JP5326821B2 - 車両用照明灯具 - Google Patents

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Description

本発明は車両用照明灯具に関するものであり、特に、光源として例えばLED等の半導体型の発光素子を使用するプロジェクタタイプの車両用照明灯具に関する。
従来、光源としてLED等の半導体型の発光素子を使用したプロジェクタタイプの車両用前照灯は知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の車両用前照灯は、車両前後方向に延びる光軸上に配置された横長形状のシリンドリカルレンズと、このシリンドリカルレンズの後側焦点近傍に配置された発光素子を備え、上記発光素子からの直射光を上記レンズで水平方向に拡散させて、拡散タイプの配光パターンとして前方へ照射する構造になっている。
また、このような従来の車両用前照灯は、拡散タイプの配光パターンが得られるだけであって、その他の機能の配光パターン、例えばオーバーヘッドサイン用の配光パターンと共に複数の配光パターンが得られるものではない。
さらに、従来のシリンドリカルレンズを使用した車両用前照灯における配光パターンは、図11に示すような拡散タイプの配光パターンが形成されていた。同図において、符号S1で示す部分は配光の反り上がりとなる部分で、符号S2で示す部分は配光の反り下がりとなる部分であり、部分S1,S2以外の部分が照明に必要とされる有効配光部分である。すなわち、部分S1である配光の反り上がりは対向車側に眩惑光として悪い影響を与え、部分S2である配光の反り下がりは路面光ムラとなり、車両近くに光抜けという悪い影響を与える。しかし、横長形状のシリンドリカルレンズの場合には、このような問題となる部分S1,S2が発生していた。
特開2007−213879号公報。
上述したように、従来の横長形状のシリンドリカルレンズを使用した車両用照明灯具では、拡散タイプの配光パターンとオーバーヘッドサイン用の配光パターンとが得られないという問題点があった。
また、対向車側に眩惑光となる配光の反り上がりや、路面光のムラとなる配光の反り下がり等が発生し、配光面での問題点があった。
さらに、単に横長形状をしたシリンドリカルレンズを使用した車両用照明灯具の構造では、車両左右方向の横幅寸法を大きく必要とする。このため、例えばランプレンズ(アウターレンズ)等、灯具外側の形状が曲面形状で設計されているような場合、その灯具外側の形状に合わせづらく、灯具設計時におけるレイアウトに制限を受けるという問題点があった。さらに、2次元上で光りを拡散させているので、水平方向の配光に視認性が乏しいという問題点もあった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、拡散タイプの配光パターンとオーバーヘッドサイン用の配光パターンとが得られるとともに、配光の反り上がり及び反り下がりをなくして車両照明に適した拡散タイプの配光パターンが得られる車両用照明灯具を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る車両用照明灯具は、光源として半導体型の発光素子を使用する車両用照明灯具において、車両前後方向に延びるレンズ光軸上に配置されているとともに、正面視においては横長形状を成し、上面視においては前面側が車両前方向に突出し、かつ、後面側が車両前方向に凹んだ弓形形状をして形成されている凸レンズと、前記凸レンズの後側焦点近傍に配置された光源としての発光素子と、前記発光素子からの光を反射させてオーバーヘッドサイン用の配光パターンとして外部に照射する反射面と、を備えて成る。
この構成によれば、正面視においては横長形状を成し、上面視においては前面側が車両前方向に突出し、かつ、後面側が車両前方向に凹んだ弓形形状を成している凸レンズを使用することにより、水平方向の視認性に優れた拡散タイプの配光を得ることができる。また、凸レンズに入射しないで反射面に向かって来る光束を該反射面で受け、この光束を有効活用してオーバーヘッドサイン用の配光パターンを得ることができる。
また、凸レンズが車両前方向に突出している弓形形状を成していることにより、例えばアウターレンズ等、灯具外側の形状が曲面形状で設計されているような場合であっても、その灯具外側の形状に合わせ易く、設計時におけるレイアウトの制限をあまり受けることがない。
上記構成において、前記反射面は、放物柱反射面からなり前記凸レンズ後面側の凹部上方を覆って設けて成る、構成を採用できる。
この構成によれば、凸レンズの上方に配置された反射面が発光素子から凸レンズ後面側の凹部内を通って出射されて来る光を受け、この出射光をオーバーヘッドサイン用の光として使用できる。これにより、凸レンズと反射面の配置構成をコンパクトにして、小型化された灯具構造を得ることができる。
上記構成において、前記放物柱反射面の光軸は、該投射レンズの焦線とレンズ光軸と交差する点を中心に前記レンズ光軸から後方に回転して設けられており、前記発光素子からの直射光を車両前方へ反射させる。
上記構成において、前記凸レンズは、前記レンズ光軸より上半分側のレンズ部裏面における曲面の曲率は、該投射レンズの基本焦点を形成する曲率より小さくした構成を採用できる。
この構成によれば、発光素子からの直射光の光量が反射面に多く入射するようにできる。
上記構成において、前記凸レンズは、裏面側が光軸より下半分の曲面の曲率が上半分の曲面の曲率より大で、かつ、後方へ向かって傾斜させて成る、構成を採用できる。
この構成によれば、光源からの光を下方へ正確に偏向制御させて、配光の反り上がり及び反り下がりをなくした配光を可能にする。
本発明によれば、拡散タイプの配光パターンとオーバーヘッドサイン用の配光パターンとが得られるとともに、拡散タイプの配光パターンでは水平方向の視認性に優れた幅の広い配光を得ることができる。また、配光の反り上がり及び反り下がりをなくした拡散タイプの配光が可能になる。さらに、灯具外側の形状に合わせ易いので、灯具設計時におけるレイアウトに制限を受けることが少なく、設計の自由度が得られる。
本発明の一実施形態に係る車両用照明灯を示す側面図。 本実施形態の車両用照明灯具の正面図。 上段ランプユニットのレンズ及び光源の配置を模式的に示す鉛直断面図。 同上レンズの斜視図。 同上レンズの上面図。 同上レンズの正面図。 図6のA−A線断面図。 上段ランプユニットから照射される配光パターンを示す図。 下段ランプユニットから照射される配光パターンを示す図。 上段ランプユニットから照射される配光パターンと上段ランプユニットから照射される配光パターンの合成配光パターンを示す図。 従来の車両用前照灯から照射される配光パターンを示す図。
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。図1及び図2は本発明に係る実施形態の車両用照明灯を示すもので、図1はその側面図、図2はその正面図である。以下の説明において、図1の左右方向左側を前方、右側を後方とし、また上下方向を上下、紙面に垂直な方向を左右として説明する。
図1及び図2において、符号1は、この実施形態における車両用前照灯である。該車両用前照灯1は上段ランプユニット2(大拡散用配光)と、下段ランプユニット3(斜めカットライン用配光)と、ランプレンズ4等から構成されている。なお、ランプレンズ4は、例えば素通しのアウターレンズである。
上段ランプユニット2及び下段ランプユニット3は、ユニット搭載部を兼ねるアルミダイカスト製のヒートシンク5上に配置されている。また、上段ランプユニット2は、本発明の最も特徴とする構成を備える車両用照明灯としてのランプユニットである。
以下、前記上段ランプユニット2の構成についてさらに詳細に説明する。この上段ランプユニット2は、光学ユニット2Aと光源ユニット2Bとリフレクタ2Cとで成る。
前記光源ユニット2Bは、光源としての発光素子6をヒートシンク5上に設けて成る。該発光素子6は、1mm四方程度の大きさの発光チップを複数個並べた略長方形の外形を有する半導体型の発光素子としての白色ダイオード(LED)であって、熱伝導性を有する基板7に支持された状態で、かつ、図3に示すようにレンズ光軸OAのすぐ上側に位置して前方に向けて配置されている。なお、この光源ユニット2Bは前記基板7を介してヒートシンク5に固定されている。
一方、光学ユニット2Aは、投射レンズ11を備える。投射レンズ11は、図4乃至図7に詳細に示す。該投射レンズ11は、正面視においては図6に示すように横長形状を成し、上面視においては図5に示すように前面側が車両前方向に突出し、かつ、後面側が曲率R1で車両前方向に凹んだ弓形形状を成す凸レンズで構成されている。また、この投射レンズ11は、図5に示すように裏面(後方)側に焦線(線上の焦点)12を有している。そして、本実施形態においては、この投射レンズ11の焦線12上に発光素子6を配置しており、これにより発光素子6からの直射光を水平方向に拡張させて前方に照射し、拡散タイプの所定の配光パターンを投影することができるように構成している。
また、前記投射レンズ11のレンズ裏面側には、該レンズ裏面側を車両前方向に凹ませることによって、切り欠き状の湾曲部13が形成されている。さらに、投射レンズ11のレンズ裏面は、該投射レンズ11の基本焦点を形成する曲率Rに対し図7に示すように、レンズ光軸OAより下半分側のレンズ部裏面における曲面11Lの曲率RLは、基本焦点を形成する曲率Rより大きく(R<RL)、レンズ光軸OAより上半分側のレンズ部裏面における曲面11Hの曲率RHは、該投射レンズの基本焦点を形成する曲率Rより小さくし(RL>R)とし、かつ、曲面11Lが曲面11Hよりも後方へ向かって角度θ傾斜させた状態に形成されている。なお、前記角度θは、0°以上5°以下(0°<θ<5°)で設定される。
図4に示すように、前記リフレクタ2Cは、投射レンズ11のレンズ後面側の凹部である湾曲部13の上方を覆って配設され、車両前方向を向いた前面部分と発光素子側6と対応している下面側の部分がそれぞれ開口し、その他の部分が閉塞されて、概略ダクト状に形成されている。また、リフレクタ2Cの閉塞部分の内面には、アルミ蒸着若しくは銀塗装等が施されて放物柱反射面20を設けている。
また、リフレクタ2Cは、断面形状が放物面からなり焦点を投射レンズ11の焦線(線上の焦点)12とレンズ光軸OAと交差する点に設けた面からなり、前記面を左右方向に平行移動させた放物柱反射面20として設けている。該放物柱反射面20の光軸ORは、該投射レンズ11の焦線(線上の焦点)12とレンズ光軸OAと交差する点を中心にレンズ光軸OAから後方に約1.0〜5.0°回転して設けられており、発光素子6からの直射光を車両前方へ反射させてオーバーヘッドサイン用の配光パターンを形成するように構成されている。
すなわち、前記放物柱反射面20では、発光素子6からの直射光のうち、投射レンズ11に入射しないで該放物柱反射面20に向かって来る光束を有効活用すべく、車両前方へ反射させてオーバーヘッドサイン用の配光パターンを形成するもので、特に、本例では該投射レンズ11のレンズ裏面に曲面11Hを設けることにより、発光素子6からの直射光の光量が放物柱反射面20に多く入射するように構成している。
また、レンズ光軸OAより上半分側のレンズ部裏面における曲面11Hの曲率RHは、該投射レンズの基本焦点を形成する曲率Rより小さくし(RL>R)(RH<R)とすることで、発光素子6からの直射光の光量が放物柱反射面20に多く入射するように構成でき、さらに投射レンズ11の上端より多くの水平カット部11Uを設けることができ、放物柱反射面20で反射されて上向きのオーバーヘッドサイン用の光を遮ることがない、しかもレンズ上側(上半分側のレンズ部)に入射された光は出射光として出射光L1よりやや下側に偏向できる。
この実施形態における上段ランプユニット2は、以上のごとき投射レンズ11を形成するとともに、該投射レンズ11のレンズ焦線12上に発光素子6を配置し、かつ、投射レンズ11のレンズ後面側の湾曲部13の上方を覆ってリフレクタ2Cを配設した構造としたことにより、発光素子6から投射レンズ11及び放物柱放物柱反射面20に入射された直射光は、図3に示すように、出射光L1,L3,L5としてそれぞれ外部(車両の前方)に照射される。
すなわち、発光素子6から放射されて投射レンズ11に向かった光のうち、レンズ中心付近に入射された光は出射光L1としてレンズ光軸OAに沿ってほぼ水平に出射し、レンズ上側(上半分側のレンズ部)に入射された光は出射光として出射光L1よりやや下側に偏向されて出射し、レンズ下側(下半分側のレンズ部)に入射された光は出射光L3として出射光L1よりも下側に偏向されて出射する。
そして、この投射レンズ11による偏向制御により、図8に示すように、水平方向における視認性に優れた幅広い下向きの拡散タイプの配光パターンP1を得ることができる。また、この配光では、従来の車両用照明灯具で問題となっていた配光の反り上がり及び反り下がりをなくした配光が可能になる。
一方、発光素子6から放射されて放物柱反射面20に向かった出射光L5は、放物柱反射面20で反射されて上向きのオーバーヘッドサイン用の配光パターンP2として車両の前方に照射される。
したがって、本実施形態における車両用照明灯具では、拡散タイプの配光パターンとオーバーヘッドサイン用の配光パターンとが得られる。また、正面視においては横長形状を成し、上面視においては前面側が車両前方向に突出し、かつ、後面側が車両前方向に凹んだ弓形形状を成している投射レンズ(凸レンズ)11を使用しているので、水平方向における視認性に優れた拡散タイプの配光を得ることができる。
また、前記投射レンズ11のレンズ光軸OAより下半分のレンズ部の曲面11Hが、光源(受光素子6)からの光を下方に偏向させるので、上方に向かう光線が下側に向かい、配光の反り上がり及び反り下がりをなくした配光を可能にする。
さらに、投射レンズ11が車両前方向に突出している弓形形状を成していることにより、例えばランプレンズ4の形状等、灯具外側の形状が曲面形状で設計されているような場合であっても、その灯具外側の形状に合わせ易く、灯具設計時におけるレイアウトに制限をあまり受けることがなくなる。
また、さらに前記放物柱反射面20は、投射レンズ11の後面側における湾曲部(凹部)13の上方を覆って設けているので、投射レンズ11に入射しないで該放物柱反射面20に向かって来る光束を受け、これをオーバーヘッドサイン用の光として有効に活用することができる。さらに、投射レンズ11と放物柱反射面20の配置構成をコンパクトにまとめて小型化された構造を得ることが可能になる。
また、発光素子6をヒートシンク5上に直接、基板7を介して配置することができるので、薄型化された構造を得ることができる。
なお、上記実施形態において、下段ランプユニット3がエルボーを有する集光タイプの光学系である場合、その配光パターンは遠方視認性を確保するために例えば図9に示すような配光パターンP3(図中、符号CLはカットオフライン、Eはエルボー点)が得られるように設定される。また、下段ランプユニット3の光軸は路面に対してほぼ水平方向に向けられ、上段ランプユニット2は下段ランプユニット3の光軸よりも下向きの角度になる。そして、上記実施形態の車両用前照灯1では、上段ランプユニット2で得られる配光パターンP1,P2と下段ランプユニット3で得られる配光パターンPが合成されて、例えば図10に示すような合成配光パターンを得ることができる。
さらに、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。例えば、上記実施の形態では、ヒートシンク5の上段にランプユニット2を設け、かつ、下段にランプユニット3を設けた構造にしたが、逆にヒートシンク5の上段にランプユニット3を設け、かつ、下段にランプユニット2を設ける構造にしてもよい。
以上説明したように、本発明は車両用照明灯具について説明したが、車両用灯具に限らず一般の信号灯等にも応用できる。
1 車両用前照灯
2 上段ランプユニット
2A 光学ユニット
3 下段ランプユニット
4 ランプレンズ
5 ヒートシンク
6 発光素子(LED)
7 基板
11 投射レンズ(凸レンズ)
11L 下半分の曲面
11H 上半分の曲面
11U 水平カット部
12 レンズ焦線
13 湾曲部(レンズ後面側の凹部)
20 放物柱反射面
P1 拡散タイプの配光パターン
P2 オーバーヘッドサイン用の配光パターン
P3 下段ランプユニットの配光パターン
L1 出射光
L3 出射光
L5 出射光
R1 弓形の曲率
R2 焦線の曲率
RL 曲率
RH 曲率
OA レンズ光軸
θ 傾斜角度
S1 配光の反り上がり部分
S2 配光の反り下がり部分
CL カットオフライン
E エルボー点

Claims (3)

  1. 光源として半導体型の発光素子を使用する車両用照明灯具において、
    車両前後方向に延びるレンズ光軸上に配置されているとともに、正面視においては横長形状を成し、上面視においては前面側が車両前方向に突出し、かつ、後面側が車両前方向に凹んだ弓形形状をして形成されている凸レンズと、
    前記凸レンズの後側焦点近傍に配置された光源としての発光素子と、
    前記発光素子からの光を反射させてオーバーヘッドサイン用の配光パターンとして外部に照射する反射面と、を備え、
    前記凸レンズは、前記レンズ光軸より上半分側のレンズ部裏面における曲面の曲率を前記凸レンズの基本焦点を形成する曲率より小さくしたことを特徴とする車両用照明灯具。
  2. 前記反射面は、放物柱反射面からなり前記凸レンズ後面側の凹部上方を覆って設けて成ることを特徴とする請求項1記載の車両用照明灯具。
  3. 前記放物柱反射面の光軸は、前記凸レンズの焦線とレンズ光軸と交差する点を中心に前記レンズ光軸から後方に回転して設けられており、前記発光素子からの直射光を車両前方へ反射させることを特徴とする請求項2記載の車両用照明灯具。
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