JP4874148B2 - アクチュエータ - Google Patents

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本発明は、アクチュエータに係り、特に、ネジ・ナットタイプのものにおいて、ナットにスライダを一体化させる構造を改良することにより、製造・組立作業の容易化を図り、それによって、コストの低減を図ることができるように工夫したものに関する。
アクチュエータは概略次のような構成になっている。まず、ハウジングがあり、このハウジングにはボールネジが回転可能に収容・配置されている。上記ボールネジは駆動モータによって適宜の方向に回転・駆動されるようになっている。上記ボールネジにはボールナットがその回転を規制された状態で螺合・配置されている。上記ボールナットにはスライダが固着されている。そして、上記駆動モータを適宜の方向に回転・駆動することにより、ボールネジが同方向に回転し、それによって、回転を規制されているボールナットとそこに固着されているスライダが適宜の方向に移動することになる。
ところで、上記スライダのボールナットへの固着は次のような方法により行っている。
まず、スライダ側にボールナットが嵌合する穴をあけ、そこにボールナットを挿入した後、スライダとボールナットをピンで結合・固定する方法がある。
又、別の方法として、ボールナットの端面にフランジを設け、該フランジに対してスライダを固定ねじ部材によって固定する方法がある。
尚、この種のアクチュエータの構成を開示するものとして、例えば、特許文献1がある。
特開平08−251863号公報
上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、第1の従来例の場合であるが、ボールナットをスライダに嵌合・挿入させた後にボールナット及びスライダに設けられたピン穴に平行ピンを挿入することになるが、その際、ボールナット及びスライダに設けられているピン穴の位置を合わせた後に平行ピンを挿入しなければならず、この作業が非常に煩雑であった。
次に、第2の従来例の場合であるが、ボールナットの端面に設けられているフランジに固定ねじによってスライダを固定する必要がある。その際、アクチュエータ内に固定ねじをねじ込むための工具を挿入する必要があるが、その作業が面倒であり、その為、組立・調整作業が困難になってしまうという問題があった。これは、アクチュエータが小型になればなる程顕著であった。
又、これは何れのタイプの従来例についても共通していえることであるが、アクチュエータとしての性能を確保するために、アクチュエータに組み込まれる各々の部品を高精度に加工しなければならないという問題があった。例えば、ボールネジの曲りや、ボールナットのボールネジに対する同軸度、ボールナットが固定されるスライダの嵌合部分とガイドとの走り精度、真直度、等が確保できていない場合、ボールネジに対してボールナットの「コジレ」が発生してしまい、それによって、摺動抵抗の増加や異音の発生、ひいてはボールナットの短寿命化を招く恐れがあった。
特に、ガイド一体型のアクチュエータの場合、ガイドの一部となるスライダ部分にボールナットが組み込まれ嵌合される構成となるので、ガイド部分との相対的な寸法精度が非常に重要となっていた。その上、高精度に加工された部品を組み込む際にも、スライダの走りとフレーム両端で支持されたボールネジの軸心調整を正確に行う必要があり、そのためにスライダを全長に渡り移動させながら、ボールネジ及びボールナットの軸心調整を行うという煩雑な作業を行う必要があった。そして、これらの作業を精度良く行うためには熟練を要することになる。
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、高精度な部品加工を要することなくスライダとボールナットの固着を容易に行うこことを可能とし、それによって、製造及び組立作業に要する工数を削減して、コストの低減を図ることが可能なアクチュエータを提供することにある。
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1によるアクチュエータは、回転可能な状態で設置されたネジと、上記ネジに対してその回転を規制された状態で螺合・配置されたナットと、上記ナットに対して固定されたスライダと、を具備してなるアクチュエータにおいて、上記スライダは複数個のスライダ要素からなる複数割り構造になっていて、上記複数のスライダ要素の間に上記ナットを挟み込んで固定する構成になっており、上記スライダ要素と上記ナットとの間に各部品の寸法誤差を吸収するための弾性部材が介在されていることを特徴とすることを特徴とするものである。
又、請求項2によるアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記スライダとナットの間には回転方向の動きを規制する回転規制部材が設置されていることを特徴とするものである。
又、請求項3によるアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記弾性部材はばね部材によって構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項4によるアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記弾性部材はゴム材から構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項5によるアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記スライダは二つのスライダ要素からなる二つ割りの構成になっていることを特徴とするものである。
又、請求項6によるアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記スライダは金属製であり、ダイカスト或いはメタルインジェクションによって製造されたものであることを特徴とするものである。
又、請求項7によるアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記ネジ・ナットはボールネジ・ボールナットであることを特徴とするものである。
以上述べたように本願発明の請求項1によるアクチュエータは、回転可能な状態で設置されたネジと、上記ネジに対してその回転を規制された状態で螺合・配置されたナットと、上記ナットに対して固定されたスライダと、を具備してなるアクチュエータにおいて、上記スライダは複数個のスライダ要素からなる複数割り構造になっていて、上記複数のスライダ要素の間に弾性部材を介在させた状態で上記ナットを挟み込んで固定するような構成になっているので、まず、アクチュエータの製造・組立作業が容易になり、それによって、コストの低減を図ることができる。すなわち、ナットとスライダとの固着構造において、スライダ側を複数割り構造としてナットを挟み込むとともに、その間に弾性部材を介在させる構成にしたからである。上記弾性部材が各部品の寸法誤差を吸収することになるので、各々の部品に対する寸法精度の裕度が拡大されることになり、それによって、製造・組立作業が容易化されるものである。
又、請求項2によるアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記スライダとナットの間には回転方向の動きを規制する回転規制部材が設置されているので、スライダとナットとの間の不用意な位置ずれを防止することができる。
又、上記弾性部材としては、例えば、ばね部材、ゴム材等の使用が考えられる。
又、上記スライダを二つのスライダ要素からなる二つ割りの構成にした場合には、簡単な構成で所望の効果を得ることができる。
又、請求項6によるアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、上記スライダは金属製であり、ダイカスト或いはメタルインジェクションによって製造されたものであるので、面倒な機械加工を要することなく所望の複雑な形状の部品を容易に得ることができる。
又、上記ボール・ナットとしてはボールネジ・ボールナットであること考えられる。
以下、図1乃至図4を参照して本発明の一実施の形態を説明する。図1は本実施の形態によるアクチュエータの全体の構成を示す分解斜視図であり、図2は図1に示す構成の要部をさらに詳しく示す分解斜視図である。まず、ハウジング1があり、このハウジング1内にはボールネジ3が回転可能な状態で設置されている。上記ハウジング1にはリアケース5が取付・固定されていて、このリアケース5内には図示しない駆動モータが収容・配置されている。上記リアケース5は4本の固定ねじ部材6によって上記ハウジング1に取付・固定されている。上記ボールネジ3は上記駆動モータによって回転駆動されるように構成されている。
上記ボールネジ3には、図2に示すように、ボールナット7がその回転を規制された状態で螺合・配置されている。このボールナット7にはスライダ9が固着されている。上記ボールナット7とスライダ9との固着の構成は次のようになっている。
まず、上記スライダ9は上下の二つ割りの構成になっている。すなわち、上記スライダ9は下部スライダ要素11と上部スライダ要素13を備えていて、これら下部スライダ要素11と上部スライダ要素13とのの間に上記ボールナット7を挟み込む構成になっている。
その際、まず、下部スライダ要素11とボールナット7との間に回転を規制する回転規制ピン15を介在させるようにしている。この回転規制ピン15によってボールナット7と下部スライダ要素11を回転方向に一体化させるようにしている。又、上部スライダ要素13と下部スライダ要素11との間にも位置決めピン16、16が設置されている。
又、上記下部スライダ要素11と上部スライダ要素13はアルミニウム材又は同種の軽金属から製造されていて、ダイカストによって製造されている。
尚、ダイカスト以外にもメタルインジェクション等によって製造することがあり、この場合には、上記下部スライダ要素11と上部スライダ要素13は、鉄、ステンレス(SUS)、チタン等によって製造されることになる。
よって、複雑な形状であっても機械加工を要することなく製造することができる。
又、上記上部スライダ要素13とボールナット7との間には弾性部材としての板ばね17が介在されている。このような板ばね17を介在させることにより、スライダ9とボールナット7等各部品の加工精度誤差に基づく位置ずれ等(ボールナット7の偏心や偏角、ボールナット7のコジレ等)を吸収し、それによって、各部品の加工精度に対する裕度を拡大しようとするものである。
尚、上記上部スライダ要素13と下部スライダ要素11は4本の固定ねじ部材19によって一体化されるように構成されている。
上記ハウジング1の内周両側壁部には、図3及び図4にも示すように、一対のガイドレール21、21が設けられている。一方、上記下部スライダ要素11の両側部には一対のガイド部23、23が設けられている。下部スライダ要素11は一対のガイド部23、23を介して上記一対のガイドレール21、21に沿って移動することになる。その際、上記下部スライダ要素11の一対のガイド部23、23と一対のガイドレール21、21との間には複数個のボール24が循環する構成になっている。上記下部スライダ要素11側には上記ボール24の循環路26、26が形成されている。つまり、上記複数個のボール24は、上記ガイドレール21とガイド部23とにより構成される循環路と上記循環路26をスライダ9の移動に伴って循環することになり、それによって、スライダ9の円滑な移動を提供するようにしているものである。
上記上部スライダ要素13の上には、中間部材25、シートスライダ27、ステンレスシート29、スライダーカバ31が順次積層。配置されている。上記スライダーカバー31の上からは2本の固定ねじ部材33、33がねじ込まれている。又、上記ステンレスシート29は、ハウジング1の両端に設置された端部材35、37に対して、2本ずつの固定ねじ部材39によって板材41を介して固定されている。又、ハウジング1の左右両側にはサイドカバー43、43が固定ねじ部材45によって固定されている。
尚、図2中符号51はストッパ部材、符号53はシール部材を示している。
上記構成を基にその作用を説明する。図示しない駆動モータを適宜の方向に回転・駆動することによりボールネジ3が同方向に回転する。このボールネジ3の回転によってボールナット7ひいてはスライダ9が左右何れかの方向に移動する。その際、一対のガイドレール21、21と一対のガイド部23、23との間、ボール循環路26、26を介して複数個のボール24が循環することになり、それによって、スライダ9の円滑な動作が提供されることになる。
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、アクチュエータの製造・組立作業が容易になり、それによって、製造・組立作業に要するコストの低減を図ることができる。すなわち、ボールナット7とスライダ9との固着構造において、スライダ9側を二つ割り構造とし、下部スライダ要素11と上部スライダ要素13との間にボールナット7を挟み込むとともに、その間に板ばね17を介在させる構成にしたからである。上記板ばね17がスライダ9とボールナット7等各部品の加工精度誤差に基づく位置ずれ等(ボールナット7の偏心や偏角、ボールナット7のコジレ等)を吸収することになるので、それらの部品に対する寸法精度の裕度が拡大されることになり、それによって、製造・組立作業が容易化されるものである。
又、上記構成を採用することにより、下部スライダ要素11と上部スライダ要素13は金属を使用したダイカスト或いはメタルインジェクション等によって製造することが可能になり(寸法精度の裕度が拡大されたため)、複雑な機械加工を要することなく低コストで製造することができる。
又、スライダ9とボールナット7との間には回転規制ピン15が設置されているので、両者間の位置ずれ、ボールナット7の回転方向への不用意な変位は確実に防止される。
又、本実施の形態の場合には、スライダ9を上下下二つ割りとして下部スライダ要素11と上部スライダ要素13とから構成しているので、ボールナット7の組込作業も容易である。
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記一実施の形態では、弾性部材として板ばねを使用した例を挙げて説明したが、それ以外にも、例えば、コイルばね、ゴム材、等、様々な部材の使用が考えられる。
又、前記一実施の形態では、スライダを上下二つ割りにした構成を例に挙げて説明したが、三つ割り以上の構成も想定される。
又、前記一実施の形態の場合には、上部スライダ要素とボールナットの間に一個の板ばねを介在させた構成を例に挙げて説明したが、弾性部材の個数、介在させる位置等についてもこれを特に限定するものではない。
又、スライダとナットとの間の回転規制部材としては、ピン以外にもキー構造の採用が考えられる。
本発明は、アクチュエータに係り、特に、ボールネジ・ボールナットタイプのものにおいて、ボールナットにスライダを一体化させる構造を改良することにより、製造・組立作業の容易化を図ることができるように工夫したものに関し、例えば、各種一軸アクチュエータに好適である。
本発明の一実施の形態を示す図で、アクチュエータの全体の構成を示す分解斜視図である。 本発明の一実施の形態を示す図で、カバー等を除去した状態のアクチュエータの全体の構成を示す分解斜視図である。 本発明の一実施の形態を示す図で、スライダとボールナットの固着の構造を示す断面である。 本発明の一実施の形態を示す図で、スライダとボールナットの固着の構造を分解して示す断面である。
符号の説明
1 ハウジング
3 ボールネジ
7 ボールナット
9 スライダ
11 上部スライダ要素
13 下部スライダ要素
15 回転規制ピン
16 位置決めピン
17 板ばね(弾性部材)

Claims (7)

  1. 回転可能な状態で設置されたネジと、上記ネジに対してその回転を規制された状態で螺合・配置されたナットと、上記ナットに対して固定されたスライダと、を具備してなるアクチュエータにおいて、
    上記スライダは複数個のスライダ要素からなる複数割り構造になっていて、上記複数のスライダ要素の間に上記ナットを挟み込んで固定する構成になっており、
    上記スライダ要素と上記ナットとの間に各部品の寸法誤差を吸収するための弾性部材が介在されていることを特徴とするアクチュエータ。
  2. 請求項1記載のアクチュエータにおいて、
    上記スライダとナットの間には回転方向の動きを規制する回転規制部材が設置されていることを特徴とするアクチュエータ。
  3. 請求項1記載のアクチュエータにおいて、
    上記弾性部材はばね部材によって構成されていることを特徴とするアクチュエータ。
  4. 請求項1記載のアクチュエータにおいて、
    上記弾性部材はゴム材から構成されていることを特徴とするアクチュエータ。
  5. 請求項1記載のアクチュエータにおいて、
    上記スライダは二つのスライダ要素からなる二つ割りの構成になっていることを特徴とするアクチュエータ。
  6. 請求項1記載のアクチュエータにおいて、
    上記スライダは金属製であってダイカスト或いはメタルインジェクションによって製造されたものであることを特徴とするアクチュエータ。
  7. 請求項1記載のアクチュエータにおいて、
    上記ネジ・ナットはボールネジ・ボールナットであることを特徴とするアクチュエータ。
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