH2OCH2CH3
CF3CH2OCH2CH2OCH2CH2CF3
CF3CF2OCF2CH2OCF2CF2H
CF3CH2OCF(C2F5)CF2H
が好ましい。
本発明の請求項1に係る非水系電解液はモノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩を含有する。
モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩のカウンターカチオンとしては特に限定はないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び、NR1R2R3R4(式中、R1〜R4は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜12の有機基を表わす。)で表されるアンモニウム等が例示として挙げられる。
一般に化学式(I)で表されるフッ素置換エーテルを使用することにより放電時の抵抗が増加するが、モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩と併用することにより、放電時の抵抗上昇を抑制できるので好ましい。
本発明の請求項1に係る非水系電解液中におけるモノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩の割合は、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、更に好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは0.2重量%以上であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは2重量%以下である。これよりも濃度が低すぎると、本発明の効果がほとんど発現しない場合がある。逆に濃度が高すぎると、低温下で析出しやすくなる。
非水系電解液中のエチレンカーボネートの体積は他の環状カーボネート化合物の体積の合計量より少ない。エチレンカーボネートの体積を他の環状カーボネート化合物の体積の合計量より少なくすることにより、エチレンカーボネートが電極上で副反応を起こすことによる、ガス発生を抑制することができる。
炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物としては、例えば、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、1,2−ジメチルビニレンカーボネート、1,2−ジエチルビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、トリフルオロメチルビニレンカーボネート等のビニレンカーボネート化合物;ビニルエチレンカーボネート、1−メチル−2−ビニルエチレンカーボネート、1−エチル−2−ビニルエチレンカーボネート、1−n−プロピル−2−ビニルエチレンカーボネート、1−メチル−2−ビニルエチレンカーボネート、1,1−ジビニルエチレンカーボネート、1,2−ジビニルエチレンカーボネート等のビニルエチレンカーボネート化合物;1,1−ジメチル−2−メチレンエチレンカーボネート、1,1−ジエチル−2−メチレンエチレンカーボネート等のメチレンエチレンカーボネート化合物;エチニルエチレンカーボネート、1,2−ジエチニルエチレンカーボネート等のエチニルエチレンカーボネート化合物、1,2−ジフェニルカーボネート、1,2−ジ(フェニルシクロヘキシル)エチレンカーボネート、1,2−ジ(ビフェニル)エチレンカーボネート、等のアリール基を有したエチレンカーボネート化合物が挙げられる。これらのうち、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1,2−ジビニルエチレンカーボネートがサイクル特性や高温保存後の容量維持特性向上の点から好ましく、中でもビニレンカーボネート又はビニルエチレンカーボネートがより好ましく、特にビニレンカーボネートが好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
非水系電解液中における炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物の割合は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは0.3重量%以上、最も好ましくは0.5重量%以上である。炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物が少なすぎると、電池のサイクル特性や高温保存後の容量維持特性を向上させるという効果を十分に発揮できない場合がある。しかし、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物の含有量が多すぎると、高温保存時にガス発生量が増大したりする場合があるので、通常8重量%以下、好ましくは4重量%以下、特に好ましくは3重量%以下である。
(非対称の環状カーボネート化合物)
非対称の環状カーボネート化合物としては、例えば、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、4,4−ジメチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン、4−エチル−5‐メチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン、4,4,5‐トリメチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン、4−プロピチル‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−メチル−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−オン、等が挙げられる。
フッ素原子を有する環状カーボネート化合物としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート、1,2−ジフルオロエチレンカーボネート、1,1−ジフルオロエチレンカーボネート、1,1,2−トリフルオロエチレンカーボネート、テトラフルオロエチレンカーボネート、1−フルオロ−2−メチルエチレンカーボネート、1−フルオロ−1−メチルエチレンカーボネート、1,2−ジフルオロ−1−メチルエチレンカーボネート、1,1,2−トリフルオロ−2−メチルエチレンカーボネート、1,1−ジフルオロ−2,2−ジメチルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。
非水溶媒は、本発明を逸脱しない範囲で、非水系電解液の溶媒として公知のものの中から適宜選択して用いることができる。例えば、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、環状カルボン酸エステル類、鎖状カルボン酸エステル類、含硫黄有機溶媒、含燐有機溶媒等が挙げられる。
環状カーボネート類としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルエチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−メチル−5−プロピル−1,3−ジオキサン−2−オン、ネオペンチレンカーボネート等の炭素数2〜8のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート類が挙げられ、これらの中では、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが電池特性向上の点から好ましい。また、これらの化合物の水素の一部をフッ素で置換していてもよい。
具体的には例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート等の対称鎖状アルキルカーボネート類;エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート等の非対称鎖状アルキルカーボネート類等のジアルキルカーボネートが挙げられる。中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが電池特性向上の点から好ましい。
鎖状エーテル類としては、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等及び、これらの化合物の水素の一部をフッ素で置換した化合物が挙げられる。
環状カルボン酸エステル類としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等及びこれらの化合物の水素の一部をフッ素で置換した化合物が挙げられる。
含燐有機溶媒としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸メチルジエチル、リン酸エチレンメチル、リン酸エチレンエチル等及びこれらの化合物の水素の一部をフッ素で置換した化合物が挙げられる。
本発明の請求項1に係る非水系電解液において、非水溶媒の好ましい組合せの一つは、エチレンカーボネートとジアルキルカーボネートを主体とする組合せである。なかでも、非水溶媒に占めるエチレンカーボネートとジアルキルカーボネートとの合計が、70容量%以上、好ましくは80容量%以上、より好ましくは90容量%以上であり、かつエチレンカーボネートとジアルキルカーボネートとの合計に対するエチレンカーボネートの割合が5容量%以上、好ましくは10容量%以上、より好ましくは15容量%以上であり、通常50容量%以下、好ましくは35容量%以下、より好ましくは30容量%以下、更に好ましくは25容量%以下のものである。これらの非水溶媒の組み合わせを用いると、これを用いて作製された電池のサイクル特性と高温保存特性(特に、高温保存後の残存容量及び高負荷放電容量)のバランスが良くなるので好ましい。
プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの容量比(エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート)は、0.4以上が好ましく、より好ましくは1.0以上、特に好ましくは1.5以上である。更に、非水溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの割合は、下限は、通常0.1容量%以上、好ましくは1容量%以上、より好ましくは2容量%以上、また上限は、通常20容量%以下、好ましくは8容量%以下、より好ましくは5容量%以下である。この濃度範囲でプロピレンカーボネートを含有すると、エチレンカーボネートとジアルキルカーボネートとの組み合わせの特性を維持したまま、更に低温特性が優れるので好ましい。
全非水溶媒中に占めるジメチルカーボネートのエチルメチルカーボネートに対する容量比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)の下限値は、電解液の電気伝導度の向上と保存後の電池特性を向上させるため、1.1以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.5以上が更に好ましい。容量比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)の上限値は、低温での電池特性を向上させるため、40以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、8以下が特に好ましい。
好ましい非水溶媒の他の例は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートよりなる群から選ばれた1種の有機溶媒、又は該群から選ばれた2以上の有機溶媒からなる混合溶媒が全体の40容量%以上を占めるものである。この混合溶媒を用いた非水系電解液は、高温で使用しても溶媒の蒸発や液漏れが少なくなる。中でも、非水溶媒に占めるエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの合計が、50容量%以上、好ましくは60容量%以上、更に好ましくは70容量%以上であり、かつエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの容量比(エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート)が1.0以下、好ましくは0.9以下であるものを用いると、一般にサイクル特性と高温保存特性等のバランスがよくなる。
本発明の請求項3に係る非水系電解液において、非水溶媒の好ましい例は、エチレンカーボネート、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、に加え、フルオロエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びフルオロエチレンカーボネートよりなる群から選ばれた1種以上の有機溶媒と、ジアルキルカーボネート類の組み合わせである。中でも、非水溶媒に占めるジアルキルカーボネート類が、20容量%以上、好ましくは30容量%以上、更に好ましくは40容量%以上であるものを用いると、高温保存特性と低温放電特性のバランスが良くなる。
なお、本明細書において、非水溶媒の容量は25℃での測定値であるが、エチレンカーボネートのように25℃で固体のものは融点での測定値を用いる。
本発明の非水系電解液に用いる電解質に制限は無く、目的とする非水系電解液二次電池に電解質として用いられるものであれば公知のものを任意に用いることができる。
本発明の非水系電解液をリチウム二次電池に用いる場合には、通常は、電解質としてリチウム塩を用いる。
電解質の具体例としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4等の無機リチウム塩;LiFSO3、LiCF3SO3、LiN(FSO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,2−テトラフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−ヘキサフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiC(CF3SO2)3、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、LiPF4(CF3SO2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩;リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート等の含ジカルボン酸錯体リチウム塩;等が挙げられる。
また、これらのリチウム塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。中でも、特定の無機リチウム塩の2種の併用や、無機リチウム塩と含フッ素有機リチウム塩との併用により、高温保存時のガス発生が抑制され、若しくは高温保存後の劣化が抑制されるので好ましい。
本発明に係る非水系電解液は、本発明の効果を損ねない範囲で、従来公知の過充電防止剤等の種々の他の化合物を助剤として含有していてもよい。
過充電防止剤としては、ビフェニル、2−メチルビフェニル、2−エチルビフェニル等のアルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、シス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、シス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート、トリフェニルホスフェート、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(3−t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(2−t−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(3−t−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(4−t−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(3−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(4−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、3−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の上記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物等が挙げられる。
非水系電解液中におけるこれらの助剤の含有割合は、本願発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上であり、通常8質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。この下限より低濃度では助剤の効果がほとんど発現しない場合がある。また、逆に濃度が高すぎると高負荷放電特性等の電池の特性が低下する場合がある。
また、上記助剤のうちフッ化ベンゼン、フッ化トルエンは溶媒としても使用することが可能であり、そのときのフッ化ベンゼンの濃度は、非水系電解液全体に対し8質量%以上、50質量%以下の範囲とすることが好ましい。
本発明の請求項1に係る非水系電解液は、非水溶媒に、電解質、化学式(I)で表されるフッ素置換エーテル、モノフルオロリン酸及び/又はジフルオロリン酸、必要に応じて他の化合物を溶解することにより調製することができ、本発明の請求項3に係る非水系電解液は、非水溶媒に、電解質、化学式(I)で表されるフッ素置換エーテル、エチレンカーボネート及び炭素―炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物を含む三種以上のカーボネート化合物、必要に応じて他の化合物を溶解することにより調製することができる。
本発明の非水系電解液は、非水系電解液電池の中でも二次電池用、即ち非水系電解液二次電池、例えばリチウム二次電池用の非水系電解液として用いるのに好適である。以下、本発明の非水系電解液を用いた非水系電解液二次電池について説明する。
本発明の非水系電解液二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が上記本発明の非水系電解液であることを特徴とするものである。
本発明に係る非水系電解液二次電池は、上記本発明の非水系電解液を用いて作製される以外は従来公知の非水系電解液二次電池と同様、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であり、通常、正極と負極とを上記本発明の非水系電解液が含浸されている多孔膜を介してケースに収納することで得られる。従って、本発明の非水系電解液二次電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はない。その具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。
これらの負極活物質は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。中でも好ましいものは炭素質材料、合金系材料である。
黒鉛は、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が0.335〜0.338nm、特に0.335〜0.337nmであるものが好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた結晶子サイズ(Lc)は、通常10nm以上、好ましくは50nm以上、特に好ましくは100nm以上である。灰分は、通常1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。
炭素質材料のBET法による比表面積は、通常0.3m2/g以上、好ましくは0.5m2/g以上、より好ましくは0.7m2/g以上、更に好ましくは0.8m2/g以上であり、通常25.0m2/g以下、好ましくは20.0m2/g以下、より好ましくは15.0m2/g以下、更に好ましくは10.0m2/g以下である。
また、金属単体又は合金を用いるよりは単位質量当りの容量には劣るものの、サイクル特性に優れることから、ケイ素及び/又はスズを含有する以下の化合物も好ましい。
・ケイ素及び/又はスズと窒素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下のケイ素及び/又はスズの窒化物。
・ケイ素及び/又はスズと炭素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下のケイ素及び/又はスズの炭化物。
また、これらの合金系材料は粉末のものでも薄膜状のものでもよく、結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
また、リチウムチタン複合酸化物のリチウムやチタンの一部が、他の金属元素、例えば、Na、K、Co、Al、Fe、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素で置換されているものも好ましい。
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
特に好ましい代表的な組成は、(a)ではLi4/3Ti5/3O4、(b)ではLi1Ti2O4、(c)ではLi4/5Ti11/5O4である。
また、Z≠0の場合の構造については、例えば、Li4/3Ti4/3Al1/3O4が好ましいものとして挙げられる。
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はない。リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましく、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
リチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属としてはV、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、LiCoO2等のリチウム・コバルト複合酸化物、LiNiO2等のリチウム・ニッケル複合酸化物、LiMnO2、LiMn2O4、Li2MnO3等のリチウム・マンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部を他の金属で置換したもの、即ち、LiCoO2等のリチウム・コバルト複合酸化物のCoの一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si等の他の金属で置換したもの、LiNiO2等のリチウム・ニッケル複合酸化物のNiの一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si等の他の金属で置換したもの、LiMnO2、LiMn2O4、Li2MnO3等のリチウム・マンガン複合酸化物のMnの一部をAl、Ti、V、Cr、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。置換されたものの中では、LiNi1-a-bMnaCobO2(a,bは0以上1未満の数字を表すが、a,bが共に0の場合を除く)、LiNi1-c-d-eCocAldMgeO2(c,d,eは0以上1未満の数字を表すが、c,d,eが共に0の場合を除く)が好ましく、更にはLiNi1-a-bMnaCobO2(0≦a<0.4、0≦b<0.4)、LiNi1-c-d-eCocAldMgeO2(0≦c<0.3、0≦d<0.1、0≦e<0.05)が好ましく、特にLiNi1/3Co01/3Mn1/3O2、LiNi0.5Co0.3Mn0.2O2、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.85Co0.10Al0.05O2、LiNi0.85Co0.10Al0.03Mg0.02O2が好ましい。
また、これら正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質(表面付着物質)が付着したものを用いることもできる。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
活物質を結着する結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安定な材料であれば、任意のものを使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等の不飽和結合を有するポリマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のアクリル酸系ポリマー等が挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、ガゼイン等が挙げられる。
電極の製造は、常法によればよい。例えば、負極又は正極活物質に、結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー化し、これを集電体に塗布、乾燥した後に、プレスすることによって形成することができる。
負極活物質に黒鉛を用いた場合、負極活物質層の乾燥、プレス後の密度は、通常1.45g/cm3以上であり、好ましくは1.55g/cm3以上、より好ましくは1.60g/cm3以上、特に好ましくは1.65g/cm3以上、である。
集電体としては各種のものが用いることができるが、通常は金属や合金が用いられる。負極の集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス等が挙げられ、好ましいのは銅である。また、正極の集電体としては、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属又はその合金が挙げられ、好ましいのはアルミニウム又はその合金である。
正極と負極の間には、短絡を防止するために多孔膜(セパレータ)を介在させる。この場合、電解液は多孔膜に含浸させて用いる。多孔膜の材質や形状は、電解液に安定であり、かつ保液性に優れていれば、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等が好ましい。
本発明に係る電池に使用する電池の外装体の材質も任意であり、ニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミニウム又はその合金、ニッケル、チタン、ラミネートフィルム等が用いられる。
上記した本発明の非水系電解液二次電池の作動電圧は通常2V〜6Vの範囲である。
本発明に係る非水系電解液が、初期効率、低温放電特性や高温保存時の発生ガス量を抑制する理由は明らかではなく、また、本発明は下記作用機構に限定されるものではないが、次のように推察される。
化学式(I)で表されるフッ素置換エーテルは、負極上で還元され負極表面上に安定な保護皮膜を形成し、電解液成分の副反応を抑制することで、充放電効率の上昇や高温保存時の発生ガス量の抑制の効果をもたらしているものと考えられる。且つ、蒸気圧が適切な範囲となることで、高温保存時の発生ガス量を抑制しているものと考えられる。また、化学式(I)で表されるフッ素置換エーテルは他の溶媒との相溶性に優れるため、低温下やリチウムイオン濃度が変化した場合などにも相分離を起こさず、放電特性が向上するものと考えられる。
尚、下記実施例及び比較例で得られた電池の各評価方法を以下に示す。
[初期効率評価]
非水系電解液二次電池を、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.2Cに相当する定電流で4.1Vまで充電した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。これを3サイクル行って電池を安定させた。次いで、0.7Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し初期充電容量を求めた。この後、0.2Cの定電流で3Vまで放電して、初期放電容量を求めた。初期充電容量に対する初期放電容量の割合を求め、これを初期効率(%)とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期容量評価試験の終了した電池を、25℃において0.7Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電した。次いで−10℃まで冷却させ、1Cの定電流で3Vまで放電し、低温放電容量を求めた。初期放電容量に対する低温放電容量の割合を求め、これを低温放電特性(%)とした。
初期効率評価試験の終了した電池を、25℃において0.7Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電した。次いで、エタノール浴中に浸して体積を測定した後、85℃で1日間保存した。
電池を25℃まで冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、保存前後の体積変化から発生したガス量を求めた。
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とブチレンカーボネート(BC)とエチルメチルカーボネート(EMC)と、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル(A1)の混合溶媒(容量比30:10:55:5)に、非水系電解液中の含有量としてジフルオロリン酸リチウム(B1)0.5質量%を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1モル/リットルの割合となるように溶解して電解液を調製した。
正極活物質としてのリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)94質量%と、導電材としてアセチレンブラック3質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.1g/cm3になるようにプレスして正極を作製した。
負極活物質として人造黒鉛粉末KS−44(ティムカル社製、商品名)98質量部に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)100質量部、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)2質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質層の密度が1.6g/cm3になるようにプレスして負極を作製した。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
この非水系電解液二次電池を用いて、初期効率評価試験、低温放電特性評価試験及び高温保存時発生ガス量評価試験を実施した。評価結果を表2に示す。
表1に記載した組成の非水系電解液を用いた以外は実施例1と同様にし、初期効率評価試験、低温放電特性評価試験及び高温保存時発生ガス量評価試験を実施した。評価結果を表2に示す。
EC:エチレンカーボネート
VC:ビニレンカーボネート
VEC:ビニルエチレンカーボネート
BC:ブチレンカーボネート
PC:プロピレンカーボネート
FEC:フルオロエチレンカーボネート
A1:1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル(CF2HCF2CH2OCF2CF2H)
A2:1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルエーテル(CF3CF2CH2OCF2CF2H)
A3:エトキシ−2,2,2−トリフルオロエトキシ−エタン(CF3CH2OCH2CH2OCH2CH3)
B1:ジフルオロリン酸リチウム
また、化学式(I)で表されるフッ素置換エーテルと、エチレンカーボネートと炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物を含む三種以上の環状カーボネートを含有し、且つエチレンカーボネートの体積が他の環状カーボネートの合計量より少ない範囲とすることで、初期効率、低温放電特性が向上し、且つ高温保存時発生ガス量が抑制されていることがわかる(実施例2、6)。
加えて、ジフルオロリン酸塩を同時に使用することにより更に、初期効率、低温放電特性が向上し、且つ高温保存時発生ガス量が抑制されることがわかる(実施例3〜5、7〜9)。
(実施例10)
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)と1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル(A1)の混合溶媒(容量比30:50:20)に、十分に乾燥したLiPF6を1モル/リットルの割合となるように溶解した。この電解液を25℃及び−10℃にて目視で確認したところ、相分離は観察されなかった。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)と1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルエーテル(A2)の混合溶媒(容量比30:50:20)に、十分に乾燥したLiPF6を1モル/リットルの割合となるように溶解した。この電解液を25℃及び−10℃にて目視で確認したところ、相分離は観察されなかった。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とエトキシ−2,2,2−トリフルオロエトキシ−エタン(A3)の混合溶媒(容量比30:50:20)に、十分に乾燥したLiPF6を1モル/リットルの割合となるように溶解した。この電解液を25℃及び−10℃にて目視で確認したところ、相分離は観察されなかった。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とノナフルオロブチルエチルエーテルの混合溶媒(容量比30:50:20)に、十分に乾燥したLiPF6を1モル/リットルの割合となるように溶解した。この電解液を25℃及び−10℃にて目視で確認したところ、いずれの温度においても相分離が観察された。
Claims (5)
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液とを備える非水系電解液二次電池に用いられる非水系電解液であって、該非水系電解液が、CF 3 CH 2 OCF 2 H、CF 2 HCH 2 OCF 2 H、CF 3 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CH 2 OCF 2 CH 3 、CF 2 HCH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 2 HCH 2 OCH 2 CF 2 H、CF 2 HCH 2 OCF 2 CH 3 、CF 3 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 2 HCF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CFH 2 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 CF 2 H、CF 2 HCF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 CF 2 H、CF 2 HCH 2 OCH 2 OCF 3 、CF 2 HCH 2 OCH 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CH 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CF 3 、CF 3 CH 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CF 3 、CF 3 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 3 、CF 3 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CF 3 、CF 2 HCH 2 OCH 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CF 2 OCF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H及びCF 3 CH 2 OCF(C 2 F 5 )CF 2 Hよりなる群より選ばれる少なくとも一種のフッ素置換エーテル及び、モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩を含有することを特徴とする非水系電解液。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液とを備える非水系電解液二次電池に用いられる非水系電解液であって、CF 3 CH 2 OCF 2 H、CF 2 HCH 2 OCF 2 H、CF 3 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CH 2 OCF 2 CH 3 、CF 2 HCH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 2 HCH 2 OCH 2 CF 2 H、CF 2 HCH 2 OCF 2 CH 3 、CF 3 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 2 HCF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CFH 2 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 CF 2 H、CF 2 HCF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 CF 2 H、CF 2 HCH 2 OCH 2 OCF 3 、CF 2 HCH 2 OCH 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CH 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CF 3 、CF 3 CH 2 OCF 2 CF 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CF 3 、CF 3 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 3 、CF 3 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CF 3 、CF 2 HCH 2 OCH 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H、CF 3 CF 2 OCF 2 CH 2 OCF 2 CF 2 H及びCF 3 CH 2 OCF(C 2 F 5 )CF 2 Hよりなる群より選ばれる少なくとも一種のフッ素置換エーテルと、エチレンカーボネート及び炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物を含む三種以上の環状カーボネート化合物を含有し、且つエチレンカーボネートの体積が他の環状カーボネート化合物の合計量より少ないことを特徴とする非水系電解液。
- 更に、モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩を含有することを特徴とする請求項2又は3に記載の非水系電解液。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液二次電池であって、該非水系電解液が請求項1乃至4のいずれかに記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
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