JP4518906B2

JP4518906B2 - 吸収性物品用の表面シート

Info

Publication number: JP4518906B2
Application number: JP2004305198A
Authority: JP
Inventors: 一光古田; 陽子真鍋; 進介長原; 雄一石野
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 2004-10-20
Filing date: 2004-10-20
Publication date: 2010-08-04
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Description

本発明は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー（おりものシート）、失禁パッド等の吸収性物品の肌当接面に好適に用いられる表面シート、又は積層不織布に関する。

使い捨ておむつや生理用ナプキン等の表面シートとして、着用者の肌に当接される面に凹凸を形成したものが汎用されている。凹凸を有する表面シートによれば、凹凸の存在により着用者の肌との接触面積が低減するので、べたつき感やムレの低減を図ることができる。例えば、厚みのあるシート材料をエンボス加工により他のシート材料に一体化し、エンボスによる圧縮部を凹部、その他の部分を凸部とした表面シートが知られている。しかし、この表面シートにおいては、設計できる凸部の性能が、シート材料の特性に依存して制限されてしまう。
また、特許文献１には、互いに平行な列を成す複数の膨らみ部を形成する液透過性の表面シートと、前記膨らみ部内で前記表面シートと吸収性コアとの間に介在する親水性素材層とから成る、吸収性物品の表面構造体が記載されている。
また、特許文献２には、２枚の不織布を部分的に熱融着させ、熱融着部以外で一方の不織布に不連続な凸部を形成した表面シートが記載されている。

特開平１１−３１８９８３特開２００４−１７４２３４

しかし、特許文献１記載の表面構造体は、膨らみ部が着用者の前後方向と平行になるように配することで、横漏れが生じにくいという利点を有する一方、尿などの排泄液が多く与えられたときには、排泄液が、膨らみ部間の谷部を流れて拡散するものであるため、排泄液が着用者の前後方向に拡がって、前後方向の端部から漏れを生じる恐れがあった。例えば、高粘度の排泄液である軟便を排泄する低月齢児用のおむつに用いた場合、膨らみ部間の谷部を軟便が移動することによって、着用者の腹や背側から漏れを生じる恐れがあり、また、漏れに至らなくても、軟便が特定方向に広く拡散することで、おむつ交換の際等に汚く見えるという問題があった。このような問題は、生理用ナプキンの表面シートとして用いた場合も同様である。
また、特許文献１記載の表面構造体は、親水性素材層により膨らみ部にクッション性を付与することも目的としており、クッション性に富む膨らみ部が特定の方向に連続的に延びているため、面方向の柔軟性に劣るという問題もある。
また、特許文献１記載の表面シートは、凸部内が空洞であるため、液の引き込み性の点が課題がある。

従って、本発明の目的は、液流れ防止性及び液の引き込み性に優れ、嵩高で、面方向の柔軟性も高い吸収性物品用の表面シート、又は積層不織布を提供することにある。

本発明は、吸収性物品の肌当接面に用いられる表面シートであって、互いに積層された第１不織布及び第２不織布が部分的に熱融着されて熱融着部が形成されており、第１不織布は、前記熱融着部以外の部分が、着用者の肌側に向けて突出した凸部を形成しており、該凸部は、表面シートの面方向の一方向及び該一方向に直交する方向の両方向に不連続に多数形成されており、前記各凸部の内部には、短繊維が充填され、前記熱融着部には、前記短繊維が実質的に存在しておらず、表面シートの凸部部分における繊維密度が、第１不織布、前記短繊維、第２不織布の順に高くなっている、吸収性物品用の表面シートを提供することにより前記目的を達成したものである。

また、本発明は、互いに積層された第１不織布及び第２不織布が部分的に熱融着されて熱融着部が形成されている積層不織布であって、第１不織布は、前記熱融着部以外の部分が突出して凸部を形成しており、該凸部は、積層不織布の面方向の一方向及び該一方向に直交する方向の両方向に不連続に多数形成されており、前記各凸部の内部には、短繊維が充填され、前記熱融着部には、前記短繊維が実質的に存在しておらず、積層不織布の凸部部分における繊維密度が、第１不織布、前記短繊維、第２不織布の順に高くなっている積層不織布を提供するものである。

本発明の吸収性物品用の表面シート及び積層不織布は、液流れ防止性及び液の引き込み性に優れ、嵩高でクッション性がよく、面方向の柔軟性も高いものである。

以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図１には本発明の吸収性物品用の表面シートの要部拡大図が示されている。図１に示す表面シート１０は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー（おりものシート）、失禁パッドなどの吸収性物品の肌当接面に用いられるものである。

表面シート１０は、互いに積層された第１不織布１及び第２不織布２と、これら両不織布１，２間に部分的に配された短繊維からなる繊維集合体３とからなる。第１不織布１は、表面シート１０における、着用時に着用者の肌側に向けられる面（肌当接面）を形成しており、第２不織布２は、着用時に吸収体側に向けられる面（非肌当接面）を形成している。

第１不織布１と第２不織布２とは部分的に熱融着されており、それにより多数の熱融着部４が形成されている。第１不織布１は、前記熱融着部４以外の部分が、着用者の肌に向かう方向に突出して、多数の凸部５を形成している。

凸部５は、表面シート１０の面方向の一方向（図１中Ｘ方向，以下、Ｘ方向という）及び該一方向に直交する方向（図１中Ｙ方向，以下、Ｙ方向という）の両方向に不連続に形成されている。即ち、凸部５は、特許文献１記載の表面構造体の膨らみ部とは異なり、表面シート１０の特定の方向にその頂部が連続的に延びていない。
より具体的には、凸部５及び熱融着部４は、Ｘ方向に、交互に且つ一列をなすように配置されており、そのような列が、Ｙ方向に多列に形成されている。互いに隣接する列における凸部５及び熱融着部４は、それぞれ、Ｘ方向にずれて配置され、より具体的には、半ピッチずれて配置されている。

尚、本実施形態の表面シート１０におけるＸ方向は、表面シート１０の製造工程における流れ方向と一致し、また表面シート１０が吸収性物品に組み込まれたときの該吸収性物品の長手方向又はそれと直交する方向と一致する。また、本表面シート１０におけるＸ方向は、第１及び第２不織布それぞれにおける繊維の配向方向と一致している。また、表面シート１０は、全体として見ると、その第２不織布２側の面がほぼ平坦であり、第１不織布１側に起伏の大きな凹凸が形成されている。

表面シート１０における各凸部５の内部には、短繊維が充填されている。短繊維は、繊維集合体３を形成している。短繊維からなる繊維集合体３は、表面シート１０における凸部部分（凸部を有する部分）における第１不織布１と第２不織布との間に配されており、両不織布それぞれと密着している。

短繊維からなる繊維集合体３は、表面シート１０の凸部部分（表面シート１０における凸部５を有する部分）に配されており、熱融着部４には、繊維集合体３を構成する短繊維が実質的に存在していない。「実質的に存在していない」とした理由は、表面シート１０の製造工程において、短繊維を凸部部分のみに配するように工夫しても、少量の短繊維が熱融着部に配されてしまうことが多いことを考慮し、そのような少量の短繊維の存在を許容する趣旨である。但し、凸部部分の単位面積当たりの短繊維量に対する、熱融着部の単位面積当たりの短繊維量の割合（百分率）は２０重量％以下、好ましくは５重量％以下であることが好ましい。

そして、表面シート１０の各凸部部分における繊維密度は、第１不織布１、短繊維（繊維集合体３としての短繊維）、第２不織布２の順に高くなっている。即ち、各凸部部分における、第１不織布１の繊維密度ρ１、短繊維からなる繊維集合体３の繊維密度ρ２及び第２不織布２の繊維密度ρ３は、ρ１＜ρ２＜ρ３の関係を有している。
凸部部分に、このような繊維密度の勾配をつけることで、尿や経血等の排泄液を、凸部５表面から繊維集合体３にスムーズに移行させ、更にそれをスムーズに第２不織布２に移行させることができる。しかも、ー度に多量の液が表面シート１０上に供給された場合においては、凸部５の存在により第１不織布の表面積が広くなっていることと、凸部５内の繊維集合体３に液を保持できることから、凸部に液を一時的に保持することができる。

各凸部部分における、第１不織布１の繊維密度ρ１、短繊維の繊維密度（繊維集合体３としての短繊維の繊維密度）ρ２及び第２不織布２の繊維密度ρ３は、それぞれ、以下のようにして測定することができる。
表面シート１０における熱融着部の面積率を計測する。計測には、画像解析ソフトＮＥＷＱＵＢＥ（ＮＥＸＵＳ製、Ｖｅｒ．４．２２）に画像を取り込みおこなう。画像の取り込みは、サンプルの中央部を使用し（目安として熱融着部が５〜２０ヵ所画面内に入るようにする）、光源として[サンライトＳＬ-230Ｋ2；ＬＰＬ（株）社製]を２台使用し、ＣＣＤカメラ（ＨＶ-37；日立電子（株）社製）とレンズ（Ｎｉｋｏｎ製ＡｉＡＦＮｉｋｏｌ２４ｍｍＦ２．８Ｄ）をＦマウントにより接続しおこなった。画像の処理は、「二値化」により熱融着部分を特定し、熱融着部の面積率を計測した。

次いで、第１不織布、短繊維層、第２不織布の坪量を計測する。計測には、１０ｃｍ×１０ｃｍにカットした表面シート１０を用い、熱融着部を第１不織布もしくは第２不織布のいずれかのみに存在するよう各々の不織布と層に分離する（熱風下分離作業を行うと熱融着部を第１／第２不織布の一方に残しやすい）。
不織布と短繊維層の重量を０．１ｍｇオーダーまで計測し、熱融着部分を補正の上、第１又は第２不織布のうちの、熱融着部をもたない方の不織布と短繊維層の坪量を算出する。熱融着部をもつ方の不織布の坪量は、熱融着部をもたない方の不織布の熱融着部分相当の重量を除いた重量から、坪量を算出する。短繊維層においては、熱融着部に多数の繊維が延びていないことを確認する。
厚みは、表面シート１０の切断面で最も厚みのある部位において、第１不織布、短繊維層、第２不織布各々の厚みを計測する。計測には、マイクロスコープＶＨ‐８０００（キーエンス製）を用い、５０倍で観察した断面観察によって行う。断面は、フェザー剃刀（品番ＦＡＳ‐１０、フェザー安全剃刀（株）製）を用い切断して得る。この切断面に対して、液吸収前の熱融着部及び凸部部分の厚みの写った画像を記録し計測・算出する。
得られた坪量、厚みより、算出し密度を得る。

第１不織布１の繊維密度ρ１、短繊維の繊維密度（繊維集合体３としての短繊維の繊維密度）ρ２及び第２不織布２の繊維密度ρ３は、以下の関係を有することが好ましい。
繊維密度ρ１及びρ３と各々の不織布における熱融着部近傍密度ρ１ｅ, ρ３ｅと中間密度ρ１ｃ, ρ３ｃが、ρ１ｅ＜ρ１ｃ＜ρ１、ρ３ｅ≦ρ３ｃ≦ρ３かつρ３ｅ＜ρ１ｅの関係を有すると、第１不織布での液残りを減少し、第２不織布へ（熱融着部近傍における）液の移動がおこりやすくなるため、表面シートのサラッと感が向上する。
さらに、熱融着近傍における短繊維層は、繊維が存在していないか、その密度ρ２ｅがρ３ｅより低いことが、第１不織布から第２不織布へ（熱融着部近傍における）液の移動を妨げない点から好ましい（繊維があまり存在しない状態）。第２不織布２においては、ρ３ｅ≦ρ３ｃ＝ρ３であることが、短繊維層から液を移動しやすく、液戻りを防止する点から好ましい。なお、熱融着部近傍とは、表面シート１０の断面における熱融着部から０．５〜１ｍｍ離れた位置であり、中間密度は、熱融着部近傍密度の計測位置と繊維密度の計測位置の長さの中間位置での密度である。

本実施形態の表面シート１０によれば、凸部部分の繊維密度の勾配による良好な液の引き込み性に加え、不連続な凸部５による良好な液流れ防止性により、表面シート１０上に排泄された尿や経血等は、表面シート１０の比較的狭い範囲から該表面シート１０を透過してその下の吸収体に吸収される。
そのため、吸収性物品に用いた場合に、着用者の前後左右の何れの方向からも漏れが生じにくく、また、使用後の見た目も比較的きれいである。また、表面シートが面方向の柔軟性に優れ、Ｘ方向及びＹ方向のいずれにおいても柔軟に曲がるため、着用者とのフィット性が向上し、また、柔軟性が要求される物品や部位にも使用できる。

また、凸部部分の繊維密度の勾配により、液のウエットバックが生じにくく、凸部の存在による嵩高性（肌への接触面積の小ささ）と相俟って、着用中における張りついたようなべたつき感やムレを効果的に防止することができ、更に、肌触りもふんわりとして良好である。

また、熱融着部４に、繊維集合体３を構成する短繊維が実質的に存在していないことにより、熱融着部における熱融着性を考慮せずに、多様な繊維を、繊維集合体３を構成する短繊維として用いることができる。繊維集合体３を構成する短繊維の好ましい例等については後述する。

上述した効果を一層顕著なものとする観点から、表面シート１０は以下の構成を有することが好ましい。
凸部部分の厚みＨ（図１参照）は０．５〜２．５ｍｍ、特に０．８〜１．７ｍｍであることが好ましい。熱融着部４の厚みｈ（図１参照）は１５〜３００μｍ、特に２０〜１５０μｍであることが好ましい。表面シート１０の単位面積（１ｃｍ²）当たりの凸部５の数は１〜２０、特に６〜１０個であることが好ましい。

凸部５のＸ方向の底部寸法Ａ（図１参照）は０．５〜５．０ｍｍ、特に１．０〜４．０ｍｍであることが好ましい。凸部５のＹ方向の底部寸法Ｂ（図１参照）は１.０〜１０ｍｍ、特に２．０〜７．０ｍｍであることが好ましい。
Ｘ方向の底部寸法ＡとＹ方向の底部寸法Ｂとの比（底部寸法Ａ：底部寸法Ｂ）は１：１〜１：１０、特に１：２〜２：５であることが好ましい。凸部５の底部面積（底部寸法Ａ×底部寸法Ｂ）は０．５〜５０ｍｍ²、特に２〜２０ｍｍ²であることが好ましい。
熱融着部４は、Ｘ方向の寸法Ｃ（図１参照）が０．１〜２ｍｍ、特に０．２〜１．０ｍｍであることが好ましく、Ｙ方向の寸法Ｄ（図１参照）が０．２〜５.０ｍｍ、特に０．５〜３．０ｍｍであることが好ましい。

第１及び第２不織布としては、各種公知の不織布を用いることができ、例えば、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等の種々の不織布を用いることができる。本実施形態の表面シート１０においては、実質的に伸縮しない不織布を、第１及び第２不織布として用いている。
第１不織布としては、肌触りの観点から、カード法等により得た繊維ウエブにエアスルー法で繊維同士の熱融着点を形成したエアースルー不織布や、ヒートエンボス不織布、エアレイド不織布、ニードルパンチ不織布等が特に好ましく用いられる。第２不織布としては繊維密度を高め第１不織布や短繊維層から液を移動し易くする観点から、カード法等により得た繊維ウエブにヒートロール法で繊維同士の熱融着点を形成したヒートロール不織布やヒートエンボス不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンレース不織布等が特に好ましく用いられる。

第１及び第２不織布の構成繊維としては、熱融着性繊維、特に熱可塑性ポリマー材料からなる繊維が好適に用いられる。熱可塑性ポリマー材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミドなどが挙げられる。またこれらの熱可塑性ポリマー材料の組合せからなる芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維も好適に用いることもできる。第１及び第２不織布は、熱融着性繊維以外に熱融着性を有しない繊維を構成繊維の一部として含んでいても良い。

第１不織布は、構成繊維の太さが１．０〜３．３ｄｔｅｘであることが好ましく、坪量が１５〜３０ｇ／ｍ²であることが好ましい。第２不織布は、構成繊維の太さが０．１〜３．３ｄｔｅｘであることが好ましく、坪量が１０〜３０ｇ／ｍ²であることが好ましい。

繊維集合体３を構成する短繊維（凸部５に充填される短繊維）としては、上述したように、熱融着部における熱融着性を考慮せずに、多様なものを用いることができるが、例えば、以下のようなものを用いることが好ましい。
（１）第１及び第２不織布それぞれの構成繊維よりも熱融着性に劣る繊維（以下、非熱融着性繊維ともいう）。
非熱融着性繊維を用いることにより、使用時の圧力変化に繊維の動きが自由に対応し、表面シート１０のクッション感を高める。

第１（第２）不織布の構成繊維よりも熱融着性に劣る繊維とは、例えば第１（第２）不織布の構成繊維を構成する熱融着性樹脂の融点以下の温度では溶融しない繊維をいう。例えば、第１及び第２不織布がポリエチレン樹脂を主体とする繊維からなる場合には、繊維集合体を構成する短繊維として、それよりも融点の高いポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、ナイロン、ポリアミド等の合成樹脂からなる繊維や、アセテート化されたレーヨンなど親水性調整がおこなわれた半天然繊維を用いることが好ましい。また、第１及び第２不織布がビスコースレーヨン、アセテート化されたレーヨン、パルプを主体とする繊維からなる場合には、繊維集合体を構成する短繊維として、コットン繊維、レーヨン繊維等を用いることが好ましい。
非熱着性繊維は、その太さが０．５〜６．６ｄｔｅｘ、特に１．１〜３．３ｄｔｅｘであることが好ましく、坪量が５〜５０ｇ／ｍ²、特に１０〜３０ｇ／ｍ²であることが好ましい。

（２）潜在捲縮性繊維
潜在捲縮性繊維を用いることにより、表面シート１０の製造段階又は表面シート１０を用いて吸収性物品を製造する段階における熱処理により、凸部５に所望の性状を付与することができる。例えば、捲縮の程度を高くして圧縮に対する弾性回復力に優れた凸部を形成したり、毛管径の小さな繊維構造体とすることで、液引き込み性に優れた短繊維・第２不織布を形成することができる。

潜在捲縮性繊維は、加熱によって螺旋状の３次元捲縮が発現して収縮する性質を有する繊維である。本明細書では、螺旋状の捲縮を発現したものも、発現する前のものも共に潜在捲縮性繊維という。潜在捲縮性繊維は、例えば、収縮率の異なる２種類の成分からなる偏心芯鞘型若しくは同心芯鞘型の複合繊維又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維からなる。その例としては、特開平９−２９６３２５号公報や特許２７５９３３１号明細書に記載のものが挙げられる。収縮率の異なる２種類の成分（熱可塑性ポリマー等）としては、エチレン−プロピレンランダム共重合体（高収縮率成分）とポリプロピレン（低収縮率成分）との組み合わせ、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ，低収縮率成分）とポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸（ＣｏＰＥＴ，高収縮率成分）との組み合わせが好ましい例として挙げられる。

繊維集合体３中の上記（１）又は（２）の繊維量は、例えば、繊維集合体３の重量に対して５０〜１００％、特に８０〜１００重量％とすることができる。潜在捲縮性繊維とともに含有させる繊維としては、例えば、上記（１）の繊維として例示したものを挙げることができる。

繊維集合体３を構成する繊維（凸部５に充填される繊維）は、短繊維、即ち、その平均繊維長が１００ｍｍ以下のものである。短繊維の凸部への充填には、空気などの流体流によってのせて繊維を搬送する方法、ウエブ状に第１不織布に重ねたあと繊維を取り除く方法（吸引等による除去・流体による繊維のより分け）が用いられる。繊維集合体３を構成する短繊維は、流体流により搬送する場合には、その見掛け繊維長が、３〜１５ｍｍ、特に５〜１０ｍｍであることが好ましい（特に、潜在捲縮繊維を用いる場合、捲縮発現前後にかかわらず見掛け繊維長が、搬送性に関わる）。

第１不織布１、短繊維からなる繊維集合体３、第２不織布２は、その構成繊維の親水度がこの順に高くなっていることが、凸部５表面からの液の引き込み性を向上させる観点から好ましい。これら３者の親水度の大小は、接触角計測法により一本の繊維上に（霧吹き等により）のせた水滴の繊維表面と水滴の角度を求めることで判断することができる。

次に、本実施形態の表面シート１０の好ましい製造方法を図２及び図３を参照しながら説明する。図２に示すように、先ず、第１不織布１の原反１’から第１不織布１を繰り出す。これとは別の、第２不織布２の原反２’から第２不織布２を繰り出す。繰り出された第１不織布１を、周面が凹凸形状となっている第１のロール１１と第１のロールの凹凸形状と噛み合い形状となっている凹凸形状を周面に有する第２のロール１２との噛み合わせ部に噛み込ませて第１不織布１を凹凸賦形する。

図３には、第１のロール１１の要部拡大図が示されている。第１のロール１１は、所定の歯幅を有する平歯車１１ａ，１１ｂ，・・を複数枚組み合わせてロール状に形成したものである。各歯車の歯幅は、表面シート１の凸部５におけるＹ方向の寸法を決定する。隣り合う歯車は、その歯のピッチが半ピッチずつずれるように組み合わされている。その結果、第１のロール１１は、その周面が凹凸形状となっている。

第１のロール１１における各歯車の歯溝部には吸引孔１３が形成されている。この歯溝部は、第１のロール１１の周面における凹凸形状のうちの凹部に相当するものである。吸引孔１３は、ブロワや真空ポンプなどの吸引源（図示せず）に通じ、第１のロールと第２のロールとの噛み合い部から第１不織布１と第２不織布２との合流部までの間で吸引が行われる様に制御されている。従って、第１のロールと第２のロールとの噛み合いによって凹凸賦形された第１不織布１は、吸引孔１３による吸引力によって第１のロール周面に密着し、その凹凸賦形された状態が保持される。この場合、図３に示すように、隣り合う歯車間に所定の空隙Ｇを設けておくと、第１不織布１に無理な伸長力や、ロールの凹凸噛み合いによる切断効果を加えることなく第１不織布１を第１のロール１１の周面に密着させられる。

次いで、第１不織布１が密着した状態の、第１のロール１１の周面に対して、公知の繊維供給手段１４により、短繊維３１を飛散状態として供給する。短繊維３１は、第１のロール１１の一部を覆うダクト１４ａ内に生じた空気流にのって第１のロール１１の周面に向かって搬送され、吸引孔１３からの吸引により、該ロール１１の凹部内に選択的に堆積する。ダクト１４ａ内の空気流は、吸引孔１３からの吸引及び／又は他の送風手段（図示せず）により生じさせることができる。

そして、図２に示すように、第１不織布１及び堆積させた短繊維３１を第１のロール１１の周面に引き続き吸引保持した状態下に、第２不織布２を重ね合わせ、その重ね合わせたものを第１のロール１１とアンビルロール１５との間で挟圧する。このとき、第１のロール１１とアンビルロール１５の両方又はアンビルロール１５のみを所定温度に加熱しておく。これによって、第１のロール１１における凸部上、つまり各歯車の歯の上に位置する第１不織布１が第２不織布２と熱融着によって接合される。

このようにして表面シート１０が得られる。表面シート１０は、上述したように、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッドなどの吸収性物品に用いられる。吸収性物品は一般に液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を有して構成されている。

以上に説明した表面シート１０は、本発明の積層不織布の一実施形態でもある。本発明の積層不織布は、吸収性物品の表面シート以外の用途に用いることもできる。
例えば、吸収性物品用のシートとして、表面シートと吸収体の間に配置されるシート、立体ギャザー（防漏壁）形成用のシート（特にギャザーの内壁を形成するシート）等に用いることができ、また、吸収性物品以外の用途として、清掃シート、特に液吸収を主とする清掃シートや、対人用の化粧シート等として用いることができる。清掃シートに用いる場合、凸部において、平滑でない被清掃面への追従性が良好であるため、第１不織布側を被清掃面に向けて使用することが好ましい。化粧シートとして用いる場合、凸部において対象者の肌に追従し、またマッサージ効果を発現するとともに、余分な化粧剤（別途使用）や汗の吸収を行うことができるため、第１不織布側を肌側に向けて使用することが好ましい。
更に、凸部に充填した繊維シートを薬剤の種類によって選別し各種薬剤を予めもしくは使用前に吸収させておくことで、徐々に薬剤を放出し、薬剤に応じた効果を発現することができる。例えば、清掃シートであればワックスなどの保護材、化粧シート等であれば化粧剤や保湿剤を徐々に放出可能である。

以上、本発明の表面シート及び積層不織布の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、表面シート（積層不織布）１０の凸部５は、四角錐台形状のものであったが、半球状のもの等であっても良い。また、互いに隣接する列における凸部５及び熱融着部４が、それぞれ、Ｘ方向にずれる程度は、１／２ピッチに代えて、１／３ピッチ、１／４ピッチ等であっても良く、更にＸ方向にずれていなくても良い。

本発明の吸収性物品用の表面シートの要部を拡大して示す斜視図である。図１に示す表面シートを製造する方法を示す模式図である。図２における第１のロールの要部拡大図である。

符号の説明

１０表面シート
１第１不織布
２第２不織布
３短繊維からなる繊維集合体
４熱融着部
５凸部

Claims

吸収性物品の肌当接面に用いられる表面シートであって、
互いに積層された第１不織布及び第２不織布が部分的に熱融着されて熱融着部が形成されており、
第１不織布は、前記熱融着部以外の部分が、着用者の肌側に向けて突出した凸部を形成しており、該凸部は、表面シートの面方向の一方向及び該一方向に直交する方向の両方向に不連続に多数形成されており、
前記各凸部の内部には、短繊維が充填され、前記熱融着部には、前記短繊維が実質的に存在しておらず、
表面シートの凸部部分における繊維密度が、第１不織布、前記短繊維、第２不織布の順に高くなっている、吸収性物品用の表面シート。
前記短繊維は、第１及び第２不織布それぞれの構成繊維よりも熱融着性に劣る繊維である請求項１記載の吸収性物品用の表面シート。
前記短繊維は、螺旋状の捲縮を発現した潜在捲縮性繊維である請求項１又は２記載の吸収性物品用の表面シート。
互いに積層された第１不織布及び第２不織布が部分的に熱融着されて熱融着部が形成されている積層不織布であって、
第１不織布は、前記熱融着部以外の部分が突出して凸部を形成しており、該凸部は、積層不織布の面方向の一方向及び該一方向に直交する方向の両方向に不連続に多数形成されており、
前記各凸部の内部には、短繊維が充填され、前記熱融着部には、前記短繊維が実質的に存在しておらず、
積層不織布の凸部部分における繊維密度が、第１不織布、前記短繊維、第２不織布の順に高くなっている積層不織布。