JP5006318B2 - 一様サンプリング分光法による距離依存スペクトル - Google Patents

一様サンプリング分光法による距離依存スペクトル Download PDF

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Description

本発明は、受信機から電磁波等の発信源までの距離の決定、及び異なる発信源からの信号を、それぞれの距離に応じて分離することに関する。より詳細には、本発明は、発信源からの距離への依存性を示すようにスペクトル成分を抽出し、このスペクトル成分を発信源からの距離の決定、または個々の発信源からの信号の分離に使えるようにすることに関する。
先行技術の簡単な説明
[周波数の距離依存スケーリング]
「スペクトル位相勾配を用いた受動的距離測定」と題された2004年7月2日出願の第1の同時継続出願第10/884353号(その開示内容は、本明細書の一部を構成するものとしてここに援用される)には、受信機で受信される電磁波等の信号の発信源までの距離の情報を、受信機において信号のスペクトルをその信号変調や内容とは無関係に距離に比例してシフトすることにより抽出する方法が記載されている。
このシフトは、以下に定義されるパラメトリック演算子H(β)により、特徴づけられる。
Figure 0005006318
ここで、rは発信源距離、κ及びωはそれぞれ波数ベクトル及び角周波数、cは波の速度であり、│ω,r〉は到来波の状態を量子力学的記述によって表したものである。また、
Figure 0005006318
であり、tは観測時間、κ(注:なお、式では、
Figure 0005006318
で示されているが、以下本文中では「κ」で表す)
およびω(注:なお、式では、
Figure 0005006318
で示されているが、以下本文中では「ω」で表す)
はそれぞれ受信機においてある瞬間に選択された波数ベクトル及び角周波数である。
式(1)は、上記シフトがドップラー効果の場合と同様に元の周波数に比例し、したがってスケールファクター、
Figure 0005006318
による周波数のスケーリングに相当することを示している。ドップラー効果とは異なり、このスケーリングは相対運動には無関係であるがその代わり相対距離に依存し、また作用するパラメーターβが受信機において定められるため本質的に非対称である。更に式(2)は、受信機における瞬時選択又はチューニングの連続的な変化(変化率因子dκ/dtで表される)が上記シフトを得るための鍵であることを示している。また、このシフトは、次の直交条件、
Figure 0005006318
によっても記述される。式中、第1の因子exp[iω△(t)≡〈ω|H(β)は、(順)フーリエ変換の核〈ω|≡exp(iωt)を瞬時選択、又はチューニングを変えることにより変形したものである。ここで、△≡△(r)=(1+βr/c)であり、またc=r/tであるため、△≡△(t)=(1+βt)である。この変形変換において、もはや通常のフーリエ成分exp[i(κr−ωt)]は選択されていないが、△因子が相殺されるため、H−1(β)|ω〉≡exp[i(κr−ωt/△)]も受け入れられることは明らかである。固有関数exp[i(κr−ωt/△)]は周波数が時間とともに変化するスペクトル成分であり、時間スケールそのものが瞬間的に変化する受信機からの見え方を表している。
このような分解は、先行技術において多くは用いられていないが、受信信号を解析するための受信機の能力の範囲内で認められるものである。上記固有関数はexp[i(κr△−ωt)]にも相当し、スケールの変化を時間から経路長へと射影するものである。周波数が変化する波動関数は、レーダーにおけるチャープとして知られているが、第1の同時継続出願に先行する全ての技術において、チャープはレーダーの場合のようにあえて生成するか、または崩壊する連星系からの重力波等の特定のチャープ源からの受信信号内で調べられていただけである。チャープ変換は、通常のフーリエ法では失われてしまうスケール関連の特徴を抽出したり保存したりする特性を有するため、画像処理にも適用されている。第1の同時継続出願が先行技術と異なる点は、チャープが任意の受信波形から抽出されることである。
式(4)は、各到来フーリエ成分ωが、事実上、スケールされた値ω/△において測定されることを意味している。第1の同時継続出願において説明したように、そのメカニズムは、エネルギーや情報の搬送のためには周波数の広がりが必然的にゼロとはならないため、実際の信号は完全に単色ではないということを拠りどころにしている。式(2)は、距離−周波数スケールファクターβを、受信信号スペクトルの瞬時スキャン速度に関係付けるものであり、選択された各周波数ωにおいて測定された振幅又はエネルギーは、式(4)から、対応する発信源周波数ωを中心とした上記広がりの非ゼロ微分区間における積分により得られる。シフト係数△の式(4)の左辺の順フーリエ核exp(iωt)への導入は、次の関係式;
Figure 0005006318
そのため、
Figure 0005006318
によるものであり、式(5)は、次に記す到来正弦波の瞬時位相に関する第1原理的考察より得られる。
ここで、右辺第1項、∂φ/∂t≡∂(κr−ωt)/∂t≡−∂(ω[t−r/c])/∂t=−ω、は到来波の位相の固有変化率であり、第2項は、発信源が相対運動(〜dr/dt)をする場合のドップラー効果を表す。最終項は、受信器における瞬時選択κの変化による位相の寄与の変化を示しており、その第1因子はスペクトル位相勾配;
Figure 0005006318
を示す。式(5)は、静止発信源について式(6)及び(7)を組み合わせたことにより得られるものであり、瞬時選択ωが実際の到来スペクトルのωにおける振幅又はエネルギーを示すことを意味する。
受信スペクトルの各成分は、独立にスケールされるため、振幅分布は通常保存される。周波数の広がりは主に通信用途における変調によるものであるが、変調による位相の寄与は、発信源位置の変動R(t)(平均偏差がゼロであるR=rを中心とした変動)に等しく、したがって、変調は搬送波の瞬時位相i(κr−ωt)における空間部iκrではなく、信号部−iωtに属する。
[距離依存スケーリングの有用性]
上述のメカニズムにより、最終的には、波動信号発信源までの物理的距離を決定する方法が提供される。この方法は指向性アンテナ、またはアンテナアレイを用いて発信源の方向を求める方法に類似したものである。
「距離分割多重化」と題された2005年3月1日出願(優先日:は2004年8月24日)の第2同時継続出願第11/069152号(その開示内容は、本明細書の一部を構成するものとしてここに援用される)には、H演算子と従来のフィルターとを組み合わせ、異なる距離に位置する発信源から同時に受信した信号を、それらが同一方向に並んでいたとしても、変調や内容に拘わらず分離することが記載されている。
本成果は、所望の信号発信源を選択的に受信する基礎的な手段であり、この手段はあらゆる既知の時間、周波数及び符号分割多重化技術と独立に、またはこれらの技術と組み合わせて用いることできる。これにより発信源の距離または位置は、多重化及び逆多重化における時間、周波数、及びスペクトル拡散符号化と同等の新たな基本次元となる。また、通信衛星トランスポンダからの立体角の分割にこれまで適用されてきたものに比べ、真の意味での空間分割多元接続が可能となる。
更には、本発明者による「空間分割多重化による緩和帯域幅共有(Relaxed bandwidth sharing with Space Division Multiplexing)」と題された論文(IEEE無線通信ネットワーク会議、2005年3月)に記載されるように、本成果はまた、通信チャンネルにおける従来のシャノン容量限界を根本的に向上させるものであり、これは、この限界は周波数(又は同等に時間)が信号発信源を区別したり信号と雑音を区別したりするのに利用できる唯一の物理的次元であるという仮定に基づいているからである。スペクトル拡散符号化においては、チャンネル内の変調が関係するためこの限界を改善することはできず、新たな次元を導入するよりもむしろスペクトルの利用が改められる。他のパラメーターは、比較的限られた意味での多元及び多重接続次元としての物理的空間を提供し、特に以下のようになる。
移動体通信においては、隣接セルのチャンネルを有効に再利用するために「方向」を用いることができるが、アンテナは複雑になってしまう。応答チャンネルの総数を増加させるために、指向性アンテナを用いることによる通信衛星から地表に対する立体角の分割が長い間用いられてきた。遠隔計測におけるチャンネルの数を倍増するためには、「偏波」が多用されている。現在、例えば1999年5月11日発行のJuerg Sokatらによる米国特許第5,903,238号に記載されるように、この偏波は無線移動体通信にも用いられている。小型アンテナアレイによってリンク帯域幅を同様に向上させる研究がなされており、人によってはこれを空間分割多重化と称することがあるが、これはアンテナの断面積が大きくなり、アンテナ素子の指向性パターンが多重化されるのが2点間リンク内およびリンク端点間に限られることを考慮すると幾分不適当である。
したがって、空間次元を多重化に用いるという従来の考えは、単一リンク又はセルラー方式に限られていた。この従来の考えによっては、物理的空間を、無数の発信源からの信号の識別や選択を原理上可能としたり、時間又は周波数分割を必要としない多重化次元として汎用的に用いたりすることは不可能であり、現在のところ、チャンネル割当におけるセルの定位には、基地局ネットワークが必要とされている。
[従来の方法とその問題]
上述の式に基づくと、第1の同時継続出願に記載のHを実現する手段においては一般に、長波長に適したデジタル信号処理の場合はサンプリング間隔を連続的に変化させることが必要とされ、また光学波長の場合は回折格子の間隔を連続的に変化させることが必要とされる。このように、これらのメカニズムはフロントエンドアンテナや光学サブシステムに組み込まなくてはならないが、これらは通常利用しづらく、また特注設計が必要となる。第2の同時継続出願の方法においては、例えば、H(β)による最初のシフトとバンドパスフィルターによる信号の選択の後に、逆シフトH−1(β)=H(−β)によって選択された信号を元の周波数バンドに戻す必要があり、信号サンプルを対応する不均一サンプル時間に対して補間しなければならない。同様の補間は、従来のフロントエンドサブシステムにおける最初のH(β)演算子に対しても用いられる。再補間を行うため、逆変換の正確さも不明であり、また、起こり得る全ての入力信号に対して試験を行うことも物理的に不可能であるため、経験的検証も不十分なままである。理論的な枠組みを完全なものとするためにも、根本的に異なるアプローチが必要と思われる。
サンプルの補間には、実用上の問題もある。つまりは、その桁数や精度に限度があることにより、補間を行うごとにノイズが加わってしまう。更には、均一にスケールされたスペクトルを得るためには、補間毎に、サンプリング間隔変化の指数関数的プロファイルが保証されていることが必要となる。このことは、式(2)により要求されるものであり、第1の同時係属出願において定められたκの瞬時サンプリング間隔τへの対応によるものである。指数は若干ずれることが予想され、これによりスペクトルはさらに滲んでしまう。格子間隔を均一に変化させる(時間とともに指数関数的に変化させることは言うまでもなく)ことの困難さは、すでに第1の同時係属出願において、こうしたシフトが従来顧みられてこなかった主たる理由の一つとして記載されている。
アナログ−デジタル変換器(ADC)は、通常、可聴周波数域においてサンプル毎に8又は12ビット(それぞれ256又は4096の量子化レベルに対応)をあてがうが、一般に、高周波(RF)において同等の精度は得られない。アレシボをはじめとする電波望遠鏡で行われているように、3又は9段階に量子化されたサンプルを補間するのでは、データが雑音過多となってしまう。一般にデジタル化は中間周波数(IF)で行われるが、この領域では位相差は小さくなり補間雑音の中に埋もれてしまう。また、電波天文学において発展中の研究の多くは100GHz以上のパワースペクトルに関するものであり、そこでは従来のADC−DFT方式がほとんど役に立たなくなってきている。時間領域における信号波形自体にはほとんど重要性がないため、手法としては相関分光法が好ましい。その場合、最初に自己相関を計算し、次いでそのフーリエ変換からウィナー−ヒンチンの定理によってパワースペクトルが直接求められる。
初期の相関器は完全なアナログ式であり、2つ以上のタップ付き遅延線(又は「遅れ」)を有し、1組づつ各チャンネルに提供される。2つ以上のチャンネルが反対方向を向いた対をなし、各タップにおいて互いに掛け合わされこれにより自己相関関数が簡潔に得られる。通常、こうした相関出力は、デジタル化されDFTに入力される前に、予め設定された間隔において積分される。相関はデジタルで行うことが増えてきており、これによりアナログ相関器の帯域幅を限定していた遅れにおける減衰が回避される。相関には既にパワースペクトル情報が含まれているため、チャープ固有関数の選択は相関計算前か計算中に、つまりアナログ状態であるDFT用のサンプリングの前に行う必要がある。したがって、サンプリング間隔を変化させるメカニズムは、高周波分光法に代表されるこうした非常に一般的なケースでは役に立たない。
[問題及び要求の要約]
根本的な代替案を得るうえでの基本的問題に対して要求されることは、受信機における変化が、いかなる静的な非一様パターンとも一致しないということである。例えば、指数関数的な間隔付けは正確に行うことが可能であるものの、第1の同時係属出願に述べたように、スペクトルを滲ませるだけでスケーリングは得られない。これは非一様格子における異なる領域で回折された周波数の異なる光線が同時に合成されてしまうためである。このような格子を、格子間隔の指数関数的変化が光線に対して瞬間的に現れるように横軸上で回転させるなら、滲みを減らしてスケーリングを得ることができる。しかしながら、この場合も、第1の同時係属出願の方法と同じ結果となり、上述した問題に十分に対処するものではない。
したがって、サンプリング間隔又は格子間隔の変化を基本的に必要とせずに信号スペクトルの距離依存スケーリングを行うことが出来る方法が求められている。こうした方法は、概して相関分光法のような光学用途にもより適しており、雑音の観点からもデジタルシステムにおけるあらゆる場合に好ましいものである。
[発明の概要]
したがって、本発明の主たる目的は、非一様サンプリングを行わず且つ格子間隔を変える必要なしに距離依存周波数スケーリングを行う極めて一般的な方法を提供することにある。
第2の目的は、特注設計及び滲みの問題を回避できる距離依存周波数スケーリング演算子をより柔軟且つ実際的な形態で、また相関分光法のみならずアンテナ又は光学フロントエンドより下流側への組み込みにも適した形態で実現可能とすることにある。
更なる目的は、理論的な枠組みが完全なものとなるように、格子間隔又はサンプリング間隔を変えることに対する根本的な代替案を提供し、これにより距離依存周波数スケーリングを将来の通信技術における確固たる礎とすることにある。
本発明は、指数関数的時間変化が必要とされる対象を、格子間隔またはサンプリング間隔から、バルク形態を有し一般により容易に且つ実際的に変化させることができる経路遅延の組に移管することにより、これらの目的及び以下に明らかになる他の目的を達成するものである。
A:光学系における本発明の原理
回折格子又はプリズムを含む光学系において適用可能な経路遅延は、回折格子又はプリズムの後の光学経路であり、このような光学経路は、屈折率をバルク特性により変えることのできる光学媒体を導入することにより変化させることができる。例えば、ファラデー回転を示す媒体と円形偏光子を用い、磁場をその光軸に沿って印加することにより実効屈折率を制御できる。
受信周波数を発信源距離に比例してスケールするという目標は、以下の格子方程式に対する修正;
Figure 0005006318
を、導入した光学媒体に適用することにより達成できる。式中、lは格子間隔、θはn次の回折角、λは受信した実際の波長、ηは媒体の屈折率である。したがって、以下の微分関係式;
Figure 0005006318
が得られる。ここで、角度θそれ自身が周波数の尺度であるため、最終項は用いることができない。暗に屈折率が一定(η=1)であることを仮定し、lを変化させることが、第1の同時継続出願において既に説明された発明のメカニズムである。残る第1項は、屈折率の変化を表しており、次の式;
Figure 0005006318
が得られる。この式を式(8)で除し移項すると次の条件;
Figure 0005006318
が得られる。これは周波数スケーリングに対する必要十分条件であり、第1の同時継続出願において、設定された格子間隔の同様な変化に対する必要十分条件に類似したものである。
式(11)は、回折経路屈折率の指数関数的変化が、第1の同時係属出願における格子間隔の変化の場合と同じ距離依存スペクトルスケーリング効果を有することを意味している。これによる主たる利点は、格子間隔を物理的に変える必要がなく、従来の回折格子を用いることができることである。間隔が空間的に一様であることが保証されているため、格子の非一様性による滲みの無いスペクトルの距離依存スケーリングを得ることが可能である。
B:デジタルシステムにおける本発明の原理
離散フーリエ変換(DFT)を含むデジタル信号処理(DSP)システムにおいて、連続サンプルに対する指数関数的遅延をDFTにおける位相シフトに含ませることで、上述と同じことが達成可能である。
サンプリング間隔τにおける関数f(t)のDFTは、N個のサンプルブロックに対して以下のように定義される。
Figure 0005006318
及び逆変換、
Figure 0005006318
ここにおいて、ωτ=2π/Nτ、また同等にωττ=2π/Nであり、一定の位相増分を表す。逆変換は、直交条件;
Figure 0005006318
による。ここで、δmnはクロネッカーのデルタであり、その値はm=nの場合に1、それ以外の場合は0である。距離依存周波数スケーリングにおいて、離散直交条件は
Figure 0005006318
のように変更され、これは式(4)に対応する。式(12)のそれぞれの指数部の符号は、逆変換を式(14)の左辺第2因子exp(i[κr△−nωττ])に関連付けるものであり、また順変換を第1因子exp(imωττ△)に関連付けるものである。後者は、△により周波数シフトを既に含んでいる。したがって、非変形位相増分nωττによる逆変換においては、式(4)で説明したように、式(14)右辺の総和によって、チャープ固有関数exp[i(κr△(r)−ωt)]だけが選択されることとなる。△はアプリオリに計算可能ではなく、残りの因子i、m及びωττ≡2π/Nはいずれも数値定数であるため、第1因子に△(t)を導入するメカニズムは明らかにされていない。
第1の同時係属出願で提供された解決策は、発信源に対する受信機の時間スケールに相当するサンプリング間隔τを、
Figure 0005006318
を満たすように、指数関数的に変えることであり、式(15)は式(11)に対応している。したがって、式(5)、(6)、(7)と同じ位相変化の増加率、すなわち、
Figure 0005006318
が得られ、これにより△が順変換に導入される。指数関数的サンプリングは、サンプリング時間t=texp(−nβ)とn≧0の場合の間隔τ=tn+1−tで表され、変形変換は、
Figure 0005006318
となる。遅延τと周波数ω(t)とは逆比例関係にあるため、位相増分の総和は必然的に等しく、つまりは、任意の添え字の対m、nに対してω(t)τω(tn−1)τn−1ω(t)τω(tm−1)τm−1である。したがって、変換の核は、通常のDFT(式(12))の核と全く同じであり、指数関数的サンプリングの効果は、
Figure 0005006318
であるようなサンプリング時間においてのみ現れる。
第1の同時係属出願における可変格子は、指数関数的サンプリングに相当し、これは任意の回折角θにおいて測定される振幅は、ここでも指数関数的に異なる時間に格子に到達する波面の総和になるためである。したがって、式(17)及び式(18)は可変格子に対しても有効であり、逆に、DSPにおける屈折率変化に相当することを意味する。ここで、式(18)の変換は、全てのnについての一様サンプリング(τ=τ及びt=t+nτ)の下で実現可能である。但し、得られるサンプルf(t)が、式(11)で与えられる屈折率変化による位相シフトと同様の指数関数的に変化する位相シフトの下で加算されるものとする。したがって、間隔τを一定に保ったままフーリエ変換の核(式(12))を指数関数的に変形すること、つまりは周波数選択ω(t)=ω(t)enβを変化させることが必要になる。これは、τが一定であることから、式(18)の場合と同様、位相がフーリエ値に復元されないためである。その結果は、光学的及びデジタル的手法のいずれの場合でも、
Figure 0005006318
という変換となる。これは、単なる基本的な指数チャープ変換であり、その式(18)の変換に対する等価性は明らかであり、詳細な説明において説明する。これらの変換の逆変換可能性は、サンプリング遅延・位相の議論から分ることであり、この点については詳細な説明において明らかにされる。
利点としては、サンプリング補間及びそれに付随する雑音がなくなること、及び中間周波数(ここにおける経路位相差はフロントエンド搬送周波数における経路位相差に比べて小さくなり補間雑音に埋もれてしまいかねない)においてさえもアンテナフロントエンドから下流側で補間を行うこと無しに使用できることが挙げられる。チャープ特性を有する時間領域波形は、従来の(変形されていない)逆DFT(式12の第2式)によりFから復元できる。
C:相関分光における本発明の原理
自己相関を用いてパワースペクトルを直接計算する分光計においては、背景技術で説明したように、チャープ固有関数の選択を相関計算前または計算中に行う必要がある。このような選択は、単に相関内の連続した遅れを、式(15)のサンプリング間隔τに対応した指数関数的に変化する値に設定することでなされる。
全ての遅れが積分窓に対して指数関数的に変化しなければならないため、信号が被る連続した遅れ間の空間的な変化及び時間的な変化が必要となる。
次いで行われるフーリエ変換は、相関窓Tにおいて計算される自己相関関数;
Figure 0005006318
に対して適用され、
Figure 0005006318
なるスペクトルパワー密度が得られる。
しかしながら、相関分光法の距離依存周波数スケーリングにおいて、f(t)とは異なりR(τ)は時間に対して直接関係しているわけではないため、式(21)には、位相を指数関数的に変化させる余地はない。むしろ、任意のτにおけるRの値は、相関窓T全体にわたる複数のtの値におけるfの寄与を含み、f(t)のスペクトル位相勾配は自己相関R(τ)内には保存されていない。このことは、スペクトル位相勾配のみに含まれる発信源の距離情報がR(τ)においては失われていることを意味する。
上記遅れにより、可変サンプリングを支配する式(15)に応じて自己相関における連続したサンプルに遅延が生じるが、全ての遅れはアナログ相関器においてはf(t)の各瞬時値に連続的に適用され、またデジタル相関器においては各サンプルに連続的に適用されるため、これらは実際のところ式(19)における変動位相遅延を表す。式(19)においては純粋な時間的変動のみが必要とされているが、回折の場合における経路遅延と完全に同等な場合においては、明示的な空間変動、つまりは連続した瞬時遅れ間の変動も必要となる。この点については詳細な説明において明らかにされる。
D:変更及び範囲
相関分光法における原理に示したように、本発明及びその第1の同時継続出願の方法との組み合わせは様々に変更可能であり、またこれらの変更は本発明の範囲内でなされるものである。
特に、式(19)が基本的なチャープ変換であるということは、発信源周波数の距離依存スケーリングを得るためには、実質的に任意の公知のチャープ変換又は抽出方法を同様に用いることができることを示唆し、このような使用法を許容するのも本発明の範囲内である。また、同様な目的で、つまりは発信源周波数の距離依存スケーリングを得るために、第1の同時継続出願の変動格子メカニズムや上記の屈折率変動方法に代えて、別の光学チャープ変換を用いることもでき、このことも同様に本発明の趣旨及び範囲内である。更には、相関分光法への適用で示されたように、それぞれ式(18)又は(19)で表されるサンプリング間隔又は遅延を変化させる形のチャープ変換は、位相に含まれる発信源・距離情報をスペクトルとして得たり利用したりするために、スペクトル分析又は選択と組み合わせたり、それらの改変として様々な方法で間接的に適用することもできる。このような用途や手法のすべては、本発明のはっきりとした実例となるものであり、本発明の趣旨及び範囲内である。
本発明においては、経路遅延のための様々な手段が想到されている。例えば、固体媒体やファラデー効果に代えて、液晶媒体を光学的手法において用いることもでき、その場合、光学経路長は磁場ではなく長手方向の電界を用いて制御したり変えたりすることができる。これはコンパクトな実現化により適しており、直線偏波をサポートするものである。同様に、他の材料やその性質も適宜用いることができる。
スペクトルの目視観察に代えて光検出器を用いる場合に適したより実際的な変形は、焦点距離を変えることができるレンズを用いることである。また、光検出器とレンズを長手方向に物理的に移動させてもよく、この場合は同じ経路長変化が得られるように焦点距離も同時に調節する。これらによる利点は、光学的性質を変えることができる材料からなる媒体が不必要となることであり、偏波に対する制約のみならず、この材料からなる媒体による吸収やそこからの散乱ノイズを回避するために有用である。現在入手可能な唯一の実際的な可変焦点距離光学部品は、カメラに広く用いられている伸縮ズームレンズであり、機械的な移動速度自身が実現可能なβを制限する。スマートマテリアルのような技術が生まれてくれば、他の選択肢も可能となると思われる。
固定格子と屈折率可変媒体の組み合わせ自身においても、格子が透過型か反射型かによって二種の変形があり得る。後者の場合、入射光は媒体内に進入することもあるが、格子より前の光路を変更したとしても光線が引き続き等しく進行するのならば、式(11)の条件は変更されない。
詳細な説明において明らかにされるように、デジタルシステムにおいては、変形DFTにおける位相シフト係数を事前に計算するか、必要に応じて位相シフトを計算するかの選択肢がある。また、従来のDFTを最適化するためには高速フーリエ変換(FFT)やfftw(Fastest Fourier Transform in the West(see http: //www.fftw.orgを参照))があるように、変形DFT計算を最適化するためには、多くの手法があると思われる。
基本的に、それぞれ式(18)、(19)に規定されるように、遅れ及び経路遅延又は位相は指数関数的に変化する必要がある。しかしながら、詳細な説明において明らかにされるように、多くの用途においては、線形変化としても十分によい近似となる。例えば、発信源と受信機との間での散乱やフェーディングを修正するために、必ずしも指数関数的ではない非線形変化も補助的に用いることができる。このような変形は全て本発明の範囲内であり、第1の同時継続出願に記載の発明における格子やサンプリング間隔の変化に対しても同様に適用可能である。また、当業者には明らかであろうが、本発明は、第1の同時継続出願における可変サンプリング方法と組み合わせることができるが、複雑さが増すことにより、このような組み合わせの有用性は制限されるであろう。
更には、第1の同時継続出願に記載される発明における別の方法として説明したように、連続した観測間隔において、遅れや経路遅延を繰り返し変化させ、スケールされたスペクトルの観測性を向上させることができる。この繰り返しは、連続間隔毎に、屈折率、遅れ又は遅延をリセットしてからなされる。各間隔においてβの符号を交互に反転することによっても同じ結果が得られる。
本発明の、他の多数の目的、特徴、変更、利点は、好ましい実施形態の詳細な説明を図面とともに検討することにより明らかになるであろうが、これらは例示とみなされるべきものであって限定をするのもではない。
[好ましい実施形態の詳細な説明]
したがって、本発明の原理は、受信周波数の距離依存スケーリングを得るために受信機におけるスペクトル解析又は選択プロセス内で必要とされる時間変化の対象を、受信機のフロントエンド又はスペクトル解析或いは選択プロセスにおける個々の格子又はサンプリング間隔(これらは組み込みが困難である)から、通常バルク的な性質を有し容易に制御でき変えることが可能である経路遅延の組に移管することにある。
したがって、本発明の好ましい実施形態は、経路遅延をもたらし且つこれらを時間的に変化(本発明の原理において必要とされる)及び空間的に変化(相関分光法等の特定の場合に必要とされる)させるための物理的又は計算的手段を含むものである。この原理を説明するために、光学的方法に対する好ましい実施形態として、屈折率を変化させる手法について最初に説明する。
次に、受信周波数の距離依存スケーリングの物理的根拠を図解する。具体的には、本発明の原理と第1の同時継続出願に定められた格子又はサンプリング間隔の変化との同等性の証明を図解し、第2の同時継続出願に記載した、同一チャンネル信号を分離するために必要とされる格子及びサンプリング間隔の変化の逆変換処理を図解し、また、好ましい実施形態におけるデジタル及び相関分光法による手法を詳細に説明する。
図1に、回折を用いる光学系に対する好ましい実施形態である可変屈折率方式を示す。図は、長さがlであり間隔[140]をおいて設けられたスリット[110−130]の配列を含む従来の回折格子[100]を示す。格子[100]により回折された光線はレンズ[150]によって集束され、その焦点面[160]においてフーリエスペクトルが形成される。焦点面[160]には、スペクトルを測定・記録するために一以上の光検出器を配置してもよい。格子と集光レンズとのこのような組み合わせは、例えばマックス・ボルンとエミル・ウォルフによる古典的教科書「光学の原理(Principles of Optics)(Pergamon Press, 1959年)」に述べられたような、フーリエ分光法における最も簡単な構成であり、本発明の原理はこの基本的な組み合わせからより洗練された配置に拡張されることは当業者には明白であろう。
本発明の原理においては、時間的に可変な屈折率η(t)を有する媒体[300]を格子[100]の直後に配置することが必要とされ、これにより式(19)に従って全ての回折光の位相遅延が連続的に増加される。媒体[300]は、レンズ[150]まで延長する必要はなく、また同様に、レンズ[150]が凹レンズに置き換えられたとしても焦点面[160]まで延長する必要もない。本発明の原理においては、媒体[300]の瞬時屈折率η(t)を、焦点面[160]におけるスペクトルの各観測中に変化させる必要がある。実際には、第1の同時継続出願で説明したように、連続した時間積分間隔Δt毎に変化を繰り返すが、△tを非指数関数的変化による滲みを制限するのに十分な程度に短く選択し、繰り返し変化を単純な線形変化とすることが可能である。このような窓における増分は、
Figure 0005006318
のようになる。ここで、表記o(x)はxに関して高次であることを意味し、誤差を表す。|β△t|〜10−3以下である場合、合計正規化変化は|κ−1κ|≡|η−1Δη|≡|τ−1Δτ|〜|βΔτ|であり線形化することができ、非指数関数的変化による誤差は1%より少なくなる。
|β△t|を小さい値にする別の理由は、特に受信周波数を大きな因子(β≡αc)0)によってスケールアップする際の、入力帯域幅とナイキスト基準に関係している。この場合、受信機の変動は、発信源距離rよりも強く周波数スケーリングに影響を及ぼし、これは、受信機及びそれに対する本発明の変更(この場合は回折格子[100]及び媒体[300])が、得られるシフトδω=βr/cよりも広い範囲の周波数(△κ)の到来波に対応しなければならないことを意味する。|β△t|が大きくなると、入力レンジ△κは指数関数的に悪化し、|β△t|=1の場合は1.72、|β△t|=2の場合は6.39等となる。これは、格子[100]及び媒体[300]が、積分窓を掃引する毎に深赤外から深紫外までの波長に対応しなければならないことを意味する。同時継続出願における基本的な解決策は、必要とされる変化の指数関数的性質を活用できるように、かなり短い積分範囲△tを用いることである。例えば、△t=1μsとすると、全変化が、
Figure 0005006318
と小さいことによりα=1m−1≡β=3×10−1とすることが可能となり、増分変化率は大幅に小さく(β’=19.5s−1)なるため、ナイキストの問題は回避される。
更には、測定可能な強度を有するスケールされたスペクトルを生じさせるためには、受信波は上記の広い範囲に亘るコヒーレントな周波数の広がりを持たなければならない。幸いなことに、多くの光源及び変調搬送波の相対帯域は一般に少なくとも10−3であり、十分な強度のスケールされたスペクトルが生じる。
第1の同時継続出願における可変格子方法の場合と同様に、本発明の原理の目的は、焦点[260]に結像された連続光線の波長が若干異なるようにし、正弦波の代わりにチャープ固有関数を得ることである。具体的には、本発明の作用がない場合においても、格子[100]の一端部近傍の第1スリット[110]を経て到達する第1光線[210]の波面は、通常、次のスリット[120]を経て時間間隔τ≡l/c=nλ/c後に到達する第2光線[220]の波面と増加的干渉し、また、第3スリット[130]を通った第3光線[230]と更なる間隔τ後に増加的干渉する。
第1の同時継続出願の方法においては、格子間隔lを各時間窓△t内で変化させ(例えば、小さくし)、次いで元に戻し次の時間窓△tに対して変化を繰り返す。その結果、第一光線[210]の波面は、第2スリット[120]経て到達する波長が若干短い(λ)第2光線[220]の波面と増加的干渉し、また波長が更に短い(λ)第3光線[230]の波面と増加的干渉する。最初の波面が第3スリット[130]において格子[100]を横切るまでは、全ての間隔[140]は一様に減らされ、その結果、第1スリット[110]を経て到達する波面は、短い波長λにおいてのみ増加的干渉するが、第2、第3光線[220、230]が横切ったスリットからの更に短い波長の寄与分のみと増加的干渉する。格子間隔[140]を繰り返し変化させることにより、スペクトルは各時間窓△tにおいて一回のみ走査される。ここで重要なことは、この走査により、焦点面[160]における光検出器[170]においては、フーリエ分光法において想定される純粋な正弦波ではなく、波長が連続的に変化する(つまりはチャープ)波面が生じることである。
本発明は、同様な結果を、格子間隔[140]を変える代わりに、各時間窓△tにおいてηを変えることにより得ようとするものである。ηを減少させることにより、第2光線[220]からの増加的干渉に対する寄与は、若干短い波長λからのものとなり、第3光線[230]からの寄与も更に短い波長λからのものとなる。前述のように、第3スリットに到達する波面に揃うように第1スリットに到達する波面は小さな波長λにおいてのみ寄与するが、その寄与は遅れて焦点面[160]に到達するため、他のスリットからのより短い波長とのみ組み合わされる。従って、スペクトルは、各時間窓△tにおいて一度のみ走査され、この走査により、屈折率を変化させる代わりに格子間隔を変化させたかのように、チャープ波面が焦点面[160]に生じる。
スペクトルの走査及びチャープ成分の抽出を図2〜4に図解する。これらの図は、受信機から見た受信波の周波数スペクトルが本発明によりどのように変更されるのかを示すものである。各図において、受信機から見たスペクトルは垂直窓[10]として描かれており、したがって、受信機側のスペクトル固有状態及びそれらに選択される到来波面は並べて描かれ、スペクトル観測の数学的プロセスが説明される。
図2は、受信機側スペクトル窓(観測可能な周波数範囲)が静的である従来の(フーリエ)解析を示す。量子力学的記載を用いて|f〉と記される到来波面f(t)[30]には、多数の受信機固有状態exp(iωt)≡〈ω|のそれぞれが乗ぜられ、振幅は、
Figure 0005006318
となる。ここで、積分は有限時間窓Tに対して行われる。物理的測定によって得られるのは通常、スペクトル成分の強度|F(ω)|≡|〈ω|f〉|であるが、式(24)による積分変換は、対象となる波長に対する巨視的な形態に関係していなければならない。例えば、媒体[300]や本発明の屈折率変化を用いていない図1の基本フーリエ方式光学分光計において、この積分変換は回折と、回折格子[100]の延長領域から延長積分窓Tに至る回折波面の、レンズ[150]によって焦点面[160]の各焦点[260]において生じる結合とによって物理的になされる。図1においては、連続した3個のスリット[210]、[220]、[230]からの波面(格子[100]にそれぞれ時間t、t≡(t+nλ/c)、t≡(t+nλ/c+nλ/c)に相次いで到達した波面に相当)が結合される。ここでT≧(nλ/c+nλ/c)であり、nは回折の次数を示す。
従来の分光法においては、格子間隔[140]又は格子[100]以降の屈折率は変化しないと仮定されており、したがって、λ=λ、T≧2nλ/cである。実際、それぞれの積分(24)は、式(12)の前者による離散的総和によって得られ、ここでNは格子[100]のスリットの数を表す。
したがって、受信機のスペクトル窓[10]は、上記積分が有効に計算される周波数の組ω、2ω、3ω・・・によって表される。これら周波数のそれぞれは、スペクトル窓[10]内の位置に対応する。図解のために、この図においては、代表的に3個の位置(赤[23]、緑[25]、青[27])が示されている。周波数ω≡jω^の正弦波状であり、赤[23]、緑[25]、青[27]に対応した固有状態はスペクトル窓[10]の左側に示されており、積分はスペクトル窓[10]における固有状態波形と受信波形との邂逅の結果であると仮定される。実際のところ、正弦波状の受信波[31]は積分され、
Figure 0005006318
となり、これはω=ωの場合のみゼロではなく、n>0である各回折次数において焦点面[160]に単一輝点を生じる。
図3に、観測プロセスつまりは積分(24)中における、第1の同時継続出願に記載されたような格子間隔の変化、又は本発明による媒体[300]の屈折率の変化による影響を図解する。この場合、積分における波長の寄与はもはや等しくなく、つまりはλ≠λである。固有状態のみが物理的に受信機に属するものであり受信機の変化に影響され得るため、波長の変化は受信波形に乗ぜられる固有状態によるものでなければならない。単調変化を仮定すると、それぞれの固有状態は波長の変化を伴う波形を示し、更には、各固有状態は到来周波数に対して継続してシフトする。これは既に述べたように、スリット[110]に後に到達する波面は、スリット[120]、[130]に更に後から到達する波面と、格子間隔[140]の連続的な縮小又は媒体[300]の屈折率の連続的な増加により既に短縮された波長においてのみ結合されるためである。これは、あたかも受信機窓[10]がより高い到来周波数に向かって下方にスライドしたかのように見え、またプロセス中にその固有状態を、影響を受けてない到来波に対して下側に引き込んだかのようにも見え、図において赤[34]、緑[36]、青[38]の正弦波で示されている。第1の同時継続出願において格子間隔[140]の変化に対して説明したように、各間隔毎に媒体[300]の屈折率を元に戻すか、又は間隔毎に変化の符号を交互に逆にすることにより、受信機窓[10]を連続した観測間隔における特定の波長範囲において繰り返しスライドさせることができる。
したがって、上記のような変化がある場合、固有状態はもはや正弦波ではなく連続して変化する波長を持つため、受信機の固有状態と受信正弦波形との簡単な直交条件(式(25))はもはや成り立たない。特に、各ω(t)が時間tとともに変化する関数であり、すべてのjに対して、
Figure 0005006318
であるため、これらはもはや純正弦波とは直交しない。しかしながら、直交性は、同様に変化する受信波形、つまりは、
Figure 0005006318
に対しては成り立つ。但しω(t)はtに対して同じ関数依存性を有する[ここで、式(25)、(27)におけるδ関数の定義域は関数ωの空間であり、あるtにおける単なるスカラー値ω(t)ではない]。
図4は、固有状態を受信機窓[10]の右側に投射し、これらを同様な連続周波数変化を有する対応受信波形[32]とともに並べることによりこの概念を図解し、一つのゼロではない整数のみが直交性を生じることを示すものである。図4は、可変受信機により伝播されるスペクトルは受信波の正弦波成分と一致する(これは従来の分光法において仮定されていることである)ことはないが、これらの波のチャープ成分と一致することを示している。図1において可変屈折率媒体[300]を有する回折格子[100]について説明したように、これらチャープ成分は、連続して変化する波面の寄与同士の結合によって受信機自身により作られるものである。
更に、これらの図は本発明において特に重要である他の性質を部分的に図解している。この性質とは、抽出されたチャープは周波数においても波動源からの距離に比例してずらされているということである。この性質は、式(5)〜(7)から要求されるものであるが、理解が容易ではないと思われる。これは、理想的なチャープは0から∞までの取りうる全ての波長を含み、特定の周波数とのアプリオリな結合は許されないからである。通常、チャープ基本関数は並進や拡大の単純な任意の組み合わせによって重なり合うことがないように形が異なることが求められているため、チャープの直交基底集合も直感的に理解できるものではない。図2に示した通常のスペクトル分解においては、基底集合は[24]、[26]及び[28]で表される正弦波固有関数の集合であり、これらは周波数が異なるため並進によって重なり合うことはない。
図3及び4は、第1の同時継続出願における格子間隔[140]の変化、又は本発明による屈折率変化により生じた変形された基底集合を図解するものである。図3は、チャープである固有状態と正弦波である受信周波数を示すものであり、観測プロセスにおける時間スケールの基準は宇宙である。その代わりに、受信機の時間スケールを基準として用いても構わない。格子間隔[140]及びサンプリング間隔は共にこのスケールにおいて一定であり、図2の場合と同様に、チャープ固有状態[24]、[26]及び[28]は純粋な正弦波となる。その結果、受信機のスペクトル窓[10]を形成する固有状態の範囲は、本発明の変動がない場合(即ち線形結合によって表すことができる受信波動関数の分解のためのフーリエ基底)と同じ物理的役割を維持している。
このことは、本発明の変動は任意に遅くすることができるため(例えば|β|→0)、強い要求であり、この固有状態の役割は|β|が、丁度ゼロとなったときに突如として効力を生じなくなるものではない。上記の受信機の「スケーリング基準フレーム」においては、実際の正弦波[34]、[36]及び[38]は、逆にチャープとして現れなければならない。また、図4に示されるチャープ波形[32]のような実際のチャープそれ自身のみが、受信機の固有状態と一致した正弦波として現れる。受信機の固有状態の集合は依然として、それらの線形結合によって構成され得る全ての波形を表すための基底であり、式(27)は受信機のスケーリング基準フレームにおけるフーリエ分解を定義する。
これに関連して次の2つの事項が挙げられる。第一は、実質的に同一なチャープ固有状態を、宇宙の残りの通常の「非スケーリング基準フレーム」においてどのように判別するのかであり、第二は、発明の背景において転載した理論に記述したように、これらを発信源距離のみに比例してどのように選択するかである。受信機において周波数の異なる正弦波として現れる到来チャープ波形間の唯一の相違は、受信機において呈する瞬時周波数でなければならない。いかなる受信波形に対しても、この瞬時適合周波数は、発信源における元の出射周波数、チャープにおける周波数発展パターン、及びそこにおいて瞬時周波数が発展する発信源距離に明らかに依存する。受信機における、式(2)に定められているような指数関数的変化の下では、式(1)及び(3)に応じて線形発展が選択される。
残る唯一の問題は、いくつかの正弦波波形を単に組み合わせるだけでは連続チャープを生むことができないため、そもそもこのような受信機によって検出されるようにチャープ成分を受信波に生じさせることができるのかどうか、またできるとしてもどのようにするのかということである。第1の同時継続出願に説明されるように、実際の発信源においては周波数の広がりがゼロではないため、発信源からは「チャープコンテンツ」が期待され、本発明の受信機は、連続した到達フーリエ波形内の波形を結合してチャープ波形を合成する。図1の回折分光計においては、連続した波形は一次又は高次(n≧1)の回折により選択され、これらはレンズ[150]により結合されて焦点面[160]においてチャープ波形を生じる。第1の同時継続出願において更に説明されたように、これらの周波数の帯域は発生源における位相と、微積分法におけるグリーン関数法において用いられる意味において、必然的に一致する。言い換えれば、発信源を点源の分布とみなし、ある一つの点源の全フーリエ波成分が同一位相で発信されるからであるという意味においてである。これらの「位相面」、つまりはスペクトル領域に仮想的に描かれる波面は、位相変化率は定義により周波数であるため、距離と共に線形に発展する。式(5)〜(7)は、これら発展中の「位相面」を有する抽出されたチャープを、抽出されたチャープを定義する周波数発展ファクターdκ/dtを介して関連づけるものである。
図5〜7は、媒体[300]の屈折率の本発明による変化と第1の同時継続出願に規定される格子[140]の変化との同等性を図解するものである。後者は図2〜4に説明された時間スケールの相対変化を直接に反映したものと考えられ、本発明の変化がこの目的のために同様に機能することを実証するために有用である。
図5に示すように、従来の分光法は、等しい経路遅延を等しいサンプリング間隔で採取した連続する寄与波形に対して適用することに相当し、サンプリング時間と経路遅延は線形関係にある。この線形関係を維持する、サンプリング時間と経路遅延の任意の変化もフーリエスペクトルを生じることを立証するのは容易である。この線形関係は抽出された固有関数が、
Figure 0005006318
で与えられる並進不変性を有することを意味する。ここでDは遅延演算子である。したがって、Dの固有関数は微分演算子d/dtの固有関数と同一であり、df/dt=sf、s≡σ+iωと書くことにより関連づけられる。このことより、f∝estであり、これはフーリエ変換やラプラス変換における既知の基底である。
第1の同時継続出願の方法において、この線形サンプリング時間―経路遅延プロファイル[60]は、均等遅れを指数関数的サンプリング間隔で採取された波面に適用することで、図6に示すような指数関数的プロファイル[62]に変形される。これにより積分窓における並進不変性は消失するが、その代わりにあるサンプルから次のサンプルへの変化率因子dω/dtが効果的に導入され、式(5)によって受信周波数のスケーリングが得られる。本発明において、指数関数的プロファイル[62]と同一のプロファイルは、均一にサンプルした波面から、これらのサンプルに適用される遅延を図7に示されるように指数関数的に変えることによっても得られ、これらの遅延は、式(19)によるそれ自身の指数関数的変化ω(t)における変化率因子dω/dtを含んでいる。したがって、これら2つのアプローチは、正弦波の代わりにチャープを抽出するという点で同等である。
格子間隔[140]又は上記の屈折率の変化に対応した逆変換も、上記のサンプリング時間―経路遅延の関係を用いて簡便に論じることができる。図8は、式(19)の変換を逆に行うために必要な経路遅延の決定方法を示す。単に多くの遅延を連続サンプルに加えて全般的な遅延を均等化してもよい。これは、
Figure 0005006318
に相当し、また明らかに、式(19)に適用した遅延とは逆の遅延を適用し、一定の位相因子exp(iγ)を乗じたものに相当している。この逆変換はγ=2π又はその倍数であるときに厳密なものとなる。これは、図1の回折分光法のような実際には負の遅延が起こり得ない非DSP手法に対して特に適している。デジタルシステムにおいては、全ての遅延を単に計算し、負の遅延exp[−imω(t)τ]は直接適用することができる。図9は、第1の同時継続出願の可変サンプリング方法に対応したロジックを図解するものであり、逆変換はサンプリング間隔を逆向きに変えることによりなされることを示している。入力は離散サンプルの形であると思われるため、逆間隔に対応した新しいサンプル値を得るためには同じ値に対しての補間が必要となる。
上記概念は、第1の同時継続出願の可変サンプリング方法と本発明の可変遅延とを、指数関数的サンプリング時間―経路遅延の関係を維持し発信源距離情報の滲みを回避しながら組み合わせることができることを示唆している。図10及び11は、上記組み合わせの一例における順及び逆変換におけるサンプリング時間―経路遅延の関係を示すものである。任意の組み合わせは一般により複雑であり、その性能は本発明の経路遅延方法を単独の場合と比べて劣るであろうことは明らかである。
図16及び17は、本発明の離散フーリエ変換への導入を図解するものである。図12及び13は、式(12)の前者で与えられる従来の離散フーリエ変換における類似の計算を説明するブロック図であり、図14及び15は、第1の同時継続出願の発明の方法の類似の導入を示すブロック図である。
図12に示すように、従来のフーリエ変換の第1成分F(0)は第1加算器[420]の出力[410]として得られ、第1加算器[420]の入力は第1の組をなす位相乗算器[510]〜[514]の出力である。これらの乗算器への入力は、入力信号[400]を同種の連続した遅延素子[500]〜[504]を通すことにより順次導かれる。図13に示すように、従来のフーリエ変換の第2成分F(ω)は、第2の組をなす位相乗算器[520]〜[524]の出力を加算する第2加算器[421]の出力[411]として同時に得られ、位相乗算器[520]〜[524]において、それら位相の値は、第1の組[510]〜[514]の位相からωτを差し引いたものになっている。従来の変換における残りの成分F(jω)(j=2…N−1)は同様にして計算される。発明の背景に述べたように、これらの計算を構成したり最適化したりする多数の方法は公知であり、図14〜17で説明される本発明の修正をこのような再構成や最適化に適応させる方法は当業者にとっては明らかであろう。
図14及び15は、それぞれ図12及び13と類似した図であり、また図16及び17も同様である。これは、従来の変換に対する本発明の変更は、計算の構造又は手順を変更したというわけではなく、単に遅延及び位相成分の値に関するためである。本発明の変更においては、図1の分光法における本発明による屈折率の変化の場合と同様に、これらの遅延や位相成分が各積分窓において動的に変化させられることが必要とされる。
図14及び15に示すように、第1の同時継続出願の発明による変更においては、遅延成分を時間的に変化させること(これは、式(15)によるサンプリング間隔の変化に対して必要とされ、例えば時間変化制御信号[402]によりなされる)、また同時に空間的変化させること(任意の時間において、遅延[600]〜[603]は異なっていなければならず、ある一つから次へと、時間変化の場合の変化と同じ様に変化する)が必要とされる。即ち、遅延の瞬時値τは、式(15)と一致させるために、
Figure 0005006318
とならなければならない。式(22)とともに説明したように、βδt≦10−3であり高次の項o(jβ)を無視することにより遅延が単に線形で与えられる場合には、指数関数的変化(これはいかなる場合においても完全には得られないが)は必要ではない。この条件は容易に得られ、式(33)とともに説明したように任意の実現化において成り立つものと思われる。
本発明における相違点は、図16及び17に示すように前記と同じ変化制御信号[402]を用いて位相乗算器に対する時間変化をシフトさせることであり、その結果、遅延素子[500]〜「504」は、図12及び13と同様な定常値を持つようになる。図14及び15の可変遅延[600]〜[603]とは異なり、位相乗算器間([610]〜[614]の組及び[620]〜[624]の組のそれぞれの内で)の瞬時変化は、図12及び13の場合と同様にフーリエ変換そのものに(式(12)の前者)よって定められる。従って、本発明においては、N個の遅延素子の代わりに、N個の位相乗算器が必要となると思われるが、FFT等のDFTに対する最適化が通常用いられ、実際には、独立した位相乗算器の数、したがって時間的に変化させられる成分の数は、N乗根に比例して減らされる。図16及び17から分るように、例えば、位相乗算器[610]〜[613]は、常に位相乗算器[621]〜[624]のそれぞれと同一の瞬時値を持たなければなない。これら2組の乗算器は、変化制御信号[402]により(例えば並列に書き込むことによって)制御される一般的な位相素子の組から容易に得られることは、信号処理の分野の当業者には明らかであろう。第1の同時継続出願の方法と比較した場合の主要な欠点は、本発明は、FFTにおける乗算器の多数の層に影響を及ぼすため、より侵入的であることである。しかしながら、可変遅延[600]〜[603]により表される可変サンプリングの根本的な欠点、つまりは、可変サンプリングの後段においてサンプルの補間が必要でありアナログ信号を再び部分的に生成しなければならないという欠点は克服されている。
図18に示す相関分光法における本発明の原理は、遅延素子[600]〜[603]における遅延(式(30)で与えられるτ’s等)と同様に瞬間的に異なり、例えば同じ制御信号[402]を用いて同様に変化する遅れ[800]〜[803]を採用するという点で、図14及び15に示す可変サンプリングの原理に類似したものである。この図は、式(20)の自己相関関数をそのまま、但し一定の遅れの代わりに本発明のように変化する遅れ[800]〜[803]を用いた自己相関器を示す。受信波形f(t)の自己相関R(τ)は、同時に多数の時間差変数の値に対して、乗算器[700]〜[704]の組、次いで乗算器の出力を相関窓Tにおいて積分するそれらに対応した積分器[710]〜[714]の組によって計算される。乗算器[700]〜[704]は図のように接続されており、波形f(t)の瞬時値に、対応する遅延値f(t−τ)、f(t−τ−τ)、f(t−τ−τ−τ)、f(t−τ−τ−τ−τ−3)を乗じる。これら遅延値は、連続した遅れ[800]〜[803]から得られるものである。従来の自己相関との違いは、図14及び15の遅延素子の場合と同様に、遅れ[800]〜[803]を一様ではなく且つ時間変化するようにしたことである。図18は、本発明を採用した特に簡単な自己相関手法を示すが、このことより、より複雑な自己相関及び相関分光法の具現化への拡張は、当業者には明らかであろう。
発明の概要に述べたように、可変遅れは、本発明を自己相関に組み込むための唯一の方法であり、可変位相乗算器を代替的に利用できる結合ステップが存在しないためである。また、本発明の目的を考慮すると、本発明の時間変化をR(τ)のフーリエ変換において採用することは、変数τが時間そのものを表すものではないため、無益である。発明の背景で説明したように、周波数の距離依存スケーリングは、位相のスペクトル勾配∂φ/∂κ(式(7))(同等に正弦波の瞬時位相に対する経路長の寄与κr)の形でf(t)から得ることができる発信源距離情報に依存する。自己相関において、この位相情報はfにそれ自身を乗じ、相関窓において積分することにより消失する。これら2つの演算は自己相関の基本概念において本質をなすものであり、情報が失われることを回避するうえでどちらも省くことはできない。
最後に、本発明を好ましい実施形態に関して説明してきたが、上記の開示に鑑み種々の改良や変更が可能であることは物理、電気、通信工学分野の当業者には理解されよう。
本発明の方法は、水中の音波又は大気中を伝わる電磁波に対しても、例えば周波数や周囲温度に対する伝播速度の変化に対して適切に修正を加えることにより適用可能と思われる。図1の屈折率手法においては、レンズを鏡等の他の集光系で置き換えることができ、また可変焦点レンズや、光検出器を可変焦点レンズの焦点面内に連続的に維持する機械的又は電気的機構を用いることにより可変屈折率媒体それ自身が不要となる。
更には、本発明及び第1の同時継続出願の発明の前提は、実際の波動からの実際の波動にはスペクトル位相勾配が必ず存在するということであり、そのこと自体が、実質的に任意のタイプのチャープ変換を式(19)の基本指数関数チャープ変換の代わりに用いることができることを意味し、それに応じて、周波数の距離依存スケーリング及び信号の分離の利点が得られる。
このような改良、一般化及び変更の全ては、添付の請求の範囲に定義される本発明の範囲と精神のうちにある。
本発明を採用した回折分光計の図である。 本発明を説明するために、フーリエ解析の基本プロセスを図示するものである。 フーリエ解析の基本プロセスに対して本発明によりなされる変形を図示するものである。 図3に示されるフーリエ解析の変形プロセスを図解するものである。 サンプリングレートとサンプル経路遅延との間における通常の関係を図示するものである。 第1の同時継続出願の発明の方法により生じた、サンプリングレートとサンプル経路遅延との間における変更された関係を図示するものである。 本発明によって得られた、サンプリングレートとサンプル経路遅延の間における図6と同様に変更された関係を説明する図である。 フーリエ解析の基本プロセスに対して本発明によりなされる変形を元に戻す又は取り消すために必要な経路遅延の計算を示す図である。
図6に示されるフーリエ解析の基本プロセスに対する変形を元に戻す又は取り消すために必要なサンプリング時間の計算を示す図である。 第1の同時継続出願の方法と本発明の方法との組み合わせによりえられた、サンプリングレートとサンプル経路遅延との間における変更された関係を図示するものである。 図10に示された方法の組み合わせを元に戻す又は取り消すために必要な経路遅延及びサンプリング時間の計算を示す図である。 従来の離散フーリエ変換のブロック図である。 従来の離散フーリエ変換のブロック図である。 第1の同時継続出願の発明の方法を採用した離散フーリエ変換のブロック図である。 第1の同時継続出願の発明の方法を採用した離散フーリエ変換のブロック図である。 本発明を採用した離散フーリエ変換のブロック図である。 本発明を採用した離散フーリエ変換のブロック図である。 本発明を採用した自己相関器のブロック図である。

Claims (20)

  1. 一種以上の発信源からの電磁波、音波又は他種の波の受信機において、各発信源から受信した波の周波数の、発信源から受信器までの距離に比例したスケーリングを得るための方法であって、受信機は、受信波の連続部分を識別する時間分割手段と、識別された連続部分の位相変化又は遅延を変える一以上の位相変化又は遅延可変手段と、次いである時間間隔内で連続部分を結合することにより、受信波の周波数スペクトルを計算する又は周波数スペクトルに作用させる積分変換手段とを含み、受信波の連続部分の位相変化又は遅延を時間分割された部分間で連続的に変化させ、次いで積分変換する工程と、各位相変化又は遅延を同一時間間隔内で変化させる工程とを含む方法。
  2. 時間分割及び引き続く積分変換工程において受信波の積分変換の計算が行われる、請求項1の方法。
  3. 時間分割及び引き続く積分変換工程において受信波の自己相関が計算される、請求項1の方法。
  4. 遅延又は位相変化の変化が、連続部間且つ積分変換の時間間隔内において指数関数的である、請求項1の方法。
  5. 遅延又は位相変化の変化が、連続部間又は積分変換の時間間隔内において、又はその両者において単純な線形である、請求項1の方法。
  6. 受信機及び一以上の発信源間の波の散乱又はフェーディングを修正するために、遅延又は位相変化の変化が、連続部間又は積分変換の時間間隔内において、又はその両者において非線形である、請求項1の方法。
  7. 時間分割手段が回折格子であり、任意の回折角において、波の連続部分が格子の連続したスリットを通過した波面部分によって識別され、積分変換手段がレンズ又は鏡である、請求項1の方法。
  8. 時間分割手段がサンプリングと独立した記憶装置又はサンプル処理とを含み、積分変換手段が計算である、請求項1の方法。
  9. 時間分割手段が一連の遅延素子を含み、積分変換手段が一以上の加算器を含む、請求項1の方法。
  10. 位相変化又は遅延手段は、屈折率が可変である媒体を含む、請求項1の方法。
  11. 屈折率は媒体にバルク応力を加えることで変えられる、請求項10の方法。
  12. 位相変化又は遅延手段は、波の連続部分にそれぞれの位相因子を個々に適用する乗算器を含む、請求項8の方法。
  13. 積分変換手段は、帯域フィルター、帯域消去フィルター、ハイパスフィルター、ローパスフィルター、又は他のフィルター等のフィルタリング又は周波数選択を含む、請求項1の方法。
  14. フィルタリング又は周波数選択は、波の連続部分の時間領域フィルター関数によるコンボリューションによって達成される、請求項13の方法。
  15. 受信波の連続部分を識別する時間分割手段と、次いである時間間隔内で連続部分を結合することにより、受信波の周波数スペクトルを計算又はそれ自身に作用させる積分変換手段とを含む一種以上の発信源からの電磁波、音波及び他種の波の受信機における、発信源から受信器までの距離に比例したこれら波の周波数のスケーリングを可能化する装置であって、識別された波の連続部分の位相変化又は遅延を時間分割された部分間の積分変換の時間間隔内で変化させ、次いで識別された波の連続部分における積分変換を行う一以上の位相変化又は遅延可変手段を含む装置。
  16. 時間分割及び引き続く積分変換を、受信波の積分変換の計算で行う、請求項15の装置。
  17. 時間分割及び引き続く積分変換を、受信波の自己相関の計算で行う、請求項15の装置。
  18. 遅延又は位相変化の変化が、連続部間又は積分変換の時間間隔内において、又はその両者において単純な線形である、請求項1の方法。
  19. 積分変換手段は、帯域、帯域消去、ハイパス、ローパス、又は他の種類のフィルタリング又は周波数選択を含む、請求項15の装置
  20. 各位相変化又は遅延手段は、識別された波の連続部分における個々の波部分に位相因子を適用する乗算器を含む、請求項15の装置
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