JP5369461B2 - 感圧式接着剤組成物、それを用いてなる感圧式接着シート、及び積層体 - Google Patents

感圧式接着剤組成物、それを用いてなる感圧式接着シート、及び積層体 Download PDF

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Description

本発明は、良好な貼り付け適性を有し、耐熱性、耐湿熱性、透明性、及び帯電防止能に優れる感圧式接着剤層を得ることができる、安定して長時間使用可能な感圧式接着剤組成物に関し、更に前記感圧式接着剤組成物を用いた感圧式接着性シート、積層体、及び液晶セル用部材に関する。
近年のエレクトロニクスの飛躍的な進歩により、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、リアプロジェクションディスプレイ(RPJ)、ELディスプレイ、発光ダイオ−ドディスプレイなどの様々なフラットパネルディスプレイ(FPD)が、様々な分野で表示装置として使用されようになってきた。例えば、これらFPDは、パーソナルコンピューターのディスプレイや液晶テレビをはじめ屋内で使用されるばかりでなく、カーナビゲーション用ディスプレイ等のように車両に搭載して使用されたりする。LCDを構成する液晶セル用部材には、偏光フィルムや位相差フィルムが積層されている。又、これらの表示装置には、外部光源からの反射を防ぐための反射防止フィルムや、表示装置の表面の傷付き防止のための保護フィルム(プロテクトフィルム)などが使用されている。更にFPDを表示装置として利用するだけではなく、それらの表面にタッチパネルの機能を設けて、入力装置としても利用されることがある。このタッチパネルにも、保護フィルム、反射防止フィルムやITO蒸着樹脂フィルムなどが使用されている。
これら種々のフィルムのうち液晶表示装置に使用されている偏光板は、その使用環境が非常に高温になると接着剤層が発泡したり、熱あるいは湿熱条件下で偏光板が伸縮して寸法が大きく変化したりするため、接着剤層が液晶セル等の光学部材から浮いたり、剥がれが生じたりする問題や、又、その応力が偏光板の周縁部に集中するため、液晶表示装置の周縁部と中央部の明るさが異なり、液晶表示装置表面に光漏れが発生する問題があった。
上記問題に対して、ウレタンウレア樹脂を含む感圧式接着剤組成物を使用することが提案されている(特許文献1〜3参照)。前記感圧式接着剤組成物を用いると光学フィルム用として光学特性が低下しにくく、耐湿熱性と光学機能維持特性に優れる安定した光学フィルムを得ることができると記載されている。しかし、液晶表示装置の更なる高性能化や大型化においては、光学機能維持特性が不十分であった。又、樹脂の柔軟性に劣り光学部材とガラスとを積層して液晶セル部材を作成する際に接着剤層とガラスとの間に取り込まれた気泡が抜けないという問題があった。
又、上記したフィルムのうち表面保護フィルムは、例えば液晶ディスプレイなどの組み込みが完了した後に表面保護の役割を終え、剥離除去される場合が多い。ディスプレイから表面保護フィルムを剥離する際に、剥離帯電が生じて液晶や電子回路を破壊するという問題が生じることがある。
又、液晶セル用のガラス面に偏光フィルムを貼り付けて積層体とした後、検品工程において、積層工程でのエアーや粉塵の巻き込み等のあるものについては、ガラスセル面から偏光フィルム等を剥がして、もう一度新しい偏光フィルム等を貼り直すことが行われる。この時にも上記剥離帯電が生じ、液晶を破壊したりする。
これらの課題を解決するために、感圧式接着剤には種々の検討が行われ、提案されてきた。例えば、特許文献4には、ポリ(メタ)アクリレートをベースとした感圧式接着剤に、有機置換基を含むカチオンと弱配位性有機置換基を含むアニオンとを含む有機塩を配合した、帯電防止性感圧式接着剤が開示されている。
特許文献5には、アクリル系粘着剤に、電荷制御剤を添加する例が開示されている。電荷制御剤としては、金属錯体タイプやイミド系、ビスフェノール系、リン酸系、カルボン酸系、四級アミンタイプ、オニウム系、イミダゾール系などが例示されている。
特許文献6には、アルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分とポリエステルポリオール成分、ジイソシアネート成分とを反応させて得られる水酸基含有ポリウレタン樹脂と、イオン化合物、3官能のイソシアネート化合物とを含有する帯電防止ポリウレタン粘着剤の例が開示されている。
前記したように、表示装置に使用される種々のフィルムは、感圧式接着剤により被着体に貼着され、使用されている。表示装置に用いられるものであるから、感圧式接着剤には、耐湿熱性が要求され、又、剥離した後に液晶面や、ガラス面に感圧式接着剤の残滓が残らないことが要求される。上記の比較的低分子量の帯電防止剤を多量に配合した場合には、耐湿熱性が低下して、偏光フィルムとガラス面との間に剥離やズレが生じたり、表面保護フィルムを剥離したときに、ディスプレイ表面に感圧式接着剤の残滓が残って商品価値を低下させるなどの問題を生じたりすることがある。
特開2003−292928号公報 特開2002−38119号公報 特許第2703635号公報 特表2004−536940号公報 特開2004−155977号公報 特開2005−154491号公報
本発明は、過酷な熱あるいは湿熱条件下でも感圧式接着剤層の発泡や偏光板の浮きハガレ等が発生せず、偏光板の伸縮等により生じる応力集中を緩和して液晶表示装置に光漏れ現象を発生させない、更には剥離した際に帯電防止されていない被着体への帯電防止が図れる感圧式接着剤組成物を提供することを目的とする。又、光学部材とガラスとを積層して液晶セル部材を作成する際に、接着剤層とガラスとの間に取り込まれた気泡が残存しない液晶セル部材を作成しうる感圧式接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下に示す感圧式接着剤組成物により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、第1の発明は、水酸基を末端に有するポリエステル鎖及び/又はポリエーテル鎖を側鎖にもつウレタンウレア樹脂(C)を含む感圧式接着剤組成物に関する。
又、第2の発明は、ウレタンウレア樹脂(C)が、ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)に、
ポリアミン(c)と、水酸基を末端に有するポリエステル鎖及び/又はポリエーテル鎖を有する不飽和化合物(d)と、をマイケル付加反応させて得られるアミノ化合物(B1)を、反応させてなる樹脂(C−1)であることを特徴とする第1の発明の感圧式接着剤組成物に関する。
又、第3の発明は、ウレタンウレア樹脂(C)が、ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)に、
ポリアミン(c)と、ポリエステル鎖及びポリエーテル鎖を有さない水酸基含有不飽和化合物(e)と、をマイケル付加反応させて得られるアミノ化合物(B2)を、反応させ、更に、
環状エステル化合物(f)及び/又は環状エーテル化合物(g)を反応させてなる樹脂(C−2)であることを特徴とする第1の発明の感圧式接着剤組成物に関する。
又、第4の発明は、ポリオール(a)が、ポリエーテルポリオール、及び/又はポリエステルポリオールであることを特徴とする第2又は第3の発明の感圧式接着剤組成物に関する。
又、第5の発明は、ウレタンウレア樹脂(C)の重量平均分子量(Mw)が、10,000〜200,000であることを特徴とする第1〜4いずれかの発明の感圧式接着剤組成物に関する。
又、第6の発明は、ウレタンウレア樹脂(C)中の官能基と反応しうる官能基を少なくとも2個有する化合物(D)を、ウレタンウレア樹脂(C)100重量部に対して0.2 〜5.0重量部含むことを特徴とする第1〜5いずれかの発明の感圧式接着剤組成物に関する。
又、第7の発明は、化合物(D)が、ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体であることを特徴とする第6の発明の感圧式接着剤組成物に関する。
又、第8の発明は、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤を含むことを特徴とする第1〜7いずれかの発明の感圧式接着剤組成物に関する。
又、第9の発明は、帯電防止剤をウレタンウレア樹脂(C)100重量部に対して0.01 〜5.0重量部含むことを特徴とする第1〜8いずれかの発明の感圧式接着剤組成物に関する。
又、第10の発明は、第1〜9いずれかの発明の感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層をシート状基材上の片面又は両面に形成してなることを特徴とする感圧式接着性シートに関する。
又、第11の発明は、光学部材上に、第1〜9いずれかの発明の感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層が積層されてなる積層体に関する。
又、第12の発明は、光学部材が偏光板であることを特徴とする第11の発明の積層体に関する。
又、第13の発明は、液晶セル用ガラス部材、第1〜9いずれかの発明の感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層、及び光学部材が、順次積層されてなる液晶セル用部材に関する。
又、第14の発明は、光学部材が偏光板であることを特徴とする第13の発明の液晶セル用部材に関する。
本発明の感圧式接着剤組成物は、過酷な熱あるいは湿熱条件下でも感圧式接着剤層の発泡や偏光板の浮きハガレ等が発生せず、偏光板の伸縮等により生じる応力集中を緩和して液晶表示装置に光漏れ現象のない、更には剥離した際に帯電防止されていない被着体への帯電防止が図れる感圧式接着剤組成物を提供することができた。又、光学部材とガラスとを積層して液晶セル部材を作成する際に、接着剤層とガラスとの間に取り込まれた気泡が残存しない液晶セル部材を作成しうる感圧式接着剤組成物を提供することができた。又、前記感圧式接着剤組成物を使用してなる感圧式接着剤層を有する感圧式接着性シート、積層体、及び液晶セル用部材を提供することができた。
本発明の感圧式接着剤組成物は、水酸基を末端に有するポリエステル鎖及び/又はポリエーテル鎖を側鎖にもつウレタンウレア樹脂(C)を含むことを特徴とする。ウレタンウレア樹脂骨格に側鎖として水酸基を末端に有するポリエステル鎖及び/又はポリエーテル鎖を導入することで、被着体への濡れ性が向上するとともに、末端の水酸基が、後述するウレタンウレア樹脂(C)中の官能基と反応しうる官能基を少なくとも2個有する化合物(D)と反応しやすくなる。又、化合物(D)との反応によって形成されたネットワークが柔軟なものとなり、このことにより過酷な熱あるいは湿熱条件下でも感圧式接着剤層の発泡や偏光板の浮きハガレ等が発生せず、偏光板の伸縮等により生じる応力集中を緩和して液晶表示装置に光漏れ現象のない接着剤層を得ることができる。更に、柔軟なネットワークが形成されるために、感圧式接着剤組成物中に含まれるイオンの運動性を向上させることになり、感圧式接着剤組成物に帯電防止剤を使用しない又は少量使用するだけで優れた帯電防止性を付与することができる。
本発明のウレタンウレア樹脂(C)は、好ましくは以下の2つの形態で示す樹脂である。即ち、第1の形態としてのウレタンウレア樹脂(C)は、ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)に、
ポリアミン(c)と、水酸基を末端に有するポリエステル鎖及び/又はポリエーテル鎖を有する不飽和化合物(d)と、をマイケル付加反応させて得られるアミノ化合物(B1)を、反応させてなる樹脂(C−1)である。
第2の形態としてのウレタンウレア樹脂(C)は、ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)に、
ポリアミン(c)と、ポリエステル鎖及びポリエーテル鎖を有さない水酸基含有不飽和化合物(e)と、をマイケル付加反応させて得られるアミノ化合物(B2)を、反応させ、更に、
環状エステル化合物(f)及び/又は環状エーテル化合物(g)を反応させてなる樹脂(C−2)である。
本発明に用いるウレタンプレポリマー(A)は、ポリオール(a)と、ポリイソシアネート(b)とを反応させて得られる、少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物である。又、ウレタンプレポリマー(A)の原料として、必要に応じてポリアミン(c)、水等を含んでもよい。
ポリオール(a)としては、高分子量ポリオール類の1種又は2種以上、あるいはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類、ビスフェノール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたグリコール類、その他のポリオール類等を用いることができる。特に感圧式接着剤組成物としての性能を満たすため、例えば、ウレタンウレア樹脂(C)のガラス転移温度(Tg)が0〜−80℃となるように適宜選択するのが好ましい。尚、ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量計)を用いて求めた値である。
本発明において、高分子量ポリオール類は、重合度2以上の繰り返し単位を有し、かつ2個の水酸基を有する化合物であり、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、及びポリカーボネートポリオール類が挙げられる。
本発明に用いるポリエステルポリオール類としては、公知のポリエステルポリオールを用いることができる。ポリエステルポリオールとしては、例えば、多官能アルコール成分と二塩基酸成分とが縮合反応したポリエステルポリオールがある。多官能アルコール成分のうちジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAなどが挙げられ、3個以上の水酸基を有する多官能アルコール成分としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
二塩基酸成分としては、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等の脂肪族あるいは芳香族二塩基酸が挙げられる。
又、β−ブチロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−ヘプタノラクトン、α−メチル−β−プロピオラクトン等のラクトン類等の環状エステル化合物の開環重合により得られるポリエステルポリオールも使用できる。
ポリエステルポリオール類の重量平均分子量は、好ましくは100〜5,000、更に好ましくは500〜3,500である。100未満であれば、樹脂中のウレタン及びウレア結合濃度の増加を招き、接着力を低下させるばかりか樹脂の溶解性を損なう場合がある。5,000を超えると、感圧式接着剤に凝集力を付与するウレタン結合及びウレア結合の減少を招き感圧式接着剤の耐熱性を損なう場合がある。
本発明に用いるポリエーテルポリオール類としては、公知のポリエーテルポリオールを用いることができる。例えば、テトラヒドロフラン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの重合体、共重合体、及びグラフト共重合体;
ヘキサンジオール、メチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール若しくはこれらの混合物の縮合によるポリエーテルポリオール類;
などの水酸基が2個以上のものを用いることができる。
ポリエーテルポリオール類の重量平均分子量は、好ましくは100〜10,000、更に好ましくは500〜5,000である。100未満であれば、樹脂中のウレタン及びウレア結合濃度の増加を招き、接着力を低下させるばかりか樹脂の溶解性を損なう場合がある。10,000以上であると硬化剤との反応部位や樹脂中のウレタン及びウレア結合濃度が減少し耐熱性を損なう場合がある。
本発明に用いられるポリカーボネートポリオール類とは、下記一般式(1)で示される構造を、その分子中に有するものであり、公知のポリカーボネートポリオールを使用することができる。
一般式(1)
−[−O−R1−O−CO−]m
(式中、R1は、2価の有機残基、mは、1以上の整数を表す。)
ポリカーボネートポリオールは、例えば、(1)グリコール又はビスフェノールと炭酸エステルとの反応、(2)グリコール又はビスフェノールにアルカリの存在下でホスゲンを作用させる反応などで得られる。
(1)の製法で用いられる炭酸エステルとして具体的には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどが挙げられる。
(1)及び(2)の製法で用いられるグリコール又はビスフェノールとして具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、あるいはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類、ビスフェノール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたビスフェノール類等も用いることができる。これらの化合物は1種又は2種以上の混合物として使用することができる。
ポリカーボネートポリオールにおいて具体的には、クラレ株式会社のクラレポリオールCシリーズを用いることができる。そのなかでもPMHC−1050、PMHC−2050、C−1090、C−2090、C−1065N、C−2065N、C−1015N、C−2015Nは柔軟性があり、ウレタンウレア樹脂(C)の原料として優れているため好ましい。
ポリオール(a)におけるその他のポリオール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等の2個の水酸基を有する化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、メチルグルコシド等の3個以上の水酸基を有する化合物等が挙げられる。
更に、ポリオール(a)としては、少なくとも1個のイオン性官能基を含有するポリオールを使用することもできる。イオン性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、第1〜3級アミノ基、第4級アンモニウム基、ホスホニウム基、及び第4級スルホニウム基など挙げられる。
少なくとも1個のイオン性官能基を含有するポリオールは、本発明のウレタンウレア樹脂を水性化したり、ウレタンプレポリマー(A)合成時の反応速度を速めたりする点、更には、成膜性を向上させる等の点でも好適に使用される。
例えば、少なくとも1個のイオン性官能基を含有するポリオールとしてカルボキシル基を有するポリオールを使用した場合、ウレタンウレア樹脂(C)にカルボキシル基を導入でき、このカルボキシル基を後述するウレタンウレア樹脂(C)中の官能基と反応しうる官能基を少なくとも2個有する化合物(D)との反応点として使用することができる。2個の水酸基と共にカルボキシル基を有するポリオールとしては、例えば、ジメチロールプロピオン酸やジメチロールブタン酸の様な、ジオキシカルボン酸などが挙げられる。
上記記載のポリオール(a)において、液晶セル部材作製時の気泡抜け・感圧式接着剤層の機械的特性などの点からポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールを使用するのが好ましく、特にポリプロピレングコールやポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオールを使用するのがより好ましい。
ポリオール(a)は、上記ポリオール(a)中の水酸基に対して、当量未満の下記ポリイソシアネート(b)中のイソシアネート基を反応させて得られる、末端が水酸基のウレタンポリオールであってもよい。
本発明に用いられるポリイソシアネート(b)としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(別名:IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
又、一部上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアヌレート環を有する3量体等も併用することができる。ポリフェニルメタンポリイソシアネート(別名:PAPI)、ナフチレンジイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネート変性物等を使用し得る。なおポリイソシアネート変性物としては、カルボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、水と反応したビュレット基、イソシアヌレート基のいずれかの基、又はこれらの基の2種以上を有する変性物を使用できる。ポリオールとジイソシアネートの反応物もポリイソシアネート(b)として使用することができる。
本発明に用いられるポリイソシアネート(b)としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(別名:IPDI)、キシリレンジイソシネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(別名:水添MDI)等の無黄変型または難黄変型のポリイシソアネート化合物を用いると耐候性の点から好ましい。
更に、上記記載のポリイソシアネート(b)として、感圧式接着剤組成物の光学特性や反応性の制御の面でイソホロンジイソシアネート(別名:IPDI)を使用するのが好ましい。
次に、本発明の第1の形態としてのウレタンウレア樹脂(C)、すなわち樹脂(C−1)の製造に使用するアミノ化合物(B1)について説明する。アミノ化合物(B1)は、ポリアミン(c)と、水酸基を末端に有するポリエステル鎖及び/又はポリエーテル鎖を有する不飽和化合物(d)[以下、不飽和化合物(d)とも表記する]とをマイケル付加反応させて得ることができる。
ポリアミン(c)としては、公知のものを使用することができ、具体的には、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリアミノプロパン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン等の脂肪族ポリアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン等の脂環式ポリアミン、及びフェニレンジアミン、キシリレンジアミン等の芳香族ポリアミンが挙げられる。更には、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、(2−ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(ジ−2−ヒドロキシエチルエチレン)ジアミン、(ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(2−ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン、(ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン等の分子内に水酸基を有するジアミン類、及びダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン、両末端にプロポキシアミンを有し、下記一般式(2)で示されるポリオキシアルキレングリコールジアミン等も使用することができる。
一般式(2)
2N−CH2−CH2−CH2−O−(Cm2m−O)n−CH2−CH2−CH2−NH2
(式中、mは2〜4の任意の整数、nは2〜50の任意の整数を示す。)
更に、ポリアミン(c)として末端に一級又は二級アミノ基を有するデンドリマーも使用することができる。
上記ポリアミン(c)の中でもイソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンは、反応の制御が容易で衛生性に優れていることから好ましい。
水酸基を末端に有するポリエステル鎖及び/又はポリエーテル鎖を有する不飽和化合物(d)[以下、「不飽和化合物(d)」とも表記する]において、水酸基を末端に有するポリエステル鎖を有する不飽和化合物としては、例えば、ラクトン変性(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的にはダイセル化学工業製プラクセルFA、プラクセルFA2D、プラクセルFA3、プラクセルFA5、プラクセルFA10L、プラクセルFM1D、プラクセルFM2D、プラクセルFM3、プラクセルFM3X、プラクセルFM5、プラクセルFM5Lなどが挙げられる。又、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和化合物にラクトン類等の環状エステル化合物を公知の条件で付加して得ることができる。
又、水酸基を末端に有するポリエーテル鎖を有する不飽和化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和化合物(d)としては、上記化合物を単独で、もしくは2種類以上を組み合わせて使用することができるが、特に後述するウレタンウレア樹脂(C)中の官能基と反応しうる官能基を少なくとも2個有する化合物(D)との反応性や、感圧式接着剤の光学特性などの面からプラクセルFA2D、プラクセルFA3を使用するのが好ましい。
又、水酸基を末端に有するポリエステル鎖及び/又はポリエーテル鎖を有する不飽和化合物(d)と併用して上記以外の不飽和化合物を使用することができる。具体的に例示すると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ヘンイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜22のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。極性の調節を目的とする場合には、好ましくは炭素数2〜10、更に好ましくは炭素数2〜8のアルキル基を有するアルキル基含有アクリレート、又は対応するメタクリレートが挙げられる。レベリング性の調節等を目的とする場合には、炭素数6以上が好ましい。
更に、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;
酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン等のα−オレフィン類;
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、又は、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸等のカルボキシル基含有不飽和化合物類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、アリルアルコールなどの水酸基含有不飽和化合物類;
アミド基含有不飽和化合物、ジアルキルアミノ基含有不飽和化合物、四級アンモニウム塩基含有不飽和化合物などの窒素含有不飽和化合物類;
を併用することができる。
アミド基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミドなどのモノアルキロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メチロール)アクリルアミド、N−メチロール−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミド等が挙げられる。
ジアルキルアミノ基含有不飽和化合物としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン等が挙げられる。
又、四級アンモニウム塩基含有不飽和化合物は、上記ジアルキルアミノ基含有不飽和化合物を四級アンモニウム化せしめることにより得られる。対イオンとしてCl-、Br-、I-のハロゲンイオン又はQSO3 -(Q:炭素数1〜12アルキル基)を有する四級アンモニウム塩基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、及びトリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド等が挙げられる。
更に、パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルアミル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルウンデシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレン等のパーフルオロアルキルアルキレン類等のパーフルオロアルキル基含有不飽和化合物;
ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する不飽和化合物、及びその誘導体;
グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルアクリレートなどのエポキシ基含有不飽和化合物;
酢酸アリル、アリルベンゼン、シアン化アリル等のアリル化合物;
シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトン、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレンなどのビニル化合物;
アセチレン、エチニルベンゼン、エチニルトルエン等のエチニル化合物;
も併用することができる。
ポリアミン(c)と、不飽和化合物(d)とのマイケル付加反応では、ポリアミン(c)のアミノ基の活性水素1モルと、不飽和化合物(d)の不飽和基1モルとが反応する。ポリアミン(c)中のアミノ基は、電子吸引性の基を持つ化合物の不飽和基に容易にマイケル付加をするため、不飽和化合物(d)として(メタ)アクリル系化合物が好ましく、特にアクリレート系化合物が、マイケル付加反応の効率の点から最も好ましい。
アミノ化合物(B1)の合成方法としては、マイケル付加反応に関する公知方法をそのまま利用できる。不飽和化合物(d)が、(メタ)アクリル系化合物、特にアクリレート系化合物等である場合、必要に応じてアルコール等の触媒下に10〜100℃で反応が進行する。使用する不飽和化合物(d)の種類にも因るが40〜80℃の反応温度が好ましい。反応温度が高すぎるとエステルアミド交換反応が生じるため好ましくない。又、不飽和化合物が電子吸引性基を持たない場合には金属触媒の存在で反応が可能になり、この場合、触媒存在下で加熱しながら60〜100℃で反応させると適度な反応速度になり好ましい。又、合成溶剤は使用してもしなくても良く、その種類は特に限定しないが、メチルエチルケトン、トルエン、アセトン、ベンゼン等の公知の溶剤を使用できる。又、使用する不飽和化合物(d)やポリアミン(c)中に水酸基が含まれない場合にはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール系の溶剤、あるいはそれらの混合溶剤を使用することが好ましい。溶剤を使用する場合の溶液濃度は好ましくは20重量%以上、更に好ましくは50重量%以上である。これより希薄な場合には反応が進行しにくいため好ましくない。又、反応時間としては、使用する不飽和化合物の種類により異なるが、30分〜5時間で終了する。
ポリアミン(c)に付加させる不飽和化合物[不飽和化合物(d)及び必要に応じて用いられる、その他の不飽和化合物の合計]の比率としては、アミノ化合物(B1)中に少なくとも2個の一級又は二級のアミノ基が残存するように、ポリアミン(c)が有する一級アミノ基1モルに対して、好ましくは0.1〜1.0モル、更に好ましくは0.2〜0.98モルの割合で不飽和化合物を反応させることが好ましい。これより少ないと側鎖の影響が発現しにくいこと、保存安定性は低いことから好ましくない。
本発明のウレタンウレア樹脂(C)は、末端がイソシアネート基であるウレタンプレポリマー(A)と、アミノ化合物(B1)、及び必要に応じてポリアミンを反応してなるが、更に必要に応じて反応停止剤としてモノアミノ化合物を反応させることができる。
反応停止剤は、分子量を制御したり、ウレタンウレア樹脂(C)末端の未反応で残るイソシアネート基と反応して樹脂の反応活性を安定化させたりする役割を果たす。
本発明に用いる反応停止剤としては、例えば、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジイソノニルアミン等のジアルキルアミン類の他、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の水酸基を有するモノアミン、モノメチルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン、ベンジルヒドラジン等のアルキルヒドラジン類、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、ラウリン酸ヒドラジド等のヒドラジド類、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン等の三級アミノ基と一級アミノ基を有する化合物、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等アルコキシシリル基を有するモノアミノ化合物を用いることができる。更に、一級又は二級アミノ基を1個だけ有するアミノ化合物(B1)も反応停止剤として用いることができる。
上記の反応停止剤の中でも2−アミノ−2−メチル−プロパノールなどのように水酸基を有するモノアミンは、末端が水酸基である保存安定性に優れたウレタンウレア樹脂(C)を得ることができる。更に末端が水酸基であるウレタンウレア樹脂(C)は、ポリイソシアネート系の硬化剤を添加して架橋させる際に末端の水酸基が架橋部位としての役割も果たすことから好ましい。尚、水酸基を有するモノアミンの場合、アミノ基と水酸基との両方が、ウレタンプレポリマー(A)の末端イソシアネート基と反応可能であるが、アミノ基の反応性の方が高く、優先的にイソシアネート基と反応する。
次に、本発明の第2の形態としてのウレタンウレア樹脂(C)、すなわち樹脂(C−2)の製造について説明する。第2の形態としてのウレタンウレア樹脂(C)は、ウレタンプレポリマー(A)に、ポリアミン(c)と、ポリエステル鎖及びポリエーテル鎖を有さない水酸基含有不飽和化合物(e)と、をマイケル付加反応させて得られるアミノ化合物(B2)を、反応させ、更に、環状エステル化合物(f)及び/又は環状エーテル化合物(g)を反応させてなる樹脂である。
アミノ化合物(B2)は、ポリアミン(c)と、ポリエステル鎖及びポリエーテル鎖を有さない水酸基含有不飽和化合物(e)[以下、不飽和化合物(e)とも表記する]とをマイケル付加反応させて得ることができる。
ポリアミン(c)としては、アミノ化合物(B1)を得る際に用いるものと同様のものを使用することができる。ポリアミン(c)の中でもイソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンは、反応の制御が容易で衛生性に優れていることから好ましい。
ポリエステル鎖及びポリエーテル鎖を有さない水酸基含有不飽和化合物(e)としては、上述の、アミノ化合物(B1)を合成する際の任意成分として例示した水酸基含有不飽和化合物が挙げられる。又、不飽和化合物(e)と併用して上記以外の不飽和化合物を使用することができる。
ポリアミン(c)と、不飽和化合物(e)とのマイケル付加反応も、上述したアミノ化合物(B1)を合成する場合と同様の方法で行うことができ、更にポリアミン(c)に付加させる不飽和化合物[不飽和化合物(e)及び必要に応じて用いられる、その他の不飽和化合物の合計]の比率としても同様の比率で行うことが好ましい。
この様にして得られたアミノ化合物(B2)をウレタンプレポリマー(A)と反応させることで水酸基を側鎖にもつウレタンウレア樹脂を得ることができる。ただし、この時点で、前記ウレタンウレア樹脂の側鎖にポリエステル鎖又はポリエーテル鎖は存在していない。ここで前記ウレタンウレア樹脂中の水酸基に環状エステル化合物(f)及び/又は環状エーテル化合物(g)を開環付加反応することにより、本発明の第2形態としてのウレタンウレア樹脂(C)、すなわち樹脂(C−2)を得ることができる。
環状エステル化合物(f)としては、例えば、β−ブチロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−ヘプタノラクトン、γ−オクタノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−オクタノラクトン、ε−カプロラクトングリコリド、ピバロラクトン、7−ヘプタノリド、8−オクトノリド、11−ウンデカノリド、12−ドデカノリド、15−ペンタデカノリド、16−ヘキサドデカノリド、α−メチル−β−プロピオラクトン、β−メチル−α−プロピオラクトン、α,α−ジメチル−β−プロピオラクトン等が挙げられる。
環状エステル化合物(f)の開環付加反応は公知の方法を用いれば良い。即ち、反応温度は20〜220℃、好ましくは60〜180℃が良い。反応時間は通常1〜30時間程度とすることができる。又、触媒を用いても用いなくてもよいが、好ましくは用いた方がよい。触媒としては、アンモニア、アミン類、4級アンモニウム塩類、4級ホスホニウム塩類、アルカリ金属水酸化物類、アルカリ土類金属水酸化物類、ルイス酸類、錫,鉛,チタン,鉄,亜鉛,ジルコニウム,コバルト等を含有した有機金属化合物類、金属ハロゲン化物類等が挙げられる。
環状エーテル化合物(g)としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキシサイド等などが挙げられる。
アミノ化合物(B2)をウレタンプレポリマー(A)と反応させることで得られる、水酸基を側鎖にもつウレタンウレア樹脂中の水酸基に環状エーテル化合物(g)を付加反応させる方法は、公知の方法で行うことができる。例えばNaOH、KOH等の塩基性触媒及び弗化ホウ素等のルイス酸を反応開始剤とした付加反応が好ましい。
ウレタンプレポリマー(A)の合成時には、公知の触媒を使用することができる。例えば三級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられる。
三級アミン系化合物としてはトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン(別名:DBU)等が挙げられ、場合によっては単独、もしくは併用することもできる。
有機金属系化合物としては錫系化合物、非錫系化合物を挙げることができる。
錫系化合物としてはジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(別名:DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物としては、例えばジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記触媒の中で、ジブチル錫ジラウレート(別名:DBTDL)、2−エチルヘキサン酸錫等が反応性や衛生性の点で好ましい。
上記三級アミン系化合物、有機金属系化合物等の触媒は、場合によっては単独でも使用できるが、併用することもでき、特にポリオール成分としてポリエステルジオール類とポリエーテルジオール類を併用する場合においては、ジブチル錫ジラウレートと2−エチルヘキサン酸錫を併用することにより安定に均一なウレタンプレポリマー(A)が得られるので好ましい。
ウレタンプレポリマー(A)を合成するときに用いる有機金属化合物触媒は、ウレタンプレポリマー(A)が、アミノ化合物(B1)又はアミノ化合物(B2)と更に反応するとき、反応を著しく促進する。イソシアネート基とアミノ基との反応は、元来、非常に早いが、有機金属化合物触媒の存在下では、更に反応が促進され、制御が困難になる場合がある。このとき、キレート化合物が存在していると、この有機金属化合物触媒とキレートを形成し、触媒能が調整され、アミノ化合物(B1)又はアミノ化合物(B2)との反応を制御しやすくする。
当該キレート化合物としては、アセチルアセトン、ジメチルグリオキシム、オキシン、ジチゾン、エチレンジアミン四酢酸(別名:EDTA)のようなポリアミノオキシ酸、クエン酸のようなオキシカルボン酸、縮合リン酸等が挙げられる。キレート化合物の中では、アセチルアセトンが有機溶媒に可溶であり、揮発性を有して必要で有れば除去することが容易であり好ましい。
又、当該キレート化合物は、反応後もウレタンウレア樹脂(C)中に残留する。本発明のウレタンウレア樹脂(C)を含む感圧式接着剤組成物を使用する際は、更に、硬化剤を添加することが好ましいが、このとき、キレート化合物は、ウレタンウレア樹脂(C)と硬化剤との反応速度をも調整し、結果的に保存安定性の優れた感圧式接着剤組成物を与えることができる。
本発明のウレタンプレポリマー(A)の合成時には公知の溶剤が好適に使用される。溶剤の使用は反応制御を容易にする役割を果たす。斯かる目的で使用される溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アセトン、ベンゼン、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジグライム、ジメトルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルミアミド等が挙げられる。ウレタンウレア樹脂(C)の溶解性、溶剤の沸点、アミノ化合物(B1)又はアミノ化合物(B2)の溶解性等の点から特に酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトンまたはこれらの混合溶剤が好ましい。又、溶剤を使用した場合のウレタンプレポリマー反応系内の濃度は、樹脂固形分が好ましくは50〜95重量%、更に好ましくは60〜90重量%であり、濃度が低すぎると反応性が低下しすぎることから好ましくない。
本発明においてウレタンプレポリマー(A)を合成するウレタン化反応は、種々の方法が可能であるが以下の2つの方法に大別される。(i)ポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)、必要に応じて溶剤、及び必要に応じて触媒を全量仕込む方法。(ii)ポリオール(a)、及び必要に応じて溶剤をフラスコに仕込み、ポリイソシアネート(b)を滴下した後、必要に応じて触媒を添加する方法。反応を精密に制御する場合は(ii)が好ましい。ウレタンプレポリマー(A)を得る反応の温度は120℃以下が好ましい。更に好ましくは50〜110℃である。120℃より高くなると反応速度の制御が困難になり、所定の重量平均分子量と構造を有するウレタンプレポリマー(A)が得られなくなる。ウレタン化反応は、触媒の存在下、50〜110℃で1〜20時間行うのが好ましい。
ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)との配合比は、化合物の反応性、3価以上の化合物の存在比、得られた樹脂の用途などで大きく左右される。ウレタンプレポリマー(A)が少なくとも1個のイソシアネート基を有するためには、ポリオール(a)中の水酸基の1モルに対して、ポリイソシアネート(b)中のイソシアネート基が1モルより多くなることが必要であり、好ましくは1.01〜4.00モル、更に好ましくは1.40〜3.00モルの範囲内が適当である。
本発明において、イソシアネート基含有化合物であるウレタンプレポリマー(A)中のイソシアネート基と、アミノ化合物(B1)又はアミノ化合物(B2)が有する一級又は二級のアミノ基とのウレア化反応は、以下の2つの方法に大別される。(i)ウレタンプレポリマー(A)をフラスコに仕込み、アミノ化合物(B1)又はアミノ化合物(B2)を滴下する方法。(ii)アミノ化合物(B1)又はアミノ化合物(B2)をフラスコに仕込み、ウレタンプレポリマー(A)を滴下する方法。反応に問題がなければ、操作が容易な(i)の方法が好ましい。本発明のウレア化反応の温度は、100℃以下が好ましい。更に好ましくは70℃以下である。70℃でも反応速度は大きく、制御できない場合は、50℃以下が更に好ましい。100℃より高くなると反応速度の制御が困難であり、所定の重量平均分子量と構造を有するウレタンウレア樹脂(C)を得ることは難しい。又、アミノ化合物(B1)又はアミノ化合物(B2)の合成溶剤としてアルコール系溶剤を用いた場合には、アミノ化合物(B1)又はアミノ化合物(B2)を滴下する際に反応系内の温度を50℃以下、更には40℃以下にしておくことが好ましい。
反応停止剤の使用量は、アミノ化合物(B1)又はアミノ化合物(B2)と混合添加する場合と、単独で最後に添加する場合により異なるが、混合添加する場合にはウレタンプレポリマー(A)中のイソシアネート基1モルに対して、反応停止剤中のアミノ基が、好ましくは0.5モル以下、更に好ましくは、0.3モル以下になる量を使用するのが望ましく、単独で最後に添加する場合には最終的に存在するイソシアネート基1モルに対して0.5〜3.0モルであり、特にウレタンウレア樹脂(C)の安定化を目的とした場合には1〜3.0モルが好ましい。この範囲外では成膜性が低下したり、変着色したりする等の悪影響が見られる場合がある。
反応の終点は、滴定に因るイソシアネート%測定、IR測定によるイソシアネートピークの消失により判断する。
カルボキシル基や三級アミノ基を有するウレタンウレア樹脂(C)は、水に分散もしくは溶解せしめるためイオン化することもできる。
ウレタンウレア樹脂(C)の分子量は、用途に応じて制限され特に限定はないが、好ましくはGPCによる標準ポリスチレン換算の重量平均分子量で10,000〜200,000が好ましい。更に好ましくは、30,000〜150,000である。又、数平均分子量としては、好ましくは1,000〜150,000更に好ましくは、4,000〜100,000である。重量平均分子量が10,000未満であると感圧接着剤としての耐久性が不足する場合があり、又、200,000を超えると粘度が高すぎ扱いにくくなる。
又、得られたウレタンウレア樹脂(C)の溶液粘度は特に制限はなく、樹脂の用途により選択されるが、好ましくは、固形分50重量%で100〜10000mPa・s(25℃)であり、更に好ましくは固形分50重量%で1000〜5000mPa・s(25℃)であり、粘度が高すぎると塗工加工が困難になる可能性があり、又、低すぎると十分な分子量の樹脂ができていない場合がある。
本発明の感圧式接着剤組成物は、前記ウレタンウレア樹脂(C)と、好ましくは硬化剤として前記ウレタンウレア樹脂(C)中の反応性官能基と反応しうる官能基を少なくとも2個有する化合物(D)[以下、化合物(D)とも表記する]とを含有することを特徴とする。前記ウレタンウレア樹脂(C)中の反応性官能基としては、水酸基、カルボキシル基等が挙げられる。従って、本発明に用いられる化合物(D)の有する官能基としては、イソシアネート基、エポキシ基、アルコキシシリル基、メチロール基、アジリジン基等が挙げられる。化合物(D)としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、多官能シラン化合物、N−メチロール基含有化合物、多官能アジリジン化合物などが挙げられるが、これらの中でも、硬化剤として作用するために、ウレタンウレア樹脂(C)の側鎖(ポリエステル鎖及び/又はポリエーテル鎖)末端及びウレタンウレア樹脂(C)の主鎖末端の水酸基と反応し得る官能基を分子内に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。特にポリイソシアネート化合物や多官能シラン化合物は、架橋反応後の接着性や被覆層への密着性に優れていることから好ましく用いられる。
上記化合物(D)としては反応性やポットライフ、更には感圧式接着剤層の機械的特性からポリイソシアネート化合物が好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体が好ましい。
本発明の感圧式接着剤組成物は、ウレタンウレア樹脂(C)100重量部に対して、上記化合物(D)を0.2〜5.0重量部含有することが好ましく、特に0.5〜2.5重量部含有することがより好ましい。5.0重量部を越えると感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層の架橋構造が密になり、感圧式接着剤層のタックが低下傾向となり、被着体に対する接着性が低下すると共に、柔軟性が低下するので偏光板などの光学用フィルム用感圧接着剤に使用した場合、光漏れ防止性などの光学特性を損なうだけでなく、繰り返し使用時での安定性や耐久性に劣り、好ましくない。又、0.2重量部未満では、充分な架橋構造が得られないため、凝集力が低下し、耐熱性、耐湿熱性が低下する傾向にあるため、好ましくない。ウレタンウレア樹脂(C)の反応性官能基と上記化合物(D)中の官能基との反応により、樹脂組成物が三次元架橋し、各種基材や被着体との密着性を確保するだけでなく、従来よりも過酷な条件下における耐熱性及び耐湿熱性をも向上することができるため、光学部材用として好ましく使用することができる。
本発明の感圧式接着剤組成物は、耐湿熱性の向上を目的として、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては公知のものを使用できる。例えば、γ−(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロキシ基とアルコキシ基とを有するシラン化合物;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランなどのビニル基を有するアルコキシシラン;
5−ヘキセニルトリメトキシシラン、9−デセニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン;
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどのアミノアルキル基とアルコキシ基とを有するシラン;
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、β−メルカプトメチルフェニルエチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、6−メルカプトヘキシルトリメトキシシラン、10−メルカプトデシルトリメトキシシランなどのメルカプト基を有する化合物;
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン;
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシラザン、ジフェニルジメトキシシラン、1, 3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、ビニルトリス( 2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらのいずれか1種以上を単独もしくは混合して使用することができる。
本発明の感圧式接着剤組成物は、ウレタンウレア樹脂(C)100重量部に対して、シランカップリング剤を0.01〜10重量部含有することが好ましく、特に0.1〜5重量部含有することがより好ましい。10重量部を越えると光学機能維持特性を損なうことがあり好ましくない。又0.01重量部未満では、充分な耐湿熱性向上が見られない場合がある。上記のいずれか1種以上を単独もしくは混合して使用することができる。
本発明の感圧式接着剤組成物は、帯電防止能の向上を目的として、帯電防止剤を添加することが好ましい。帯電防止剤としては公知のものを使用することができるが、イオン化合物が好ましく、アルカリ金属の有機塩や有機カチオン−アニオン塩を好ましく用いることができる。これらは単独でまたは複数を併用することができる。その他に過塩素酸リチウム、塩化アンモニウム、塩化アルミニウム、塩化銅、塩化第一鉄、塩化第二鉄、ヨウ化リチウム、硫酸アンモニウム等の無機塩が挙げられる。これらは単独で又は複数を併用することができる。
上記帯電防止剤は、ウレタンウレア樹脂(C)100重量部に対して0.01〜5.0重量部含有することが好ましく、特に0.05〜2.0重量部含有することがより好ましい。5.0重量部を越えると帯電防止剤のブリード現象により被着体への汚染が発生してしまうことがある。又、0.01重量部未満では、充分な帯電防止性が発現できない場合がある。
本発明の感圧式接着剤組成物を使用して、感圧式接着剤層とシート状基材とからなる積層製品(以下、「感圧式接着性シート」という。)を得ることができる。例えば、種々のシート状基材の片面又は両面に本発明の感圧式接着剤組成物を塗工、乾燥・硬化することによって感圧式接着シートを得ることができる。感圧式接着シートを構成する感圧式接着剤層は、「感圧式」であるから室温程度でタックを有する。感圧式接着剤組成物を塗工するに際し、適当な液状媒体、例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、その他の炭化水素系溶媒等の有機溶媒や、水を更に添加して、粘度を調整することもできるし、感圧式接着剤組成物を加熱して粘度を低下させることもできる。ただし、水やアルコール等は多量に添加するとウレタンウレア樹脂(C)と化合物(D)との反応阻害を引き起こす可能性があるため、注意が必要である。
シート状基材としては、セロハン、各種プラスチックシート、ゴム、発泡体、布帛、ゴムびき布、樹脂含浸布、ガラス板、金属板、木材、偏光板などの光学フィルム等の平坦な形状のものが挙げられる。又、各種基材は単独でも用いることもできるし、複数のものを積層してなる多層状態にあるものも用いることができる。更に表面を剥離処理したものや帯電防止処理したものを用いることもできる。
各種プラスチックシートとしては、各種プラスチックフィルムともいわれ、ポリビニルアルコールフィルムやトリアセチルセルロースフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂のフィルム、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂のフィルム、ポリカーボネート系樹脂のフィルム、ポリノルボルネン系樹脂のフィルム、ポリアリレート系樹脂のフィルム、アクリル系樹脂のフィルム、ポリフェニレンサルファイド樹脂のフィルム、ポリスチレン樹脂のフィルム、ビニル系樹脂のフィルム、ポリアミド系樹脂のフィルム、ポリイミド系樹脂のフィルム、エポキシ系樹脂、シクロオレフィン系樹脂のフィルム等が挙げられる。
常法に従って適当な方法で上記シート状基材に感圧式接着剤組成物を塗工した後、感圧式接着剤組成物が有機溶媒や水等の液状媒体を含有する場合には、液状媒体を除去したり、感圧式接着剤組成物が揮発すべき液状媒体を含有しない場合は、溶融状態にある接着剤層を冷却して固化したりして、シート状基材の上に接着剤層を形成することができる。感圧式接着剤層の厚さは、0.1μm〜200μmであることが好ましく、1μm〜100μmであることがより好ましい。0.1μm未満では充分な接着力が得られないことがあり、200μmを超えても接着力等の特性はそれ以上向上しない場合が多い。
本発明の感圧式接着剤組成物をシート状基材に塗工する方法としては、特に制限は無く、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーター等種々の塗工方法が挙げられる。乾燥方法には特に制限はなく、熱風乾燥、赤外線や減圧法を利用したものが挙げられる。乾燥条件としては接着剤組成物の硬化形態、膜厚や選択した溶剤にもよるが、通常60〜180℃程度の熱風加熱でよい。
本発明の積層体は、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム等の種々の光学特性を持つ、いわゆるシート(前述の通りフィルムともいう)状の光学部材に、上記本発明の感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層が積層された状態のものである。感圧式接着剤層の他の面には、剥離処理されたシート状基材を積層することができる。
本発明の積層体は、(ア)剥離処理されたシート状基材の剥離処理面に感圧式接着剤組成物を塗工、乾燥し、シート状の光学部材を感圧式接着剤層の表面に積層したり、(イ)シート状の光学部材に感圧式接着剤組成物を塗工、乾燥し、感圧式接着剤層の表面に剥離処理されたシート状基材の剥離処理面を積層したりすることによって得ることができる。
このようにして得た積層体から感圧式接着剤層の表面を覆っていた剥離処理されたシート状基材を剥がし、例えば、感圧式接着剤層を液晶セル用ガラス部材に貼着することによって、「シート状の光学部材/感圧式接着剤層/液晶セル用ガラス部材」という構成の液晶セル用部材を得ることができる。
本発明に関わる感圧接着剤組成物には、必要に応じて、他の樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂を併用することもできる。更に、用途に応じて、有機・無機の顔料、フィラー、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、光安定剤等の添加剤を配合しても良い。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、実施例における「部」及び「%」は、特にことわらない限り「重量部」及び「重量%」を表す。
合成例5〜16で得られた各樹脂の重量平均分子量(Mw)を以下の方法に従って求めた。
<重量平均分子量(Mw)測定>
Mwの測定は、東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、重量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。
[アミノ化合物の合成]
合成例1
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにイソホロンジアミン(IPDA)20部、トルエン20部を仕込み、プラクセルFA3(水酸基末端ポリカプロラクトンアクリレート、ダイセル化学工業製)108部を室温で滴下した。滴下終了後、80℃で2時間反応させた後、トルエン108部を加えたものを化合物(1)溶液とする。
合成例2
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにイソホロンジアミン(IPDA)30部、トルエン30部を仕込み、プラクセルFA2D(水酸基末端ポリカプロラクトンアクリレート、ダイセル化学工業製)121部を室温で滴下した。滴下終了後、80℃で2時間反応させた後、トルエン121部を加えたものを化合物(2)溶液とする。
合成例3
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにイソホロンジアミン(IPDA)20部、トルエン20部を仕込み、ブレンマーAE−200(水酸基末端ポリエチレングリコールアクリレート、日本油脂製)72部を室温で滴下した。滴下終了後、80℃で2時間反応させた後、トルエン74部を加えたものを化合物(3)溶液とする。
合成例4
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにイソホロンジアミン(IPDA)20部、トルエン20部を仕込み、4−ヒドロキシブチルアクリレート17部とブチルアクリレート15部の混合物を室温で滴下した。滴下終了後、80℃で2時間反応させた後、トルエン32部を加えたものを化合物(4)溶液とする。
[ウレタンウレア樹脂の合成]
合成例5
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにポリエーテルポリオールPP−1000(2官能ポリエーテルポリオール、三洋化成工業株式会社製)301部、イソホロンジイソシアネート99部、トルエン100部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.033部を仕込み、100℃まで徐々に昇温して、2時間反応を行った。40℃まで冷却し、酢酸エチル192部、アセチルアセトン1.2部を加えた後、化合物(1)溶液188部を1時間で滴下し、更に1時間熟成した。滴定でイソシアネート基残量を確認した後、2−アミノ−2−メチル−プロパノール7.5部及びトルエン68部を加えて、IRチャートのNCO特性吸収(2,270cm-1)が消失していることを確認し反応を終了した。このウレタンウレア樹脂(A−1)の重量平均分子量Mwは49,000であった。
合成例6
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにポリエーテルポリオールPP−2000(2官能ポリエーテルポリオール、三洋化成工業株式会社製)728部、イソホロンジイソシアネート122部、トルエン212部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.071部を仕込み、100℃まで徐々に昇温して、2時間反応を行った。40℃まで冷却し、酢酸エチル516部、アセチルアセトン4.3部を加えた後、化合物(2)溶液171部及びジエチルアミン1.9部を1時間で滴下し、更に1時間熟成した。滴定でイソシアネート基残量を確認した後、ジエチルアミン11.5部及びトルエン104部を加えて、IRチャートのNCO特性吸収(2,270cm-1)が消失していることを確認し反応を終了した。このウレタンウレア樹脂(A−2)の重量平均分子量Mwは88,000であった。
合成例7
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにポリエーテルポリオールPP−1000(2官能ポリエーテルポリオール、三洋化成工業株式会社製)264部、イソホロンジイソシアネート86部、トルエン88部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.029部を仕込み、100℃まで徐々に昇温して、2時間反応を行った。40℃まで冷却し、酢酸エチル134部、アセチルアセトン1.1部を加えた後、化合物(3)溶液105部を1時間で滴下し、更に1時間熟成した。滴定でイソシアネート基残量を確認した後、2−アミノ−2−メチル−プロパノール6.8部及びトルエン61部を加えて、IRチャートのNCO特性吸収(2,270cm-1)が消失していることを確認し反応を終了した。このウレタンウレア樹脂(A−3)の重量平均分子量Mwは118,000であった。
合成例8
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにセバシン酸系ポリエステルポリオールHS2N−220S(分岐ノナンジオール/セバシン酸、豊国製油株式会社製)171部、イソホロンジイソシアネート29部、トルエン50部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.017部を仕込み、100℃まで徐々に昇温して、2時間反応を行った。40℃まで冷却し、酢酸エチル114部、アセチルアセトン0.6部を加えた後、化合物(1)溶液60部を1時間で滴下しさらに1時間熟成した。滴定でイソシアネート基残量を確認した後、2−アミノ−2−メチル−プロパノール1.4部及びトルエン10部を加えて、IRチャートのNCO特性吸収(2,270cm-1)が消失していることを確認し反応を終了した。このウレタンウレア樹脂(A−4)の重量平均分子量Mwは68,000であった。
合成例9
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにポリエーテルポリオールPTMG−2000SN(保土ヶ谷化学工業株式会社製)343部、イソホロンジイソシアネート57部、トルエン100部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.033部を仕込み、100℃まで徐々に昇温して、2時間反応を行った。40℃まで冷却し、酢酸エチル130部、アセチルアセトン1.2部を加えた後、化合物(2)溶液65部を1時間で滴下し、更に1時間熟成した。滴定でイソシアネート基残量を確認した後、2−アミノ−2−メチル−プロパノール6.0部及びトルエン54部を加えて、IRチャートのNCO特性吸収(2,270cm-1)が消失していることを確認し反応を終了した。このウレタンウレア樹脂(A−5)の重量平均分子量Mwは168,000であった。
合成例10
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにポリエーテルポリオールPP−2000(2官能ポリエーテルポリオール、三洋化成工業株式会社製)300部、イソホロンジイソシアネート50部、トルエン88部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.029部を仕込み、100℃まで徐々に昇温して、2時間反応を行った。40℃まで冷却し、酢酸エチル252部、アセチルアセトン1.2部を加えた後、化合物(4)溶液51部を1時間で滴下し、更に1時間熟成した。滴定でイソシアネート基残量を確認した後、2−アミノ−2−メチル−プロパノール4.3部及びトルエン39部を加えて、IRチャートのNCO特性吸収(2,270cm-1)が消失していることを確認し反応を終了した。このウレタンウレア樹脂(A−6)の重量平均分子量Mwは98,000であった。
合成例11
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにポリカーボネートポリオールC−1090(2官能ポリカーボネートポリオール、株式会社クラレ製)263部、イソホロンジイソシアネート87部、トルエン88部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.029部を仕込み、100℃まで徐々に昇温して、2時間反応を行った。40℃まで冷却し、酢酸エチル251部、アセチルアセトン1.1部を加えた後、化合物(4)溶液50部を1時間で滴下し、更に1時間熟成した。滴定でイソシアネート基残量を確認した後、2−アミノ−2−メチル−プロパノール3.8部及びトルエン35部を加えて、IRチャートのNCO特性吸収(2,270cm-1)が消失していることを確認し反応を終了した。このウレタンウレア樹脂(A−7)の重量平均分子量Mwは72,000であった。
合成例12
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコに約2,200の平均分子量を有する1,4−ブタンジオールポリアジペート 70部、イソホロンジイソシアネート35部を仕込み60℃において終夜攪拌した。次いで、7.5部の1,4−ブタンジオールと1.4部のジメチロールプロピオン酸を加えて、100℃まで徐々に昇温して、2時間反応を行った。得られたウレタンプレポリマー600部と26.6部のイソホロンジアミンを、加熱した二軸反応押出機の供給漏斗中に、別々の管路を通じて、連続的に計り入れた。1分当りの回転速度200において、120〜200℃の溶融温度において、スクリューで反応を行った。溶融した生成物を水溶中で急冷したのち、圧搾空気によって付着する水を除き、次いで粒状化した。このウレタンウレア樹脂(A−8)の重量平均分子量Mwは89,900であった。
合成例13
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコに合成例10で得られたウレタンウレア樹脂(A−6)の溶液を、固形分として100部相当量、トルエン100部、ε−カプロラクトン9.6部を添加し、モノブチル錫オキシド0.2部を添加して100℃において8時間反応を行った。このウレタンウレア樹脂(A−9)の重量平均分子量Mwは97,800であった。
合成例14
オートクレーブ内に合成例10で得られたウレタンウレア樹脂(A−6)の溶液を、固形分として100部相当量、水酸化カリウム0.1部を添加し、直ちに140℃まで昇温しエチレンオキサイド11部を連続的に導入して付加反応を行った。2時間かけてエチレンオキサイドを導入した後、更に1時間反応を行った。常圧に戻しオートクレーブより内容物を取り出して、中和水洗、脱水処理を行った。このウレタンウレア樹脂(A−10)の重量平均分子量Mwは101,200であった。
[ウレタン樹脂の合成]
合成例15
撹拌機、温度計および冷却管を備えた反応器にポリエーテルポリオールPP−1000(2官能ポリエーテルポリオール、三洋化成工業株式会社製)126部、キシレンジイソシアネート24部、トルエン64部を仕込み、100℃にて4時間反応させた。IRチャートのNCO特性吸収(2,270cm-1)が消失していることを確認して、酢酸エチル86部を加えて冷却し均一透明な溶液を得た。このウレタン樹脂(A−11)の重量平均分子量Mwは42,700であった。
[アクリル樹脂の合成]
合成例16
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート60.0部、2−エチルヘキシルアクリレート37.0部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1.0部、アセトン150.0部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.06部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を60℃に昇温させ、5時間反応させた。次いで、反応終了後、トルエンを190部とアクリル酸0.84部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.50部を添加して、70℃に昇温し、6時間反応させた。反応後、トルエン55部を添加して室温まで冷却しアクリル樹脂の溶液を得た。このアクリル樹脂(A−12)の重量平均分子量Mwは1,580,000であった。
実施例1
合成例5で得られた樹脂(A−1)溶液に酢酸エチルを加えて固形分が50%となるように調整した。表1に従って樹脂溶液100部に対して化合物(D)を添加し、更に樹脂溶液100部に対してシランカップリング剤0.5部を配合し、感圧式接着剤組成物を得た。
比較例1
合成例10で得られた樹脂(A−6)溶液に酢酸エチルを加えて固形分が50%となるように調整した。表2に従って樹脂溶液100部に対して化合物(D)を添加し、更に樹脂溶液100部に対してシランカップリング剤0.5部を配合し、感圧式接着剤組成物を得た。
実施例2〜11、比較例2〜4、及び6〜8
合成例5〜11、13〜15で得られた樹脂(A−1〜7、9〜11)溶液に酢酸エチルを加えて固形分が50%となるように調整した。又、合成例16で合成した樹脂(A−12)溶液に酢酸エチルを加えて固形分が20%となるように調整した。表1及び表2に従って樹脂溶液100部に対して化合物(D)を添加し、更に樹脂溶液100部に対してシランカップリング剤を0.5部、更に帯電防止剤として過塩素酸リチウムを配合し、感圧式接着剤組成物を得た。
上記感圧式接着剤組成物を剥離処理されたポリエステルフィルム(以下、「剥離フィルム」という。)上に乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、100℃で2分間乾燥させ、感圧式接着剤層を形成した。乾燥後、感圧式接着剤層に、ポリビニルアルコール(PVA)系偏光子の両面をトリアセチルセルロース系保護フィルム(以下、「TACフィルム」という)で挟んだ多層構造の偏光板の片面を貼り合せ、「剥離フィルム/感圧式接着剤層/TACフィルム/PVA/TACフィルム」なる構成の積層体を得た。次いで、得られた積層体を温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成(暗反応)させて、接着剤層の反応を進行させ、積層体を得た。
上記で得られた積層体を150mm×80mmの大きさに裁断し、剥離フィルムを剥がし、厚さ1.1mmのフロートガラス板の両面に、それぞれの偏光板の吸収軸が直交するようにラミネーターを用いて貼着した。続いて、この偏光板が貼り付けられたガラス板を50℃−5気圧の条件のオートクレーブ内に20分保持させて、偏光板をガラス板に強固に密着させ、液晶セル用部材を得た。貼り付け適性、耐湿熱性、光学特性、及び帯電防止性を以下の方法で評価した。結果を表1及び表2に示す。
比較例5
合成例12で得られた樹脂(A−8)100部に対して塩化メチレン1000部を加え、帯電防止剤として過塩素酸リチウムを0.2部配合し、接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物を厚さ1.1mmのフロートガラス板の両面に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗工した。150mm×80mmの大きさに裁断した偏光板をそれぞれの吸収軸が直交するように150℃、40バールの圧力で5分間プレスして貼り合せ液晶セル用部材を得た。貼り付け適性、耐湿熱性、及び光学特性を以下の方法で評価した。結果を表2に示す。
<貼り付け適性>
液晶セル用部材の接着剤層に残る気泡の有無を下記の3段階の評価基準に基づいて評価をおこなった。
○:「気泡が全く認められず、実用上全く問題なし。」
△:「若干気泡が認められるが、実用上問題がない。」
×:「全面的に気泡があり、実用不可である。」
をそれぞれ意味する。
<耐湿熱性の評価方法>
耐湿熱性の評価として、上記液晶セル用部材を80℃、相対湿度90%で1000時間放置した後の浮きハガレ、発泡を目視で観察した。耐湿熱性について、下記の3段階の評価基準に基づいて評価をおこなった。
○:「浮きハガレ・発泡が全く認められず、実用上全く問題なし。」
△:「若干浮きハガレ・発泡が認められるが、実用上問題がない。」
×:「全面的に浮きハガレ・発泡があり、実用不可である。」
をそれぞれ意味する。
<光学特性の評価方法>
光学特性の評価として、90℃で1000時間放置した後の上記液晶セル用部材に光を透過させたときの光漏れ(白抜け)を目視で観察した。光学特性について、下記の3段階の評価基準に基づいて評価をおこなった。
○:「光漏れが全く認められず、実用上全く問題なし。」
△:「若干光漏れが認められるが、実用上問題がない。」
×:「全面的に光漏れがあり、実用不可である。」
をそれぞれ意味する。
<帯電防止性>
実施例1〜11、比較例1〜4、及び6〜8の感圧式接着剤組成物に関しては、上記積層体の剥離フィルムを剥がし、露出した接着剤層表面の表面抵抗値をデジタル超高抵抗/微少電流計(R8340 ADVANTEST製)で測定した。比較例5の接着剤組成物に関しては、フロートガラス板に塗工した後、接着剤層表面の表面抵抗値を同様の方法で測定した。
Figure 0005369461
Figure 0005369461
化合物(D−1):HMDI/TMP(ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体)の酢酸エチル溶液 NCO%=12.6%
化合物(D−2):XDI/TMP(キシリレンジイソシネートのトリメチローププロパンアダクト体)の酢酸エチル溶液 NCO%=7.7%
シランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
以上のように、実施例1〜11の本発明による感圧式接着剤組成物は、貼り付け適性、耐湿熱性、光学特性、帯電防止性に優れていることが分かる。これに対して、比較例1〜8の感圧式接着剤組成物では、貼り付け適性、耐湿熱性、光学特性、帯電防止性のすべてを満足するものはなかった。

Claims (12)

  1. 水酸基を末端に有するポリエステル鎖及び/又はポリエーテル鎖を側鎖にもつウレタンウレア樹脂(C)を含む感圧式接着剤組成物であって、
    ウレタンウレア樹脂(C)が、
    ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)に、ポリアミン(c)と、水酸基を末端に有するポリエステル鎖及び/又はポリエーテル鎖を有する不飽和化合物(d)と、をマイケル付加反応させて得られるアミノ化合物(B1)を、反応させてなる樹脂(C−1)、
    または、
    ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)に、ポリアミン(c)と、ポリエステル鎖及びポリエーテル鎖を有さない水酸基含有不飽和化合物(e)と、をマイケル付加反応させて得られるアミノ化合物(B2)を、反応させてなる水酸基含有ウレタンウレア樹脂の水酸基に、環状エステル化合物(f)及び/又は環状エーテル化合物(g)を反応させてなる樹脂(C−2)、
    であることを特徴とする感圧式接着剤組成物。
  2. ポリオール(a)が、ポリエーテルポリオール、及び/又はポリエステルポリオールであることを特徴とする請求項記載の感圧式接着剤組成物。
  3. ウレタンウレア樹脂(C)の重量平均分子量(Mw)が、10,000〜200,000であることを特徴とする請求項1または2記載の感圧式接着剤組成物。
  4. ウレタンウレア樹脂(C)中の官能基と反応しうる官能基を少なくとも2個有する化合物(D)を、ウレタンウレア樹脂(C)100重量部に対して0.2 〜5.0重量部含むことを特徴とする請求項1〜いずれか記載の感圧式接着剤組成物。
  5. 化合物(D)が、ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体であることを特徴とする請求項記載の感圧式接着剤組成物。
  6. アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤を含むことを特徴とする請求項1〜いずれか記載の感圧式接着剤組成物。
  7. 帯電防止剤をウレタンウレア樹脂(C)100重量部に対して0.01 〜5.0重量部含むことを特徴とする請求項1〜いずれか記載の感圧式接着剤組成物。
  8. 請求項1〜いずれか記載の感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層をシート状基材上の片面又は両面に形成してなることを特徴とする感圧式接着性シート。
  9. 光学部材上に、請求項1〜いずれか記載の感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層が積層されてなる積層体。
  10. 光学部材が偏光板であることを特徴とする請求項記載の積層体。
  11. 液晶セル用ガラス部材、請求項1〜いずれか記載の感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層、及び光学部材が、順次積層されてなる液晶セル用部材。
  12. 光学部材が偏光板であることを特徴とする請求項11記載の液晶セル用部材。
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