JP4693390B2 - 機能性付加水とその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、日常生活に用いる機能性付加水に関するものであり、具体的には難消化性糖質(水溶性澱粉のオリゴ糖)と硬度10以上のミネラル含有水とから成る飲料水、調理用水、炊飯水等として使用するものである。
水道水を直接飲んだり、これを用いて調理や炊飯をすると、水道水中に残留する殺菌剤によってカルキ臭がすることがある。そのため、日本各地の地下水や湧水の天然水(ミネラルウォータとも称する)をペットボトルに充填して販売されるに至っており、これらを飲料、炊飯、煮出し、鍋物、お茶、コーヒー等への利用を目的としている。
天然水は、ミネラル成分を適度に含有しているので口当たりが良く、料理やお茶等に適するが、含有ミネラル成分の種類が人体を構成しているミネラル成分に比較して少なく、含有量も少ないことから、ミネラル補給効果に関してはほとんど期待できない。
近年腸内細菌の中で特にビフィズス菌が健康と密接に関わり合っていることが明らかにされ、ビフィズス菌の選択的増殖糖類として難消化性糖質の水溶性澱粉、特にオリゴ糖の利用が高まっている。
オリゴ糖の内、乳果オリゴ糖(別名:ラクトスクロース)は、化学的には
Figure 0004693390
または
Figure 0004693390
と示される。乳果オリゴ糖は唾液、膵液のα―アミラーゼでは全く分解されず、胃液で1.5%、小腸粘膜酵素で1.6%の僅かな水解が認められる難消化性で、大部分が大腸に到達し、腸内のビフィズス菌を選択的に増加させる。
依って、オリゴ糖の摂取は腸内環境を改善し、糞便中の有機酸の増加、アンモニア、インドール等の腐敗産物の減少をもたらし、排便回数などの便通改善作用が報告されている。そのため、オリゴ糖は「お腹の調子を整える」機能性食品の素材として卓上甘味料、炭酸飲料、キャンディー、ヨーグルト、ゼリー等に配合され、広く用いられている。
特開2002−272430 特開2002−218955 特開2002−17317
硬度10以上の天然水はミネラル成分を適度に含んでいるので美味しいが、含有ミネラルの種類が人体を構成しているミネラル成分に比較して少なく、腸管からの吸収効率も多くは期待できないので、ミネラル補給効果は乏しいと思われている。
そこでこの発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、人体の約80%が水分であること、海水及び海洋深層水のミネラル成分が、人体を構成しているミネラル成分と略同様であること、難消化性糖質の水溶性澱粉がミネラル成分の人体への吸収効率を促進すること等に注目し、これらを利用した新規機能性付加水と、その製造方法を開発するに至ったものである。
上記目的を達成するために、本発明の機能性付加水は難消化性糖質と硬度10以上のミネラル含有水とから成ることを特徴とする。
又、ミネラル含有水が地下から汲み上げた天然水と、海水より分離して得た脱塩水と、海面下200メートル以深の海洋深層水より分離して得た脱塩深層水とから選ばれた1種以上であることを特徴とする。
ここで機能性付加水とは、人体に有益なミネラル成分を多種類含有している水分の総てを言い、飲料水は勿論、食べ物の調理時に用いる調理水、及び御飯の炊き上げ時に使用する炊飯水等も含まれる。
ここで天然水とは、陸上において湧き出す湧水、陸上において地下から汲み上げる地下水は勿論、現在市販されているミネラルウォータ等、ミネラル成分量の多いものを言い、脱塩水とは、海水より逆浸透膜を用いて脱塩したもの、イオン交換膜を利用して脱塩したもの、電気分解により脱塩したもの、出願人が先に発明した多段式電気透析法に依って脱塩したもの等を言い、脱塩深層水とは、海洋深層水より逆浸透膜を用いて脱塩したもの、イオン交換膜を利用して脱塩したもの、電気分解により脱塩したもの、出願人が先に発明した多段式電気透析法に依って脱塩したもの等を言う。
さらに本発明の機能性付加水において、脱塩水と脱塩深層水とが多段式電気透析法により分離した淡水とミネラル濃縮水であり、ニガリは、多段式電気透析法により分離した第二濃縮塩水を更に脱水分離手段を介して得たものであることを特徴とする。
請求項2は、請求項1記載の機能性付加水において、難消化性糖質が単糖類を3以上結合した水溶性澱粉であることを特徴とする。
請求項3は、請求項2記載の機能性付加水において、水溶性澱粉がオリゴ糖であり、このオリゴ糖を0.1〜10%の範囲で混入している直接使用タイプであることを特徴とする。
請求項4は、請求項2記載の機能性付加水において、水溶性澱粉がオリゴ糖であり、このオリゴ糖を2〜70%の範囲で混入している濃縮タイプであることを特徴とする。
ここで多段式電気透析法とは、第一処理装置にて海水又は海洋深層水を淡水と第一濃縮塩水とに分離し、第二処理装置にて第一濃縮塩水をミネラル濃縮水と第二濃縮塩水とに分離することを言い、ミネラル濃縮水には人体と略同様のミネラル成分をバランス良く、しかも豊富に含んでいる。また脱水分離手段とは、第二濃縮塩水を加熱、ろ過、脱水、乾燥等し、ニガリと塩を得る手段を言い、ニガリにミネラル成分、特に微量ミネラルを多種類含むので、これを所定の倍率で希釈して用いることもできる。

ここで難消化性糖質とは、人体に及ぼす悪影響が皆無に等しく、しかも人体へのミネラル類の吸収効率を高めたり、便秘の改善効果等を有するもので、例えば水溶性澱粉や低分子デキストリン等を言い、その内、水溶性澱粉とは、オリゴ糖を言い、オリゴ糖とは、消化管では吸収されずに大腸に到達し、腸内細菌によって醗酵を受け、酢酸、酪酸、プロピオン酸等の短鎖脂肪酸となって吸収され、エネルギーとなる難消化性オリゴ糖を指し、キシロオリゴ糖、ラクチュロース(ミルクオリゴ糖)、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、イソマルオリゴ糖、乳果オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ラフィノース等が挙げられる。
オリゴ糖(主として乳果オリゴ糖)の配合量として採用し得る範囲は、500ml当たり0.5〜50gであり、配合量が0.5g未満であると効果が希薄になる傾向にあり、50gを超えると味覚を損ねる傾向にある。
本発明による機能性付加水の製造方法は、請求項として難消化性糖質とミネラル含有水の一部とを一次混合し、その一次混合物と残りのミネラル含有水とを二次混合した後、二次混合物を一次ろ過、滅菌、二次ろ過をへて容器に密封充填することを特徴とする。
ここで一次混合とは、全混合量の一部を前もって混合することを言い、二次混合とは、一次混合物に残りを混合することを言い、2回に分けて混合することにより、塊の発生を無くし、均等な混合を可能にする。
ここで滅菌とは、温度100℃以上の高温で2〜10秒間滅菌することを言う。
本発明の機能性付加水を容器に密封充填した後、冷却、ラベルのシュリンク、外観検査、賞味期間等の印刷、製函、外装印字、検量、外装検査を経て出荷する。
本発明の機能性付加水は上記のとおりであるから、次に記載する効果を奏する。
ミネラル含有水を有するので、通常の水として料理やお茶、コーヒー等に利用できるは勿論、不足しがちな微量ミネラルを補うという機能性が期待できる。しかも難消化性糖質を用いているので、便秘解消にも役立つ。
、ミネラル含有水として天然水を用いていると、口当たりを柔らかくし、味覚を向上させることができる。又、脱塩水を用いると、海水には天然水と異なる多種類のミネラル成分、特に他から補給することの出来にくい微量ミネラルを含有しているので、微量ミネラルの補給に有益である。更に、脱塩深層水を用いると、脱塩深層水は人体を構成しているミネラル成分を略含有しており、しかも通年を通して低温で清浄性が高いので、安定な原料として有益である。
、ミネラル含有水として天然水と脱塩水、天然水と脱塩深層水、脱塩水と脱塩深層水、天然水と脱塩水と脱塩深層水とを選択することで、ミネラル成分をバランスよく配合したり、硬度調整したりすることができる。又、これらの組合わせで、目的に応じた機能性飲料、例えばスポーツに適した飲料、コーヒーに適した飲料、炊飯に適した飲料、乳幼児に適した飲料等も可能である。
、多段式電気透析法により分離したミネラル濃縮水を用いていると、ミネラル濃縮水に微量ミネラルが多種類含まれているので、微量ミネラルの不足を補給する効果が期待される。
さらに、ニガリを用いるので、少量で微量ミネラルを添加し得る。
請求項2の機能性付加水は、難消化性糖質として単糖類を3以上結合した水溶性澱粉を用いているので、腸内菌叢(腸内フローラ)の改善に資する。即ち、ビフィズス菌等のいわゆる善玉菌の増加、ウエルシュ菌等いわゆる悪玉菌の減少に役立つ。
請求項の機能性付加水は、請求項の特徴に加えて、水溶性澱粉がオリゴ糖であり、このオリゴ糖(主として乳果オリゴ糖)を0.1〜10%の範囲で混入している直接使用タイプであるから、そのまま飲料したり、炊飯や煮物等の調理にも使用し得る。
請求項の機能性付加水は、請求項の特徴に加えて、水溶性澱粉がオリゴ糖であり、このオリゴ糖を2〜70%の範囲で混入している濃縮タイプであるから、希釈して用いることができる。
本発明の難消化性糖質(2)と硬度10以上のミネラル含有水(1)とから成る機能性付加水の製造方法であって、前記ミネラル含有水(1)が地下から汲み上げた天然水(1A)と、海水(B)より多段式電気透析法(10)により分離した淡水(T)とミネラル濃縮水(V)と、海面下200メートル以深の海洋深層水(C)より多段式電気透析法(10)により分離した淡水(T)とミネラル濃縮水(V)とから選ばれた1種類以上と、前記多段式電気透析法(10)により分離した第二濃縮塩水(W)を更に脱水分離手段(20)を介して得たニガリ(X)である機能性付加水の製造方法では、難消化性糖質とミネラル含有水とを一度に混合することなく、二度に分けて混合するので、難消化性糖質の塊を防ぎ、均一な混合を可能にし得る。
又、二次混合物を一次ろ過、滅菌、二次ろ過して充填するので、異物の混入がなく衛生的である。
本発明による機能性付加水の最良形態を図1に基づき詳細に説明すれば、少なくとも難消化性糖質2と硬度10以上のミネラル含有水1とから成り、ミネラル含有1として天然水1Aと、海面下200メートル以深から汲み上げた海洋深層水Cより分離して得た脱塩深層水1Cとを用い、具体的には天然水1Aとして地下から汲み上げたミネラルウォーター1aを、難消化性糖質2として、単糖類を3以上結合した水溶性澱粉2Aの内、オリゴ糖(乳果オリゴ糖)2aを用い、そのミネラルウォーター1aと脱塩深層水1Cとオリゴ糖2aを、ミネラルウォーター1a>脱塩深層水1C>オリゴ糖2aの割合で混合しているものである。
脱塩深層水1Cとして、出願人が先に発明した図2−1の如く多段式電気透析法10により分離して得た淡水T(4T)とミネラル濃縮水V(4V)、及び多段式電気透析法10により分離した第二濃縮塩水W(4W)を更に図2−2の如く脱水分離手段20を介して得たニガリX(4X)との少なくとも1種類を配合するものである。
多段式電気透析法10は、イオン交換膜M1を用いた第一処理装置11にて海洋深層水Cを第一第縮塩水4Uと淡水4Tとに分離し、一価イオン選択性に優れているイオン交換膜M2を用いた第二処理装置12にて、第一処理装置11で分離した第一濃縮塩水U(4U)を一価の塩素イオンやナトリウムイオン等を濃縮したと第二濃縮塩水4Wと、一価イオンを取り除いて得た多価イオンのミネラルを主とする有用微量ミネラルから成るミネラル濃縮水4Vとに分離する。
脱水分離手段20は図2−2の如く、第一加熱工程、ろ過工程、第二加熱工程、遠心脱水工程、乾燥工程から成り、遠心脱水工程にてニガリXを、乾燥工程にて塩Y(3Y,4Y)を得るものである。
本発明による機能性付加水の第一実施形態を、最良形態と相違する点について説明すれば、第一実施形態の機能性付加水は、水溶性澱粉2Aとしてオリゴ糖2aを、ミネラル含有1として天然水1Aのミネラルウォーター1aのみを用い、それらはミネラルウォーター1a>オリゴ糖2aの割合で混合しているものである。
尚、オリゴ糖2aの配合量として採用し得る範囲は500ml当たり0・5〜25g、好ましい配合量は500ml当たり1〜10g、最適な配合量は500ml当たり2〜4gであり、配合量が500ml当たり1g未満であると効果が発揮されにくくなるし、配合量が500ml当たり10gを超えると下痢等の症状を誘発すると共に、味覚を損ねる傾向にある。
本発明による機能性付加水の第二実施形態を、第一実施形態と相違する点について説明すれば、第二実施形態の機能性付加水は、ミネラル含有1として、海水Bより分離した脱塩水1Bのみを用い、その脱塩水1Bとオリゴ糖2aを、脱塩水1B>オリゴ糖2aの割合で混合しているものである。
脱塩水1Bとして、多段式電気透析法10により分離した淡水3Tと、第一濃縮塩水3Uより分離したミネラル濃縮水3V、及び同じ第一濃縮塩水3Uより分離した第二濃縮塩水3Wを更に脱水分離手段20を介して得たニガリ3Xとの少なくとも1種類を配合するもので、淡水3Tとミネラル濃縮水3Vとニガリ3Xとの組合わせにより、直接使用タイプと濃縮タイプとに分けることも可能である。
オリゴ糖2aの濃度として2〜70%、好ましい濃度として5〜50%、最適な濃度として10〜30%に調製しえる。
本発明による機能性付加水の第三実施形態を、第一及び第二実施形態と相違する点について説明すれば、第三実施形態の機能性付加水は、ミネラル含有1として、海洋深層水Cより分離して得た脱塩深層水1Cのみを用い、その脱塩深層水1Cとオリゴ糖2aを、脱塩深層水1C>オリゴ糖2aの割合で混合しているものである。
脱塩深層水1Cとして、多段式電気透析法10により分離した淡水4Tとミネラル濃縮水4V、及び多段式電気透析法10により分離した第二濃縮塩水4Wを更に脱水分離手段20を介して得たニガリ4Xとの少なくとも1種類を配合するものである。
本発明による機能性付加水の第四実施形態を、第一乃至第三実施形態と相違する点について説明すれば、第四実施形態の機能性付加水は、ミネラル含有1として天然水1Aのミネラルウォーター1aと、海水Bより分離した脱塩水1Bとを用いたものであり、即ち、陸系ミネラルのミネラルウォーター1aと海系ミネラルの脱塩水1Bとを含有し、そのミネラルウォーター1aと脱塩水1Bとオリゴ糖2aを、ミネラルウォーター1a>脱塩水1B>オリゴ糖2aの割合で混合しているものである。
脱塩水1Bとして、海水Bより分離したミネラル濃縮水3Vを用いると、天然水1Aよりミネラル成分の種類が多いので、その分、ミネラルの補給に適している。更にニガリ3Xを用いると、微量ミネラルが濃縮されているので、少量の添加ですむ。
本発明による機能性付加水の第五実施形態を、第一乃至第四実施形態と相違する点について説明すれば、第五実施形態の機能性付加水は、ミネラル含有1として海水Bより分離した脱塩水1Bと、海洋深層水Cより分離して得た脱塩深層水1Cとを用いたものであり、その脱塩水1Bと脱塩深層水1Cとオリゴ糖2aを、脱塩水1B+脱塩深層水1C>オリゴ糖2aの割合で混合しているものである。
脱塩深層水1Cとして、海洋深層水Cより分離したミネラル濃縮水4Vを用いると、天然水1Aよりミネラル成分の種類が多いので、その分、ミネラルの補給に適している。更にニガリ4Xを用いると、微量ミネラルが濃縮されているので、少量の添加ですむ。
本発明による機能性付加水の第六実施形態を、第一〜第五実施形態と相違する点について説明すれば、第六実施形態の機能性付加水は、ミネラル含有1として天然水1Aのミネラルウォーター1aと、海水Bより分離した脱塩水1Bと、海洋深層水Cより分離して得た脱塩深層水1Cとを用いたものであり、即ち、陸系ミネラルと海系ミネラルとを含有し、そのミネラルウォーター1aと脱塩水1Bと脱塩深層水1Cとオリゴ糖2aを、ミネラルウォーター1a>脱塩水1B+脱塩深層水1C>オリゴ糖2aの割合で混合しているものである。
脱塩水1Bと脱塩深層水1Cは、ミネラル成分の種類、及びその含有量は略一致しているが、脱塩深層水1Cは海洋深層水Cより分離したものであるから、清浄性が高く、成分も安定している。
本発明による機能性付加水の第一分別収容形態を図4−1に基づき説明すると、第一容器15にミネラル含有水1を、第二容器25に難消化性糖質2を収容密封しておき、使用時に第一容器15を開口し、その第一容器15内に第二容器25の難消化性糖質2を投入し、ミネラル含有水1と難消化性糖質2とを混合して用いる。
第一包装形態の具体例として、図4−2の如く第一容器15において、容器本体胴部16aの一部に外部向きに開口する嵌合部19を、第二容器25において、該容器本体26を構成する胴部26aの一部に嵌合部19に係合する被嵌合部29を備え、第一容器15に第二容器25を離脱可能に係合しておくか、図4−3の如く第一容器15の蓋体17に連結部14を、第二容器25の蓋体27に被連結部24を備え、連結部14に被連結部24を繋いでおく。
本発明による機能性付加水の第二分別収容形態を説明すると、ミネラル含有水1を収容する容器本体6と、容器本体口部6bを塞ぐ蓋体7と、難消化性糖質2を収容する中栓体8とから成り、使用時に中栓体8の難消化性糖質2を本体口部6bより本体胴部6a内に投入し、ミネラル含有水1と難消化性糖質2とを混合して用いる。
第二包装形態において、図5−1〜図5−3の如く蓋体7は天板7aに押圧変形可能な押圧部7cを、中栓体8は収容部8aの少なくとも下側に破断部8cを設け、使用時に蓋天板7aの押圧部7cを押圧変形して、中栓体8に圧力を加え、収容部8aの破断部8cを破断し、難消化性糖質2を投下するか、図5−2の如く蓋体7は周壁7bの下側に切取り可能な補助壁37を、天板7aに垂下する針部47を設け、中栓体8は本体口部6b内に挿入する収容部8aと、本体口縁に載置する鍔部8bとを備え、使用時に蓋体7の補助壁37を取除き、蓋体7を螺進することにより、針部47が中栓体8の収容部8aを突き破り、難消化性糖質2を投下する。
何れの場合も、容器5を開封することなくミネラル含有水1と難消化性糖質2とを混合し得る利点がある。
本発明による機能性付加水の製造方法を図6に基づき説明すると、難消化性糖質2とミネラル含有水1の一部とを一次混合し、その一次混合物3と残りのミネラル含有水1とを二次混合した後、二次混合物13を一次ろ過、滅菌、二次ろ過をへて容器本体6内に充填し、容器口部6bを蓋体7にて密封する。
次いで、ボトルクーラに入れ、容器5の外側にラベルをシュリンクし、外観検査した後、検査に合格した物に賞味期限と固有記号等を印字し、これを包装箱に収容製函し、包装箱の外面に印字し、検量、検査を経て出荷するものである。
実験例
1・試料素材
(1)ミネラルウォーター1a;出願人が製造販売する「アルプス精水」
アルプス精水に含まれるミネラル成分は、以下の通りである。
Figure 0004693390
(2)ミネラル濃縮水V;海洋深層水Cを多段式電気透析法10により分離して得たものであり、ミネラル成分は図3の通りである。
(3)オリゴ糖2a;株式会社横浜国際バイオ研究所の乳果オリゴ糖LS−90
2・試験試料
オリゴ糖(乳果オリゴ糖)2aを約0.7%の割合で配合し、硬度を250に調製した時の試料素材の成分。
Figure 0004693390
オリゴ糖2aの効果として、
A,難消化性低エネルギー性
胃及び小腸では分解・吸収されず大腸に到達し、一部の腸内細菌によって醗酵を受け、酢酸、酪酸、プロピオン酸等の短鎖脂肪酸となって大腸粘膜より吸収され、エネルギーとなる。
B,整腸作用
胃及び小腸では吸収されず大腸に到達後、ビフィズス菌等の増殖因子となり腸内菌叢を改善し、腸内環境を整える。
C,ミネラル吸収促進
短鎖脂肪酸により腸内pHが低下し、カルシウム、鉄、マグネシウム等の吸収を促進する。
具体的には、500ml容ペットボトルタイプの本発明LS配合付加水を開発し、14日間の摂取時乳果オリゴ糖2aとして1日当たり3.0gの健常女子学生の便通に及ぼす影響を排便日数・回数・量、便性状色、形状、硬さ、排便後の感覚、臭い、腹部症状、腸内細菌叢への影響により検討した。
更に、LS配合付加水の常用量の2倍及び3倍量摂取の安全性を泥状/水状便排泄頻度及び腹部症状に及ぼす影響について調査した。
試験方法
1.被験者
愛知県の医療大学に通う健常女子学生を対象に、事前に便通に関するアンケートを実施し、このうち本試験の主旨を理解して同意の得られた92名を被験者とした。
試験は92名の女子学生を無作為に60名、12名、20名の被験者群に分け、次の3試験を行った。
試験1の場合、LS配合付加水の常用量摂取試験n=60、平均年齢20.7±0.6歳、
試験2の場合、糞便菌叢検索試験n=12、平均年齢20.6±0.5歳として行い、更に試験1,2とも2群第1群及び第2群に分けてシングルブラインド・クロスオーバー試験を行った。
試験3の場合、LS配合付加水の増量試験n=20、平均年齢19.8±0.5歳とし、LS配合付加水の常用量の2倍及び3倍量を7日間与え、泥状/水状便排泄頻度及び腹部症状に及ぼす影響を観察した。
尚、本試験は「ヘルシンキ宣言」の精神を遵守して、被験者には事前に試験内容を十分に説明し、文書による本試験参加の同意を得た上で、学生が所属する大学倫理委員会の承認を得て、医師の監督下で行った。
2.試験付加水
本試験には、LS配合付加水とプラセボ付加水の2種類を用いた。LS配合付加水には75%乳果オリゴ糖液LS−90L:固形成分中に乳果オリゴ糖2aを90%以上、塩水港精糖株式会社製を1本500ml中に4.45gの割合で配合した。この配合量で甘味はほとんどないことから、プラセボ付加水には一切の物質を配合しなかった。
尚、付加水とは、日本海富山湾の水深321mより採水された海洋深層水Cから1価の塩NaCl,KClを除去後、精製したミネラル濃縮水Vにミネラルウォーター1aを配合した商品名「海のミネラル水」出願人製品を指す。
LS配合付加水とプラセボ付加水の配合組成を表1に示した。
Figure 0004693390
3.試験スケジュール
試験スケジュールを図7−1と図7−2に示した。
試験1=試験付加水の常用量摂取試験
シングルブラインド・クロスオーバー法により実施した。1週間の前観察期を設けた後、LS配合付加水またはプラセボ付加水の第1摂取期間2週間、休止期間2週間、LS配合付加水またはプラセボ付加水の第2摂取期間2週間の日程で実施した。
試験2=糞便細菌叢検索試験
各々6名からなる第1群及び第2群の被験者に試験1と同じように行い、7週間の試験期間の内、前観察期の中頃、第1摂取期の後半及び休止期及び第2摂取期の後半の合計4回にわたり糞便サンプルの提供を受けた。
尚、試験1,2とも第1群、第2群の被験者には、摂取期にLS配合付加水とプラセボ付加水を互いにクロスオーバーさせた。
尚、摂取に際して、1日の摂取量のみを規定し、摂取時間や1回に摂取する量については特に指定しなかった。
試験3=LS配合付加水の増量摂取試験
被験者20名にLS配合付加水を1日500ml乳果オリゴ糖2aとして3.0g、A期、2倍量の1,000ml乳果オリゴ糖2aとして6.0g、C期、3倍量の1,500ml乳果オリゴ糖2aとして9.0g、E期と段階的に増量し、各々7日間摂取させた。
乳果オリゴ糖2aの摂取影響を取り除くためA期及びC期終了後、7日間の休止期間B期、D期及びE期の翌週に観察期としてF期を設けた。
尚、試験期間中、オリゴ糖、食物繊維、糖アルコール等を強化した食品及び生菌を含む食品納豆、乳酸菌製剤等等の摂取並びに便秘薬や抗生物質の服用は極力避けるように指導した。
4.調査項目
試験1,2,3の排便状況・便性状及び腹部症状の調査は、アンケート方式で行った。
調査項目は、排便の有無及び排便時刻、排便量、便の色、便の形状、便の臭い、便の硬さ、排便後の感覚並びに腹部症状の発生について試験期間毎に色分けされた1日1ページの調査日誌を用意し、各被験者に記入させた。
排便量は、Lサイズの鶏卵の大きさ直径3.5cm、長さ5cm、重量約50gを1単位個数として記録させた。
便の色は、黄褐色及び褐色の「黄色系」と、茶褐色及び暗褐色の「褐色系」と、黒褐色の「黒色系」の3段階。
便の形状は、「カチカチ・コロコロ状」と「バナナ状・半練状」と「泥・水状」との3段階とし、色及び形はデックカラーガイド第2版をカラー印刷した「便性状指標カード」に対応させた。
便の硬さは、「軟らかい」と「普通」と「硬い」の3段階。
便の臭いは、「気にならない」と「普通」と「くさい」の3段階。
排便後の感覚は、「スッキリした」と「普通」と「残便感がある」の3段階を評価基準とした。
腹部症状は、「良好」と「腹痛がする」と「ゴロゴロとお腹が鳴った腹鳴」と「お腹が張った膨満感」と「おならが出た」と「便意があったが排便できず痛みを感じたしぶり腹」と「吐気がした」と「その他」の中から選択し、「その他」の場合には具体的な症状を記入させた。
更に備考欄に試験食の摂取残量、過飲過食、薬剤の服用及び体調不良等試験に影響すると考えられる事項を簡潔に記入させた。
5.糞便菌叢の分析
糞便は、被験者が排便後直ちに、試料ができる限り均質になるように混ぜながら、採便管直径15mm、栄研製3本に各々約1g採取させ、30分〜2時間の内に研究室に届けさせた。その内1本は、嫌気性希釈液を無菌的に加えた後、ストマッカー80Tオルガノ社製で攪拌230rpm、30秒均一化した。
腸内細菌の分離は光岡らの方法を一部変更して行い、測定対象を総嫌気性菌、ビフィズス菌Bifidobacteria、レシチナーゼ陽性Clostridium sp、及び大腸菌群Escherichia coliとした。ビフィズス菌検出用培地として、50%V/V馬脱繊血加BL寒天培地、レシチナーゼ陽性の検出用培地としてNN培地日水製薬株式会社製、大腸菌群の検出用培地として70モカルトES培地メルク株式会社製を用いた。
尚、嫌気培養法はスチールウール法とアネロパックケンキシステム三菱ガス化学株式会社による方法酸素吸収、炭酸ガス発生剤を併用した。各試験期間のビフィズス菌検出用培地として用いたBL培地上に出現したコロニーからビフィズス菌を分離、純培養し、光岡の方法に準拠して鑑別性状グラム染色性、菌形態と50種類の糖類を含む簡易同定キット“アピ50CHL”Bio Merieux社製による生物学的同定を行った。
6.糞便蒸留水希釈pH及びアンモニアの測定
採便管の1本から糞便試料を0.1〜0.5gの範囲で、正確に15ml容のスクリウ・キャップ付試験管に秤量した。糞便重量に対して15倍量の蒸留水を加え、よく攪拌溶解した後、上清にpH電極を差し込みpHメーター704型、メトローム・シバタ株式会社製でpHを測定した。
また、糞便溶液は3,000rpm、10分間の遠心分離後、上清をアンモニア測定試料とした。糞便中のアンモニア量は、除タンパク質試薬付アンモニア測定キット“アンモニア テストワコー”和光純薬工業株式会社製を用い、比色定量はHITACHI U―1,000 Spectro pH otometerを用いて行った。
7.糞便水分量の測定
残りの糞便の入った採便管の重量を正確に直示化学天秤で測定し、−80℃で凍結後、凍結乾燥機RFS2000B,USA製を用いて48時間以上乾燥させ粉末化した。その後、採便管ごとの重量を測定して、糞便粉末の重量を求め、水分重量、含水率(%、25℃、60〜70%湿度下)を算出した。
8.統計処理
排便日数、排便回数及び排便量については、ウィルコックソン符号付順位和検定法を用いて、先ず全被験者に対し、各試験期間相互の有意差検定を行い、次いで前観察期の排便回数が週3回以下の常習性便秘者と4〜7回の便秘傾向者及び8回以上の非便秘者分けて層別解析を行った。
総嫌気性菌数に対するビフィズス菌の占有率はウィルコックソン符号付順位和検定法を用いて検定した。排便状況、便性状及び腹部症状については、試験期ごとの出現頻度をもとめ、その分布の独立性についてχ検定を行った。
ビフィズス菌菌数、pH、アンモニア量、水分量含有%については、ウィルコックソン符号付順位和検定法で検定を行った。すべての統計処理は5%を有意水準とし、統計ソフトとしてスタットセルを使用した。
結果
排便日数、排便回数及び排便量に及ぼす影響
LS配合付加水の排便に対する影響を被験者全員60名について、前観察期1週間、プラセボ付加水の摂取期前・後期、各1週、計2週間、休止期前・後期、同、及びLS配合付加水の摂取期前・後期、同を各試験期間同士比較した。
次いで、前観察期1週間当たりの排便回数が3回以下の常習性便秘者平均2.42回、19名と4〜7回の便秘傾向者平均4.97回、30名及び8回以上の非便秘者平均9.00回、11名の3群の層別に分けデータを解析した。
これらの結果を表2に示す。
Figure 0004693390
全被験者の1週間における平均排便日数の比較では、前観察期が4.22日、プラセボ付加水の摂取期前・後期が4.22日、4.23日、休止期前・後期が4.15日、4.10日となり、これに対しLS配合付加水の摂取期前・後期が5.02日・4.68日と何れの試験期に対しも増加を示す日数を示し、ともにp<0.05〜p<0.001の危険率で有意差が認められた。
一方常習性便秘者では、前観察期、プラセボ付加水の摂取期前・後期、休止期前・後期に対して、LS配合付加水の摂取期前・後期が3.74日、3.47日と増加し、全試験期間に対して有意差(p<0.05〜p<0.005)が認められた。
また便秘傾向者では、全試験期に対し、LS配合付加水の摂取前期の5.20日が何れの試験期にも有意差(p<0.05〜p<0.005)を示したが、LS配合付加水の摂取後期4.77日は、後休止期に対してのみ有意差(p<005)を示した。一方非便秘者では、各試験期間との間に、何れも有意差が認められなかった。
次ぎに全被験者1週間における平均排便回数の比較では、前観察期が4.90回に対し順に5.02回、5.18回、5.02回、5.12回で、LS配合付加水の摂取期が6.17回、5.75回となり何れの試験期に対しても増加を示す排便回数を示し、ともに有意差(p<0.05〜p<0.001)が認められた。また常習性便秘者において、LS配合付加水の摂取期は、4.16回、4.00回と増加し、何れの試験期間に対しても有意差(p<0.05〜p<0.005)が認められた。
また便秘傾向者では、LS配合付加水の摂取前期の6.00回が何れの試験期にも有意差(p<0.05〜p<0.005)を認めた。一方LS配合付加水の摂取後期は、休止期前・後期に対しのみ有意差(p<005)を認めた。一方非便秘者では、何れの試験期間との間にも有意差が認められなかった。
全被験者の1週間における平均排便量の比較では、Lサイズの鶏卵1個の大きさを目安として1単位個とした場合、前観察期が7.85個に対し順に8.74個、9.00個、8.54個、9.16個で、LS配合付加水の摂取前期が10.73個となり何れの試験期に対しても排便量の増加を示し、p<0.05〜p<0.001の危険率で有意差が認められたが、LS配合付加水の摂取後期9.86個は、プラセボ付加水の摂取前と後休止期に対し有意差が認められなかった。
また常習性便秘者において、LS配合付加水の摂取期前・後期が7.82個、7.54個と増加し、プラセボ付加水の摂取後期以外の、何れの試験期間に対しても強い有意差(p<0.05〜p<0.005)が認められた。また便秘傾向者では、LS配合付加水の摂取前期の10.92個はプラセボ付加水の摂取前期以外の試験期に有意差(p<0.05〜p<0.005)を認め、LS配合付加水の摂取後期は、前観察期に対してのみ有意差(p<005)を認めた。一方非便秘者では、各試験期間に対し有意差が認められなかった。
便性状に及ぼす影響
全試験期間中の総排便回数に占める便性状の出現頻度を求め、その分布の独立性についてχ検定を行った。結果を図8に示した。
便の色については、LS配合付加水の摂取期間に良好とされる「黄褐色」便の出現率がプラセボ付加水の摂取期及び休止期と比較して増加傾向が見られ、「黒色系」も抑制傾向に見られたが統計的に有意差は認められなかった。便の形状については、前観察期における「コロコロ・カチカチ状」の出現率が32%から19%にまで減少し、一方「バナナ・半練り状」は10%ほど増加したが有意差は認められなかった。また「泥・水状」便の出現率には、各試験期間相互に有意な変動は認められなかった。
便の硬さについては、何れも有意差は認められないが、「硬い」が前観察期よりもLS配合付加水の摂取期に増加の傾向にあった。「便の臭い」については、前観察期の「普通」がLS配合付加水の摂取期と前休止期に有意(p<0.05)に増加し、プラセボ付加水の摂取後期と後休止期に対して「普通」の出現率が有意(p<0.01)に増加したが、「臭い」には変化が無かった。
排便後の感覚については、LS配合付加水の摂取期間の「スッキリした」の出現率に他の試験期間と比較して増加傾向が見られたものの、統計的有意差は認められなかった。また「普通」及び「残便感がある」の出現率には、有意な変化は認められなかった。
腹部症状の発生
図9の如く「しぶり腹」「吐気」は前観察期に比べLS配合付加水の摂取期間に減少が見られた。
「腹鳴」「腹痛」及び「膨満感」は散見されたが、各試験期間相互の発生頻度にも有意差は認められなかった。
糞便細菌叢
試験期毎に糞便サンプルから分離したビフィズス菌の平均菌数を各表3に示した。
Figure 0004693390
ビフィズス菌の菌数は前観察期で9.33±0.58(指数、cfu/g窺)、プラセボ付加水の摂取期が、9.29±0.56、休止期が9.25±0.58、LS配合付加水の摂取期が10.01±0.27であった。この結果の有意差検定を行ったところ、LS配合付加水の摂取期の菌数は前観察期、休止期、プラセボ付加水の摂取期に対して何れにも有意(p<0.05)な増加が認められた。
一方、糞便中の総嫌気性菌数に対するビフィズス菌、レシチナーゼ陽性、大腸菌群の占有率と検出率を表4にまとめた。
Figure 0004693390
前観察期が13.20%、プラセボ付加水の摂取期が10.16%、休止期が11.18%に対して、LS配合付加水の摂取期が38.06%で有意(p<0.005)な増加がみられた。
一方レシチナーゼ陽性、及び大腸菌群は、極少ない菌占有率を示し、有意差は認められなかった。また、図10に各試験期間の全被験者のビフィズス菌の占有率とその平均を示した。
LS配合付加水の摂取期は他の試験期に比べ12名全員の占有率は有意(p<0.005)に上昇し、LS配合付加水を摂取することで糞便中のビフィズス菌の菌数及び占有率に改善効果がみられた。
糞便中のpH、アンモニア量及び水分量含有%
糞便中のpH、アンモニア量及び水分量含有%の測定結果を表5に示した。
Figure 0004693390
被験者12名の各試験期の各糞便サンプルのpHの比較において、プラセボ付加水の摂取期が前観察期に対しpH上昇の有意差(p<0.005)が認められた。
糞便中のアンモニア量は湿重量1g当たり実験開始前が1.83mg、プラセボ付加水の摂取期が1.80mg、休止期が1.39mgとなり、これに対し、LS配合付加水の摂取期の1.30mgは減少傾向があるものの、有意差は認められなかった。
糞便中の水分量含有%は前観察期とプラセボ付加水の摂取期が各々71.37%及び72.28%、LS配合付加水の摂取期が72.98%と変化がなかった。
LS配合付加水の増量摂取の排便状況への影響及び腹部症状の発生頻度
被験者20名を対象として、LS配合付加水の増量摂取試験を行った時の各試験期間の総排便回数に対する「泥状」便及び「水状」便の排泄頻度を表6に示した。
Figure 0004693390
LS配合付加水の常用量摂取A期、2倍量摂取C期及び3倍量摂取E期の「泥状」便排泄頻度は各々11.8%、6.6%及び7.5%と減少傾向があるものの、これらの摂取期間相互には有意差は見られず、用量依存性も認められなかった。また休止B期、休止D期においても11.7%が8.1%に減少傾向にあった。
一方「水状」便排泄頻度において休止B期と休止D期との間に有意p<0.05な増加が認められたが、一過性で翌週の試験には影響を与えなかった。
各試験期の延べ人数に対する腹部症状を訴えた人数の割合発生頻度は表7の通りであった。
Figure 0004693390
「腹痛」が常用量摂取A期31.6%に対し、2倍量摂取C期が25.0%及び3倍量摂取E期が16.9%と減少した。
「腹鳴」は平均12.5〜17.5%で散見し、「膨満感」は29.6〜43.1%内で変化したが各試験間相互に有意差は認められなかった。
「放屁」は12.0〜20.0%で散見し、「しぶり腹」は3.2〜7.7%内で変化したが、各試験間相互に有意差は認められなかった。「吐気」については、2倍量摂取C期に1.3%認められたがその他には認められなかった。
以上の知見から、LS配合付加水の1倍量乳果オリゴ糖2aとして3.0g/日を2倍量乳果オリゴ糖2aとして6.0g/日及び3倍量乳果オリゴ糖2aとして9.0g/日と増量して各7日間摂取しても、3倍量摂取期の腹部症状や泥状/水状便排泄頻度にLS配合付加水の摂取による副作用を起因させる結果は認められなかった。
考察
乳果オリゴ糖2aを単独で摂取することにより、ヒトの便通や便性状が改善されることが明らかにされ、食品素材として1日1.0〜2.0gの乳果オリゴ糖2aの摂取でビフィズス菌が増加し、更に1日2.0〜6.0gの乳果オリゴ糖2aの摂取で有意に便通の改善、糞便腐敗物質の減少及び短鎖脂肪酸の増加が起こることが報告されている。食品の形態に加工された場合でも、2.0〜5.0gの乳果オリゴ糖2aを含むクッキー、乳酸菌付加水、粉末清涼付加水、クロワッサン、即席みそ、錠菓等を摂取することにより排便状況が有意に改善されることが証明され特定保健用食品として利用されている。
このような知見に基づいて、成人1日当たり乳果オリゴ糖2aとして3.0gの摂取が妥当な常用量であると考えて、1日当たりの飲水を500ml摂取することにより乳果オリゴ糖2aを3.0g摂取出来るようにペットボトルタイプのLS配合付加水乳果オリゴ糖2aとして3.0g/500ml/本を試作した。
更に、対照として乳果オリゴ糖2aを除いたプラセボ付加水を調製した。本品は市場にある付加水用ペットボトル容器と同じ形態なので、1日の必要本数500ml/本がはっきりと訴求できると思われる。また食事と関係なく摂取が可能であることに加え、調理の必要が無く携帯に便利なので、夏場等に過剰摂取に陥りやすいことが想定できる。
本試験では、女子学生を対象とし、LS配合付加水の1日500ml乳果オリゴ糖2aとして3.0g2週間の摂取が排便日数、排便回数、排便量、便性状及び腹部症状に及ぼす影響を観察すると共に、別群の女子学生を対象にして、1日500mlの常用量から1日2倍量1,000ml、乳果オリゴ糖2aとして6.0g及び1日3倍量1,500ml、乳果オリゴ糖2aとして9.0gに増量して各々7日間摂取した場合の泥状便/水状便排泄頻度及び腹部症状発生率に及ぼす影響を観察した。
LS配合付加水の常用量摂取による排便状況に及ぼす影響に対する評価は、各試験期に得られた排便日数、排便回数及び排便量の有意差検定から求めた。
この結果、LS配合付加水の摂取期前・後期は他の試験期の排便日数、排便回数及び排便量に対し有意な増加を示す効果が認められた。
飯野ら、岩井ら及び北尾ら報告によれば、乳果オリゴ糖2aの排便状況に対する効果は、便秘傾向の強い被験者ほど顕著に発現することが報告されているが、今回の試験でも、常習性便秘者と便秘傾向者及び非便秘者に分けて層別解析を行った結果、LS配合付加水の摂取は、1週間の排便回数が3回以下の常習性便秘者にもっとも強く排便の改善が認められた。また便秘傾向者排便回数が週4〜7回においてもLS配合付加水の摂取前期に改善がみられ翌週の後期まで持続した。
依って、便秘者と便秘傾向者の両方に有意な改善効果が認められた。しかし非便秘者排便回数が週8回以上においては、有意な差は認められなかった。
次にLS配合付加水の摂取は、「便の色」「便の形状」「便の硬さ」の一部の観察項目に有意な便性状の改善が見られたが、「便の臭い」については、前観察期に対し各試験期に、「気にならない」が減少し、「普通」が有意p<0.05に増加した。一方「くさい」については変化が認められなかったので、LS配合付加水の摂取による異常腸内発酵は考えにくいと思われた。
LS配合付加水の2週間の摂取によりビフィズス菌の平均菌数が全試験期に対し有意p<0.005に増加した。またLS配合付加水の摂取期のビフィズス菌の占有率もまた全試験期に対し12名中全員に有意p<0.005に増加し、LS配合付加水の2週間の摂取による総嫌気性菌に対するビフィズス菌の占有率改善効果が認められた。
今回の試験において糞便のpH値が全観察期よりも各試験期のほうが高い値となった。これは試験飲料及びプラセボ飲料ともpHが7.2と酸性側より高めにあるため、付加水の影響を受けていることが考えられた。しかしながら、LS配合付加水の摂取期はプラセボ付加水の摂取期よりも低いpHとなっていることから、有機酸等の腸内産出は行われていると予測された。一方、糞便中水分量含有%においては、500mlの水分を毎日とり続けることで、各試験間に差が出にくいのではないかと考えられた。
ところで、今回の試験付加水は、他の食品形態と比較して食事とは関係なく摂取でき、必要量の摂取を容易にすると同時に過剰摂取に陥り易い欠点もある。素材としての乳果オリゴ糖2aを単味で摂取したときの下痢に対する最大無作用量は体重1Kg当たり0.6gであり、体重50Kgのヒトでは1日に乳果オリゴ糖2aとして3.0gを摂取しても下痢を誘発しないことが報告されている。また、Ohkusaらによれば、1日量6・0gの乳果オリゴ糖2aを素材として8週間摂取させ、乳果オリゴ糖2aの長期摂取時における安全性を評価したヒト試験の結果では、8名中1名に鼓腸と下痢がみられたが、これらの副次作用は何れも一過性で持続しなかったと報告している。
本試験の過剰摂取試験では20名の被験者に対し、1日常用量から増量し、2倍量及び最大無作用量の3分の1量である3倍量を摂取する試験を行った。LS配合付加水の摂取には1日の摂取量のみを規定し、摂取時間や1回に摂取する量については規定しなかったが、調査表の記載によると3倍量の摂取については各被験者が独自の摂取スケジュールを設定し、飲みきれない場合は、コーヒーや料理にも利用し、規定量摂取完了に努力した跡が窺われた。
LS配合付加水の3倍常用量摂取の泥状便排泄頻度は7.5%(排便回数135回中10回)で常用量摂取期よりも少なかった。また泥状便が連続して観察された例はなく、全て翌日には正常に戻る一過性の発現であった。また、「水状」便排泄頻度が、休止期B及びD期の間にのみ有意(p<0.05)に認められたが他の試験期間と比較して有意差は認められなかった。
腹部症状の発生頻度では、χ検定による解析結果でどの症状間においても有意な差は認められなかった。比較的重度な腹部症状である「腹痛」の愁訴については、常用量摂取期で31.6%、2倍量摂取期で25.0%、3倍量摂取量で16.9%と減少する傾向が認められた。しかし3倍量摂取期の「腹痛」持続状況はその90%が1日以内に正常に戻り、3日間以上持続した例は2例のみで、更に各試験期間と比較して相互に有意差は認められなかったことから3倍量摂取期の「腹痛」発生頻度は一過性のものであり、継続した症状ではなかったと考えられる。
濃縮タイプの機能性付加水を用いる場合、水道水や天然水1Aを用いて希釈する。その際、天然水1Aを多くすると味覚的に軟らかくなる。
本発明の機能性付加水における特徴の1つは、脱塩水1Bと脱塩深層水1Cに含有するミネラル成分が、人体を構叢成しているミネラル成分とが略一致し、しかもミネラル成分のバランスも近似している点にある。
海洋深層水Cとして、日本海固有冷水が好適である。その理由として、日本海固有冷水は、富山湾の容積の約65%を占めており、特開2000−290168号、特開2000−290161号等に記載した通り、高知県の外洋深層水と若干異なり、その性状として、年間を通じて2℃以下の低温で水温変化がほとんどなく、塩分34.0〜34.1psuも安定しており、表層水と比較して栄養塩類が著しく豊富に含まれ、有機物や細菌類が非常に少ないという特徴が挙げられる。
海洋深層水Cは低温で微生物の発生が少なく、清浄性が高い等、多くの特徴を有している。
分別収容形態は実施例に限定されるものではなく、例えば第一容器本体16の一部に凹段部と係合部19を備え、第二容器25を凹段部に応じた形状に形成し、係合部19に係合する被係合部29を設け、第二容器25を凹段部に、被係合部29を係合部19に係合しておけば、使用するまで第一容器15と第二容器25との離反紛失を阻止することができる。
本発明の機能性付加水における成分の組合わせ例を示すブロック線図である。 多段式電気透析法を示すブロック線図である。 脱水分離手段を示すブロック線図である。 海洋深層水と、それより分離した淡水、ミネラル濃縮水、濃縮塩水のミネラル成分図である。 第一容器と第二容器とによる分離収容状態の第一実施形態を示す正面図である。 分離収容状態の第二実施形態を示す第一容器平面図(イ)と第二容器断面図(ロ)である。 分離収容状態の第三実施形態を示す蓋体の正面図である。 中栓体を用いた分離収容状態の第一実施形態を示す破断前断面図(イ)と破断後断面図(ロ)、及び破断前平面図(ハ)である。 中栓体を用いた分離収容状態の第二実施形態を示す破断前断面図(イ)と破断後断面図(ロ)である。 本発明による機能性付加水の製造方法を示す工程図である。 試験スケジュウール図である。 試験1,2,3におけるスケジュール図である。 便性状の発生頻度を示すグラフである。 腹部症状の発生頻度を示すグラフである。 ビフィズス菌占有率の変化を示すグラフである。
符号の説明
1 ミネラル含有水
1A 天然水、1a ミネラルウォーター
B 海水、1B 脱塩水
C 海洋深層水、1C 脱塩深層水
2 難消化性糖質
2A 水溶性澱粉、2a オリゴ糖(乳果オリゴ糖)
2B 低分子デキストリン
3 一次混合物、13 二次混合物
5,15,25 容器
6,16,26 容器本体、6a,16a,26a 本体胴部、6b 本体口部
7,17,27 蓋体、7a 蓋天板、7b 周壁、7c 押圧部
8 中栓体、8a 収容部、8b 鍔部、8c 破断部
37 補助壁、47 針
14 連結部、24 被連結部
19 嵌合部、29 被嵌合部
10 多段式電気透析法
11 第一処理装置、M1 イオン交換膜
12 第二処理装置、M2 イオン交換膜
20 脱水分離手段
T,3T,4T 淡水
U,3U,4U 第一濃縮塩水
V,3V,4V ミネラル濃縮水
W,3W,4W 第二濃縮塩水
X,3X,4X ニガリ
Y,3Y,4Y 塩

Claims (5)

  1. 難消化性糖質(2)と硬度10以上のミネラル含有水(1)とから成り、
    前記ミネラル含有水(1)が
    地下から汲み上げた天然水(1A)と、
    海水(B)より多段式電気透析法(10)により分離した淡水(T)とミネラル濃縮水(V)と、
    海面下200メートル以深の海洋深層水(C)より多段式電気透析法(10)により分離した淡水(T)とミネラル濃縮水(V)とから選ばれた1種類以上と、
    前記多段式電気透析法(10)により分離した第二濃縮塩水(W)を更に脱水分離手段(20)を介して得たニガリ(X)
    であることを特徴とする機能性付加水。
  2. 難消化性糖質(2)が単糖類を3以上結合した水溶性澱粉(2A)であることを特徴とする請求項1記載の機能性付加水。
  3. 水溶性澱粉(2A)がオリゴ糖(2a)であり、このオリゴ糖(2a)を0.1〜10%の範囲で混入している直接使用タイプであり、そのまま飲料や炊飯等に用いることを特徴とする請求項2記載の機能性付加水。
  4. 水溶性澱粉(2A)がオリゴ糖(2a)であり、このオリゴ糖(2a)を2〜70%の範囲で混入している濃縮タイプであり、希釈して用いることを特徴とする請求項2記載の機能性付加水。
  5. 請求項1ないし4のいずれかの請求項に記載の難消化性糖質(2)とミネラル含有水(1)の一部とを一次混合し、その一次混合物(3)と残りのミネラル含有水(1)とを二次混合した後、二次混合物(13)を一次ろ過、滅菌、二次ろ過をへて容器(5)に密封充填することを特徴とする機能性付加水の製造方法。
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