JP4321992B2 - 高圧エアゾール組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高圧エアゾール組成物に関し、さらに詳しくは、界面活性剤を含む液体組成物と液化二酸化炭素とが乳化した高圧エアゾール組成物および水性組成物と油性組成物とが乳化している液体組成物に二酸化炭素が加圧溶解している高圧エアゾール組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性組成物、油性組成物および界面活性剤を含有する原液と液化石油ガスなどの液化ガスとを特定の割合で配合した油中水型エアゾール組成物(特開平6−329532号)がある。該エアゾール組成物を噴射すると霧状となるが、噴射された空間や付着面で水性組成物と油性組成物とが分離するため、原液と液化ガスとが溶解した均一なエアゾール組成物と比較して噴霧粒子径が粗くなり、空間での拡散性に劣るという問題があった。また、前記油中水型エアゾール組成物は、油性成分として炭化水素や植物油、動物油、脂肪酸エステルなどの可燃性液体を用い、さらに、噴射剤として液化石油ガスなどの可燃性ガスを用いているため、火気に対する安全性が低いという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、乳化したエアゾール組成物であって、噴霧粒子を微細化することができ、かつ火気に対する安全性が高いエアゾール組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、界面活性剤を含む液体組成物と液化二酸化炭素とからなり、前記液体組成物と液化二酸化炭素とを乳化させることにより得られ、火気に対する安全性が高く、空間での拡散性に優れたエアゾール組成物にかかわる。
【0005】
本発明は、また、水性組成物、油性組成物および界面活性剤を含有し、前記水性組成物と油性組成物とが乳化した液体組成物と二酸化炭素とからなり、二酸化炭素を液体組成物に加圧溶解させることにより得られ、火気に対する安全性が高く、空間での拡散性に優れたエアゾール組成物にかかわる。本発明においては、さらに、火気に対する安全性をさらに高くするために、また、噴霧粒子の拡散性をよくするために、エアゾール組成物の25℃における圧力を2〜6MPaとすることが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の高圧エアゾール組成物(1)は、界面活性剤を含む液体組成物と液化二酸化炭素とからなり、前記液体組成物と液化二酸化炭素とが乳化していることを特徴とする。液体組成物と液化二酸化炭素とを乳化させることにより、液体組成物とともに液化二酸化炭素が噴射されるため火気に対する安全性が高くなり、さらに噴射直後に液化二酸化炭素が気化するため噴霧粒子は微細化され、拡散性に優れたエアゾール組成物が得られる。
【0007】
本発明のエアゾール組成物(1)の25℃における製品圧力は5〜7MPaであることが好ましい。製品圧力が5MPa未満の場合は、二酸化炭素が液体で存在しにくくなり、液体組成物との乳化物が得られにくくなる傾向がある。一方、製品圧力が7MPaを超えると製品温度の上昇にともなう圧力上昇が大きくなり、製品の取扱い(保存や輸送)が難しくなる傾向がある。
【0008】
前記液体組成物は、界面活性剤や有効成分、他の成分などを、水性溶媒または油性溶媒に溶解または分散させて、配合したものである。
【0009】
前記界面活性剤は、液体組成物と液化二酸化炭素とを乳化させるための乳化剤として作用する。前記界面活性剤としては非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、高分子系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、天然系界面活性剤などを用いることができる。
【0010】
前記非イオン系界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体、アルキルグルコシド、脂肪酸アルキロールアミドなどがあげられる。
【0011】
前記陰イオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸石鹸などがあげられる。
【0012】
前記陽イオン系界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩などがあげられる。
【0013】
前記両性系界面活性剤としては、酢酸ベタイン、レシチンなどがあげられる。
【0014】
前記高分子系界面活性剤としては、ポリアルキルビニルピリジニウム、アルキルフェノールポリマー誘導体、スチレン・マレイン酸重合物誘導体などがあげられる。
【0015】
前記シリコーン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などがあげられる。
【0016】
前記天然系界面活性剤としては、サーファクチンナトリウム、シクロデキストリンなどがあげられる。
【0017】
前記界面活性剤は、液体組成物中0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%配合することができる。前記界面活性剤の配合量が0.1重量%未満の場合は、液体組成物と液化二酸化炭素とが乳化しにくく、両者が分離しやすくなり、本発明の効果が得られない。一方、20重量%を超えると、べたつき感や皮膚への刺激性が強くなるなど、使用感がわるくなる。
【0018】
前記有効成分としては、たとえば、殺虫剤、抗力増強剤、消臭剤、害虫忌避剤、土壌燻蒸剤、皮膚軟化剤、かゆみ止め、消炎鎮痛剤、収斂剤、抗炎症剤、局所麻酔剤、抗ヒスタミン剤、清涼剤、殺菌・防腐剤、保湿剤、アミノ酸、ビタミン類、ホルモン類、頭髪用セット剤、育毛剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、各種抽出液、香料などが用いられる。
【0019】
前記殺虫剤としては、フタルスリン、イミプロトリン、アレスリン、ペルメトリン、シスメスリン、プロパルスリン、レスメトリン、d−フェノトリン、テフルスリン、ベンフルスリン、ネオピナミンフォルテ、クリスロンフォルテなどがあげられる。
【0020】
前記抗力増強剤としては、サイネピリン、ピペロニルブトキサイト、オクタクロロジプロピルエーテルなどがあげられる。
【0021】
前記消臭剤としては、ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、緑茶エキスなどがあげられる。
【0022】
前記害虫忌避剤としては、N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、カプリル酸ジエチルアミドなどがあげられる。
【0023】
土壌燻蒸剤としては、D−D(1,3−ジクロロプロペンと1,2−ジクロロプロパンの混合物)、DBCP(1,2−ジブロモ−3−クロロプロパン)、DCIP(ジクロロジイソプロピルエーテル)、MITC(メチルイソチオシアネート)、クロルピクリン(トリクロロニトロメタン)、エチレンジブロマイド、ジメチルジクロルビニルホスフェート、二硫化炭素などの1種または2種以上を含有する混合物などがあげられる。
【0024】
前記皮膚軟化剤としては、尿素などがあげられる。
【0025】
前記かゆみ止めとしては、クロタミトン、l−メントール、d−カンフルなどがあげられる。
【0026】
前記消炎鎮痛剤としては、サリチル酸メチル、カンフル、インドメタシン、ピロキシカム、フェルビナク、ケトプロフェンなどがあげられる。
【0027】
前記収斂剤としては、酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などがあげられる。
【0028】
前記抗炎症剤としては、アラントイン、グリシルレチン酸、グリシルリチン酸ジカリウム、アズレン、ウフェナマートなどがあげられる。
【0029】
前記局所麻酔剤としては、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸リドカインなどがあげられる。
【0030】
前記抗ヒスタミン剤としては、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどがあげられる。
【0031】
前記殺菌・防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、感光素、パラクロルメタクレゾールなどがあげられる。
【0032】
前記保湿剤としては、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、d,l−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチンなどがあげられる。
【0033】
前記清涼剤としては、l−メントール、カンフルなどがあげられる。
【0034】
前記アミノ酸としては、グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどがあげられる。
【0035】
前記ビタミン類としては、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸d,l−α−トコフェロール、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、d,l−α−トコフェロール、酢酸d,l−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチンなどがあげられる。
【0036】
前記ホルモン類としては、エラストラジオール、エチニルエストラジオールなどがあげられる。
【0037】
前記頭髪用セット剤としては、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸ブチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、アクリル酸アルカノールアミン、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルジョンなどがあげられる。
【0038】
前記育毛剤としては、センブリエキス、トウガラシチンキ、プラセンタエキス、パントテン酸、サリチル酸、塩化カプロニウムなどがあげられる。
【0039】
前記紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチルなどがあげられる。
【0040】
前記酸化防止剤としては、アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどがあげられる。
【0041】
前記各種抽出液としては、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などがあげられる。
【0042】
前記有効成分は、液体組成物中に0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%配合される。有効成分の配合量が0.01重量%未満の場合は、有効成分の効果が充分に発揮できない傾向があり、一方、30重量%をこえると有効成分濃度が高すぎ、有効成分によっては人体へ悪影響をおよぼす場合がある。
【0043】
前記その他の成分としては、固体の油成分、高分子化合物、粉末などがあげられる。
【0044】
前記固体の油成分は、油性感を付与して使用感を向上させたり、液体組成物の粘度を上昇させて噴射面での液タレを防止するなどの目的で用いられ、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの脂肪酸や、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコール、ミツロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、カンデリラロウなどのロウなどがあげられる。
【0045】
前記高分子化合物は、液体組成物の粘度を上昇させて噴射面での液タレを防止したり、噴霧粒子径を調整するなどの目的で用いられ、カラギーナン、ペクチン、デンプン、ゼラチン、コラーゲン、カルボキシメチルデンプン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガムなどがあげられる。
【0046】
前記粉体は、粉体自体が有効成分として作用したり、有効成分を担持する担体、保護剤、付着剤、固体潤滑剤などとして用いられる。前記粉体としては、タルク、酸化亜鉛、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、窒化ホウ素などがあげられる。
【0047】
前記水性溶媒としては、精製水やイオン交換水、生理食塩水などの水、前記水に低級アルコールまたは多価アルコールなどのアルコールを溶解したアルコール水溶液などがあげられる。
【0048】
前記アルコールは、エアゾール組成物の乾燥性や冷却感などの使用感を調整したり、水性溶媒の溶解度を調整し、乳化のし易さや乳化物の安定性などを調整するなどのために用いられる。
【0049】
前記アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール、プロパノールなどの低級アルコールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンなどの多価アルコールなどがあげられる。
【0050】
前記油性溶媒としては、シリコーンオイル、炭化水素、エーテル、ケトン、エステル油、脂肪酸、高級アルコール、油脂などの常温で液体である油性成分があげられる。なお、前記油性成分の混合物や前記油性成分とアルコールの混合物を用いてもよい。
【0051】
前記シリコーンオイルとしては、メチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシリコーンエマルジョンなどがあげられる。
【0052】
前記炭化水素としては、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、流動パラフィン、イソパラフィン、ケロシン、スクワラン、スクワレン、トルエン、キシレンなどがあげられる。
【0053】
前記エーテルとしては、エチルエーテル、ジオキサン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなどがあげられる。
【0054】
前記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトンなどがあげられる。
【0055】
前記エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、乳酸セチル、酢酸エチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジエトキシエチル、コハク酸ジエトキシエチルなどがあげられる。
【0056】
前記脂肪酸としては、オレイン酸などがあげられる。
【0057】
前記高級アルコールとしては、ラウリルアルコールなどがあげられる。
【0058】
前記油脂としては、ツバキ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、ホホバ油、ヤシ油などがあげられる。
【0059】
前記溶媒は、液化二酸化炭素との乳化物が得られやすい液体組成物を形成しやすい点から、25℃での二酸化炭素の溶解度が50重量%未満、さらには40重量%未満であるものを用いることが好ましい。前記二酸化炭素の溶解度が50重量%を超える溶媒を用いる場合、二酸化炭素が溶媒に溶解しやすくなるために、乳化物が得られにくく、本発明の効果が得られにくくなる。
【0060】
前記二酸化炭素の溶解度が50重量%未満となる溶媒としては、たとえば、水、エタノールやイソプロパノールなどの低級アルコール濃度が50重量%以下である低級アルコール水溶液、前記の多価アルコール、および前記多価アルコールの水溶液などの水性溶媒や、流動パラフィン、スクワラン、スクワレンなどの炭化水素、高重合メチルポリシロキサンなどのシリコーンオイルなどの油性溶媒などがあげられる。
【0061】
また、前記溶媒に、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物である液化石油ガス、ジメチルエーテルおよび前記液化石油ガスとジメチルエーテルの混合物などの気密容器内部では液体であるが、大気圧下では気体である液化ガスを配合してもよい。
【0062】
前記液化ガスを配合する場合、液化ガスは気密容器内では液体であり、大気中に噴射されると気体となるため、気化による容積の膨張が大きく、液体組成物をさらに微細化し、拡散性を向上させる効果がある。また、気化熱による冷却効果が得られ、使用感を向上させることができる。
【0063】
本発明で用いる液体組成物は、前記界面活性剤や有効成分、その他の成分などを水性溶媒または油性溶媒に溶解または分散させることにより調製できる。
【0064】
前記液体組成物は、エアゾール組成物(1)中30〜80重量%、さらには40〜70重量%配合されることが好ましい。前記液体組成物の配合量が30重量%未満の場合は、液体組成物の配合量が少なくなり、有効成分を所望量配合できない場合がある。一方、液体組成物の配合量が80重量%を超えると液化二酸化炭素量が少なくなり、溶媒の溶解度によっては乳化物が得られにくく、本発明の効果が得られにくい。
【0065】
前記液化二酸化炭素は、エアゾール組成物(1)中20〜70重量%、さらには30〜60重量%配合されることが好ましい。液化二酸化炭素の配合量が20重量%未満の場合は、溶媒の溶解度によっては乳化物が得られにくく、本発明の効果が得られにくい。一方、70重量%を超えると、圧力が高くなり、とくに製品温度が二酸化炭素の臨界温度(31.1℃)付近になると、圧力が急激に上昇する恐れがあり、安全性におとる。
【0066】
本発明のエアゾール組成物(1)は、界面活性剤や有効成分、必要に応じて他の成分などを溶媒に溶解または分散させて液体組成物を調製し、該液体組成物を耐圧性容器に充填したのち、バルブを取りつけて気密状態にし、ついでバルブから液化二酸化炭素を耐圧性容器に充填して圧力を5〜7MPaとし、容器を振とうするなどにより、容器内部の液体組成物と液化二酸化炭素とを乳化させることにより調製できる。
【0067】
なお、液体組成物中に液化ガスを配合する場合は、エアゾールバルブを取りつけるとき、または取りつけたあとに液化ガスを充填し、ついで液化二酸化炭素を充填することが好ましい。
【0068】
また、本発明の高圧エアゾール組成物(2)は、乳化している液体組成物中に二酸化炭素が加圧溶解していることを特徴とする。乳化している液体組成物中に二酸化炭素が加圧溶解しているため、該エアゾール組成物(2)を噴射すると液体組成物中に溶解していた二酸化炭素が気化するため、火気に対する安全性が高くなり、さらに液体組成物は微細化され、拡散性に優れたエアゾール組成物が得られる。
【0069】
前記液体組成物は、界面活性剤や有効成分、他の成分などを水性溶媒に溶解または分散させた水性組成物と、界面活性剤や有効成分、他の成分などを油性溶媒に溶解または分散させた油性組成物とからなり、前記水性組成物と油性組成物とが乳化している。
【0070】
前記界面活性剤は、水性組成物と油性組成物とを乳化させるための乳化剤として作用する。前記界面活性剤としては、前記エアゾール組成物(1)について記載した界面活性剤と同じ成分を用いることができ、乳化物の形態(油中水型、水中油型)によって適宜選択することができる。
【0071】
前記界面活性剤は、液体組成物中0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%配合することができる。前記界面活性剤の配合量が0.1重量%未満の場合は、水性組成物と油性組成物とが乳化しにくく、両者が分離しやすくなり、本発明の効果が得られにくくなる。一方、20重量%を超えると、べたつき感や皮膚への刺激性が強くなるなど、使用感がわるくなる。
【0072】
前記有効成分としては、前記のエアゾール組成物(1)について記載したものと同じ成分を用いることができる。使用する有効成分の溶解特性によって、配合する溶媒を適宜選択することができる。
【0073】
前記有効成分は、液体組成物中0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%配合される。有効成分の配合量が0.01重量%未満の場合は、有効成分の効果が充分に発揮できない傾向があり、一方、30重量%をこえると、有効成分濃度が高すぎ、有効成分によっては人体へ悪影響をおよぼす場合がある。
【0074】
前記その他の成分としては、前記の高圧エアゾール組成物(1)について記載したものと同じ成分を用いることができる。
【0075】
前記水性溶媒としては、前記のエアゾール組成物(1)について記載した水、アルコール、アルコール水溶液などがあげられる。
【0076】
また、前記油性溶媒としては、前記のエアゾール組成物(1)について記載したシリコーンオイル、炭化水素、エーテル、ケトン、エステル油、脂肪酸、高級アルコール、油脂などの常温で液体である油性成分があげられ、前記油性成分の混合物や前記油性成分とアルコールの混合物を用いてもよい。
【0077】
さらに、前記溶媒とともに、液化石油ガス、ジメチルエーテルおよび前記液化石油ガスとジメチルエーテルの混合物などの液化ガスを配合してもよい。
【0078】
なお、前記水性溶媒および油性溶媒としては、二酸化炭素を加圧溶解しやすく、本発明の効果を得られやすくするために、水性溶媒または油性溶媒のいずれか一方として、二酸化炭素の溶解度が50重量%以上の溶媒を用いることが好ましい。前記二酸化炭素の溶解度が50重量%以上である溶媒としては、エタノールやイソプロパノールなどの低級アルコール、低級アルコール濃度が50重量%以上である低級アルコール水溶液、ペンタン、ヘキサン、灯油、イソパラフィン、トルエン、キシレンなどの炭化水素、低重合メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどのシリコーンオイル、アセトンなどのケトン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルなどのエステル油などがあげられる。
【0079】
本発明で用いる液体組成物は、前記界面活性剤や有効成分、その他の成分などを前記水性溶媒に溶解または分散させた水性組成物と、前記界面活性剤や有効成分、その他の成分などを前記油性溶媒に溶解または分散させた油性組成物とを乳化させることにより調製できる。
【0080】
前記水性組成物と油性組成物との配合割合(重量比)は安定した乳化物が得られやすい点から10:90〜90:10、さらには20:80〜80:20であることが好ましい。
【0081】
前記液体組成物は、エアゾール組成物(2)中30〜90重量%、さらには40〜80重量%配合されることが好ましい。前記液体組成物の配合量が30重量%未満の場合は、液体組成物の配合量が少なくなり、有効成分を所望量配合できない場合がある。一方、液体組成物の配合量が90重量%を超えると二酸化炭素の配合量が少なくなるため、液体組成物に溶解する二酸化炭素量が少なくなり、本発明の効果が得られにくい。
【0082】
前記二酸化炭素は、エアゾール組成物(2)中10〜70重量%、さらには20〜60重量%配合されることが好ましい。前記二酸化炭素の配合量が10重量%未満の場合は、溶媒への溶解量が少なくなり、本発明の効果が得られにくい。一方、70重量%を超えると液体組成物の乳化を壊しやすくなり、水性組成物と油性組成物とが分離しやすくなる。また、圧力が高くなり、とくに製品温度が二酸化炭素の臨界温度(31.1℃)付近になると圧力が急激に上昇するおそれがあり、安全性におとる。
【0083】
本発明の高圧エアゾール組成物(2)は、前記水性組成物と油性組成物とが乳化した液体組成物を耐圧性容器に充填したのち、バルブを取りつけ、さらに二酸化炭素を充填し、液体組成物に加圧溶解させることにより調製できる。また、液体組成物は水性組成物と油性組成物とを別々に耐圧性容器に充填し、容器内部で乳化させたのち、二酸化炭素を充填し、加圧溶解させてもよい。なお、加圧溶解とは、液体組成物が充填された容器の気相部に二酸化炭素を充填し、二酸化炭素が液体組成物中に溶解していき、平衡となることをいう。
【0084】
本発明のエアゾール組成物(2)の25℃における製品圧力は2〜6MPa、さらには2〜5MPaであることが好ましい。製品圧力が2MPa未満の場合は、液体組成物中への二酸化炭素の溶解量が少なくなるため、噴霧粒子を微細化する、火気に対する安全性を高くするなどの本発明の効果が得られにくい場合がある。一方、製品圧力が5MPa、とくに6MPaを超えると、二酸化炭素が液体組成物から分離しやすくなり、乳化を壊しやすくなる。
【0085】
なお、本発明のエアゾール組成物(1)および(2)を充填する耐圧性容器としては、アルミニウムやブリキ、ステンレスなどの金属製、高耐圧ガラス製のものが好ましく、容器満注量が100ml未満のものが安全上好ましい。
【0086】
かくして得られるエアゾール組成物は、液体組成物と液化二酸化炭素とが乳化している、または乳化している液体組成物に二酸化炭素が加圧溶解しているため、該エアゾール組成物を噴射すると、液体組成物とともに二酸化炭素が噴射され、火気に対する安全性が高くなる。さらに、噴射時、液体組成物に溶解していた二酸化炭素または乳化していた液化二酸化炭素が瞬時に気化するため液体組成物は適度に微細化され、空間に噴射したとき拡散性に優れる。
【0087】
また、噴霧粒子の拡散性に優れていることから、家やマンションなどの一室、車内などの比較的狭い空間だけでなく、ビルやマンション、家などのワンフロアや、家、納屋、電車、フェリーの客室全体など、広範囲に処理する燻蒸剤や消臭剤、芳香剤などに用いることができる。また、棒状で噴射する場合は飛距離が長いため、ハチの巣の駆除や防犯用などに好適に用いることができる。
【0088】
【実施例】
実施例1
下記液体組成物を調製したのち耐圧性容器(満注量98ml)に充填し、バルブを取りつけて気密状態にし、ついでバルブから液化二酸化炭素を充填し、耐圧性容器内の圧力を6.5MPaとした。ついで容器を振とうし、液体組成物と液化二酸化炭素とを乳化させて本発明のエアゾール組成物(1)を調製した。
【0089】
Figure 0004321992
【0090】
Figure 0004321992
【0091】
実施例2
下記水性組成物と油性組成物とを乳化させて液体組成物を調製したのち、耐圧性容器(満注量98ml)に充填し、バルブを取りつけて気密状態にし、ついでバルブから二酸化炭素を充填し、耐圧性容器内の圧力を4.5MPaとした。ついで、容器を振とうし、液体組成物中に二酸化炭素を加圧溶解させて本発明のエアゾール組成物を調製した。
【0092】
Figure 0004321992
【0093】
Figure 0004321992
【0094】
【発明の効果】
本発明によれば、乳化したエアゾール組成物であって、噴霧粒子を微細化することができ、かつ火気に対する安全性が高いエアゾール組成物を提供することができる。

Claims (2)

  1. 界面活性剤を含む液体組成物と液化二酸化炭素とからなるエアゾール組成物であって、
    前記液化二酸化炭素の配合量が、エアゾール組成物中20〜70重量%であり、
    25℃におけるエアゾール組成物の圧力が5〜7MPaであり、
    前記液体組成物と液化二酸化炭素とが乳化していることを特徴とするエアゾール組成物。
  2. 水性組成物、油性組成物および界面活性剤を含有し、前記水性組成物と油性組成物とが乳化した液体組成物と二酸化炭素とからなるエアゾール組成物であって、
    前記二酸化炭素の配合量が、エアゾール組成物中10〜70重量%であり、
    25℃におけるエアゾール組成物の圧力が2〜6MPaであり、
    二酸化炭素が液体組成物に加圧溶解していることを特徴とするエアゾール組成物。
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