JP4736971B2 - 制動時間検出装置およびそれを用いた制動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、制動開始からの経過時間を検出する制動時間検出装置およびそれを用いた制動制御装置に関するものである。
従来、特許文献1において、制動開始からの経過時間を検出する制動時間検出装置が提案されている。この特許文献1に示される制動時間検出装置では、制動開始からアンチスキッド制御(以下、ABSという)における減圧制御開始までの時間を計測し、計測した制動時間に基づいて、減圧制御における減圧速度を設定している。
具体的には、基準値として用いる所定車体速度Vfhを設定し、この所定車体速度Vfhに対して推定した車体速度Vwが判定しきい値に相当する所定速度落ち込んだとき、もしくは、ブレーキスイッチが作動したときを制動開始のタイミング、つまり制動時間検出開始タイミングとして、制動時間を検出している。
特許第2593179号公報
しかしながら、所定車体速度Vfhに対して推定した車体速度Vwが判定しきい値に相当する所定速度落ち込んだときを制動時間検出開始タイミングとした場合、ドライバが実際にブレーキ操作をしてから所定車体速度Vfhに対して推定した車体速度Vwが所定速度落ち込むまでの時間が加味されないため、正確な制動時間を求めることができない。特に、路面状態等の影響を受けないようにするために、判定しきい値をある程度大きな値にせざるを得ないため、このように加味されない時間は少なくない。
また、ブレーキスイッチが作動したときを制動時間検出開始タイミングとした場合、ブレーキスイッチを使うことができないような状況やできないようなシステム、例えばブレーキスイッチが故障してスイッチ精度が補償できないような場合には、正確な制動時間を求めることができないし、ブレーキスイッチが使えるような状況であっても、ブレーキスイッチに頼らずに正確な制動時間が求められるようにするのが望ましい。
本発明は上記点に鑑みて、正確な制動時間の検出が行える制動時間検出装置およびそれを用いた制動制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、複数の車輪(FL、FR、RL、RR)の少なくとも1つの車輪速度に基づいて車輪加速度(DVW)を求め、該車輪加速度(DVW)が制動判定加速度(G1)に達してから制動判定加速度(G1)よりも小さな参照加速度(G2)に達するまでの車輪加速度到達時間(TA)を取得する取得手段(100〜160)と、参照加速度(G2)と制動判定加速度(G1)との差と車輪加速度到達時間(TA)に基づく単位時間当たりの車輪加速度(DVW)の変化量を求める車輪加速度変化量算出手段(180)と、算出された車輪加速度(DVW)の変化量および制動判定加速度(G1)に基づいて、制動開始から車輪加速度(DVW)が制動判定加速度(G1)に達するまでの推定時間(Te)を求め、該推定時間(Te)と車輪加速度到達時間(TA)に基づいて制動時間を求める制動時間算出手段(180)と、を具備することを特徴としている。
このように、固定値とした参照加速度(G2)と制動判定加速度(G1)との差と車輪加速度到達時間(TA)から単位時間当たりの車輪加速度(DVW)の変化量を求め、この変化量および制動判定加速度(G1)に基づいて車輪加速度(DVW)が制動判定加速度(G1)に達するまでの推定時間(Te)を求めることができる。そして、車輪加速度(DVW)が制動判定加速度(G1)に達するまでの推定時間(Te)と車輪加速度到達時間(TA)に基づいて、例えば、これらと車輪加速度到達時間(TA)が経過してからの経過時間(TB)の総計時間を求めることで、制動時間を求めることができる。これにより、制動判定加速度(G1)に至るまでに掛かった推定時間(Te)も加味されて制動時間が求められるため、正確な制動時間を得ることが可能となる。
この場合、請求項2に示すように、取得手段(100〜160)は、参照加速度(G2)を路面摩擦係数μが予め決められた値よりも小さな路面でのμピーク時に想定される車輪加速度以下に設定するのが好ましい。
つまり、路面摩擦係数μが予め決められた値よりも小さな路面でのμピーク時に想定される車輪加速度よりも参照加速度(G2)を大きくした場合、路面摩擦係数が小さい路面(低μ路)であると、参照加速度(G2)に達しない可能性がある。このため、このように参照加速度(G2)を路面摩擦係数μが予め決められた値よりも小さな路面でのμピーク時に想定される車輪加速度以下に設定することで、低μ路でも確実に制動時間が求められるようにすることができる。
請求項3に記載の発明では、参照時間(TA)を固定値とし、取得手段にて、車輪加速度(DVW)が制動判定加速度(G1)に達してから参照時間(TA)を経過したときの参照時間到達加速度(G2)を取得すると共に、車輪加速度変化量算出手段にて参照時間到達加速度(G2)と制動判定加速度(G1)との差と参照時間(TA)から単位時間当たりの車輪加速度(DVW)の変化量を求め、制動時間算出手段にて、この算出された車輪加速度(DVW)の変化量および制動判定加速度(G1)に基づいて、制動開始から車輪加速度(DVW)が制動判定加速度(G1)に達するまでの推定時間(Te)を求めることを特徴としている。
このように、参照時間(TA)を固定値とし、この参照時間(TA)を経過したときの参照時間到達加速度(G2)を用いても、上記請求項1のように推定時間(Te)を求めることができる。これにより、請求項1と同様の効果を得ることができる。
請求項4に記載の発明では、請求項1に示した車輪加速度に代えて車輪スリップを用いたことを特徴としている。具体的には、複数の車輪(FL、FR、RL、RR)の少なくとも1つの車輪速度と車体速度との差に基づいて示される車輪スリップを求め、該車輪スリップが制動判定車輪スリップに達してから制動判定車輪スリップよりも大きな参照車輪スリップに達するまでの参照車輪スリップ到達時間(TA)を取得する取得手段と、参照車輪スリップと制動判定車輪スリップとの差と参照車輪スリップ到達時間(TA)から単位時間当たりの車輪スリップの変化量を求める車輪スリップ変化量算出手段と、算出された車輪スリップの変化量および制動判定車輪スリップに基づいて、制動開始から車輪スリップが制動判定車輪スリップに達するまでの推定時間(Te)を求め、該車輪スリップが制動判定車輪スリップに達するまでの推定時間(Te)と参照車輪スリップ到達時間(TA)および該参照時間(TA)に基づいて制動時間を求める制動時間算出手段と、を具備することを特徴としている。
このように、請求項1で示した車輪加速度に代えて車輪スリップに基づいて制動時間を求めることもできる。これにより、上記と同様の効果を得ることができる。
なお、この場合にも、請求項5に示すように、取得手段は、参照車輪スリップを路面摩擦係数μが予め決められた値よりも小さな路面でのμピーク時に想定される車輪加速度以下に設定すると好ましい。
さらに、車輪加速度に代えて車輪スリップに基づいて制動時間を求める場合においても、請求項6に示すように、参照時間(TA)を固定値とし、取得手段にて、車輪スリップが制動判定車輪スリップに達してから参照時間(TA)を経過したときの参照時間到達車輪スリップを取得すると共に、車輪スリップ変化量算出手段にて参照時間到達車輪スリップと制動判定車輪スリップとの差と参照時間(TA)から単位時間当たりの車輪車輪スリップの変化量を求め、制動時間算出手段にて、この算出された車輪車輪スリップの変化量および制動判定車輪スリップに基づいて、制動開始から車輪車輪スリップが制動判定車輪スリップに達するまでの推定時間(Te)を求めることができる。
このように、参照時間(TA)を固定値とし、この参照時間(TA)を経過したときの参照時間到達車輪スリップを用いても、上記請求項1のように推定時間(Te)を求めることができる。これにより、請求項1と同様の効果を得ることができる。
請求項7ないし9に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の制動時間検出装置を含む制動制御装置に掛かるものであり、請求項7に示すように、制動制御手段(70)にて、制動時間検出装置により求めた制動時間に基づいて、複数の車輪(FL〜RR)それぞれに対応するホイールシリンダ(14、15、34、35)の圧力を制御することにより、複数の車輪(FL〜RR)の制動力を制御することを特徴としている。
これにより、正確な制動時間に基づいて複数の車輪(FL〜RR)それぞれに対応するホイールシリンダ(14、15、34、35)の圧力を制御することができるため、最適な制動制御を実行することが可能となる。
例えば、請求項8に示すように、制動制御手段(70)にて、複数の車輪(FL、FR、RL、RR)それぞれに対応するホイールシリンダの圧力を減圧制御することにより制動力を制御し、車輪スリップを防止するアンチスキッド制御を実行し、制動時間に基づいて減圧制御における減圧時間もしくは減圧量を設定することができる。
このように、正確な制動時間に基づいてアンチスキッド制御の減圧制御の減圧時間(Trel)を求めるようにしているため、最適な減圧制御、引いては最適なアンチスキッド制御を実行することが可能となる。
また、請求項9に示すように、制動制御手段(70)にて、複数の車輪(FL、FR、RL、RR)それぞれに対応するホイールシリンダ(14、15、34、35)を自動加圧するブレーキアシスト制御を実行し、該ブレーキアシスト制御において、ホイールシリンダ(14、15、34、35)を自動加圧するときに増加させる圧力を制動時間に基づいて設定することもできる。
このようにすれば、マスタシリンダ圧が既に発生しているか否かに応じたブレーキアシスト制御を実行でき、引いては各車輪(FL、FR、RL、RR)に対応するホイールシリンダ(14、15、34、35)の圧力の増加量を制御することが可能となる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態が適用された車両用ブレーキ制御装置1の各機能のブロック構成を示したものである。この車両用ブレーキ制御装置1は、制動時間検出装置を含む構成であり、かつ、ABS等の制動制御を実行する制動制御装置を構成するものである。
まず、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置1について説明する。図1に示されるように、車両用ブレーキ制御装置1には、ブレーキペダル11、倍力装置12、M/C13、W/C14、15、34、35およびブレーキ液圧制御用アクチュエータ50が備えられている。また、車両用ブレーキ制御装置1にはブレーキECU70が備えられており、このブレーキECU70が制動時間算出手段および制動制御手段として機能することで、制動時間を検出したり、車両用ブレーキ制御装置1が発生させる制動力を制御するようになっている。具体的には、車両用ブレーキ制御装置1には、各車輪FL、FR、RL、RRの車輪速度に応じたパルス信号を検出信号として出力する車輪速度センサ81〜84が備えられ、各車輪速度センサ81〜84の検出信号や後述する他のセンサの検出信号がブレーキECU70に入力され、ブレーキECU70が入力された検出信号に基づいて各種演算を行うことにより、制動時間の検出や制動力の制御を行っている。
図2は、車両用ブレーキ制御装置1を構成する各部の詳細構造を示した図である。この図に示されるように、車両に制動力を加える際にドライバによって踏み込まれるブレーキ操作部材としてのブレーキペダル11は、ブレーキ液圧発生源となる倍力装置12およびM/C13に接続されており、ドライバがブレーキペダル11を踏み込むと、倍力装置12にて踏力が倍力され、M/C13に配設されたマスタピストン13a、13bを押圧する。これにより、これらマスタピストン13a、13bによって区画されるプライマリ室13cとセカンダリ室13dとに同圧のM/C圧が発生させられるようになっている。
M/C13には、プライマリ室13cおよびセカンダリ室13dそれぞれと連通する通路を有するマスタリザーバ13eが備えられている。マスタリザーバ13eは、その通路を通じてM/C13内にブレーキ液を供給したり、M/C13内の余剰のブレーキ液を貯留したりする。なお、各通路は、各ピストン13a、13bが押されたときにはプライマリ室13cおよびセカンダリ室13dと遮断される。
M/C13に発生させられるM/C圧は、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50を通じて各W/C14、15、34、35に伝えられるようになっている。
ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50は、第1配管系統50aと第2配管系統50bとを有して構成されている。第1配管系統50aは、左前輪FLと右後輪RRに加えられるブレーキ液圧を制御するもので、第2配管系統50bは、左後輪RLと右前輪FRに加えられるブレーキ液圧を制御するものであり、これら第1、第2配管系統50a、50bの2つの系統により前後配管の車両用ブレーキ制御装置1が構成されている。
以下、第1、第2配管系統50a、50bについて説明するが、第1配管系統50aと第2配管系統50bとは、略同様の構成であるため、ここでは第1配管系統50aについて説明し、第2配管系統50bについては、第1配管系統50aを参照して説明を省略する。
第1配管系統50aには、上述したM/C圧を左後輪RLに備えられたW/C14及び右後輪RRに備えられたW/C15に伝達する主管路となる管路Aが備えられている。この管路Aを通じて、各W/C14、15それぞれにW/C圧を発生させられるようになっている。
また、管路Aには、第1差圧制御弁16が備えられている。この第1差圧制御弁16は、上下流間に発生させられる差圧をリニアに制御するリニア弁として機能する。第1差圧制御弁16は、基本的には連通・遮断状態を制御できる常開型の電磁弁により構成されているが、これら第1差圧制御弁16に備えられるソレノイドに流す電流値を調整すると第1差圧制御弁16に備えられた弁体と弁座の間隔が制御され、弁体と弁座の間に発生する絞り効果が変化してそれに応じた差圧を保持させられるため、第1差圧制御弁16をリニア弁として機能させることができる。
この第1差圧制御弁16は、通常ブレーキ状態では連通状態となるように弁位置が調整されており、ソレノイドコイルに電流が流されると、その電流値に応じた差圧を発生させる。このとき第1差圧制御弁16で形成される差圧量は、ソレノイドコイルに流す電流の電流値に応じたものとなり、電流値が大きいほど大きな差圧量となる関係となっている。
この第1差圧制御弁16が差圧状態とされていると、弁体と弁座の間隔に応じてブレーキ液の流動が規制されるため、常時W/C14、15側がM/C13側よりも所定圧力以上高くならないように維持され、それぞれの管路の保護が成されている。
そして、管路Aは、この第1差圧制御弁16よりもW/C14、15側の下流において、2つの管路A1、A2に分岐する。2つの管路A1、A2の一方にはW/C14へのブレーキ液圧の増圧を制御する第1増圧制御弁17が備えられ、他方にはW/C15へのブレーキ液圧の増圧を制御する第2増圧制御弁18が備えられている。
第1、第2増圧制御弁17、18は、上下流間に発生させられる差圧をリニアに制御するリニア弁として機能する。第1、第2増圧制御弁17、18も、基本的には連通・遮断状態を制御できる常開型の電磁弁により構成されており、第1差圧制御弁16と同様、ソレノイドに流す電流値を調整することにより、第1、第2増圧制御弁17、18をリニア弁として機能させることができる。
これら第1、第2増圧制御弁17、18が遮断状態のときにはM/C圧が各W/C14、15に伝わらないようにされる。また、第1、第2増圧制御弁17、18がほぼ差圧の発生しないような連通状態のときにはM/C圧あるいは後述するポンプ19からのブレーキ液の吐出によるブレーキ液圧をW/C14、15に加えることができる。そして、第1、第2増圧制御弁17、18により差圧が保持されているときにはM/C13とW/C14、15の間に差圧が発生させられ、W/C圧がM/C圧よりも差圧分だけ高くされる。
なお、ドライバが行うブレーキペダル11の操作による通常のブレーキ時においては、第1差圧制御弁16及び第1、第2増圧制御弁17、18は、常時連通状態に制御されている。
また、第1差圧制御弁16及び第1、第2増圧制御弁17、18には、それぞれ安全弁16a、17a、18aが並列に設けられている。第1差圧制御弁16の安全弁16aは、第1差圧制御弁16が差圧状態とされている際にドライバによりブレーキペダル11が踏み込まれた場合に、M/C圧をW/C14、15に伝達可能とするために設けられている。また、各増圧制御弁17、18の安全弁17a、18aは、特にABS時において各増圧制御弁17、18が遮断状態に制御されている際に、ドライバによりブレーキペダル11が戻された場合において、この戻し操作に対応して左後輪RLおよび右後輪RRのW/C圧を減圧可能とするために設けられている。
管路Aにおける第1、第2増圧制御弁17、18及び各W/C14、15の間と調圧リザーバ20とを結ぶ減圧管路としての管路Bには、連通・遮断状態を制御できる2位置弁として、電磁弁からなる第1減圧制御弁21と第2減圧制御弁22がそれぞれ配設されている。そして、これら第1、第2減圧制御弁21、22は、通常ブレーキ時には、常時遮断状態とされている。
調圧リザーバ20と主管路である管路Aの間を結ぶように、還流管路となる管路Cが配設されている。この管路Cには調圧リザーバ20からM/C13側あるいはW/C14、15側に向けてブレーキ液を吸入吐出するように、モータ60によって駆動される自吸式のポンプ19が設けられている。
なお、ポンプ19の吐出口側には、ポンプ19に対して高圧なブレーキ液が加えられないように、安全弁19aが備えられている。また、ポンプ19が吐出したブレーキ液の脈動を緩和するために、管路Cのうちポンプ19の吐出側には固定容量ダンパ23が配設されている。
そして、調圧リザーバ20とM/C3とを接続するように、補助管路となる管路Dが設けられている。この管路Dを通じて、ポンプ19にてM/C13からブレーキ液を吸入し、管路Aに吐出することで、ABS時などにW/C14、15側にブレーキ液を供給し、対象となる車輪のW/C圧を増加できるようになっている。
調圧リザーバ20は、管路Dに接続されてM/C3側からのブレーキ液を受け入れるリザーバ孔20aと、管路B及び管路Cに接続されW/C14、15から逃がされるブレーキ液を受け入れると共にポンプ19の吸入側にブレーキ液を供給するリザーバ孔20bとが備えられ、これらがリザーバ室20cと連通している。リザーバ孔20aより内側には、ボール弁20dが配設されている。このボール弁20dには、ボール弁20dを上下に移動させるための所定ストロークを有するロッド20fがボール弁20dと別体で設けられている。
また、リザーバ室20c内には、ロッド20fと連動するピストン20gと、このピストン20gをボール弁20d側に押圧してリザーバ室20c内のブレーキ液を押し出そうとする力を発生するスプリング20hが備えられている。
このように構成された調圧リザーバ20は、所定量のブレーキ液が貯留されると、ボール弁20dが弁座20eに着座して調圧リザーバ20内にブレーキ液が流入しないようになっている。このため、ポンプ19の吸入能力より多くのブレーキ液がリザーバ室20c内に流動することがなく、ポンプ19の吸入側に高圧が印加されないようになっている。
一方、上述したように、第2配管系統50bは、第1配管系統50aにおける構成と略同様となっている。つまり、第1差圧制御弁16および安全弁16aは、第2差圧制御弁36および安全弁36aに対応する。第1、第2増圧制御弁17、18および安全弁17a、18aは、それぞれ第3、第4増圧制御弁37、38および安全弁37a、38aに対応し、第1、第2減圧制御弁21、22は、それぞれ第3、第4減圧制御弁41、42に対応する。調圧リザーバ20および各構成要素20a〜20hは、調圧リザーバ40および各構成要素40a〜40hに対応する。ポンプ19および安全弁19aは、ポンプ39および安全弁19aに対応する。ダンパ23は、ダンパ43に対応する。また、管路A、管路B、管路C、管路Dは、それぞれ管路E、管路F、管路G、管路Hに対応する。以上のように車両用ブレーキ制御装置1における液圧配管構造が構成されている。
ブレーキECU70は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従って各種演算などの処理を実行する。例えば、ブレーキECU70は、図1に示した各車輪速度センサ81〜84の検出信号を受け取って車輪速度を求めると共に、車輪速度から推定車体速度(以下、単に車体速度という)を求めたり、車輪速度を時間微分することにより車輪加速度(車輪減速度)を求めたりしている。このブレーキECU70からの電気信号に基づいて、上記のように構成されたブレーキ液圧制御用アクチュエータ50における各制御弁16〜18、21、22、36〜38、41、42への電流供給制御及びポンプ19、39を駆動するためのモータ60への電圧印加制御が実行されるようになっている。これにより、各W/C14、15、34、35に発生させられるW/C圧が制御され、各車輪FL〜RRの制動力の制御が行われる。
具体的には、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50では、ブレーキECU70からモータ60に対して駆動電圧が印加されると共に各制御弁16〜18、21、22、36〜38、41、42に備えられたソレノイドに対して制御電流が供給されると、その制御電流に応じてブレーキ液圧制御用アクチュエータ50内の各制御弁16〜18、21、22、36〜38、41、42が駆動され、ブレーキ配管の経路が設定される。そして、設定されたブレーキ配管の経路に応じたブレーキ液圧がW/C14、15、34、35に発生させられ、各車輪FL〜RRに発生させられる制動力を制御できるようになっている。
例えば、ABSを実行する場合、減圧制御、保持制御、増圧制御で以下の動作を行う。
減圧制御のときには、第1、第2差圧制御弁16、36は連通状態のままとして、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38を遮断状態とし、第1〜第4減圧制御弁21、22、41、42を連通状態とする。そして、モータ60を駆動することでポンプ19、39を作動させる。これにより、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38とW/C14、15、34、35の間において、管路A、E内のブレーキ液が第1、第2リザーバ20、40に逃がされる。そして、そのブレーキ液がポンプ19、39によって吸入・吐出され、管路A、EのうちのM/C13と第1、第2差圧制御弁16、36の間に戻される。これにより、各W/C14、15、34、35のW/C圧が減圧される。
保持制御のときには、第1、第2差圧制御弁16、36は連通状態のままとして、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38を遮断状態、第1〜第4減圧制御弁21、22、41、42も遮断状態とする。これにより、各W/C14、15、34、35のW/C圧が保持される。
増圧制御のときには、第1、第2差圧制御弁16、36は連通状態のままとして、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38により発生させる差圧を徐々に小さくしていき、第1〜第4減圧制御弁21、22、41、42を遮断状態とする。第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38に関しては、まず、増圧制御が実行される直前に第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の上下流間に発生させられていた差圧とされ、それから徐々にその差圧が小さくなるように、ソレノイドへの通電量が制御される。これにより、第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の下流に位置するW/C14、15、34、35に発生するW/C圧と高圧な第1〜第4増圧制御弁17、18、37、38の上流側のブレーキ液圧の差圧が小さくなり、W/C14、15、34、35のW/C圧が増圧される。
続いて、上記のように構成された車両用ブレーキ制御装置1の実行する制動時間検出処理およびABS処理について説明する。
まず、車両用ブレーキ制御装置1の実行する制動時間検出処理について説明する。図3は、制動時間検出処理の詳細を示したフローチャートである。この制動時間検出処理は、ブレーキECU70により、予め決められた演算周期毎に実行される。また、図4は、図3に示す制動時間検出処理を実行したときのタイミングチャートである。これら図3、図4を参照して制動時間検出処理について説明する。
図3のステップ100では、まず、車輪速度VWの微分値として示される車輪加速度DVWが制動判定加速度G1以下であるか否かを判定する。ドライバがブレーキペダル11を操作して制動力が発生させられた場合、車輪加速度DVWが落ち込み、負の値となる。このため、制動判定加速度G1となったときにドライバがブレーキペダル11を操作したと想定したしきい値として用いている。
このとき、図4中の時点T1以前のように、まだ車輪加速度DVWが制動判定加速度G1以下になっていなければ、制動開始と判定せず、ステップ110に進む。そして、ステップ110において、後述するように制動時間の演算に用いる参照時間(車輪加速度到達時間に相当)TAを0のままとし、例えばまだ参照時間TAが決定していないということを意味するフラグをセットすることにより、その旨を記憶しておく。
また、図4中の時点T1に至り、車輪加速度DVWが制動判定加速度G1以下になると、ステップ120に進み、参照時間TAが決定していないか否かを判定する。参照時間TAが決定していないか否かについては、ステップ110でその旨を示すフラグが記憶されているか否かに基づいて判定される。このステップで肯定判定された場合、まだ参照時間TAを計測している途中である。このため、この場合には、ステップ130に進み、参照時間TAの計測を続けるべく、参照時間TAを1つインクリメントしてステップ140に進む。また、ステップ120で否定判定された場合には、既に参照時間TAが決定しているため、そのままステップ140に進む。
ステップ140では、車輪加速度DVWが参照加速度G2未満に到達したか否かを判定する。参照加速度G2は、参照時間TAを確定するためのしきい値である。参照加速度G2は、本実施形態では固定値としてあり、制動判定加速度G1よりも小さな加速度に設定してあれば良いが、路面摩擦係数μが予め決められた値よりも小さな路面、具体的には路面摩擦係数μが小さな低μ路でのμピーク時に想定される車輪加速度以下に設定するのが好ましい。これは、路面摩擦係数μが予め決められた値よりも小さな路面でのμピーク時に想定される車輪加速度よりも参照加速度G2を大きくした場合、路面摩擦係数μが小さい路面(低μ路)のときに、参照加速度G2に達しない可能性がある。このため、このように参照加速度G2を路面摩擦係数μが予め決められた値よりも小さな路面でのμピーク時に想定される車輪加速度以下に設定することで、低μ路でも確実に制動時間が求められるようにすることができる。
このように、参照化速度G2を設定し、車輪加速度DVWが上述した制動判定加速度G1に達してから、参照加速度G2に達するまでの時間を参照時間TAとして確定している。
ここで、図4中の時点T2に至っており、このステップで肯定判定されれば、ステップ150に進み、再び参照時間TAが決定していないか否かが判定される。そして、制動開始から初めて車輪加速度GVWが参照加速度G2に達し、まだ参照時間TAが決まっていないときに肯定判定される。
このステップで肯定判定されると、ステップ160に進み、ステップ130での計測結果に基づいて参照時間TAを決定する。その後、ステップ180に進む。一方、ここで否定判定されれば、既に参照時間TAが決定しているため、ステップ170に進み、参照時間TAが決定した後の経過時間TBの計測を続けるべく、経過時間TBを1つインクリメントしてステップ180に進む。
なお、上述したステップ140で否定判定された場合には、まだ経過時間TBを計測する状況に至っていないため、ステップ190に進み、経過時間TBを0にしておく。そして、ステップ180に進む。
そして、ステップ180では、次式に基づいて制動時間Tの演算を行う。
(数1)
制動時間T=TA+TA×G1/(G2−G1)+TB
この数式のうちの第2項(TA×G1/(G2−G1))が、制動開始から車輪加速度DVWが制動判定加速度G1に達するまでに掛かった時間、つまり、図4に示すように、参照時間TAを計測する前の時間に相当する推定時間Teである。この項は、車輪加速度DVWが制動判定加速度G1から参照加速度G2に至るまでの車輪加速度DVWの変化量を参照時間TAで割ることにより、車輪加速度DVWの単位時間当たりの変化勾配((G2−G1)/TA)を求め、車輪加速度DVWが0から制動判定加速度G1に変化するまでに掛かる時間Teをその変化勾配に制動判定加速度G1を掛けることで求めたものである。この推定時間Teに参照時間TAおよび計測中の経過時間TBを加算した総計時間を求めることで、制動開始からの経過時間を表す制動時間Tを求めることができる。
なお、制動判定加速度G1と参照加速度G2は無関係に設定可能であるが、例えば、制動判定加速度G1に対して参照加速度G2が2倍の値となるようにすれば(G1×2=G2)、上記数式における第2項の解がTAとなるため、参照加速度G2を制動判定加速度G1の複数倍に設定しておけば、演算の容易化が図れる。
このようにして、制動時間Tが求められると、ABSを実行する際に、この制動時間Tに基づいて減圧制御における減圧時間が求められる。以下、ABSについて説明するが、ABSの全体概要に関しては周知技術と同様であるため、周知技術と異なっているABSの減圧制御における減圧時間演算処理についてのみ説明する。
図5は、減圧時間演算処理のフローチャートである。この減圧時間演算処理は、別フローで実行されるABS開始判定処理でのABS開始条件を満たしたときに、所定の演算周期毎に実行される。なお、ABS開始判定処理に関しては、従来より一般的に行われているものであるため、ここでは説明を省略する。
まず、ステップ200では、ABS制御初回であるか否かの判定を行う。例えば、ABS開始条件を満たしてABSの実行が開始された演算周期であるか否かに基づいて判定され、ABS開始時にセットされるABS開始フラグがセットされたときの演算周期であれば肯定判定され、それ以外の演算周期であれば否定判定される。
ここで肯定判定されると、ステップ210に進み、減圧時間Trelを演算する。減圧時間Trelの演算は、制動開始からABSが開始されるまでに掛かった制動時間Tが上述した制動時間演算処理にて求められているため、この制動時間Tに基づいて求められる。図6は、制動時間Tと減圧時間Trelとの関係を示したグラフである。この図に示されるように、制動時間Tが長くなるほど減圧時間Trelが短くなる関係とされている。これは、路面摩擦係数μと関係している。
図7は、ABSが実行された場合のM/C圧に対するW/C圧の変化を路面摩擦係数μが高いときと低いときそれぞれについて示した図である。この図に示されるように、路面摩擦係数μが高い場合には、W/C圧がM/C圧に近い値で制御されるため、減圧量は少ない方が好ましい。一方、路面摩擦係数μが低い場合には、W/C圧が路面摩擦係数μが高い場合よりもさらに近い値で制御されるため、減圧量は大きくなる。
そして、制動時間Tが長ければABSが開始され難い状況、つまり路面摩擦係数μが高い状況であり、制動時間Tが短ければABS制御が開始され易い状況、つまり路面摩擦係数μが低い状況であると推測できることから、制動時間Tが長くなるほど減圧時間Trelが短くなるようにしている。
したがって、ステップ210では、図6に示すような制動時間Tと減圧時間Trelの関係を示すMAPもしくはその関係を示した関数式に基づいて、減圧時間Trelを求めることができる。
一方、否定判定されると、ステップ220に進む。そして、既にステップ210で求められている値を減圧時間Trelとして用いる。なお、ここでは一旦ステップ210で減圧時間Trelが求められると、その後もそれがそのまま用いられるようにしているが、勿論、時々刻々と減圧時間が可変となるような制御形態としても構わない。
このようにして、ABSの減圧制御における減圧時間Trelが制動時間Tに基づいて求められると、それに応じて減圧制御が実行され、その後、保持制御・増圧制御が実行され、推定車体速度と車輪速度VWとの偏差として表されるスリップ率が所望値となるようにABSの制御対象輪の制動力が制御され、車輪スリップが防止される。
以上説明したように、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置1においては、車輪加速度DVWが制動判定加速度G1に達してから参照加速度G2に達するまでに掛かる時間を参照時間TAとし、車輪加速度DVWが制動判定加速度G1から参照加速度G2に至るまでの車輪加速度DVWの変化量を参照時間TAで割ることにより、車輪加速度DVWの単位時間当たりの変化勾配((G2−G1)/TA)を求め、車輪加速度DVWが0から制動判定加速度G1に変化するまでに掛かる時間Teをその変化勾配に制動判定加速度G1を掛けることで求めている。
このため、推定時間Teに参照時間TAおよび計測中の経過時間TBを加算した総計時間を求めることで、制動開始からの経過時間を表す制動時間Tを求めることができる。これにより、制動判定加速度G1に至るまでに掛かった時間Teも加味されて制動時間Tが求められるため、正確な制動時間Tを得ることが可能となる。そして、このような正確な制動時間Tに基づいてABSの減圧制御の減圧時間Trelを求めるようにしているため、最適な減圧制御、引いては最適なABSを実行することが可能となる。
(第2実施形態)
上記実施形態では、制動判定加速度G1と参照加速度G2を用いているが、推定車体速度に対する車輪速度VWの差、つまり車輪スリップをしきい値として用い、これらの差が所定値となるときを制動判定車輪スリップとして用い、それよりも大きな値となるときを参照車輪スリップとして用いる。
この場合にも、推定車体速度に対する車輪速度VWの差が制動判定車輪スリップに達してから参照車輪スリップに達するまでの時間を参照時間TAとする。本実施形態の場合、この参照時間TAが本発明の車輪スリップ到達時間に相当する。そして、制動判定車輪スリップと参照車輪スリップの差を参照時間TAで割ることで単位時間当たりの推定車体速度に対する車輪速度VWの差の変化量を求め、これに第1のしきい値となる制動判定車輪スリップを掛けるという図3のステップ180と同様の手法を用いることにより、推定車体速度に対する車輪速度VWの差が制動判定車輪スリップに達するまでに掛かった経過時間Teを求めることができる。このため、経過時間Teに参照時間TAおよび計測中の経過時間TBを加算した総計時間を求めることで、制動開始からの経過時間を表す制動時間Tを求めることができる。
このようにしても、制動判定車輪スリップに至るまでに掛かった時間Teも加味された制動時間Tを求められるため、正確な制動時間Tを得ることが可能となる。そして、このように正確な制動時間Tに基づいてABSの減圧制御の減圧時間Trelを求めるようにすれば、最適な減圧制御、引いては最適なABSを実行することが可能となる。
なお、ここでは推定車体速度に対する車輪速度VWの差を車輪スリップとして用いているが、この差を推定車体速度で割ったスリップ率を車輪スリップとして用いて上記と同様に正確な制動時間Tを求めることができる。
また、本実施形態で用いた参照車輪スリップに関しても、第1実施形態における参照加速度G2と同様に固定値としてある。この参照車輪スリップも、制動判定車輪スリップよりも小さな車輪スリップに設定してあれば良いが、参照加速度G2と同様の理由により、路面摩擦係数μが予め決められた値よりも小さな路面、具体的には路面摩擦係数μが小さな低μ路でのμピーク時に想定される車輪スリップ以下に設定するのが好ましい。
(他の実施形態)
上記第1、第2実施形態では、制動判定加速度(もしくは制動判定車輪スリップ)と参照加速度(もしくは参照車輪スリップ)という2つのしきい値を用い、これらが共に予め決められた固定値であることを前提として説明を行った。しかしながら、制動判定加速度(もしくは制動判定車輪スリップ)およびこの制動判定加速度(もしくは制動判定車輪スリップ)からの参照時間TAを固定値とし、参照時間TAをしきい値として用いて、参照時間TAが経過したときの車輪加速度DVW(もしくは車輪スリップ)を参照時間到達加速度(もしくは参照時間到達車輪スリップ)として上記ステップ180と同様の演算を行うようにしても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態では制動時間Tに基づく制御としてアンチスキッド制御を例に挙げて説明したが、各車輪FL〜RRそれぞれと対応するW/C14、15、34、35の圧力を自動加圧するブレーキアシスト制御に関しても、制動時間Tに基づく制御を実行することが可能である。すなわち、ブレーキアシスト制御においては、第1、第2差圧制御弁16、36にて差圧を発生させた状態で、モータ60を駆動してポンプ19、39を動作させ、M/C13側からブレーキ液を吸入しW/C14、15、34、35側にブレーキ液を吐出させる。このときW/C14、15、34、35の加圧量を制動時間Tに応じて変化させることができる。
具体的には、制動開始からブレーキアシスト制御に移行するまでに掛かった時間が長ければある程度M/C圧が発生した状態からブレーキアシスト制御が行われることになり、短ければほとんどM/C圧が発生していない状態からブレーキアシスト制御が行われることになる。これを考慮して、例えば、制動時間Tの長さに応じて第1、第2差圧制御弁16、36で発生させる差圧を変える。例えば、第1、第2差圧制御弁16、36で発生させる差圧を制動時間Tがしきい値未満の場合には第1の値とし、しきい値以上の場合には第1の値よりも低い第2の値とすることで、M/C圧が既に発生しているか否かに応じて第1、第2差圧制御弁16、36で発生させる差圧を制御でき、引いては各車輪FL〜RRに対応するW/C14、15、34、35の圧力の増加量を制御することが可能となる。
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。例えば、ステップ100〜160を実行する部分は、車輪加速度DVWが制動判定加速度G1に達してから制動判定加速度G1よりも小さな参照加速度G2に達するまでの車輪加速度到達時間に相当する参照時間TAを取得する取得手段に相当する。また、ステップ180を実行する部分が、参照加速度G2と制動判定加速度G1との差と車輪加速度到達時間TAに基づく単位時間当たりの車輪加速度DVWの変化量を求める車輪加速度変化量算出手段と、算出された車輪加速度DVWの変化量および制動判定加速度G1に基づいて、制動開始から車輪加速度DVWが制動判定加速度G1に達するまでの推定時間Teを求め、該推定時間Teと車輪加速度到達時間TAに基づいて制動時間を求める制動時間算出手段に相当する。また、本発明の第2実施形態や他の実施形態に関しては、図示していないが、それぞれ第1実施形態の図中に示した各ステップで求めるものを各実施形態と対応するように置き換えたものが、各種処理を実行する手段に対応するものとなる。例えば、車輪加速度に代えて車輪スリップに基づいて制動時間を求める場合には、車輪加速度変化量算出手段に対応するものが車輪スリップ変化量算出手段となる。
本発明の第1実施形態における車両用ブレーキ制御装置1の各機能のブロック構成を示した図である。 図1に示す車両用ブレーキ制御装置1を構成する各部の詳細構造を示した図である。 制動時間T検出処理の詳細を示したフローチャートである。 図3に示す制動時間検出処理を実行したときのタイミングチャートである。 減圧時間演算処理のフローチャートである。 制動時間Tと減圧時間Trelとの関係を示したグラフである。 ABSが実行された場合のM/C圧に対するW/C圧の変化を路面摩擦係数μが高いときと低いときそれぞれについて示した図である。 従来の制動時間Tの検出手法を説明するためのタイミングチャートである。
符号の説明
1…車両用ブレーキ制御装置、11…ブレーキペダル、13…M/C、14、15、34、35…W/C、16、36…第1、第2差圧制御弁、17、18、37、38…第1〜第4増圧制御弁、19、39…ポンプ、20、40…調圧リザーバ、21、22、41、42…第1〜第4減圧制御弁、23、43…ダンパ、50…ブレーキ液圧制御用アクチュエータ、50a、50b…第1、第2配管系統、60…モータ、70…ブレーキECU、81〜84…各車輪速度センサ、A〜H…管路、FL〜RR…各車輪。

Claims (9)

  1. 複数の車輪(FL、FR、RL、RR)の少なくとも1つの車輪速度に基づいて車輪加速度(DVW)を求め、該車輪加速度(DVW)が制動判定加速度(G1)に達してから前記制動判定加速度(G1)よりも小さな参照加速度(G2)に達するまでの車輪加速度到達時間(TA)を取得する取得手段(100〜160)と、
    前記参照加速度(G2)と前記制動判定加速度(G1)との差と前記車輪加速度到達時間(TA)に基づく単位時間当たりの前記車輪加速度(DVW)の変化量を求める車輪加速度変化量算出手段(180)と、
    算出された前記車輪加速度(DVW)の変化量および前記制動判定加速度(G1)に基づいて、制動開始から前記車輪加速度(DVW)が前記制動判定加速度(G1)に達するまでの推定時間(Te)を求め、該推定時間(Te)と前記車輪加速度到達時間(TA)に基づいて制動時間を求める制動時間算出手段(180)と、を具備することを特徴とする制動時間検出装置。
  2. 前記取得手段(100〜160)は、前記参照加速度(G2)を路面摩擦係数μが予め決められた値よりも小さな路面でのμピーク時に想定される車輪加速度以下に設定することを特徴とする請求項1に記載の制動時間検出装置。
  3. 複数の車輪(FL、FR、RL、RR)の少なくとも1つの車輪速度に基づいて車輪加速度(DVW)を求め、該車輪加速度(DVW)が制動判定加速度(G1)に達してから参照時間(TA)を経過したときの参照時間到達加速度(G2)を取得する取得手段と、
    前記参照時間到達加速度(G2)と前記制動判定加速度(G1)との差と前記参照時間(TA)から単位時間当たりの前記車輪加速度(DVW)の変化量を求める車輪加速度変化量算出手段と、
    算出された前記車輪加速度(DVW)の変化量および前記制動判定加速度(G1)に基づいて、制動開始から前記車輪加速度(DVW)が前記制動判定加速度(G1)に達するまでの推定時間(Te)を求め、該推定時間(Te)と前記参照時間(TA)に基づいて制動時間を求める制動時間算出手段と、を具備することを特徴とする制動時間検出装置。
  4. 複数の車輪(FL、FR、RL、RR)の少なくとも1つの車輪速度と前記車体速度との差に基づいて示される車輪スリップを求め、該車輪スリップが制動判定車輪スリップに達してから前記制動判定車輪スリップよりも大きな参照車輪スリップに達するまでの参照車輪スリップ到達時間(TA)を取得する取得手段と、
    前記参照車輪スリップと前記制動判定車輪スリップとの差と前記参照車輪スリップ到達時間(TA)から単位時間当たりの前記車輪スリップの変化量を求める車輪スリップ変化量算出手段と、
    算出された前記車輪スリップの変化量および前記制動判定車輪スリップに基づいて、制動開始から前記車輪スリップが前記制動判定車輪スリップに達するまでの推定時間(Te)を求め、該車輪スリップが前記制動判定車輪スリップに達するまでの推定時間(Te)と前記参照車輪スリップ到達時間(TA)および該参照時間(TA)に基づいて制動時間を求める制動時間算出手段と、を具備することを特徴とする制動時間検出装置。
  5. 前記取得手段は、前記参照車輪スリップを路面摩擦係数μが予め決められた値よりも小さな路面でのμピーク時に想定される車輪スリップ以下に設定することを特徴とする請求項4に記載の制動時間検出装置。
  6. 複数の車輪(FL、FR、RL、RR)の少なくとも1つの車輪速度と前記車体速度との差に基づいて示される車輪スリップを求め、該車輪スリップが制動判定車輪スリップに達してから参照時間(TA)を経過したときの参照時間到達車輪スリップを取得する取得手段と、
    前記参照時間到達車輪スリップと前記制動判定車輪スリップとの差と前記参照時間(TA)から単位時間当たりの前記車輪スリップの変化量を求める車輪スリップ変化量算出手段と、
    算出された前記車輪スリップの変化量および前記制動判定車輪スリップに基づいて、制動開始から前記車輪スリップが前記制動判定車輪スリップに達するまでの推定時間(Te)を求め、該車輪スリップが前記制動判定車輪スリップに達するまでの推定時間(Te)と前記参照時間(TA)および該参照時間(TA)に基づいて制動時間を求める制動時間算出手段と、を具備することを特徴とする制動時間検出装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1つに記載の制動時間検出装置を含み、該制動時間検出装置により求めた前記制動時間に基づいて、前記複数の車輪(FL、FR、RL、RR)それぞれに対応するホイールシリンダ(14、15、34、35)の圧力を制御することにより、前記複数の車輪(FL、FR、RL、RR)の制動力を制御する制動制御手段(70)を有していることを特徴とする制動制御装置。
  8. 前記制動制御手段(70)は、前記複数の車輪(FL、FR、RL、RR)それぞれに対応する前記ホイールシリンダの圧力を減圧制御することにより制動力を制御し、車輪スリップを防止するアンチスキッド制御を実行し、前記制動時間に基づいて前記減圧制御における減圧時間もしくは減圧量を設定することを特徴とする請求項7に記載の制動制御装置。
  9. 前記制動制御手段(70)は、前記複数の車輪(FL〜RR)それぞれに対応するホイールシリンダ(14、15、34、35)を自動加圧するブレーキアシスト制御を実行し、該ブレーキアシスト制御において、前記ホイールシリンダ(14、15、34、35)を自動加圧するときに増加させる圧力を前記制動時間に基づいて設定することを特徴とする請求項7または8に記載の制動制御装置。
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