JP4667568B2 - 免疫増強組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビタミンEと他の免疫賦活物質、特に乳酸菌またはその処理物やニゲロオリゴ糖を配合した免疫増強組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体内の免疫系は、細菌、酵母、カビ、ウイルスなどの微生物による感染や、腫瘍に対する防御に重要な役割を果たしており、その防御機構の中心はTリンパ球である。Tリンパ球はこれらの微生物や腫瘍を、抗原受容体を介して認識することにより刺激を受け、抗原特異的に活性化され、これらの異物を排除する能力を高める。常に微生物に曝され、また細胞が変異している生体内では、こうしたTリンパ球は抗原受容体を介して常に活性化される一方で、抗原受容体以外の経路でも抗原非特異的に活性化されている。抗原特異的および抗原非特異的のいずれの活性化においても、他からの刺激、すなわち共刺激が加わるとTリンパ球の活性化はさらに促進される。現在用いられている免疫賦活剤は、免疫担当細胞を非特異的に活性化することにより、微生物感染、腫瘍に対する生体の防御機構を高めるものであるが、有効性において満足しうるものは少なく、また、これらの免疫賦活剤は、一般に作用の特異性が低いため、例えば全身性エリテマトーデス、慢性関節リュウマチ等の自己免疫疾患のような副作用が懸念される。
これまで免疫力を増強するといわれる物質は多数報告されている。それらの中の1つに、3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含む糖類がある。この3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含む糖類としては、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)の菌糸中に含有されるニゲラン、そのニゲランの部分酸加水分解等によって得られるα−D−グルコピラノース(1→3)−α−D−グルコピラノース(1→4)−α−D−グルコピラノース(1→3)−D−グルコースをはじめとする様々な3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有するオリゴ糖があり、これらは、上記のニゲランの加水分解によっても得ることが可能である。また、ニゲロースと称される3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースなどもある。
本発明者らは、これら3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有する糖類が、抗原受容体を介する刺激により活性化されたTリンパ球およびBリンパ球の活性をさらに上昇させ、また、菌体成分またはレクチンを認識する受容体を介する刺激により、抗原非特異的に活性化されたTリンパ球およびBリンパ球の活性をさらに上昇させることを見出し、3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含む糖類を有効成分として含有する免疫賦活剤の発明をなし、特許出願をした(特開平9−52834号)。
【0003】
一方、乳酸菌、たとえばラクトバチルス・プランタラムL−137菌体が、抗原受容体を介するTリンパ球の活性化を上昇させることにより、生体内で常時起こっている微生物および腫瘍細胞に対する排除反応を高め、特にインターフェロンγの産生を増強することから、ウイルスや腫瘍に対する防御能を高めることが知られている。さらにこの菌体はインターフェロンγによるTヘルパー1型機能を上昇させるので、I型アレルギーの予防や治療に有効である。
【0004】
またこのラクトバチルス・プランタラムL−137菌体は、腫瘍細胞傷害性を有するナチュラルキラー細胞を活性化するサイトカインであるインターロイキン−12のマクロファージからの産生を高める結果、腫瘍に対する防御能を特に高めるとともに、後天性免疫不全症候群(AIDS)の発症予防にも有用である。しかしこの菌体は、腫瘍壊死因子αの産生は軽度にしか上昇させないため、通常のマクロファージの活性化剤により上昇する腫瘍壊死因子αにより引き起こされる、発熱、体重減少などの副作用を誘導しない。
これらの知見を基に、本発明者らは、ラクトバチルス属に属する菌またはその処理物を含む免疫賦活剤の発明を成し遂げ、既に特開平10−167972号として特許出願した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、実質的な副作用がなく、且つ従来のものに比べてさらに強い免疫増強効果を奏する組成物、例えば医薬、食品、飼料、化粧品等を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、より強い免疫増強効果を示す組成物を求め、種々の既知物質を併用して、その免疫増強作用を調べていたところ、偶然にもビタミンEと他の免疫賦活物質、特に乳酸菌またはその処理物や3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有する糖類と併用すると予想を超える強い免疫増強効果が発揮されることを知見し、その知見を基にさらに検討を重ね本発明を完成した。
すなわち本発明は
(1)ビタミンEおよびラクトバチルス・プランタラムL−137株(Lactobacillus plantarum L-137)である乳酸菌またはそれらの磨砕物、破砕物、それらからの抽出物またはそれらの乾燥品ならびにニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースの少なくとも一種類を含んでなるニゲロオリゴ糖を含有してなるIL−12産生誘導組成物、である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の組成物の形態としては、粉末状、顆粒状、錠剤、液剤などの経口医薬、注射剤、輸液剤などの非経口医薬、ゼリー、飲料などの食品などが含まれ、その他飼料、各種化粧品であってもよい。
本発明の組成物は、担体としては各種キャリアー担体、イクステンダー、希釈剤(水、ミルクなど)、増量剤、分散剤、賦形剤、結合剤、溶媒(水、エタノール、植物油)、溶解補助剤、緩衝剤、溶解促進剤、ゲル化剤(CMC−Na、HPMCなど)、懸濁化剤(CMC−Na、ナトリウムアルギネートなど)等を用い、常法により、油剤、エマルジョン、ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤、錠剤、顆粒剤、固形剤、チュアブル剤、ドレッシング類、菓子類等の医薬や食品等の形態にすることができ、免疫増強の必要な人に対して経口的に摂取させることができる。また、必要に応じて、可溶化等の公知の技術に従って、非経口投与の形態としてもよく、注射剤とすることもできる。また、公知の賦形剤ないし担体を用い、自体公知の方法に従い、例えば化粧水、乳液、クリーム等の基礎化粧料、ファンデーション、アンダーメークアップ、白粉等のメークアップ料等の化粧料剤形として外用経路で適用することもできる。また、ヒトに限らず、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等の家畜、ニワトリ等の家禽、ハマチ等の養殖魚、さらにはイヌやネコ等のペット動物の免疫増強に用いることができ、例えば、常法に従い、飼料用の固体ないしは液体の添加剤とすることもできる。
本発明の組成物は、その相乗的に増強された免疫賦活作用から、ウイルス、バクテリア等の微生物による感染症、例えば、経口感染にるコレラ菌、毒素原性大腸菌、赤痢菌、サルモネラ、ウイルス等の感染性腸炎や、気道感染によるインフルエンザ、かぜ症候群や、口腔内感染による口内炎、歯周疾患等、また、各種悪性腫瘍、例えば、消化管や呼吸器粘膜、肝・腎等の実質臓器に発生する上皮性悪性腫瘍や、運動器や軟部組織などに発生する非上皮性悪性腫瘍の予防や治療に有効である。また、本発明の製剤はインターロイキン12および/またはインターフェロンγ産生誘導作用を有し、Tヘルパー機能をTヘルパー1型に傾けるために、腫瘍により誘導される免疫抑制状態や抗癌剤治療により誘導される免疫機能低下からの回復に適しており、後天性免疫不全症候群(AIDS)の発症予防、リステリア菌、サルモネラ菌、結核菌、癩菌等の細胞内寄生性細菌の防除、I型アレルギーの予防や治療、ストレスに起因するTヘルパー1型免疫機能低下の改善等に有効であり、加齢に伴う免疫機能低下の抑制等にも適している。また、細胞内寄生性細菌のクラミジア菌に対する感染防御作用により、クラミジア菌感染との関わりが強く示唆されている動脈硬化発症に対しても予防的に働く。したがって、種々の生体機能調節、各種疾患に対する抵抗性の向上、日常の保健強壮の促進に有効である。
本発明において用いられるビタミンEとしては、天然型ビタミンEであるd体のα−、β−、γ−およびσ−トコフェロールとα−、β−、γ−およびσ−トコトリエノール、その合成体であるdl体のα−、β−、γ−およびσ−トコフェロールとα−、β−、γ−およびσ−トコトリエノール、およびこれらのエステルであるコハク酸d−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム、酢酸d−α−トコフェロールおよび酢酸dl−α−トコフェロール等の1種または2種以上が使用できる。これらビタミンEの組成物への配合量は、組成物が経口的に摂取される場合、消化管からの吸収率を考慮して、成人(体重60kg)1人当りの1日量がα−トコフェロールとして0.5mg〜500mg、好ましくは2.5mg〜250mg、さらに好ましくは10mg〜100mg摂取されるよう設定するのが望ましい。また、注射剤、輸液剤の場合は成人1人1日当りの投与量がα−トコフェロールとして0.25mg〜250mg、好ましくは1.25mg〜125mg、更に好ましくは5mg〜50mg投与されるよう設定するのが望ましい。
【0008】
本発明に用いられる乳酸菌としては、乳酸を産生しうるすべての菌が含まれるが特に、ストレプトコッカス・フェーカリス(Streptococcus faecalis)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)またはラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)が好ましい。より具体的な菌株としては、例えば、ストレプトコッカス・フェーカリスAHU1257株(Streptococcus faecalis AHU1257)、ラクトバチルス・カゼイAHU1696株(Lactobacillus casei AHU1696)またはラクトバチルス・プランタラムL−137株(Lactobacillus plantarum L-137)があげられ、中でもラクトバチルス・プランタラムL−137株は特に好ましいものである。乳酸菌の菌体は生菌でもよく、また死菌でもよい。菌の処理物としては、例えばその磨砕物、破砕物、それらからの抽出液、その乾燥品、凍結乾燥品などがあげられる。乳酸菌の処理物として、食品を本発明において用いられる菌により発酵させた菌を含む発酵物をそのまま用いてもよいし、発酵物から菌体を採取し、生菌のまま、またはたとえば加熱、紫外線照射などにより不活性化し、ペースト状態あるいは乾燥して用いることもできる。分離した生菌体、死菌体をさらに摩砕、破砕、酸素分解、抽出処理をし、得られた処理物を必要により加熱滅菌、乾燥して用いることもできる。これら乳酸菌またはその処理物の配合量も適宜選択できるが、経口剤の場合、吸収率を考慮して、乾燥菌体として成人(体重60kg)1人当りの1日量が0.1mg〜500mg、好ましくは0.5mg〜250mg、更に好ましくは2.5mg〜100mg採取されるよう設定するのが望ましい。また、注射剤、輸液剤の場合は成人(体重60kg)1人当りの1日量が乾燥菌体として0.002mg〜25mg、好ましくは0.01mg〜12.5mg、更に好ましくは0.05mg〜5mg投与されるよう設定するのが望ましい。
【0009】
3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有する糖類としては、例えばニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースなどのニゲロオリゴ糖が挙げられるが、それらの2種以上の混合物であってもよい。
ニゲロオリゴ糖の配合量も適宜選択できるが、経口剤の場合、吸収率を考慮して、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖混合物として成人(体重60kg)1人当りの1日量が2mg〜20g、好ましくは5mg〜5g、更に好ましくは25mg〜2.5g摂取されるよう設定するのが望ましい。又、注射剤、輸液剤の場合、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖混合物として成人(体重60kg)1人当りの1日量が0.2mg〜2g、好ましくは0.5mg〜500mg、更に好ましくは2.5mg〜250mg投与されるよう設定するのが望ましい。
【0010】
本発明における、ビタミンEと併用する他の免疫賦活剤としては、キノコ菌糸の細胞壁に含まれる植物繊維を酵素的に処理した活性化へミセルロース、サルノコシカケの菌糸体成分であるPSK、スエヒロタケの菌糸体成分であるSPG、シイタケの菌糸体成分であるレンチナン、並びにアガリクス、霊芝、ニンギョータケ、カワリハラタケ、マイタケ等の菌糸体成分や、溶連菌の菌体成分であるOK−432、乳酸菌またはその処理物、ニゲロオリゴ糖等が挙げられるが、乳酸菌またはその処理物とニゲロオリゴ糖を併用した場合、効果が一段と向上する。
併用する場合のビタミンEに対する乳酸菌の配合割合(重量比)は、ビタミンEの1に対し乳酸菌0.01〜10、好ましくは0.05〜5、さらに好ましくは0.1〜3であり、ビタミンEに対するニゲロオリゴ糖の配合割合(重量比)は、ビタミンEの1に対しニゲロオリゴ糖0.1〜100、好ましくは0.5〜50、さらに好ましくは1〜30である。
【0011】
【実施例】
以下に実施例および試験例をあげて本発明を具体的に示す。
【0012】
実施例1
清涼飲料水
処方
ニゲロオリゴ糖 15.0g
α−トコフェロール 1.0g
ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体 0.2g
ビタミンC 8.0g
レモン果汁 9.4g
グラニュー糖 15.4g
果糖ブドウ糖液糖 74.8g
精製ハチミツ 22.2g
クエン酸 1.5g
レモンフレーバー 1.6g
蔗糖脂肪酸エステル(HLB16) 0.1g
蔗糖脂肪酸エステル(HLB1) 0.1g
水 全量が1000mlとなる量
【0013】
調製法
純水500mlに、上記処方におけるニゲロオリゴ糖、ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥菌体、レモン果汁、グラニュー糖、果糖ブドウ糖液糖、精製ハチミツ 、クエン酸およびレモンフレーバーを加え撹拌後、10分間超音波処理し懸濁溶解させた。これに、α−トコフェロール、蔗糖脂肪酸エステル(HLB16)および蔗糖脂肪酸エステル(HLB1)を純水100mlに加えホモジナイズした乳化液を加え、さらに純水を加えて1000mlとした後、65℃で10分間殺菌して清涼飲料水を得た。得られた清涼飲料水はニゲロオリゴ糖を1.5%、ビタミンE(α−トコフェロール)を0.1%、ラクトバチルス・プランタラムL−137死菌体を約0.02%含有するものである。
【0014】
実施例2
顆粒剤
処方
α−トコフェロール 6g
ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体 1g
乳糖 204g
結晶セルロース 15g
ブドウ糖 71g
【0015】
調製法
上記処方における各原料粉末を均一に混合し、造粒破砕後、乾燥して顆粒剤とした。
【0016】
実施例3
錠剤
実施例2で得られた顆粒剤99gにステアリン酸カルシウム1gを混合し、打錠機で圧縮整形して1錠当たり900mgの錠剤を得た。1錠は、ビタミンEを約18mg、ラクトバチルス・プランタラムL−137菌体を約3mg含有するものである。
【0017】
実施例4
カプセル剤
処方
ニゲロオリゴ糖 100mg
ビタミンE 5mg
ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体 3mg
コーンスターチ 75mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
調製法
上記処方に示された各原料粉末を均一に混合し、ゼラチンカプセルに充填し、カプセル1個当たり、ニゲロオリゴ糖100mg、ビタミンE5mg、ラクトバチルス・プランタラムL−137菌体3mgを含有するカプセル剤を得た。
【0018】
実施例5
クッキー
処方
α−トコフェロール 0.5g
ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体 0.1g
小麦粉 97.9g
グラニュー糖 55.0g
ショートニング 50.0g
脱脂粉乳 25.0g
ベーキングパウダー 1.5g
水 20.0g
調製法
上記処方で原料を混合し、生地を調製し、成型した後、オーブンに入れて180℃/13分間加熱して、クッキーを製造した。
【0019】
実施例6
乳液
処方

α−トコフェロール 1.0g
流動パラフィン 10.0g
セタノール 5.0g
POE(30)セチルエーテル 2.0g
パルミチン酸 1.0g
ブチルパラベン 0.1g

ニゲロオリゴ糖 5.0g
ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体 0.1g
1,3−ブタンジオール 5.0g
メチルパラベン 0.3g
カルボキシビニルポリマー 0.2g
水 70.3g
調製法
A、Bをそれぞれ80℃で加熱混合し、AにBを加え粗乳化し、ホモゲナイザーで均一に乳化し冷却して乳液を得た。
【0020】
実施例7
飼料
α−トコフェロール 2.5g
ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体 0.5g
大麦圧ペン 20.0kg
ふすま 20.0kg
とうもろこし圧ペン 17.5kg
大豆粕 10.0kg
大豆皮 10.0kg
加熱大豆 8.0kg
綿実 7.0kg
調整法
上記処方で原料を混合し、粉末状の乳牛用濃厚飼料を製造した。
【0021】
試験例1
この試験では、ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体とα−トコフェロールを用いて、マウスの脾臓細胞のインターロイキン12産生誘導に対するラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体とα−トコフェロールの相乗効果を調べた。
マウス(BALB/c、雌、21週齢)から脾臓を摘出しRPMI 1640培地中で押し潰し、♯200メッシュに通し脾臓細胞浮遊液を得た。脾臓細胞浮遊液の細胞数を自動血球計測装置で測定した後、細胞数を5.0×10/mlの濃度にRPMI 1640培地で調製し、96穴組織培養プレートに1穴当たり100μlを播種した。
これにラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体を400ng/mlの濃度でRPMI 1640培地に分散させた溶液またはRPMI 1640培地を1穴当たり50μl加えた。
α−トコフェロール溶液を16mg/mlの濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、さらにこれをRPMI 1640培地で希釈し、α−トコフェロール64μg/ml溶液を得た。64μg/mlα−トコフェロール溶液を、0.4%DMSO-RPMI 1640培地で、4、8あるいは16μg/mlに希釈し、それぞれ1穴当たり50μl加えた。対照には0.4%DMSO-RPMI 1640培地を1穴当たり50μl加えた。
37℃の5%炭酸ガス培養器内で24時間培養し、培養後の培養上清のインターロイキン12をエンザイムイムノアッセイで測定した。
インターロイキン12のエンザイムイムノアッセイは、捕捉抗体としてラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体(R&D Systems社製)を用い、捕捉抗体をホウ酸緩衝液で1μg/mlに調製した溶液を、96穴組織培養プレート1穴当たり100μl加え4℃で3日間放置しラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体を各穴に付着させたプレートを用いて行った。培養上清を1穴当たり50μl加え、室温で90分間放置し、培養上清のインターロイキン12をプレートに付着したラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体と結合させた。洗浄後、検出抗体のビオチン化抗マウスインターロイキン12抗体(R&D Systems社製)を加え、プレートに結合させたインターロイキン12に結合させた。洗浄後ペルオキシダーゼ標識アビジン(ファーミンジェン社製)を加え、プレートに結合させたビオチンに結合させた。洗浄後、過酸化水素0.006%とオルトフェニレンジアミン0.1%を含有するリン酸緩衝液を1穴当たり100μl加え、室温で40分間反応させ、反応を1.5N硫酸で停止し、マイクロプレートリーダーで吸光度492nmを測定し、リコンビナントマウスインターロイキン12で作成した標準曲線から、培養上清中のインターロイキン12の濃度を求めた。
〔表1〕にその結果を示す。
【0022】
【表1】
Figure 0004667568
〔表1〕から明らかなごとく、α−トコフェロール単独ではインターロイキン12の産生を誘導しなかったが、ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体で誘導されたインターロイキン12の産生をα−トコフェロールは有意に上昇させた。これにより、インターロイキン12産生誘導におけるラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体とα−トコフェロールの相乗効果が実証された。
【0023】
試験例2
この試験では、ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体とニゲロオリゴ糖からなる組成物とα−トコフェロールを用いて、マウス脾臓細胞のインターロイキン12およびインターフェロンγ産生誘導に対するラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体とニゲロオリゴ糖からなる組成物とα−トコフェロールの相乗効果を調べた。
マウス(BALB/c、雌、26週齢)から脾臓を摘出し、RPMI 1640培地中で押し潰し、♯200メッシュに通し脾臓細胞浮遊液を得た。脾臓細胞浮遊液の細胞数を自動血球計測装置で測定した後、細胞数を1.0×10/mlの濃度にRPMI 1640培地で調製し、96穴組織培養プレートに1穴当たり50μlを播種した。
これにラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体を400ng/mlの濃度でRPMI 1640培地に分散させた溶液50μlとニゲロオリゴ糖を4μg/ml濃度でRPMI 1640培地に溶解した溶液50μlを、またはRPMI 1640培地100μlを各穴に加えた。
α−トコフェロール溶液を16mg/mlの濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、さらにこれをRPMI 1640培地で希釈し、α−トコフェロール64μg/ml溶液を得た。64μg/mlα−トコフェロール溶液を、0.4%DMSO-RPMI 1640培地で、4μg/mlに希釈し、1穴当たり50μl加えた。対照には0.4%DMSO-RPMI 1640培地を1穴当たり50μl加えた。
37℃の5%炭酸ガス培養器内で5日間培養し、培養後の培養上清のインターロイキン12およびインターフェロンγをエンザイムイムノアッセイで測定した。
インターフェロンγのエンザイムイムノアッセイには、捕捉抗体としてハムスター抗マウスインターフェロンγ抗体(R&D Systems社製)を、検出抗体としてビオチン化抗マウスインターフェロンγ抗体(R&D Systems社製)を用いた。
〔表2〕にその結果を示す。
【0024】
【表2】
Figure 0004667568
〔表2〕から明らかなごとく、α−トコフェロール単独ではインターロイキン12並びにインターフェロンγの産生を誘導しなかったが、ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体とニゲロオリゴ糖からなる組成物で誘導されたインターロイキン12並びにインターフェロンγの産生をα−トコフェロールは有意に上昇させた。これにより、インターロイキン12並びにインターフェロンγ産生誘導におけるラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体とニゲロオリゴ糖からなる組成物とα−トコフェロールの相乗効果が実証された。
【0025】
試験例3
この試験では各種乳酸菌乾燥死菌体とα−トコフェロールを用いて、マウス脾臓細胞のインターロイキン12およびインターフェロンγ産生誘導に対する各種乳酸菌とα−トコフェロールの相乗効果を調べた。
マウス(BALB/c、雌、26週齢)から脾臓を摘出し、RPMI 1640培地中で押し潰し、♯200メッシュに通し脾臓細胞浮遊液を得た。脾臓細胞浮遊液の細胞数を自動血球計測装置で測定した後、細胞数を5.0×10/mlの濃度にRPMI 1640培地で調製し、96穴組織培養プレートに1穴当たり100μlを播種した。
これに各種乳酸菌乾燥死菌体を400ng/mlの濃度でRPMI 1640培地に分散させた溶液50μlを各穴に加えた。
α−トコフェロール溶液を16mg/mlの濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、さらにこれをRPMI 1640培地で希釈し、α−トコフェロール64μg/ml溶液を得た。64μg/mlα−トコフェロール溶液を、0.4%DMSO-RPMI 1640培地で、16μg/mlに希釈し、1穴当たり50μl加えた。対照には0.4%DMSO-RPMI 1640培地を1穴当たり50μl加えた。
37℃の5%炭酸ガス培養器内で1および4日間培養し、1日間培養後の培養上清のインターロイキン12および4日間培養後の培養上清のインターフェロンγをエンザイムイムノアッセイで測定した。
〔表3〕にその結果を示す。
【0026】
【表3】
Figure 0004667568
〔表3〕から明らかなごとく、いずれの各種乳酸菌乾燥死菌体で誘導されたインターロイキン12並びにインターフェロンγも、α−トコフェロールを共存させることでさらに上昇した。この結果から、インターロイキン12並びにインターフェロンγ産生誘導における乳酸菌乾燥死菌体とα−トコフェロールの相乗効果が実証された。
【0027】
【発明の効果】
ビタミンEに他の免疫賦活剤、特に乳酸菌またはその処理物やニゲロオリゴ糖を配合した本発明の組成物を経口または非経口的にヒトや動物の体内に投与することにより、体内におけるインターロイキン12やインターフェロンγなどの産生誘導が相乗的に向上し、免疫力が著しく増強される。

Claims (1)

  1. ビタミンEおよびラクトバチルス・プランタラムL−137株(Lactobacillus plantarum L-137)である乳酸菌またはそれらの磨砕物、破砕物、それらからの抽出物またはそれらの乾燥品ならびにニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースの少なくとも一種類を含んでなるニゲロオリゴ糖を含有してなるIL−12産生誘導組成物。
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