JP5374171B2 - 非磁性一成分負帯電性トナーの製造方法および非磁性一成分負帯電性トナー - Google Patents

非磁性一成分負帯電性トナーの製造方法および非磁性一成分負帯電性トナー Download PDF

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Description

本発明は、非磁性一成分現像方式によって画像を形成する画像形成装置たとえば複写機またはプリンタに用いられる非磁性一成分負帯電性トナーの製造方法、およびその製造方法によって製造される非磁性一成分負帯電性トナーに関する。
コンピュータ、OA(Office Automation)機器などの性能向上に伴い、情報の出力機器として、高解像度の文字画像および図形画像などの画像を出力できる各種プリンタ、複写機が市販されている。これらの機器における画像形成方法としては、像担持体に静電荷像を形成し、電子写真用トナー(以下、単に「トナー」ということがある)を用いて静電荷像を現像してトナー像とし、このトナー像を記録媒体に転写して定着させる、いわゆる電子写真法が広く使用されている。
電子写真用トナーは、結着剤、着色剤、離型剤および帯電制御剤などを含有する、微細な粒子状のものである。
電子写真用トナーの製造方法の一種として、粉砕法が知られている。粉砕法は、まず結着剤、離型剤、着色剤および荷電制御剤などのトナー原料を混合して溶融混練し、得られた溶融混練物を冷却した後、粉砕して分級することによってトナー粒子を得る方法であり、比較的簡易な設備で、効率良く電子写真用トナーを製造できるという特長を有する。粉砕法では、より詳細には分級の後にさらにトナー粒子に流動化剤および抵抗制御剤などの外添剤を外添し、混合機で混合してトナー粒子表面に外添剤を付着させて電子写真用トナーを得る。
このように溶融混練物を粉砕することによってトナー粒子を生成して製造される電子写真用トナーは、粒子の形状が不定形となり、流動性が充分でないという問題を有している。このようなトナーを用いると、たとえば非磁性一成分現像法では、現像スリーブへのトナーの搬送性が充分でなくなり、追従不良やジッタが発生しやすくなる。「追従不良」とは、現像スリーブの回転にトナー補給(供給)が追従できず、画像濃度が低下する現象のことである。「ジッタ」とは、機械的負荷により現像スリーブやトナーの搬送速度が乱れ、画像に縞状の濃淡が発生する現象のことである。
また、粒子の形状が不定形であるトナー粒子からなる電子写真用トナーは、帯電量が不均一となり帯電量が低下するため、かぶりが発生する。ここで、「かぶり」とは、印刷画像の非画像部にトナーが転写されることにより、画像品位が低下してしまう現象のことである。
電子写真用トナーの流動性を向上させるための技術として、粉砕によって粒子化されたトナー粒子と、比表面積が80m/g以上であるシリカ微粒子とを、特定の比率で含む原料混合物を、特定の熱風処理装置を用いて特定条件下で加熱処理することによって電子写真用トナーを得る方法を本願出願人は提案している(たとえば、特許文献1参照)。
2008−119645号公報
特許文献1に開示の技術によれば、トナー粒子同士の融着およびトナー粒子表面へのシリカ微粒子の固着を抑えるとともに、トナー粒子を流動しやすい形状に成形することができ、充分な流動性を有する電子写真用トナーを得ることができる。
しかしながら、トナー粒子表面に離型剤が露出する場合がある。トナー粒子表面に露出した離型剤は、帯電ブレードや感光体表面に直接接触して付着または固着してしまい、これによって白抜け等の画像不良が生じやすくなる。また、トナー粒子同士の融着により生成した粗大粒子が多い場合、帯電ブレードに固着して、白抜け等の画像不良が生じやすくなる。
本発明は上記状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、充分な流動性を有するとともに、帯電ブレードや感光体に対する離型剤の付着または固着の発生を防止して、画像品質が良好となる非磁性一成分負帯電性トナーの製造方法、およびその製造方法によって製造される非磁性一成分負帯電性トナーを提供することである。
本発明者は、鋭意検討した結果、トナー粒子に対して所定量のシリカ微粒子を加えて混合攪拌した後、所定量のシリカ微粒子をさらに加えて混合攪拌して粒子混合物を得て、その粒子混合物に含まれるトナー粒子が所定の円形度となるように熱処理し、さらに所定の体積平均粒子径を有するアルミナ粒子を加えて混合攪拌することによって、帯電ブレードや感光体に対する離型剤の付着または固着の発生が防止される非磁性一成分負帯電性トナーが得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、結着剤、着色剤、離型剤および負帯電性荷電制御剤を含有し、粉砕によって粒子化された体積平均粒子径が4μm以上15μm以下のトナー粒子100質量部に対して、BET比表面積が100m /g以上400m /g以下のシリカ微粒子1〜3質量部を加えて混合攪拌し、シリカ微粒子が表面に被覆されたトナー粒子である被覆粒子を得る第1攪拌工程と、
前記トナー粒子100質量部に対して、第1攪拌工程で用いたシリカ微粒子と同じBET比表面積のシリカ微粒子0.2〜1質量部をさらに加えて混合攪拌し、前記被覆粒子とシリカ微粒子との粒子混合物を得る第2攪拌工程と、
第2攪拌工程で得られる前記粒子混合物に含まれるトナー粒子の円形度分布において、低円形度からの個数頻度の積算値が10%のときの円形度が0.925以上であり、かつ低円形度からの個数頻度の積算値が50%のときの円形度が0.97以上となるように前記粒子混合物を熱処理する熱処理工程と、
熱処理工程で熱処理された前記粒子混合物に対して、体積平均粒子径が0.1〜3μmのアルミナ粒子を加えて混合攪拌する後攪拌工程と、を含み、
前記熱処理工程では、
上部に冷却用エアを取入れるためのエア取入口が形成され、上部から内部空間に前記粒子混合物および熱風が供給される熱風処理槽と、
熱風処理槽の上部から内部空間に向けて熱風を噴射する熱風噴射ノズルと、
熱風噴射ノズルから噴射される熱風に向けて前記粒子混合物を噴射する原料噴射ノズルであって、前記粒子混合物が噴射される原料出口が形成される下端開口部が、熱風噴射ノズルの熱風が噴射される熱風出口が形成される下端開口部の内方側に、熱風噴射ノズルの下端開口部よりも上方に位置するように設けられる原料噴射ノズルと、
原料噴射ノズルから離隔して原料噴射ノズルを囲繞するように設けられ、内部に冷媒が流過する流路が形成される冷却ジャケットを含み、原料噴射ノズルと熱風噴射ノズルとを断熱する断熱機構と、
原料噴射ノズルの下端開口部の下方に原料噴射ノズルから離隔して設けられる衝突部材と、
原料噴射ノズルの外表面部と断熱機構の冷却ジャケットの内表面部とによって形成されるエア噴射流路の下端の開口から、衝突部材の原料噴射ノズルの下端開口部を臨む表面部に向けて分散用エアを噴射するエア噴射手段と、を備える熱風処理装置を用いて、前記粒子混合物を熱処理することを特徴とする非磁性一成分負帯電性トナーの製造方法である。
また本発明は、前記非磁性一成分負帯電性トナーの製造方法によって製造されることを特徴とする非磁性一成分負帯電性トナーである。
本発明によれば、非磁性一成分負帯電性トナー(以下、単に「トナー」ということがある)は、第1攪拌工程、第2攪拌工程、熱処理工程および後攪拌工程を経て製造される。第1攪拌工程では、トナー粒子100質量部に対して1〜3質量部のシリカ微粒子を加えて混合攪拌し、シリカ微粒子が表面に被覆されたトナー粒子である被覆粒子を得る。これによって、被覆粒子では、トナー粒子表面の離型剤の露出部分がシリカ微粒子で被覆されたトナーを得ることができる。そのため、離型剤由来の付着物または固着物が帯電ブレードや感光体表面に発生することが防止され、高品位の印刷画像を得ることができる。
次に、第2攪拌工程では、トナー粒子100質量部に対して0.2〜1質量部のシリカ微粒子をさらに加えて混合攪拌し、粒子混合物を得る。これによって、第1攪拌工程で得られた被覆粒子において、シリカ微粒子が表面に被覆されたトナー粒子間にシリカ微粒子を介在させて、熱処理工程における熱処理時にトナー粒子同士の融着が発生することを防止することができる。このように、トナー粒子同士の融着が発生することが防止されたトナーは、帯電ブレードに固着せず、高品位の印刷画像を得ることができる。
次に、熱処理工程では、第2攪拌工程で得られる粒子混合物に含まれるトナー粒子が、円形度(C10)が0.925以上であり、かつ円形度(C50)が0.97以上の粒子となるように、粒子混合物を熱処理する。このように、円形度(C50)が0.97以上のトナー粒子となるように熱処理されて得られるトナーは、充分な流動性を有するトナーとなり、かぶりの発生を防止することができるトナーとなる。また、円形度(C10)が0.925以上のトナー粒子となるように熱処理されて得られるトナーは、トナー粒子同士の融着が少ないトナーとなり、帯電ブレードに固着せず、高品位の印刷画像を得ることができる。
次に、後攪拌工程では、熱処理工程で熱処理された粒子混合物に対して、体積平均粒子径が0.1〜3μmのアルミナ粒子を加えて混合攪拌する。これによって、トナーの帯電量を大きくして、感光体かぶりの発生を防止することができる。
以上のように、第1攪拌工程、第2攪拌工程、熱処理工程および後攪拌工程を経てトナーを製造することによって、充分な流動性を有するとともに、トナー粒子表面の離型剤の露出を防止し、トナー粒子同士の融着を抑制して、帯電量を大きくしているため、白抜け、かぶり等が発生するのが防止された高品位の印刷画像を得ることができるトナーを製造することができる。
また本発明によれば、熱処理工程において、特定の熱風処理装置を用いて粒子混合物を熱処理することによって、トナー粒子が所定の円形度となるトナーを得ることができる。
また本発明によれば、非磁性一成分負帯電性トナーは、前述のように優れた非磁性一成分負帯電性トナーの製造方法によって製造される。したがって、充分な流動性を有するとともに、トナー粒子表面の離型剤の露出が防止され、トナー粒子同士の融着が抑制されて、帯電量を大きくすることができ、白抜け、かぶり等が発生するのが防止された高品位の印刷画像を得ることができる非磁性一成分負帯電性トナーが実現される。
本発明の実施の一形態である非磁性一成分負帯電性トナーの製造手順を示すフローチャートである。 本実施形態の加熱処理工程で用いられる熱風処理装置1の構成を示す断面図である。 図1に示す熱風処理装置1の熱風噴射ノズル12および原料噴射ノズル13を拡大して示す断面図である。 トナー粒子の円形度分布を説明するグラフである。
本発明の非磁性一成分負帯電性トナーは、トナー粒子、シリカ微粒子およびアルミナ粒子を含んで構成される。そして、本発明の実施の一形態である非磁性一成分負帯電性トナーの製造方法は、トナー粒子生成工程、第1攪拌工程、第2攪拌工程、熱処理工程および後攪拌工程を含む。図1は、本発明の実施の一形態である非磁性一成分負帯電性トナーの製造手順を示すフローチャートである。
[トナー粒子生成工程]
ステップs1のトナー粒子生成工程では、粉砕によってトナー粒子を生成する。トナー粒子は、結着剤、着色剤、離型剤および負帯電性荷電制御剤を含有する。
トナー粒子を構成する結着剤の材料としては、特に制限はなく、従来公知のものが使用できる。具体的には、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン系共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂材料を挙げることができる。これらの結着剤の材料は、1種を単独で用いることができ、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中でも、着色しやすく、鮮明な色彩のトナーが得られる点から、ポリエステル樹脂を用いることが特に好適である。したがって本実施形態ではポリエステル樹脂から成る結着剤を用いる。
トナー粒子を構成する着色剤の材料としては、特に制限はなく、従来公知のものが使用できる。具体的には、黒色の着色剤の材料としては、たとえばカーボンブラック、黒色を呈する磁性粉などを挙げることができ、シアン色の着色剤の材料としては、たとえば銅フタロシアニン、メチレンブルー、ビクトリアブルーなどを挙げることができ、マゼンタ色の着色剤の材料としては、たとえばローダミン染料、ジメチルキナクリドン、ジクロロキナクリドン、カーミンレッドなどを挙げることができ、イエロー色の着色剤の材料としては、たとえばベンジジンイエロー、クロムイエロー、ナフトールイエロー、ジスアゾイエローなどを挙げることができる。
本実施形態においてトナー粒子は、離型剤を含有する。トナー粒子に離型剤を含有させることによって、トナーの耐オフセット性を向上させ、オフセット現象を起こりにくくすることができる。離型剤の材料としては、特に制限はなく、従来公知のものが使用でき、具体的には、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、サゾールワックス、モンタン系エステルワックスなどを挙げることができる。
また、本実施形態においてトナー粒子は、負帯電性荷電制御剤を含有する。トナー粒子に負帯電性荷電制御剤を含有させることによって、トナーを効率的に帯電させることができる。負帯電性荷電制御剤の材料としては、特に制限はなく、従来公知のものが使用でき、具体的には、ニグロシン、塩基性染料、モノアゾ染料などの金属錯体、サリチル酸およびジカルボン酸などのカルボン酸の、クロムおよび鉄などの金属との金属錯体、有機染料などを挙げることができる。
トナー粒子は、本実施形態では粉砕によって粒子化されたものであり、トナー粒子生成工程において、上記構成材料を、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タービン型攪拌機などの高速攪拌機を用いて混合し、二軸押出機などの混練機を用いて混練した後、得られた混練物を粉砕機によって粉砕することによって得られる。混練物の粉砕に用いる粉砕機としては、特に制限はなく、たとえばジェットミル、ターボミルなどを挙げることができる。これらの中でも、ロータを用いて粉砕するロータ式粉砕機を使用することが好ましい。
トナー粒子は、後述する熱処理工程における熱処理によって、複数の粒子が融着することなく、個々に表面が平滑な粒子となるので、熱処理後のトナー粒子の大きさは、トナー粒子生成工程で得られるトナー粒子の大きさによって決定される。熱処理工程における熱処理後のトナー粒子は、体積平均粒子径が4μm以上15μm以下であることが好ましく、6μm以上10μm以下であることがより好ましい。したがって、熱処理工程に供するトナー粒子としては、トナー粒子生成工程における粉砕によって得られるトナー粒子から、熱処理後におけるトナー粒子の体積平均粒子径の好適な範囲として前述した範囲内に体積平均粒子径を有するものを分級によって分取して使用することが好ましい。
[第1攪拌工程]
ステップs2の第1攪拌工程では、トナー粒子生成工程において得られるトナー粒子に対して所定量のシリカ微粒子を加えて混合攪拌し、シリカ微粒子がトナー粒子表面の離型剤の露出部分に被覆されたトナー粒子である被覆粒子を得る。
第1攪拌工程において使用するシリカ微粒子としては、特に制限はないが、ジメチルジクロロシラン、シリコーンオイル、ヘキサメチレンジシラザンなどによって表面処理された、少なくともBET比表面積が100m/g以上のものが好ましい。シリカ微粒子のBET比表面積の上限は、特に制限されないが、一般に入手できるシリカ微粒子としては、BET比表面積の上限が400m/g程度である。したがって本実施形態では、シリカ微粒子のBET比表面積は、100m/g以上400m/g以下である。
なお、シリカ微粒子のBET比表面積は、BET法によって測定される。「BET法」とは、Brunauer、EmmettおよびTellerによって提案された理論に基づき、試料粒子表面へのガスの吸着量から試料の比表面積を求める方法である。本実施形態では、液体窒素温度における窒素ガスの吸着を利用してシリカ微粒子の比表面積を測定する。
第1攪拌工程では、シリカ微粒子とトナー粒子とを、高速混合装置を用いて混合攪拌し、被覆粒子を得る。高速混合装置としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどが挙げられる。高速混合装置は、これらに限定されるものではなく、粉体を混合できる装置であれば、どれでも高速混合装置として用いることができる。
本実施形態では、高速混合装置の混合攪拌槽内に、トナー粒子100質量部に対して、シリカ微粒子を1質量部以上3質量部以下の質量比の範囲内で添加する。このとき、混合攪拌槽の体積容量の30%以上60%以下の量となるように、トナー粒子およびシリカ微粒子を添加することが好ましい。
このように、第1攪拌工程では、トナー粒子100質量部に対してシリカ微粒子を1質量部以上3質量部以下の質量比の範囲内で添加して混合攪拌して被覆粒子を得るので、被覆粒子では、トナー粒子表面の離型剤の露出部分がシリカ微粒子で被覆されることになる。そのため、離型剤由来の付着物または固着物が帯電ブレードや感光体表面に発生することが防止され、白抜け等の発生が防止された高品位の印刷画像を得ることができる。
第1攪拌工程において、トナー粒子100質量部に対するシリカ微粒子の添加量が1質量部未満では、トナー粒子表面への離型剤の露出を抑制する効果が充分ではない。また、トナー粒子100質量部に対するシリカ微粒子の添加量が3質量部を超える場合には、トナー粒子表面に対するシリカ微粒子の被覆率が大きくなり過ぎて、後述する熱処理工程における熱処理によって効果的に所定の円形度を有するトナー粒子とすることができない。
そして、第1攪拌工程では、シリカ微粒子とトナー粒子とを、高速混合装置を用いて混合攪拌するとき、混合攪拌槽の温度(高速混合装置のチラー温度)を25度以下に設定し、高速混合装置の攪拌翼の先端部の周速度を1800〜3000m/minに設定した状態で、3分間以上20分間以下の範囲内で混合攪拌を実施することが好ましい。このような条件下でシリカ微粒子とトナー粒子とを混合攪拌することによって、シリカ微粒子が表面に被覆されたトナー粒子(被覆粒子)を得ることができる。
[第2攪拌工程]
ステップs3の第2攪拌工程では、トナー粒子100質量部に対して、シリカ微粒子を0.2質量部以上1質量部以下の質量比の範囲内でさらに添加して、高速混合装置を用いて混合攪拌し、第1攪拌工程において得られるシリカ微粒子が表面に被覆されたトナー粒子(被覆粒子)と、第2攪拌工程において添加するシリカ微粒子とからなる粒子混合物を得る。これによって、第1攪拌工程で得られたシリカ微粒子が表面に被覆されたトナー粒子間にシリカ微粒子を介在させて、後述する熱処理工程における熱処理時にトナー粒子同士の融着が発生することを防止することができる。このように、トナー粒子同士の融着が発生することが防止されたトナーは、帯電ブレードに固着せず、高品位の印刷画像を得ることができる。
第2攪拌工程において、トナー粒子100質量部に対するシリカ微粒子の添加量が0.2質量部未満では、後述する熱処理工程における熱処理時にトナー粒子同士の融着が発生することを防止する効果が充分ではない。また、トナー粒子100質量部に対するシリカ微粒子の添加量が1質量部を超える場合には、ランニング適性が低下する。
なお、第2攪拌工程において使用するシリカ微粒子は、前述した第1攪拌工程で使用するシリカ微粒子と同様のものを用いることができる。
そして、第2攪拌工程では、第1攪拌工程において得られるシリカ微粒子が表面に被覆されたトナー粒子(被覆粒子)と、第2攪拌工程において添加するシリカ微粒子とを、高速混合装置を用いて混合攪拌するとき、混合攪拌槽の温度(高速混合装置のチラー温度)を25度以下に設定し、高速混合装置の攪拌翼の先端部の周速度を1800〜3000m/minに設定した状態で、1分間以上3分間以下の範囲内で混合攪拌を実施することが好ましい。このような条件下で、第1攪拌工程において得られるシリカ微粒子が表面に被覆されたトナー粒子(被覆粒子)と、第2攪拌工程において添加するシリカ微粒子とを混合攪拌することによって、粒子混合物を得ることができる。
[熱処理工程]
ステップs4の熱処理工程では、第2攪拌工程で得られる粒子混合物に含まれるトナー粒子が所定の円形度となるように、熱風処理装置を用いて熱処理する。図2は、本実施形態の熱処理工程で用いられる熱風処理装置1の構成を示す断面図である。図2では、熱風処理槽11および熱風噴射ノズル12の断面構成を示し、原料噴射ノズル13およびホッパ部17については、図面が錯綜して理解が困難になるので、正面図を示す。図3は、図2に示す熱風処理装置1の熱風噴射ノズル12および原料噴射ノズル13を拡大して示す断面図である。
熱風処理装置1は、熱風処理槽11と、熱風噴射ノズル12と、原料噴射ノズル13と、断熱機構14と、衝突部材15と、エア噴射手段16とを含んで構成される。図2に示すように、熱風処理槽11は、略円筒状の処理槽本体21と、処理槽本体21の上部の開口を塞ぐ天板22とを含む。処理槽本体21は、その軸線方向が鉛直方向に一致するように配置される。鉛直方向をZ1方向と定義し、このZ1方向の反対方向をZ2方向と定義し、Z1方向とZ2方向とを含んでZ方向と定義する。処理槽本体21は、上部の開口径が下部の開口径よりも大きく、軸線方向における上部と下部との間の中間部が、下部に近づくに従って開口径が小径となるテーパ状に形成されている。
天板22は、処理槽本体21の上部に設けられている。処理槽本体21と天板22とによって形成される熱風処理槽11の内部空間には、第2攪拌工程で得られる粒子混合物および熱風が熱風処理槽11の上部から供給される。天板22は、略円板状に形成されており、その中央部の第1取入口部23には第1エア取入口が形成され、外周部の第2取入口部24には第2エア取入口が形成されている。この第1エア取入口および第2エア取入口を通して、冷却用エアが取入れられる。
熱風噴射ノズル12は、熱風処理槽11の上方に設けられている。熱風噴射ノズル12は、L字形状に屈曲して形成されており、その一端部である熱風出口が形成される下端開口部25の開口端面が、天板22の上面を含む仮想平面に含まれるように、より詳細には下端開口部25の開口端面および天板22の上面のZ方向における位置が一致するように配置されている。熱風噴射ノズル12の熱風出口および天板22の第1エア取入口は円形状に形成されており、熱風噴射ノズル12は、熱風出口の軸線が、第1エア取入口の軸線と一致するように配置されている。この下端開口部25に形成される熱風出口から熱風処理槽11内に熱風が噴射される。
図3に示すように、原料噴射ノズル13は、原料出口が形成される下端開口部26が、熱風噴射ノズル12の下端開口部25の内方側に位置するように設けられている。また原料噴射ノズル13の下端開口部26は、熱風噴射ノズル12の下端開口部25よりも上方、すなわちZ2方向側に位置するように設けられている。
原料噴射ノズル13の上部は、熱風噴射ノズル12の屈曲部37を貫通しており、外部に臨む上部には、粒子混合物を貯溜するホッパ部17が設けられている。ホッパ部17の下部にはディフューザ27が設けられており、ホッパ部17内にはディフューザ27に向けて圧縮エアを噴射するエア噴射ノズル28が設けられている。エア噴射ノズル28からディフューザ27に圧縮エアを噴射すると、ホッパ部17内に貯溜された粒子混合物が原料噴射ノズル13内へ吸引されて圧縮エアと混合され、その固気混合流体が原料噴射ノズル13の下端開口部26の原料出口から、熱風噴射ノズル12から噴射される熱風の中心部に向けて噴射される。
衝突部材15は、原料噴射ノズル13の下方、より詳細には原料噴射ノズル13の下端開口部26の下方に、原料噴射ノズル13から離隔して設けられている。衝突部材15を設けることによって、原料噴射ノズル13から噴射される粒子混合物を衝突によって分散させることができる。衝突部材15は、円板状に形成されている。
断熱機構14は、原料噴射ノズル13の外側に設けられている。断熱機構14を設けることによって、原料噴射ノズル13と熱風噴射ノズル12とを断熱し、熱風噴射ノズル12内を流動する熱風との接触によって、原料噴射ノズル13がトナー粒子の融点以上に昇温することを防止することができる。これによって、トナー粒子が溶融して原料噴射ノズル13の内面に付着して堆積することを防止することができる。
断熱機構14は、原料噴射ノズル13から離隔して原料噴射ノズル13を囲繞するように設けられる冷却ジャケット29を含む。断熱機構14は、原料噴射ノズル13の外側に設けられた内筒部14aと、内筒部14aの外側に設けられた外筒部14bとを含み、この内筒部14aと外筒部14bとによって冷却ジャケット29が形成されている。内筒部14aと外筒部14bとの間隙である冷却ジャケット29の流路には冷媒が流過する。断熱機構14は、冷却ジャケット29の下部には冷媒入口30が形成され、上部には冷媒出口31が形成されており、冷媒入口30から冷却ジャケット29内に冷媒を供給して原料噴射ノズル13を冷却し、冷却後の冷媒を冷媒出口31から流出させるようにしている。冷媒としては、−15℃のエチレングリコール50%水溶液が用いられる。冷媒は、これに限定されず、水または空気を冷媒として用いるようにしてもよい。
断熱機構14の内筒部14aの内周面部と原料噴射ノズル13の外周面部との間にはエア噴射通路32が形成されている。エア噴射通路32は、冷却ジャケット29の内表面部である内筒部14aの内周面部と、原料噴射ノズル13の外表面部である外周面部とによって形成されている。エア噴射通路32の上部にはエア入口33が形成されており、そのエア入口33からエア噴射通路32内に分散用エアである気体が供給される。エア噴射通路32内に供給された分散用エアは、エア噴射通路32内を下向き、すなわちZ1方向に流下して、下端の開口34から、衝突部材15の上面部である原料噴射ノズル13の下端開口部26を臨む表面部に向けて噴射される。
熱風処理装置1は、熱風噴射ノズル12から熱風処理槽11内に熱風を噴射するとともに、エア噴射通路32から衝突部材15に分散用エアを噴射し、かつ冷却ジャケット29内に冷媒を流動させる冷却状態において、原料噴射ノズル13から粒子混合物と圧縮エアとの固気混合流体を噴射する。
原料噴射ノズル13から粒子混合物が噴射されると、噴射された粒子混合物は衝突部材15に衝突する。その衝突およびエア噴射通路32から衝突部材15の上面部に向けて噴射される分散用エアによって、粒子混合物が熱風中に分散される。これによって粒子混合物を熱風と効果的に接触させることができるので、熱処理を効率的に行なうことができる。また熱風噴射ノズル12から噴射される熱風は、その中心部分、すなわち熱風出口の中心部分において、他の部分に比べて高温になっている。本実施形態では、熱風出口の軸線と原料出口の軸線とが一致している。そして、粒子混合物は、高温になっている熱風の中心部分に噴射されるので、熱風と効果的に接触することができ、その接触によってトナー粒子が熱処理されるとともにトナー粒子表面に被覆されている負帯電性のシリカ微粒子を固定化することができる。
本実施形態では、天板22に第1および第2エア取入口が形成されており、この第1エア取入口および第2エア取入口から熱風処理槽11内に冷却用エアが流入するので、この冷却用エアによって、熱処理された粒子混合物を素速く冷却することができる。また第2エア取入口から流入する冷却用エアによって熱風処理槽11の内面が冷却されるので、熱処理された粒子混合物は、熱風処理槽11の内面に付着することなく、熱風処理槽11の下部に形成される出口から排出される。
本実施形態では、原料噴射ノズル13の下端開口部26の開口端面は、熱風噴射ノズル12の下端開口部25の開口端面よりも上方に位置するように設けられる。すなわち原料噴射ノズル13の下端開口部26は、熱風噴射ノズル12の下端開口部25よりも、寸法Hだけ上方に位置するように設けられる。これによって、原料噴射ノズル13から噴射される粒子混合物は熱風と直ちに接触することができ、また粒子混合物が熱風の高温域で流動する時間を長くとることができるので、粒子混合物をより効果的に熱処理することができる。
図2および図3に示す熱風処理装置1としては、たとえば特開2004−276016号公報に開示されている球形化処理装置を用いることができ、具体的には、日本ニューマチック工業株式会社から表面改質機として市販されているメテオレインボー(商品名)などが挙げられる。特開2004−176016号公報に開示されている球形化処理装置では、反応槽が熱風処理槽に相当する。
以上のように熱処理工程では、第2攪拌工程で得られる粒子混合物に含まれるトナー粒子が所定の円形度となるように、熱風処理装置1を用いて熱処理する。
図4を用いて、トナー粒子の円形度について、具体的に説明する。図4は、トナー粒子の円形度分布を説明するグラフである。図4において横軸はトナー粒子の円形度を示し、縦軸は個数頻度の積算値(%)を示す。
図4に示すように、熱処理工程では、第2攪拌工程で得られる粒子混合物に含まれるトナー粒子の円形度分布において、低円形度からの個数頻度の積算値が10%のときの円形度C10が0.925以上(好ましくは0.94以上)であり、かつ低円形度からの個数頻度の積算値が50%のときの円形度C50が0.97以上(好ましくは0.975以上、より好ましくは0.98以上)となるように、粒子混合物を熱処理する。このように、トナー粒子が所定の円形度となるように熱処理されて得られるトナーは、かぶり、白抜け等が発生するのを防止することができるトナーとなる。
ここで、トナー粒子の円形度は、下記式(1)によって算出される値であり、円形度が1.00であるトナー粒子は真球状である。
円形度=(トナー粒子投影像の円相当径から求めた円の周囲長)
/(トナー粒子投影像の周囲長) …(1)
また、熱風処理装置1における熱処理後に、トナー粒子が前述した円形度の範囲となるものを、分級機による分級によって分取するようにしてもよい。
[後攪拌工程]
ステップs5の後攪拌工程では、熱処理工程において熱処理された粒子混合物に対して、所定の体積平均粒子径を有するアルミナ粒子を添加して高速混合装置を用いて混合攪拌する。後攪拌工程において使用するアルミナ粒子の体積平均粒子径は、0.1μm以上3μm以下であり、好ましくは0.1μm以上1μm以下、より好ましくは0.1μm以上0.5μm以下である。このような所定の体積平均粒子径を有するアルミナ粒子を添加することによって、トナーの帯電量を大きくして、かぶりの発生を防止することができる。後攪拌工程において添加するアルミナ粒子の体積平均粒子径が0.1μm未満、または3μmを超える場合には、トナーの帯電量を大きくする効果が充分ではなく、かぶりの発生を充分に防止することができない。
また、後攪拌工程におけるアルミナ粒子の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.05質量部以上4質量部以下の質量比の範囲内であることが好ましい。トナー粒子100質量部に対するアルミナ粒子の添加量が0.05質量部未満では、トナーの帯電量を充分に大きくすることができず、感光体かぶりの発生を防止する効果が充分ではない。また、トナー粒子100質量部に対するアルミナ粒子の添加量が4質量部を超える場合には、現像するトナーカートリッジのローラーに付着し、画像不良が発生するので、好ましくない。
そして、後攪拌工程では、熱処理工程において熱処理された粒子混合物に対して、所定の体積平均粒子径を有するアルミナ粒子を添加して高速混合装置を用いて混合攪拌するとき、混合攪拌槽の温度(高速混合装置のチラー温度)を25℃以下に設定し、高速混合装置の攪拌翼の先端部の周速度を1800〜3000m/minに設定した状態で、アルミナ粒子が均一に混合できる時間、1分間以上10分間以下の範囲内、好ましくは1分間以上3分間以下の範囲内で混合攪拌を実施することが好ましい。このような条件下で、熱処理工程において熱処理された粒子混合物と、アルミナ粒子とを混合攪拌することによって、シリカ微粒子が表面に被覆されたトナー粒子(被覆粒子)と、アルミナ粒子とを含んで構成されるトナーを得ることができる。
以上のように、第1攪拌工程、第2攪拌工程、熱処理工程および後攪拌工程を経てトナーを製造することによって、充分な流動性を有するとともに、トナー粒子表面の離型剤の露出部分を被覆しているため、かぶりの発生、および帯電ブレードや感光体に対する離型剤の付着または固着の発生を防止する非磁性一成分負帯電性トナーを製造することができる。
(実施例)
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の記載内容に限定されるものではない。
[測定方法]
以下の実施例および比較例で用いたトナー粒子の円形度、トナーの体積平均粒子径は、以下のようにして測定した。
<トナー粒子の円形度>
シスメックス社製のFPIA−3000を用いて、トナー粒子の円形度分布を測定した。そして、測定したトナー粒子の円形度分布において、低円形度からの個数頻度の積算値が10%のときの円形度C10、および低円形度からの個数頻度の積算値が50%のときの円形度C50を算出した。
<トナーの体積平均粒子径>
トナーの体積平均粒子径は、粒度分布測定装置(商品名:マルチサイザー(MULTISIZER) II、ベックマン コールター(BECKMAN COULTER)社製)を用い、口径100μmのアパーチャーチューブで測定した。
[非磁性一成分負帯電性トナーの製造]
<トナー粒子の生成>
結着剤として市販の非磁性カラートナー用ポリエステル樹脂(商品名:HP−325、日本合成化学工業株式会社製)10質量部と、着色剤としてマゼンタ色着色剤(ピグメントレッド57:1)5質量部とを加圧ニーダで溶融混合した後、熱ロールで溶融混練し、得られた混練物を冷却して固化させた後、粗砕してマスターバッチを得た。このマスターバッチ15質量部に、前述の非磁性カラートナー用ポリエステル樹脂10質量部と、非磁性トナー用ポリエステル樹脂(商品名:ET2900、エスケーケミカルズ(SK Chemicals)社製)80質量部と、負帯電性荷電制御剤としてアルキルサリチル酸亜鉛(商品名:ボントロン(BONTRON)E−84、オリエント化学工業株式会社製)2質量部と、離型剤としてポリエチレン(商品名:サンワックス161−P、三洋化成工業株式会社製)4質量部とを加えて混合した後、熱ロールで溶融混練して混練物を得た。この混練物を冷却して固化させた後、粉砕して分級を行い、体積平均粒子径8μmのトナー粒子A(非磁性)を得た。
<トナーの製造>
(実施例1)
第1攪拌工程では、高速混合装置(ヘンシェルミキサー、三井鉱山株式会社製)の混合攪拌槽(体積容量150L)に、前述のようにして生成した非磁性のトナー粒子Aの100質量部に対して、負帯電性のシリカ微粒子(商品名:R812S、BET比表面積220cm/g、日本アエロジル株式会社製)が1.5質量部となるように投入して、以下の攪拌条件で9分間混合攪拌した。このとき、トナー粒子Aの混合攪拌槽への投入量は、約75L(30kg)であった。
攪拌翼の羽根状:上羽根ST/下羽根A0
攪拌翼の先端部の周速度:上羽根2500m/min、下羽根2410m/min
混合攪拌槽の温度(チラー温度):20℃
次に、第2攪拌工程では、高速混合装置の混合攪拌槽内に、トナー粒子Aの100質量部に対して、第1攪拌工程で使用したものと同一のシリカ微粒子が0.5質量部となるようにさらに投入して、上記の攪拌条件で2分間混合攪拌して粒子混合物Aを得た。
次に、熱処理工程では、図2および図3に示す構成の熱風処理装置(商品名:メテオレインボーMR−10型、日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて、熱風温度Taが350℃、熱風風量Laが600lt/min、粒子混合物供給速度Wfが80g/minの条件で、粒子混合物Aの熱処理を行った。このとき、トナー粒子Aの円形度分布において、低円形度からの個数頻度の積算値が10%のときの円形度C10が0.930、低円形度からの個数頻度の積算値が50%のときの円形度C50が0.980であった。
次に、後攪拌工程では、高速混合装置の混合攪拌槽に、熱処理後のトナー粒子Aの100質量部に対して、体積平均粒子径0.3μmのアルミナ粒子が0.5質量部となるように投入して、上記の攪拌条件で2分間混合攪拌して、シリカ微粒子が表面に被覆されたトナー粒子Aと、アルミナ粒子とを含んで構成される、実施例1の非磁性一成分負帯電性トナーを得た。
(実施例2,3)
第1攪拌工程におけるシリカ微粒子の添加量を表1に示す値にそれぞれ変更する以外は実施例1と同様にして、実施例2,3の非磁性一成分負帯電性トナーを得た。
(実施例4,5)
第2攪拌工程におけるシリカ微粒子の添加量を表1に示す値にそれぞれ変更する以外は実施例1と同様にして、実施例4,5の非磁性一成分負帯電性トナーを得た。
(実施例6,7)
第1攪拌工程における混合攪拌時間を表1に示す値にそれぞれ変更する以外は実施例1と同様にして、実施例6,7の非磁性一成分負帯電性トナーを得た。
(実施例8,9)
第2攪拌工程における混合攪拌時間を表1に示す値にそれぞれ変更する以外は実施例1と同様にして、実施例8,9の非磁性一成分負帯電性トナーを得た。
(実施例10)
第1攪拌工程および第2攪拌工程において使用するシリカ微粒子の種類を、日本アエロジル株式会社製のR974(BET比表面積170cm/g)に変更する以外は実施例1と同様にして、実施例10の非磁性一成分負帯電性トナーを得た。
(実施例11)
熱処理工程における熱処理条件を表1に示す値にそれぞれ変更する以外は実施例1と同様にして、実施例11の非磁性一成分負帯電性トナーを得た。
(実施例12)
後攪拌工程において使用するアルミナ粒子の種類を、体積平均粒子径0.2μmのアルミナ粒子に変更する以外は実施例1と同様にして、実施例12の非磁性一成分負帯電性トナーを得た。
(実施例13)
後攪拌工程において使用するアルミナ粒子の種類を、体積平均粒子径3μmのアルミナ粒子に変更する以外は実施例1と同様にして、実施例13の非磁性一成分負帯電性トナーを得た。
(比較例1)
第1攪拌工程において、トナー粒子Aの100質量部に対して、シリカ微粒子の添加量を2.0質量部に変更し、第2攪拌工程を実施しないこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の非磁性一成分負帯電性トナーを得た。
(比較例2)
第1攪拌工程におけるシリカ微粒子の添加量を表1に示す値にそれぞれ変更する以外は実施例1と同様にして、比較例2の非磁性一成分負帯電性トナーを得た。
(比較例3)
後攪拌工程を実施せず、アルミナ粒子を添加しないこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の非磁性一成分負帯電性トナーを得た。
(比較例4)
熱処理工程における熱処理条件を表1に示す値にそれぞれ変更する以外は実施例1と同様にして、比較例4の非磁性一成分負帯電性トナーを得た。
[評価]
以上のようにして得られた実施例1〜13および比較例1〜4の非磁性一成分負帯電性トナーを、市販の非磁性一成分現像方式のカラープリンター(商品名:Color Laser Jet 4700dn、ヒューレットパッカード(HP)株式会社製)の現像槽に投入し、複数の印字部が均一に配置されたパターンのテスト画像を印刷した。なお、印刷用紙は市販の再生紙を用い、印刷時の環境は温度が約25℃で、湿度が約50%であった。
<初期かぶりの評価>
10枚印刷後、かぶりを25倍ルーペで観察し評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:感光体表面を25倍ルーペで観察し、9mmあたりの付着物の付着数が20個未満
×:感光体表面を25倍ルーペで観察し、9mmあたりの付着物の付着数が20個以上
<感光体に対する付着物の評価>
5K枚(5000枚)印刷後において、感光体表面に発生する付着物の量を目視にて評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:付着物が全くない
△:付着物が少しある
×:付着物が多く発生している
<帯電ブレードに対する付着物の評価>
5K枚(5000枚)印刷後において、帯電ブレード表面に発生する付着物の量を目視にて評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:付着物が全くない
△:付着物が少しある
×:付着物が多く発生している
以上の評価結果を表1に示す。表1には、各実施例および各比較例のトナーの製造における第1攪拌工程、第2攪拌工程、熱処理工程および後攪拌工程の製造条件を合わせて示す。
Figure 0005374171
表1に示すように、トナー粒子Aの100質量部に対して1質量部以上3質量部以下のシリカ微粒子を加えて混合攪拌した後、0.2質量部以上1質量部以下のシリカ微粒子をさらに加えて混合攪拌して粒子混合物を得て、その粒子混合物に含まれるトナー粒子が所定の円形度となるように熱処理し、さらに0.1μm以上3μm以下の体積平均粒子径を有するアルミナ粒子を加えて混合攪拌して得られた実施例1〜13の非磁性一成分負帯電性トナーは、かぶりの発生が防止されるとともに、帯電ブレードや感光体に付着物が発生するのが防止されたトナーであることがわかる。
1 熱風処理装置
11 熱風処理槽
12 熱風噴射ノズル
13 原料噴射ノズル
14 断熱機構
15 衝突部材
16 エア噴射手段
17 ホッパ部

Claims (2)

  1. 結着剤、着色剤、離型剤および負帯電性荷電制御剤を含有し、粉砕によって粒子化された体積平均粒子径が4μm以上15μm以下のトナー粒子100質量部に対して、BET比表面積が100m /g以上400m /g以下のシリカ微粒子1〜3質量部を加えて混合攪拌し、シリカ微粒子が表面に被覆されたトナー粒子である被覆粒子を得る第1攪拌工程と、
    前記トナー粒子100質量部に対して、第1攪拌工程で用いたシリカ微粒子と同じBET比表面積のシリカ微粒子0.2〜1質量部をさらに加えて混合攪拌し、前記被覆粒子とシリカ微粒子との粒子混合物を得る第2攪拌工程と、
    第2攪拌工程で得られる前記粒子混合物に含まれるトナー粒子の円形度分布において、低円形度からの個数頻度の積算値が10%のときの円形度が0.925以上であり、かつ低円形度からの個数頻度の積算値が50%のときの円形度が0.97以上となるように前記粒子混合物を熱処理する熱処理工程と、
    熱処理工程で熱処理された前記粒子混合物に対して、体積平均粒子径が0.1〜3μmのアルミナ粒子を加えて混合攪拌する後攪拌工程と、を含み、
    前記熱処理工程では、
    上部に冷却用エアを取入れるためのエア取入口が形成され、上部から内部空間に前記粒子混合物および熱風が供給される熱風処理槽と、
    熱風処理槽の上部から内部空間に向けて熱風を噴射する熱風噴射ノズルと、
    熱風噴射ノズルから噴射される熱風に向けて前記粒子混合物を噴射する原料噴射ノズルであって、前記粒子混合物が噴射される原料出口が形成される下端開口部が、熱風噴射ノズルの熱風が噴射される熱風出口が形成される下端開口部の内方側に、熱風噴射ノズルの下端開口部よりも上方に位置するように設けられる原料噴射ノズルと、
    原料噴射ノズルから離隔して原料噴射ノズルを囲繞するように設けられ、内部に冷媒が流過する流路が形成される冷却ジャケットを含み、原料噴射ノズルと熱風噴射ノズルとを断熱する断熱機構と、
    原料噴射ノズルの下端開口部の下方に原料噴射ノズルから離隔して設けられる衝突部材と、
    原料噴射ノズルの外表面部と断熱機構の冷却ジャケットの内表面部とによって形成されるエア噴射流路の下端の開口から、衝突部材の原料噴射ノズルの下端開口部を臨む表面部に向けて分散用エアを噴射するエア噴射手段と、を備える熱風処理装置を用いて、前記粒子混合物を熱処理することを特徴とする非磁性一成分負帯電性トナーの製造方法。
  2. 請求項1に記載の非磁性一成分負帯電性トナーの製造方法によって製造されることを特徴とする非磁性一成分負帯電性トナー。
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