JP4958799B2 - 液相芳香族アルキル化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガソリン沸点範囲モーター燃料を、軽質オレフィンと芳香族炭化水素との液相反応によって製造するための方法に関する。
関連出願の相互参照
この出願は、米国仮特許出願第60/656,946号明細書(「液相芳香族アルキル化プロセス(Liquid Phase Aromatics Alkylation Process)」、2005年2月28日出願)を優先権主張するものである。
この出願は、同日出願の同時係属米国特許出願第 号明細書、同時係属米国特許出願第 号明細書、同時係属米国特許出願第 号明細書、および同時係属米国特許出願第 号明細書に関連する。これはそれぞれ、米国仮特許出願第60/656,954号明細書(「オレフィンの重合によるガソリンの製造(Gasoline Production By Olefin Polymerization)」、2005年2月28日出願)、米国仮特許出願第60/656,955号明細書(「ベンゼン含有量が低減された高オクタン価ガソリンの製造プロセス(Process for Making High Octane Gasoline with Reduced Benzene Content)」、2005年2月28日出願)、米国仮特許出願第60/656,945号明細書(「気相芳香族アルキル化プロセス(Liquid Phase Aromatics Alkylation Process)」、2005年2月28日出願)、および米国仮特許出願第60/656,947号明細書(「オレフィンの品質向上プロセス(Olefins Upgrading Process)」、2005年2月28日出願)を優先権主張するものである。それらがこの出願に引用される際には、上記の出願が、次に記載される組み合わされた統合された方法をさらに詳述するのに引用される。
近年、環境法制により、石油モーター燃料に許容可能なベンゼンの量が制限されている。これらの規制は、製油所の運転に、実質的な変化をもたらしている。これらの規制にしたがって、いくつかの製油所は、C化合物を、改質装置の原料から排除して、そのためにベンゼンの製造が、直接に回避されている。別の提案は、ベンゼンを、それが形成された後に、スルホランプロセスまたはUDEXプロセスなどの芳香族抽出プロセスによって、改質油から除去することである。石油化学プラントに付随される芳香族抽出装置と良好に統合された製油所は、通常、抽出されたベンゼンを石油化学用途へ転用することによって、ベンゼンの制限に適合する能力を有する。しかし、製油所のベンゼン規格を、石油化学の設備能力なしに満足することは、より困難である。抽出されたベンゼンを、製品として、石油化学製品の購買者へ販売することは、しばしば任意であるものの、それは、より多くの価値をそれに加えるであろう製造者にとって、生成物を失うという欠点を有する。いくつかの場合には、輸送は、有害物質として分類される化学物質のバルク出荷を取扱うという点で、それ自体の問題を示してもよい。
ベンゼンの除去は、しかし、生成物のオクタン価品質の減少を伴う。何故なら、ベンゼンおよび他の単環芳香族は、生成物のオクタン価に対して正の寄与を為すことからである。あるプロセスは、芳香族含有製油所ストリーム中のベンゼンを、トルエンおよびエチルベンゼンなどのより毒性の少ないアルキル芳香族へ転化することを提案されている。これは、それ自体、高オクタン価の混合成分として望ましい。このタイプの一プロセスは、モービルベンゼン低減(MBR)プロセスであった。これは、密接に関連するMOGプロセスのように、流動化ゼオライト触媒を、ライザー反応器内で用いて、改質油中のベンゼンがアルキル化され、トルエンなどのアルキル芳香族が形成された。MBRおよびMOGプロセスは、(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、および(特許文献4)に記載される。
石油化学の原料材のための好都合な出力がない石油製油所に面する他の問題は、過剰な軽質オレフィンの問題である。1930年代初頭の石油精製における接触分解プロセスの導入に続いて、多量のオレフィン、特にエチレン、プロピレン、ブチレンなどの軽質オレフィンが、製油所の接触分解プラントから、おびただしい量で入手可能になった。これらのオレフィンは、極めて、石油化学原料材として有用であるものの、石油化学の設備能力がないか、またはこれらのオレフィンに対する経済的に魅力的かつ好都合な市場がない製油所は、過剰な軽質オレフィンを、実質的な経済的な損失の下に燃料ガスで使用するか、または別に、オレフィンを、市場性の高い液体生成物へ転化しなければならないであろう。液体モーター燃料を、分解のオフガスから製造するための多数の異なる重合プロセスが、接触分解プロセスの出現に続いて開発された。しかし、現在では、固体リン酸[SPA]重合プロセスが、モーターガソリンを製造するための最も重要な製油所重合プロセスとして残っている。このプロセスは、しかし、それ自体の欠点を有する。第一に、原料の水含有量を、厳密に制御することが必要である点である。何故なら、限定された水含有量が触媒活性に必要とされるものの、触媒は、過剰な水の存在下には軟化し、そのために反応器が、固形の石様物質(ドリリングまたは他の困難な操作なしに除去することが困難である)によって閉塞してもよいからである。逆に、原料が、乾燥し過ぎている場合には、コークが、触媒上に析出し易く、その活性が減少され、かつ反応器を横切る圧力損失が増大される。環境規制はまた、これらの統合されていない製油所からの分解オレフィンの廃棄に影響を及ぼしている。何故なら、モーターガソリンの許容可能な蒸気圧(通常、リード蒸気圧(RVP)として測定される)が、特に燃料の揮発性の問題が最も注目される夏のドライブシーズンに、制限されるからである。これは、潜在的には、さらなるオレフィン利用の設備能力の必要性をもたらす。
ベンゼンまたは過剰な軽質オレフィンに対して、それら自身の石油化学プラントまたは用意された市場を有しない製油所は、したがって、二つの異なる方向からの問題に直面する。これらのプラントについては、過剰なオレフィン、およびベンゼンが、市場性の高い生成物へ転化されることを可能にするであろうプロセスが望まれるであろう。
流動床MBRプロセスは、形状選択性メタロシリケート触媒、好ましくはZSM−5を用いて、ベンゼンが、アルキル芳香族へ転化される。これは、FCCまたはコーカーの燃料ガス、過剰のLPG、もしくは軽質FCCナフサなどの素材からのオレフィンを用いる。通常、MBRプロセスは、ベンゼンに対するアルキル化剤としての軽質オレフィンに基づいて、アルキル芳香族(特にC〜C範囲)が製造される。ベンゼンは、転化され、軽質オレフィンはまた、オクタン価の増大と同時に、ガソリンへ品質向上される。軽質FCCナフサオレフィンの転化はまた、ガソリンのオレフィン含有量および蒸気圧の実質的な減少をもたらす。MBRの収率−オクタン価の向上は、それを、数少ないガソリン再処方プロセス(実際に、石油精製においては経済的に好都合である)の一つにする。
MOGプロセスのように、しかし、MBRプロセスは、かなりの設備投資を必要とし、その要因から、その広範な用途は、厳しい精製の粗利の時代には好都合でなかった。MBRプロセスはまた、より高い温度を用い、C+収率およびオクタン価は、ある場合には、広範な使用に好都合でない他の要因に悪影響を及ぼされることができた。他の製油所プロセスはまた、過剰な製油所オレフィン、およびガソリンの問題を取扱うことを提案している。すなわち、この種のプロセスは、しばしば、ベンゼンを、オレフィン、またはメタノールなどの他のアルキル化剤でアルキル化することによって機能して、毒性がより少ないアルキル芳香族前駆体が形成されている。この種の例示的プロセスは、(特許文献5)、(特許文献6)、(特許文献7)、(特許文献8)、(特許文献9)、(特許文献10)、および(特許文献11)に記載される。
これらの知られたプロセスは、技術的に魅力的であるものの、それらは、MOGおよびMBRプロセスのように、多かれ少なかれ、いくらかの設備投資を必要とするという欠点に直面している。その要因から、現環境では、それらは、強度に妨げられる。
これらの理由から、比較的低い設備コストで設備化されることができ、かつベンゼン(または他の芳香族)をオレフィンでアルキル化する設備能力を有する製油所プロセスは、ガソリンのベンゼン規格を満足し、モーター燃料の容積を高オクタン価のアルキル芳香族化合物により増大し、現プラントの設備環境で経済的に許容可能であるのに好都合であろう。いくつかの製油所については、C/Cオレフィンの反応除去は、燃料ガスの能力限界を緩和することができた。これらのプロセスは、次を為すであろう。すなわち、
およびCオレフィンを、燃料ガスから高オクタン価混合ガソリンへ品質向上すること、
製油所運転の柔軟性を増大して、ガソリン混合プール中のベンゼン含有量が制御されること、
ベンゼン問題を有する製油所が、C成分(低い混合オクタン価)を改質装置へ供給することを可能にし、改質装置からの水素製造および混合プールのオクタン価の両方が増大され、改質装置で製造されるベンゼンは、除去されて、ガソリン生成物の規格が満足されるであろうこと、および
オレフィンを燃料ガスから除去することによって、燃料系設備の能力が増大される可能性を有し、いくつかの製油所については、この利点は、いくつかのキーとなる製油所プロセス(FCC、水素化分解装置、コーカー等)における過酷度の増大を可能にすることができること
である。
資本コストを低く維持することの必要性は、明らかに、MOGおよびMBRなどの流動床タイプの運転より、固定床接触装置に好都合である。固定床の芳香族アルキル化プロセスは、商業規模での使用を、石油化学分野において達成している。モービルオイル社(Mobil Oil Corporation)によって最初に使用許諾され、現在はエクソンモービル化学社(ExxonMobil Chemical Company)によって使用許諾されるクメンプロセス(Cumene Process)は、低設備コストのプロセスである。これは、固定床のゼオライトアルキル化/アルキル交換触媒を用いて、製油所プロピレンがベンゼンと反応され、石油化学グレードのクメンが製造される。種々のモレキュラーシーブ触媒を用いるクメン製造のためのプロセスは、特許文献に記載される。例えば、(特許文献12)は、石油化学クメンを、固定床のZSM−12触媒を用いて、製油所ベンゼンおよびプロピレンから製造するためのプロセスを記載する。(特許文献13)および(特許文献14)はまた、クメンを、ZSM−12触媒を用いて、製油所ベンゼンおよびプロピレンから製造するプロセスを記載する。クメン製造のために他のモレキュラーシーブ触媒を用いることは、他の特許に記載されている。すなわち、(特許文献15)は、ゼオライトベータ触媒を用いることを記載し、(特許文献16)は、シーブ物質SSZ−25を含む触媒を用いることを記載し、(特許文献17)は、シーブ物質MCM−49を含む触媒を、ベンゼンによるジイソプロピルベンゼンのアルキル交換で用いることを記載し、(特許文献18)は、シーブ物質MCM−36を含む触媒を用いて、キシレン500ppm未満を含む石油化学グレードのクメンが製造されることを記載する。
上記に引用されるものなどの石油化学アルキル化プロセスは、石油化学の設備能力なしに、直接に、石油製油所で用いるのに役立たない。何故なら、それらは、純粋な原料を必要とし、その生成物は、燃料の製造で必要とされるより、はるかに純粋であるからである。加えて、他の問題が、統合されていない小中サイズの製油所での使用に対して魅力的であるモーターガソリンの製造プロセスを考案することに関連して生じる場合がある。一つのこれらの問題は、分解装置からのオレフィンである。これは、より高級なオレフィンに加えて、エチレンおよびプロピレンを含む。いかなるプロセスも、経済的に魅力的である場合には、それが、最も軽質のオレフィンの両方を消費することが必要である。プロピレンは、エチレンより反応性があり、エチレンが反応して(アルキル交換または不均化により)エチルベンゼンまたはキシレンを形成するであろうより低い温度でベンゼンと反応することによって、クメンを形成するであろう。この理由により、既存のプロセス技術では、FCCUからの混合オレフィン原料を用いて、エチレンおよびプロピレンをプロセス内で同等に用いることは可能でない。改良されたエチレンの使用は、原則として、より高温の運転によって達成されることができるであろうものの、プロピレン/ベンゼン反応の熱力学的平衡は、約260℃(500゜F)超の温度で、クメンから離れて転じ、結果的にこの生成物を減損する。
同時係属中の(特許文献19)(米国仮特許出願第60/656,945号明細書「気相芳香族アルキル化プロセス」の優先権を主張する)においては、ベンゼンを含む軽質製油所芳香族ストリームを、FCC不飽和ガスプラント(USGP)からの軽質オレフィン(エチレン、プロピレン)でアルキル化するためのプロセスが記載される。その出願に記載されるプロセスは、エチレンおよびプロピレンの異なる反応性を、二つの異なる触媒により、オレフィンにそれぞれ適した条件下で反応させることによって用いるという目的を有する。このように、エチレンおよびプロピレンの両者の転化は、確実なベンゼンの転化により最適化される。そのプロセスは、気相で、約350℃(約660゜F)の高い温度で作動する。これにより、より低い温度で作動することができるプロセスに比べて、いくらかの余分の経済的な不利益が課せられる。加えて、気相運転に伴うより大きな容積は、より小さな容積の既存装置(このプロセスへ転換される)の装置能力を限定させてもよい。したがって、より密な液相で、低温で作動するプロセスを提供することが望ましいであろう。
米国特許第4,827,069号明細書 米国特許第4,950,387号明細書 米国特許第4,992,607号明細書 米国特許第4,746,762号明細書 米国特許第4,950,823号明細書 米国特許第4,975,179号明細書 米国特許第5,414,172号明細書 米国特許第5,545,788号明細書 米国特許第5,336,820号明細書 米国特許第5,491,270号明細書 米国特許第5,865,986号明細書 米国特許第3,755,483号明細書 米国特許第4,393,262号明細書 米国特許第 号明細書 米国特許第4,891,458号明細書 米国特許第5,149,894号明細書 米国特許第5,371,310号明細書 米国特許第5,258,565号明細書 米国特許出願第 号明細書 米国特許第4,954,325号明細書 米国特許第5,250,777号明細書 米国特許第5,284,643号明細書 米国特許第5,382,742号明細書 米国特許第5,236,575号明細書 米国特許第5,229,341号明細書 米国特許第5,362,697号明細書 米国特許第4992606号明細書 米国特許第3,751,504号明細書 米国特許第4,547,605号明細書 米国特許第4,016,218号明細書 米国特許第4,962,256号明細書 米国特許第4,992,606号明細書 米国特許第4,954,663号明細書 米国特許第5,001,295号明細書 米国特許第5,043,501号明細書 米国特許第5,334,795号明細書 米国特許第4,908,120号明細書 米国特許第4,582,815号明細書 レオノビッツ(Leonovicz)ら著「Science」(第264号、第1910〜1913頁、1994年) ロボ(Lobo)ら著「AIChE年次総会(AIChE Annual Meeting)1999年」(論文292J) ブレック(Breck)著「ゼオライトモレキュラーシーブ(Zeolite Molecular Sieves)」(特に第8章、1974年) アンダーソン(Anderson)ら著「J.Catalysis」(第58巻,第114頁、1979年) 「J.Catalysis」(第VI巻、第278〜287頁、1966年)
ここで、分解装置(FCCU)からの軽質製油所オレフィンが、製油所素材からのベンゼンをアルキル化してガソリン沸点範囲生成物が製造されるのに用いられることを可能にする方法が考案された。該方法は、不飽和ガスプラント(USGP)からの混合オレフィン原料中に存在するエチレンおよびプロピレンの両者を良好に用い、一方これらの両オレフィンを用いるのに好ましい条件下で運転される。したがって、本方法は、製油所が、ガソリンのベンゼン規格にしたがい、一方FCCUからの混合オレフィンを良好に利用することを可能にする。該方法は、ほんの限定された資本支出を必要とする固定床プロセスとして運転され、したがって小中サイズの製油所で実施するのに、極めて適切である。事実、比較的低圧法であることから、それは、既存の低圧装置において、最小量の修正で運転されてもよい。
本発明にしたがって、エチレンおよびプロピレンを含む軽質オレフィンは、FCCUのオフガスから、ベンゼンまたは他の単環芳香族化合物(例えば、キシレン)を含む改質油などの軽質芳香族ストリームを抽出剤として用いて抽出される。溶解されたオレフィンの溶液は、次いで、固定床反応器へ送られ、そこでストリーム中の芳香族は、オレフィンと、液相反応でアルキル化されて、アルキル芳香族を含むガソリン沸点範囲[C+〜200℃][C+〜400゜F]の生成物が製造される。反応は、ゼオライトのMWW系のものを含む触媒の存在下に行われる。
プロセスの形態
オレフィンアルキル化装置の概略図を、図1に簡易形態で示す。流動接触分解装置(FCCU)からのオフガスのストリームは、軽質混合オレフィン、典型的にはCおよびCオレフィン(エチレンおよびプロピレン)を、Cオレフィンおよびパラフィン、同様に軽質パラフィン(メタン、エタン、プロパン)と共に含むが、これは、ライン11を通って吸収装置10に導かれ、そこでそれは、ライン12を通って入るベンゼンを含む軽質芳香族ストリームと接触される。吸収装置においては、液体芳香族ストリームは、オレフィンを、FCCのオフガスから選択的に収着する。芳香族ストリームによって収着されないFCCのオフガス中の成分、主に軽質パラフィンのメタン、エタン、プロパン、およびブタンは、ライン13を通って吸収装置から送出され、製油所燃料ガスとして用いられることができる。混合オレフィン/ベンゼン供給物は、加熱器14へ、次いで保護床反応器15aへ送られる。保護床は、二つの床(15a、15b)を用いるスイングサイクルで運転されてもよく、一方の床は、汚染物除去のために通油で用いられ、他方は、従来の方法での再生で用いられる。所望により、三床の保護床系が用いられてもよく、二つの床が、直列で、汚染物の除去に用いられ、第三の床が再生に用いられる。低い汚染物レベルを二段直列の収着によって達成するのに用いられる三床保護系により、床は、三工程サイクル(再生、第二の床の収着、第一の床の収着)を逐次に経るであろう。
保護床から、オレフィンおよび改質油の反応混合物は、アルキル化反応器20へ送られ、そこで混合オレフィン原料は、ベンゼンおよび他の単環芳香族と、アルキル化触媒の固定床により反応されて、所望のアルキル芳香族生成物が形成される。アルキレート生成物は、ライン21を通って分留装置22へ送られ、そこでそれは、アルキル化反応からの軽質エンド(主に軽質パラフィン副生物)、およびガソリン沸点範囲の所望のアルキル芳香族留分に分離される。
アルキル化反応は、液相で、比較的穏やかな温度で行われ、希釈またはクウェンチは、通常、熱放出を処するのに必要とされない。したがって、装置は簡単であり、反応器を通して送られる希釈材なしに、反応器能力の完全な使用が達成される。この反応工程に好ましい種類のアルキル化触媒は、次に記載されるように、MWWゼオライトに基づく。
保護床で用いられる触媒は、通常、運転の便宜上、アルキル化反応器で用いられると同じ触媒であろう。しかし、これは、必要とされない。すなわち、所望により、汚染物を原料から除去するための他の触媒または収着剤が、用いられてもよい。典型的には、より安価な保護床収着剤(例えば、他のプロセスからの使用済み触媒、またはアルミナ収着剤)である。保護床の目的は、汚染物を、原料が反応触媒に来る前に原料から除去することである。これが達成される条件で、保護床触媒およびこの終了に有用な条件に関して、幅広い種類の選択がある。
オレフィン原料
本方法の原料として用いられる軽質オレフィンは、通常、石油原料材を接触分解して、ガソリンが主生成物として製造されることによって得られる。接触分解プロセス(通常、流動接触分解(FCC)の形態にある)は、十分に確立されており、周知のように、大量の軽質オレフィン、同様にオレフィン質ガソリン、およびサイクル油などの副生成物(それ自体、さらなる精製運転に付される)を製造する。本方法で主として有用なオレフィンは、エチレン〜ブテンのより軽質なオレフィンである。すなわち、オクテン未満のより重質のオレフィンはまた、処理の際に含まれてもよいものの、それらは、一般に、ガソリン生成物中に直接に組込まれることができ、その際それらは、オクタン価に対して価値のある寄与を為す。本方法は、それが、ブテンおよびプロピレンのみでなく、エチレンを用いても容易に作動し、したがってこの分解副生成物を、所望のガソリン生成物へ転化するための価値のある方法を提供するという点で、非常に有利である。この理由から、同様に製油所における大量なそれらの容易な入手可能性から、FCCのオフガスストリームなどの混合オレフィンストリーム(典型的には、エチレン、プロピレン、およびブテンを含む)が用いられてもよい。分解プロセスからのCおよびCオレフィン留分の転化は、沸点およびオクタン価の観点から、ガソリンにとって極めて望ましい分枝鎖C、C、およびC生成物への直接的な経路を提供する。FCC装置のほかに、混合オレフィンストリームは、コーカー、ビスブレーキング装置、および熱分解装置を含む他のプロセスから得られてもよい。これらのストリームのいくつかに見出されてもよいジオレフィンの存在は、不利ではない。何故なら、ゼオライトのMWW系の触媒は、多くの従来のゼオライトのようなその内部の細孔構造内よりむしろ、表面部位で起こり、そのために細孔の閉塞は、触媒的にあまり問題でないからである。プロセス条件を適切に調整することにより、エチレン(通常、その直接の同族体よりあまり反応性でない)が原料中に含まれる場合には、共縮合生成物が生成されることが可能にされるであろう。二つの典型的なFCCガスストリームの組成を、次の表1および表2に示す。表1は、軽質FCCガスストリームを示し、表2は、エチレンが、製油所燃料システムで用いるためのガスプラントにおいて、除去されているストリームである。
Figure 0004958799
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本方法で用いられる触媒は、頑強であるものの、それらは、ある汚染物(従来のゼオライト不活性化剤)、特に塩基性窒素を有する有機化合物、同様に硫黄含有有機物に対して敏感である。したがって、これらの物質を、長期の触媒寿命が期待されるべきである場合には、装置に入る前に除去することが好ましい。カセイアルカリ、MEA、もしくは他のアミン、または水性洗浄液などの汚染物除去洗浄剤を用いて洗浄することにより、通常、硫黄レベルが、許容可能なレベル約10〜20ppmwへ、および窒素が、それが容易に許容可能であることができる痕跡レベルへ低減されるであろう。本方法について一つの魅力的な特徴は、それが、水に対して過度に敏感ではなく、反応器に入ってくる水を制御することが、それがSPA装置内にあるより必要とされないことである。SPAとは違って、ゼオライト触媒は、活性を維持するのに水の存在を必要とせず、したがって原料は、装置に入る前に乾燥されてもよい。従来のSPA装置においては、水含有量は、典型的には、適切な活性のために300〜500ppmwで維持されるのに、一方同時に触媒の完全性が維持されるのに必要である。本ゼオライト触媒は、しかし、約800ppmw超のレベルが、活性を低減してもよいものの、温度により、約1,000ppmw未満の水を容易に許容してもよい。
芳香族原料
軽質オレフィン原料に加えて、ベンゼンを含む芳香族ストリームが、上記されるように、プロセスに供給される。このストリームは、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン(クメン)、およびキシレンなどのアルキル芳香族を含む他の単環芳香族化合物を含んでもよい。付随される石油化学の設備能力を有する精油所においては、これらのアルキル芳香族は、通常、化学物質としてのより高い価値の使用のために除去されるであろう。または、別に、これは、そのような使用のために別々に販売されてもよい。それらは、既に、ベンゼンより毒性が少ないとみなされることから、芳香族原料ストリーム中にそれらが包含されることに対して環境要求はない。しかし等しく、条件が、ガソリン範囲外にあるか、またはガソリン中に望ましくないより高級のアルキル芳香族(例えば、デュレン)の生成をもたらさない限り、その存在に対する不利益はない。このストリーム中のベンゼンの量は、主に、その素材および処理履歴によって支配される。しかし、殆どの場合には、最小でもベンゼン12体積%が、より典型的であり、より特定的には約20体積%〜60体積%であるものの、典型的には、ベンゼン少なくとも約5体積%を含むであろう。通常、このストリームの主な素材は、改質装置からのストリームであろう。これは、軽質芳香族の簡易素材である。改質油ストリームは、全範囲改質油、軽質カット改質油、重質改質油、またはハートカット改質油であってもよい。これらの留分は、典型的には、より少量のより軽質の炭化水素(典型的には、Cおよびより低級の炭化水素約10%未満)、および少量のより重質の炭化水素(典型的には、C+炭化水素約15%未満)を含む。これらの改質油原料は、通常改質前に脱硫に付されていることから、通常、非常に少量の硫黄を含む。そのために、本方法で形成されて得られるガソリン生成物は、現在の硫黄規格にしたがうのに、許容可能な低レベルの硫黄を含む。
改質油ストリームは、典型的には、固定床、スイング床、または移動床の改質装置から来るであろう。最も有用な改質油留分は、ハートカット改質油である。これは、好ましくは、狭沸点範囲を有する改質油である。すなわち、CまたはC/C留分である。この留分は、脱ペンタン装置のカラムから下流の脱ヘキサン装置のカラムのオーバーヘッドとして回収される炭化水素の複合混合物である。組成は、多数の要因によって、範囲に亘って異なるであろう。これには、改質装置における運転の過酷度、および改質装置の原料の組成が含まれる。これらのストリームは、通常、脱ペンタン装置および脱ブタン装置で除去されるC、C、およびより低級の炭化水素を有するであろう。したがって、通常、ハートカット改質油は、C炭化水素(芳香族および非芳香族)少なくとも70重量%、好ましくはC炭化水素少なくとも90重量%を含むであろう。
芳香族のベンゼンリッチ原料の他の素材には、軽質FCCナフサ、コーカーナフサ、または熱分解ガソリンが含まれる。しかし、芳香族のこれらの他の素材は、通常の精油所運転では、あまり重要または有意でないであろう。
沸点範囲によって、これらのベンゼンリッチ留分は、通常、約120℃(250°F)の終点、好ましくは約110℃(230°F)以下の終点によって特徴付けられることができる。好ましくは、沸点範囲は、40℃〜100℃(100°F〜212°F)に入る。より好ましくは65℃〜95℃(150°F〜200°F)の範囲、さらにより好ましくは70℃〜95℃(160°F〜200°F)の範囲である。
二つの典型的なハートカット改質油ストリームの組成を、次の表2および3に示す。表3に示される改質油は、比較的よりパラフィン質のカットであるが、それにも係らず、表2のカットより多いベンゼンを含むものである。それを、本アルキル化プロセスに対する非常に適切な基体にする。
Figure 0004958799
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改質油ストリームは、固定床、スイング床、または移動床の改質装置から来るであろう。最も有用な改質油留分は、ハートカット改質油である。これは、好ましくは、狭沸点範囲を有する改質油である。すなわち、CまたはC/C留分である。この留分は、脱ペンタン装置のカラムから下流の脱ヘキサン装置のカラムのオーバーヘッドとして回収される炭化水素の複合混合物である。組成は、多数の要因によって、範囲に亘って異なるであろう。これには、改質装置における運転の過酷度、および改質装置の原料の組成が含まれる。これらのストリームは、通常、脱ペンタン装置および脱ブタン装置で除去されるC、C、およびより低級の炭化水素を有するであろう。したがって、通常、ハートカット改質油は、C炭化水素少なくとも70重量%、好ましくはC炭化水素少なくとも90重量%を含んでもよい。
芳香族のベンゼンリッチ原料の他の素材には、軽質FCCナフサ、コーカーナフサ、または熱分解ガソリンが含まれる。しかし、芳香族のこれらの他の素材は、通常の精油所運転では、あまり重要または有意でないであろう。
沸点範囲によって、これらのベンゼンリッチ留分は、通常、約120℃(250°F)の終点、好ましくは約110℃(230°F)以下の終点によって特徴付けられることができる。殆どの場合には、沸点範囲は、40℃〜100℃(100°F〜212°F)に入り、通常、65℃〜95℃(150°F〜200°F)の範囲、殆どの場合には70℃〜95℃(160°F〜200°F)の範囲である。
吸収装置
芳香族原料および軽質オレフィンは、吸収装置において互いに接触して送られる。二つの原料の接触は、軽質オレフィンが液体芳香族ストリームに収着されることを促進するように行われる。吸収装置は、典型的には、気/液接触塔である。これは、従来、その内部を互いに通る二層間で、良好な交換を達成するように設計される。これらの塔は、通常、向流の原料流れで作動し、液体は、塔の頂部でリーン溶剤として、その入口から重力によって下方へ送られ、一方ガスは、塔の底部で導入されて、層間の交換を促進するような内部の塔配置(例えば、溝付きトレイ、泡鐘トレイ、構造化パッキング、または他の従来の手段)により、下降する液体と接触して上方へ送られる。収着されたオレフィンを含むリッチ溶剤は、塔の底部から出て、アルキル化反応器に送られる。
オレフィンが芳香族ストリームによって収着される程度は、主に、接触温度および圧力、芳香族ストリーム/オレフィン容積比、二つのストリームの組成、および接触塔の効率によるであろう。一般に、液体原料ストリームによるオレフィンの収着は、より低い温度、より高い圧力、およびより高い液体:オレフィン比によって促進されるであろう。液体ストリームへのオレフィン回収率に対する温度および圧力の効果を、次の表4に簡単に示す。
Figure 0004958799
したがって、上記のものに類似の吸収装置の運転温度および圧力(例えば、温度約100℃または120℃未満、圧力約3500kPag未満(例えば約2000kPag未満))で、オレフィンの回収率50〜90パーセントが、従来の効率の接触装置で期待されることができる。より重質のオレフィンの収着は、殆ど芳香族ストリームで促進され、そのために吸収装置を出る軽質ガスは、比較的、これらの成分に富むであろう。同時係属中の(特許文献19)(米国仮特許出願第60/656,945号明細書(「気相アルキル化プロセス」)の優先権を主張する)に示されるように、プロピレンは、より低温での芳香族アルキル化に対して、エチレンより活性があり、この理由で、プロピレン成分の優先的な収着は、比較的緩やかな条件下で行われる次の液相アルキル化反応に対して好ましい。吸収装置の運転に選択される条件は、したがって、アルキル化反応器へのオレフィンおよび芳香族ストリームの比率に影響を及ぼすであろう。達成される比率は、選択される反応条件下で、芳香族原料中のベンゼンが消費されるのに十分なオレフィンがあるように選択されるべきである。通常、アルキル化工程に必要とされるオレフィン/芳香族比は、0.5:1〜2:1(以下を参照されたい)の範囲にあろうし、吸収装置の条件は、経験的に決定されて、所望の比率が達成されるべきである。
吸収装置から出る未収着オレフィンは、主として、より軽質のオレフィン(主にエチレン)からなるであろう。これは、別のより高温のアルキル化工程(気相で行われる)で用いられることができる。図2に、これを行うための簡略化プロセス概略図を示す。配置は、図1のそれに類似であり、同じ要素は、同じ参照番号によって識別される。図2の場合においては、しかし、吸収装置からの未収着オレフィン流出物は、ライン20を通って吸着装置から出て、次いで加熱器および/または熱交換器21を通って、気相アルキル化反応器22へ送られる。これはまた、さらなる芳香族原料を、ライン23を通って供給される。これは、加熱器/熱交換器24を経て送られ、十分な熱が、反応体を、反応器22におけるアルキル化に必要な温度にするために提供される。反応器22においては、より軽質のオレフィン(主にエチレン)が、芳香族を固定床接触気相反応でアルキル化するのに用いられる。これは、好ましくは、ZSM−5などの中間細孔径のゼオライトを含む触媒により行われる。これは、反応器10における液相反応に好都合なMWWタイプのゼオライトより、エチレンの転化に対して活性がある。アルキル芳香族生成物は、ライン25を経て、反応器22から分留装置16へ送られる。これは、両アルキル化反応器に対して共通の分留装置として資する。
触媒系
本方法の液相アルキル化で用いられる触媒系は、好ましくは、MWW系のゼオライトに基づくものである。何故なら、これらの触媒は、軽質オレフィン(特にプロピレン)を用いる所望の芳香族アルキル化反応に優れた活性を示すからである。しかし、この液相アルキル化に対して、他のモレキュラーシーブ触媒を用いることは可能である。これには、精油所ベンゼンおよびプロピレンからの石油化学クメンの製造のための(特許文献12)および(特許文献13)に記載されるZSM−12に基づく触媒、(特許文献15)に記載されるゼオライトベータに基づく触媒、または(特許文献16)に記載されるSSZ−25に基づく触媒が含まれる。これらは全て、プロピレンによる軽質芳香族のアルキル化に対して活性を有すると報告される。
MWWゼオライト
ゼオライト物質のMWW系は、独特の興味ある触媒特性を示す特徴的な骨格構造を有することが認められている。MWWトポロジーは、二つの独立した細孔系からなる。すなわち、互いに第二の二次元細孔系によって分離されるシヌソイド10員環[10MR]の二次元通路である。これは、互いに、10MR窓により接続される12MRスーパーケージからなる。MWW骨格の結晶系は、六方晶系であり、分子は、ゼオライトの[100]方向に沿って放散する。すなわち、c方向に沿ったつながりは、細孔間にはない。MWWタイプのゼオライトの六方晶系の板状結晶においては、結晶は、c方向に沿って、比較的小さな単位数で形成される。その結果、殆どの触媒活性は、コップ型の空隙の形態の結晶の外側表面上に配置される活性点による。MCM−22などの系のあるものの内部構造においては、コップ型の空隙は、結合して、スーパーケージが形成される。ゼオライトのMCM−22系は、(非特許文献1)によるその最初の発表以来、かなりの科学的注目を引いた。その後の認識では、系には、多数のゼオライト物質(PSH−3、MCM−22、MCM−49、MCM−56、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、およびその他など)が含まれる。(非特許文献2)である。
MCM−22系の種々のものの間の関係は、多数の出版物に記載されている。系の三つの重要なものは、MCM−22、MCM−36、MCM−49、およびMCM−56である。シリカ、アルミナ、ナトリウム、およびヘキサメチレンイミンの素材を含む混合物から、有機テンプレートとして最初に合成される場合には、最初の生成物は、最初の合成混合物のシリカ:アルミナ比によって、MCM−22前駆体またはMCM−56であろう。シリカ:アルミナ比20超では、H結合された垂直配置層を含むMCM−22前駆体が、製造される。但し、MCM−56のランダム配向された非結合層は、より低いシリカ:アルミナ比で製造される。これらの物質はいずれも、柱状化剤を用いることによって、膨潤された物質へ転化されてもよい。焼成時には、これは、MCM−36の積層柱状構造をもたらす。合成されたままのMCM−22前駆体は、直接に、焼成によってMCM−22へ転化されることができる。これは、焼成MCM−49(ランダム配向された合成されたままのMCM−56の結晶化によって得られる中間生成物)と同一である。MCM−49においては、層は、焼成MCM−22/MCM−49物質中に見出されるものより、わずかに大きな層間隔を有して、共有結合で結合される。未合成のMCM−56は、それ自体、焼成されて、焼成MCM−56が形成されてもよい。これは、積層構造よりむしろ、ランダム配向された構造を有して、焼成MCM−22/MCM−49とは異なる。特許文献においては、MCM−22は、(特許文献20)、同様に(特許文献21)、(特許文献22)、および(特許文献23)に記載される。MCM−49は(特許文献24)に、MCM−36は(特許文献25)に、MCM−56は(特許文献26)に記載される。
触媒系のMWW成分として用いるのに好ましいゼオライト物質は、MCM−22である。MCM−22は、新規(すなわち、以前に触媒として用いられていない)で用いられてもよいか、または別に、再生MCM−22が用いられてもよいことが見出されている。再生MCM−22は、それが、適切であると知られる接触プロセスのいかなるものにも用いられた後に用いられてもよい。しかし、本縮合プロセスで非常に効果的であると見出された再生MCM−22の一形態は、以前に、アルキル化およびアルキル交換などの反応を通常に用いて、エチルベンゼンまたはクメンなどの芳香族を製造するのに用いられるMCM−22である。クメンの製造(アルキル化)プロセスは、(特許文献27)(クシュネリック(Kushnerick)ら)に記載される。エチルベンゼンの製造プロセスは、(特許文献28)(キーオン(Keown))、(特許文献29)(クレスギー(Kresge))、および(特許文献30)(ハーグ(Haag))に記載され、(特許文献31)、(特許文献32)、(特許文献33)、(特許文献34)、および(特許文献35)は、PSH−3またはMCM−22などのMWWゼオライトを含む触媒による、種々のアルキル化剤を用いる芳香族化合物のアルキル化を記載する。(特許文献36)は、MCM−22によるエチルベンゼンの液相合成を記載する。
MCM−22触媒は、従来の空気酸化技術によるクメン、エチルベンゼン、および他の芳香族製造プロセスにおける触媒の使用の後に、再生されてもよい。これは、他のゼオライト触媒と共に用いられるのと類似である。
中間細孔径のゼオライト
上記に示されるように、異なる条件を用いて第二のアルキル化工程を行って、オレフィン原料(主にエチレン)のより軽質の部分が、さらなる芳香族原料と反応されることが望ましくてもよい。この場合には、反応は、好ましくは、ZSM−5などの中間細孔径のゼオライトを含む異なるモレキュラーシーブ触媒(エチレン/芳香族のアルキル化に対してより活性がある)を用いて、気相で、より高い温度条件下で行われる。ゼオライトのこの系は、一般に、有効細孔径約0.7nm未満によって、および/または10員環によって形成される結晶構造内の細孔窓によって特徴付けられる。名称「中間細孔径」とは、モレキュラーシーブがH型である場合に、当該ゼオライトが、一般に、約0.5〜0.65nmの範囲の有効細孔開口を示すことを意味する。ゼオライトの有効細孔径は、標準的な吸着技術、および既知の最小動力学的直径を有する化合物を用いて測定されることができる。(非特許文献3)、および(非特許文献4)を参照されたい。
メジウムまたは中間細孔ゼオライトは、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、およびTMA(テトラメチルアンモニウム)オフレタイトの構造を有するゼオライトによって表される。これらの内で、ZSM−5およびZSM−11が、機能的な理由で好ましく、一方ZSM−5は、商業的規模で、多くの供給業者から最も容易に入手可能なものであることから、好ましい。
本方法で用いられる触媒の二つのゼオライト成分の活性は、重要である。ゼオライト触媒の酸活性は、好都合に、(非特許文献5)に記載されるアルファ値の尺度によって定義される。この本文には、ゼオライト触媒は、該出版物に規定される条件下で、ヘキサンと接触され、分解されるヘキサンの量が、測定される。この測定から、触媒を、ヘキサンに対するその分解活性について特徴付ける「アルファ」値が計算される。このアルファ値は、ゼオライトの活性レベルを定義するのに用いられる。本方法の目的に対して、触媒は、アルファ値約1.0超を有するべきである。すなわち、それが、アルファ値約0.5以下を有する場合には、実質的に、ヘキサンを分解する活性がないとみなされるであろう。好ましくはエチレン/芳香族反応に対して用いられるZSM−5タイプの中間細孔径のゼオライトのアルファ値は、好ましくは、少なくとも10、またはそれ超である。例えば、50〜100、またはそれより高くさえある。好ましくは液相反応で用いられるMWWゼオライトのアルファ値は、少なくとも1の値が、認識できるくらいの活性に必要とされる(10を超えるより高い値が好ましい)ものの、あまり重要ではない。
触媒の母材
ゼオライト成分に加えて、触媒は、通常、母材物質または結合剤を含んで、適度な強度が触媒に与えられ、同様に所望の多孔度特性が触媒に提供されるであろう。高活性触媒は、しかし、適切な押出し成形技術(例えば、(特許文献37)に記載される)を用いることによって、結合剤を含まない形態で処方されてもよい。用いられる際には、母材物質には、適切には、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、チタニア、ジルコニア、およびモレキュラーシーブ触媒を処方する際に一般に用いられる他の無機酸化物物質が含まれる。本方法で用いるためには、仕上げ母材化触媒におけるMCM−22またはZSM−5タイプ(中間細孔径)のゼオライトのレベルは、典型的には、20〜70重量%、殆どの場合には25〜65重量%であろう。母材化触媒を製造するに際しては、活性成分は、典型的には、触媒および母材の懸濁水溶液を用いて、母材物質と混練りされるであろう。その後、活性成分および母材は、所望の形状(例えば円筒形、中空円筒形、三つ葉形、四つ葉形等)に押出し成形される。クレーなどの結合剤物質が、混練り中に添加されて、押出し成形が促進され、最終触媒物質の強度が増大され、かつ他の望ましい固体状態特性が付与されてもよい。クレーの量は、通常、全仕上げ触媒の10重量%を超えないであろう。非結合(または別に、自己結合)の触媒は、適切には、(特許文献38)に記載される押出し成形方法によって製造される。それに、方法、およびその使用によって得られる押出し成形生成物の説明が、引用される。そこに記載される方法は、高い束縛強度を有する押出し成形物が、従来の押出し成形装置で製造されることを可能にする。したがって、該方法は、顕著に、シリカ−リッチの触媒を製造するのに適する。触媒は、ゼオライトを、水酸化ナトリウムなどの塩基性物質0.25〜10重量%の存在下に、固体レベル25〜75重量%まで、水と混練りすることによって製造される。さらなる詳細は、(特許文献38)に見出されるべきである。
生成物の形成
アルキル化プロセスにおいては、多数のメカニズム的に異なる反応が起こる。原料中のオレフィンは、芳香族原料中の単環芳香族と反応して、高オクタン価の単環アルキル芳香族が形成される。前記されるように、エチレン−芳香族アルキル化反応は、中間細孔径のゼオライト触媒により促進され、一方プロピレン−芳香族反応は、MWWゼオライト触媒により促進される。
芳香族およびオレフィンの間のアルキル化およびアルキル交換反応の本質的な反応は、実質的には、小程度のオレフィンオリゴメリゼーションより優勢であろう。これは、芳香族が、容易に触媒上に収着し、優先的にオレフィンの自己縮合反応を起こす触媒点を占めることから生じる。これは、恐らくは、十分な芳香族が存在する限り生じない。反応速度および熱力学的見地はまた、直接的なオレフィン−芳香族反応を促進する。含まれるメカニズムが何であれ、しかし、アルキル芳香族生成物の範囲は、変動する炭素数と共に予期されることができる。
目的は、通常、炭素数14以下、好ましくは12以下を有する生成物を製造することである。何故なら、最も価値のあるガソリン炭化水素は、RVPを含む揮発性および変動する条件化でのエンジン運転の観点からC〜C12であるからである。ジおよびトリアルキル化は、したがって好ましい。何故なら、通常のC、C、およびCオレフィン、および芳香族原料中の支配量のベンゼンにより、炭素数約10〜14を有するアルキル芳香族生成物が、容易に達成可能であるからである。原料組成、運転条件、および装置のタイプにより、生成物群は、経験的に決定されるいかなる任意の生成物分布に対しても、最適条件と共に変化されてもよい。
最終の反応器流出物ストリームからのライトエンドの分離の後、ガソリン沸点範囲の生成物は、ストリッパーまたは分留装置から得られる。高オクタン価アルキル芳香族のその含有量から、それは、通常、オクタン価少なくとも92、およびしばしばより高いオクタン価(例えば95または98さえ)を有するであろう。この生成物は、プレミアムグレードのガソリン用製油所混合プールのための価値の高い混合成分を構成する。
プロセスパラメーター
本方法は、低・中圧で運転することが可能であるというその設備能力に対して、注目される。一般に、圧力約7,500kPag(約1,100psig)未満が、適切であろう。運転の便宜性および経済性の問題として、しかし、低・中圧約3,500kPag(約500psig)未満が好まれるであろう。これは、低圧装置の使用を可能にする。約700〜15,000kPag(約100〜2,175psig)、好ましくは1500〜4,000kPag(約220〜580psig)の範囲の圧力は、通常適切であろう。
液相運転においては、全体の温度は、約90℃〜250℃(約195゜F〜480゜F)、通常200℃(約390゜F)以下であろう。温度は、原料速度、および運転温度を制御するという通常の手段によって、または必要に応じて、希釈およびクウェンチによって制御されてもよい。さらなる気相工程が用いられる場合には、反応条件は、中間細孔径のゼオライトにより、推進められて、例えば200℃〜325℃(約400゜F〜620゜F)で所望のエチレン転化率が達成されるであろう。これは、(特許文献19)(米国仮特許出願第60/656,945号明細書(「気相アルキル化プロセス」)の優先権を主張する)に記載される。
オレフィン原料の空間速度は、通常、0.5〜5.0WHSV(時−1)、殆どの場合には0.75〜3.0WHSV(時−1)であろう。1.0〜2.5WHSV(時−1)の範囲の値は、好都合の運転値である。芳香族原料/オレフィンの比は、原料の芳香族含有量によるであろう。本質的には、アルキル芳香族へ転化されるべきベンゼン含有量、ならびに実際に用いられる反応条件下における芳香族およびオレフィンの使用率によるであろう。通常、芳香族:オレフィン比は、重量で約0.5:1〜5:1、殆どの場合には重量で1:1〜2:1であろう。水素は、添加される必要はない。
混合軽質製油所オレフィンおよびベンゼンを、液相の固定床反応で、モーターガソリンへ転化するための芳香族アルキル化装置の処理概略図を示す。 混合軽質製油所オレフィンおよびベンゼンを、初期液相反応を伴う二段固定床反応で、モーターガソリンへ転化するための芳香族アルキル化装置の処理概略図を示す。

Claims (10)

  1. エチレンおよびプロピレンを含む混合軽質オレフィン原料ストリームと、単環芳香族化合物を含む液体芳香族原料ストリームとから、ガソリン沸点範囲生成物を製造するための方法であって、
    該方法は、
    エチレンおよびプロピレンを含む軽質オレフィンを、混合軽質オレフィン原料ストリームから、ベンゼンを含む液体芳香族原料ストリームへ、120℃未満の温度かつ3500kPag未満の圧力で、向流で溶解させることによって抽出して、
    芳香族炭化水素中に抽出オレフィンを含む抽出ストリームと
    未収着オレフィンを含むストリームと
    を形成する工程、
    抽出ストリーム中の芳香族を、芳香族炭化水素ストリームに溶解された抽出オレフィン、MWW系のゼオライトを含む固体モレキュラーシーブアルキル化触媒の固定床の上で、250℃未満の温度、芳香族のオレフィンに対する比が重量で0.5:1〜5:1、かつ、0.5〜5.0WHSV(hr−1)のオレフィン空間速度で、液相反応でアルキル化させて、アルキルベンゼンを含むアルキル芳香族を含むガソリン沸点範囲生成物を形成させる工程、および
    未収着オレフィンからなるストリームを、気相のアルキル化工程へ送り、そこで未収着オレフィンからなるストリーム中のオレフィンが、さらなる芳香族原料のストリームと接触して、該ストリーム中の芳香族を、液相アルキル化において使用されるMWWタイプのゼオライトよりエチレンの転換に対して活性がある中間細孔径のゼオライトからなる触媒上、固定床触媒気相反応で、未収着オレフィンによってアルキル化する工程
    を含むことを特徴とするガソリン沸点範囲生成物の製造方法。
  2. 前記芳香族原料ストリームは、改質油を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記混合軽質オレフィン原料ストリームは、C〜Cオレフィンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. MWW系の前記ゼオライトは、MCM−22を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 抽出ストリーム中の芳香族を、芳香族炭化水素ストリームに溶解された抽出オレフィンで、MCM−22ゼオライト触媒の存在下に、150℃〜250℃の温度でアルキル化させることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 抽出ストリーム中の芳香族を、芳香族炭化水素ストリームに溶解された抽出オレフィンで、MCM−22ゼオライト触媒の存在下に、150℃〜200℃の温度でアルキル化させることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  7. 前記芳香族原料ストリームは、ベンゼン5〜60重量%を含む改質油ストリームであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 前記芳香族原料ストリームは、ベンゼン25〜40重量%を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 抽出ストリーム中の芳香族を、芳香族炭化水素ストリームに溶解された抽出オレフィンで、MWW系のゼオライト触媒の存在下で圧力3,000kPag以下でアルキル化させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. MWWタイプのゼオライトよりエチレンの転換に対して活性がある中間細孔径のゼオライトがZSM−5のゼオライトであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
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