JP4717673B2 - 吸水・保水シート - Google Patents

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本発明は、吸水・保水シートに関する。より詳細には、水分の透水性、吸水性に優れ、かつ水分発散を適度に抑制可能な吸水・保水シートに関する。本発明の吸水・保水シートは、特に雑草の発芽を防止し、果樹、樹木の生長を促進する防草シートとして有用である。
農業用シート、土木用シート、衛生材料等の各分野において、吸水性、保水性に優れたシートが求められており、各種提案されている(特許文献1〜2参照)。しかしながら、これら吸水・保水シートは、吸水性能が充分ではなく、また強度にも劣るといった問題が指摘されている。
一方、農地、庭園、グリーンベルトなどで栽培、育成される野菜、果樹、樹木の生長のため給水、肥料の添加、除草作業が行われるが、雑草は成長が早く、頻繁に除草作業を行わなければならず、多大な労力と時間を要することとなる。除草作業として、除草剤等を散布する方法が挙げられるが、除草剤による効果は一時的なものであり、また近年の環境意識の高まりから、除草剤の使用を控える傾向にある。そこで、栽培地面に敷設して雑草の発芽を防止する防草シートが各種提案されている(例えば特許文献3〜6参照)。
しかしながらこれら防草シートは、吸水性が充分でなく、保水性にも劣るため特に真夏は頻繁に散水を行う必要がある。また、栽培ハウス内では、雨水による吸水がないため定期的な散水作業が必要となる。一方、近年農家では農業従事者の高齢化に伴い、労働力の軽減が求められている。
上記したような背景の下、散水頻度を下げ、適度に地面の保水性を保ちつつ、さらに雑草の発芽を防止する防草シートが求められている。
特開2002−347153号公報 特開2005−082904号公報 特開平8−103177号公報 特開平10−262472号公報 特開平9−099980号公報 特開2005−034013号公報
本発明は、こうした現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた吸水性と適度な保水性を有し、かつ防草性にも優れた吸水・保水シートを提供することにある。
すなわち本発明は、メルトブローン不織布の少なくとも一方の面に、ポリビニルアルコール繊維、疎水性繊維、および熱融着性繊維を含有する乾式不織布が積層されてなる吸水・保水シートである。
本発明により、優れた吸水性、透水性と適度な保水性を有する吸水・保水シートを得ることができる。また、本発明の吸水・保水シートを防草シートに用いることで、雑草の発芽を防止でき、野菜、果樹、樹木の生長が促進される。
本発明の吸水・保水シートは、上記したようにメルトブローン不織布の片面または両面に、ポリビニルアルコール繊維、疎水性繊維、および熱融着性繊維を含有する乾式不織布が積層されてなる。そして、該メルトブローン不織布と該乾式不織布は、繊維間融着により接着されている。
本発明の吸水・保水シートを構成するメルトブローン不織布は、好ましくは平均繊維径15μm以下の極細繊維からなり、目付が15〜100g/m2のメルトブローン不織布である。該メルトブローン不織布を構成する繊維の平均繊維径が15μmを超えると、染み込んできた水分の拡散性が悪くなる場合がある。
水の透水性および地面からの蒸散抑制の点から、該メルトブローン不織布を構成する繊維の平均繊維径は15μm以下であることが好ましく、2〜15μmであることがより好ましい。また、乾式不織布側より染み込んできた水分を適度に拡散して地面へ均一に透水させるという観点から、該メルトブローン不織布の目付は、5〜50g/mが好ましく、10〜30g/mがさらに好ましい。
本発明に用いるメルトブローン不織布を構成する繊維としては、繊維形成性の熱可塑性エラストマーよりなる極細繊維が好ましく、例えば、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリエーテル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどからなる極細繊維が挙げられる。なかでも、ポリオレフィン系エラストマーが好ましく、特にエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましく用いられる。
エチレンと共重合されるα−オレフィンとしては、炭素数3〜10のα−オレフィンが好ましい。
本発明においてエチレン−α−オレフィン共重合体を用いる場合、そのメルトフローレート(MFR:ASTM D1238準拠)は、5〜200g/10分が好ましく、さらに好ましくは、10〜100g/10分である。
特に本発明においては、エチレン−α−オレフィン共重合体として、エチレン−オクテン共重合体を用いることが水分の拡散性の点から好ましい。
また本発明の吸水・保水シートを防草シートに用いる際には、遮光性を有するシートとするのが望ましく、かかる点からメルトブローン不織布として、カーボンブラックを繊維質量に対して0.1〜10%含有する原着繊維から構成されるメルトブローン不織布を用いることが好ましい。カーボンブラックの含有量が0.1%未満であると遮光効果が充分ではなく、必要とする防草効果が得られない場合がある。一方、含有量が10%を超えるとメルトブロー紡糸が困難となる場合がある。メルトブロー紡糸性および遮光性のバランス確保の点から該カーボンブラックの含有量は、3〜7%が好ましい。
該メルトブローン不織布を構成する樹脂に添加するカーボンブラックとしては、チャネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等公知のものを使用できる。
本発明に用いるメルトブローン不織布は、一列に並んだオリフィスを有するノズルから加熱溶融した樹脂を押し出し、その近傍に備わったスリットからノズルと同程度の温度に加熱された高温エアを噴出し、オリフィスから紡出された溶融樹脂と接触させることで細化し、それをノズル下方に配置した捕集面に積層しシート化することで得られる。
本発明に用いる乾式不織布は、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する場合がある)繊維、疎水性繊維、および熱融着性繊維を含有する。
本発明に用いるPVA繊維は、PVA樹脂を含む紡糸原液を溶液紡糸、具体的には湿式紡糸、乾湿式紡糸、乾式紡糸して製造される。紡糸原液に用いる溶媒としては、PVA繊維の製造に際して従来から用いられている溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、水、またはグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール等の多価アルコール類、ジエチレントリアミン、ロダン塩などの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも、供給性、環境負荷への影響の観点から、DMSO、水が特に好ましい。紡糸原液中の樹脂濃度は、PVA樹脂の組成や重合度、溶媒によって異なるが、6〜60質量%の範囲が一般的である。本発明の効果を損なわない範囲であれば、紡糸原液にはPVA樹脂以外にも、目的に応じて、酸化防止剤、凍結防止剤、pH調整剤、隠蔽剤、着色剤、油剤などの添加剤などが含まれていてもよい。
前記した溶液紡糸により得られたPVA繊維は、結晶化度や配向度を向上させるため延伸熱処理を施してもよい。延伸熱処理条件は、一般的には210℃以上の温度、好ましくは220℃〜260℃の温度で行うのがよく、8倍以上の全延伸倍率、好ましくは10〜25倍の全延伸倍率で延伸すると、繊維の結晶化度と配向度が上がり、繊維の機械特性が著しく向上するので好ましい。また、該PVA繊維には、必要に応じ、耐熱水性を向上させることを目的としてPVA系繊維で一般的に行われているアセタール化処理やその他の架橋処理を施してもよい。
該PVA繊維の断面形状は特に制限されず、例えば、丸形断面、異形断面、多角形断面などであってもよい。また、PVA繊維の単繊維繊度は特に制限されないが、不織布の機械的特性、吸水性、保水性のバランス等の観点から、1〜10dtexが好ましく、より好ましくは1〜7dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。一方、PVA繊維の平均繊維長は、20〜70mmが好ましく、より好ましくは25〜60mmである。
本発明に用いる乾式不織布を構成する疎水性繊維は、標準状態(20℃、65%RH)における公定水分率が5%未満であり、かつ融点160℃以上である繊維をいい、具体的には、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、アクリル繊維等が挙げられるが、なかでもポリエステル繊維、特にポリエチレンテレフタレート繊維が好ましい。
該疎水性繊維の断面形状についても特に制限されず、例えば、丸形断面、異形断面、多角形断面、多葉形断面、中空断面、V字形、T字形、H字状、アレイ形の各種断面等であってもよい。
また、該疎水性繊維の単繊維繊度は、カード通過性や適度な不織布密度を確保する観点から、1〜10dtexが好ましく、より好ましくは1〜7dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。一方、該疎水性繊維の平均繊維長は、20〜70mmが好ましく、より好ましくは25〜60mmである。
一方、本発明に用いる乾式不織布を構成する熱融着性繊維の種類は特に制限されないが、融点150℃以下の低融点樹脂を一成分とする繊維を用いることが望ましく、例えば、該低融点樹脂からなる単独繊維(例えば、ポリエチレン系繊維)や、高融点樹脂(ポリエステル系樹脂やポリアミド系樹脂など)を芯成分とし、低融点樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、変性ポリエステル系樹脂)を鞘成分とする芯鞘型複合繊維等が利用できる。
なかでも耐候性に優れる点から、ポリエステル系樹脂からなる熱融着性繊維が好ましく、特に芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分が変性ポリエステルである芯鞘型複合繊維を用いることが好ましい。
また、該熱融着性繊維の単繊維繊度は、カード通過性、メルトブローン不織布との接着性確保等の観点から、1〜10dtexが好ましく、より好ましくは1〜7dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。一方、平均繊維長は、20〜70mmが好ましく、より好ましくは25〜65mmである。
本発明に用いる乾式不織布は、上記したPVA繊維、疎水性繊維、および熱融着性繊維をそれぞれ6〜81質量%:54〜9質量%:40〜10質量%の比率で混綿するのが好ましい。上記した比率とすることで、優れた吸水性、透水性のバランスを確保することが可能になるとともに、上述したメルトブローン不織布との熱接着が良好となりシート強度が向上する。
特に、防草シート等に使用した場合、透水性が低いと散水してもシート表面から流れてしまい、特に畝などで使用した場合に保水されず、シート被覆面(地面)が水分不足となり、野菜等が枯死するおそれが生ずる。すなわち、散水した箇所にすばやく水分が吸収される必要がある。
また、地面に吸収された水分は、適度に保水され徐々に放湿される必要がある。放湿が生じにくいシートは、水分過多となり野菜等の根が腐るおそれがある。逆に放湿性が高いと水分不足となり、野菜等が枯死するおそれが生ずる。
本発明においては、乾式不織布として上記構成の不織布を用いることで上記課題を解決できる。
PVA繊維、疎水性繊維、および熱融着性繊維の比率は30〜55質量%:45〜30質量%:25〜15質量%がより好ましい。
該乾式不織布は、公知の方法により製造することができる。例えば、上記の短繊維をカーディングし、短繊維ウェブを得る。該短繊維ウェブとしては、パラレル、ランダム、セミランダム、クロスウェブ等を用いることができ、セミランダムウェブが特に好ましい。
上記の方法で得られる乾式不織布の目付は、15〜100g/m2が好ましく、より好ましくは20〜70g/mである。
本発明の吸水・保水シートの製造方法は特に限定されず、上記したメルトブローン不織布と乾式不織布とを良好に熱接着させ得る方法であればいずれでもよく、例えば、カレンダー加工法、エンボス加工法などによって製造することができる。また、ニードルパンチや水流絡合等の機械的絡合によって両者を絡合した後、熱処理を施して構成繊維を熱融着させてもよい。中でも生産性よく製造できる点から水流絡合、エンボス加工が好ましく採用される。
エンボス加工を行う際、吸水性確保等の点から、エンボス柄は連続柄よりもポイントエンボス柄が望ましく、圧着面積率は5〜40%、好ましくは10〜30%がよい。圧着面積が40%を超えると吸水量(吸水速度)が劣る場合があり、逆に面積率が低すぎるとシート強度不足となる場合がある。
このようにして得られる本発明の吸水・保水シートの目付は、30〜250g/mであることが好ましく、より好ましくは40〜150g/mである。また、本発明の吸水・保水シートは、より優れた吸水性、保水性を確保する点から、メルトブローン不織布の両面に乾式不織布を積層した三層構造とすることが特に好ましい。
このようにして得られる本発明の吸水・保水シートは、透水性が70%以上、蒸散性が3〜15g/日であることが好ましく、より好ましくは、透水性が80%以上、蒸散性が5〜13g/日である。透水性が低すぎるとシート表面を水が流れてしまい必要な部分に水が染み込んでいかない場合がある。
また、蒸散性が低すぎると、水分で土が腐敗したり、地面内のガス抜けが悪く、菜果樹の根を腐らせたり生育が悪くなる場合があり、好ましくない。逆に蒸散性が高すぎると水分不足を起こす場合がある。
なお、本発明にいう透水性および蒸散性は、後述する方法により測定する。
また、本発明の吸水・保水シートを防草シートとして用いる際には、雑草の発芽を防止するために遮光性を有していることが望ましく、具体的には遮光率90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上である。本発明にいう遮光率は、後述する方法により測定する。
本発明の吸水・保水シートは、特に防草シートとして有用であるが、これに限定されず、果樹マルチシート、育苗シート、果菜マルチシート等の用途にも適用することが可能である。また、本発明の吸水・保水シートは、水分の透水性、吸水性に優れ、かつ適度に水分を発散するので、上記した各種シートとして使用した際に、被覆した地面の温度変化が小さいという利点がある。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、本実施例中における各物性値は、以下の方法にて測定した。
(目付、厚さ、密度)
30cm角に切り出した試料を4枚重ね、12gf/cm荷重下で測定した厚さを1/4にすることにより、試料1枚相当の厚さ(mm)を算出した。さらに同じ試料(30cm角×4枚)の質量を測定し、1枚あたりの目付(g/m)を求めた。また、目付を厚さで割った値を見かけ密度(g/cm)とした。
(平均繊維径)
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織布の表面を1000倍に拡大した写真を撮影し、この写真に2本の対角線を引き、この対角線と交わった繊維の太さを倍率換算した値を用いた。そして、これら繊維の50本の平均値を平均繊維径とした。
(遮光性)
JIS L1906 5.10(遮光性および投光性)に準じ、遮光率(%)を測定した。なお、光源の照度は1000lxに調整した。
(透水性)
透水性は、図1に示す方法にて測定した。
まず、30cm×62cmの格子ネット1(ネット径1mm径、孔間隔3.5cm)を地面に対し30°の角度になるよう配置した。次に、幅30cm×長さ40cmの試料2(シート)を格子ネット上に設置した。なおこの際、試料の真下に受槽(I)3、格子ネットと地面が接する部分の付近に受槽(II)4を設置した。
水500gを入れたビーカー5を準備し、試料の上端部より高さ3cmの位置から水を20秒間かけて流し、その後1分間放置した。
次いで、受槽(I)へ落ちた水量(透水量;g)、試料への吸水量(保水量;g)および受槽(II)へ落ちた水量、すなわち受槽(I)へ落ちず、また試料へも吸水されずに流れ出た水量(流れ量;g)をそれぞれ測定した。
透水量および保水量の合計を500gで除した値(%)を透水性(透水率)とした。
同様の測定を3回続けて行い、それぞれ結果を記録した。なお、各測定回の間隔は5分間とした。
透水性の値が高いほど透水性能がよいと判断した。
(蒸散性)
500ccビーカー(口径10cm)に水300gを入れ、15cm×15cmの試料(シート)をビーカーの注ぎ口を覆うように被せた後、注ぎ口付近を輪ゴムで縛り、質量を測定した。
このビーカーを恒温恒湿機(タバイエスペック社製、「プラチナスレインボーPR−1S」)に入れ、40℃、湿度60%の条件下、24時間毎に質量を測定し、水分蒸発量を求めた。なお、測定時間は5日間(120時間)とし、蒸発した全水分量を測定時間で除し、蒸散性とした。
蒸散性(g/日)=水分蒸発量(g)/5(日)
なお、ビーカーに試料を被せずに測定した場合における蒸散性は、43g/日であった。
(地温測定)
土の地面に1mの試料(シート)をかけ、その中心部に、地面から地下5cmの地点へ向けて熱測定用熱伝対を差しこんだ。温度レコーダ(キーエンス社製、「NR−1000」)を用いて地温を5分おきに72時間測定し、測定期間中における地温の最高温度および最低温度を記録した。なお、測定期間中における外気温(最高気温および最低気温)は、表2に示したとおりである。
原料繊維および原料不織布として、以下のものをそれぞれ準備した。
[繊維A]:ポリビニルアルコール繊維(クラレ社製、「クラロンK−II EQ0」)1.7dtex×38mm
[繊維B]:ポリエチレンテレフタレート繊維(帝人社製、「TT04L」)1.7dtex×44mm
[繊維C]:熱融着性繊維(芯:ポリエチレンテレフタレート/鞘:共重合ポリエステルである芯鞘型複合繊維、鞘成分融点110℃、帝人社製、「TT04C2」)2.2dtex×51mm
[不織布D]:エチレン−オクテン共重合体(ダウ・ケミカル社製、「エンゲージ」、MFR:30g/10分)を用いて平均繊維径7μm、目付20g/mのメルトブローン不織布を製造した。なお、該メルトブローン不織布の構成繊維中に5質量%含有されるよう該共重合体にカーボンブラックを添加した。
ポリビニルアルコール繊維(繊維A)を40質量%、ポリエチレンテレフタレート繊維(繊維B)を40質量%、熱融着性繊維(繊維C)を20質量%混綿し、目付30g/mのセミランダムウェブを製造し、乾式不織布を得た。
次に、メルトブローン不織布(不織布D)の両面に、得られた乾式不織布を積層した後、この3層積層物に水流を噴射し、絡合処理を施した。なお、水流絡合処理は、直径0.1mmのオリフィスがウェブの幅方向に間隔0.6mm毎に設けられたノズルを用い、水圧3MPa、5MPaで表裏に各々噴射し交絡させた。
絡合処理後、シリンダー乾燥機にて130℃で乾燥を行い、本発明の吸水・保水シートを得た。結果を表1および表2に示す。
実施例1で用いたものと同様の乾式不織布およびメルトブローン不織布をそれぞれ準備し、3層積層および水流絡合処理を施した。
次に、黒色顔料(東洋インキ社製、「WS−Black K−7」)と、アクリル系バインダー(日本カーバイド社製、「FX−582」)とを質量比15:85にて混合し、この混合物をシート全表面にグラビアロールにて3.2g/m付与した。
次いで、シリンダー乾燥機にて130℃で乾燥を行い、シート表面が黒色である本発明の吸水・保水シートを得た。結果を表1および表2に示す。
実施例1で用いたものと同様の乾式不織布およびメルトブローン不織布をそれぞれ準備し、3層積層を行い積層物とした。得られた積層物に対し、熱エンボスロール(圧着面積率26%、ポイント面積0.51cm/個、ポイント数51個/cm)を用いて、ロール温度130℃、線圧30kg/cmにて熱エンボス処理を施し、本発明の吸水・保水シートを得た。結果を表1および表2に示す。
実施例1で用いたものと同様の原料繊維を用い、同様の混率にてセミランダムウェブを製造した後、水流を噴射し、絡合処理を施した。なお、水流絡合処理は、直径0.1mmのオリフィスがウェブの幅方向に間隔0.6mm毎に設けられたノズルを用い、水圧3MPa、5MPaで表裏に各々噴射し交絡させ、目付30g/mの水流絡合不織布を得た。
一方、実施例1で用いたメルトブローン不織布(不織布D)を準備し、このメルトブローン不織布の両面に、得られた水流絡合不織布を積層し、3層積層物とした。
得られた積層物に対し、熱エンボスロール(圧着面積率26%、ポイント面積0.51cm/個、ポイント数51個/cm)を用いて、ロール温度130℃、線圧30kg/cmにて熱エンボス処理を施し、本発明の吸水・保水シートを得た。結果を表1および表2に示す。
比較例1
ポリエチレンテレフタレート繊維(繊維B)を80質量%、熱融着性繊維(繊維C)を20質量%混綿して、目付30g/mのセミランダムウェブを製造し、乾式不織布を得た。
次に、メルトブローン不織布(不織布D)の両面に、得られた乾式不織布を積層した後、積層物に水流を噴射し、絡合処理を施した。なお、水流絡合処理は、直径0.1mmのオリフィスがウェブの幅方向に間隔0.6mm毎に設けられたノズルを用い、水圧3MPa、5MPaで表裏に各々噴射し交絡させた。
絡合処理後、シリンダー乾燥機にて130℃で乾燥を行い、吸水・保水シートを得た。結果を表1および表2に示す。
比較例2
ポリビニルアルコール繊維(繊維A)を40質量%、ポリエチレンテレフタレート繊維(繊維B)を40質量%、熱融着性繊維(繊維C)を20質量%混綿し、目付80g/mのセミランダムウェブを製造した。次いで、このウェブに水流を噴射し、絡合処理を施した。なお、水流絡合処理は、直径0.1mmのオリフィスがウェブの幅方向に間隔0.6mm毎に設けられたノズルを用い、水圧3MPa、5MPaで表裏に各々噴射し交絡させた。
絡合処理後、シリンダー乾燥機にて130℃で乾燥を行い、吸水・保水シートを得た。結果を表1および表2に示す。
比較例3
農業用ポリエチレン黒フィルム(渡辺泰社製、「ぽかぽかシート」、厚さ30μm)を用いて、実施例と同様の評価を行った。結果を表1および表2に示す。
Figure 0004717673
Figure 0004717673
上記実施例で得られた吸水・保水シートを防草シートとして用い、トマトの栽培を行ったところ、防草シートを敷設した部分に雑草の発芽はほとんど見られず、トマトの生長も良好であった。また、キュウリ、ハウスミカンの栽培についても良好な結果が得られた。
本発明における透水性を測定するための装置を示す模式図。
符号の説明
1:格子ネット
2:試料
3:受槽(I)
4:受槽(II)
5:ビーカー

Claims (6)

  1. メルトブローン不織布の少なくとも一方の面に、ポリビニルアルコール繊維、疎水性繊維、および熱融着性繊維を含有する乾式不織布が積層されてなる吸水・保水シート。
  2. 該乾式不織布を構成するポリビニルアルコール繊維、疎水性繊維、熱融着性繊維の混率が、6〜81質量%:54〜9質量%:40〜10質量%である請求項1記載の吸水・保水シート。
  3. 該メルトブローン不織布を構成する繊維が、オレフィン系エラストマー樹脂からなる請求項1または2記載の吸水・保水シート。
  4. 該メルトブローン不織布が、カーボンブラックを繊維質量に対し0.1〜10%含有する原着繊維により構成されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸水・保水シート。
  5. 透水性が70%以上、蒸散性が3〜15g/日である請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸水・保水シート。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸水・保水シートを用いてなる防草シート。
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