JP4515675B2 - Transparent conductive laminate - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子基板上に透明導電膜が形成されてなる透明導電積層体に関し、さらに詳しくは、高分子基板の上に非晶領域を持つ透明導電膜を有する透明導電積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種表示素子或いは薄膜太陽電池の電極部には透明導電膜が用いられている。また、そのような透明導電膜を有した透明電極基板には一般にガラスが用いられている。一方、近年の携帯移動端末の急激な小型化・軽量化に伴って、透明電極基板にもさらなる軽量な部材が要求されている。そのため、基板材料としてはガラスに比べてより軽量な透明高分子基板材料が用いられつつある。例えば、携帯電話や情報携帯端末には、透明高分子基板上に透明導電膜が加工された透明導電積層体を用いて作成されたフィルム液晶が使用されている、或いは透明導電積層体を用いて作成されたタッチパネルが入力インターフェイスとして用いられている。
【0003】
このような、高分子基板上に透明導電膜を形成されてなる透明導電積層体は、かかるフィルム液晶素子やタッチパネルへの高次加工に際し様々な熱履歴を受ける。特に、タッチパネルについては、ユーザーのペン入力に対して耐久性を付与するために、透明導電膜を結晶化させるような加工が通常実施されている。また、透明導電膜の抵抗値を低減させるためには、該透明導電膜を結晶化させ、それに起因するキャリア濃度の増大が必要不可欠である。
【0004】
高分子基板上への透明導電膜の形成においては、高分子基板がガラス基板と異なり形成時に熱的な制約を受けるため、基板温度を低温にせざるを得ないという重大な制約を背負いながらなされているのが現状であり、より高温で形成されてなる透明導電膜に対して比抵抗が高い。また、高分子基板上に形成される透明導電膜は、基板温度の制約により通常非晶質或いは結晶質と非晶質が混在した状態になっている。すなわち、非晶質部分が素子加工工程にて受ける熱履歴によりどのような変化を起こすかは、やってみなければわからないという面が強く、X線回折における結晶質・非晶質という分類以外に非晶質を本質的に分類する方法はない。
【0005】
素子加工工程中の熱処理において結晶化が求められる透明導電膜を有する透明導電積層体においては、特に透明導電膜の熱特性として、ある熱履歴に対して定量的に状態の変化量が決まっていることが重要になる。例えば、In−Sn−O系透明導電膜の結晶化温度は、電気抵抗の不可逆な変化が起こる温度をもって、結晶化温度と呼んでいるようである。そして、その温度は160℃程度であるといわれてきた。しかし、この方法は、抵抗値の観測により間接的に求められているにすぎず、本質的な透明導電膜の熱挙動に立脚したものとは言い難い。そのために、透明導電膜の使用形態が限定されていることも事実であり、繰り返し再現性という工業的に重要な因子を満たし難いこともまた事実である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、高分子基板上に透明導電膜を形成する際の基板の温度は、ガラス基板上に通常200〜300℃で形成するときとは大きく異なり、熱的に制約されるため、多くの場合室温以下程度から高分子基板の軟化点温度程度の範囲が用いられている。そのような、低温基板上に形成された透明導電膜は通常、非晶質膜或いは非晶質と結晶質が混在した膜となっている。このような状態の透明導電膜は、X線回折のような巨視的構造に関する検討を行っても、所謂ハローと呼ばれる幅の広い回折線を与えるのみ、或いは、結晶由来の回折線とハローの混在したような回折線を与えるのみである。
【0007】
このような非晶質或いは非晶質と結晶質が混在した透明導電膜を積層してなる透明導電積層体を用いて、例えばタッチパネルを形成することを鑑みると、透明導電膜の形成に係る種々のプロセスパラメーターを変化させて、タッチパネルの製造過程において適切に結晶化を起こすような透明導電膜を供給するという状況になる。そして、非晶質の状態が主たる状態である当該透明導電膜においては、非晶質自身の結晶化のしやすさという差異に関する知見が極めて重要な製造因子となる。このことを具体的に記述すると、抵抗値に代表される電気的特性が大きく異なる非晶質透明導電膜であったとしても、X線回折の測定では、ほぼ同様のハローを与えるに過ぎず、構造的には全く等価な状態という結果が得られてしまう。そのため、EL素子や液晶パネルを作製する工程やタッチパネルを作製する工程等での透明導電膜の状態の見極めは最終製品の段階に至るまでできないような状況である。
【0008】
このような現状を鑑み、本発明の目的は、高分子基板上に透明導電膜が形成されてなる透明導電積層体において、結晶化が容易な透明導電積層体を提供することにある。即ち、ある温度での熱量の供給に対する挙動が明確な透明導電膜を提供することにあり、これは非晶質という構造が不確定で、非晶質という以外に分類のできなかった透明導電膜の状態を、熱力学的な手法により明確に分類しようとするものである。より具体的には、高分子基板の軟化点温度以下の熱処理に際し、比較的低温と考えることができる100〜150℃の温度範囲において、非晶から結晶への構造転移を短時間のうちに容易に起こすような透明導電膜を有する透明導電積層体を供給することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、基板温度が室温程度で形成された透明導電膜について、その熱力学的な特性を示差走査型熱量計によって鋭意検討した結果、透明導電膜の熱力学的な特性が透明導電膜の製造条件によって変化することにより、特に熱処理に伴う結晶化に対して大きな違いを生じていることを見出した。そして、これは以下のようなメカニズムに基づくものであると推定している。
【0010】
透明導電膜を高分子基板上に形成する際には、高分子基板が充分な耐熱性を有さないために、ガラス上に結晶性の良好な透明導電膜を形成するために必要な200℃以上の温度に加熱することは通常困難である。透明導電膜を高分子基板の軟化点温度以下で形成した場合、その構造は殆どが非晶質あるいは、非晶質と結晶質が混在した状態である。非晶質透明導電膜の構造特性は、代表的な構造解析手法であるX線回折によれば、ハローと呼ばれるブロードな回折線を与えるのみである。よって透明導電膜の製造条件を変調した際の非晶質の状態が同じなのか、異なっているのかはこの手法ではわからない。
【0011】
高分子基板上に形成されてなる透明導電膜は、各種素子に加工される際に、高分子基板の軟化点温度を超えない程度の様々な熱履歴を受けることがわかっている。このとき、透明導電膜は受ける熱履歴によって、結晶化を起こしたり起こさなかったりする。即ち、非晶から結晶への構造相転移が起こることがある。しかし、このような状態の変化を直接的に判断することはできない。そこで、一定温度での熱処理による透明導電膜の抵抗値の変化や、さらには高分子基板の反り量の変化によって、間接的に評価しているのが現状である。これは、非晶質という状態が、まったく同じ状態であるということではなく、その製造条件により異なった状態になっているということを示しており、その違いを解明することこそが、素子加工に際し繰り返し再現性を与える、安定した高分子基板上の透明導電膜と言える。
【0012】
ところが、このような現実があるにも関らず、非晶質透明導電膜の差異について具体的に解析した例は見当たらず、特に透明導電膜の熱力学的な特性の直接的な観測を示差走査型熱量計で実施したという報告は無い。
【0013】
本発明者らは、X線回折法において巨視的な構造特性を調べた場合に、非晶質、或いは非晶質と結晶質の混合体と考えられるような状態の透明導電膜の熱に対する特性を定量的に解析することにより、各種素子形成過程に使用される温度領域において、どのような状態に当該透明導電膜があるかを判断するのに有効である知見を得た、そして特定の条件で測定したときに一定範囲の発熱量及び最大発熱温度を示す透明導電膜が非常に速やかに結晶へ相転移できるものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち本発明は、高分子基板上に透明導電膜が形成されてなる透明導電積層体において、該透明導電膜は示差走査型熱量計により毎分20℃の昇温速度で30℃から550℃まで走査したときに、最大発熱温度が150℃以下(但し、150℃を除く)にあることを特徴とし、当該透明導電膜が示差走査型熱量計により毎分20℃の昇温速度で30℃から550℃まで走査したときに、発熱が開始する温度が100℃以下であることを特徴とし、当該透明導電膜が示差走査型熱量計により毎分20℃の昇温速度で30℃から550℃まで走査したときに、発熱量が10〜140J/gの範囲であることを特徴としている。また、当該透明導電膜が酸化インジウムを主とし、酸化錫、酸化ガリウム、酸化チタン及び酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれる1種以上の酸化物を含むことを特徴とし、当該透明導電膜の厚さが10〜350nmであることを特徴とする透明導電積層体である。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について順次説明していく。
【0016】
本発明に使用される透明導電積層体は、高分子基板の少なくとも一方の面上に透明導電膜が形成されてなるものである。係る透明導電膜は、酸化インジウムを主とし、酸化錫、酸化ガリウム、酸化チタン及び酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれてなる1種以上の酸化物を含むことを特徴としている。より具体的には、酸化インジウムの80〜98重量%に対して、2〜20重量%の酸化錫、酸化ガリウム、酸化チタン及び酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれてなる1種以上の酸化物を含むものである。特に、素子形成に際してより容易に結晶化を起こすことが必要な場合には、添加されてなる1種以上の酸化物の量を2〜7.5重量%にすることが望ましい。また素子形成時の熱処理で、抵抗値を低減させることが目的であれば、添加されてなる1種以上の酸化物の量を5〜15重量%にすることが望ましい。このとき、1種以上の酸化物は酸化錫であることが極めて望ましい。
【0017】
本発明に使用される高分子基板としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレートといったポリエステル系高分子、ポリオレフィン系高分子や、ポリカーボネイト、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート等の単一成分の高分子、あるいは光学的機能または熱力学的機能を付与するために、これらの高分子に第二、第三成分を共重合した、共重合高分子を用いることができる。
【0018】
特に、光学用途にはビスフェノール成分を有する透明性が良好なポリカーボネイトが望ましい。
【0019】
かかるビスフェノール成分としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンを挙げることができる。
【0020】
これらは2種類以上組み合わせてもよい。即ち係るポリカーボネイトは共重合ポリカーボネイトでもブレンド体でもよい。
【0021】
さらに、新規機能を発現させるために複数の高分子をブレンドした高分子を用いることもできる。さらには、多層の共押出し高分子フィルムを用いることもできる。
【0022】
また、高分子基板の厚みは、0.01〜0.4mmのものを使用することができるが、0.1〜0.2mm程度が液晶等の光学用途としては視認性の観点より望ましい。また、0.01mm程度の高分子基板に形成した後、厚い高分子フィルムに貼り合わせても構わない。
【0023】
さらに高分子基板は光学等方性が優れるものが好ましく、リターデーデョンが30nm以下、好ましくは15nm以下のものが好適である。
【0024】
本発明の透明導電積層体は高分子基板と、その少なくとも一方の面に形成される透明導電膜との密着性の向上、高分子基板の耐久性の向上或いは、高分子基板のガスバリア能を向上させるために、高分子基板と透明導電膜との間、及び/または高分子基板の電極として用いる透明導電膜が形成されていない面に、少なくとも一層以上からなるコーティング層を有していても構わない。このコーティング層は、無機物または有機物またはそれらの複合材料からなり、その膜厚は好ましくは0.01〜20μmである。より望ましくは、10μm程度に抑制されることが望ましい。コーティング層の形成にはコーターを用いた塗布法や、スプレー法、スピンコート法、インラインコート法等が用いられることが多いが、この限りではない。また、スパッタ法、蒸着法といった、Physical Vapor Deposition(以下PVD)、Chemical Vapor Deposition(以下CVD)の手法が用いられても構わない。コーティング層としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、UV硬化系樹脂、エポキシ系樹脂等の樹脂成分やこれらとアルミナ、シリカ、マイカ等の無機粒子の混合物が使われても良い。或いは、高分子基板を二層以上の共押し出しによりコーティング層の機能を持たせても構わない。PVD、CVDの手法では、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物や、窒化珪素、窒化チタン、窒化タンタル等の窒化物、酸化窒化珪素のような酸窒化物、あるいは、弗化マグネシウム、弗化カルシウム等の弗化物を単体あるいは混合したものを形成して用いることができる。このようなコーティング層を有する透明導電積層体は、光学特性としてレターデーションが低く、尚且つ透過率が高いことが望ましい。
【0025】
本発明における、透明導電膜の形成手法は、例えば、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、パルスレーザーデポジション法、これらを複合した形成法等を用いることができるが、大面積に対して均一な膜厚の透明導電膜を形成するという工業生産性に着目すると、DCマグネトロンスパッタリング法が望ましい。
【0026】
スパッタリングに用いるターゲットは酸化インジウムを主成分とする焼結ターゲットを用いることが望ましいが、金属Inを主成分とする合金ターゲットを用いて、反応性スパッタ等の手法を用いても構わない。
【0027】
本発明の透明導電積層体を熱処理する場合には、通常大気下を想定しているが、素子形成工程において減圧と呼ばれる程度、或いは真空と呼ばれる程度の大気が存在しない状態、または、Arガスや窒素ガスといった不活性ガス下でも構わない。これは、工業的に形成でき得る真空や不活性ガス下では、結晶化に対して十分の酸素が、酸素ガス、または水分という形で存在しているからである。
【0028】
本発明では、酸化物焼結ターゲットを用いてDCマグネトロンスパッタリング法により上記透明導電膜を製膜する場合は、該透明導電膜を製膜する真空槽中の圧力を一旦1.3×10-4Pa以下とし、次いで不活性ガス及び酸素を導入する製造方法にて形成することができる。透明導電膜を製膜する真空槽中の圧力は一旦1.3×10-4Pa以下にすることが、真空槽中に残留し、且つ透明導電膜の特性に影響を与えることが懸念される分子種の影響を低減できるので望ましい。より望ましくは、5×10-5Pa以下、さらに望ましくは2×10-5Pa以下である。
【0029】
次いで導入される不活性ガスとしては、He、Ne、Ar、Kr、Xeを用いることができ、原子量の大きな不活性ガスほど形成される膜へのダメージが少なく表面平坦性が向上すると言われている。しかし、コスト面から考えてArが望ましい。この不活性ガスには膜中に取り込まれる酸素濃度を調整するために、分圧に換算して1.3×10-4〜7×10-2Pa台の酸素を添加しても構わない。さらに、酸素の他にO3、N2、N2O、NH3等を目的に応じて用いることができる。
【0030】
また、本発明では、透明導電膜を製膜する真空槽中の水の分圧を1.3×10-4Pa以下とし、次いで不活性ガス及び酸素を導入する製造方法にて形成することができる。水の分圧は、より望ましくは、4×10-5Pa以下、さらに望ましくは2×10-5Pa以下に水分圧を制御することができる。また、非晶質の状態を変化させるために、一旦上述したように真空槽の水の量を低減した後に、意図的に水を1.3×10-4〜3×10-2Paの範囲で導入しても構わない。この調整は、真空槽の背圧を制御することによっても達成することができる。
【0031】
本発明における水分圧を決定するときには、差動排気型のインプロセスモニターを用いても良い。またはダイナミックレンジが広く、0.1Pa台の圧力下においても計測が可能な四重極質量分析計を用いても良い。また、一般的に、1.3×10-5Pa程度の真空度においては、その圧力を形成しているのは水である。よって、真空計によって計測された値をそのまま水分圧と考えても構わない。
【0032】
本発明においては、高分子基板を用いるため、基板温度を当該高分子基板の軟化点温度より上昇させることはできない。よって、透明導電膜を形成するためには、高分子基板の温度は室温程度から軟化点温度以下とする必要がある。代表的な高分子基板であるポリエチレンテレフタレートの場合、特別な処理を行わないときは基板温度を80℃以下の温度に保ったまま導電膜を形成することが望ましい。より望ましくは室温程度或いは室温以下の温度である。
【0033】
透明導電膜の膜厚は、用途によって決定される。しかし、可撓性が悪化するため、350nmを越える透明導電膜を有することは望ましくない。また、10nm未満の膜厚では、不連続な膜となってしまうことが懸念され、透明導電膜としての機能のうち特に導電性が著しく悪化する。本発明における透明導電膜の膜厚は用途に応じて10nmから350nmの範囲の膜厚とすることが望ましい。例えば、タッチパネル用の場合には10nmから30nmの範囲の膜厚が望ましい、液晶表示素子用の場合には、30nmから330nmの範囲の膜厚が望ましい。
【0034】
本発明における、透明導電膜の熱特性は、TA instruments社製DSC2920Modulated DSCを用いて解析した。熱特性の計測は30〜550℃の範囲を毎分20℃の昇温速度で測定した。また、試料はアルミニウムのパンに入れて測定した。この際、試料の重量は2〜20mgとし、マイクロ天秤にて1μgのオーダーまで計測した。また、測定時のリファレンスには空のアルミニウムパンを用いた。DSC2920Modulated DSCは熱流速型の測定装置であるため、窒素ガスを50cc毎分セル内に流した。
【0035】
この測定では、透明導電膜は、高分子基板から分離し採取を行う。その方法としては、例えば鋭利な刃物で、注意深く削り落とす方法や、化学的な処理をする方法が挙げられる。化学的な処理方法としては、クロロホルム、メチレンクロライド、オルソクロロフェノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、トリフルオロ酢酸等の溶媒に高分子基板を溶解させ、次いでガラスフィルターで不溶物として残る透明導電膜を濾過し試料として利用する方法である。試料の採取に当たっては、溶媒に不溶の成分を目の粗いフィルターで濾過し、透明導電膜のみを別のガラスフィルターで濾過するといった手法が適切である。
【0036】
このように採取した透明導電膜からは例えば図1に示すような示差走査型熱量計のプロファイルが計測される。TA instruments社製DSC2920Modulated DSCにおいては、試料から発熱が起こる場合に、熱量が図1における縦軸Heat Flowの増大としてプロットされるようになっている。本発明で、発熱が開始する温度と呼んでいる位置は、矢印1で示すように、まさに発熱が開始される温度として定義している。また、本発明において、最大発熱温度と呼んでいる温度は、図1に矢印2で示したような、発熱量が極大を迎え、その後発熱量が減少する、所謂ピーク形状のプロファイルにおいて発熱量が最も大きい温度のこととして定義している。さらに、発熱量とは、発熱が開始する温度から300℃の範囲におけるこのようなピーク状のプロファイルの面積として求めることができ、その単位はJ/gである。より具体的には、図1に示すように、80℃から300℃の範囲にベースライン11を引き、DSCプロファイルと作図した直線によって囲まれてなる面積をもって発熱量とした。
【0037】
本発明における透明導電膜は、示唆走査型熱量計による温度走査に対して明確な発熱が起こっており、その発熱の始まりは、例えば図1においては、80℃付近に現れている。このような透明導電膜は、各種素子加工における熱履歴による熱処理において、容易に非晶から結晶への構造転移を起こすものであり、例えば、図1の挙動を示す透明導電膜を有する透明導電積層体は、加熱処理することにより非晶質或いは非晶質と結晶質が混在した状態から結晶質に相転移するので、筆記耐久性が向上したタッチパネル用として好適である。また、透明導電膜の抵抗値を低減させることを、素子加工を通じて行う場合には、キャリア濃度を増大させるために透明導電膜が容易に結晶化することが望ましい。容易に結晶化する透明導電膜は、かかるDSCチャートにおいて、好ましくは100℃以下から、より好ましくは80℃以下から発熱を起こすような透明導電膜である。このとき透明導電膜の最大発熱温度は150℃以下、より好ましくは140℃以下であるような透明導電膜であると、高々130℃程度の温度であっても、非晶質の透明導電膜を短時間のうちに充分に結晶化させることができる。
【0038】
発熱量は最大発熱温度と同様に透明導電膜の形成条件に依存し、10〜140J/gの発熱量の透明導電膜が結晶化を速やかに実行させるためには望ましい。より望ましくは、10〜100J/gさらに望ましくは、10〜50J/gの発熱量を有する非晶質及び非晶質と結晶質の混合体である。
【0039】
また、本発明とは、直接的な関係を持たないものの、DSCチャートには300〜400℃の範囲に発熱の極大が観測されている。これは、Inが完全な酸化物になるときの結晶相転移に由来する。また、300〜400℃という温度は、一般にガラス基板上に形成されてなる透明導電膜を熱処理するときに用いられている温度であり、ガラス基板上に形成されてなる透明導電膜を完全に結晶への相転移させるためには、300〜400℃の温度が必要であることを示唆している。
【0040】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0041】
[実施例1]
真空槽の背圧を1.3×10-5Paとし、反応ガスとして酸素を導入し、さらに不活性ガスとして、Arを導入し、全圧を0.4Paとした。四重極質量分析計にて測定した、不活性ガスを導入する前の水分圧は電離真空計にて読み取った真空槽の背圧と同じであった。酸素分圧は2.7×10-3Paであった。
【0042】
酸化錫を5重量%含むIn−Sn−Oからなる焼結ターゲットを用いて、1W/cm2の電力密度でDCマグネトロンスパッタリング法により、基板温度5℃の0.1mmのポリカーボネイト基板上へ、330nmの膜厚の透明導電膜を形成し透明導電積層体を製造した。
【0043】
次いで、該透明導電積層体の一部をメチレンクロライドに浸積しポリカーボネイト基板を溶解させ、残った透明導電膜をガラスフィルターにて濾過し採取した。
【0044】
この透明導電膜の熱特性を示差走査型熱量計で30〜550℃の範囲を毎分20℃の昇温速度で測定したところ、図1に示すように発熱が80℃から始まった。また、最大発熱温度は130℃であった。そして、発熱量は18J/gであった。
【0045】
上記透明導電積層体を130℃の熱処理したところ、透明導電膜は1時間以内に結晶化した。
【0046】
[比較例1]
真空槽の背圧を1.3×10-5Paとし、反応ガスとして酸素を導入せず、不活性ガスとしてArを導入し、全圧を0.4Paとした。四重極質量分析計にて測定した、不活性ガスを導入する前の水分圧は電離真空計にて読み取った真空槽の背圧と同じであった。
【0047】
酸化錫を5重量%含むIn−Sn−Oからなる焼結ターゲットを用い、1W/cm2の電力密度でDCマグネトロンスパッタリング法により、基板温度5℃の0.1mmのポリカーボネイト基板上へ、330nmの膜厚の透明導電膜を形成し透明導電積層体を製造した。
【0048】
次いで該透明導電積層体の一部をメチレンクロライドに浸積しポリカーボネイト基板を溶解させ、残った透明導電膜をガラスフィルターにて濾過し採取した。
【0049】
この透明導電膜の熱特性を示差走査型熱量計で30〜550℃の範囲を毎分20℃の昇温速度で測定したところ、発熱が80℃から始まった。しかし、最大発熱温度は230℃となっていた。また、発熱量は36J/gであった。
【0050】
上記透明導電積層体を、130℃の熱処理をしたところ、透明導電膜は結晶化するものの、結晶化にかかる時間が実施例の膜に比較して、非常に長くなっていた。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、低温プロセスにて形成した非晶質、或いは、非晶質と結晶質が混在した透明導電膜を有する透明導電積層体において、構造特性を区別できなかった透明導電膜を高分子基板の軟化点温度を超えない範囲での熱処理に対し短時間で速やかに結晶化できる。例えばポリカーボネイト基板上に酸化インジウムから主としてなる透明導電膜を形成した場合、100℃から150℃程度の温度による短時間の熱処理により容易に結晶化することができる。
【0052】
また、本発明における熱特性を利用することにより結晶化の可否を予知することが可能となる。さらに、タッチパネルや液晶表示素子、有機EL素子等の各種表示素子加工プロセスや太陽電池加工プロセスにて発生しがちな、熱特性に起因した欠陥を起こし難い透明導電膜を有する透明導電積層体を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1にて観測されたDSC曲線の測定図である。
[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a transparent conductive laminate having a transparent conductive film formed on a polymer substrate, and more particularly to a transparent conductive laminate having a transparent conductive film having an amorphous region on a polymer substrate.
[0002]
[Prior art]
A transparent conductive film is used for electrode portions of various display elements or thin film solar cells. Moreover, glass is generally used for the transparent electrode substrate having such a transparent conductive film. On the other hand, with the rapid miniaturization and weight reduction of portable mobile terminals in recent years, further lightweight members are required for the transparent electrode substrate. Therefore, a transparent polymer substrate material that is lighter than glass is being used as a substrate material. For example, a mobile phone or an information portable terminal uses a film liquid crystal created using a transparent conductive laminate in which a transparent conductive film is processed on a transparent polymer substrate, or a transparent conductive laminate is used. The created touch panel is used as an input interface.
[0003]
Such a transparent conductive laminate having a transparent conductive film formed on a polymer substrate is subjected to various thermal histories during high-order processing of such film liquid crystal elements and touch panels. In particular, with respect to the touch panel, a process for crystallizing a transparent conductive film is usually performed in order to impart durability to a user's pen input. Further, in order to reduce the resistance value of the transparent conductive film, it is indispensable to crystallize the transparent conductive film and increase the carrier concentration resulting therefrom.
[0004]
In the formation of transparent conductive films on polymer substrates, unlike polymer substrates, polymer substrates are subject to thermal restrictions during formation, so they have the serious constraint that the substrate temperature must be lowered. The specific resistance is higher than that of a transparent conductive film formed at a higher temperature. In addition, the transparent conductive film formed on the polymer substrate is usually in a state where amorphous or a mixture of crystalline and amorphous is present due to substrate temperature restrictions. In other words, it is strongly known that the change in the amorphous portion caused by the thermal history received in the element processing process must be done. In addition to the classification of crystalline and amorphous in X-ray diffraction, There is no way to essentially classify amorphous.
[0005]
In a transparent conductive laminate having a transparent conductive film that is required to be crystallized in a heat treatment during an element processing step, the amount of change in the state is determined quantitatively for a certain thermal history, particularly as the thermal characteristics of the transparent conductive film. It becomes important. For example, the crystallization temperature of an In—Sn—O-based transparent conductive film seems to be called the crystallization temperature at a temperature at which an irreversible change in electrical resistance occurs. And it has been said that the temperature is about 160 degreeC. However, this method is only indirectly obtained by observation of the resistance value, and cannot be said to be based on the essential thermal behavior of the transparent conductive film. Therefore, it is also a fact that the use form of the transparent conductive film is limited, and it is also a fact that it is difficult to satisfy an industrially important factor of reproducibility.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, the temperature of the substrate when forming the transparent conductive film on the polymer substrate is greatly different from the case where it is usually formed at 200 to 300 ° C. on the glass substrate, and is thermally limited. In this case, a range from about room temperature or lower to the softening point temperature of the polymer substrate is used. Such a transparent conductive film formed on a low-temperature substrate is usually an amorphous film or a film in which amorphous and crystalline are mixed. The transparent conductive film in such a state only gives a wide diffraction line so-called halo even when a macroscopic structure such as X-ray diffraction is examined, or a mixture of crystal-derived diffraction lines and halos. It just gives a diffraction line like that.
[0007]
In view of forming, for example, a touch panel using a transparent conductive laminate formed by laminating such amorphous or a mixture of amorphous and crystalline transparent conductive films, various types of transparent conductive film formation are involved. Thus, a transparent conductive film that causes appropriate crystallization in the touch panel manufacturing process is supplied. And in the transparent conductive film which is mainly in an amorphous state, knowledge regarding the difference in the crystallization ease of the amorphous itself is a very important manufacturing factor. Specifically, even if it is an amorphous transparent conductive film having greatly different electrical characteristics typified by resistance values, the X-ray diffraction measurement only gives almost the same halo, The result is a completely equivalent state in terms of structure. Therefore, the state of the transparent conductive film in the process of manufacturing the EL element or the liquid crystal panel, the process of manufacturing the touch panel, or the like cannot be determined until the final product stage.
[0008]
In view of such a current situation, an object of the present invention is to provide a transparent conductive laminate that is easily crystallized in a transparent conductive laminate in which a transparent conductive film is formed on a polymer substrate. That is, it is to provide a transparent conductive film having a clear behavior with respect to the supply of heat at a certain temperature. This is a transparent conductive film whose structure of amorphous is uncertain and could not be classified other than amorphous. This state is intended to be clearly classified by thermodynamic methods. More specifically, in the heat treatment below the softening point temperature of the polymer substrate, in the temperature range of 100 to 150 ° C., which can be considered as a relatively low temperature, the structural transition from amorphous to crystalline is easy in a short time. A transparent conductive laminate having a transparent conductive film as described above.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The inventors of the present invention have made extensive studies on the thermodynamic characteristics of a transparent conductive film formed at a substrate temperature of about room temperature using a differential scanning calorimeter. It has been found that there is a great difference with respect to the crystallization accompanying the heat treatment by changing depending on the film production conditions. And this is presumed to be based on the following mechanism.
[0010]
When the transparent conductive film is formed on the polymer substrate, the polymer substrate does not have sufficient heat resistance, and therefore 200 ° C. necessary for forming a transparent conductive film having good crystallinity on the glass. It is usually difficult to heat to the above temperature. When the transparent conductive film is formed below the softening point temperature of the polymer substrate, the structure is mostly amorphous or a mixture of amorphous and crystalline. The structural characteristics of the amorphous transparent conductive film only give a broad diffraction line called a halo according to X-ray diffraction which is a typical structural analysis technique. Therefore, it is not known by this method whether the amorphous state is the same or different when the manufacturing conditions of the transparent conductive film are modulated.
[0011]
It has been found that a transparent conductive film formed on a polymer substrate undergoes various thermal histories that do not exceed the softening point temperature of the polymer substrate when processed into various elements. At this time, the transparent conductive film may or may not crystallize depending on the thermal history received. That is, a structural phase transition from amorphous to crystalline may occur. However, such a change in state cannot be judged directly. Therefore, the current situation is that the evaluation is made indirectly based on the change in the resistance value of the transparent conductive film by the heat treatment at a constant temperature and the change in the amount of warpage of the polymer substrate. This indicates that the amorphous state is not exactly the same state, but a different state depending on the manufacturing conditions, and it is only when elucidating the difference is the element processing. It can be said that it is a transparent conductive film on a stable polymer substrate that gives reproducibility repeatedly.
[0012]
However, in spite of this reality, there are no examples of specific analysis of differences in amorphous transparent conductive films, especially direct observation of the thermodynamic characteristics of transparent conductive films. There is no report that it was carried out with a scanning calorimeter.
[0013]
When the inventors investigated the macroscopic structural characteristics in the X-ray diffraction method, the characteristics of the transparent conductive film in a state considered to be amorphous or a mixture of amorphous and crystalline with respect to heat. By quantitatively analyzing the above, we have obtained knowledge that is effective in determining what state the transparent conductive film is in in the temperature range used for various element formation processes, and specific conditions. The present inventors have found that a transparent conductive film exhibiting a certain range of calorific value and maximum exothermic temperature when measured by (1) can undergo phase transition to crystals very quickly, and has completed the present invention.
[0014]
That is, the present invention relates to a transparent conductive laminate in which a transparent conductive film is formed on a polymer substrate, and the transparent conductive film is heated from 30 ° C. to 550 ° C. at a temperature rising rate of 20 ° C. by a differential scanning calorimeter. Maximum heat generation temperature is 150 ° C or lower when scanned (However, excluding 150 ℃) The temperature at which heat generation starts when the transparent conductive film is scanned from 30 ° C. to 550 ° C. at a rate of temperature increase of 20 ° C. per minute with a differential scanning calorimeter is 100 ° C. or less. When the transparent conductive film is scanned from 30 ° C. to 550 ° C. at a temperature rising rate of 20 ° C. per minute with a differential scanning calorimeter, the calorific value is in the range of 10 to 140 J / g. It is said. The transparent conductive film is mainly composed of indium oxide, and includes one or more oxides selected from the group consisting of tin oxide, gallium oxide, titanium oxide, and germanium oxide. Is a transparent conductive laminate characterized by having a thickness of 10 to 350 nm.
[0015]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, embodiments of the present invention will be described sequentially.
[0016]
The transparent conductive laminate used in the present invention has a transparent conductive film formed on at least one surface of a polymer substrate. The transparent conductive film is characterized by containing one or more oxides selected from the group consisting of indium oxide, tin oxide, gallium oxide, titanium oxide, and germanium oxide. More specifically, one or more oxides selected from the group consisting of 2 to 20% by weight of tin oxide, gallium oxide, titanium oxide, and germanium oxide with respect to 80 to 98% by weight of indium oxide. Is included. In particular, when it is necessary to cause crystallization more easily at the time of element formation, the amount of the one or more oxides added is preferably 2 to 7.5% by weight. Further, if the purpose is to reduce the resistance value in the heat treatment at the time of element formation, the amount of the one or more oxides added is preferably 5 to 15% by weight. At this time, it is highly desirable that the one or more oxides be tin oxide.
[0017]
Examples of the polymer substrate used in the present invention include, for example, polyester polymers such as polyethylene terephthalate and polyethylene 2,6 naphthalate, polyolefin polymers, single component polymers such as polycarbonate, polyethersulfone, and polyarylate, Alternatively, in order to impart an optical function or a thermodynamic function, a copolymerized polymer obtained by copolymerizing these polymers with the second and third components can be used.
[0018]
In particular, a polycarbonate having a bisphenol component and good transparency is desirable for optical applications.
[0019]
Examples of the bisphenol component include 2,2-bis (4-hydroxyphenyl) propane (bisphenol A), 1,1-bis (4-hydroxyphenyl) cyclohexane (bisphenol Z), and 1,1-bis (4- Hydroxyphenyl) -3,3,5-trimethylcyclohexane, 9,9-bis (4-hydroxyphenyl) fluorene, 9,9-bis (3-methyl-4-hydroxyphenyl) fluorene.
[0020]
Two or more of these may be combined. That is, the polycarbonate may be a copolymer polycarbonate or a blend.
[0021]
Furthermore, a polymer obtained by blending a plurality of polymers can be used in order to develop a new function. Furthermore, a multilayer coextruded polymer film can also be used.
[0022]
Moreover, although the thing of 0.01-0.4 mm can be used for the thickness of a polymer substrate, about 0.1-0.2 mm is desirable from a viewpoint of visibility as optical uses, such as a liquid crystal. Further, after forming on a polymer substrate of about 0.01 mm, it may be bonded to a thick polymer film.
[0023]
Further, the polymer substrate preferably has excellent optical isotropy, and a retardation of 30 nm or less, preferably 15 nm or less is suitable.
[0024]
The transparent conductive laminate of the present invention improves the adhesion between the polymer substrate and the transparent conductive film formed on at least one surface thereof, improves the durability of the polymer substrate, or improves the gas barrier ability of the polymer substrate. Therefore, a coating layer comprising at least one layer may be provided between the polymer substrate and the transparent conductive film and / or on the surface where the transparent conductive film used as an electrode of the polymer substrate is not formed. Absent. This coating layer consists of an inorganic substance, an organic substance, or those composite materials, and the film thickness is preferably 0.01-20 micrometers. More desirably, it is desirably suppressed to about 10 μm. For forming the coating layer, a coating method using a coater, a spray method, a spin coating method, an in-line coating method and the like are often used, but this is not restrictive. Also, a method of physical vapor deposition (hereinafter referred to as PVD) or chemical vapor deposition (hereinafter referred to as CVD) such as sputtering or vapor deposition may be used. As the coating layer, a resin component such as an acrylic resin, a urethane resin, a UV curable resin, or an epoxy resin, or a mixture of these with inorganic particles such as alumina, silica, or mica may be used. Alternatively, the function of the coating layer may be provided by coextrusion of two or more polymer substrates. In PVD and CVD methods, magnesium oxide, aluminum oxide, silicon oxide, calcium oxide, barium oxide, tin oxide, indium oxide, tantalum oxide, titanium oxide, zinc oxide, and other oxides, silicon nitride, titanium nitride, tantalum nitride Such a nitride, oxynitride such as silicon oxynitride, or fluorides such as magnesium fluoride and calcium fluoride can be formed and used. The transparent conductive laminate having such a coating layer desirably has low retardation and high transmittance as optical characteristics.
[0025]
In the present invention, the transparent conductive film can be formed by using, for example, a DC magnetron sputtering method, an RF magnetron sputtering method, an ion plating method, a vacuum deposition method, a pulse laser deposition method, or a formation method combining these. However, the DC magnetron sputtering method is desirable in view of industrial productivity of forming a transparent conductive film having a uniform film thickness over a large area.
[0026]
The target used for sputtering is preferably a sintered target mainly composed of indium oxide, but an alloy target mainly composed of metal In may be used and a method such as reactive sputtering may be used.
[0027]
In the case of heat-treating the transparent conductive laminate of the present invention, it is normally assumed that the atmosphere is under the atmosphere. However, in the element formation process, there is no atmosphere that is referred to as reduced pressure or vacuum, or Ar gas or An inert gas such as nitrogen gas may be used. This is because sufficient oxygen for crystallization exists in the form of oxygen gas or moisture under a vacuum or an inert gas that can be industrially formed.
[0028]
In this invention, when forming the said transparent conductive film by DC magnetron sputtering method using an oxide sintering target, the pressure in the vacuum chamber which forms this transparent conductive film is once 1.3 * 10. -Four It can be formed by a manufacturing method in which the pressure is set to Pa or lower and then an inert gas and oxygen are introduced. The pressure in the vacuum chamber for forming the transparent conductive film is 1.3 × 10 once. -Four Setting it to Pa or less is desirable because it can reduce the influence of molecular species remaining in the vacuum chamber and fearing to affect the characteristics of the transparent conductive film. More desirably, 5 × 10 -Five Pa or less, more desirably 2 × 10 -Five Pa or less.
[0029]
As the inert gas introduced next, He, Ne, Ar, Kr, and Xe can be used, and it is said that an inert gas having a larger atomic weight has less damage to the formed film and improves surface flatness. Yes. However, Ar is desirable from the viewpoint of cost. In order to adjust the oxygen concentration taken into the film, this inert gas is converted into partial pressure of 1.3 × 10 -Four ~ 7 × 10 -2 You may add oxygen on the order of Pa. In addition to oxygen, O Three , N 2 , N 2 O, NH Three Etc. can be used according to the purpose.
[0030]
Moreover, in this invention, the partial pressure of the water in the vacuum chamber which forms a transparent conductive film is set to 1.3x10. -Four It can be formed by a manufacturing method in which the pressure is set to Pa or lower and then an inert gas and oxygen are introduced. The partial pressure of water is more desirably 4 × 10. -Five Pa or less, more desirably 2 × 10 -Five The moisture pressure can be controlled below Pa. Further, in order to change the amorphous state, after reducing the amount of water in the vacuum tank once as described above, the water is intentionally changed to 1.3 × 10 10. -Four ~ 3x10 -2 You may introduce in the range of Pa. This adjustment can also be achieved by controlling the back pressure of the vacuum chamber.
[0031]
When determining the water pressure in the present invention, a differential exhaust type in-process monitor may be used. Alternatively, a quadrupole mass spectrometer having a wide dynamic range and capable of measurement even under a pressure of 0.1 Pa level may be used. In general, 1.3 × 10 -Five In a degree of vacuum of about Pa, it is water that forms the pressure. Therefore, the value measured by the vacuum gauge may be considered as the moisture pressure as it is.
[0032]
In the present invention, since a polymer substrate is used, the substrate temperature cannot be raised above the softening point temperature of the polymer substrate. Therefore, in order to form the transparent conductive film, the temperature of the polymer substrate needs to be about room temperature to below the softening point temperature. In the case of polyethylene terephthalate, which is a typical polymer substrate, it is desirable to form a conductive film while maintaining the substrate temperature at 80 ° C. or lower when no special treatment is performed. More desirably, the temperature is about room temperature or below room temperature.
[0033]
The film thickness of the transparent conductive film is determined depending on the application. However, since the flexibility deteriorates, it is not desirable to have a transparent conductive film exceeding 350 nm. Moreover, when the film thickness is less than 10 nm, there is a concern that the film becomes discontinuous, and the conductivity is particularly deteriorated among the functions as the transparent conductive film. The film thickness of the transparent conductive film in the present invention is preferably in the range of 10 nm to 350 nm depending on the application. For example, a film thickness in the range of 10 nm to 30 nm is desirable for a touch panel, and a film thickness in the range of 30 nm to 330 nm is desirable for a liquid crystal display element.
[0034]
The thermal characteristics of the transparent conductive film in the present invention were analyzed by using DSC2920 Modulated DSC manufactured by TA instruments. The thermal characteristics were measured in the range of 30 to 550 ° C. at a rate of temperature increase of 20 ° C. per minute. The sample was placed in an aluminum pan and measured. At this time, the weight of the sample was 2 to 20 mg, and the microbalance was measured to the order of 1 μg. An empty aluminum pan was used as a reference for measurement. Since the DSC 2920 Modulated DSC is a heat flow rate type measuring device, nitrogen gas was flowed into the cell at 50 cc per minute.
[0035]
In this measurement, the transparent conductive film is separated from the polymer substrate and collected. Examples of the method include a method of carefully scraping off with a sharp blade and a method of chemical treatment. As a chemical treatment method, the polymer substrate is dissolved in a solvent such as chloroform, methylene chloride, orthochlorophenol, hexafluoroisopropanol, or trifluoroacetic acid, and then the transparent conductive film remaining as an insoluble material is filtered with a glass filter. It is a method to use as. In collecting a sample, a method of filtering a component insoluble in a solvent with a coarse filter and filtering only the transparent conductive film with another glass filter is appropriate.
[0036]
For example, a differential scanning calorimeter profile as shown in FIG. 1 is measured from the transparent conductive film thus collected. In the DSC2920 Modulated DSC manufactured by TA instruments, the amount of heat is plotted as an increase in the vertical flow Heat Flow in FIG. 1 when heat is generated from the sample. In the present invention, the position called the temperature at which heat generation starts is defined as the temperature at which heat generation starts, as indicated by arrow 1. Further, in the present invention, the temperature called the maximum heat generation temperature is a so-called peak profile in which the heat generation amount reaches a maximum and then the heat generation amount decreases as shown by an arrow 2 in FIG. It is defined as the largest temperature. Furthermore, the calorific value can be obtained as the area of such a peak profile in the range of 300 ° C. from the temperature at which heat generation starts, and its unit is J / g. More specifically, as shown in FIG. 1, the base line 11 was drawn in the range of 80 ° C. to 300 ° C., and the area surrounded by the DSC profile and the drawn straight line was taken as the calorific value.
[0037]
In the transparent conductive film of the present invention, a clear heat generation occurs with respect to the temperature scanning by the suggestion scanning calorimeter, and the start of the heat generation appears, for example, in the vicinity of 80 ° C. in FIG. Such a transparent conductive film easily undergoes a structural transition from amorphous to crystalline in heat treatment by thermal history in various element processing. For example, a transparent conductive laminate having a transparent conductive film exhibiting the behavior of FIG. Since the body undergoes a heat treatment, the phase transitions from an amorphous state or a mixture of amorphous and crystalline state to a crystalline state, so that the body is suitable for a touch panel with improved writing durability. Further, when the resistance value of the transparent conductive film is reduced through element processing, it is desirable that the transparent conductive film be easily crystallized in order to increase the carrier concentration. The transparent conductive film that crystallizes easily is a transparent conductive film that generates heat from 100 ° C. or lower, more preferably from 80 ° C. or lower, in the DSC chart. At this time, when the transparent conductive film has a maximum heat generation temperature of 150 ° C. or less, more preferably 140 ° C. or less, the amorphous transparent conductive film can be formed even at a temperature of about 130 ° C. at most. It can be sufficiently crystallized in a short time.
[0038]
The calorific value depends on the formation conditions of the transparent conductive film as well as the maximum exothermic temperature, and a transparent conductive film having a calorific value of 10 to 140 J / g is desirable for prompt crystallization. More desirably, it is 10 to 100 J / g, and more desirably amorphous and a mixture of amorphous and crystalline having a calorific value of 10 to 50 J / g.
[0039]
In addition, although not directly related to the present invention, a maximum of heat generation is observed in the range of 300 to 400 ° C. on the DSC chart. This is due to the crystal phase transition when In becomes a complete oxide. Moreover, the temperature of 300-400 degreeC is a temperature generally used when heat-processing the transparent conductive film formed on a glass substrate, and completely crystallizes the transparent conductive film formed on a glass substrate. This suggests that a temperature of 300 to 400 ° C. is necessary for the phase transition to.
[0040]
【Example】
Examples are shown below, but the present invention is not limited thereto.
[0041]
[Example 1]
The vacuum pressure of the vacuum chamber is 1.3 × 10 -Five Pa was introduced, oxygen was introduced as a reaction gas, Ar was introduced as an inert gas, and the total pressure was 0.4 Pa. The water pressure before introduction of the inert gas, measured with a quadrupole mass spectrometer, was the same as the back pressure of the vacuum chamber read with an ionization vacuum gauge. Oxygen partial pressure is 2.7 × 10 -3 Pa.
[0042]
Using a sintering target made of In—Sn—O containing 5% by weight of tin oxide, 1 W / cm 2 A transparent conductive laminate having a thickness of 330 nm was formed on a 0.1 mm polycarbonate substrate having a substrate temperature of 5 ° C. by a DC magnetron sputtering method at a power density of 5 ° C.
[0043]
Next, a part of the transparent conductive laminate was immersed in methylene chloride to dissolve the polycarbonate substrate, and the remaining transparent conductive film was collected by filtration through a glass filter.
[0044]
When the thermal characteristics of the transparent conductive film were measured with a differential scanning calorimeter in the range of 30 to 550 ° C. at a heating rate of 20 ° C. per minute, heat generation started from 80 ° C. as shown in FIG. The maximum exothermic temperature was 130 ° C. The calorific value was 18 J / g.
[0045]
When the said transparent conductive laminated body was heat-processed at 130 degreeC, the transparent conductive film crystallized within 1 hour.
[0046]
[Comparative Example 1]
The vacuum pressure of the vacuum chamber is 1.3 × 10 -Five Pa was used, oxygen was not introduced as a reaction gas, Ar was introduced as an inert gas, and the total pressure was 0.4 Pa. The water pressure before introduction of the inert gas, measured with a quadrupole mass spectrometer, was the same as the back pressure of the vacuum chamber read with an ionization vacuum gauge.
[0047]
Using a sintered target made of In-Sn-O containing 5% by weight of tin oxide, 1 W / cm 2 A transparent conductive laminate having a thickness of 330 nm was formed on a 0.1 mm polycarbonate substrate having a substrate temperature of 5 ° C. by a DC magnetron sputtering method at a power density of 5 ° C.
[0048]
Next, a part of the transparent conductive laminate was immersed in methylene chloride to dissolve the polycarbonate substrate, and the remaining transparent conductive film was filtered and collected with a glass filter.
[0049]
When the thermal characteristics of the transparent conductive film were measured with a differential scanning calorimeter in the range of 30 to 550 ° C. at a rate of temperature increase of 20 ° C. per minute, heat generation began at 80 ° C. However, the maximum exothermic temperature was 230 ° C. The calorific value was 36 J / g.
[0050]
When the transparent conductive laminate was heat-treated at 130 ° C., the transparent conductive film crystallized, but the time required for crystallization was much longer than that of the film of the example.
[0051]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, it is not possible to distinguish structural characteristics in a transparent conductive laminate having an amorphous formed by a low temperature process or a transparent conductive film in which amorphous and crystalline are mixed. The transparent conductive film can be quickly crystallized in a short time with respect to the heat treatment in the range not exceeding the softening point temperature of the polymer substrate. For example, when a transparent conductive film mainly composed of indium oxide is formed on a polycarbonate substrate, it can be easily crystallized by a short heat treatment at a temperature of about 100 ° C. to 150 ° C.
[0052]
In addition, it is possible to predict the possibility of crystallization by utilizing the thermal characteristics in the present invention. Furthermore, it provides a transparent conductive laminate having a transparent conductive film that is less likely to cause defects due to thermal characteristics, which tends to occur in various display element processing processes such as touch panels, liquid crystal display elements, organic EL elements, and solar cell processing processes. be able to.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a measurement diagram of a DSC curve observed in Example 1 of the present invention.

Claims (5)

高分子基板上に透明導電膜が形成されてなる透明導電積層体において、該透明導電膜は示差走査型熱量計により毎分20℃の昇温速度で30℃から550℃まで走査したときに、最大発熱温度が150℃以下(但し、150℃を除く)にあることを特徴とする透明導電積層体。In a transparent conductive laminate in which a transparent conductive film is formed on a polymer substrate, the transparent conductive film is scanned from 30 ° C. to 550 ° C. at a temperature rising rate of 20 ° C. per minute with a differential scanning calorimeter. A transparent conductive laminate having a maximum exothermic temperature of 150 ° C. or lower (excluding 150 ° C.) . 透明導電膜は示差走査型熱量計により毎分20℃の昇温速度で30℃から550℃まで走査したときに、発熱が開始する温度が100℃以下であることを特徴とする請求項1記載の透明導電積層体。2. The temperature at which heat generation starts when the transparent conductive film is scanned from 30 ° C. to 550 ° C. at a rate of temperature increase of 20 ° C. with a differential scanning calorimeter is 100 ° C. or less. Transparent conductive laminate. 透明導電膜は示差走査型熱量計により毎分20℃の昇温速度で30℃から550℃まで走査したときに、発熱量が10〜140J/gの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電積層体。2. The transparent conductive film has a calorific value in the range of 10 to 140 J / g when scanned from 30 ° C. to 550 ° C. at a rate of temperature increase of 20 ° C. per minute with a differential scanning calorimeter. Or the transparent conductive laminated body of 2. 透明導電膜が、酸化インジウムの80〜98重量%に対して、2〜20重量%の酸化錫、酸化ガリウム、酸化チタン及び酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれてなる1種以上の酸化物を含む請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電積層体。The transparent conductive film contains 2 to 20% by weight of one or more oxides selected from the group consisting of tin oxide, gallium oxide, titanium oxide and germanium oxide with respect to 80 to 98% by weight of indium oxide. The transparent conductive laminated body in any one of Claims 1-3. 透明導電膜の厚さが10〜350nmである請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電積層体。The transparent conductive laminate according to claim 1, wherein the transparent conductive film has a thickness of 10 to 350 nm.
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