JP4267670B2 - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機EL(電界発光)素子の製造方法に関し、詳しくは、有機化合物からなる積層構造薄膜に電界を印加して光を放出する素子の製造方法に関する。
有機EL素子は、蛍光性有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子である。
有機EL素子の特徴は、10V程度の低電圧で100〜10000cd/m程度の高輝度の面発光が可能であり、また蛍光物質の種類を選択することにより青色から赤色までの発光が可能なことである。
一方、有機EL素子の問題点は、発光寿命が短く、保存耐久性、信頼性が低いことであり、この原因としては、
(1)有機化合物の物理的変化
(結晶ドメインの成長などにより界面の不均一化が生じ、素子の電荷注入能の劣化・短絡・絶縁破壊の原因となる。特に分子量500以下の低分子化合物を用いると結晶粒の出現・成長が起こり、膜性が著しく低下する。また、ITO等の界面が荒れていても、顕著な結晶粒の出現・成長が起こり、発光効率の低下や、電流のリークを起こし、発光しなくなる。また、部分的非発光部であるダークスポットの原因にもなる。)
(2)陰極の酸化・剥離
(電子の注入を容易にするために仕事関数の小さな金属としてNa・Mg・Alなどを用いてきたが、これらの金属は大気中の水分や酸素と反応したり、有機層と陰極の剥離が起こり、電荷注入ができなくなる。特に高分子化合物などを用い、スピンコートなどで成膜した場合、成膜時の残留溶媒や分解物が電極の酸化反応を促進し、電極の剥離が起こり部分的な非発光部を生じさせる。)
(3)発光効率が低く、発熱量が多いこと
(有機化合物中に電流を流すので、高い電界強度下に有機化合物を置かねばならず、発熱からは逃れられない。その熱のため、有機化合物の溶融・結晶化・熱分解などにより素子の劣化・破壊が起こる。)
(4)有機化合物層の光化学的変化・電気化学的変化
などが挙げられる。
特に、青色発光素子に関しては、信頼性が高く安定な素子を提供する青色発光材料は少ない(例えば、非特許文献1)。一般に、青色発光材料は結晶性が高く、例えばアリールエテンは高い蛍光量子収率を持つにも関わらず、結晶性が高く、この化合物を発光材料に用いて、素子を作製しても高輝度・高効率で信頼性の高い素子を提供できなかった。また、今まで報告されたアリールエテン系化合物は、ウィッティッヒ ( Wittig ) 反応で合成されるため、エテンのすべてに、芳香環を導入することができず、化学的安定性が低いこと、分子量が小さく、コンフォメイションの安定構造が存在するため薄膜のアモルファス性が低く結晶化しやすいことが問題であった(例えば、特許文献1)。
また、特許文献2には、炭素数6〜20のアリール基の3個置換したトリアリールビニル基が炭素数6〜20のアリーレン基を介して連結されたジオレフィン化合物が開示されており、このジオレフィン化合物からなる発光層を有する有機EL素子が提案されている。このようなジオレフィン化合物は、ジアリールハロゲン化メタンをグリニャール化し、これとジベンゾイルアリールとを反応させて、さらに脱水することによって得ている。このため、副反応残留物が多く、EL素子に使用した場合蛍光を消光したりする欠点がある。
C.Adachi,et al., Appli.Phys.Lett,.56,799(1990) 特開平2−160894号公報 特開平6−100857号公報
本発明の目的は、特に物理的変化や光化学的変化、電気化学的変化の少ない光・電子機能材料としてテトラアリールエテン誘導体を用い、信頼性および発光効率の高い種々の発光色を持った、特に青色の発光色を持った有機EL素子を実現することである。特に、分子量の大きな化合物を蒸着法で形成した有機薄膜を用い、素子の駆動時の駆動電圧上昇や輝度の低下、電流のリーク、部分的な非発光部の出現・成長を抑えた高信頼性の高輝度発光素子を実現することである。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
テトラアリールエテン誘導体を含有する有機化合物層を有する有機EL素子の製造方法であって、
芳香族残基三置換ハロゲン化エテンをグリニャール化し、ジ、トリ、テトラ、ペンタもしくはヘキサハロゲン化芳香族化合物とクロスカップリングするか、またはジ、トリ、テトラ、ペンタもしくはヘキサハロゲン化芳香族化合物をグリニャール化し、芳香族残基三置換ハロゲン化エテンとクロスカップリングするかによって、下記化1で表されるテトラアリールエテン誘導体を得る工程を備えることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
Figure 0004267670
〔化1においてAr、ArおよびArは、各々芳香族残基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。nは2〜6の整数である。Lはn価の芳香族複素環の残基、芳香族アミンの残基、または、炭素数が21以上のアリーレン基を表す。〕
(作用)
本発明の有機EL素子は上記化1に示されるテトラアリールエテン誘導体を適宜選択して有機化合物層に用いるため、高輝度が安定して得られる。また、耐熱性・耐久性が高く、素子電流密度も100mAcm−2程度でも安定した駆動が可能である。
上記のテトラアリールエテン誘導体の蒸着膜は安定なアモルファス状態なので、薄膜の膜物性が良好となりムラがなく均一な発光が可能である。また、大気下で、ほとんどの化合物が一年以上安定であり結晶化を起こさない。
また、本発明の有機EL素子は、低駆動電圧で効率よく発光する。
なお、本発明の有機EL素子の発光極大波長は、350〜700nm程度である。
上記のテトラアリールエテン誘導体は、芳香族残基三置換ハロゲン化エテンをグリニャール化し、ジ〜ヘキサハロゲン化芳香族化合物とクロスカップリングするか、またはジ〜ヘキサハロゲン化芳香族化合物をグリニャール化し、芳香族残基三置換ハロゲン化エテンとクロスカップリングするかによって得ている。このため、高純度品が得られ、出発原料を適宜選択することによって、目的に応じ多種多様の反応生成物を得ることができる。
また、有機化合物層のうち発光層に上記化合物を用いる場合、テトラアリールエテン誘導体のうち、Lがアリーレン基であるものについては、アリーレン基の炭素数が21以上であるものが好ましい。アリーレン基の炭素数を21以上とすることで、薄膜状態での安定性が高くなり、結晶化がさらに抑制される。
なお、特開平6−100857号公報には炭素数6〜20のアリール基の3個置換したトリアリールビニル基が炭素数6〜20のアリーレン基を介して連結されたジオレフィン化合物が開示されており、このジオレフィン化合物からなる発光層を有する有機EL素子が提案されている。この場合のジオレフィン化合物は、本発明のものと一部重複するが、これらの化合物は、本発明と異なり、ジアリールハロゲン化メタンをグリニャール化し、これとジベンゾイルアリールとを反応させて、さらに脱水することによって得ている。
このように、連結基のアリーレン基の炭素数が6〜20であるものは、炭素数21以上のものに比べ、発光材料としたとき、薄膜状態での安定性にやや劣り、このため素子の寿命が短かくなりやすく、発光輝度が低下しやすくなる。
また、上記の合成経路を経て得られるものは、本発明における合成経路を経て得られるものに比べ、不純物が多く薄膜安定性が低下し、素子としたとき寿命が短かくなり、発光輝度が低下する。
本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体は、結晶性が低く、アモルファス状態の良好な膜を形成することができるので、有機EL素子用化合物、具体的には青色発光材料、電子注入輸送材料、あるいは正孔注入輸送材料として用いた場合、本発明の有機EL素子は連続発光光であり、輝度の低下が小さく、ダークスポットや電流リークの発生がない信頼性の高い素子となる。例えば発光層に用いた場合1万cd/m以上の高輝度の青色発光が可能となる。
以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
本発明の有機EL素子(以下「EL素子」ともいう。)は、少なくとも1層の有機化合物層を有し、少なくとも1層の有機化合物層が化2で表されるテトラアリールエテン誘導体を含有する。本発明の有機EL素子の構成例を図1に示す。同図に示される有機EL素子1は、基板2上に、陽極3、正孔注入輸送層4、発光層5、電子注入輸送層6、陰極7を順次有する。
Figure 0004267670
発光層は、正孔および電子の注入機能、それらの輸送機能、正孔と電子の再結合により励起子を生成させる機能を有する。正孔注入輸送層は、陽極からの正孔の注入を容易にする機能、正孔を輸送する機能および電子の輸送を妨げる機能を有し、電子注入輸送層は、陰極からの電子の注入を容易にする機能、電子を輸送する機能および正孔の輸送を妨げる機能を有するものであり、これらの層は、発光層へ注入される正孔や電子を増大・閉じ込めさせ、再結合領域を最適化させ、発光効率を改善する。電子注入輸送層および正孔注入輸送層は、発光層に用いる化合物の電子注入、電子輸送、正孔注入、正孔輸送の各機能の高さを考慮し、必要に応じて設けられる。例えば、発光層に用いる化合物の正孔注入輸送機能または電子注入輸送機能が高い場合には、正孔注入輸送層または電子注入輸送層を設けずに、発光層が正孔注入輸送層または電子注入輸送層を兼ねる構成とすることができる。また、場合によっては正孔注入輸送層および電子注入輸送層のいずれも設けなくてよい。また、正孔注入輸送層および電子注入輸送層は、それぞれにおいて、注入機能をもつ層と輸送機能をもつ層とを別個に設けてもよい。
化2で表されるテトラアリールエテン誘導体(以下「化2の化合物」ともいう。)は、その化合物の種類によって、正孔の注入ないし輸送機能をもつ正孔注入輸送性化合物として、電子の注入ないし輸送機能をもつ電子注入輸送性化合物として、また比較的ニュートラルな化合物は発光材料として適宜使用することができる。
また、組み合わせる発光層や電子注入輸送層や正孔注入輸送層のキャリア移動度やキャリア密度(イオン化ポテンシャル・電子親和力により決まる)を考慮しながら、膜厚をコントロールすることで、再結合領域・発光領域を自由に設計することが可能であり、発光色の設計や、両電極の干渉効果による発光輝度・発光スペクトルの制御や、発光の空間分布の制御を可能にできる。
本発明に用いられる化2のテトラアリールエテン誘導体について説明すると、化2において、Ar、ArおよびArは、各々芳香族残基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
Ar〜Arで表される芳香族残基としては、芳香族炭化水素基(アリール基)、芳香族複素環基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、単環もしくは多環の芳香族炭化水素基であってよく、縮合環や環集合も含まれる。芳香族炭化水素基は、総炭素数が6〜30のものが好ましく、置換基を有するものであってもよい。置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基等が挙げられる。この置換基については後述する。芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アリールフェニル基、アリーロキシフェニル基、アミノフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、ペリレニル基などが挙げられる。
また、芳香族複素環基としては、ヘテロ原子としてO、N、Sを含むものが好ましく、5員環であっても6員環であってもよい。具体的には、チエニル基、フリル基、ピローリル基、ピリジル基などが挙げられる。
Ar〜Arで表される芳香族残基としては、特にフェニル基が好ましい。
nは2〜6の整数であり、特に2〜4の整数であることが好ましい。
Lはn価の芳香族残基を表すが、特に芳香族炭化水素、芳香族複素環、芳香族エーテル(芳香族チオエーテルを含む。)または芳香族アミンから誘導される2〜6価、特に2〜4価の残基であることが好ましい。これらの芳香族残基は、さらに置換基を有するものであってもよい。
なお、このなかで、発光材料とするとき、Lは、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、イミノ基(−NR−:Rはアリール基)、複素環ジイル基、アルケニレン基およびアルキレン基のうちの1種以上が介在したアリーレン基、炭素数が21以上、好ましくは21〜100、さらに好ましくは24〜50のアリーレン基、芳香族炭化水素の3〜6価の残基または芳香族複素環、芳香族エーテルもしくは芳香族アミンの2〜6価の残基であるものが好ましい。
化2のなかでも化3で示されるテトラアリールエテン誘導体が好ましい。
Figure 0004267670
化3について説明すると、R、RおよびRは、各々、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基またはアミノ基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。
〜Rで表されるアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、直鎖状であっても分岐を有するものであってもよく、さらには置換基を有するものであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
〜Rで表されるアリール基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、置換基を有するものであってもよく、例えばフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
〜Rで表されるアルコキシ基としては、アルコキシ基のアルキル基部分の炭素数が1〜6のものが好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
〜Rで表されるアリーロキシ基としては、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−(t−ブチル)フェノキシ基等が挙げられる。
〜Rで表されるアミノ基としては、置換基を有するものが好ましく、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(ビフェニル)アミノ基等が挙げられる。
s、tおよびuは、各々、0または1〜5の整数であり、s、t、uが2以上の整数であるとき、R同士、R同士、R同士は、各々同一でも異なるものであってもよい。
化3において、s、tおよびuは、各々、0または1であることが好ましく、特に0であること、すなわち無置換のフェニル基であることが好ましい。
は、アリーレン基、アレーントリイル基、アレーンテトライル基、複素環ジイル基、複素環トリイル基、複素環テトライル基、トリアリールアミンもしくはその多量体のジイル基、トリアリールアミンもしくはその多量体のトリイル基、トリアリールアミンもしくはその多量体のテトライル基、アリール置換複素環ジイル基、アリール置換複素環トリイル基またはアリール置換複素環テトライル基を表す。これらはさらに置換されていてもよい。Lで表されるアリーレン基、アレーントリイル基、アレーンテトライル基は、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、イミノ基(−NR−:Rはフェニル基等のアリール基)、複素環ジイル基、アルケニル基およびアルキレン基のうちの1種以上が介在していてもよい。
このようなアリーレン基、アレーントリイル基、アレーンテトライル基は、総炭素数が6以上、さらには21以上、特に21〜100、さらに特には24〜50であることが好ましい。Lで表されるアリーレン基として、具体的にはフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、ジフェニルエーテルジイル基、ジフェニルチオエーテルジイル基、ジフェニルメチルジイル基、ジフェニルオキサジアゾールジイル基、テルフェニレン基等が挙げられる。アレーントリイル基としては、ベンゼントリイル基、クアテルフェニルトリイル基等が挙げられる。アレーンテトライル基としては、テトラフェニルエテンテトライル基等が挙げられる。このような基にはフェニルエチリル基等が置換されていてもよい。
で表される複素環ジイル基としては、チオフェンジイル基、フランジイル基、ピリジンジイル基、ビチオフェンジイル基、ビフランジイル基、ビピリジンジイル基、ピラジンジイル基、ピロールジイル基、ビピロールジイル基、キノリンジイル基、オキサジアゾールジイル基、キノキサリンジイル基、ジフェニルキノキサリンジイル基等が挙げられる。複素環トリイル基としてはイソキノリントリイル基等が挙げられ、複素環テトライル基としては、キノキサリンテトライル基等が挙げられる。これらの基は、さらにメトキシ基等の置換基を有していてもよい。
で表されるトリアリールアミンまたはその多量体のジイル基としては、トリフェニルアミンジイル基等が挙げられ、トリアリールアミンまたはその多量体のトリイル基としては、トリフェニルアミントリイル基等が挙げられる。またトリアリールアミンまたはその多量体のテトライル基としては、N,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニルテトライル基等が挙げられる。なお、トリアリールアミンの多量体は通常2〜4量体程度のものである。
で表されるアリール置換複素環ジイル基としては、ジフェニルオキサジアゾールジイル基等が挙げられ、アリール置換複素環トリイル基としては、ジフェニルオキサジアゾールトリイル基、ジフェニルキノキサリントリイル基等が挙げられ、アリール置換複素環テトライル基としては、ジフェニルキノキサリンテトライル基等が挙げられる。
の好適例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004267670
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Figure 0004267670
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化3において、n1はLの価数によるが、2〜4の整数であり、さらには2、3、特には2であることが好ましい。
なお、正孔注入輸送性化合物として用いるときのLとしては、複素環ジイル基、複素環トリイル基、複素環テトライル基、トリアリールアミン誘導体ジイル基、トリアリールアミン誘導体トリイル基、トリアリールアミン誘導体テトライル基またはイミノ基(−NR−:Rはアリール基)が介在してもよいアリーレン基、アレーントリイル基もしくはアレーンテトライル基であることが好ましい。
また、電子注入輸送性化合物として用いるときのLとしては、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、複素環ジイル基およびアルキレン基のうちの1種以上が介在していてもよいアリーレン基、アレーントリイル基もしくはアレーンテトライル基、複素環ジイル基、複素環トリイル基、複素環テトライル基、アリール置換複素環ジイル基、アリール置換複素環トリイル基、またはアリール置換複素環テトライル基であることが好ましい。
また、発光材料として用いるときのLとしては、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、イミノ基(−NR−:Rはアリール基)、複素環ジイル基、アルケニレン基およびアルキレン基のうちの1種以上が介在したアリーレン基、炭素数が21以上、さらに好ましくは21〜100、特に好ましくは24〜50のアリーレン基、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、イミノ基(−NR:Rはアリール基)、複素環ジイル基、アルケニレン基およびアルキレン基のうちの1種以上が介在してもよいアレーントリイル基もしくはアレーンテトライル基、複素環ジイル基、複素環トリイル基、複素環テトライル基、トリアリールアミンもしくはその多量体のジイル基、トリアリールアミンもしくはその多量体のトリイル基、トリアリールアミンもしくはその多量体のテトライル基、アリール置換複素環ジイル基、アリール置換複素環トリイル基またはアリール置換複素環テトライル基であるものが好ましい。
このようなテトラアリールエテン誘導体の好適例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、化10は一般式であり、化11〜化18では化10の表示を用いて示している。R11〜R15、R21〜R25、R31〜R35については、すべて水素のときはHとし、いずれかが置換基のときは置換基のみを示すものとする。なお、併せて、化合物の属性を記す。正孔注入輸送性化合物のときはn、電子注入輸送性化合物のときはeとし、特に示さないものは弱い電子輸送性もしくはニュートラル(バイボール)とする。このなかの化合物のうち、青色発光材料とできるのは化合物No.1〜4、14、21、23〜26、32、42、43、47〜59等である。
Figure 0004267670
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本発明のテトラアリールエテン誘導体は、
(1)ハロゲン化トリフェニルエテン化合物等の芳香族残基三置換ハロゲン化エーテルをグリニャール化し、NiCl(dppp)〔dppp:ジフェニルフォスフィノプロパン〕等のNi錯体などを用いて、ジハロゲン化アリール誘導体等のジ、トリ、テトラ、ペンタもしくはヘキサハロゲン化芳香族化合物とクロスカップリングする方法、
(2)ジハロゲン化アリール誘導体等のジ、トリ、テトラ、ペンタもしくはヘキサハロゲン化芳香族化合物をグリニャール化し、NiCl(dppp)等のNi錯体などを用いてハロゲン化トリフェニルエテン誘導体等の芳香族残基三置換ハロゲン化エテンとクロスカップリングする方法、等を用いて合成できる。
このようにして合成された化合物は、元素分析、質量分析、赤外吸収スペクトル、H核磁気共鳴吸収(NMR)スペクトルなどによって同定することができる。
本発明に用いる化2のテトラアリールエテン誘導体は、500〜2000程度の分子量をもち、200〜350℃の高融点を有し、80〜250℃のガラス転移温度(Tg)を示す。従って、通常の真空蒸着等により透明で室温以上でも安定なアモルファス状態の平滑で良好な膜を形成し、しかもその良好な膜の状態が長期間に渡って維持される。
化2の化合物を発光層に用いる場合について説明する。発光層には化2の化合物のほか、他の蛍光性物質を用いてもよく、他の蛍光性物質としては、例えば、特開昭63−264692号公報に開示されているような化合物、例えば、キナクリドン、ルブレン、スチリル系色素やトリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の金属錯体色素等の化合物から選択される少なくとも1種が挙げられる。このような蛍光性物質の含有量は、化2の化合物の5モル%以下とすることが好ましい。このような化合物を適宜選択して添加することにより、発光光を長波長側にシフトすることができる。
また、発光層には、一重項酸素クエンチャーが含有されていてもよい。このようなクエンチャーとしては、ニッケル錯体や、ルブレン、ジフェニルイソベンゾフラン、三級アミン等が挙げられる。このようなクエンチャーの含有量は、化2の化合物の10モル%以下とすることが好ましい。
化2の化合物を発光層に用いる場合、正孔注入輸送層および電子注入輸送層には、通常の有機EL素子に用いられている各種有機化合物、例えば、特開昭63−295695号公報、特開平2−191694号公報、特開平3−792号公報等に記載されている各種有機化合物を用いることができる。例えば、正孔注入輸送層には、芳香族三級アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体等を用いることができ、また、電子注入輸送層には、アルミキノリノールなどの有機金属錯体誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等を用いることができる。
正孔注入輸送層を正孔注入層と正孔輸送層とに分けて設層する場合は、正孔注入輸送層用の化合物のなかから好ましい組合せを選択して用いることができる。このとき、陽極(ITO等)側からイオン化ポテンシャルの小さい化合物の層の順に積層することが好ましい。また陽極表面には薄膜性の良好な化合物を用いることが好ましい。例えば、8個以上のオリゴチオフェンやポリチオフェンの蒸着膜を正孔注入兼ITO表面改質層として用い、テトラフェニルジアミノビフェニル誘導体(TPD)や化合物No.3を正孔輸送層として用いるのが好ましい。素子化する場合、蒸着を用いているので1〜10nm程度の薄い膜も、均一かつピンホールフリーとすることができるので、各種の化合物を用いても、発光色の色調変化や再吸収による効率の低下を防ぐことができる。
電子注入輸送層を電子注入層と電子輸送層とに分けて設層する場合は、電子注入輸送層用の化合物のなかから好ましい組合せを選択して用いることができる。このとき、陰極側から電子親和力の値の大きい化合物の層の順に積層することが好ましい。このような積層順については電子注入輸送層を2層以上設けるときも同様である。
なお、本発明では、発光層を電子注入輸送性化合物と正孔注入輸送性化合物との混合層とすることも好ましい。そして、このような混合層に化2の化合物を含有させる。化2の化合物を蛍光性物質として含有させる場合、より具体的には、化2の化合物が電子注入輸送性化合物であるとき、他の正孔注入輸送性化合物をさらに添加することが好ましく、化2の化合物が正孔注入輸送性化合物であるときは、他の電子注入輸送性化合物をさらに添加することが好ましい。上記の混合層における電子注入輸送性化合物と正孔注入輸送性化合物との混合比は、重量比で、電子注入輸送性化合物:正孔注入輸送性化合物が60:40〜40:60であることが好ましく、特には50:50程度であることが好ましい。
この混合層に供する電子注入輸送性化合物は、上記の電子注入輸送層用の化合物のなかから、また正孔注入輸送性化合物は、上記の正孔注入輸送層用の化合物のなかから選択して用いることができる。また、場合によっては化2の化合物から選択して用いてもよく、化2の化合物同士で混合層を構成してもよい。さらに、混合層において、電子注入輸送性化合物、正孔注入輸送性化合物は各々1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。また、混合層には発光強度を高めるために、化2の化合物や他の蛍光性物質をドープして用いてもよい。
さらに、他の電子注入輸送性化合物および他の正孔注入輸送性化合物の混合層とし、このような混合層に化2の化合物をドープして用いてもよい。
このような混合層をEL素子に適用することによって、素子の安定性が向上する。
次に化2の化合物を正孔注入輸送層に用いる場合について説明する。化2の化合物を正孔注入輸送層に用いる場合、発光層に用いる蛍光性物質は、化2の化合物より長波長の蛍光をもつものから選択すればよく、例えば、上記した、発光層において化2の化合物と併用される蛍光性物質の1種以上から適宜選択すればよい。なお、このような場合、発光層にも化2の化合物を用いることができる。また、化2の化合物は、正孔注入輸送層を兼ねた発光層にも用いることができる。
さらに化2の化合物を電子注入輸送層に用いる場合について説明する。この場合、発光層に用いる蛍光性物質は、化2の化合物より長波長もしくは同程度の波長の蛍光をもつものを用いればよい。例えば、上記した発光層において化2の化合物と併用できる蛍光性物質のなかから選択して用いることができる。また、化2の化合物は、このような構成において、さらに発光層にも用いることができる。また、化2の化合物は電子注入輸送層を兼ねた発光層にも用いることができる。
なお、上記において、他の蛍光性物質を主に発光層に用いる場合、化2の化合物を蛍光性物質として10モル%以下添加して併用してもよい。
発光層の厚さ、正孔注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送層の厚さは特に限定されず、形成方法によっても異なるが、通常、5〜1000nm程度、特に8〜200nmとすることが好ましい。
正孔注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送層の厚さは、再結合・発光領域の設計によるが、発光層の厚さと同程度もしくは1/10〜10倍程度とすればよい。電子もしくは正孔の、各々の注入層と輸送層を分ける場合は、注入層は1nm以上、輸送層は10nm以上とするのが好ましい。このときの注入層、輸送層の厚さの上限は、通常、注入層で20nm程度、輸送層で100nm程度である。
陰極には、仕事関数の小さい材料、例えば、Li、Na、Mg、Al、Ag、Inあるいはこれらの1種以上を含む合金を用いることが好ましい。また、陰極は結晶粒が細かいことが好ましく、特に、アモルファス状態であることが好ましい。陰極の厚さは10〜1000nm程度とすることが好ましい。
EL素子を面発光させるためには、少なくとも一方の電極が透明ないし半透明である必要があり、上記したように陰極の材料には制限があるので、好ましくは発光光の透過率が80%以上となるように陽極の材料および厚さを決定することが好ましい。具体的には、例えば、ITO、SnO、Ni、Au、Pt、Pd、ドーパントをドープしたポリピロールなどを陽極に用いることが好ましい。また、陽極の厚さは10〜500nm程度とすることが好ましい。また、素子の信頼性を向上するために駆動電圧が低いことが必要であるが、好ましいものとして10〜30Ω/□のITOが挙げられる。
基板材料に特に制限はないが、図示例では基板側から発光光を取り出すため、ガラスや樹脂等の透明ないし半透明材料を用いる。また、基板に色フィルター膜や誘電体反射膜を用いて発光色をコントロールしてもよい。
なお、基板に不透明な材料を用いる場合には、図1に示される積層順序を逆にしてもよい。
次に、本発明の有機EL素子の製造方法を説明する。
陰極および陽極は、蒸着法やスパッタ法等の気相成長法により形成することが好ましい。
正孔注入輸送層、発光層および電子注入輸送層の形成には、均質な薄膜が形成できることから真空蒸着法を用いることが好ましい。真空蒸着法を用いた場合、アモルファス状態または結晶粒径が0.1μm以下(通常0.005μm以上)の均質な薄膜が得られる。結晶粒径が0.1μmを超えていると、不均一な発光となり、素子の駆動電圧を高くしなければならなくなり、電荷の注入効率も著しく低下する。
真空蒸着の条件は特に限定されないが、10−3Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.1〜1nm/sec程度とすることが好ましい。また、真空中で連続して各層を形成することが好ましい。真空中で連続して形成すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げるため、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低くすることができる。
これら各層の形成に真空蒸着法を用いる場合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着することが好ましい。
本発明のEL素子は、通常、直流駆動型のEL素子として用いられるが、交流駆動またはパルス駆動することもできる。印加電圧は、通常、2〜20V程度とされる。
以下、本発明の具体的実施例を比較例とともに示し、本発明をさらに詳細に説明する。
<実施例1>
化合物No.1の合成
シュレンクフラスコにアルゴン下で活性化したマグネシウム0.488g(20mmol)に、2−ブロモ−1,1,2−トリフェニルエテン6.70g(20mmol)のテトラヒドロフラン(THF)溶液50mlを滴下しグリニャール化した。この反応溶液にNiCl(dppe)0.3gと4,4’−ジブロモビフェニル3.02g(9.4mmol)を加え、60℃で4時間還流した。この反応溶液を1N塩酸水溶液に投入しトルエンで抽出し、水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、アセトン/ジクロロメタンより再結晶し、3.0gの青色蛍光を示す白色固体を得た。
この白色固体1.0gを昇華精製し、0.8gの純粋な固体を得た。
質量分析:m/e 662(M+)
元素分析: C H Br
計算値/% 94.22 5.78 0.0
測定値/% 94.31 5.54 0.0
赤外吸収スペクトル:図2
H−NMRスペクトル(270MHz):図3
示差走査熱量測定(DSC):融点304℃、ガラス転移温度110℃
イオン化ポテンシャル:5.90eV
<実施例2>
化合物No.2の合成
シュレンクフラスコにアルゴン下で活性化したマグネシウム0.485g(20mmol)に、2−ブロモ−1,1,2−トリフェニルエテン6.70g(20mmol)のTHF溶液50mlを滴下しグリニャール化した。この反応溶液にNiCl(dppe)0.4gと1,4−ジブロモベンゼン2.35g(10mmol)を加え、60℃で4時間還流した。この反応溶液を1N塩酸水溶液に投入しトルエンで抽出し、水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、アセトン/ジクロロメタンより再結晶し、3.0gの青色蛍光を示す白色固体を得た。
この白色固体1.0gを昇華精製し、0.8gの純粋な固体を得た。
質量分析:m/e 586(M+)
元素分析: C H Br
計算値/% 94.16 5.84 0.0
測定値/% 94.15 5.53 0.0
赤外吸収スペクトル:図4
H−NMRスペクトル:図5
示差走査熱量測定(DSC):融点250℃、ガラス転移温度83℃
イオン化ポテンシャル:5.95eV
<実施例3>
化合物No.3の合成
シュレンクフラスコにアルゴン下で活性化したマグネシウム0.488g(20mmol)に、2−ブロモ−1,1,2−トリフェニルエテン6.70g(20mmol)のTHF溶液50mlを滴下しグリニャール化した。この反応溶液にNiCl(dppe)0.3gと4,4’,4”−トリブロモトリフェニルアミン3.00g(6.0mmol)を加え、60℃で4時間還流した。この反応溶液を1N塩酸水溶液に投入しトルエンで抽出し、水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、アセトン/ジクロロメタンにより再結晶後3.0gの青緑色蛍光を示す黄白色固体を得た。
この白色固体1.0gを昇華精製し、0.8gの純粋な固体を得た。
質量分析:m/e 1007(M+)
元素分析: C H N Br
計算値/% 92.91 5.69 1.39 0.0
測定値/% 92.46 5.32 1.29 0.0
赤外吸収スペクトル:図6
H−NMRスペクトル(270MHz):図7
示差走査熱量測定(DSC):融点300℃、ガラス転移温度129℃
イオン化ポテンシャル:5.45eV
<実施例4>
化合物No.7の合成
シュレンクフラスコにアルゴン下で活性化したマグネシウム0.485g(20mmol)に、2−ブロモ−1,1,2−トリフェニルエテン6.70g(20mmol)のTHF溶液50mlを滴下しグリニャール化した。この反応溶液にNiCl(dppe)0.4gと1,3,5−トリブロモベンゼン2.07g(6.6mmol)を加え、60℃で4時間還流した。反応溶液を1N塩酸水溶液に投入しトルエンで抽出し、水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、アセトン/ヘキサンより再結晶後、トルエン/ヘキサンを展開溶媒としてシリカカラム精製し、1.0gの青色蛍光を示す白色固体を得た。
この白色固体0.5gを昇華精製し、0.3gの純粋な固体を得た。
質量分析:m/e 840(M+)
赤外吸収スペクトル:図8
H−NMRスペクトル(270MHz):図9
示差走査熱量測定(DSC):融点213℃、ガラス転移温度92℃
イオン化ポテンシャル:5.95eV
<実施例5>
化合物No.8の合成
シュレンクフラスコにアルゴン下で活性化したマグネシウム0.485g(20mmol)に、2,5−ジブロモチオフェン2.42g(10mmol)のTHF溶液50mlを滴下しグリニャール化した。この反応溶液にNiCl(dppe)0.4gと1,2−ブロモ−1,1,2−トリフェニルエテン6.70g(20mmol)を加え、60℃で4時間還流した。反応溶液を1N塩酸水溶液に投入しトルエンで抽出し、水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、アセトン/ヘキサンより再結晶後、1.0gの緑色蛍光を示す黄色固体を得た。
この黄色固体1.0gを昇華精製し、0.8gの純粋な固体を得た。
質量分析:m/e 592(M+)
元素分析: C H S Br
計算値/% 89.15 5.44 5.41 0.0
測定値/% 89.05 5.32 5.05 0.0
イオン化ポテンシャル:5.40eV
なお、赤外吸収スペクトル、H−NMRスペクトルの結果からも、上記化合物と同定した。
<実施例6>
化合物No.19の合成
シュレンクフラスコにアルゴン下で活性化したマグネシウム0.485g(20mmol)に、2−ブロモ−1,1,2−トリフェニルエテン6.70g(20mmol)のTHF溶液50mlを滴下しグリニャール化した。この反応溶液にNiCl(dppe)0.4gと2,3−ビス(4−ブロモフェニル)キノキサリン4.40g(20mmol)を加え、60℃で4時間還流した。反応溶液を0.1N塩酸水溶液に投入しクロロホルムで抽出し、水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、アセトンより再結晶後、3.0gの緑色蛍光を示す黄色固体を得た。
この黄色固体1.0gを昇華精製し、0.8gの純粋な固体を得た。
質量分析:m/e 790(M+)
元素分析: C H N
計算値/% 91.10 5.35 3.54
測定値/% 91.03 5.28 3.40
赤外吸収スペクトル:図10
H−NMRスペクトル:図11
イオン化ポテンシャル:5.98eV
<実施例7>
化合物No.4の合成
4,4’−ジブロモビフェニル3.02g(9.4mmol)のかわりに、ビス(p−ブロモフェニル)エーテル2.95g(9mmol)を用いるほかは実施例1と同様にして合成した。
質量分析:m/e 678(M+)
赤外吸収スペクトル:図12
H−NMRスペクトル:図13
示差走査熱量測定(DSC):融点254℃、ガラス転移温度90℃
なお、元素分析の測定値は計算値とよく一致した。
<実施例8>
化合物No.33の合成
N,N’−(ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニルの合成N,N’−ジフェニルベンジジン16.8g(50mmol)と4−ヨードブロモベンゼン42.4g(150mmol)と活性銅粉0.2gと炭酸カリウム20.7g(150mmol)を200mlナスフラスコに投入し、N置換後200℃で24時間攪拌した。
トルエンを100ml加え、有機層を抽出し、水で3回洗浄した。トルエンとヘキサンの混合溶媒を抽出溶媒としてシリカカラムクロマト精製を3回行い、ヘキサン/ジクロロメタンより再結晶し、青色蛍光をもつ白色結晶15.2gを得た。
化合物No.33の合成シュレクフラスコにアルゴン下で活性化したマグネシウム0.485g(20mmol)に、2−ブロモ−1,1,2−トリフェニルエテン6.7g(20mmol)のTHF溶液50mlを滴下し、グリニャール化した。
この反応溶媒にNiCl(dppe)0.4gとN,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル5.82g(9mmol)を加え、60〜70℃で4時間還流した。
反応溶液を10%塩酸水溶液に投入しトルエンとクロロホルムで抽出し、水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、アセトンで洗浄し、トルエンとヘキサンの混合溶媒を展開溶媒としてカラムクロマト精製し3.0gの緑黄色の蛍光をもつ黄白色固体を得た。
この黄色固体1.0gを昇華精製し、0.7gの純粋な固体を得た。
質量分析:m/e 996(M+)
赤外吸収スペクトル:図14
H−NMRスペクトル:図15
示差走査熱量測定(DSC):融点333℃、ガラス転移温度132℃
イオン化ポテンシャル:5.38eV
なお、元素分析の測定値は計算値とよく一致した。
<実施例9>
化合物No.42の合成
9,10−ビス(p−ブロモフェニル)アントラセンの合成
260mlフラスコにアルゴン下で、アントラキノン4.16g(20mmol)とトルエン100mlの中に4−ヨードブロモベンゼンとブチルリチウム(ヘキサン溶液)より合成した。4−ブロモフェニルリチウム6.52g(40mmol)のエーテル溶液を滴下した。室温で24時間攪拌後、水を100ml滴下した。沈澱物を濾過し、ジオール体を得た。
このジオール体を酢酸100mlに溶解し、二塩化スズ2.0gの塩酸溶液を滴下し、100℃で1時間攪拌後トルエンで抽出し、水で5回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去してトルエンとヘキサンを抽出溶媒としてシリカカラムクロマトで精製した。
その後トルエンで再結晶し、青色蛍光を示す白色結晶1gを得た。
化合物No.42の合成N,N’−ビス(p−ブロモフェニル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−アミノビフェニル5.82g(9mmol)のかわりに、9,10−ビス(p−ブロモフェニル)アントラセン4.40g(9mmol)を用い、実施例8と同様に合成した。
質量分析:m/e 838(M+)
赤外吸収スペクトル:図16
H−NMRスペクトル:図17
示差走査熱量測定(DSC):融点370℃、ガラス転移温度143℃
なお、元素分析の測定値は計算値とよく一致した。
<実施例10>
化合物No.65の合成
4,4’−ジブロモビフェニル3.02g(9.4mmol)のかわりに、2,6−ジクロロ−3メトキシアクリジン2.5g(9mmol)を用いるほかは実施例1と同様にして合成した。
質量分析:m/e 716(M+)
赤外吸収スペクトル:図18
H−NMRスペクトル:図19
示差走査熱量測定(DSC):融点259.2℃、ガラス転移温度132.6℃
なお、元素分析の測定値は計算値とよく一致した。
化10〜化20に示される他の例示化合物も実施例1〜10に準じて合成した。これらの化合物は、元素分析、質量分析、赤外吸収スペクトル、H−NMRスペクトルの結果から同定した。
<実施例11>
厚さ100nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、蒸着装置の基板ホルダーに固定して、1×10−4Paまで減圧した。
次いで、N,N’−ジフェニル−N,N’−m−トリル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル(TPD−1)を蒸着速度0.2nm/secで50nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層とした。
次いで、実施例1の化合物No.1を50nmの厚さに蒸着し、発光層とした。
次いで、減圧状態を保ったまま、電子注入輸送層として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを蒸着速度0.2nm/secで10nmの厚さに蒸着した。
さらに、減圧状態を保ったまま、MgAg(重量比10:1)を蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに蒸着して陰極とし、有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、19V、155mA/cmで8500cd/mの青色(発光極大波長λmax=485nm)の発光が確認され、この発光は乾燥窒素雰囲気中で200時間以上安定していた。部分的非発光部の出現および成長は全くなかった。輝度の半減期は10mA/cmの定電流駆動で10時間であった。
<実施例12>
厚さ100nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、蒸着装置の基板ホルダーに固定して、1×10−4Paまで減圧した。
次いで、ポリ(チオフェン−2,5−ジイル)を10nmの厚さに蒸着し、正孔注入層とした。
次いで、N,N’−ジフェニル−N,N’−m−トリル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル(TPD−1)を蒸着速度0.2nm/secで50nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。
次いで、実施例1の化合物No.1を50nmの厚さに蒸着し、発光層とした。
次いで、減圧状態を保ったまま、電子注入輸送層として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを蒸着速度0.2nm/secで10nmの厚さに蒸着した。
さらに、減圧状態を保ったまま、MgAg(重量比10:1)を蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに蒸着して陰極とし、有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、16V、325mA/cmで15000cd/mの青色(発光極大波長λmax=485nm)の発光が確認され、この発光は乾燥窒素雰囲気中で1000時間以上安定していた。部分的非発光部の出現および成長は全くなかった。輝度の半減期は10mA/cmの定電流駆動で100時間であった。
<実施例13>
実施例12と同様に素子を作製した。ただし、ホール輸送材料TPD−1の代わりに、N,N,N’,N’−テトラキス(3−ビフェニル)−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル(TPD−2)を用いた。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、18V、475mA/cmで11500cd/mの青色(発光極大波長λmax=485nm)の発光が確認され、この発光は乾燥窒素雰囲気中で1000時間以上安定していた。部分的非発光部の出現および成長は全くなかった。輝度の半減期は10mA/cmの定電流駆動で200時間であった。
<実施例14>
厚さ100nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、蒸着装置の基板ホルダーに固定して、1×10−4Paまで減圧した。
次いで、ポリ(チオフェン−2,5−ジイル)を10nmの厚さに蒸着し、正孔注入層とした。
次いで、N,N’−ジフェニル−N,N’−m−トリル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル(TPD−1)を蒸着速度0.2nm/secで50nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。
次いで、実施例2の化合物No.2を50nmの厚さに蒸着し、発光層とした。
次いで、減圧状態を保ったまま、電子注入輸送層として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを蒸着速度0.2nm/secで10nmの厚さに蒸着した。
さらに、減圧状態を保ったまま、MgAg(重量比10:1)を蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに蒸着して陰極とし、有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、15V、300mA/cmで8000cd/mの青色(発光極大波長λmax=485nm)の発光が確認され、この発光は乾燥窒素雰囲気中で100時間以上安定していた。部分的非発光部の出現および成長は全くなかった。輝度の半減期は10mA/cmの定電流駆動で20時間であった。
<実施例15>
厚さ100nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、蒸着装置の基板ホルダーに固定して、1×10−4Paまで減圧した。
次いで、ポリ(チオフェン−2,5−ジイル)を10nmの厚さに蒸着し、正孔注入層とした。
次いで、N,N’−ジフェニル−N,N’−m−トリル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル(TPD−1)を蒸着速度0.2nm/secで50nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。
次いで、実施例3の化合物No.3を50nmの厚さに蒸着し、発光層とした。
次いで、減圧状態を保ったまま、電子注入輸送層として、トリス(8−キノリノナト)アルミニウムを蒸着速度0.2nm/secで10nmの厚さに蒸着した。
さらに、減圧状態を保ったまま、MgAg(重量比10:1)を蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに蒸着して陰極とし、有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、14V、53mA/cmで345cd/mの青緑色(発光極大波長λmax=450nm)の発光が確認され、この発光は乾燥窒素雰囲気中で1000時間以上安定していた。部分的非発光部の出現および成長は全くなかった。輝度の半減期は10mA/cmの定電流駆動で200時間であった。
<実施例16>
実施例12において、発光層に化合物No.1を用いるかわりに、化合物No.42を用いるほかは同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、15V、450mA/cmで8020cd/mの青色(発光極大波長λmax=470nm)の発光が確認され、この発光は乾燥窒素雰囲気中で3000時間以上安定していた。部分的非発光部の出現および成長は全くなかった。輝度の半減期は10mA/cmの定電流駆動で300時間であった。
<実施例17>
実施例12において、発光層に化合物No.1を用いるかわりに、化合物No.49を用いるほかは同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、14V、340mA/cmで18000cd/mの青色(発光極大波長λmax=480nm)の発光が確認され、この発光は乾燥窒素雰囲気中で5000時間以上安定していた。部分的非発光部の出現および成長は全くなかった。輝度の半減期は10mA/cmの定電流駆動で500時間であった。
<実施例18>
実施例12において、発光層に化合物No.1を用いるかわりに、化合物No.53を用いるほかは同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、16V、300mA/cmで9040cd/mの青色(発光極大波長λmax=470nm)の発光が確認され、この発光は乾燥窒素雰囲気中で1000時間以上安定していた。部分的非発光部の出現および成長は全くなかった。輝度の半減期は10mA/cmの定電流駆動で200時間であった。
<実施例19>
実施例12において、発光層を形成した後、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを蒸着速度0.2nm/secで20nmの厚さに蒸着し、電子輸送層とした。次いで、テトラブチルジフェノキノンを10nmの厚さに蒸着し、電子注入層とした。その後、実施例12と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、13V、105mA/cmで4500cd/mの青色(発光極大波長λmax=480nm)の発光が確認され、この発光は乾燥窒素雰囲気中で1000時間以上安定していた。部分的非発光部の出現および成長は全くなかった。輝度の半減期は10mA/cmの定電流駆動で50時間であった。
<実施例20>
厚さ100nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、蒸着装置の基板ホルダーに固定して、1×10−4Paまで減圧した。
次いで、化合物No.7を蒸着速度0.2nm/secで50nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層とした。
次いで、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを50nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層を兼ねる発光層とした。
さらに、減圧状態を保ったまま、MgAg(重量比10:1)を蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに蒸着して陰極とし、有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、11V、525mA/cmで1759cd/mの緑色(発光極大波長λmax=500nm)の発光が確認され、この発光は乾燥窒素雰囲気中で1000時間以上安定していた。部分的非発光部の出現および成長は全くなかった。輝度の半減期は400時間であった。
<実施例21>
実施例20において、正孔注入輸送層に化合物No.7を用いるかわりに、化合物No.8を用いるほかは同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、13V、300mA/cmで4000cd/mの緑色(発光極大波長λmax=520nm)の発光が確認され、この発光は乾燥窒素雰囲気中で1000時間以上安定していた。部分的非発光部の出現および成長は全くなかった。輝度の半減期は10mA/cmの定電流駆動で50時間であった。
<実施例22>
実施例20において、正孔注入輸送層に化合物No.7を用いるかわりに、化合物No.33を用いるほかは同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、12V、525mA/cmで12000cd/mの青緑色(発光極大波長λmax=503nm)の発光が確認され、この発光は乾燥窒素雰囲気中で4000時間以上安定していた。部分的非発光部の出現および成長は全くなかった。輝度の半減期は10mA/cmの定電流駆動で500時間であった。
<実施例23>
厚さ100nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、蒸着装置の基板ホルダーに固定して、1×10−4Paまで減圧した。
次いで、ポリ(チオフェン−2,5−ジイル)を10nmの厚さに蒸着し、正孔注入層とした。
次いで、N,N’−ジフェニル−N,N’−m−トリル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル(TPD−1)を蒸着速度0.2nm/secで50nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。
次いで、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを蒸着速度0.2nm/secを50nmの厚さに蒸着し、発光層とした。
次いで、減圧状態を保ったまま、電子注入輸送層として、実施例6の化合物No.19を蒸着速度0.2nm/secで10nmの厚さに蒸着した。
さらに、減圧状態を保ったまま、MgAg(重量比10:1)を蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに蒸着して陰極とし、有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、14V、300mA/cmで15000cd/mの青緑色(発光極大波長λmax=495nm)の発光が確認され、この発光は乾燥窒素雰囲気中で500時間以上安定していた。部分的非発光部の出現および成長は全くなかった。輝度の半減期は10mA/cmの定電流駆動で200時間であった。
<実施例24>
実施例23において、電子注入輸送層に化合物No.19を用いるかわりに、化合物No.16を用いるほかは同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、12V、450mA/cmで18000cd/mの緑色(発光極大波長λmax=500nm)の発光が確認され、この発光は乾燥窒素雰囲気中で1000時間以上安定していた。部分的非発光部の出現および成長は全くなかった。輝度の半減期は10mA/cmの定電流駆動で400時間であった。
<実施例25>
実施例12と同様に正孔輸送層を形成した後、TPD−1と実施例1の化合物No.1を蒸着速度0.2nm/secで20nmの厚さに蒸着し、発光層とした。この場合、TPD−1と化合物No.1との比率は重量比で1:1とした。
次いで、化合物No.1を用いるほかは、実施例12と同様に電子注入輸送層を形成し、さらに同様に陰極を形成して有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、12V、250mA/cmで12000cd/mの青色(発光極大波長λmax=480nm)の発光が確認され、この発光は乾燥窒素雰囲気中で5000時間以上安定していた。部分的非発光部の出現および成長は全くなく、電流リークもみられなかった。輝度の半減期は10mA/cmの定電流駆動で1000時間であった。
実施例11〜25において、化10〜化20に掲げた本発明の化合物の1種または2種以上を適宜選択して、上記実施例以外の組合せで、発光層、電子注入輸送層または正孔注入輸送層に用いたところ、有機EL素子の層構成等に応じて、上記実施例と同様の結果が得られた。
<比較例1>
厚さ100nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、蒸着装置の基板ホルダーに固定して、1×10−4Paまで減圧した。
次いで、N,N’−ビス(−m−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを50nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層とした。
次いで、減圧状態を保ったまま、1,3−ビス(5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−2−イル)ベンゼン(OXD−7)を蒸着速度0.2nm/secで50nmの厚さに蒸着して、電子注入輸送・発光層とした。
さらに、減圧状態を保ったまま、MgAg(重量比10:1)を蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに蒸着して陰極とし、有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流したところ、14V、127mA/cmで550cd/mの青色(発光極大波長λmax=480nm)の発光が確認され、この発光は乾燥窒素雰囲気中で10時間にて、部分的非発光部の出現および成長が見られ、20時間にて絶縁破壊を起こした。輝度の半減期は20分であった。
<比較例2>
C. Adachi et al., Appli. Phys. Lett., 56, 799(1990) に記載の1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエンを発光層に用いて、この文献と同様の構成の有機EL素子を組み立てた。すなわち、比較例1において、正孔注入輸送層を形成したのち、上記化合物を同様に50nmの厚さに蒸着して発光層とした。その後、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを蒸着速度0.2nm/secで10nmの厚さで蒸着して電子注入輸送層とし、比較例1と同様に陰極を形成し、有機EL素子を得た。
この有機EL素子は、有機層が結晶化しており、両電極に電圧を印加したところ、ショートした状態であり、明確な発光は得られなかった。
<比較例3>
比較例2において、t−ブチルフェニルビフェニルオキサジアゾール(PBD)を電子注入輸送層とするほかは、同構成の有機EL素子を得た。
この有機EL素子は、作製してから1時間後にはショートした状態となり、この状態で電圧を印加したところ青色の発光はみられたものの絶縁破壊した。
<比較例4>
特開平6−100857号公報の合成例1の方法に従い、ジフェニルクロロメタンをグリニャール化し、これと1,4−ジベンゾイルベンゼンとを反応させ、ギ酸存在下で脱水して、化合物No.2を得た。
このようにして得られた化合物No.2を発光層に用いるほかは実施例14と同様にして有機EL素子を得た。
この有機EL素子について、実施例14と同様に特性を調べたところ、同じ駆動電流値によって半分程度の輝度しか得られなかった。
なお、上記のEL素子を得るにあたり、化2の化合物および比較例に用いた化合物の蒸着膜の安定性を調べた。これらの一例を以下に示す。
<実施例26>
実施例1で得られた化合物No.1をガラス基板上に、10−5Pa以下の減圧下で真空蒸着を行い、1000A厚の蒸着膜を形成した。
この蒸着膜は初期においては透明なアモルファス状の膜であり、大気中に放置しても1ケ月程度は結晶化しなかった。
<実施例27>
実施例2で得られた化合物No.2を用い、実施例26と同様に蒸着膜を形成し、実施例26と同様にして膜の安定性を調べたところ、10日程度は結晶化しなかった。
<比較例5>
特開平6−100857号公報の合成例1に従って得られた化合物No.2を用い、実施例26と同様に蒸着膜を形成し、実施例26と同様にして膜の安定性を調べたところ、初期においてはアモルファス状の膜であったが、1日後には結晶化した。
<実施例28>
化合物(No.3、7、8、16、19、33、42、49、53)について、実施例26と同様にして各化合物の蒸着膜を形成し、同様に各膜の安定性を調べたところ、大気中に1年以上放置しても初期のアモルファス状態が維持されていることがわかった。
本発明のEL素子の構成例を示す側面図である。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。 本発明に用いるテトラアリールエテン誘導体のNMRスペクトルを示すグラフである。
符号の説明
1 有機EL素子
2 基板
3 陽極
4 正孔注入輸送層
5 発光層
6 電子注入輸送層
7 陰極

Claims (1)

  1. テトラアリールエテン誘導体を含有する有機化合物層を有する有機EL素子の製造方法であって、
    芳香族残基三置換ハロゲン化エテンをグリニャール化し、ジ、トリ、テトラ、ペンタもしくはヘキサハロゲン化芳香族化合物とクロスカップリングするか、またはジ、トリ、テトラ、ペンタもしくはヘキサハロゲン化芳香族化合物をグリニャール化し、芳香族残基三置換ハロゲン化エテンとクロスカップリングするかによって、下記化1で表されるテトラアリールエテン誘導体を得る工程を備えることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
    Figure 0004267670
    〔化1においてAr、ArおよびArは、各々芳香族残基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。nは2〜6の整数である。Lはn価の芳香族複素環の残基、芳香族アミンの残基、または、炭素数が21以上のアリーレン基を表す。〕
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