JP5251741B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車室内へ吹き出す空気の温度を自動で調整する自動制御方式の車両用空調装置に関する。
従来、自動制御方式の車両用空調装置では、車室内温度(内気温)を乗員の設定温度に維持するための目標吹出空気温度TAOを算出し、この目標吹出空気温度となるように、車室内若しくは車室外から導入した空気を一旦蒸発器で冷却し、冷却した空気をヒータコアで昇温している(例えば、特許文献1参照)。
特許第3309528号公報
しかしながら、上述のような自動制御方式の車両用空調装置では、例えば、車室内に冷風を吹き出す冷房運転中に外気温が車室内温度よりも低い低外気温状態となる場合でも、圧縮機の作動を継続させている。この場合には、外気を必要以上に蒸発器で冷却し、冷却した空気をヒータコアで目標吹出空気温度まで昇温することとなり、蒸発器で冷却した熱量が、無駄なエネルギー消費となる。
また、特許文献1の車両用空調装置では、省燃費効果を得るために、目標吹出空気温度が外気温よりも高い場合に圧縮機の作動を停止している。しかし、目標吹出空気温度が外気温よりも低い場合は、圧縮機を作動させることになり、省燃費効果を充分に得ることができなかった。
本発明は、上記点に鑑み、車室内へ吹き出す空気の温度を自動で調整する自動制御方式の車両用空調装置において、車室内空調の省燃費効果を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内へ吹き出す空気の温度を自動で調整する自動制御方式の車両用空調装置において、車室内に吹き出す空気の空気通路を構成するケース(2)と、車室外の外気をケース(2)に導入する外気モードと車室内の内気をケース(2)に導入する内気モードとに切替可能な内外気切替手段(6)と、ケース(2)内に導入された空気を車室内へと送風する送風機(8)と、車室内へ吹き出す空気を冷却するための冷凍機と、車室内の内気温(Tr)が乗員により設定された設定温度(Tset)となるように、少なくとも内外気切替手段(6)、送風機(8)、冷凍機の作動を制御する温度制御手段(30)と、車室外の外気温(Tam)を検出する外気温検出手段(31)と、車室内の内気温(Tr)を検出する内気温検出手段(32)とを備え、温度制御手段(30)は、車室内へ冷風を吹き出す冷房運転中において、外気温検出手段(31)で検出した外気温(Tam)が内気温検出手段(32)で検出した内気温(Tr)よりも所定温度(α)を越えて低い低外気温状態である場合に、冷凍機の作動を停止させ、外気モードに切替えるとともに、送風機(8)の作動を制御して車室内の内気温(Tr)が設定温度(Tset)となるように車室内への外気の導入量を調整する換気制御を実行することを特徴とする。
これによれば、目標吹出空気温度が外気温(Tam)よりも低い場合であっても、外気温(Tam)が内気温(Tr)よりも所定温度(α)を超えて低い場合には、冷凍機を停止して車室内の内気温(Tr)が設定温度(Tset)となるように外気の導入量を調整するので、従来よりも車室内空調時の冷凍機の作動時間を短縮した車室内空調を行なうことができる。従って、車室内空調の省燃費効果を向上させることができる。
さらに、請求項に記載の発明では、温度制御手段(30)は、換気制御を実行する場合に、車室内に吹き出す空気の熱量が、冷凍機を作動させた場合における車室内に吹き出す空気の熱量となるように送風機(8)の作動を制御するように制御することを特徴とする。
これによれば、低外気温状態である場合に冷凍機の作動を停止したとしても、冷凍機を作動させた状態と停止させた状態とで車室内に吹き出す空気の熱量を同等にすることができるので、車室内に吹き出す空気の温度の温度制御を適切に行なうことができる。
具体的には、請求項に記載の発明のように、請求項に記載の発明において、車室内に吹き出す空気の目標温度である目標吹出空気温度(TAO)を算出する吹出空気温度算出手段と、目標吹出空気温度(TAO)に応じて送風機(8)の第1目標送風量(V)を算出する第1目標送風量算出手段と、前記換気制御を実行する場合の送風機(8)の第2目標送風量(Vkk)を算出する第2目標送風量算出手段とを備え、第2目標送風量算出手段は、第2目標送風量(Vkk)を下記数式
Vkk={(Tr−TAO)/(Tr−TAOam)}×V
(但し、Vkk:第2目標送風量、V:第1目標送風量、Tr:内気温、TAO:目標吹出空気温度、TAOam:外気温+α、α:所定温度)により算出し、温度制御手段(30)は、換気制御を実行する場合に、車室内に吹き出す空気の送風量が第2目標送風量(Vkk)となるように送風機(8)を制御することができる。
ここで、送風機(8)の送風量が大きいと、乗員に不快感や違和感を与えてしまう場合があるため、請求項に記載の発明では、請求項に記載の発明において、温度制御手段(30)は、第2目標送風量算出手段で算出された第2目標送風量(Vkk)が、予め設定された最大換気風量(Vkkmax)より小さい場合に、換気制御を実行することを特徴とする。
これによれば、第2目標送風量(Vkk)が予め設定された最大換気風量(Vkkmax)より小さい場合に、換気制御を実行するため、送風量の増大による乗員の不快感や違和感を低減することができる。
また、換気制御に移行する前に、第1目標送風量(V)が第2目標送風量(Vkk)より小さい場合、換気制御に移行する際に送風機(8)の送風量が急変して、乗員に不快感や違和感を与えてしまう虞がある。
そこで、請求項に記載の発明では、請求項に記載の発明において、温度制御手段(30)は、第2目標送風量算出手段で算出された第2目標送風量(Vkk)が、最大換気風量(Vkkmax)以上で、第1目標送風量(V)が、最大換気風量(Vkkmax)より小さい場合に、車室内に吹き出す空気の送風量が第1目標送風量(V)よりも多く、最大換気風量(Vkkmax)以下となるように送風機(8)の作動を制御する移行制御を実行することを特徴とする。
このように、換気制御に移行する前に、移行制御を実行することで、換気制御に移行する際の送風機(8)の送風量の急変を抑制することができ、乗員の不快感や違和感を低減することができる。
移行制御では、車室内に吹き出す空気の送風量を増大させることで、車室内に吹き出す空気の熱量が増大し、車室内が冷えすぎてしまうことが懸念されるため、請求項に記載の発明のように、請求項に記載の発明において、温度制御手段(30)が移行制御を実行する場合に、吹出空気温度算出手段によって算出された目標吹出空気温度(TAO)よりも高い目標温度となるように内外気切替手段(6)、冷凍機の作動を制御してもよい。
これにより、移行制御を実行する際の送風量の増大に伴う車室内に吹き出す空気の熱量の増大を、目標吹出空気温度(TAO)を高くすることでバランスさせることができる。これにより移行制御へと移行する際の温感的な変化を抑制することができ、乗員の不快感や違和感をより低減することができる。
具体的には、請求項の記載の発明のように、請求項に記載の発明において、温度制御手段(30)が移行制御を実行する場合に、車室内に吹き出す空気の熱量が、第1目標送風量(V)となるように送風機(8)の作動を制御させた場合における前記車室内に吹き出す空気の熱量となるように、内外気切替手段(6)、冷凍機の作動を制御することで、車室内に吹き出す空気の熱量をバランスさせることができる。
また、請求項に記載の発明のように、請求項ないしのいずれか1つに記載の発明において、温度制御手段(30)が移行制御を実行する場合に、車室内に吹き出す空気の送風量が、最大換気風量(Vkkmax)となるように送風機(8)の作動を制御するようにしてもよい。
また、請求項に記載の発明のように、請求項1ないしのいずれか1つに記載の発明において、冷凍機を、車室内に吹き出す空気を冷却する冷房用熱交換器(9)と、冷房用熱交換器(9)の冷却状態を作り出す圧縮機(11)とを含んで構成される蒸気圧縮式冷凍機(10)とし、温度制御手段(30)によって、圧縮機(11)の作動を制御することで冷房用熱交換器(9)の冷却機能を調整するような構成とすることができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態に係る車両用空調装置の全体システム構成図である。 第1実施形態に係る空調自動制御の概要を示すフローチャ−トである。 第1実施形態に係る通常制御時における送風機制御の特性図である。 第1実施形態に係る空調自動制御を実行した際の状態変化を説明する説明図である。 第2実施形態に係る空調自動制御の概要を示すフローチャ−トである。 第2実施形態に係る空調自動制御を実行した際の状態変化を説明する説明図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図3に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る車両用空調装置の全体構成の概要を示している。車両用空調装置は、車室内へ吹き出す空気の温度を自動で調整する自動制御方式である。
図1に示すように、車両用空調装置は車室内最前部の計器盤(図示せず)の内側部に配設される室内空調ユニット1を備えている。この室内空調ユニット1はケース2を有し、このケース2内に車室内へ向かって空気が送風される空気通路を構成する。
このケース2の空気通路の最上流部に内気導入口3および外気導入口4を有する内外気切替箱5を配置している。この内外気切替箱5内に、内外気切替手段としての内外気切替ドア6を回転自在に配置している。
この内外気切替ドア6はサーボモータ7によって駆動されるもので、内気導入口3より内気(車室内空気)を導入する内気モードと外気導入口4より外気(車室外空気)を導入する外気モードとを切替可能に構成されている。
内外気切替箱5の下流側には車室内に向かう空気流を発生させる電動式の送風機8を配置している。この送風機8は、遠心式の送風ファン8aをモータ8bにより駆動するようになっている。送風機8の下流側にはケース2内を流れる空気を冷却する蒸発器9を配置している。この蒸発器9は、送風機8の送風空気を冷却する冷房用熱交換器で、蒸気圧縮式冷凍サイクル装置(蒸気圧縮式冷凍機)10を構成する要素の一つである。
なお、冷凍サイクル装置10は、圧縮機11の吐出側から、凝縮器12、受液器13および減圧手段をなす膨張弁14を介して蒸発器9に冷媒が循環するように形成された周知のものである。凝縮器12には電動式の冷却ファン12aによって室外空気(冷却空気)が送風される。
冷凍サイクル装置10において、圧縮機11は、冷房用熱交換器である蒸発器9の冷却状態を作り出すもので、電磁クラッチ11aを介して車両エンジン(図示せず)により駆動される。従って、電磁クラッチ11aの通電の断続により圧縮機11の作動を断続制御することで、蒸発器9の冷却機能を調整することができる。また、蒸発器9は、膨張弁14にて減圧された後の低温低圧の気液2相状態の冷媒が送風機8の送風空気から吸熱して蒸発することにより、送風空気を冷却する。
一方、室内空調ユニット1において、蒸発器9の下流側にはケース2内を流れる空気を加熱するヒータコア15を配置している。このヒータコア15は車両エンジンの温水(エンジン冷却水)を熱源として、蒸発器9通過後の空気(冷風)を加熱する暖房用熱交換器である。ヒータコア15の側方にはバイパス通路16が形成され、このバイパス通路16をヒータコア15のバイパス空気が流れる。
蒸発器9とヒータコア15との間に温度調整手段をなすエアミックスドア17を回転自在に配置してある。このエアミックスドア17はサーボモータ18により駆動されて、その回転位置(開度)が連続的に調整可能になっている。
このエアミックスドア17の開度によりヒータコア15を通る空気量(温風量)と、バイパス通路16を通過してヒータコア15をバイパスする空気量(冷風量)との割合を調節し、これにより、車室内に吹き出す空気の温度を調整するようになっている。
ケース2の空気通路の最下流部には、車両の前面窓ガラスWに向けて空調風を吹き出すためのデフロスタ吹出口19、乗員の顔部に向けて空調風を吹き出すためのフェイス吹出口20、および乗員の足元部に向けて空調風を吹き出すためのフット吹出口21の計3種類の吹出口が設けられている。
これら吹出口19〜21の上流部にはデフロスタドア22、フェイスドア23およびフットドア24が回転自在に配置されている。これらのドア22〜24は、図示しないリンク機構を介して共通のサーボモータ25によって開閉操作される。
次に、本実施形態の電気制御部の概要を説明すると、空調制御装置30は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。この空調制御装置30は、そのROM内に空調制御のための制御プログラムを記憶しており、その制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行う。
空調制御装置30の入力側にはセンサ群31〜35からセンサ検出信号が入力され、また、車室内前部の計器盤(図示せず)付近に配置される空調パネル36から各種操作信号が入力される。
センサ群としては、具体的には、外気温(車室外温度)Tamを検出する外気センサ31、内気温(車室内温度)Trを検出する内気センサ32、車室内に入射する日射量Tsを検出する日射センサ33、蒸発器9の空気吹出部に配置されて蒸発器吹出空気温度Teを検出する蒸発器温度センサ34、ヒータコア15に流入する温水(エンジン冷却水)温度Twを検出する水温センサ35等が設けられる。なお、外気センサ31が本発明の外気温検出手段に相当し、内気センサ32が本発明の内気温検出手段に相当している。
また、空調パネル36には各種操作スイッチとして、車室内温度を設定する温度設定手段をなす温度設定スイッチ37、吹出モードドア22〜24により切り替わる吹出モードをマニュアル設定する吹出モードスイッチ38、内外気切替ドア6による内気モードと外気モードをマニュアル設定する内外気切替スイッチ39、圧縮機11の作動指令信号(電磁クラッチ11aのON信号)を出すエアコンスイッチ40、送風機8の風量切替をマニュアル設定する送風機作動スイッチ41、空調自動制御状態の指令信号を出すオートスイッチ42等が設けられる。
空調制御装置30の出力側には、圧縮機11の電磁クラッチ11a、各機器の電気駆動手段をなすサーボモータ7、18、25、送風機8のモータ8b、凝縮器冷却ファン12aのモータ12b等が接続され、これらの機器の作動が空調制御装置30の出力信号により制御される。そのため、空調制御装置30が、本発明の温度制御手段として機能している。
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。最初に、室内空調ユニット1の作動の概要を説明すると、送風機8を作動させることにより、内気導入口3または外気導入口4より導入された空気がケース2内を車室内に向かって送風される。また、電磁クラッチ11aに通電して電磁クラッチ11aを接続状態とし、圧縮機11を車両エンジンにて駆動することにより、冷凍サイクル装置10内を冷媒が循環する。
送風機8の送風空気は、先ず蒸発器9を通過して冷却、除湿され、この冷風は次にエアミックスドア17の回転位置(開度)に応じてヒータコア15を通過する流れとバイパス通路16を通過する流れとに分けられる。ヒータコア15を通過する流れは加熱されて温風となり、バイパス通路16を通過する流れは冷風のままである。
従って、エアミックスドア17の開度によりヒータコア15を通る空気量(温風量)と、バイパス通路16を通過する空気量(冷風量)との割合を調節し、これにより、車室内に吹き出す空気の温度を調節できる。そして、この温度調節された空調風が、ケース2の空気通路の最下流部に位置するデフロスタ吹出口19、フェイス吹出口20およびフット吹出口21のうち、いずれか1つまたは複数の吹出口から車室内へ吹き出して、車室内の空調および車両の前面窓ガラスWの曇り止めを行う。
次に、本実施形態による空調自動制御を図2、図3に基づいて説明する。図2は、本実施形態に係る空調自動制御の概要を示すフローチャートである。なお、図2は、空調制御装置30のマイクロコンピュータにより実行される制御ルーチンを示し、この制御ルーチンは、図示しない車両エンジンのイグニッションスイッチの投入状態においてオートスイッチ42が投入されるとスタートする。
オートスイッチ42の投入によって制御ルーチンがスタートすると、先ず、ステップS10にて、各種カウンタやフラグ等を初期化する。そして、ステップS20でセンサ群30〜35の検出信号、空調パネル36からの各種操作信号等を読み込む。
次に、ステップS30にて、通常制御(通常時の空調自動制御)時の車室内への吹出空気の目標吹出温度TAOを算出する。この目標吹出温度TAOは空調熱負荷変動にかかわらず、空調パネル36の温度設定スイッチ37により乗員が設定した設定温度Tsetに車室内温度を維持するために必要な車室内吹出空気温度である。このTAOは設定温度Tset、外気温Tam、内気温Tr、日射量Tsに基づいて下記数式(F1)により算出する。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(F1)
但し Kset、Kr、Kam、Ks:制御ゲイン
C:補正用の定数
次に、ステップS40にて、通常制御時の目標蒸発器吹出温度TEOを算出する。ここで、目標蒸発器吹出温度TEOは、車室内吹出空気の温度制御等のために決定される制御値であって、周知のごとく目標吹出温度TAO、外気温Tam、車室内湿度等に応じて算出される。
次に、ステップS50にて、通常制御時における送風機8により送風される空気の第1目標送風量Vを上記TAOに基づいて算出する。この第1目標送風量Vの算出方法は周知であり、図3に示すように、上記TAOの高温側(最大暖房側)および低温側(最大冷房側)で目標送風量を大きくし、上記TAOの中間温度域で目標送風量を小さくする。そして、送風機8のモータ8bの回転数は、この第1目標送風量Vが得られるように空調制御装置30の出力により制御される。なお、送風機8の目標風量はより具体的には、送風機モータ8bに印加する電圧レベル(ブロワレベル)として決定している。
ところで、車室内に冷風を吹き出す冷房運転中において、外気温Tamが内気温Trよりも所定温度αを超えて低い低外気温状態となる場合には、車室内への吹出空気を蒸発器9で冷却しなくとも、車室内へ外気を導入することで車室内温度を低下させることができる。つまり、冷凍サイクル装置10の圧縮機11を作動させず、車室内への外気の導入量(送風量)を調整する換気制御を実行することで車室内空調を行なうことが可能である。
ここで、所定温度αは、外気が空調ユニットのケース2内等を通過する際に周囲の熱の影響により昇温することを考慮して付加した補正用の定数である。なお、外気が空調ユニットのケース2内等を通過する際に周囲の熱の影響をほとんど受けない場合には、所定温度αを0℃に設定してもよい。
本実施形態では、図2のステップS60にて、換気制御を実行する場合における送風機8で送風する空気の第2目標送風量Vkkを算出する。ここで、第2目標送風量Vkkは、冷房運転時において、外気温Tamが内気温Trよりも所定温度αを越えて低い低外気温状態の場合(換気制御を実行する場合)に、外気を導入する導入量を調整するために決定される制御値である。
この第2目標送風量Vkkは、換気制御を実行する場合における車室内への吹出空気の熱量Q1が、圧縮機11を作動させて蒸発器9にて吹出空気を冷却する通常制御時の熱量Q2となるように決定する。具体的には、第2目標送風量Vkkは、内気温Tr、目標吹出空気温度TAO、外気温Tam、第1目標送風量Vに基づいて下記数式F2〜数式F4により算出する。
Q1=Q2…(F2)
(Tr−TAOam)×Vkk=(Tr−TAO)×V…(F3)
Vkk={(Tr−TAO)/(Tr−TAOam)}×V…(F4)
但し、TAOam:外気温+所定温度α
ここで、車室内に冷風を吹き出す冷房運転中は、内気温Trが目標吹出空気温度TAOよりも低温となることがないため、数式F4における分子(Tr−TAO)は正の値となる。また、送風機8の送風量については、常に0より大きい正の値となるため、第2目標送風量Vkkが0よりも大きい場合(Vkk>0)は、数式(F4)における分母(Tr−TAOam)が0よりも大きい値となる。つまり、第2目標送風量Vkkが0よりも大きい場合(Vkk>0)は、外気温Tamが内気温よりも所定温度αを越えて低い低外気温状態と判断することができる。
なお、図2には記載していないが、数式F4に基づいて第2目標送風量Vkkを算出する前(ステップS60の前)には、予め数式F4の分母が0とならないか否か(Tr−TAOam≠0?)を判定し、分母が0とならない場合に第2目標送風量Vkkを算出している。
次に、ステップS70にて、第2目標送風量Vkkが、0よりも大きく、予め設定された最大換気風量Vkkmaxよりも小さい範囲(0<Vkk<Vkkmax)であるか否かを判定している。なお、最大換気風量Vkkmaxは、実験等を通して、車室内の乗員に不快感や違和感を与えないように実験等を通して決定された制御値である。
ステップS70における第2目標送風量Vkkが0よりも大きいか否かの判定(Vkk>0?)では、外気温Tamが内気温Trよりも所定温度αを越えて低い低外気温状態(Tr−TAOam>0)か否かを判断している。なお、Vkk>0となるか否かの判定をTr−TAOam>0となるか否かの判定に置き換えてもよい。
また、ステップS70における第2目標送風量Vkkが最大換気風量Vkkmaxよりも小さいか否かの判定(Vkk<Vkkmax?)は、送風機8の送風量が大風量となると、乗員に不快感や違和感を与えてしまう場合があることを考慮して設けられている。つまり、第2目標送風量Vkkが最大換気風量Vkkmaxよりも小さいか否か(Vkk<Vkkmax?)を判定することで、第2目標送風量Vkkが乗員の空調フィーリングを悪化させるような大風量とならないか否かを判断している。
ステップS70の判定処理において、第2目標送風量Vkkが、0以下、若しくは、最大換気風量Vkkmax以上と判定された場合(ステップS70:NO)、ステップS80に移行して通常制御を行なう。
次に、ステップS80にて内外気吸入モードを目標吹出空気温度TAO等に基づいて選択する。具体的には、目標吹出空気温度TAOが低温側から高温側へと変化するにつれて内外気吸入モードを内気モード→外気モードと切り替える。また、目標吹出温度TAOが低温側から高温側へと変化するにつれて内外気吸入モードを内気モード→内外気混入モード→外気モードと切り替えてもよい。なお、乗員が空調パネル36の内外気切替スイッチ39を操作した場合は、乗員操作によるモードを内外気吸入モードとして選択する。
次に、ステップS90にてエアミックスドア17の目標開度SWを、目標吹出空気温度TAO、蒸発器温度センサ34により検出される蒸発器吹出空気温度Te、水温センサ35により検出される温水温度Twに基づいて下記数式F5により算出する。
SW={(TAO−Te)/(Tw−Te)}×100(%)…(F5)
そして、エアミックスドア17の開度を数式F5により算出した目標開度SWとなるように制御する。なお、SW=0(%)は、エアミックスドア17の最大冷房位置であり、バイパス通路16を全開し、ヒータコア15側の通風路を全閉する。これに対し、SW=100(%)は、エアミックスドア17の最大暖房位置であり、バイパス通路16を全閉し、ヒータコア15側の通風路を全開する。
次に、ステップS100にて圧縮機11の能力制御を行う。具体的には、圧縮機11の電磁クラッチ11aの通電ON−OFFを制御する。すなわち、本実施形態では、圧縮機11として常に一定の吐出容量で作動する固定容量型圧縮機を用いているので、蒸発器9の実際の吹出空気温度Teが目標蒸発器吹出温度TEOまで低下すると、電磁クラッチ11aへの通電を遮断して圧縮機11を停止状態とする。
次に、ステップS110にて、車室内への吹出空気の送風量が、ステップS50で目標吹出空気温度TAOに基づいて算出した第1目標送風量Vとなるように送風機8のモータ8bを制御する。そして、ステップS120で制御周期τを経過したか否かを判定し、制御周期τを経過した場合に、ステップS20に戻る。
一方、ステップS70の判定処理において、第2目標送風量Vkkが、0よりも大きく、かつ、最大換気風量Vkkmaxよりも小さいと判定された場合(ステップS70:YES)、ステップS130に移行して換気制御を行なう。
次にステップS130にて、内外気切替ドア6を内外気吸入モードの外気モードに切替える。なお、ステップS70の判定前から内外気切替ドア6を外気モードに設定されていた場合には、外気モードを維持すればよい。
そして、ステップS140にて、エアミックスドア17の目標開度SWを0(%)、つまり、バイパス通路16を全開し、ヒータコア15側の通風路を全閉する最大冷房位置となるように制御する。エアミックスドア17を最大冷房位置に制御することで、外部から導入した外気をヒータコアで昇温させることなく車室内に吹き出すことができる。
次に、ステップS150にて、圧縮機11の電磁クラッチ11aへの通電を遮断して圧縮機11を作動停止状態にする。さらに、ステップS160にて、室内への吹出空気の送風量が、ステップS60で数式F2〜数式F4に基づいて算出した第2目標送風量Vkkとなるように送風機8のモータ8bを制御する。
ここで、数式F4によれば、TAO≦Tam+αとなる場合には、Tr−TAO≧Tr−TAOam、つまりVkk≧Vとなる。従って、この場合の送風機8の制御は、圧縮機11の作動停止による熱量不足を補うために車室内への外気の送風量を増加させるように制御することとなる。
一方、TAO>Tam+αとなる場合には、Tr−TAO<Tr−TAOam、つまりVkk<Vとなる。従って、この場合の送風機8の制御は、圧縮機11の作動停止による熱量増加を調整するために車室内への外気の送風量を減少させるように制御することとなる。
なお、上述のステップS30における目標吹出空気温度TAOの算出処理が、吹出空気温度算出手段に相当する。また、ステップS50における第1目標送風量の算出処理が、第1目標送風量算出手段に相当し、ステップS60における第2目標送風量算出処理が、第2目標送風量算出手段に相当する。
以上説明した本実施形態によれば、換気制御を実行している場合には、目標吹出空気温度TAOが外気温Tamよりも低い場合であっても、外気温Tamが内気温Trよりも所定温度αを超えて低い場合には、圧縮機11の作動を停止して車室内の内気温Trが設定温度Tsetとなるように外気の導入量を調整する。これにより、従来よりも車室内空調時の圧縮機11の作動時間を短縮することができ、車室内空調の省燃費効果を向上させることができる。
また、換気制御を実行している場合に車室内に吹き出す空気の熱量Q1が圧縮機11を作動させた場合の熱量Q2となるように、送風機8で外気の導入量を調整しているので、車室内に吹き出す空気の温度の温度制御を適切に行なうことができる。
また、送風機8の送風量の第2目標送風量(Vkk)が最大換気風量Vkkmaxよりも小さい場合に、換気制御を実行するため、送風量の増大による乗員の不快感や違和感を低減することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図4〜図6に基づいて説明する。上記第1実施形態と同様または均等な部分について同一の符号を付し、その説明を省略する。
まず、第1実施形態の空調自動制御を実行した場合の状態変化を説明する。図4は、低外気温状態に第1実施形態の空調自動制御を実行した場合の状態変化を説明する説明図である。なお、図4では、冷房運転を行なっている際の内気温Tr、目標吹出空気温度TAO、送風機8の風量の状態変化を示しており、各状態変化は、図中右側から左側へと推移する。
図4に示すように、第1実施形態において低外気温状態に空調自動制御を実行した場合、開始段階では、通常制御(通常時の空調自動制御)が行なわれる。この通常制御の開始段階では、内気温Trが高く、目標吹出空気温度TAOが高い温度に設定されるため、送風機8の風量が高い状態(V>Vkkmax)となる。その後、内気温Trが低下するとともに、目標吹出空気温度TAOが高くなり、送風機8の送風量も低下する。
第1実施形態では、第1目標送風量Vが最大換気風量Vkkmaxを下回った場合でも換気制御に移行しないので、第1目標送風量Vが最大換気風量Vkkmaxを下回っても送風機8の送風量が低下し続ける。そして、第2目標送風量Vkkが最大換気風量Vkkmaxより小さくなった場合に、通常制御から換気制御に移行して、送風機8の送風量の目標風量を第1目標送風量Vから第2目標送風量Vkkに変更する。
ここで、通常制御から換気制御への移行時には、第2目標送風量Vkkが最大換気風量Vkkmax程度となり、第1目標送風量Vに比べて大風量となるので、送風機8の送風量の急激に増大することになる。この送風機8の急変は、車室内の乗員に不快感や違和感を与えてしまう虞がある。
そこで、本実施形態の空調自動制御は、通常制御から移行制御を介して換気制御へと移行させることで、乗員の不快感や違和感の低減を図る。本実施形態の移行制御は、第1目標送風量Vが最大換気風量Vkkmaxを下回ると、最大換気風量Vkkmaxを維持するように送風機8の作動を制御することで、通常制御から換気制御へと移行する際の送風機8の送風量の急変を抑制するものである。
次に、移行制御を含む本実施形態の空調自動制御を図5、図6に基づいて説明する。図5は本実施形態に係る空調自動制御の概要を示すフローチャートである。なお、以下説明する本実施形態の空調自動制御では、第1実施形態の空調自動制御と同様な部分について説明を省略する。
上述のように本実施形態の移行制御では、送風機8の送風量を最大換気風量Vkkmaxに維持する。送風機8の送風量を最大換気風量に維持した状態で通常制御時の目標吹出空気温度TAOを適用すると、車室内への吹出空気の熱量が増大し、車室内が冷えすぎてしまうことが懸念される。
そのため、本実施形態では、移行制御時に通常制御時の目標吹出空気温度TAOよりも高い目標温度を設定して、車室内への吹出空気の熱量をバランスさせている。
具体的に、本実施形態の空調自動制御では、ステップS30´にて、通常制御時の車室内への吹出空気の目標吹出空気温度TAOを算出するとともに、移行制御時の車室内への吹出空気の目標温度(目標吹出空気温度)TAOikを算出する。
この移行制御時の目標温度TAOikは、移行制御を実行する場合の熱量Q3が、通常制御時の車室内への吹出空気の熱量Q4となるように決定する。すなわち、移行制御時の目標温度TAOikは、内気温Tr、目標吹出空気温度TAO、第1目標送風量V、最大換気風量Vkkmaxに基づいて下記数式F5〜F7により算出する。
Q3=Q4…(F5)
(Tr−TAOik)×Vkkmax=(Tr−TAO)×V…(F6)
TAOik=Tr−(Tr−TAO)×(V/Vkkmax)…(F7)
次に、ステップS40´にて、通常制御時の目標蒸発器吹出温度TEO、および移行制御時の目標蒸発器吹出温度TEOikを算出する。ここで、移行制御時の目標蒸発器吹出温度TEOikは、移行制御時の目標吹出空気温度TAOik、外気温Tam、車室内湿度等に応じて算出される。
次に、ステップS50にて第1目標送風量Vを算出し、ステップS60にて第2目標送風量Vkkを算出する。そして、ステップS70にて第2目標送風量Vkkが、0よりも大きく、最大換気風量Vkkmaxよりも小さい範囲(0<Vkk<Vkkmax)であるか否かを判定する。
ステップS70の判定の結果が、第2目標送風量Vkkが、0よりも大きく、最大換気風量Vkkmaxよりも小さい範囲(0<Vkk<Vkkmax)である場合(ステップS70:YES)、ステップ130に進み換気制御を行なう。
一方、ステップS70の判定結果が、第2目標送風量Vkkが0以下、又は最大換気風量Vkkmax以上である場合(ステップS70:NO)、ステップS70Aに進む。
ステップS70Aでは、第2目標送風量Vkkが最大換気風量Vkkmax以上、かつ、第1目標送風量Vが最大換気風量Vkkmaxより小さいか否か(V<Vkkmax≦Vkk)を判定する。なお、ステップS70Aの判定は、通常制御から移行制御へと移行可能か否かを判定する第1移行判定である。
ステップS70Aにて、第2目標送風量Vkkが最大換気風量Vkkmaxより小さい、又は、第1目標送風量Vが最大換気風量Vkkmax以上と判定された場合(ステップS70A:NO)には、ステップS80に進み、通常制御を行う。なお、第2目標送風量Vkkが最大換気風量Vkkmaxより小さい場合、ステップS70の判定との関係から第2目標送風量Vkk<0となる。この場合、外気温Tamが内気温Trよりも高くなり低外気温状態とならないので通常制御を継続する。
一方、ステップS70Aにて、第2目標送風量Vkkが最大換気風量Vkkmax以上、かつ、第1目標送風量Vが最大換気風量Vkkmaxより小さいと判定された場合(ステップS70A:YES)には、ステップS70Bに進む。
ここで、内気温Trが設定温度Tsetに収束して車室内温度が安定状態となった際の送風機8の送風量が、最大換気風量Vkkmaxよりも大きいと、換気制御を行う際の送風量Vkkが、安定状態時に必要とされる送風機8の送風量を充分に確保できない。換言すれば、換気制御を行う際の送風量Vkkを、安定状態時に必要とされる送風機8の送風量を充分に確保するためには、最大換気風量を大きくする必要が生じ、送風量増大等によって乗員に不快感や違和感を与えてしまう虞がある。
そこで、ステップS70Bでは、内気温Trが設定温度Tsetに収束して車室内温度が安定状態となった際の送風機8の推定送風量Vkkcが最大換気風量Vkkmaxよりも小さいか否かを判定する。なお、ステップS70Bの判定が、通常制御から移行制御へと移行可能か否かを判定する第2移行判定である。
車室内温度が安定状態となった際の送風機8の推定送風量Vkkcは、目標吹出空気温度TAOを算出する数式F1、および第2目標送風量Vkkを算出する数式F4における内気温Trを設定温度Tsetに置き換えることで算出する。具体的には下記数式F8、F9により算出する。
TAOc=Kset×Tset−Kr×Tset−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(F8)
Vkkc={(Tset−TAO)/(Tset−TAOc)}×V…(F9)
そして、ステップS70Bにて、推定送風量Vkkcが最大換気風量Vkkmax以上と判定された場合(ステップS70B:NO)、ステップS80に進み、通常制御を継続する。一方、ステップS70Bにて、推定送風量Vkkcが最大換気風量Vkkmaxよりも小さいと判定された場合(ステップS70B:YES)、ステップS170に進み、移行制御を行う。
ステップS170にて、内外気吸入モードを移行制御時の目標吹出空気温度TAOik等に基づいて選択する。次に、ステップS180にて、エアミックスドア17の目標開度SWを、移行制御時の目標吹出空気温度TAOik等に基づいて算出し、目標開度SWとなるように制御する。
次に、ステップS190にて、圧縮機11を蒸発器9の実際の吹出空気温度Teが、移行制御時の目標蒸発器吹出温度TEOikとなるように制御する。そして、ステップS200にて、室内への吹出空気の送風量が、最大換気風量Vkkmaxとなるように送風機8のモータ8bを制御する。
なお、本実施形態における通常制御は、ステップS80〜ステップS110にて行う制御であり、換気制御は、ステップS130〜ステップS160にて行う制御であり、移行制御は、ステップS170〜ステップS200にて行う制御である。
次に、本実施形態の空調自動制御を実行した場合の状態変化を説明する。図6は、低外気温状態に本実施形態の空調自動制御を実行した場合の状態変化を説明する説明図である。ここで、図6では、冷房運転を行なっている際の内気温Tr、目標吹出空気温度TAO、送風機8の風量の状態変化を示しており、各状態変化は、図中右側から左側へと推移する。なお、図6では、内気温Trが設定温度Tsetに収束して車室内温度が安定状態となった際の送風機8の送風量が、最大換気風量Vkkmaxよりも小さい場合の状態変化を示している。また、図中の点線は、第1実施形態の空調自動制御を実行した場合の状態変化を示している。
図6に示すように、本実施形態において低外気温状態に空調自動制御を実行した場合、開始段階では、通常制御(通常時の空調自動制御)が行なわれ、内気温Trが低下し、目標吹出空気温度TAOが上昇する。送風機8の風量は、目標吹出空気温度TAOの上昇に伴い低下する。
そして、第1目標送風量Vが最大換気風量Vkkmaxを下回ると、通常制御から移行制御に移行し、送風機8の送風量を最大換気風量Vkkmaxとする。これにより、通常制御から移行制御へと移行する前後の送風機8の送風量は、最大換気風量Vkkmaxとなり、送風機8の送風量が急変することなく通常制御から移行制御に移行する。
また、移行制御中は、移行制御時の車室内への吹出空気の熱量は、通常制御時の車室内への吹出空気の熱量と同等になるように、目標吹出温度TAOよりも高い目標温度TAOikとしているので、車室内への吹出空気の熱量が急変せずにバランスする。
さらに、内気温Trが低下して目標温度TAOikが上昇すると、第2目標送風量Vkkも低下する。そして、第2目標送風量が最大換気風量Vkkmaxを下回ると、移行制御から換気制御へと移行し、圧縮機1の作動を停止させることになるが、送風機8の送風量は、最大換気風量Vkkmaxと同程度となる。つまり、移行制御から換気制御へと移行する前後の送風機8の送風量は、同程度であるため、送風機8の送風量が急変することなく移行制御から換気制御に移行する。
以上説明した本実施形態によれば、通常制御から換気制御へと移行する前に、移行制御を実行することで、通常制御から換気制御に移行する際に送風機8の送風量が急変することを抑制することができる。従って、第1実施形態の空調自動制御に比べて、送風機8の送風量の急変による乗員の不快感や違和感を低減することができる。
また、本実施形態の移行制御では、移行制御を実行する場合の熱量Q3が、通常制御時の車室内への吹出空気の熱量Q4となるように決定した目標温度TAOikに基づいて圧縮機1等を制御するため、車室内に吹き出す空気の熱量をバランスさせることができる。
従って、通常制御から移行制御へと移行する際に、温感的な変化を抑制することができ、乗員の不快感や違和感をより低減することができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、省動力制御中に車室内に吹き出す空気の熱量Q1が圧縮機11を作動させた場合の熱量Q2となるように、送風機8で外気の導入量を調整しているが、これに限定されるものではない。例えば、車室内の内気温Trと車室内の設定温度Tsetの温度差等に応じて、車室内の内気温Trが車室内の設定温度Tsetに近づくように車室内への外気の送風量を調整してもよい。
(2)上述の実施形態では、冷凍機として蒸気圧縮式冷凍サイクル装置(蒸気圧縮式冷凍機)10を用いる例について説明したが、これに限定させるものではない。例えば、吸収式冷凍機、ベルチェ素子のベルチェ効果により吹出空気を冷却するような冷凍機等を採用することができる。ここで、吸着式冷凍機は、周知のごとく、シリカゲル等の吸着剤が水蒸気を吸着する作用を利用したものあり、具体的には、略真空状態に保たれた吸着器内に封入された水等の液相冷媒が気化する際の吸熱により冷凍能力を得るとともに、気化した蒸気冷媒を吸着剤にて吸着して液相冷媒を連続的に気化させるものである。
(3)上述の実施形態では冷凍サイクル装置10の圧縮機11として、常に一定の吐出容量で作動する固定容量型圧縮機を用いる場合について説明したが、圧縮機11として吐出容量を調整可能な可変容量型圧縮機や回転数が調整可能な電動圧縮機を用いてもよい。
(4)上述の実施形態では、車室内吹出空気の温度調整のためにエアミックスドア17を用いているが、ヒータコア15に流入する温水の流量や温度を調整する周知の温水弁を用いてもよい。
(5)上述の第2実施形態では、移行制御時の送風機8の送風量を最大換気風量Vkkmaxとしている。確かに、移行制御時の送風機8の送風量を最大換気風量Vkkmaxとすることが望ましいが、これに限定されるものではない。移行制御時の送風機8の送風量は、第1目標送風量よりも多く、最大換気風量Vkkmaxよりも小さい範囲の送風量にしてもよい。これによっても、少なくとも移行制御を行わずに通常制御から換気制御へと移行する場合に比較して、送風機8の送風量の急変を抑制することができる。
2…ケース
6…内外気切替手段
8…送風機
9…蒸発器(冷房用熱交換器)
10…蒸気圧縮式冷凍機(冷凍サイクル装置)
11…圧縮機
30…空調制御装置(温度制御手段)
31…外気センサ(外気温検出手段)
32…内気センサ(内気温検出手段)

Claims (8)

  1. 車室内へ吹き出す空気の温度を自動で調整する自動制御方式の車両用空調装置において、
    前記車室内に吹き出す空気の空気通路を構成するケース(2)と、
    車室外の外気を前記ケース(2)に導入する外気モードと前記車室内の内気を前記ケース(2)に導入する内気モードとに切替可能な内外気切替手段(6)と、
    前記ケース(2)内に導入された空気を車室内へと送風する送風機(8)と、
    前記車室内へ吹き出す空気を冷却するための冷凍機と、
    前記車室内の内気温(Tr)が乗員により設定された設定温度(Tset)となるように、少なくとも前記内外気切替手段(6)、前記送風機(8)、前記冷凍機の作動を制御する温度制御手段(30)と、
    前記車室外の外気温(Tam)を検出する外気温検出手段(31)と、
    前記車室内の内気温(Tr)を検出する内気温検出手段(32)とを備え、
    前記温度制御手段(30)は、前記車室内へ冷風を吹き出す冷房運転中において、前記外気温検出手段(31)で検出した外気温(Tam)が前記内気温検出手段(32)で検出した内気温(Tr)よりも所定温度(α)を越えて低い低外気温状態である場合に、前記冷凍機の作動を停止させ、前記外気モードに切替えるとともに、前記送風機(8)の作動を制御して前記車室内の内気温(Tr)が前記設定温度(Tset)となるように前記車室内への外気の導入量を調整する換気制御を実行し、
    さらに、前記温度制御手段(30)は、前記換気制御を実行する場合に、前記車室内に吹き出す空気の熱量が、前記冷凍機を作動させた場合における前記車室内に吹き出す空気の熱量となるように前記送風機(8)の作動を制御することを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記車室内に吹き出す空気の目標温度である目標吹出空気温度(TAO)を算出する吹出空気温度算出手段と、
    前記目標吹出空気温度(TAO)に応じて前記送風機(8)の第1目標送風量(V)を算出する第1目標送風量算出手段と、
    前記換気制御を実行する場合の前記送風機(8)の第2目標送風量(Vkk)を算出する第2目標送風量算出手段とを備え、
    前記第2目標送風量算出手段は、前記第2目標送風量(Vkk)を下記数式
    Vkk={(Tr−TAO)/(Tr−TAOam)}×V
    (但し、Vkk:第2目標送風量、V:第1目標送風量、Tr:内気温、TAO:目標吹出空気温度、TAOam:外気温+α、α:所定温度)
    により算出し、
    前記温度制御手段(30)は、前記換気制御を実行する場合に、前記車室内に吹き出す空気の送風量が前記第2目標送風量(Vkk)となるように前記送風機(8)を制御することを特徴とする請求項に記載の車両用空調装置。
  3. 前記温度制御手段(30)は、前記第2目標送風量算出手段で算出された前記第2目標送風量(Vkk)が、予め設定された最大換気風量(Vkkmax)より小さい場合に、前記換気制御を実行することを特徴とする請求項に記載の車両用空調装置。
  4. 前記温度制御手段(30)は、前記第2目標送風量算出手段で算出された前記第2目標送風量(Vkk)が、前記最大換気風量(Vkkmax)以上で、前記第1目標送風量(V)が、前記最大換気風量(Vkkmax)より小さい場合に、前記車室内に吹き出す空気の送風量が前記第1目標送風量(V)よりも大きく、前記最大換気風量(Vkkmax)以下となるように前記送風機(8)の作動を制御する移行制御を実行することを特徴とする請求項に記載の車両用空調装置。
  5. 前記温度制御手段(30)は、前記移行制御を実行する場合に、前記吹出空気温度算出手段によって算出された前記目標吹出空気温度(TAO)よりも高い目標温度となるように前記内外気切替手段(6)、前記冷凍機の作動を制御することを特徴とする請求項に記載の車両用空調装置。
  6. 前記温度制御手段(30)は、前記移行制御を実行する場合に、前記車室内に吹き出す空気の熱量が、前記第1目標送風量(V)となるように送風機(8)の作動を制御させた場合における前記車室内に吹き出す空気の熱量となるように、前記内外気切替手段(6)、前記冷凍機の作動を制御することを特徴とする請求項に記載の車両用空調装置。
  7. 前記温度制御手段(30)は、前記移行制御を実行する場合に、前記車室内に吹き出す空気の送風量が、前記最大換気風量(Vkkmax)となるように前記送風機(8)の作動を制御することを特徴とする請求項ないしのいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  8. 前記冷凍機は、前記車室内に吹き出す空気を冷却する冷房用熱交換器(9)と、前記冷房用熱交換器(9)の冷却状態を作り出す圧縮機(11)とを含んで構成される蒸気圧縮式冷凍機(10)であって、
    前記温度制御手段(30)は、前記圧縮機(11)の作動を制御することで前記冷房用熱交換器(9)の冷却機能を調整することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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