JP4390403B2 - 熱媒循環式加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱媒を加熱する加熱器と熱消費端末とに亘る循環路に沿って熱媒を循環させる熱媒循環手段と、前記熱媒循環手段による熱媒の循環流量と前記加熱器の加熱作動とを制御する加熱制御手段とが設けられ、前記加熱制御手段が、前記熱消費端末への熱媒供給要求があると、前記加熱器による熱媒の加熱温度が前記熱消費端末に応じた目標温度になるように前記循環流量、又は、前記加熱器の加熱量を制御し、かつ、前記熱媒供給要求がなくなると、前記加熱器の加熱作動を停止させる加熱制御を実行するように構成されている熱媒循環式加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記熱媒循環式加熱装置では、従来、熱消費端末への熱媒供給要求があると、加熱器による熱媒の加熱温度が熱消費端末に応じた目標温度になるように、熱媒循環手段による熱媒の循環流量、又は、加熱器の加熱量を制御し、熱媒供給要求がなくなると、加熱器の加熱作動を停止させるとともに、熱媒循環手段による熱媒の循環を停止する加熱制御を実行するように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このため、加熱制御の実行を終了した後の、加熱作動を停止させた加熱器に熱媒を加熱できる余熱があっても、その余熱を熱消費端末において有効活用できない欠点がある。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、加熱制御の実行を終了した後の、加熱作動を停止させた加熱器の余熱を熱消費端末において有効活用できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の特徴構成は、熱媒を加熱する加熱器と熱消費端末とに亘る循環路に沿って熱媒を循環させる熱媒循環手段と、前記熱媒循環手段による熱媒の循環流量と前記加熱器の加熱作動とを制御する加熱制御手段とが設けられ、前記加熱制御手段が、前記熱消費端末への熱媒供給要求があると、前記加熱器による熱媒の加熱温度が前記熱消費端末に応じた目標温度になるように前記循環流量、又は、前記加熱器の加熱量を制御し、かつ、前記熱媒供給要求がなくなると、前記加熱器の加熱作動を停止させる加熱制御を実行するように構成されている熱媒循環式加熱装置であって、前記加熱制御手段が、前記加熱制御の実行を終了した後に、加熱作動が停止されている前記加熱器を通過した熱媒の温度が目標温度になるように、前記循環流量を制御する余熱回収用加熱制御を実行するように構成されている点にある。
【0006】
〔作用〕
加熱制御手段が、熱消費端末への熱媒供給要求があると、加熱器による熱媒の加熱温度が熱消費端末に応じた目標温度になるように、熱媒循環手段による熱媒の循環流量、又は、加熱器の加熱量を制御し、かつ、熱媒供給要求がなくなると、加熱器の加熱作動を停止させる加熱制御を実行する。
【0007】
そして、その加熱制御の実行を終了した後に、加熱作動が停止されている加熱器を通過した熱媒の温度が加熱器の余熱で目標温度になるように、熱媒循環手段による熱媒の循環流量を制御する余熱回収用加熱制御を実行する。
【0008】
〔効果〕
加熱作動を停止させた加熱器の余熱で目標温度に加熱した熱媒を、加熱器と熱消費端末とに亘る循環路に沿って循環させることができるので、加熱制御の実行を終了した後の加熱器の余熱を熱消費端末において有効活用できる。
【0009】
請求項2記載の発明の特徴構成は、前記熱消費端末が、給湯路が上部に接続された貯湯タンクで構成され、前記加熱制御手段が、前記貯湯タンク内への貯湯要求があると、前記加熱器による熱媒の加熱温度が貯湯用目標温度になるように前記循環流量を制御し、かつ、前記貯湯要求がなくなると、前記加熱器の加熱作動を停止させる貯湯用加熱制御を実行するとともに、前記貯湯用加熱制御の実行を終了した後に、加熱作動が停止されている前記加熱器を通過した熱媒の温度が貯湯用目標温度になるように前記循環流量を制御して前記貯湯タンク内に貯湯する余熱回収用加熱制御を実行するように構成されている点にある。
【0010】
〔作用〕
加熱制御手段が、貯湯タンク内への貯湯要求があると、加熱器による熱媒の加熱温度が貯湯用目標温度になるように循環流量を制御し、かつ、貯湯要求がなくなると、加熱器の加熱作動を停止させる貯湯用加熱制御を実行する。
【0011】
そして、貯湯用加熱制御の実行を終了した後に、加熱作動が停止されている加熱器を通過した熱媒の温度が加熱器の余熱で貯湯用目標温度になるように循環流量を制御して貯湯タンク内に貯湯する余熱回収用加熱制御を実行する。
【0012】
〔効果〕
加熱器の余熱で貯湯用目標温度に加熱した熱媒を、加熱器と貯湯タンクとに亘る循環路に沿って循環させることができるので、貯湯用加熱制御の実行を終了した後の加熱器の余熱を貯湯用に有効活用できる。
【0013】
請求項3記載の発明の特徴構成は、前記熱消費端末が、前記循環路に互いに並列に設けた暖房用端末と、給湯路が上部に接続された貯湯タンクとで構成され、前記熱媒循環手段が、前記貯湯タンク内に貯湯されるように熱媒を循環させる貯湯運転状態と、前記加熱器にて加熱した熱媒を前記暖房用端末に供給する形態で熱媒を循環させる暖房運転状態とに切り換え自在に構成され、前記加熱制御手段が、前記暖房用端末への熱媒供給要求があると、前記熱媒循環手段を前記暖房運転状態に切り換えて、前記加熱器による熱媒の加熱温度が暖房用目標温度になるように前記循環流量を制御し、かつ、前記熱媒供給要求がなくなると、前記加熱器の加熱作動を停止させる暖房用加熱制御を実行するとともに、前記暖房用加熱制御の実行を終了した後に、前記熱媒循環手段を前記貯湯運転状態に切り換えて、加熱作動が停止されている前記加熱器を通過した熱媒の温度が貯湯用目標温度になるように前記循環流量を制御して前記貯湯タンク内に貯湯する余熱回収用加熱制御を実行するように構成されている点にある。
【0014】
〔作用〕
加熱制御手段が、暖房用端末への熱媒供給要求があると、熱媒循環手段を暖房運転状態に切り換えて、加熱器による熱媒の加熱温度が暖房用目標温度になるように循環流量を制御し、かつ、熱媒供給要求がなくなると、加熱器の加熱作動を停止させる暖房用加熱制御を実行する。
【0015】
そして、暖房用加熱制御の実行を終了した後に、熱媒循環手段を貯湯運転状態に切り換えて、加熱作動が停止されている加熱器を通過した熱媒の温度が加熱器の余熱で貯湯用目標温度になるように循環流量を制御して貯湯タンク内に貯湯する余熱回収用加熱制御を実行する。
【0016】
〔効果〕
加熱器の余熱で貯湯用目標温度に加熱した熱媒を、加熱器と貯湯タンクとに亘る循環路に沿って循環させることができるので、暖房用加熱制御の実行を終了した後の加熱器の余熱を貯湯用に有効活用できる。
【0017】
請求項4記載の発明の特徴構成は、前記熱消費端末が、前記循環路に互いに並列に設けた暖房用端末と、給湯路が上部に接続された貯湯タンクとで構成され、前記熱媒循環手段が、前記貯湯タンク内に貯湯されるように熱媒を循環させる貯湯運転状態と、前記加熱器にて加熱した熱媒を前記暖房用端末に供給する形態で熱媒を循環させる暖房運転状態とに切り換え自在に構成され、前記加熱制御手段が、前記暖房用端末への熱媒供給要求があると、前記熱媒循環手段を前記暖房運転状態に切り換えて、前記加熱器による熱媒の加熱温度が暖房用目標温度になるように前記循環流量を制御し、かつ、前記熱媒供給要求がなくなると、前記加熱器の加熱作動を停止させる暖房用加熱制御を実行するとともに、前記暖房用加熱制御の実行を終了した後に、加熱作動が停止されている前記加熱器を通過した熱媒の温度が暖房用目標温度になるように前記循環流量を制御して前記暖房用端末に供給する余熱回収用加熱制御を実行するように構成されている点にある。
【0018】
〔作用〕
加熱制御手段が、暖房用端末への熱媒供給要求があると、熱媒循環手段を暖房運転状態に切り換えて、加熱器による熱媒の加熱温度が暖房用目標温度になるように循環流量を制御し、かつ、熱媒供給要求がなくなると、加熱器の加熱作動を停止させる暖房用加熱制御を実行する。
【0019】
そして、暖房用加熱制御の実行を終了した後に、加熱作動が停止されている加熱器を通過した熱媒の温度が加熱器の余熱で暖房用目標温度になるように循環流量を制御して暖房用端末に供給する余熱回収用加熱制御を実行する。
【0020】
〔効果〕
加熱器の余熱で暖房用目標温度に加熱した熱媒を、加熱器と暖房用端末とに亘る循環路に沿って循環させることができるので、暖房用加熱制御の実行を終了した後の加熱器の余熱を暖房用に有効活用できる。
【0021】
また、暖房用端末への熱媒供給要求は、一般に、設定暖房温度を維持するに必要な熱量が不足するようになると発生し、最小供給可能熱量が要求熱量より多い時、熱媒供給要求は間欠的に発生することになるが、熱媒供給要求がなくなった後も、加熱器の余熱を暖房用端末に供給できるので、次回の熱媒供給要求が発生するまでの時間間隔が、加熱器の余熱を暖房用端末に供給しない場合に比べて長くなり、その結果、加熱制御手段による加熱器の加熱作動の頻繁な入り切りを防止することができる。
【0022】
ちなみに、熱媒供給要求がなくなった後に、加熱器の余熱で加熱した熱媒を暖房用端末に供給するので、暖房用端末における加熱量に多少のオーバーシュートが生じるが、その影響は無視できる程度と考えられる。
【0023】
請求項5記載の発明の特徴構成は、前記貯湯タンク内に所定量の温水を所定時間までに貯湯する予約貯湯運転が指令されているときには、前記加熱制御手段が、前記暖房用加熱制御の実行を終了した後に、前記熱媒循環手段を前記貯湯運転状態に切り換えて、加熱作動が停止されている前記加熱器を通過した熱媒の温度が貯湯用目標温度になるように前記循環流量を制御して前記貯湯タンク内に貯湯する余熱回収用加熱制御を実行するように構成されている点にある。
【0024】
〔作用〕
貯湯タンク内に所定量の温水を所定時間までに貯湯する予約貯湯運転が指令されているときには、加熱制御手段が、暖房用加熱制御の実行を終了した後に、熱媒循環手段を貯湯運転状態に切り換えて、加熱作動が停止されている加熱器を通過した熱媒の温度が加熱器の余熱で貯湯用目標温度になるように循環流量を制御して貯湯タンク内に貯湯する余熱回収用加熱制御を実行する。
【0025】
〔効果〕
予約貯湯運転が指令されているときには、加熱器の余熱で貯湯用目標温度に加熱した熱媒を、加熱器と貯湯タンクとに亘る循環路に沿って循環させることができるので、暖房用加熱制御の実行を終了した後の加熱器の余熱を予約貯湯用に有効活用できる。
【0026】
請求項6記載の発明の特徴構成は、前記熱消費端末が、暖房用端末で構成され、前記熱媒循環手段が、前記加熱器にて加熱した熱媒を前記暖房用端末に供給する形態で熱媒を循環させる暖房運転状態で熱媒を循環させるように構成され、前記加熱制御手段が、前記暖房用端末への熱媒供給要求があると、前記加熱器による熱媒の加熱温度が暖房用目標温度になるように前記循環流量を制御し、かつ、前記熱媒供給要求がなくなると、前記加熱器の加熱作動を停止させる暖房用加熱制御を実行するとともに、前記暖房用加熱制御の実行を終了した後に、加熱作動が停止されている前記加熱器を通過した熱媒の温度が暖房用目標温度になるように前記循環流量を制御して前記暖房用端末に供給する余熱回収用加熱制御を実行するように構成されている点にある。
【0027】
〔作用〕
加熱制御手段が、暖房用端末への熱媒供給要求があると、加熱器による熱媒の加熱温度が暖房用目標温度になるように循環流量を制御し、かつ、熱媒供給要求がなくなると、加熱器の加熱作動を停止させる暖房用加熱制御を実行する。
【0028】
そして、暖房用加熱制御の実行を終了した後に、加熱作動が停止されている加熱器を通過した熱媒の温度が暖房用目標温度になるように循環流量を制御して暖房用端末に供給する余熱回収用加熱制御を実行して、熱媒を加熱器の余熱で暖房用目標温度に加熱する。
【0029】
〔効果〕
加熱器の余熱で暖房用目標温度に加熱した熱媒を、加熱器と暖房用端末とに亘る循環路に沿って循環させることができるので、暖房用加熱制御の実行を終了した後の加熱器の余熱を暖房用に有効活用できる。
【0030】
また、暖房用端末への熱媒供給要求は、一般に、設定暖房温度を維持するに必要な熱量が不足するようになると発生し、最小供給可能熱量が要求熱量より多い時、熱媒供給要求は間欠的に発生することになるが、熱媒供給要求がなくなった後も、加熱器の余熱を暖房用端末に供給できるので、次回の熱媒供給要求が発生するまでの時間間隔が、加熱器の余熱を暖房用端末に供給しない場合に比べて長くなり、その結果、加熱制御手段による加熱器の加熱作動の頻繁な入り切りを防止することができる。
【0031】
ちなみに、熱媒供給要求がなくなった後に、加熱器の余熱で加熱した熱媒を暖房用端末に供給するので、暖房用端末における加熱量に多少のオーバーシュートが生じるが、その影響は無視できる程度と考えられる。
【0032】
請求項7記載の発明の特徴構成は、前記余熱回収用加熱制御において、設定最小循環流量で循環を開始させて、前記加熱器を通過した熱媒が目標温度範囲の温度を越えて加熱されているか否かを判定し、前記目標温度範囲を越えて加熱されていると判定したときは、前記目標温度範囲内に加熱されるまで、現在の循環流量に設定流量を加算した循環流量で循環させる循環流量増大制御を繰り返し実行するように構成されている点にある。
【0033】
〔作用〕
余熱回収用加熱制御において、設定最小循環流量で循環を開始させて、加熱器を通過した熱媒が目標温度範囲の温度を越えて加熱されているか否かを判定し、目標温度範囲を越えて加熱されていると判定したときは、目標温度範囲内に加熱されるまで、現在の循環流量に設定流量を加算した循環流量で循環させる循環流量増大制御を繰り返し実行して、目標温度範囲内に加熱できる最大の循環流量を求めて、その最大の循環流量で循環させることができる。
【0034】
〔効果〕
加熱器の余熱で熱媒を目標温度に加熱するので、循環流量が加熱器の余熱に比べて多すぎると、目標温度に加熱されていない熱媒が対応する熱消費端末に供給されてしまって、かえって、熱消費端末の機能を損なうおそれがあるが、循環流量を徐々に増大させることにより、目標温度範囲内に加熱できる最大の循環流量で効率良く熱媒を循環させて、目標温度に加熱した熱媒を対応する熱消費端末に確実に供給できるので、熱消費端末の機能を損なうおそれが少ない。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる熱媒循環式加熱装置をエンジンヒートポンプ式冷暖房給湯システムに適応した例を図面に基づいて説明する。
【0036】
〔第1実施形態〕
このエンジンヒートポンプ式冷暖房給湯システムは、図1および図2に示すように、貯湯ユニットAと、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bとから構成されている。
【0037】
前記貯湯ユニットAは、この貯湯ユニットAの運転を制御する貯湯ユニット制御部C、貯湯タンク(熱消費端末の一例) 1、熱媒としての湯水を加熱する加熱器としてのヒートポンプ式加熱器(以下、HP加熱器と略称する) 33、暖房用端末(熱消費端末の一例) 2、湯水をHP加熱器33と貯湯タンク1や暖房用端末2とに亘って循環させるための循環路3などから構成され、循環ポンプP1の作動で湯水を循環路3に沿って循環させながら、HP加熱器33にて貯湯用や暖房用の目標温度の湯に加熱して、温度成層を形成する状態で貯湯タンク1内に貯湯したり、暖房用端末2にて放熱させ、また、貯湯タンク1内に貯湯された湯水を給湯するように構成されている。
【0038】
前記貯湯タンク1内には、上から順に、貯湯設定温度の湯の貯湯量が最低確保量以上であるかを、その湯温を検出することにより検出する最上部サーミスタS1、その貯湯量が少以上であるかを、その湯温を検出することにより検出する上部サーミスタS2、その貯湯量が中以上であるかを、その湯温を検出することにより検出する中部サーミスタS3、その貯湯量が満以上であるかを、その湯温を検出することにより検出する底部サーミスタS4が設けられている。
そして、使用者の必要に応じて貯湯リモコンR2などにより、貯湯タンク1内の目標貯湯量を、「少」、「中」、「満」の3つの貯湯量からひとつを選択できるようにしている。
【0039】
前記貯湯タンク1には、その底部から貯湯タンク1に水道水圧を用いて給水する給水路5と、その上部から風呂場や台所などに給湯するための給湯路6とが接続され、風呂場や台所などで使用された量だけの水を給水路5から貯湯タンク1に給水するように構成されている。
前記給湯路6には、給水路5から分岐された混合用給水路7が接続され、その接続箇所に給湯路6からの湯水と混合用給水路7からの水との混合比を調整自在なミキシングバルブ8が設けられている。
前記給水路5と混合用給水路7との分岐箇所には、給水温度を検出する給水サーミスタ9が設けられ、給水路5および混合用給水路7の夫々には、逆止弁10が設けられている。
ちなみに、給湯路6には、オーバーフロー路11が接続され、そのオーバーフロー路11にエアー抜き弁12が設けられている。
【0040】
また、給湯路6におけるミキシングバルブ8よりも上流側には、貯湯タンク1の上部から給湯路6に給湯された湯水の温度を検出する貯湯出口サーミスタ13が設けられ、給湯路6におけるミキシングバルブ8よりも下流側には、ミキシングバルブ8にて混合された湯水の温度を検出するミキシングサーミスタ14、給湯路6の湯水の流量を調整する給湯用水比例バルブ15、給湯路6を通流する湯水の流量を検出する給湯流量センサ20が設けられている。
【0041】
前記給湯路6を通して風呂場や台所に給湯するときには、給湯目標温度としての給湯設定温度、貯湯出口サーミスタ13および給水サーミスタ9の検出情報に基づいて、給湯する湯水の温度が給湯設定温度になるようにミキシングバルブ8の開度を調整するとともに、ミキシングサーミスタ14の検出情報に基づいて、その検出温度と給湯設定温度との偏差に基づいてミキシングバルブ8の開度を微調整することにより、給湯設定温度の湯水を給湯するように構成されている。
【0042】
前記循環路3は、その途中に、湯水を貯湯タンク1を通ってHP加熱器33に循環させるための貯湯用循環路25と、湯水を暖房用端末2を通ってHP加熱器33に循環させるための放熱用循環路26とを並列に設けて、貯湯タンク1と暖房用端末2とを互いに並列に設けてある。
また、貯湯用循環路25をHP加熱器33にて加熱された温水を貯湯タンク1の上部に供給するように接続するとともに、貯湯タンク1内の底部の湯水を取り出す取り出し路27に放熱用循環路26を接続して、HP加熱器33にて加熱した湯水を貯湯タンク1と暖房用端末2とに亘って循環させるように構成し、放熱用循環路26の暖房用端末2よりも下流側には湯水を貯湯タンク1内に戻す戻し路21を接続してある。
【0043】
そして、貯湯用循環路25に貯湯用開閉弁28を設け、放熱用循環路26の暖房用端末2よりも上流側に戻し開閉弁29を設け、放熱用循環路26の戻し路21との接続箇所よりも下流側に放熱循環用開閉弁23を設け、戻し路21に初期貯湯用開閉弁22を設けて、貯湯用開閉弁28を開弁させることによって、循環路3を通流する湯水を貯湯タンク1内の上部に供給できるようにし、戻し開閉弁29と放熱循環用開閉弁23とを開弁させることによって、循環路3を通流する湯水を暖房用端末2を通してHP加熱器33に戻すことができるようにしている。
ちなみに、取り出し路27には、貯湯タンク1内の湯水を排水するための排水路30が接続され、その排水路30の途中部には、安全弁31と手動バルブ32とが並列に接続されている。
【0044】
前記HP加熱器33は、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bにより供給される冷媒で湯水を加熱するように構成され、湯水のHP加熱器33からの出温度を検出する加熱温度サーミスタ61がHP加熱器33の下流側の循環路3に設けられ、HP加熱器33の上流側の循環路3に、循環路3を通流する湯水の循環流量Rを検出する循環流量センサ62と、循環ポンプP1と、循環路3を循環する湯水の循環流量Rを調整自在な循環流量調整バルブ65とが設けられている。
【0045】
そして、循環流量センサ62の検出情報に基づいて、循環流量調整バルブ65の開度を調整することにより循環路3における循環流量Rを調整するように構成され、加熱温度サーミスタ61の検出情報に基づいて、循環路3における循環流量Rを調整することにより、HP加熱器33にて加熱された後の循環路3を通流する湯水の温度を調整自在に構成され、循環調整手段Fが、循環流量センサ62、循環流量調整バルブ65、加熱温度サーミスタ61などにより構成されている。
【0046】
このようにして、貯湯用開閉弁28、戻し開閉弁29などの夫々の開閉弁を開閉制御することにより、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水をHP加熱器33にて加熱したのち、その温水を貯湯タンク1の上部に戻したり、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水をHP加熱器33にて加熱したのち、暖房用端末2にて放熱させてHP加熱器33に戻すように構成され、湯水を循環路3に沿って循環させる湯水循環手段Eが、循環路3、循環ポンプP1、および、初期貯湯用開閉弁22、放熱循環用開閉弁23、貯湯用開閉弁28、戻し開閉弁29などにより構成されている。
【0047】
そして、湯水循環手段Eが、初期貯湯用開閉弁22や放熱循環用開閉弁23、貯湯用開閉弁28、戻し開閉弁29の開閉操作で、HP加熱器33にて加熱した湯水を貯湯タンク1内に貯湯されるように循環させる貯湯運転状態と、HP加熱器33にて加熱した湯水を暖房用端末2に供給する形態で循環させる暖房運転状態とに切り換え自在に構成されている。
【0048】
前記暖房用端末2は、暖房ポンプP2を作動させることにより、暖房戻り路46および暖房往き路47を通して循環する暖房用熱媒としての温水と、放熱用循環路26を循環する湯水とを熱交換するように設けられ、暖房戻り路46には、上流側から順に、暖房戻り路46の暖房用熱媒の温度を検出する暖房戻りサーミスタ48、補給水タンク49、暖房ポンプP2が設けられ、暖房往き路47には、暖房往き路47の暖房用熱媒の温度を検出する暖房往きサーミスタ50が設けられている。
【0049】
前記補給水タンク49には、水位の上限を検出する上限センサ51と下限を検出する下限センサ52とが設けられ、補給水タンク49に給水するためのタンク給水路53が接続され、そのタンク給水路53には、補給水電磁弁54が設けられている。
また、暖房戻り路46の暖房用熱媒を暖房用端末2を迂回して暖房往き路47に供給する暖房バイパス路55が設けられている。
暖房操作手段Jが、暖房戻りサーミスタ48、暖房ポンプP2、暖房往きサーミスタ50などで構成されている。
【0050】
前記エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bは、空調対象空間の空調用やHP加熱器33における加熱作動用に設けられ、図2に示すように、複数の室内機71、室外機72、室内機71および室外機72の運転を制御するヒートポンプ運転制御部Dとから構成され、複数の空調対象空間(例えば、各部屋)を空調することができるように構成されている。
また、室内機71と室外機72と貯湯ユニットAにおけるHP加熱器33とは、冷媒配管73で接続され、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bにおける冷媒をHP加熱器33に供給できるように構成されている。
【0051】
前記複数の室内機71の夫々には、電子膨張弁74、室内熱交換器75、その室内熱交換器75で温調した空気を空調対象空間へ送出する室内空調用送風機76が備えられ、室内熱交換器75にて凝縮された冷媒の温度を検出する冷媒サーミスタ89の検出情報に基づいて、電子膨張弁74の開度を調整するようにしている。
前記室外機72には、ガスエンジン77、冷媒圧縮機78、アキュムレータ79、四方弁80、室外熱交換器81、その室外熱交換器に対し外気を通風する室外空調用送風機82が備えられ、ガスエンジン77の排熱を外部に放熱するためのラジエーター83、および、ラジエーター用送風機84も備えられ、ガスエンジン77の冷却用の冷却水をラジエーター83との間で循環させる冷却水路85が設けられ、この冷却水路85にラジエーター用ポンプP4が設けられている。ヒートポンプ運転手段Kが、電子膨張弁74、室内空調用送風機76、ガスエンジン77、冷媒圧縮機78、四方弁80、室外空調用送風機82などにより構成されている。
【0052】
そして、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bは、空調リモコンR1の指令に基づいてヒートポンプ運転制御部Dにて運転が制御され、ガスエンジン77により冷媒圧縮機78を作動させて、四方弁80の切換え操作により空調冷房運転と空調暖房運転とを選択切換え自在に構成され、室内機71の電子膨張弁74の開閉制御により、空調要求のある部屋の空調を行うように構成されている。
また、HP加熱器33にて循環路3の湯水を加熱するときには、空調暖房運転させるとともに、HP加熱器33における冷媒圧力が設定目標圧力になるように冷媒圧縮機78の回転速度と加熱用電子膨張弁74aを制御して、HP加熱器33に冷媒を供給するように構成されている。
【0053】
前記空調冷房運転においては、図2の実線矢印に示すように、冷媒圧縮機78から吐出される高圧乾き蒸気冷媒を、四方弁80を介して室外熱交換器81に供給し、この室外熱交換器81において外気との熱交換により凝縮される。
そして、室外熱交換器81から送出される凝縮工程通過冷媒を、電子膨張弁74を介して室内熱交換器75に供給し、この室内熱交換器75において冷却対象空気との熱交換により蒸発される。
その後、室内熱交換器75から送出される低圧乾き蒸気冷媒を、四方弁80およびアキュムレータ79を介して冷媒圧縮機78の吸入口に戻す。
【0054】
前記空調暖房運転においては、図2の点線矢印に示すように、冷媒圧縮機78から吐出される高圧乾き蒸気冷媒を、四方弁80を介して室内熱交換器75およびHP加熱器33に供給し、室内熱交換器75においては加熱対象空気との熱交換により凝縮され、HP加熱器33においては循環路3の湯水との熱交換により凝縮される。
そして、室内熱交換器75およびHP加熱器33から送出される凝縮工程通過冷媒を、電子膨張弁74を介して室外熱交換器81に供給し、この室外熱交換器81において外気との熱交換により蒸発される。
その後、室外熱交換器81から送出される低圧乾き蒸気冷媒を四方弁80およびアキュムレータ79を介して冷媒圧縮機78の吸入口に戻す。
【0055】
前記貯湯ユニット制御部Cとヒートポンプ運転制御部Dとは、図3に示すように、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bが空調運転中であることや、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bへの駆動要求などの制御信号を送受信可能に構成にされ、貯湯ユニット制御部Cとヒートポンプ運転制御部Dとにより運転制御手段Uが構成されている。
【0056】
そして、空調対象空間としての各部屋に設置されている空調リモコンR1の指令に基づいて、空調リモコンR1から空調冷房要求や空調暖房要求などの空調要求があると、ヒートポンプ運転制御部Dがヒートポンプ運転手段Kの運転を制御し、空調リモコンR1による空調要求に基づいて、ガスエンジン77により冷媒圧縮機78を作動させて、四方弁80の切換え操作により空調冷房運転と空調暖房運転とを選択切換え、室内機71の電子膨張弁74の開閉制御により、各空調対象空間への空調を切り換えて、ヒートポンプ運転手段Kを制御するように構成されている。
【0057】
また、貯湯リモコンR2の指令に基づいて、湯水循環手段Eにて循環される湯水をHP加熱器33にて貯湯用目標温度の湯に加熱して温度成層を形成する状態で貯湯タンク1内に貯湯する貯湯運転、貯湯タンク1内に所定量の温水を所定時間までに貯湯する予約貯湯運転、湯水循環手段Eにて循環される湯水をHP加熱器33にて暖房用目標温度の湯に加熱して暖房用端末2で放熱させる暖房運転、給湯運転の夫々の運転を実行するように構成されている。
【0058】
前記貯湯ユニットAの運転について説明すると、貯湯リモコンR2の要求指令などに基づいて、貯湯ユニット制御部Cが、湯水循環手段E、循環調整手段F、給湯操作手段G、暖房操作手段Jの夫々の運転を制御して、貯湯運転、暖房運転、給湯運転を実行するように構成され、この貯湯ユニット制御部Cが、湯水循環手段Eによる湯水の循環流量RとHP加熱器33の加熱作動とを制御する加熱制御手段に構成されている。
【0059】
そして、図4に示すように、給湯要求があると(ステップ1) 給湯運転を実行し(ステップ2) 、暖房要求、つまり、暖房用端末2への湯水供給要求があると(ステップ3) 暖房運転を実行し(ステップ4) 、貯湯要求、つまり、貯湯タンク1への湯水供給要求があると(ステップ5) 貯湯運転を実行する(ステップ6) 。
【0060】
前記貯湯運転は、貯湯タンク1内の貯湯量が最低確保量未満になったり、予約貯湯運転が指令されているときに、貯湯タンク1に貯湯設定温度の温水を目標貯湯量貯湯するための時刻になるなどして貯湯条件が満たされると、図5に示すように、湯水循環手段Eにて循環される湯水をHP加熱器33にて貯湯用目標温度に加熱して、温度成層を形成する状態で貯湯タンク内に貯湯設定温度の湯を貯湯目標量貯湯する貯湯用加熱制御を実行した後に(ステップ10) 、HP加熱器33の余熱(残熱) を貯湯用に回収する余熱回収用加熱制御Aを実行する(ステップ11) ように構成されている。
【0061】
また、暖房運転は、暖房用端末2への湯水供給要求があると、図6に示すように、湯水循環手段Eにて循環される湯水をHP加熱器33にて暖房用目標温度に加熱して、暖房用端末2に供給する暖房用加熱制御を実行した後に(ステップ20) 、HP加熱器33の余熱(残熱) を貯湯用に回収する余熱回収用加熱制御Bや、HP加熱器33の余熱(残熱) を暖房用に回収したり、予約貯湯運転が指令されているときに貯湯用に回収する余熱回収用加熱制御Cを実行する(ステップ21) ように構成されている。
【0062】
前記貯湯用加熱制御を、図7に示すフローチャートに基づいて、具体的に説明する。
加熱用電子膨張弁74aを開状態に制御してエンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bを空調暖房運転させて、HP加熱器33に冷媒を供給させるとともに、図1中の点線矢印に示すように、湯水循環手段Eを、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水をHP加熱器33にて加熱したのち、その温水を貯湯タンク1の下部に戻す形態の初期貯湯運転状態に切り換えて運転させる(ステップ30) 。
【0063】
すなわち、貯湯用開閉弁28と放熱循環用開閉弁23とを閉弁させるとともに初期貯湯用開閉弁22と戻し開閉弁29とを開弁させて、循環ポンプP1を作動させ、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水をHP加熱器33にて加熱したのち、その湯水を貯湯タンク1の底部に戻す形態で貯湯タンク1内の湯水を加熱するようにしている。
【0064】
そして、加熱温度サーミスタ61による検出温度が貯湯許容温度未満であるか否かを判定し(ステップ31) 、検出温度が貯湯許容温度以上であると判定したときは、図1中の実線矢印に示すように、湯水循環手段Eを、貯湯タンク1内に湯水が温度成層を形成して貯湯されるように、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水をHP加熱器33にて加熱したのち、その温水を貯湯タンク1の上部に供給する形態で湯水が循環するヒートポンプ貯湯運転状態(HP貯湯運転状態) に切り換えて、HP加熱器33による湯水の加熱温度が、貯湯タンク1に応じた目標温度である貯湯用目標温度範囲の温度になるように、湯水循環手段Eによる湯水の循環流量Rを増減制御する(ステップ32) 。
【0065】
つまり、貯湯用開閉弁28を開弁させるとともに、初期貯湯用開閉弁22と戻し開閉弁29とを閉弁させて、循環ポンプP1を作動させ、貯湯タンク1内に湯水が温度成層を形成して貯湯されるように、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水をHP加熱器33にて加熱したのち、その湯水を貯湯タンク1の上部に戻す形態で貯湯タンク1内の湯水を加熱して、加熱温度サーミスタ61による検出温度に基づいて、貯湯タンク1の上部に供給される湯水の温度が貯湯設定温度になるように循環流量調整バルブ65の開度を調整する。
【0066】
ちなみに、貯湯許容温度は、例えば、貯湯設定温度よりも20℃低い温度として設定され、循環流量Rを調整することによりHP加熱器33にて加熱された湯水の温度を貯湯目標温度範囲の温度にすることができるような温度に設定されている。
【0067】
そして、目標貯湯量に対応する上部サーミスタS2又は中部サーミスタS3または底部サーミスタS4が貯湯設定温度の湯温を検出するか否かにより、目標貯湯量の湯水が貯湯されたか否かを判定し(ステップ33) 、目標貯湯量の湯水が貯湯された、つまり、貯湯要求がなくなったと判定すると、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置BからHP加熱器33への冷媒供給を停止させることによって、HP加熱器33の加熱作動を停止させて(ステップ34) 、貯湯用加熱制御の実行を終了する。
【0068】
次に、貯湯用加熱制御の実行を終了した後に、加熱作動が停止されているHP加熱器33を通過した湯水がHP加熱器33の余熱で貯湯用目標温度の温度になるように循環流量Rを制御して貯湯タンク1内の上部に貯湯する余熱回収用加熱制御Aを説明する。
【0069】
図8に示すように、循環流量Rが設定最小循環流量になるように循環流量調整バルブ65の開度を調整して循環させる(ステップ40) 。
尚、設定最小循環流量は、HP加熱器33の蓄熱量や熱伝達効率、流路過熱限界から設定された流量である。
【0070】
そして、HP加熱器33を通過した湯水が貯湯用目標温度範囲の温度を越えて加熱されているか否かを加熱温度サーミスタ61による検出温度に基づいて判定し(ステップ41,42) 、貯湯用目標温度範囲を越えて加熱されていると判定したときは、余熱の量が現在の循環流量Rに比較して多いので、貯湯用目標温度範囲内に加熱されるまで、現在の循環流量Rに設定流量を加算した循環流量Rになるように循環流量調整バルブ65の開度を調整(ステップ46) する循環流量増大制御(ステップ41,42,46) を繰り返し実行する。
【0071】
また、HP加熱器33の余熱が減少してきて、HP加熱器33を通過した湯水が貯湯用目標温度範囲の温度を下回ると、現在の循環流量Rに設定流量を減算した循環流量Rになるように循環流量調整バルブ65の開度を調整し(ステップ43) 、循環流量Rが最低流量未満になると(ステップ44) 、循環ポンプP1の作動を停止させるとともに、貯湯用開閉弁28を閉弁させる貯湯用運転終了処理(ステップ45) を行って、余熱回収用加熱制御Aを終了する。
尚、最低流量は、後沸き現象の発生や余熱回収の有効性を考慮して設定された貯湯ユニットAに固有の流量である。
【0072】
前記暖房用加熱制御を、図9に示すフローチャートに基づいて、具体的に説明する。
図9に示すように、加熱用電子膨張弁74aを開状態に制御してエンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bを空調暖房運転させて、HP加熱器33に冷媒を供給させるとともに、図1中の点線矢印に示すように、湯水循環手段Eを、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水をHP加熱器33にて加熱したのち、その温水の熱を暖房用端末2において放熱させて貯湯タンク1の下部に戻す形態の暖房運転状態に切り換えるとともに、加熱温度サーミスタ61による検出温度が暖房用目標温度になるように循環流量Rを制御する(ステップ50) 。
【0073】
すなわち、貯湯用開閉弁28と初期貯湯用開閉弁22とを閉弁させるとともに、戻し開閉弁29と放熱循環用開閉弁23とを開弁させて、循環ポンプP1を作動させ、加熱温度サーミスタ61による検出温度が暖房用端末2に応じた目標温度である暖房用目標温度になるように循環流量調整バルブ65の開度を調整しながら、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水をHP加熱器33にて加熱したのち、その湯水を暖房用端末2を経由してHP加熱器33に戻す形態で循環させて湯水を加熱するようにしている。
【0074】
そして、暖房用端末2への湯水供給要求がなくなると(ステップ51) 、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置BからHP加熱器33への冷媒供給を停止させることによって、HP加熱器33の加熱作動を停止させて(ステップ52) 、暖房用加熱制御の実行を終了する。
【0075】
前記暖房用加熱制御の実行を終了した後に、HP加熱器33の余熱を貯湯用に回収する余熱回収用加熱制御Bについて説明すると、図10に示すように、湯水循環手段Eをヒートポンプ貯湯運転状態(HP貯湯運転状態) に切り換えて(ステップ60) 、加熱作動が停止されているHP加熱器33を通過した湯水の温度が貯湯用目標温度になるように循環流量Rを制御して貯湯タンク1内の上部に貯湯する前述の余熱回収用加熱制御Aを実行して(ステップ61) 、余熱回収用加熱制御Bを終了する。
【0076】
次に、前記暖房用加熱制御の実行を終了した後に、HP加熱器33の余熱を暖房用に回収したり、予約貯湯運転が指令されているときに貯湯用に回収する余熱回収用加熱制御Cについて、図11に示すフローチャートに基づいて、具体的に説明する。
【0077】
予約貯湯運転が指令されている否かを判定して(ステップ70) 、予約貯湯運転が指令されていない場合は、HP加熱器33の余熱を暖房用に回収する制御を実行し、予約貯湯運転が指令されている場合は、貯湯用に回収する制御を実行する。
【0078】
つまり、予約貯湯運転が指令されていない場合は、循環流量Rが設定最小循環流量になるように循環流量調整バルブ65の開度を調整して循環させる(ステップ71) 。
尚、設定最小循環流量は、HP加熱器33の蓄熱量や熱伝達効率、流路過熱限界から設定された流量である。
【0079】
そして、HP加熱器33を通過した湯水が暖房用目標温度範囲の温度を越えて加熱されているか否かを加熱温度サーミスタ61による検出温度に基づいて判定し(ステップ72,73) 、暖房用目標温度範囲を越えて加熱されていると判定したときは、余熱の量が現在の循環流量Rに比較して多いので、暖房用目標温度範囲内に加熱されるまで、現在の循環流量Rに設定流量を加算した循環流量Rになるように循環流量調整バルブ65の開度を調整(ステップ77) する循環流量増大制御(ステップ72,73,77) を繰り返し実行する。
【0080】
また、HP加熱器33の余熱が減少してきて、HP加熱器33を通過した湯水が暖房用目標温度範囲の温度を下回ると、現在の循環流量Rに設定流量を減算した循環流量Rになるように循環流量調整バルブ65の開度を調整し(ステップ74) 、循環流量Rが最低流量未満になると(ステップ75) 、循環ポンプP1の作動を停止させるとともに、戻し開閉弁29と放熱循環用開閉弁23とを閉弁させる暖房用運転終了処理(ステップ76) を行って、余熱回収用加熱制御Cを終了する。
尚、最低流量は、後沸き現象の発生や余熱回収の有効性を考慮して設定された貯湯ユニットAに固有の流量である。
【0081】
また、予約貯湯運転が指令されている場合は、前述の余熱回収用加熱制御Bを実行して(ステップ78) 、余熱回収用加熱制御Cを終了する。
【0082】
〔第2実施形態〕
図12は、第1実施形態で示した湯水をHP加熱器33にて加熱した湯水を貯湯タンク1内に供給する形態で貯湯する方式の貯湯ユニットAに代えて、貯湯用循環路25を貯湯タンク1内に通して、HP加熱器33にて貯湯用目標温度に加熱した湯水の熱を貯湯タンク1内の湯水と熱交換させることによって、貯湯タンク1内の湯水を設定貯湯温度に加熱して貯湯する方式の貯湯ユニットAを示している。
【0083】
前記貯湯タンク1内には、貯湯設定温度の湯の貯湯量が最低確保量以上であるかを、その湯温を検出することにより検出する上部サーミスタS1と、貯湯設定温度の湯の貯湯量が最大貯湯量以上であるかを、その湯温を検出することにより検出する底部サーミスタS4が設けられ、通常は最低確保量が目標貯湯量として設定され、使用者の必要に応じて貯湯リモコンR2などにより最大貯湯量を目標貯湯量として選択できるようにしている。
【0084】
また、湯水循環手段Eが、貯湯用循環路25に設けた貯湯用開閉弁28を開弁するとともに、放熱用循環路26に設けた戻し開閉弁29を閉弁して、HP加熱器33にて加熱した湯水を貯湯タンク1内の湯水と熱交換させて貯湯タンク1内に貯湯されるように循環させる貯湯運転状態と、貯湯用開閉弁28を閉弁するとともに戻し開閉弁29を開弁して、HP加熱器33にて加熱した湯水を暖房用端末2にて放熱させる形態で循環させる暖房運転状態とに切り換え自在に構成されている。
【0085】
本実施形態の貯湯ユニットAの運転について、第1実施形態と異なる制御部分について説明する。
【0086】
前記貯湯用加熱制御においては、図13のフローチャートに示すように、加熱用電子膨張弁74aを開状態に制御してエンジンヒートポンプ式冷暖房装置Bを空調暖房運転させて、HP加熱器33に冷媒を供給させるとともに、湯水循環手段Eを貯湯運転状態に切り換えて、加熱温度サーミスタ61による湯水の検出温度が所定の貯湯用目標温度になるように、湯水循環手段Eによる湯水の循環流量Rを増減制御する(ステップ80) 。
【0087】
つまり、貯湯用開閉弁28を開弁するとともに戻し開閉弁29を閉弁させて、循環ポンプP1を作動させ、貯湯用循環路25を循環する湯水の温度が貯湯用目標温度になるように循環流量調整バルブ65の開度を調整する。
【0088】
そして、目標貯湯量に対応する上部サーミスタS1または底部サーミスタS4が貯湯設定温度の湯温を検出したか否かにより、目標貯湯量の湯水が貯湯されたか否かを判定し(ステップ81) 、目標貯湯量の湯水が貯湯された、つまり、貯湯要求がなくなったと判定すると、エンジンヒートポンプ式冷暖房装置BからHP加熱器33への冷媒供給を停止させることによって、HP加熱器33の加熱作動を停止させて(ステップ82) 、貯湯用加熱制御の実行を終了する。
【0089】
図8に示す余熱回収用加熱制御Aにおいては、ステップ45において、循環ポンプP1の作動を停止させるとともに、貯湯用開閉弁28を閉弁する貯湯用運転終了処理を実行する。
【0090】
図9に示す暖房用加熱制御においては、ステップ50において、湯水循環手段Eを貯湯用開閉弁28を閉弁するとともに戻し開閉弁29を開弁させる暖房運転状態に切り換える。
【0091】
図10に示す余熱回収用加熱制御Bにおいては、ステップ60において、湯水循環手段Eを貯湯用開閉弁28を開弁するとともに戻し開閉弁29を閉弁させる貯湯運転状態に切り換える。
【0092】
図11に示す余熱回収用加熱制御Cにおいては、ステップ76において、循環ポンプP1の作動を停止させるとともに、戻し開閉弁29を閉弁する暖房用運転終了処理を実行する。
その他の構成は第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0093】
〔その他の実施形態〕
1.本発明による熱媒循環式加熱装置は、流量を調整自在な可変能力ポンプを設けて、その可変能力ポンプで循環路を循環する熱媒の循環流量を調整するように構成しても良い。
2.本発明による熱媒循環式加熱装置は、熱媒を加熱する加熱器として、バーナの燃焼により熱媒を加熱する瞬間式加熱装置を設けてあっても良い。
3.本発明による熱媒循環式加熱装置は、熱消費端末として、風呂の湯張り運転や追焚き運転を行うために湯水を加熱する風呂用端末を設けてあっても良い。
4.本発明による熱媒循環式加熱装置は、加熱制御手段が、熱消費端末への熱媒供給要求があると、加熱器による熱媒の加熱温度が熱消費端末に応じた目標温度になるように加熱器の加熱量のみを制御するように構成されていても良いし、加熱器による熱媒の加熱温度が熱消費端末に応じた目標温度になるように循環流量を制御し、かつ、加熱器の加熱量も制御するように構成されていても良い。
5.本発明による熱媒循環式加熱装置は、熱媒として、湯水,熱油,有機熱媒体などの液状熱媒の他、空気などのガス状熱媒を循環させるものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】貯湯ユニットの概略構成図
【図2】エンジンヒートポンプ式冷暖房装置の概略構成図
【図3】エンジンヒートポンプ式冷暖房給湯システムの制御ブロック図
【図4】貯湯ユニット制御部の制御動作を示すフローチャート
【図5】貯湯運転における制御動作を示すフローチャート
【図6】暖房運転における制御動作を示すフローチャート
【図7】貯湯用加熱制御を示すフローチャート
【図8】余熱回収用加熱制御Aを示すフローチャート
【図9】暖房用加熱制御を示すフローチャート
【図10】余熱回収用加熱制御Bを示すフローチャート
【図11】余熱回収用加熱制御Cを示すフローチャート
【図12】第2実施形態の貯湯ユニットの概略構成図
【図13】第2実施形態の貯湯用加熱制御を示すフローチャート
【符号の説明】
C 加熱制御手段
E 熱媒循環手段
R 循環流量
1 熱消費端末(貯湯タンク)
2 熱消費端末(暖房用端末)
3 循環路
6 給湯路
33 加熱器

Claims (7)

  1. 熱媒を加熱する加熱器と熱消費端末とに亘る循環路に沿って熱媒を循環させる熱媒循環手段と、
    前記熱媒循環手段による熱媒の循環流量と前記加熱器の加熱作動とを制御する加熱制御手段とが設けられ、
    前記加熱制御手段が、前記熱消費端末への熱媒供給要求があると、前記加熱器による熱媒の加熱温度が前記熱消費端末に応じた目標温度になるように前記循環流量、又は、前記加熱器の加熱量を制御し、かつ、前記熱媒供給要求がなくなると、前記加熱器の加熱作動を停止させる加熱制御を実行するように構成されている熱媒循環式加熱装置であって、
    前記加熱制御手段が、前記加熱制御の実行を終了した後に、加熱作動が停止されている前記加熱器を通過した熱媒の温度が目標温度になるように、前記循環流量を制御する余熱回収用加熱制御を実行するように構成されている熱媒循環式加熱装置。
  2. 前記熱消費端末が、給湯路が上部に接続された貯湯タンクで構成され、
    前記加熱制御手段が、前記貯湯タンク内への貯湯要求があると、前記加熱器による熱媒の加熱温度が貯湯用目標温度になるように前記循環流量を制御し、かつ、前記貯湯要求がなくなると、前記加熱器の加熱作動を停止させる貯湯用加熱制御を実行するとともに、前記貯湯用加熱制御の実行を終了した後に、加熱作動が停止されている前記加熱器を通過した熱媒の温度が貯湯用目標温度になるように前記循環流量を制御して前記貯湯タンク内に貯湯する余熱回収用加熱制御を実行するように構成されている請求項1記載の熱媒循環式加熱装置。
  3. 前記熱消費端末が、前記循環路に互いに並列に設けた暖房用端末と、給湯路が上部に接続された貯湯タンクとで構成され、
    前記熱媒循環手段が、前記貯湯タンク内に貯湯されるように熱媒を循環させる貯湯運転状態と、前記加熱器にて加熱した熱媒を前記暖房用端末に供給する形態で熱媒を循環させる暖房運転状態とに切り換え自在に構成され、
    前記加熱制御手段が、前記暖房用端末への熱媒供給要求があると、前記熱媒循環手段を前記暖房運転状態に切り換えて、前記加熱器による熱媒の加熱温度が暖房用目標温度になるように前記循環流量を制御し、かつ、前記熱媒供給要求がなくなると、前記加熱器の加熱作動を停止させる暖房用加熱制御を実行するとともに、前記暖房用加熱制御の実行を終了した後に、前記熱媒循環手段を前記貯湯運転状態に切り換えて、加熱作動が停止されている前記加熱器を通過した熱媒の温度が貯湯用目標温度になるように前記循環流量を制御して前記貯湯タンク内に貯湯する余熱回収用加熱制御を実行するように構成されている請求項1記載の熱媒循環式加熱装置。
  4. 前記熱消費端末が、前記循環路に互いに並列に設けた暖房用端末と、給湯路が上部に接続された貯湯タンクとで構成され、
    前記熱媒循環手段が、前記貯湯タンク内に貯湯されるように熱媒を循環させる貯湯運転状態と、前記加熱器にて加熱した熱媒を前記暖房用端末に供給する形態で熱媒を循環させる暖房運転状態とに切り換え自在に構成され、
    前記加熱制御手段が、前記暖房用端末への熱媒供給要求があると、前記熱媒循環手段を前記暖房運転状態に切り換えて、前記加熱器による熱媒の加熱温度が暖房用目標温度になるように前記循環流量を制御し、かつ、前記熱媒供給要求がなくなると、前記加熱器の加熱作動を停止させる暖房用加熱制御を実行するとともに、前記暖房用加熱制御の実行を終了した後に、加熱作動が停止されている前記加熱器を通過した熱媒の温度が暖房用目標温度になるように前記循環流量を制御して前記暖房用端末に供給する余熱回収用加熱制御を実行するように構成されている請求項1記載の熱媒循環式加熱装置。
  5. 前記貯湯タンク内に所定量の温水を所定時間までに貯湯する予約貯湯運転が指令されているときには、前記加熱制御手段が、前記暖房用加熱制御の実行を終了した後に、前記熱媒循環手段を前記貯湯運転状態に切り換えて、加熱作動が停止されている前記加熱器を通過した熱媒の温度が貯湯用目標温度になるように前記循環流量を制御して前記貯湯タンク内に貯湯する余熱回収用加熱制御を実行するように構成されている請求項4記載の熱媒循環式加熱装置。
  6. 前記熱消費端末が、暖房用端末で構成され、
    前記熱媒循環手段が、前記加熱器にて加熱した熱媒を前記暖房用端末に供給する形態で熱媒を循環させる暖房運転状態で熱媒を循環させるように構成され、
    前記加熱制御手段が、前記暖房用端末への熱媒供給要求があると、前記加熱器による熱媒の加熱温度が暖房用目標温度になるように前記循環流量を制御し、かつ、前記熱媒供給要求がなくなると、前記加熱器の加熱作動を停止させる暖房用加熱制御を実行するとともに、前記暖房用加熱制御の実行を終了した後に、加熱作動が停止されている前記加熱器を通過した熱媒の温度が暖房用目標温度になるように前記循環流量を制御して前記暖房用端末に供給する余熱回収用加熱制御を実行するように構成されている請求項1記載の熱媒循環式加熱装置。
  7. 前記余熱回収用加熱制御において、設定最小循環流量で循環を開始させて、前記加熱器を通過した熱媒が目標温度範囲の温度を越えて加熱されているか否かを判定し、前記目標温度範囲を越えて加熱されていると判定したときは、前記目標温度範囲内に加熱されるまで、現在の循環流量に設定流量を加算した循環流量で循環させる循環流量増大制御を繰り返し実行するように構成されている請求項1〜6のいずれか1項記載の熱媒循環式加熱装置。
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