JP4997537B2 - 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 Download PDF

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Description

この発明は、動力伝達チェーン、さらに詳しくは、自動車等の車両の無段変速機(CVT)に好適な動力伝達チェーンおよび動力伝達装置に関する。
自動車用無段変速機として、図7に示すように、固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)を有しエンジン側に設けられたドライブプーリ(2)と、固定シーブ(3b)および可動シーブ(3a)を有し駆動輪側に設けられたドリブンプーリ(3)と、両者間に架け渡された無端状動力伝達チェーン(1)とからなり、油圧アクチュエータによって可動シーブ(2b)(3a)を固定シーブ(2a)(3b)に対して接近・離隔させることにより、油圧でチェーン(1)をクランプし、このクランプ力によりプーリ(2)(3)とチェーン(1)との間に接触荷重を生じさせ、この接触部の摩擦力によりトルクを伝達するものが知られている。
動力伝達チェーンとしては、特許文献1に、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、一のリンクの前挿通部に固定されかつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌め入れられた第1ピンと一のリンクの前挿通部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部に固定された第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされており、プーリへの噛み込みタイミングをずらすことで騒音を低減するために、ピンの転がり接触面形状、ピンのプーリ面との接触位置(チェーン径方向にオフセットさせる)などを2種類以上としてこれをランダムに配列することが提案されている。
特開2006−242374号公報
リンクおよびピンからなる動力伝達チェーンでは、ピンが直線部分からプーリと接触する円弧状部分に移行する噛み込み位置においては、プーリの接線方向とピン進入方向とが異なっており、ピンは下降しながらプーリと接触することになり、直線部分にあるピンも噛み込み位置におけるピンの下降の影響を受けて上下移動し、このようなピンの上下移動の繰り返しにより、多角形振動が生じる。また、ピンを等間隔で配置した場合、一定周期でピンとプーリとが接触することにより、衝突周波数1次ピークが大きくなり、耳障りな騒音となる。
上記特許文献1に示されている動力伝達チェーンでは、多角形振動が小さくなる基本構成と形状が異なるピンのランダム配列とによって、振動および騒音の低減が図られているが、プーリへの噛み込みタイミングをずらすためのランダム化手法は多角形振動を大きくする傾向があり、ランダム化による1次ピークの低減と多角形振動の低減との両立は難しいものとなっている。
この発明の目的は、ランダム化による1次ピーク低減効果を維持した状態で、多角形振動を低減することができる動力伝達チェーンおよび動力伝達装置を提供することにある。
この発明による動力伝達チェーンは、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされるとともに、プーリへの噛み込みタイミングをずらすために形状が異なるピンが使用されている動力伝達チェーンにおいて、ピン形状に関して、転がり接触面の曲率半径が相対的に大と相対的に小、チェーン幅方向の長さが相対的に長と相対的に短およびピン端面とプーリとの接触位置のチェーン径方向オフセットが相対的に内方と相対的に外方のうち、少なくとも1つの組合せが使用されており、転がり接触面の曲率半径が相対的に小さいピンを連続させない、相対的に短いピンを連続させないおよびチェーン径方向オフセットが相対的に外方のピンを連続させないようになされていることを特徴とするものである。
この発明による動力伝達チェーンでは、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方がプーリと接触して摩擦力により動力伝達する。いずれか一方のピンがプーリと接触するチェーンにおいては、第1ピンおよび第2ピンのうちのいずれか一方は、このチェーンが無段変速機で使用される際にプーリに接触する方のピン(以下では、「第1ピン」または「ピン」と称す)とされ、他方は、プーリに接触しない方のピン(インターピースまたはストリップと称されており、以下では、「第2ピン」または「インターピース」と称す)とされる。通常、ピン形状が変更されるのは、第1ピンだけとされ、第2ピンの転がり接触面が平坦面とされ、第1ピンの転がり接触面が相対的に転がり接触移動可能なインボリュート曲面に形成される。ただし、第1ピンおよび第2ピンは、それぞれの接触面が所要の曲面に形成されるようにしてもよい。
転がり接触面の曲率半径が相対的に大きいピンと相対的に小さいピンは、インボリュート基礎円半径Rbを大または小とすることで得ることができ、長さが相対的に長いピンと相対的に短いピンとは、断面形状および端面形状は同じにしてその長さだけを変更することで得ることができ、チェーン径方向オフセットは、ピン端面のクラウニング加工の中心を所要方向にずらすことで得ることができる。チェーン径方向オフセットが相対的に内方にあるピンの接触位置は、ピンの中心(オフセット0)またはピンのほぼ中心(オフセットほぼ0)とされることが好ましい。
転がり接触面の曲率半径が相対的に大と相対的に小とでは、相対的に大のものがより多く使用され、長さが相対的に長と相対的に短のものでは、相対的に長のものがより多く使用され、チェーン径方向オフセットが相対的に内方と相対的に外方のものでは、相対的に内方のものがより多く使用される。
従来、ピン形状に関して、転がり接触面の曲率半径が相対的に大と相対的に小、長さが相対的に長と相対的に短およびチェーン径方向オフセットが相対的に内方と相対的に外方のうち、少なくとも1つの組合せが使用されており、これらのピンがランダムに配列されている。従来のランダム配列は、「ランダム」という点から、相対的に数が少ない方のピンであっても、ある箇所では連続して配置されるようになっていた。しかしながら、多角形振動に着目して解析を行ったところ、相対的にインボリュート基礎円半径小のピンの連続、相対的に短いピンの連続およびチェーン径方向オフセットが相対的に外方のピンの連続は、多角形振動増加の要因となることが判明した。そこで、この発明においては、このような多角形振動増加要因となるピンの連続が排除されており、これにより、ランダム化による1次ピーク低減効果を維持しつつ、多角形振動が低減されている。
なお、ピッチ長に関して、ピッチ長小のリンクとピッチ長大のリンクが使用され、リンクのピッチ長が2種類とされることで、1次ピークがより一層低減される。
第1ピンおよび第2ピンのうちの一方は、一のリンクの前挿通部の前側部分に設けられたピン固定部に固定されかつ他のリンクの後挿通部の前側部分に設けられたピン可動部に移動可能に嵌め入れられ、同他方は、一のリンクの前挿通部の後側部分に設けられたピン可動部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部の後側部分に設けられたピン固定部に固定されていることが好ましい。
ピン固定部へのピンの固定は、例えば、機械的圧入によるピン固定部内縁とピン外周面との嵌合固定とされるが、これに代えて、焼き嵌めまたは冷やし嵌めによってもよい。嵌合固定は、ピン固定部の長さ方向に対して直交する部分の縁(上下の縁)で行われるのが好ましい。この嵌合固定の後、予張力付与工程において予張力が付与されることにより、リンクのピン固定部(ピン圧入部)に均等にかつ適正な残留圧縮応力が付与される。
リンクは、例えば、ばね鋼や炭素工具鋼製とされる。リンクの材質は、ばね鋼や炭素工具鋼に限られるものではなく、軸受鋼などの他の鋼でももちろんよい。リンクは、前後挿通部がそれぞれ独立の貫通孔(柱有りリンク)とされていてもよく、前後挿通部が1つの貫通孔(柱無しリンク)とされていてもよい。ピンの材質としては、軸受鋼などの適宜な鋼が使用される。
なお、この明細書において、リンクの長さ方向の一端側を前、同他端側を後としているが、この前後は便宜的なものであり、リンクの長さ方向が前後方向と常に一致することを意味するものではない。
上記の動力伝達チェーンは、いずれか一方のピン(インターピース)が他方のピン(ピン)よりも短くされ、長い方のピンの端面が無段変速機のプーリの円錐状シーブ面に接触し、この接触による摩擦力により動力を伝達するものであることが好ましい。各プーリは、円錐状のシーブ面を有する固定シーブと、固定シーブのシーブ面に対向する円錐状のシーブ面を有する可動シーブとからなり、両シーブのシーブ面間にチェーンを挟持し、可動シーブを油圧アクチュエータによって移動させることにより、無段変速機のシーブ面間距離したがってチェーンの巻き掛け半径が変化し、スムーズな動きで無段の変速を行うことができる。
この発明による動力伝達装置は、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備えたもので、動力伝達チェーンが上記に記載のものとされる。
この動力伝達装置は、自動車等の車両の無段変速機としての使用に好適なものとなる。
この発明の動力伝達チェーンおよび動力伝達装置によると、多角形振動増加要因となるピンの連続(相対的にインボリュート基礎円半径小のピンの連続、相対的に短いピンの連続およびチェーン径方向オフセットが相対的に外方のピンの連続)が排除されており、これにより、ランダム化による1次ピーク低減効果を維持して、多角形振動が低減される。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。以下の説明において、上下は、図2の上下をいうものとする。
図1は、この発明による動力伝達チェーンの一部を示しており、動力伝達チェーン(1)は、チェーン長さ方向に所定間隔をおいて設けられた前後挿通部(12)(13)を有する複数のリンク(11)(21)と、チェーン幅方向に並ぶリンク(11)(21)同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数のピン(第1ピン)(14)およびインターピース(第2ピン)(15)とを備えている。インターピース(15)は、ピン(14)よりも短くなされ、両者は、インターピース(15)が前側に、ピン(14)が後側に配置された状態で対向させられている。
この発明の動力伝達チェーン(1)では、リンク(11)(21)については、図2に示したリンク(11)と図3に示したリンク(21)との2種類が使用されており、ピン(14)の断面形状については、図4(a)に示したものと図4(b)に示したものとの2種類が使用されている。
チェーン(1)は、幅方向同位相の複数のリンクで構成されるリンク列を進行方向(前後方向)に3つ並べて1つのリンクユニットとし、この3列のリンク列からなるリンクユニットを進行方向に複数連結して形成されている。この実施形態では、リンク枚数が9枚のリンク列とリンク枚数が8枚のリンク列2つとが1つのリンクユニットとされている。
図2および図3に示すように、リンク(11)(21)の前挿通部(12)は、ピン(14)が移動可能に嵌め合わせられるピン可動部(16)およびインターピース(15)が固定されるインターピース固定部(17)からなり、後挿通部(13)は、ピン(14)が固定されるピン固定部(18)およびインターピース(15)が移動可能に嵌め合わせられるインターピース可動部(19)からなる。
各ピン(14)は、インターピース(15)に比べて前後方向の幅が広くなされており、インターピース(15)の上下縁部には、各ピン(14)側にのびる突出縁部(15a)(15b)が設けられている。
チェーン幅方向に並ぶリンク(11)(21)を連結するに際しては、一のリンク(11)(21)の前挿通部(12)と他のリンク(11)(21)の後挿通部(13)とが対応するようにリンク(11)(21)同士が重ねられ、ピン(14)が一のリンク(11)(21)の後挿通部(13)に固定されかつ他のリンク(11)(21)の前挿通部(12)に移動可能に嵌め合わせられ、インターピース(15)が一のリンク(11)(21)の後挿通部(13)に移動可能に嵌め合わせられかつ他のリンク(11)(21)の前挿通部(12)に固定される。そして、このピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動することにより、リンク(11)(21)同士の長さ方向(前後方向)の屈曲が可能とされる。
リンク(11)(21)のピン固定部(18)とインターピース可動部(19)との境界部分には、インターピース可動部(19)の上下の凹円弧状案内部(19a)(19b)にそれぞれ連なりピン固定部(18)に固定されているピン(14)を保持する上下の凸円弧状保持部(18a)(18b)が設けられている。同様に、インターピース固定部(17)とピン可動部(16)との境界部分には、ピン可動部(16)の上下の凹円弧状案内部(16a)(16b)にそれぞれ連なりインターピース固定部(17)に固定されているインターピース(15)を保持する上下の凸円弧状保持部(17a)(17b)が設けられている。
ピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡は、円のインボリュートとされており、この実施形態では、ピン(14)の転がり接触面(14a)が、断面において半径Rb、中心Mの基礎円を持つインボリュート曲線とされ、インターピース(15)の転がり接触面(15c)が平坦面(断面形状が直線)とされている。これにより、各リンク(11)(21)がチェーン(1)の直線領域から曲線領域へまたは曲線領域から直線領域へと移行する際、前挿通部(12)においては、ピン(14)が固定状態のインターピース(15)に対してその転がり接触面(14a)がインターピース(15)の転がり接触面(15c)に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながらピン可動部(16)内を移動し、後挿通部(13)においては、インターピース(15)がインターピース可動部(19)内を固定状態のピン(14)に対してその転がり接触面(15c)がピン(14)の転がり接触面(14a)に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながら移動する。
この動力伝達チェーン(1)では、ピンの上下移動の繰り返しにより、多角形振動が生じ、これが騒音の要因となるが、ピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動しかつピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡が円のインボリュートとされていることにより、ピンおよびインターピースの接触面がともに円弧面である場合などと比べて、振動を小さくすることができ、騒音を低減することができる。
より一層の騒音および振動の低減のためには、形状が異なる2種類以上のリンク(11)(21)やピン(14)をランダムに配列することが好ましく、これにより、打音発生の周期がずれて、音のエネルギーが異なる周波数帯に分散され、音圧レベルのピークが低減される。
図2および図3において、符号AおよびBで示す箇所は、チェーン(1)の直線領域においてピン(14)とインターピース(15)とが接触している線(断面では点)であり、AB間の距離がピッチ長である。図2のリンク(11)に対して、AB間の距離(ピッチ長)を大きくしたものが、図3のリンク(21)となっており、リンク(11)(21)については、ピッチ長小のものと大のものとが使用されている。
図4において、ピン(14)のインボリュート曲線の基礎円半径Rbについて、図4(a)に示すインボリュート曲線の基礎円半径Rbが大きいものと図4(b)に示すインボリュート曲線の基礎円半径Rbが小さいものとの2種類が使用されている。これら2種類のピン(14)は、図2のピッチ長が小さいリンク(11)および図3のピッチ長が大きいリンク(21)のいずれにも挿通可能であり、リンク(11)のピッチ長2種類とピン形状2種類とを組み合わせることで、4種類の組合せが可能となっている。なお、ピッチ長小のリンク(11)およびインボリュート曲線の半径Rbが大きいピン(14)の方が基準となっており、ピッチ長大のリンク(21)およびインボリュート曲線の半径Rbが小さいピン(14)に比べて、より多く使用されている。
図4(a)において、●で示されているオフセット大および小は、プーリ(2)(3)との接触位置に関し、チェーン径方向オフセットが相対的に内方にあるもの(オフセット小)と相対的に外方にあるもの(オフセット大)を示している。ピン(14)形状に関しては、基礎円半径Rb大および小だけでなく、内方オフセット(オフセット小)および外方オフセット(オフセット大)のものも必要に応じて使用される。また、図示省略するが、断面形状および端面形状が同じであって、長さだけが異なる相対的に長いピン(14)と相対的に短いピン(14)も必要に応じて使用される。
図5は、ピン(14)の配列の例を示すもので、ピンNo.1は基礎円半径Rb大を、ピンNo.2はRb小を示している。ピン(14)の配列に着目した場合、従来のランダム配列では、相対的に数が少ない方のピンRb小であっても、ある箇所では2本以上連続して配置されるようになっていた。しかしながら、多角形振動に着目して解析を行ったところ、インボリュート基礎円半径Rb小のピン(14)の連続は、多角形振動増加の要因となることが判明した。すなわち、図5(a)において、配列No.4〜6には、ピンNo.2で示すRb小のピン(14)が3本連続して配置されており、このような配列は、NG配列となる。この場合、配列No.5のピンNo.2と配列No.8のピンNo.1とを入れ替えて、図5(b)に示す配列とすることで、各種類のピン(14)の数を変更することなく、多角形振動増加要因となるピンの連続を排除することができる。この結果、図5(b)に示す配列は、ランダム化による1次ピーク低減効果を維持しつつ、多角形振動が低減されたOK配列となる。なお、ピンNo.2で示すRb小のピンが連続する本数が2本であってもNG配列である。
図5において、ピンNo.1は長いピンを、ピンNo.2は短いピンを示しているとしても、上記と同様に、ピンNo.2の連続する配列を避けることで、ランダム化による1次ピーク低減効果を維持しつつ、多角形振動が低減されたOK配列とすることができる。同様に、ピンNo.1は内方オフセット(オフセット小)を、ピンNo.2は外方オフセット(オフセット大)を示しているとしても、ピンNo.2の連続する配列を避けることで、ランダム化による1次ピーク低減効果を維持しつつ、多角形振動が低減されたOK配列とすることができる。
この動力伝達チェーン(1)は、図7に示すV型プーリ式CVTで使用されるが、この際、図6に示すように、プーリ軸(2e)を有するプーリ(2)の固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)の各円錐状シーブ面(2c)(2d)にインターピース(15)の端面が接触しない状態で、ドライブピン(14)の端面がプーリ(2)の円錐状シーブ面(2c)(2d)に接触し、この接触による摩擦力により動力が伝達される。
実線で示した位置にあるドライブプーリ(2)の可動シーブ(2b)を固定シーブ(2a)に対して接近・離隔させると、ドライブプーリ(2)における巻き掛け径は、同図に鎖線で示すように、接近時には大きく、離隔時には小さくなる。ドリブンプーリ(3)では、図示省略するが、その可動シーブがドライブプーリ(2)の可動シーブ(2b)とは逆向きに移動し、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が大きくなると、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が小さくなり、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が小さくなると、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が大きくなる。この結果、変速比が1:1である状態(初期値)を基準にして、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が最小で、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が最大であるU/D(アンダードライブ)状態が得られ、また、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が最大で、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が最小のO/D(オーバードライブ)状態が得られる。
図1は、この発明による動力伝達チェーンの1実施形態の一部を示す平面図である。 図2は、リンク、ピンおよびインターピースの基準形状を示す拡大側面図である。 図3は、異なるピッチ長のリンクの形状を示す拡大側面図である。 図4は、異なる形状のピンを示す拡大側面図である。 図5(a)は、従来の配列の1例を示し、図5(b)は、この発明による配列の1例を示している。 図6は、動力伝達チェーンがプーリに取り付けられた状態を示す正面図である。 図7は、無段変速機を示す斜視図である。
符号の説明
(1) 動力伝達チェーン
(2)(3) プーリ
(2a)(3b) 固定シーブ
(2b)(3a) 可動シーブ
(2c)(2d) 円錐状シーブ面
(11) リンク(ピッチ長小のリンク)
(12) 前挿通部
(13) 後挿通部
(14) ピン(第1ピン)
(15) インターピース(第2ピン)
(21) リンク(ピッチ長大のリンク)

Claims (2)

  1. ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされるとともに、プーリへの噛み込みタイミングをずらすために形状が異なるピンが使用されている動力伝達チェーンにおいて、
    ピン形状に関して、転がり接触面の曲率半径が相対的に大と相対的に小、チェーン幅方向の長さが相対的に長と相対的に短およびピン端面とプーリとの接触位置のチェーン径方向オフセットが相対的に内方と相対的に外方のうち、少なくとも1つの組合せが使用されており、転がり接触面の曲率半径が相対的に小さいピンを連続させない、相対的に短いピンを連続させないおよびチェーン径方向オフセットが相対的に外方のピンを連続させないようになされていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  2. 円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備え、動力伝達チェーンが請求項1の動力伝達装置。
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