JP4304909B2 - 洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法に関する。更に詳しくは、半導体デバイスの洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報化技術の急速な進展に伴い大規模集積回路(LSI、ULSI、VLSI)の微細化、高密度化、高集積化による高速化が成される動向にあり、配線の多層化による技術開発が行われている。配線の多層化を達成するには配線ピッチ幅の縮小及び配線間容量の低減等を行うことが必要となり配線ピッチ幅の縮小解決策として現有の金属配線材料であるタングステン及びアルミニウムをより抵抗率の低い銅(Cu)に変更する技術開発が精力的に研究されている。
【0003】
銅配線は埋め込みによるダマシンプロセスが主流となる傾向にある。ダマシン法により埋め込み形成された配線の平坦化は機械的研摩作用と化学的研摩作用の相乗性を利用した所謂、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により成されており、銅配線材料も同一方法で研摩が成されている。
【0004】
しかしながら、このCMPによる方法では、金属研磨を行なった後、研磨剤、研磨屑、金属不純物がウエハーに多数付着するため、ウエハー表面を洗浄する必要がある。アルカリ性溶液で洗浄を行なうと不純物の再付着が抑制できるため、銅以外の金属の場合は、アンモニアが一般的に使用されてきた。ところが、銅の場合は、アンモニアに腐食されやすく、アンモニアを洗浄剤として使用することができなかった。そこで、アンモニアに銅の防食剤を添加し、銅の腐食速度を低減させる方法が提案されている。特開2000−273663号公報にはメルカプト基を含む化合物が開示されている。しかし、同公報に記載されているようにメルカプト基を含む化合物は特有の不快臭があり、環境的にも、工業的にも使用するには問題がある。その他の防食剤としてベンゾトリアゾールなどの芳香族化合物が知られているが、有害性が高いなどの環境問題がある。また防食剤を添加する方法では、少量の防食剤で銅の腐食を抑制することはできないため、基本的に銅を腐食しやすいアンモニアを使用しない方法が望まれていた。
【0005】
このように、従来提案されてきたアンモニア系洗浄剤は、銅への腐食性の点で十分なものとはいえなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の課題に鑑みて、銅を侵さない洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、洗浄剤について鋭意検討した結果、ヒドロキシエチルピペラジン、N−メチルヒドロキシエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、アミノエチルピペラジン、N−メチルモルホリン、ヒドロキシエチルモルホリン及びアミノエチルモルホリンから成る群より選ばれる少なくとも1種の環状アミン(これらの硼酸塩は含まない)と、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンから成る群より選ばれる少なくとも一種のエチレンアミンを含んでなる洗浄剤が、特に銅を侵さない洗浄剤として用いることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明はヒドロキシエチルピペラジン、N−メチルヒドロキシエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、アミノエチルピペラジン、N−メチルモルホリン、ヒドロキシエチルモルホリン及びアミノエチルモルホリンから成る群より選ばれる少なくとも1種の環状アミン(こえらの硼酸塩は含まない)と、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンから成る群より選ばれる少なくとも一種のエチレンアミンを必須成分とする洗浄剤及びそれを用いた洗浄方法である。
【0009】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0010】
本発明の洗浄剤の必須成分は、ヒドロキシエチルピペラジン、N−メチルヒドロキシエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、アミノエチルピペラジン、N−メチルモルホリン、ヒドロキシエチルモルホリン及びアミノエチルモルホリンから成る群より選ばれる少なくとも1種の環状アミン(これらの硼酸塩は含まない)と、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンから成る群より選ばれる少なくとも一種のエチレンアミンである。それぞれ単独では銅を侵す速度が非常に高いが、両者を組み合わせることにより、銅を侵す速度が劇的に低下する。
【0014】
本発明の洗浄剤には、フッ化物イオンを添加することができる。フッ化物イオンを添加することにより、有機物、無機物の洗浄性能が向上する。フッ化物イオンは、弗化水素、弗酸塩の形で添加することができる。半導体などの電子部品を洗浄する際には、金属イオンの混入を嫌うため、アンモニウム塩として添加するのが好ましい。
【0015】
本発明の洗浄剤において、ヒドロキシエチルピペラジン、N−メチルヒドロキシエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、アミノエチルピペラジン、N−メチルモルホリン、ヒドロキシエチルモルホリン及びアミノエチルモルホリンから成る群より選ばれる少なくとも1種の環状アミン(これらの硼酸塩は含まない)とエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンから成る群より選ばれる少なくとも一種のエチレンアミンの比は、用途、アミンの種類により変動するため、限定することは困難であるが、例えば、モル比でヒドロキシエチルピペラジン、N−メチルヒドロキシエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、アミノエチルピペラジン、N−メチルモルホリン、ヒドロキシエチルモルホリン及びアミノエチルモルホリンから成る群より選ばれる少なくとも1種の環状アミン(これらの硼酸塩は含まない)1に対し、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンから成る群より選ばれる少なくとも一種のエチレンアミンが0.01〜1の範囲が好ましく、0.1〜0.5の範囲がさらに好ましい。0.01未満であっても、1を超えても銅の腐食性が高くなる場合がある。
【0016】
本発明の洗浄剤において、ヒドロキシエチルピペラジン、N−メチルヒドロキシエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、アミノエチルピペラジン、N−メチルモルホリン、ヒドロキシエチルモルホリン及びアミノエチルモルホリンから成る群より選ばれる少なくとも1種の環状アミン(これらの硼酸塩は含まない)は、洗浄対象により、単独で使用しても良いし、混合して使用しても良い。一般的にモルホリン類よりピペラジン類の方が塩基性が高く、塩基性下で溶解、脱離しやすい物質を洗浄する際にはヒドロキシエチルピペラジン、N−メチルヒドロキシエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、アミノエチルピペラジンを使用すればよい。
【0017】
また、モルホリン類が含むエーテル基を利用し、エーテルで溶解、脱離しやすい物質を洗浄する際にはN−メチルモルホリン、ヒドロキシエチルモルホリン及びアミノエチルモルホリンのいずれかを使用すればよく、洗浄対象物質が、ピペラジン類、モルホリン類を併用した方が溶解、脱離し易い場合は、ピペラジン類、モルホリン類を混合して使用しても良い。
【0018】
ピペラジン類とモルホリン類を併用する場合のピペラジン類とモルホリン類とのモル比は、用途やアミンの種類により変動し、限定することは困難であるが、例えば1:99〜99:1である。
【0019】
本発明の洗浄剤は、使用しやすいよう、水を添加して水溶液として使用するが、洗浄力の向上、あるいは溶解性改善のため、水溶性有機溶媒を添加しても良い。水溶性有機溶媒としては、洗浄剤として一般に使用しているものを使用することができる。例示するとメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグリムなどのエーテル類などが挙げられる。
【0020】
本発明の洗浄剤には、その他一般に使用されている防食剤、界面活性剤も添加することができる。防食剤については、本発明の洗浄剤は非常に銅の腐食性が低いため、一般的に添加されている量より、少ない量の防食剤の添加で効果が現れる。
【0021】
本発明の洗浄剤は、特に、銅配線半導体デバイスの洗浄に有効に利用できる。特にCMP後の洗浄に有効である。
【0022】
本発明の洗浄剤を使用すると、銅配線に対する腐食性は小さくなる。本発明の洗浄剤を使用する際には、加熱、超音波などで洗浄を促進しても良い。
【0023】
本発明のレジスト剥離剤の使用方法は浸漬法が一般的であるが、その他の方法、例えばブラシ洗浄法を使用しても一向に差し支えない。
【0024】
【実施例】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
なお、表記を簡潔にするため、以下の略記号を使用した。
P:ピペラジン
HEP:ヒドロキシエチルピペラジン
MHEP:N−メチルヒドロキシエチルピペラジン
BAPP:ビスアミノプロピルピペラジン
AEP:N−アミノエチルピペラジン
M:モルホリン
MM:N−メチルモルホリン
HEM:ヒドロキシエチルモルホリン
AEM:アミノエチルモルホリン
APM:アミノプロピルモルホリン
EDA:エチレンジアミン
DETA:ジエチレントリアミン
TETA:トリエチレンテトラミン
TEPA:テトラエチレンペンタミン
AF:弗化アンモニウム
NMP:N−メチルピロリドン
DMI:ジメチルイミダゾリジノン
DEG:ジエチレングリコール
実施例1〜10、比較例1〜9
銅メッキしたウェハを、1μmの平均粒子径を有するアルミナを分散させた超純水に浸漬した後、硫酸でpH6に調整した超純水で洗浄した。これを乾燥し、アルミナ粒子で汚染されたウエハとした。このウエハを表1に示す洗浄液に50℃、30分浸漬洗浄し、その後水洗、乾燥した。表面を走査型電子顕微鏡で観察し、単位面積あたりのアルミナ粒子数を調べた。また浸漬前後の銅の膜厚を測定することで、銅の腐食速度を求めた。なお、表1の洗浄液組成において、残部は水である。
【0026】
アルミナ粒子の除去性能は以下の様に評価した。
○:除去性良好
△:一部残存物有り
×:大部分残存していた
【0027】
【表1】
Claims (7)
- ヒドロキシエチルピペラジン、N−メチルヒドロキシエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、アミノエチルピペラジン、N−メチルモルホリン、ヒドロキシエチルモルホリン及びアミノエチルモルホリンから成る群より選ばれる少なくとも1種の環状アミン(これらの硼酸塩は含まない)と、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミンから成る群より選ばれる少なくとも一種のエチレンアミンを含んでなる洗浄剤。
- アミノエチルピペラジン及び/又はN−メチルモルホリン(これらの硼酸塩は含まない)と、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミンから成る群より選ばれる少なくとも一種のエチレンアミンを含んでなる請求項1に記載の洗浄剤。
- フッ化物イオンを添加することを特徴とする請求項1乃至2に記載の洗浄剤。
- 半導体デバイスの洗浄に用いる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の洗浄剤。
- 半導体デバイスが、銅配線を有する半導体デバイスである請求項4に記載の洗浄剤。
- 銅の洗浄に用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄剤。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の洗浄剤を用いる、半導体デバイスの洗浄方法。
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