JP4774195B2 - 歯科用部材および歯科用部材の表面改質処理方法 - Google Patents
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Description
歯列矯正用ブラケットとしては、従来より、金属製のものが広く知られているが、近年、審美性の向上を目的に、セラミックス製ブラケットやプラスチック製ブラケット等、透明あるいは白色系半透明の材料により形成されているものが用いられるようになってきた。
従来の義歯用部材を形成する材料としては、ホウ酸アルミニウムウイスカ、粒子状ホウ酸アルミニウムにより強化されたポリカーボネート(例えば、特許文献3参照)、ポリスルホンまたはポリサルホン樹脂、エラストマーを添加したアクリル樹脂(例えば、特許文献4参照)、ポリエチレンやポリプロピレン(例えば、特許文献5参照)などが知られている。
義歯裏装材とは、適合の悪くなった義歯の再適合をはかったり、咀嚼時に疼痛が生じる症例等に用いられる器具である。義歯裏装材は、硬質裏装材と軟質裏装材とがある。硬質裏装材に用いる材料としては、アクリル系樹脂等が知られており、軟質裏装材に用いる材料としては、軟質アクリル、軟質シリコン等が知られている。
例えば、歯列矯正用ブラケットでは、ポリウレタン、ポリアセタール、アクリル系樹脂等から形成されたブラケットが上市された。しかし、これは不透明である、ある種の成分が溶出する等の問題があった。また、透明ナイロン(結晶化ナイロン)を用いたブラケットも提案されているが、透明ナイロンは、吸水性が高いことから、長期間に渡り口内環境にさらされると、変色して劣化し、接着はがれが起きる可能性があった。
例えば、プラスチック製ブラケットでプライマーを用いる場合、プラスチックプライマーをブラケットの接着面に塗布することにより、接着面を溶解したり、接着成分を付着させたりして、接着剤が接着面と化学的に結合できるようにしている。しかしながら、近年では、光重合性接着剤の普及や、接着剤が塗布された状態でユーザーに供給されるプレプライムブラケットの進展により、このプライマーを用いた処理は非効率であると考えられつつある。
例えば、接着面にエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂を塗布し、これらの樹脂がやわらかく湿っている状態でシリカ、アルミナ等の微粒子をまぶし固めてメカニカルロック層を形成する技術(例えば、特許文献7参照)、アクリルモノマーとある種の溶剤との混合物を接着面に塗布・乾燥させて低分子のアクリル層を形成する技術(例えば、特許文献8参照)、重合可能な成分、接着面を溶解する溶剤、及び光重合開始剤の混合物を接着面に塗布・乾燥して薄膜層を形成する技術(例えば、特許文献9参照)等が知られている。
以上に掲げたプラスチック製ブラケットで起こる問題は、例えばバンド,バッカルチューブ,リンガルシース,リンガルボタン等の歯列矯正部材全般にも生じている。
また、人工歯、義歯床、義歯裏装材等の義歯用部材においても、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂を用いると、樹脂の強度が低く変形しやすい等の問題が生じている。
また、本発明の別の目的は、歯科用部材と歯牙との接着性または他の歯科用部材との接着性を向上させることができる歯科用部材の表面改質処理方法を提供することである。
本発明において、歯科用部材とは、バンド,バッカルチューブ,リンガルシース,リンガルボタン等の歯列矯正部材、及び人工歯、義歯床、義歯裏装材等の義歯用部材、その他歯科治療に用いられ、口内に装着するための種々の部材をいう。
上記のように構成された歯科用部材は、シクロオレフィンを重合したポリマー材料の強度が高いため、変形しにくい。また、前記ポリマー材料は、透明で化学的に安定であるので、本発明の歯科用部材は、口内環境で変色・劣化することがなく、BPA等の人体に有害な物質を溶出しないものである。
ここで、本発明において『実質的にシクロオレフィンのみ重合したポリマー材料』は、機能を損なわない範囲でシクロオレフィン以外の繰り返し単位を含んでいてもよいポリマーをいう。好ましくは、ポリマー材料に含まれるシクロオレフィンに由来する繰り返し単位が、90〜100質量%の範囲である。
上記のように構成された歯科用部材は、請求項1の作用効果に加えて、さらに耐溶剤性、機械的強度が優れている。
上記のように構成された歯科用部材は、請求項1の作用効果に加えて、さらに、成形に適する熱可塑性,低吸水率性,有機溶媒に対する高い耐薬品性,高剛性等を有している。
ここで、歯科用部材の接着面とは、歯牙との接着面または他の歯科用部材に対する接着面等が挙げられる。
このような表面改質処理を接着面に対して行うことにより、歯科用部材の接着面部分のポリマー材料をグラフト化して、接着剤との親和性を向上させることができる。よって、上記のように構成された歯科用部材は、歯牙と接着させた時もしくは他の歯科用部材と接着させた時に接着面と接着剤とが強く結合できるので、十分な接着強度を発揮できる。
このような構成によれば、歯牙との接着時もしくは他の歯科用部材との接着時にプライマー処理等の面倒な工程を必要とせず、容易に接着できる歯科用部材を得ることができる。
このような表面改質処理方法によれば、重合開始剤を予め塗布しておくことによって、必要とする部分だけに確実に歯科用部材の表面をグラフト重合反応させることができる。また、紫外線照射等の容易な方法でグラフト重合反応を行うことができるので、煩雑な工程を経ることがない。よって、より容易かつ確実に歯科用部材の表面を改質して、歯科用部材と歯牙との接着性または他の歯科用部材との接着性を向上させることができる。
また、本発明の上記歯科用部材の表面改質処理方法は、歯科用部材と歯牙との接着性または他の歯科用部材との接着性を向上させることができる。
図1は、本発明の歯科用部材である歯列矯正用のブラケットの一実施形態を示す概略図であって、そのうち、(A)はブラケットを示す図であり、(B)は歯牙を示す図である。
図1の(A)および(B)に示すように、ブラケット10は、歯牙11の歯面11aに接着可能な接着面10aを有しており、少なくともシクロオレフィンを重合したポリマー材料から形成されている。
前記シクロオレフィン系ポリマーにおいて、モノマーとして用いられるシクロオレフィンとしては、シクロペンテン,シクロヘキセン,ノルボルネン,テトラシクロドデセン類等が挙げられ、中でもノルボルネン,テトラシクロドデセン類が好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本発明に係るポリマー材料はシクロオレフィンとシクロオレフィン以外のモノマーとのコポリマーであってもよい。
ポリシクロオレフィンから形成された歯科用部材は、耐溶剤性、機械的強度に優れているため好ましい。このようなポリマーとしては、Zeonor1020R(日本ゼオン(株)社製)等が挙げられる。
鎖状オレフィンとしては、エチレン,プロピレン,4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。このうち、エチレン,プロピレンが好ましく、エチレンが特に好ましい。このようなポリマー材料としては、市販のものがよく知られており、例えば、Topas6013(三井化学(株)社製)等が挙げられる。
シクロオレフィンと鎖状オレフィンとを共重合したポリマー材料において、ポリマー材料全体に占めるシクロオレフィンから誘導された繰り返し単位の含有率としては、5〜99重量%であることが好ましく、30〜99重量%がより好ましい。また、鎖状オレフィンから誘導された繰り返し単位の含有率としては、5〜70重量%が好ましい。
以下、本発明に係る表面改質処理方法の一実施形態として、ブラケット10の接着面10aの表面改質方法について説明する。
まず、ブラケット10の接着面10aを、例えば、アルコール,アセトン,トルエン等を単独又はこれらを混合したもので洗浄する。一般の高分子材料の表面改質処理において、予め高分子材料の表面を洗浄することは通常行われる処理である。
次に、グラフト重合開始剤を溶剤等に溶解して塗布液を作製し、上記洗浄処理がされた接着面10aにこの塗布液を塗布して乾燥する。
ここで用いられるグラフト重合開始剤としては、ベンゾフェノンアントラキノン,ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物、硝酸二セリウムアンモニウム等の過硝酸塩、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩等が挙げられる。また、溶剤としては、アセトン,ベンゼン等の揮発性の高いものが好ましい。塗布液中の重合開始剤の濃度としては、0.5〜10重量%が好ましい。
次に、上記重合開始剤が塗布されたブラケット10の塗布面に、反応性モノマーを供給して接着面10a上で光グラフト重合を行う。具体的には、ブラケット10を、例えば反応性モノマーを含有する溶液が入った反応容器に投入して、光を照射することにより行うことができる。
照射する光の波長は特に限定されないが、波長が200〜360nmの紫外線を用いることが好ましい。また、光源としては、高圧水銀灯,低圧水銀灯,メタルハライドランプ等を用いることができる。光を照射する際、これらの光源に対してフィルターを使用して、特定波長の光を照射してもよいし、光源から発せられる全波長の光を照射してもよい。
上記光グラフト重合反応が終了した後、接着面を溶剤により洗浄する。この操作により、前記親水性ポリマーと、反応性モノマーとが光グラフト重合することにより生じたホモポリマーを溶剤により除去することができる。このとき、50〜80℃に加熱するとより容易に除去できる。
ここで、光重合性接着剤としては、歯科用アクリル系光重合性接着剤等が挙げられる。このような光重合性接着剤としては、市販のものがよく知られており、例えば、商品名:アイデルライトキュア(米国GAC社販売)、リライアンスLC(米国リライアンス社販売)等が挙げられる。
また、接着面10aに光重合性接着剤を塗布した後、適当な波長の光を照射して重合させることにより、接着面10aに光重合性接着剤を確実に固着させることができる。
このように、接着面10aにさらに光重合性接着剤を塗布されたブラケット10は、歯牙との接着時にプライマー処理等の面倒な工程を必要とせず、直前に光を照射するだけで、ブラケット10を接着することができる。
図2(B)及び(C)に示すように、義歯床23は人工歯24との接着面23aを有しており、人工歯24は義歯床23との接着面24aを有している。義歯床23及び人工歯24は、シクロオレフィン系ポリマーにより形成されており、上記ブラケット10(図1)と同様の方法により製造できる。
この場合においても、上記ブラケット10と同様に、義歯床23の接着面23a及び/または人工歯24の接着面24aに、本発明の光グラフト重合による表面改質処理がなされていることが好ましい。義歯床23の接着面23a及び/または人工歯24の接着面24aに、本発明の表面改質処理方法は、上記ブラケット10の場合と同様に行うことができる。このように接着面23a,24aに本発明の表面改質処理を施すことにより、義歯床23と人工歯24との接着性を向上させることができる。
このように、接着面23a,24aに光重合性接着剤を塗布された義歯床23及び人工歯24は、接着時にプライマー処理等の面倒な工程を必要とせず、直前に光を照射するだけで容易に接着することができる。
(ブラケットの作製)
ポリシクロオレフィン(商品名:Zeonor 1020R、ガラス転移温度:105℃、日本ゼオン(株)社製)を用いて、通常の射出成形により図1(A)に示すブラケット10を作製した。なお、得られたブラケットは、0.265gであった。
上記で製作したブラケットを、エタノールにて室温で30分間洗浄し、50℃で30分間乾燥した。
次に、親水性ポリマーとしてポリ酢酸ビニルを3重量%含有し、グラフト重合開始剤としてベンゾフェノン2重量%を含有するアセトン溶液をブラケットの接着面に塗布し、50℃で30分間乾燥した。その後、石英ガラス製の反応容器に、反応性モノマーとしてアクリル酸を5重量%含む水溶液100ml入れ、さらにブラケットを投入して、液面から20cmの距離から高圧水銀灯(商品名:トスキュアHC−411A型、400W、(株)東芝製)により60分間紫外線を照射した。照射後の液温は50℃であった。
以上の処理により、歯面との接着面が光グラフト重合された「ブラケットA」を得た。また、以上の処理によるブラケットの重量増加率は0.2%であった。
上記実施例1で使用したポリシクロオレフィンの代わりに、シクロオレフィンとエチレンとのコポリマー(Topas 6013、熱変形温度:1130℃、三井化学(株)社製)を用いてブラケットを作製して、その接着面に実施例1と同様に表面改質処理を施し、「ブラケットB」を得た。
上記実施例1と同様にブラケットを作製して、接着面に実施例1と同様に表面改質処理を行った。さらに、このブラケットの接着面に、Bis−GMA系光重合性接着剤(商品名:アイデアルライトキュア、米国GAC社販売)を塗布して、600nm以下の成分をフィルターでカットした照明下で塗布した。これを黒色密閉容器で7日間保存して「ブラケットC」を得た。
上記実施例1と同様にブラケットを作製して、「ブラケットD」を得た。なお、上記実施例1で行ったブラケットの接着面の表面改質処理は行わなかった。
(義歯床の作製)
ポリシクロオレフィン(商品名:Zeonor1020R、ガラス転移温度105℃、日本ゼオン(株)製)を用いて、通常の射出成形により図2(B)に示す義歯床23を作製した。なお、得られた義歯床は13.25gであった。
(義歯床の表面改質処理)
上記で製作した義歯床を、エタノールにて30分間洗浄した後50℃で30分間乾燥した。
次に、親水性ポリマーとしてポリ酢酸ビニルを3重量%含有し、グラフト重合開始剤としてベンゾフェノン2重量%含有するアセトン溶液を義歯床の人工歯との接着面に塗布し、50℃で30分乾燥した。その後、石英ガラス製の反応容器に、反応性モノマーとしてアクリル酸を5重量%含む水溶液200ml入れ、さらに義歯床を投入して、液面から20cmの距離から高圧水銀灯(商品名:トスキュア HC−411A型、400W、(株)東芝製)により60分間紫外線を照射した。照射後の液温は45℃であった。
そして、紫外線照射したブラケットを60〜70℃の温水で30分間洗浄した後、アセトンで5分間洗浄してさらに80℃で30分間乾燥した。
以上の処理により、人工歯との接着面が光グラフト重合された「義歯床A」を得た。また、以上の処理による義歯床の重量増加率は0.12%であった。
上記実施例5で使用したポリシクロオレフィンの代わりに、シクロオレフィンとエチレンのコポリマー(Topas6013、熱変形温度130℃、三井化学(株)製)を用いて義歯床を作製して、その人工歯との接着面に実施例5と同様に表面改質処理を施し、「義歯床B」を得た。
上記実施例5と同様に義歯床を作製して、人工歯との接着面に実施例5と同様に表面改質処理を行った。さらに義歯床の人工歯との接着面にBis−GMA系光重合性接着剤(商品名:アイデアルライトキュア、米国GAC社販売)を600nm以下の成分をカットした照明下で塗布した。これを黒色密閉容器で7日間保存して「義歯床C」を得た。
上記実施例5と同様に義歯床を作製して、「義歯床D」を得た。なお、上記実施例5で行った人工歯との接着面の表面改質処理は行わなかった。
上記実施例1で用いたポリシクロオレフィンの代わりに、ポリプロピレン(商品名:J−754HP、出光石油化学(株)社製)を用いてブラケットを作製して、実施例1と同様に表面改質処理を施し、「ブラケットE」を得た。
上記比較例1で用いたポリプロピレンを用いて、「ブラケットF」を作製した。なお比較例1で行った表面改質処理は行わなかった。
上記比較例1で用いたポリプロピレンの代わりに、ガラス繊維により強化したポリプロピレン(商品名:L−3040P、ガラス繊維30%、出光石油化学(株)社製)を用いてブラケットを作製して、比較例1と同様に表面改質処理を施し、「ブラケットG」を得た。
上記比較例3で用いたガラス繊維強化ポリプロピレンを用いて、「ブラケットH」を作製した。なお、比較例3で行ったブラケットの接着面の表面改質処理は行わなかった。
上記比較例1で用いたポリプロピレンの代わりにポリカーボネート(商品名:レキサン、GEプラスチック社製)を用いて、「ブラケットI」を作製した。なお、比較例1で行った表面改質処理は行わなかった。
上記実施例5で用いたシクロオレフィンの代わりに、ポリエチレン(商品名:0628G、出光石油化学(株)製)を用いて義歯床を作製して、実施例5と同様に表面改質処理を施し、「義歯床E」を得た。
上記比較例6で用いたポリエチレンを用いて「義歯床F」を作製した。なお、比較例6で行った表面改質処理は行わなかった。
上記比較例6で用いたポリエチレンの代わりに、ポリメチルメタクリレート(商品名:アクリコンAC、三菱レーヨン社製)に過酸化ベンゾイルを0.5重量%添加したものを用いて「義歯床G」を作製した。なお、比較例6で行った表面改質処理は行わなかった。
上記比較例6で用いたポリエチレンの代わりに、ポリカーボネート(商品名:レキサン、GEプラスチック社製)を用いて「ポリカーボネート製義歯床H」を作製した。なお、比較例6で行った表面改質処理は行わなかった。
(光線透過率)
上記で作製したブラケットA〜Iから、厚さ3mmの試験片を切り出し、ASTM D1003に基づいて、光線透過率の試験を行った。
上記で作製したブラケットA〜I、及び義歯床A〜Hを、引っ張り試験機(モデル5567、米国インストロン社製)に固定し、引っ張り方向の変形が10%に達したときの引張り強さを測定した。
染色剤ダイアニックス・ブルーAC-E、ダイアニックス・イエローAC-E、ダイアニックス・レッドAC-E(いずれもダイスタージャパン(株)社製)をそれぞれ濃度が3重量%となるように水に溶解して、70〜80℃に加熱した。
ここに、上記で作製したブラケットA〜I、及び義歯床A〜Hを投入し、30分間加熱した。その後、中性洗剤を加えた水で煮沸洗浄し、乾燥後着色度合いを比較した。
なお、着色性の評価は以下のようにした。
〇:ほとんど着色しなかった。
×:着色した。
上記で作製したブラケットA,B,D、及び比較用ブラケットE〜Iの接着面に接着剤を塗布し、歯のモデルとした被着体(ブラケットとの接着面がシラン処理されたアルミナセラミック、直径8mm,高さ10mmの円筒形)に接着した。接着剤はBis−GMA系接着剤(商品名:アキュボンド、2ペースト混合タイプ、化学重合型、米国GAC社販売)を用いた。ブラケットが接着された被着体を37℃、24時間大気中に放置した後、引張り試験機(モデル5567、米国インストロン社製)でせん断接着強度を測定した。
人工歯が接着された義歯床を37℃で24時間大気中に放置した後、引っ張り試験機(モデル5567、米国インストロン社製)で引っ張り試験を行った。
上記で作製した義歯床Cについては、上記と同じように義歯を接着させた後、470nmを中心にした光(600〜750mW/cm2)を80秒間照射し、接着剤を重合させた。その後、人工歯が接着された義歯床を37℃で4時間大気中に放置した後、引っ張り試験機(モデル4456、米国インストロン社製)で引っ張り試験を行い、接着強度を測定した。
上記試験の結果を以下の表1に示す。
また、本発明の表面改質処理を行うことにより接着強度が向上するが、特に本発明のブラケット及び義歯床に表面改質処理をした場合に、接着力の向上が顕著であることがわかる。
なお、本発明のブラケットD(表面改質なし)は、ポリカーボネート製のブラケットI(表面改質なし)と比べると接着強度が劣るが、ブラケットIは着色性が極めて劣っているため、歯列矯正部材としては不適当なものであった。同様に、義歯床D(表面改質なし)についても、義歯床G(表面改質なし)及び義歯床H(表面改質なし)と比較すると、接着強度が劣るが、着色性が極めて劣っているため、義歯用部材としては不適当なものであった。
10a,23a,24a 接着面
11 歯牙
11a 歯面
21 上顎用義歯
22 下顎用義歯
23 義歯床(歯科用部材)
24 人工歯(歯科用部材)
Claims (4)
- 表面改質処理された接着面を有し、シクロオレフィンを重合したポリマー材料から形成された歯科用部材であって、前記表面改質処理が、前記接着面にグラフト重合開始剤を塗布し、さらに前記塗布面に反応性モノマーを供給し光照射して、上記グラフト重合開始剤を塗布した接着面部分のポリマー材料に上記反応性モノマーをグラフト重合させることにより行われることを特徴とする歯科用部材。
- 前記接着面に光重合性接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項1に記載の歯科用部材。
- シクロオレフィンを重合したポリマー材料から形成された歯科用部材の表面改質処理方法であって、前記歯科用部材の表面にグラフト重合開始剤を塗布し、さらに前記塗布面に反応性モノマーを供給し光照射して、上記グラフト重合開始剤を塗布した接着面部分のポリマー材料に上記反応性モノマーをグラフト重合させることを特徴とする歯科用部材の表面改質処理方法。
- 上記グラフト重合開始剤含有溶液を塗布および乾燥後に反応性モノマーを供給することを特徴とする請求項3に記載の歯科用部材の表面改質処理方法。
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