JP4518821B2 - 非水電解質二次電池用電極及びその製造方法 - Google Patents
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Description
乾式混合前のリチウムマンガン酸化物のBET比表面積Aと、リチウムマンガン酸化物のみを電極作製時と同じ乾式混合条件で、正極活物質の合計重量(乾式混合時のリチウム遷移金属酸化物とリチウムマンガン酸化物の合計重量)と同じになる量用いて乾式混合した後のリチウムマンガン酸化物のBET比表面積Bを測定する。乾式混合前のリチウムマンガン酸化物のBET比表面積Aと、乾式混合後のリチウムマンガン酸化物のBET比表面積Bから以下の式を用いてリチウムマンガン酸化物のBET比表面積の増加率を算出する。
本発明の第2の局面においては、リチウムマンガン酸化物の混合前後のBET比表面積の増加率が100%以下となるように乾式混合しているので、リチウムマンガン酸化物の微粉化が生じず、高温保存特性を改善することができる。
〔正極の作製〕
LiNi0.4Co0.3Mn0.3O2の組成式で示されるリチウム遷移金属複合酸化物の粉末600gと、導電剤としての人造黒鉛100gとをらいかい機で混合し、この混合物を5重量%のポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液に添加して混合した。これに、さらにスピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物(Li1.1Mn1.9O4)400gを添加して混合し、スラリーを調製した。なお、リチウムマンガン酸化物のBET表面積は0.4m2/gであった。このスラリーを、厚み20μmのアルミニウム箔の両面にドクターブレード法により塗布し、150℃で2時間真空乾燥して、正極を作製した。
バインダーであるPVdFをNMPに溶解し、この溶液に、黒鉛粉末とPVdFの重量比が85:15となるように黒鉛粉末を添加混合して、スラリーを調製した。得られたスラリーを厚み20μmの銅箔の両面にドクターブレード法により塗布し、150℃で2時間真空乾燥して、負極を作製した。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比1:1の割合となるように混合した溶媒に、LiPF6を1モル/リットルの割合となるように溶解して、電解液を調製した。
イオン透過性のポリプロピレン微多孔膜をセパレータとして用い、これを数周巻いた後、負極と正極の間に介在させ、スパイラル状に多数回巻き取り、電極体を作製した。この電極体を電池缶に挿入した後、上記電解液を注入し、封止して、本発明電池1を作製した。
BET比表面積が3.0m2/gであるスピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物を用いること以外は、実施例1と同様にして、本発明電池2を作製した。
実施例1において、リチウム遷移金属酸化物と、人造黒鉛と、リチウムマンガン酸化物とをらいかい機で混合し、この混合物を、PVdFのNMP溶液に添加してスラリーを作製する以外は、実施例1と同様にして比較電池aを作製した。
リチウム遷移金属酸化物と、人造黒鉛と、リチウムマンガン酸化物とを、予め乾式混合することなく、直接PVdFのNMP溶液に添加したことを以外は、実施例1と同様にして比較電池bを作製した。
BET比表面積が5.0m2/gであるリチウムマンガン酸化物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製しようとしたが、スラリーがゲル化し、集電体上に塗布することができず、電極を作製することができなかった。
上記実施例1及び2並びに比較例1及び2の各電池について、0.2Cの定電流で4.2Vまで充電した後、0.3Cで3.0Vまで放電し、このときの放電容量を定格容量Aとした。測定結果を表1に示す。
本発明電池1〜2及び比較電池aについて、上記の定格容量測定試験後、0.2Cで所定の充電容量(充電量XmAh)まで充電を行い、45℃に保った恒温保存槽中で10日間放置した。放置後、0.3Cで3.0Vまで放電したときの放電容量を残存容量YmAhとし、以下の式により自己放電率を求めた。
自己放電率の測定結果を表2に示す。また、図1は、本発明電池1と比較電池aの45℃−10日間の保存試験後の自己放電率を示す図である。
〔正極の作製〕
LiNi0.4Co0.3Mn0.3O2の組成式で示されるリチウム遷移金属複合酸化物の粉末63gと、導電剤としての炭素5gとをらいかい機で混合し、この混合物と、スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物(Li1.1Mn1.9O4)27gとを、5gのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液に加えて混合し、スラリーを調製した。なお、リチウムマンガン酸化物のBETの比表面積は0.35m2/gであった。このスラリーを、厚み20μmのアルミニウム箔に塗布し、その後圧延ローラーを用いて圧延し、集電タブを取り付けることで、正極を作製した。
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比1:1で混合した溶媒に、LiPF6を1モル/リットル溶解して、電解液を作製した。
上記で作製した正極を作用極として、対極及び参照極にリチウム金属を用い、図2に示す三電極式ビーカーセルを作製し、上記電解液を注入し電池を作製した。
LiNi0.4Co0.3Mn0.3O2の組成式で示されるリチウム遷移金属複合酸化物の粉末63gと、スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物(Li1.1Mn1.9O4)27gと、導電剤としての炭素5gとをらいかい機で混合し、この混合物を5gのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液に加えて混合し、スラリーを調製した。なお、用いた材料は全て実施例3と同じである。また、らいかい機による混合条件は、リチウムマンガン酸化物(Li1.1Mn1.9O4)のみを正極活物質の合計重量である90g投入して同条件で混合した場合、リチウムマンガン酸化物のBET比表面積が25.1%増加する条件であった。このスラリーを、厚み20μmのアルミニウム箔に塗布し、その後圧延ローラーを用いて圧延し、集電タブを取り付けることで、正極を作製した。
実施例4と同様にしてスラリーを調製した。ただし、らいかい機による混合条件としては、リチウムマンガン酸化物(Li1.1Mn1.9O4)のみを正極活物質の合計重量である90g投入して同条件で混合した場合、リチウムマンガン酸化物のBET比表面積が87.6%増加する条件とした。このスラリーを、厚み20μmのアルミニウム箔に塗布し、その後圧延ローラーを用いて圧延し、集電タブを取り付けることで、正極を作製した。
実施例4と同様にしてスラリーを調製した。ただし、らいかい機による混合条件としては、リチウムマンガン酸化物(Li1.1Mn1.9O4)のみを正極活物質の合計重量である90g投入して同条件で混合した場合、リチウムマンガン酸化物のBET比表面積が170.2%増加する条件とした。このスラリーを、厚み20μmのアルミニウム箔に塗布し、その後圧延ローラーを用いて圧延し、集電タブを取り付けることで、正極を作製した。
電池の容量確認は、9.3mAから3.1mAの二段階充電で4.3Vまで充電した後、9.3mAで3.1Vまで放電したときの放電容量を定格容量Aとした。
9.3mAから3.1mAの二段階充電で4.3Vまで充電した後(充電容量XmAh)、65℃に保持した恒温槽内で10日間放置した。放置後、9.3mAで3.1Vまで放電したときの容量を残存容量YmAhとし、以下の式により求めた。結果を表3に示す。また、図3には、リチウムマンガン酸化物のBET比表面積の増加率と自己放電率との関係を示す。
2…対極
3…参照極
4…電解液
Claims (8)
- NiとCoのうち少なくともいずれか1つ以上の元素を含むリチウム遷移金属酸化物と、リチウムマンガン酸化物とを活物質として含み、かつ炭素材料を導電剤として含む非水電解質二次電池用電極であって、
前記リチウム遷移金属酸化物と前記炭素材料を予め乾式混合し、該混合物と前記リチウムマンガン酸化物とを、バインダーを含む溶液中に添加し混合してスラリーを調製し、該スラリーを集電体上に塗布して得られることを特徴とする非水電解質二次電池用電極。 - NiとCoのうち少なくともいずれか1つ以上の元素を含むリチウム遷移金属酸化物と、リチウムマンガン酸化物とを活物質として含み、かつ炭素材料を導電剤として含む非水電解質二次電池用電極であって、
前記リチウム遷移金属酸化物と前記炭素材料と前記リチウムマンガン酸化物とを、前記リチウムマンガン酸化物の混合前後のBET比表面積の増加率が100%以下となる条件で乾式混合し、該混合物をバインダーを含む溶液中に添加し混合してスラリーを調製し、該スラリーを集電体上に塗布して得られることを特徴とする非水電解質二次電池用電極。 - 前記リチウム遷移金属酸化物が、遷移金属としてさらにMnを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の非水電解質二次電池用電極。
- 前記リチウムマンガン酸化物のBET比表面積が、初期において0.1〜3.0m2/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極。
- 前記リチウムマンガン酸化物の結晶構造がスピネル構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極。
- NiとCoのうち少なくともいずれか1つ以上の元素を含むリチウム遷移金属酸化物と、リチウムマンガン酸化物とを活物質として含み、かつ炭素材料を導電剤として含む非水電解質二次電池用電極の製造方法であって、
前記リチウム遷移金属酸化物と前記炭素材料を予め乾式混合する工程と、
前記混合物と前記リチウムマンガン酸化物とを、バインダーを含む溶液中に添加し混合してスラリーを調製する工程と、
前記スラリーを集電体上に塗布する工程とを備えることを特徴とする非水電解質二次電池用電極の製造方法。 - NiとCoのうち少なくともいずれか1つ以上の元素を含むリチウム遷移金属酸化物と、リチウムマンガン酸化物とを活物質として含み、かつ炭素材料を導電剤として含む非水電解質二次電池用電極の製造方法であって、
前記リチウム遷移金属酸化物と前記炭素材料と前記リチウムマンガン酸化物とを前記リチウムマンガン酸化物の混合前後のBET比表面積の増加率が100%以下となる条件で予め乾式混合する工程と、
前記混合物をバインダーを含む溶液中に添加し混合してスラリーを調製する工程と、
前記スラリーを集電体上に塗布する工程とを備えることを特徴とする非水電解質二次電池用電極の製造方法。 - 請求項1〜5に記載の電極からなる正極または請求項6または7に記載の方法で製造された電極からなる正極と、負極と、非水電解質とを備えることを特徴とする非水電解質二次電池。
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