JP4807103B2 - 高炉操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は還元材比を安定して低減させる高炉操業方法に関する。
高価なコークス使用量の削減のため、また、製銑工程からのCO2発生を抑制して、地球環境保全に資する観点からも、高炉の還元材比低減が重要な課題となっている。
高炉の還元材比を低減させるには、還元効率(シャフト効率)の向上と、熱損失の低減による方法とがあり、還元効率と熱損失とが最も基本的な操作因子である。この2つの操作因子は、高炉の装入物分布制御を高精度に行うことにより、ある程度制御することができる。装入物分布制御により原料近傍の高炉内のガス流れを制御し、還元ガスの利用率(ガス利用率ηCO=CO2/(CO+CO2))を向上させることで還元効率を向上させるとともに、炉壁近傍のガス流れを適正化することにより、炉壁からの熱損失を低減させるものである。但し、還元効率(シャフト効率)や熱損失の制御が可能な範囲は、高炉で使用する装入物の性状(焼結鉱強度、還元性RI、還元粉化性RDI、コークス強度、反応性等)に大きく依存する。すなわち、高強度原燃料の使用下では通気性の制約条件が緩和されるため、還元材比(コークス比)の低減を図りやすく、結果的に還元効率(シャフト効率)向上、熱損失低減に結び付き易い。
上記に加え、還元材比を低下させる方策として、還元平衡を積極的に制御する2つの方法が知られている。
第一の方法は、金属鉄を高炉に装入する方法であり、還元負荷が低減できるので、熱源としての還元材比を低下できる。金属鉄としては、スクラップや直接還元鉄(DRI、HBI等)などが使用される。これら鉄源は炉頂から塊状で装入されるか、羽口から粉状物が吹き込まれる(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、金属鉄は、通常、金属化率が約90%以上のものであり、入手も困難で、かつ高価であるため、金属鉄の高炉での使用量は拡大していない。
第二の方法は、還元平衡温度を低温化させる方法である。還元温度の低下によってFeO−Fe平衡におけるガス組成を高ガス利用率側に移行させ、還元ガス(COガス)の利用効率(ηCO)を上昇させることで、結果的に使用する還元材量を低下させるものである。還元平衡温度を低下させる手段として、いわゆる高反応性コークスの使用が知られている(例えば、非特許文献2参照。)。高反応性コークスの使用によって還元ガス利用効率ηCOの上昇、および還元材比の低減を図る技術も開示されている(例えば、非特許文献3、非特許文献4参照。)。非特許文献3では、反応性を促進する触媒成分(Ca)を含むコークスを配合すると、ドラム試験150回転指数DI(15、150)およびコークスの反応性を表すJIS反応性指数RIともに、ベース条件に比較して高いコークスの製造が可能なことを開示している。この結果、非特許文献4では還元材比15〜20kg/tの低減が可能であったとされている。
しかしながら、上記のような高反応性コークスは触媒成分を予め含む炭種を選択するか、触媒成分を事前処理によって添加する必要があるため、資源制約やコストアップの問題がある。また、このような特殊な炭種や製造法によらないコークスは一般的に反応性を高めると強度は低下する傾向にあるため、反応性の高いコークスを用いると、還元平衡温度の低下は図れるが、炉内を降下する過程で多量の粉を発生することとなり、高炉内通気性、特に炉下部(滴下帯〜レースウェイ部)での通気悪化が顕著となる。この結果、還元平衡温度の低下に見合う還元材比低減効果を得ることができない。
反応性の高いコークスを使用した場合であっても、コークスの劣化を抑制して高炉内の通気性を確保できる技術として、コークスの反応性指数と焼結鉱の被還元性指数を規定して、スラグ量を所定量以下とする、高炉の操業方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−272968号公報 K.Kunimoto他著 「JJournal of Japan Institute of Energy」2005年、84号、p.126―133 内藤誠章他著 「鉄と鋼」2001年、87号、p.357―364 野村誠治他著 「CAMP−ISIJ」2003年、16号、p.1039 鮎川祐之他著 「CAMP−ISIJ」2003年、16号、p.1040
前述したように、従来の高反応性コークスは、反応性と強度を両立させることができず、反応性が高いコークスほど低強度である。従って、高反応性コークスの高炉使用時には炉内で粉化が進行し、発生した粉が炉下部に蓄積することにより炉下部通気性が悪化し、これが制約条件となって還元材比(微粉炭などの吹き込み還元材比が同一ならコークス比)を低減させることが困難となる。すなわち、従来の高反応性コークスの使用方法では反応性向上に伴うガス利用率向上に見合う還元材比削減効果を実質的に得ることができない。
よって、高反応性コークス使用時に、還元平衡温度を低下させ、ガス利用率向上の効果を十分に享受するためには、炉下部での粉化を抑制すると同時に、併せて通気性を改善する対策を講じることが重要である。特許文献1に記載の方法では、通気性を確保するため、焼結鉱被還元性指数(RI)が高い焼結鉱の使用が必須条件となっている。しかしながら、RIの高い焼結鉱を製造するためには品位の高い(スラグ比の低い)原料を使用しなくてはならず経済的に不利である。また、高炉内での還元粉化を表す指数(RDI)とRIとは逆の相関があるので、焼結鉱の粉化が進展し、通気性にとってむしろ悪影響を与える可能性もある。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、高炉において高反応性コークスを用いて操業を行なう際に、高炉の通気性の悪化を防止しながら、高炉の還元材比を低減させることができる、高炉の操業方法を提供することにある。
上記の課題を解決するため本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、高炉に鉱石とコークスとを装入する際に、反応性が低く粒径の大きいコークスでコークス層を形成し、かつ、反応性が高く粒径の小さいコークスを120kg/t以上、鉱石と混合して装入することにより、通常の鉱石層とコークス層とを積層する操業に比較して通気性が顕著に改善し、還元材比480kg/t以下で操業する、安定した低還元材比操業が実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。ここで、kg/tとは生成溶銑1トンあたりの使用量を示す原単位である。
すなわち本発明では、反応性が高いコークスを鉱石と混合することにより、これら粒子間の接触性を改善して還元平衡温度をより低下させ、かつ粒径が小さく、鉱石粒径に近いサイズのコークスを用いることにより、充填層の空隙率の低下を緩和して通気性の悪化を抑制することができる。仮に、コークスが粉化したとしても、反応性が高いため、速やかにガス化消失するものと考えられる。また、反応性が高いコークスとして、フェロコークス等を用いることも可能である。
さらに、反応性が低く、かつ粒径の大きいコークスでコークススリットを形成させることにより、ガス化反応による粉化が抑制されるため、通気性の確保をより確実なものにすることができる。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下の通りである。
(1)鉱石とコークスとを炉頂から装入して鉱石層とコークス層とを交互に形成する高炉操業において、前記コークス層を形成するコークスのCRI値が32以下で、かつ平均粒子径が45mm以上であるコークスからなり、前記鉱石層にCRI値が31以上で、かつ平均粒子径が35mm以下のコークスが120kg/t以上混合されていることを特徴とする高炉操業方法。
(2)鉱石層に混合される反応性が高く粒径の小さいコークスとして、鉱石と石炭とを混合して乾留して製造したフェロコークスを用いることを特徴とする(1)に記載の高炉操業方法。
なお、本発明で言う平均粒子径とは、質量基準の長さ平均径である。
本発明によれば、高反応性コークスを用いて高炉操業を行なう際の炉の通気性が改善され、還元材比が低減する。還元材比480kg/t以下の低還元材比操業も、安定して行なうことができる。
反応性が高く、かつ粒径の小さいコークス、反応性が低く、かつ粒径の大きいコークスの条件、ならびに使用方法を最適化するため、以下の操業試験1〜5を実施した。尚、コークスの反応性はCRI値で規定した。CRI値は、20±1mmに整粒したコークス試料を1100℃、CO2雰囲気下で2時間反応させたときの反応率を指数化したものである。CRIが大きいほど反応性が高いことを示す。試験に用いたコークスを表1に示す。
Figure 0004807103
[試験1]実際に稼動している高炉を用い、種々の性状の焼結鉱、コークスの装入試験を実施した。高炉は内容積5153m3の3パラレルバンカーとベルレス式装入装置を有する高炉である。装入原料として、鉱石は焼結鉱(平均粒子径18mm、RI=65、RDI=35)80質量%、塊鉱石20質量%の配合とした。コークスは表1に示すコークスの中から、コークスA、コークスB1、コークスD3を用いた。
原料の使用方法が高炉の還元材比、および炉下部通気性へ及ぼす影響を調査するため、Case1〜Case4までの装入方法を検討した。炉頂から装入したコークスと鉱石とで形成される、Case1〜Case4の炉内の積層構造を模式的に図1に示す。図1は高炉1の断面の概略図であり、炉内上部位置2の積層構造をCase1〜4として右側に示すものである。
Case1はコークス層3と鉱石層4を交互に装入する方式であり、コークス層3として全量、コークスA(平均粒子径40mm、CRI=32)を使用した。コークスAは反応性、粒径が平均的な、標準的なコークスであり、Case1はベースとなる標準的な操業条件である。
Case2は装入コークスの一部を粒径が小さく反応性の高いコークスD3とし、コークスD3を120kg/t鉱石層4に混合して鉱石層内コークス5とし、残部のコークスはコークスAとしてコークス層3を形成する方法である。
Case3はCase1のコークスAを、反応性が低く粒径が大きいコークスB1に変更した場合である。
Case4はCase2と同様に、粒径が小さく反応性の高いコークスD3を120kg/t鉱石層に混合し、かつコークス層6を反応性が低く粒径が大きいコークスB1に変更した条件である。
Case1〜4において操業試験を行なった際の、還元材比と炉下部通気抵抗指数(K値:K=(Pblast 2−P2)/V1.7。但し、Pblast:送風圧(kg/cm2)、P:羽口軸上6.7m位置における炉壁部静圧(kg/cm2)、V:ボッシュガス量(Nm3/t))の実績値を図2に示す。Case1では微粉炭吹き込み比120kg/t、コークス比370kg/t(還元材比490kg/t)であった。図2によれば、Case1に比較して、Case2では還元材比はやや低下したが、通気性は悪化した。Case3では通気性は大きく改善されたものの、還元材比はほとんど変化なかった。Case4では還元材比、通気性ともに大きく改善された。
これらのことから、還元材比低減に効果があるのは、Case2と4であり、鉱石層に反応性の高いコークスを混合することによって還元平衡温度が低下し、還元材比が低下したものと推察される。しかしながら、Case2のようにコークス層がCase1と同じく標準的なコークスを用いている場合には、通気性はむしろ悪化していることから、鉱石とコークスの単なる混合は、粒径差が大きいことに起因する充填層の空隙率低下を招き、通気抵抗を大とする逆効果があるものと推察される。一方、通気性が改善するのはCase3、4のように粒径が大きく、反応性の低いコークスをコークス層として使用した場合である。このようなコークスはCO2との反応性が低いので、ガス化反応(C+CO2=2CO)によるコークスの劣化が抑制され、粉の発生量低減、ひいては充填層内の空隙率が確保されたものと推察される。よって、Case4では鉱石とコークスの混合による通気性悪化の効果よりもコークス層の通気性改善効果が大きかったため、結果的に通気性が改善されたと推定される。
[試験2]試験2では、コークス層を形成するコークスの最適粒径範囲を明らかにするため、試験1のCase4のコークス層を形成するコークスを、表1に示す反応性指数CRIが18一定で、粒径を変化させた3種類のコークス(コークスB1〜B3)に変更し、操業試験を行った。
還元材比と炉下部通気抵抗指数を測定した結果を図3に示す。還元材比及び通気抵抗指数はコークス粒径が45mm以上で急激に低下した。これは粒径が大きい場合には原理的に通気抵抗が小さくなること、反応性が低くかつ反応界面積も小さいため、ガス化反応量が顕著に減少し、粉化量が抑制されたためさらに通気性が改善され、この通気余裕のために還元材比も減少させ易くなったものと推定される。よって、コークス層を形成する反応性が低いコークスの粒径は45mm以上であることが必要であり、還元材比と炉下部通気抵抗の低減効果を考慮すると好ましくは50mm以上である。
[試験3]試験3では、コークス層を形成するコークスの反応性の最適範囲を明らかにするため、試験1のCase4のコークス層を形成するコークスを、表1に示すコークスC1〜C3の3種類のコークスに変更して操業試験を行った。
結果を図4に示す。還元材比、通気抵抗指数ともに、コークス層を形成するコークスの反応性が32以下になると急激に低下した。反応性が低いコークスの使用によりガス化反応が抑制され、ベッドの通気性が確保されたためと考えられる。図4によれば、コークス層を形成するコークスの反応性はCRIで32以下とすることが必要であり、還元材比と炉下部通気抵抗の低減効果を考慮すると好ましくはCRIで25以下である。
[試験4]試験4では、鉱石層に混合するコークスの反応性の最適範囲を明らかにするため、試験1のCase4の鉱石層中のコークス(鉱石/コークス混合層中のコークス)を、表1に示す平均粒子径が23mm一定で反応性指数CRIを変化させた3種類のコークス(コークスD1〜D3)に変更し同様の操業試験を行った。
結果を図5に示す。還元材比は鉱石層中のコークスの反応性とともに直線的に低下したが、通気抵抗指数はコークス反応性指数CRIが31以上で急激に低下した。還元材比が直線的に低下するのは、反応性と共に熱保存帯温度が直線的に変化していることを示している。通気抵抗指数の変化は、所定の反応性以上になると急激に粉化が抑制されるようになることを示唆している。よって、還元材比、通気性制御の観点から、鉱石層に混合するコークスの反応性はCRI値で31以上であることが必要であり、好ましくは35以上である。
[試験5]試験5では、鉱石層に混合するコークスの粒径の最適範囲を明らかにするため、表1に示す、反応性指数CRIが39一定で、粒径を変化させた3種類のコークス(コークスE1〜E3)を用い、試験1のCase4と同様の操業試験を行った。
結果を図6に示す。還元材比及び通気抵抗指数はコークスの粒径が35mm以下となると急激に低下した。これは、所定粒径以下のコークスの装入によって、焼結鉱との接触界面積が増加し、熱保存帯温度の低下が促進されたこと、コークスと焼結鉱との粒径が近づくことにより、空隙率の確保が図られたためと推察される。よって、鉱石層に混合するコークスの粒径は35mm以下とすることが必要であり、好ましくは30mm以下とする。
以上の試験より、単独で充填層を形成するコークス(反応性が低く、かつ粒径の大きいコークス)、および鉱石と混合して使用するコークス(反応性が高く、かつ粒径の小さいコークス)の具備すべき条件を要約すると、「単独で充填層を形成するコークス」のCRI値は32以下で、かつ平均粒子径が45mm以上のコークスであり、「鉱石層中に混合するコークス」のCRI値は31以上で、かつ平均粒子径が35mm以下のコークスである。
CRI値が32以下であり、かつ平均粒子径が45mm以上のコークスの製造方法は特に限定されるものではない。炭種の選択、コークス炉での乾留時間の制御、あるいは乾留後コークスの篩い分け条件によって、所定の性状のコークスを得る。あるいは、コークス炉から窯出しされたコークスの改質処理を行っても良い。例えばチャンバー内に炭化水素ガスを流しながら熱分解させ、コークス表面に炭素分をコーティングすることで反応性を抑制するような処理を施しても良い。
鉱石とコークスを混合する方法としては、ベルトコンベアー上で同時に切り出し、高炉炉頂部に設置されたバンカーに原料の混合物として装填する。高炉炉頂部に複数個の原燃料切り出しバンカーを有するベルレス高炉の場合は、コークスまたは焼結鉱を別々のバンカーに投入しておき、これら2種類以上を同時に切り出すことによって行っても良い。
CRI値31以上、かつ平均粒子径が35mm以下の、鉱石中に混合するコークスの製造方法は特に限定されるものではない。炭種の選択、コストの範囲内での反応性制御のための石炭中へのCaOなどの触媒添加、コークス炉での乾留時間の制御、あるいは乾留後コークスの篩い分け条件によって、所定の性状のコークスを得る。あるいは、石炭を事前にバインダーとともに成型した後に乾留した、いわゆる成型コークスを使用しても良い。石炭と鉱石を混合後、成型して乾留することにより、部分的に還元された鉱石を含む、いわゆるフェロコークスを用いても良い。フェロコークスは金属鉄を含むので、その触媒作用により高い反応性を実現できるため、CRI値31以上、かつ平均粒子径が35mm以下のコークスとして、特に好適に用いることができる。上記成型コークスまたはフェロコークスは鉱石層に混合されるコークスの一部として使用しても良いし、全量として使用しても良い。
試験に使用した高炉は内容積5153m3の3パラレルバンカーとベルレス式装入装置を有する高炉であり、装入原料として鉱石とコークスとを使用し、鉱石として焼結鉱(平均粒子径18mm、RI=65、RDI=35)78質量%、塊鉱石22質量%を使用した。コークス性状は平均粒子径40mm、CRI=32である。これら原料をそれぞれ2バッチに分割して、炉頂から鉱石とコークスとを交互に装入した。標準的な操業条件は微粉炭吹き込み比120kg/t、コークス比370kg/t、炉下部通気抵抗指数は1.21であった。
本発明の効果を確認するため、標準的な操業に引き続き、以下の操業変更を行った。すなわち、CRI値が22の反応性が低いコークスをコークス炉で製造し、篩い目を調整して平均粒子径が52mmの粒径が大きいコークスを製造し、貯蔵ホッパーに輸送した。一方、別のホッパーには平均粒子径40mm、CRI=32の標準的なコークスを輸送した。前者のコークスが質量比で60質量%になるように両方のコークスをホッパーから同時に切り出し、ベルトコンベアー上で混合し、高炉炉頂部の1つ目のバンカーへと移送した。本コークスを所定の装入モードで高炉炉内へと装入した。その結果、コークス層には全体として平均粒子径47mm、CRI=26のコークスが装入されることとなった。
一方、コークスの装入の間に2つ目のバンカーには通常の鉱石原料(焼結鉱78質量%+塊鉱石22質量%)を投入し、同時に3つ目のバンカーにはフェロコークス(鉱石と石炭を事前にブリケット化し、シャフト炉を用いて乾留したもの)を装入した。フェロコークスの平均粒子径は12mm(長軸と短軸の平均値)、反応性指数CRIは52であった。また、フェロコークス中には還元された鉄鉱石が質量比で25%含まれており、鉱石の還元率は化学分析の結果73%であった。コークスの高炉内への装入が終了後、フェロコークスの装入量が125kg/tとなるように、フェロコークスと鉄鉱石をバンカーから同時に切り出し、所定の装入モードで炉内へと堆積させた。
上記のコークス単独装入と、鉱石とフェロコークスとの混合装入を交互に繰り返して操業を行なった結果、微粉炭吹き込み比120kg/t一定の条件下で、コークス比は徐々に低下し1日後には350kg/tに達した。よって還元材比は490kg/tから470kg/tへと20kg/tの低減が可能であることが確認できた。また炉下部通気抵抗指数も徐々に低下し、1日後には1.12まで低下した。
以上のように、炉下部通気性を改善すると共に、高価なコークスの使用量が削減でき、上記の装入方法を用いることが、溶銑コストの低減、ならびにCO2発生量の低減に結び付くことが実証された。
高炉内の積層構造を模式的に示す図。 還元材比と炉下部通気抵抗指数を示すグラフ(Case1〜4)。 コークス層を形成するコークスの粒径に対する還元材比と炉下部通気抵抗指数の変化を示すグラフ。 コークス層を形成するコークスの反応性に対する還元材比と炉下部通気抵抗指数の変化を示すグラフ。 鉱石層中のコークスの反応性に対する還元材比と炉下部通気抵抗指数の変化を示すグラフ。 鉱石層中のコークスの粒径に対する還元材比と炉下部通気抵抗指数の変化を示すグラフ。
符号の説明
1 高炉
2 炉内上部位置
3 コークス層(コークスA)
4 鉱石層
5 鉱石層内コークス
6 コークス層(コークスB1)

Claims (2)

  1. 鉱石とコークスとを炉頂から装入して鉱石層とコークス層とを交互に形成する高炉操業において、前記コークス層を形成するコークスのCRI値が32以下で、かつ平均粒子径が45mm以上であるコークスからなり、前記鉱石層にCRI値が31以上で、かつ平均粒子径が35mm以下のコークスが120kg/t以上混合されていることを特徴とする高炉操業方法。
  2. 鉱石層に混合されるコークスとして、鉱石と石炭とを混合して乾留して製造したフェロコークスを用いることを特徴とする請求項1に記載の高炉操業方法。
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