JP5090223B2 - メモリー機構を有するシート調整装置 - Google Patents

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本発明はシートバックを任意の傾斜角度に調整可能にすると共にウォークイン動作等でシートバックを前倒位置に移動させる際に元の傾斜角度位置を記憶させかつその傾斜位置に復帰させるメモリー機構を有するリクライニング装置に関するものである。
この種のメモリー機構を有するリクライニング装置は特開2006−6712号公報から公知である。この公知のリクライニング装置は円形のハウジングと円形のアッパーギヤーとにより形成されている内部空間にカムと、該カムに係合している3個のポールと、保持プレートと、作動プレートと、メモリープレートを収容し、操作レバーを解放させることにより、ポールの外歯をアッパーギヤーの内歯と噛合するようにロックスプリングによりカムを一方向に付勢し、カムの表面にカム穴を設け、そのカム穴に作動プレートの爪部を係合させ、カムの動きに応じて作動プレートを径方向に往復移動させ、作動プレートの動きに応じてメモリープレートをアッパーギヤーに係脱自在とさせてある。シートバックの前倒しにおいて操作レバーを操作させると、カムにより3個のポールの各外歯とアッパーギヤーの内歯との噛合を解除し、メモリープレートの外歯とアッパーギヤーの別の内歯とを噛合させてシート位置を記憶し、シートバックを前倒位置に移動させると、アッパーギヤーのピンが保持プレートの係合面を押圧し、ポールの突起部が保持プレートの溝部内に入り、アッパーギヤーと3個のポールの歯の解除状態が保持される。シートバックを元の位置に戻すと、アッパーギヤーがメモリープレートと共に回動するが、保持プレートはアッパーギヤーとポールとの解除状態を保持し、アッパーギヤーを更に回動させるとアッパーギヤーのピンが保持プレートの係合面から離れ、メモリープレートが操作前の角度位置に戻ると、メモリープレートが保持プレートの爪部を押圧して保持プレートを回動させ、ポールの突起部と保持プレートの溝部との係合を外し、それによりポールがアッパーギヤーと係合し、シートバックは前倒し前の元の位置に戻るようになっている。
特開2006−6712号公報
上述した従来技術のリクライニング装置は作動プレートの爪部を係合するためにカム穴を設けなければならないためカムの形状が複雑となり、カムに適用できるポールの構成が限定される問題があり、保持プレートと作動プレートとメモリープレートとをそれぞれ操作軸付近に重ね合わせているためユニットの厚さが増大すると共にそれらを設置するのに広いスペースを必要とし、またポールが保持プレートの溝部に乗り上がる段差が大きいためにアッパーギヤーの内歯とポールの外歯とを所定位置で迅速に係合させることができず、更に作動プレートを押圧するのはカムのカム穴でありかつ保持プレートの溝部に乗り上がるのはポールの突出部であってそれぞれ別部材であるため構造が複雑となる欠点がある。
本発明の目的はその構造が簡単で、シートバックの傾斜角度位置を正確に記憶しかつ記憶した傾斜角度位置に確実に戻るメモリー機構を有するリクライニング装置を提供することにある。
本発明によるリクライニング装置はベースプレートと該ベースプレートに対して回動可能に結合させたギヤプレートとを備え、該ベースプレートとギヤプレートとの間にカムによりギヤプレートの内歯に係脱可能な外歯を有するロックギヤを直径方向に互いに対向して配設し、カムには該カムがロックギヤの外歯をギヤプレートの内歯に噛合するように付勢されたレバープレートを係合させ、ギヤプレートの内歯からロックギヤの外歯を離脱させることによりギヤプレートの別の内歯に噛合可能な外歯を有するメモリーギヤを備えている。該メモリーギヤの外周とギヤプレートとの間にはメモリーカムが回動可能に配設され、メモリーカムはレバープレートに設けた起立部に係脱可能な凹部を有している。ギヤプレートには該ギヤプレートが前倒し時にメモリーカムを押圧してメモリーカムの凹部をレバープレートの起立部に係合させてロックオフ状態を維持する突出部を備え、メモリーギヤには該メモリーギヤがギヤプレートと噛合していない時に傾斜角度位置を記憶するために所定位置まで回動するように付勢するメモリースプリングを係合させると共にメモリーギヤが記憶した元の傾斜角度位置に復帰する時に所定位置でメモリーカムを押圧してメモリーカムの凹部からレバープレートの起立部を離脱させてロックオフ状態を解除してロックする突起を設けたものである。
本発明によるメモリーギヤにはロック時にメモリーギヤの外歯がギヤプレートの別の内歯と噛合しないように付勢されている補助メモリースプリングを備えると共にメモリーブラケットに移動可能に嵌合させたメモリーアームを係合させ、メモリーアームにはカム穴を形成し、レバーアームにはロックオフ時にメモリーアームを介してメモリーギヤを押圧してメモリーギヤの外歯をギヤプレートの内歯に噛合させるためメモリーアームのカム穴に係合する別の起立部を備えている。
本発明はメモリーギヤがロック時に所定位置に回動して傾斜角度位置を記憶するので、その傾斜角度位置を正確に記憶でき、また前倒し時にロックオフ状態を保持し、記憶した傾斜角度位置に復帰する時に所定位置でロックオフ状態を解除してロックするので、記憶した傾斜角度位置に正確かつ確実に復帰することが可能であり、しかもメモリーギヤとギヤプレートの回動を利用してシートバックの傾斜角度位置の記憶と、シートバックの前倒しと、記憶した傾斜角度位置の復帰とを行うので、メモリー機構の構造が簡単でありかつその作動が確実である。
本発明によるリクライニング装置はベースプレート1と該ベースプレート1に対して回動可能にカバーブラケット2により結合されたギヤプレート3とを備え、ベースプレート1とギヤプレート3との間にはカム4に係合しかつギヤプレート3の内歯5に係脱可能な外歯6を有するロックギヤ7と、カム4に係合させたレバープレート8と、レバープレート8に係合させたメモリーアーム9と、メモリーアーム9を移動可能に嵌合させたメモリーブラケット10と、レバープレート8とメモリーブラケット10との間に配置させたワッシャー11と、メモリーアーム9に係合させたメモリーギヤ12と、メモリーブラケット10に回動可能に取付けたメモリーカム13と、メモリーブラケット10に係止されかつメモリーギヤ11を所定位置に付勢させるメモリースプリング14とを備えている。
ロックギヤ7はベースプレート1に形成した固定ガイド15間を摺動可能であると共に直径方向に互いに対向して配置され、その外周端にはギヤプレート3に形成した内歯5に係脱する外歯6を設け、その内周端を操作軸16により回動されるカム4に係合してあり、その側部には可動ギヤ7aを取付け、更にその上面にはレバープレート8に形成したカム孔17により径内方向に摺動されるカム突起18を形成してある。可動ギヤ7aの上面にもレバープレート8に形成したカム孔17aにより径内方向に摺動されるカム突起18aを形成してある。
カム4は操作軸16により回動可能であり、その上端及び下端をロックギヤ7に係合させ、その上面にはレバープレート8に形成した係合孔19に嵌合する突起20を形成してある。
レバープレート8はカム4の突起20に嵌合する係合孔19を備えると共にロックギヤ7のカム突起18に係合するカム孔17と可動ギヤ7aのカム突起18aに係合するカム孔17aとを設け、その上面上には一端をカム4に係止させかつ他端をロックギヤ7の可動ギヤ7aに係止させたロックスプリング21を配設し、該ロックスプリング21はロックギヤ7の外歯6がギヤプレート3の内歯5に噛合するようにカム4と可動ギヤ7aとを付勢させてある。カム4とレバープレート8が操作軸16により回動され、カム孔17及びカム孔17aによりロックギヤ7と可動ギヤ7aとを径内方向に摺動してロックギヤ7の外歯6をギヤプレート3の内歯5から離脱させてロックオフにする。更にレバープレート8にはメモリーアーム9に形成したカム孔22に係合する起立部23とメモリーカム13に形成した凹部24に係合可能な起立部25とを備えている。
メモリーアーム9はレバープレート8の起立部23に係合するカム孔22を備えかつメモリーギヤ12に形成した円弧段部26に係合する外周円弧端27を有し、メモリーブラケット10に移動可能に嵌合されている。メモリーアーム9はロックオフ時にレバープレート8の起立部23により移動し、メモリーギヤ12の外歯28をギヤプレート3の別の外歯29に噛合させるためにメモリーギヤ12を押圧する。
メモリーブラケット10はメモリーアーム9を嵌合する凹部30を有しかつベースプレート1の固定ガイド15に取付けるための係止部31を形成してあり、ギヤプレート3のボスを回動可能に支持する軸孔32を形成してある。更にメモリーブラケット10にはメモリースプリング14と係合する支持突起33を設けてあり、支持突起33はロック時に傾斜角度位置を記憶するためにメモリースプリング14を所定位置に復帰させる。
メモリーカム13はレバープレート8の起立部25に係脱する凹部24を有し、メモリーブラケット10に回動可能に取付けられている。メモリーカム13は一端をメモリーカム13に係止させかつ他端をメモリーブラケット10に係止させたカムスプリング34によりその一端がメモリーブラケット10に設けた突起41に係合すると共にその他端の凹部24がレバープレート8の起立部25に係合しないように付勢されている。
メモリーギヤ12は外周にギヤプレート3に形成した別の内歯29に噛合する外歯28を備えると共にギヤプレート3に回動可能に支持される軸孔35を有し、メモリーギヤ12の外歯28がギヤプレート3の別の内歯に噛合しないように付勢する補助メモリースプリング36を設けている。更にメモリーギヤ12にはメモリースプリング14に係合する係合突起37を備えると共にメモリーカム13の一端を押圧してレバープレート8の起立部25からメモリーカム13の他端の凹部24を離脱させる突起38を備えている。
メモリースプリング14はギヤプレート3のボスに回動可能に支持されている2つのリング片39と、一方のリング片39の一端と他方のリング片39の一端とに係止させたスプリングとから構成され、該メモリースプリング14はメモリーブラケット10に形成した支持突起33に係合されてメモリーギヤ12の係合突起37を支持し、メモリーギヤ12を所定位置に付勢する。
ギヤプレート3はロックギヤ7の外歯6に係脱可能な内歯5を備えると共にメモリーギヤ12の外歯28に係脱可能な別の内歯29を有し、更にギヤプレート3には前倒し時にメモリーカム13を押圧してメモリーカム13の凹部24をレバープレート8の起立部25に係合させてロックオフ状態を保持する突出部40を設けている。
シートバックの傾斜角度位置の調整について説明すると、操作軸16に係合させた操作レバー(図示せず)を解放させてカム4がロックスプリング21により径外方向に押圧され、ロックギヤ7の外歯6がギヤプレート3の内歯5と噛合しかつメモリーギヤ12が補助メモリースプリング36により係内方向に付勢され、メモリーギヤ12の外歯28がギヤプレート3の別の内歯29に噛合していないロック状態において(図2及び図3参照)、操作レバーを作動させると、カム4が回動してロックギヤ7を径内方向に摺動させてロックギヤ7の外歯6とギヤプレート3の内歯5との噛合を外し、同時にレバープレート8も回動して、レバープレート8の起立部23がメモリーアーム9を径外方向に移動させ、メモリーアーム9がメモリーギヤ12を径外方向に押し、メモリーギヤ12の外歯28がギヤプレート3の別の内歯29と噛合する。このロックオフ状態(図4及び図5)において、シートバックを前後に回動させることにより、すなわちメモリーギヤ12の外歯28とギヤプレート3の内歯29とが噛合した状態でギヤプレート3を時計廻り方向又は逆時計廻り方向に回転させると、メモリーギヤ12もメモリースプリング14の付勢力に抗してギヤプレート3とともに回転して新しい傾斜角度位置に位置付けされ、その位置で操作レバーを解放すると、ロックギヤの外歯6がギヤプレート3の内歯5に噛合し、同時にメモリーギヤ12がメモリーブラケット10の支持突起33に支持されているメモリースプリング14により所定位置に復帰して(図2及び図3)、調整した新しい傾斜角度位置を記憶したこととなる。
次にシートバックを前倒位置に移動させる状態を説明する。操作レバーの作動によるロックオフ状態において、シートバックを前倒しすると、ギヤプレート3の回転に伴ってメモリーギヤ12が時計廻り方向に回転するが、メモリーブラケット10とメモリーカム9は回転しないでそのままの状態であり(図7参照)、ギヤプレート3の回転によりギヤプレート3の突出部40がメモリーカム13を押圧し、カムスプリング34に抗してメモリーカム13を回動させ、レバープレート8の起立部25にメモリーカム4の凹部24を係合させることによりシートバックの前倒しを達成すると、レバープレート8はメモリーカム13によりその回動が妨げられているので、ロックオフ状態が維持される。
シートバックを調整した元の傾斜角度位置に移動させるためには、シートバックを起こすと、ギヤプレート3の回転と共にメモリーギヤ12が逆時計廻り方向に回転し、メモリーギヤ12が前倒し前の所定位置まで戻ると(図8参照)、メモリーギヤ12の突起38がメモリーカム13を押圧し、メモリーカム13の凹部24とレバープレート8の起立部25との係合を外し、ロックオフ状態を解除してロックギヤ7の外歯6をギヤプレート3の内歯5に噛合させ、調整した元の傾斜角度位置でシートバックをロックする。
本発明によるリクライニング装置の分解斜視図である。 本発明によるリクライニング装置のロック時の縦断正面図である。 本発明によるリクライニング装置のロック状態を示す縦断正面図である。 本発明によるリクライニング装置のロックオフ時の縦断正面図である。 本発明によるリクライニング装置のロックオフ状態を示す縦断正面図である。 図5のA−A線に沿う横断側面図である。 本発明によるリクライニング装置の前倒し時の縦断正面図である。 本発明によるリクライニング装置の復帰時の縦断正面図である。
符号の説明
1 ベースプレート
3 ギヤプレート
4 カム
5 内歯
6 外歯
7 ロックギヤ
8 レバープレート
13 メモリーカム
14 メモリースプリング
24 凹部
25 起立部
38 突起
40 突出部

Claims (2)

  1. ベースプレートと該ベースプレートに対して回動可能に結合させたギヤプレートとを備え、該ベースプレートとギヤプレートとの間にカムによりギヤプレートの内歯に係脱可能な外歯を有するロックギヤを直径方向に互いに対向して配設し、ロックギヤの外歯をギヤプレートの内歯に噛合するように付勢されたカムをレバープレートに係合させ、ギヤプレートの内歯からロックギヤの外歯を離脱させることによりギヤプレートの別の内歯に噛合可能な外歯を有するメモリーギヤを備え、メモリーギヤの外周とギヤプレートとの間にメモリーカムを回動可能に配設すると共にメモリーカムにはレバープレートに設けた起立部に係脱可能な凹部を備え、ギヤプレートには該ギヤプレートが前倒し時にメモリーカムを押圧してメモリーカムの凹部をレバープレートの起立部に係合させてロックオフ状態を保持する突出部を備え、メモリーギヤにはメモリーギヤがギヤプレートと噛合していない時に傾斜角度位置を記憶するために所定位置まで回動するように付勢するメモリースプリングを係合させると共にメモリーギヤが記憶した元の傾斜角度位置に復帰する時に所定位置でメモリーカムを押圧してメモリーカムの凹部をレバープレートの起立部から離脱させてロックオフ状態を解除してロックする突起を設けたメモリー機構を有するリクライニング装置。
  2. メモリーギヤにはロック時にメモリーギヤの外歯がギヤプレートの別の内歯と噛合しないように付勢されている補助メモリースプリングを備えると共にメモリーブラケットに移動可能に嵌合させたメモリーアームを係合させ、メモリーアームにはカム穴を形成し、レバープレートにはメモリーアームのカム穴に係合する別の起立部を備え、ロックオフ時にメモリーアームを介してメモリーギヤを押圧し、メモリーギヤの外歯をギヤプレートの別の内歯に噛合可能にした請求項1に記載のメモリー機構を有するリクライニング装置。
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