JP4216383B2 - Titanium dioxide precursor composition, method for producing the same, and titanium dioxide - Google Patents

Titanium dioxide precursor composition, method for producing the same, and titanium dioxide Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属酸化物が得られる金属酸化物前駆体組成物およびその製造方法並びに金属酸化物に関する。より詳しくは、アナターゼ型結晶構造の割合が高い二酸化チタン等が、金属酸化物として得られる金属酸化物前駆体組成物およびその製造方法並びに金属酸化物前駆体組成物から得られる金属酸化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フィルム状の二酸化チタンは、効率的な光触媒や半導体電極として、しばしば用いられている(T Sakata,in Photocatalysis,ed.N Serepone and E Pelizzetti,Wiley,New York,1989,p311;and D E Scaife,Sol.Energy,1980,25,41 )。また、二酸化チタンは、活性試薬や不活性坦体としても用いられており、このような用途に適した二酸化チタンの製造方法として、不活性坦体上に触媒としてTiO2およびV23の混合物を担持しておき、当該触媒を用いて、o−キシレンを無水フタル酸に触媒酸化する方法が、商業的なプロセスとしてよく知られている(M S Wainwright and N R Foster,Catal.Rev.Sci.Eng.(1917),19(2),211)。
さらにまた、二酸化チタンを使用して水を光触媒的に分解し、発生させた水素を燃料に用いる研究もなされている(A.J. Bard,Sciennce,(1980),207,139;E Borgarello et al,J Am.Chem.Soc.(1982),104(11),2996)。
【0003】
このように二酸化チタンは近年注目されているものの、光触媒能を発揮するには二酸化チタンにおける結晶構造のうち、アナターゼ型結晶構造を有することが必要であるが、高いアナターゼ比率を有し、かつ、光触媒能を極大化するために、大きい表面積を有する二酸化チタンの成形物を作成することは困難であるという問題があった。
このような高いアナターゼ比率を有する粒子状の二酸化チタンを作成する方法として、従来、イルメナイトを原料として硫酸法により硫酸化チタンを得て、この硫酸化チタンを熱加水分解してメタチタン酸(TiO(OH)2またはTiO2・H2O)を作成し、さらにこのメタチタン酸を硝酸などの一塩基性酸で解膠する方法が知られていた。しかしながら、これらのチタンゾルは、pHが1〜2程度の強酸であるため取り扱いに留意する必要があり、また、フィルムにした場合、被着体への接着力が弱く、摩擦等により容易に剥がれてしまうという問題点を有していた。
【0004】
また、蒸留を繰り返して精製された四塩化チタン、(NH42(TiO(C242)およびイソプロピルチタネート等が二酸化チタン原料として検討されている。しかしながら、いずれも充分なアナターゼ型結晶構造を含有する二酸化チタンをあたえるものではなかった。具体的に、J European Ceramic Society , 1988, 287-297には、二酸化チタンをトリエタノールアミンおよびエチレングリコールと反応させて得られる前駆体から製造される二酸化チタン粉末が記載されているが、このようにして得られた二酸化チタンは、ルチル型結晶構造を10〜15%の範囲内で含んでおり、アナターゼ型結晶構造の含有率が未だ高いとは言えなかった。
【0005】
また、最近開発されているゾル−ゲル法によれば、イソプロピルチタネート等のチタンアルコキサイドを出発原料として用い、チタン化合物(チタン酸化物)からなる製品を、粉末状、繊維状、フィルム状などの形態で得ることができる。しかしながら、チタンアルコキサイドからなる溶液あるいはゾルは、水により容易に加水分解してゲル化するため保存安定性が乏しく、安定して、均一な特性を有するチタン化合物を得ることが困難であった。また、これらの溶液はアルコールを含むため、危険物指定となり、使用設備において防爆設備が必要となるなどの問題点を有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況下、発明者らは、上述した問題を鋭意検討し、金属酸化物前駆体に、特定原子を含むド−パント化合物を添加(ドーピング)することにより、アナターゼ型結晶構造を高い含有率で含む二酸化チタン等の金属酸化物が得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
また、特定の金属アルコキシドとアミルアルコールとの反応物に、さらに水を加えた水溶解液が安定であり、しかもpHが実質的に中性または弱アルカリ性であることを見出し、本発明を完成させたものである。
さらにまた、特定の金属アルコキシドとアミルアルコールとを反応させるとともに、特定原子を含むド−パント化合物を添加する工程を含むことにより、特定の金属酸化物前駆体組成物が効率的に得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0007】
すなわち、本発明の目的は、アナターゼ型結晶構造の含有率(割合)が高い二酸化チタン等の金属酸化物が得られ、また、水系であるため使用設備として防爆設備が不要であり、しかも、pHが実質的に中性または弱アルカリ性であるため使用条件に制約が少ない金属酸化物前駆体組成物を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、このような金属酸化物前駆体組成物を効率的に、しかも安定して得ることができる金属酸化物前駆体組成物の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、上述した金属酸化物前駆体組成物から得られるアナターゼ型結晶構造の含有率(割合)の高い二酸化チタン等の金属酸化物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(A)成分および(B)成分を含有する二酸化チタン前駆体組成物であって、下記(A)成分のチタン原子100モルに対する(B)成分のドーパント化合物の割合が0.5〜20モルの範囲内であることを特徴とする二酸化チタン前駆体組成物。
(A)下記一般式(1)で表されるチタンアルコキシドと、下記一般式(2)で表されるアミノアルコールとを反応してなるチタンアミノアルコール錯体
Ti(OR (1)
[一般式(1)中、Rはアルキル基、アリール基またはアシル基を示す。]
(HOR (2)
[一般式(2)中、Rはアルキレン基、アリーレン基またはアシレン基である。]
(B)カルシウム、バリウム、ストロンチウム、硼素及びリンからなる群から選択される少なくとも一つの原子を有するド−パント化合物
このように(B)成分として、特定のド−パント化合物を含んで金属酸化物前駆体組成物を構成することにより、当該金属酸化物前駆体組成物からアナターゼ型結晶構造の含有率の高い二酸化チタン等の金属酸化物を得ることができる。また、(B)成分の働きにより、高い硬度を有する、触媒活性に優れた二酸化チタン等の金属酸化物を得ることができる。
【0009】
また、本発明の別の態様は、金属酸化物前駆体組成物の製造方法であり、下記一般式(1)で表されるチタンアルコキシドと、下記一般式(2)で表されるアミノアルコールとを反応させてチタンアミノアルコール錯体とする工程、及びカルシウム、バリウム、ストロンチウム、硼及びリンからなる群から選択される少なくとも一つの原子を有するド−パント化合物を、前記チタンアミノアルコール錯体のチタン原子100モルに対して0.5〜20モルの範囲内の割合で添加する工程を含むことを特徴とする二酸化チタン前駆体組成物の製造方法に関する。
【0010】
Ti(OR (1)
[一般式(1)中、R はアルキル基、アリール基またはアシル基を示す。]
【0011】
(HOR (2)
[一般式(2)中、Rはアルキレン基、アリーレン基またはアシレン基である。]
【0012】
このように金属酸化物前駆体組成物を製造すると、金属酸化物、例えば、アナターゼ型結晶構造の含有率(割合)の高い二酸化チタンが得られる金属酸化物前駆体組成物を効率的に製造することができる。
【0013】
また、本発明の別の態様は、上述した二酸化チタン前駆体組成物を酸化(加熱)してなる二酸化チタンに関する。このようにして得られた二酸化チタンは、高い含有率でアナターゼ型結晶構造を含み、しかも、被着体上にフィルムとして形成した場合でも、被着体への接着力が強く、摩擦等により容易に剥がれることがない。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明における金属酸化物前駆体組成物(第1の実施形態)、金属酸化物前駆体組成物の製造方法(第2の実施形態)および金属酸化物(第3の実施形態)をそれぞれ具体的に説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態は金属酸化物前駆体組成物に関し、(A)成分および(B)成分を含有することを特徴とする。それぞれ具体的に説明する。
【0016】
(1)(A)成分
第1の実施形態において使用される(A)成分としての金属酸化物前駆体は、酸化(加熱)することにより、金属酸化物を生成するものであれば好適に使用することができる。
このような金属酸化物前駆体として、金属アミノアルコール錯体、金属カルボン酸塩、金属アルコキシド、あるいは金属アンモニウム塩を使用することができる。具体的には、チタントリエタノールアミン錯体(例えば、アルカノールアミン錯体)、チタンヒドロキシカルボン酸塩(例えば、乳酸チタン)、カルボン酸(例えば、シュウ酸や無水フタル酸)、アルコキシチタン化合物(例えば、テトライソプロポキシドチタンやテトラブトキシチタン)、ベータジケトン化合物(例えば、アセチルアセトネートチタン化合物)等を挙げることができる。
【0017】
また、下記一般式(4)で表される化合物も金属酸化物前駆体として使用可能である。
Ti [(ORN][(OR(ROH)] (4)
[一般式(4)中、R はアルキレン基またはアリーレン基を示し、xは1〜3の整数、yは(3−x)の整数、nは1〜3の整数をそれぞれ示す。]
【0018】
ただし、より取り扱いが容易で、保存安定性に優れ、しかも金属酸化物が二酸化チタンの場合に、アナターゼ型結晶構造の含有率をより高めることができることから、(A)成分としての金属酸化物前駆体は、金属アミノアルコール錯体であることがより好ましい。以下、金属アミノアルコール錯体についてより詳細に説明する。
【0019】
金属アミノアルコール錯体は、下記一般式(1)で表される金属アルコキシド(金属水酸化物や金属酸を含む。以下、これらを含めて金属アルコキシドと称する場合がある。)と、下記一般式(2)で表わされるアミノアルコールとを反応してなる化合物である。
【0020】
Ti(OR (1)
[一般式(1)中、R アルキル基、アリール基またはアシル基を示す。]
(HOR (2)
[一般式(2)中、Rはアルキレン基、アリーレン基またはアシレン基である。]
【0021】
したがって、金属アミノアルコール錯体として、下記式(5)で表される化合物であることがより好ましい。
Ti[N(CH2CH2OH)3x (5)
[式(5)中、xは、0.1〜5の数である。]
【0022】
次に、一般式(1)で表される金属アルコキシドについて具体的に説明する。かかる金属アルコキシドは、アルコキシ基以外の加水分解性基を含む場合があるが、このような場合であっても、本発明においては、金属アルコキシドと称する場合がある。
また、一般式(1)中におけるR1としてのアルキル基、アリール基またはアシル基の種類としては、特に制限されるものではないが、具体的に、好ましいアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基が挙げられ、また好ましいアリール基として、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基が挙げられ、さらに好ましいアシル基として、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基が挙げられる。
また、より安定した金属酸化物前駆体、例えば保存安定性に優れたチタンアミノアルコール錯体が得られることより、R1は直鎖または分岐を有するアルキル基であることがより好ましく、特に、分岐を有するアルキル基、例えばi−プロピル基であることがさらに好ましい。
【0023】
一般式(1)で表される金属アルコキシドは、酸化することにより酸化チタンを生成可能な金属酸化物前駆体であることが好ましい
【0024】
また、具体的に、好ましい金属アルコキシドとしては、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトライソプロポキチタン、テトラブトキシチタン等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられ、特に、テトライソプロポキシチタンであることが好ましい。
【0025】
次に、一般式(2)で表されるアミノアルコールについて説明する。一般式(2)におけるRアルキレン基またはアリーレン基の種類としては、特に制限されるものではないが、より保存安定性に優れた金属酸化物前駆体が得られることから、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、i−プロピレン基、n−プロピレン基、i−ブチレン基、n−ブチレン基等が好ましい。また好ましいアリーレン基としては、フェニレン基、ベンジレン基、ナフチレン基が挙げられる。また、さらに安定した金属酸化物前駆体が得られることより、一般式(2)におけるRは直鎖または分岐を有するアルキレン基であることがより好ましく、特に、分岐を有するアルキレン基であることが好ましい。
【0026】
したがって、好ましいアミノアルコールの具体例として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の一種単独または二種以上の組合わせが挙げられる
【0027】
次に、金属酸化物前駆体を形成する際の、一般式(1)で表される金属アルコキシドと一般式(2)で表わされるアミノアルコールとの反応比率について説明する。かかる金属アルコキシドとアミノアルコールとの反応比率は特に制限されるものではないが、例えば、金属酸化物前駆体中の金属(Ti)とチッソ元素(N)とのモル比(Ti:N)において、2:1〜1:4の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、金属(Ti)とチッソ元素(N)とのモル比が2:1よりも小さくなると、反応物の保存安定性が低下する場合があるためであり、一方、かかるモル比が1:4よりも大きくなると、加熱によって分解する有機物量が多くなる場合があり、さらには、フィルムにした場合に、フィルムの透明性が低下する場合があるためである。したがって、金属(Ti)とチッソ元素(N)とのモル比が、1:1〜1:3の範囲内の値となるように、金属アルコキシドとアミノアルコールとの反応比率を設定することがより好ましい。
【0028】
次に、金属酸化物前駆体中のアルコールの含有量について説明する。一般式(3)で表されるアルコールは、一般式(1)で表される金属アルコキシドが加水分解した時に生成するアルコールであるが、このアルコール量を生成する全アルコールの通常80重量%以下の値とすることが好ましく、50重量%以下の値とすることがより好ましく、特に好ましくは20重量%以下の値とすることである。
【0029】
なお、一般式(3)で表される副成アルコールの含有量の調整方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、一般式(3)で表わされる副成アルコールの沸点以上の温度、または沸点の近傍温度で加熱したり、あるいは低圧状態にして蒸発させることが好ましい。
【0030】
また、第1の実施形態において、水、ヘキサエチレングリコール、イソプロピレングリコール、メタノール、エタノールなどの炭素数1〜10のアルコール性溶媒、あるいはこれらのアルコール性溶媒と、トルエン、クロロホルムなどの非アルコール性溶媒との混合物を添加して、金属酸化物前駆体を金属酸化物前駆体溶液とすることが好ましい。このように金属酸化物前駆体を金属酸化物前駆体溶液とすると、ドーピング化合物との接触効率が向上するばかりか、使い勝手が良好となり、しかも、保存安定性が良好となる。なお、添加する溶媒としては、危険物指定されない等の理由で、水であることが最も好ましい。すなわち、環境への影響が少なく、製膜したときの性能がより良好となる観点から、金属酸化物前駆体(金属酸化物前駆体溶液)を水溶媒系とすることが好ましい。
さらに、本発明においては、金属酸化物前駆体の水溶液中に含まれるアルコール量は通常50重量%以下の値とすることが好ましく、30重量%以下の値とすることがより好ましく、特に好ましくは10重量%以下の値とすることである。また、金属酸化物前駆体を金属酸化物前駆体溶液とする場合、粘度を0.1〜100cps(温度25℃)の範囲内の値とするのが好ましい。このような粘度であれば、金属酸化物前駆体溶液の使い勝手や保存安定性がさらに良好となる。また、金属酸化物前駆体を金属酸化物前駆体溶液とする場合、具体的に金属酸化物前駆体の濃度を、金属濃度に換算して、0.1〜2.0モル/リットルの範囲内の値とするのが好ましく、より好ましくは0.12〜2.0モル/リットルの範囲内の値とすることである。
また、金属酸化物前駆体を金属酸化物前駆体溶液とするのに水を使用する場合には、金属酸化物前駆体の濃度を、金属酸化物濃度換算で0.06〜1.6モル/リットルの範囲内の値とすることが好ましい。
【0031】
次に、金属酸化物前駆体における加水分解について説明する。第1の実施形態において金属酸化物前駆体を他の成分と混合する前に、予め加水分解性基、例えばアルコキシ基等の一部または全部を加水分解しておいても良い。このように加水分解することにより、高濃度で金属酸化物を得ることができる。また、金属酸化物前駆体における加水分解性基を加水分解するにあたり、具体的には、金属酸化物前駆体に水を添加したり、あるいは金属酸化物前駆体を含水有機溶媒に溶解させることにより行うことができる。また、加水分解用の水を、水と金属酸化物前駆体に含まれる金属(Ti)とのモル比(HO/Ti)が、0.5/1〜200/1の範囲内の値となるように添加するのが好ましく、より好ましくは、1/1〜50/1の範囲内の値とすることである。
【0032】
また、金属酸化物前駆体(金属酸化物前駆体溶液)には、不揮発性オリゴマー状またはポリマー状のアミン、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールなどを、相当量添加してもよい。このような添加物を添加することにより、保存安定性をより向上させることができる。
なお、本発明において金属酸化物前駆体は、水溶液であることが好ましく、このような水溶液としては、金属酸化物前駆体が水に微分散しており、目視にして均一に溶解している状態も含むものとする。
【0033】
(2)(B)成分
(B)成分は、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、硼素(B)およびリン(P)からなる群から選択される少なくとも一つの原子を有するド−パント化合物であり、これらのうち金属を含む場合には(A)成分とは異なる種類の金属を含むド−パント化合物である。これらのドーパント化合物を含むことにより、金属酸化物前駆体が二酸化チタンの場合に、アナターゼ型結晶構造の含有率をより高めることができる。また、これらのドーパント化合物を含むことにより、高い硬度を有し、触媒活性に優れた二酸化チタン等の金属酸化物を得ることもできる。
【0034】
また、これらのド−パント化合物のうち、カルシウム、バリウムまたはストロンチウムを原子として有するド−パント化合物であることがより好ましい。
これらのド−パント化合物を添加することにより、金属酸化物前駆体が二酸化チタンの場合に、アナターゼ型結晶構造の含有率をより高めることができ、また、より高い硬度を得ることができる。
【0035】
また、ドーパント化合物の性状については特に制限されるものではないが、例えば水和物、水酸化物、酸化物、塩化物、硫化物、シアン化物、炭酸塩、硝酸塩および酢酸塩からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。具体的には、カルシウム水和物、バリウム水和物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫化カルシウム、シアン化カルシウム、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、および酢酸カルシウム等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
このように水酸化物等の性状のドーパント化合物を使用することにより、(A)成分に対する原子のドーパントを均一に行えるとともに、原子がイオンとして機能することができるため、アナターゼ型結晶構造の含有率(割合)がさらに高い二酸化チタン等の金属酸化物を得ることができる。
【0036】
また、ドーパント化合物として、ホウ酸、酸化ホウ素、リン酸、ホスホン酸からなる群から選択される少なくとも一つのド−パント化合物を使用することも好ましい。一部前述したように、これらホウ酸等をド−パント化合物として使用することにより、金属酸化物前駆体が二酸化チタンの場合に、アナターゼ型結晶構造の含有率をより高めることができ、また、より高い硬度を有し、触媒活性に優れた二酸化チタン等の金属酸化物を得ることができる。
【0037】
次に、(B)成分であるドーパント化合物の添加量について説明する。かかる添加量は、酸化して得られる金属酸化物の結晶構造等を考慮して定めることが好ましいが、例えば、ドーパント化合物の添加量を(A)成分100重量部に対して、0.01〜100重量部の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、ドーパント化合物の添加量が0.01重量部未満となると、添加効果が発揮されない場合があり、一方、100重量部を超えると、得られる金属酸化物の結晶構造が乱れ、アモルファス酸化物となる場合があるためである。
したがって、ドーパント化合物の添加量を(A)成分100重量部に対して、0.01〜70重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、0.02〜50重量部の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0038】
[第2の実施の形態]
本発明における第2の実施の形態は、金属酸化物前駆体の製造方法に関し、一般式(1)で表される金属アルコキシドと、一般式(2)で表されるアミノアルコールとの反応工程(主工程)を含む金属酸化物前駆体組成物の製造方法であり、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、硼素およびリンからなる群から選択される少なくとも一つの原子を有するド−パント化合物であり、金属を含む場合には(A)成分とは異なる種類の金属を含むド−パント化合物を添加する工程と、一般式(3)で表されるアルコールの含有量を50重量%以下とする工程とをさらに含むことを特徴とする。なお、金属アルコキシド、アミノアルコールあるいは形成した金属酸化物前駆体については、第1の実施形態で説明した内容と同様のものが使用できるため、ここでの説明は省略する。
【0039】
(1)金属アルコキシドとアミノアルコールとの反応割合
金属アルコキシドとアミノアルコールとの反応割合は、特に制限されるものではないが、金属アルコキシド1モルに対して、アミノアルコールの反応割合を0.5モル以上、好ましくは1〜3モルの範囲内、特に好ましくは1.5〜2.5モルの範囲内の値とすることである。この理由は、アミノアルコールの反応割合が0.5モル未満となると、金属アミノアルコール錯体の安定性が低下する場合があるためである。
【0040】
(2)金属アルコキシドとアミノアルコールとの反応条件
また、金属アルコキシドとアミノアルコールとの反応温度についても、特に制限されるものではないが、具体的に、当該反応温度を室温(20℃)〜170℃の範囲内とするのが好ましく、室温〜150℃の範囲内の値とするのがより好ましい。この理由は、反応温度が室温未満となると、金属アルコキシドとアミノアルコールとの反応性が著しく低下する場合があり、一方、反応温度が170℃を超えると、反応を制御することが困難となる場合があるためである。
【0041】
また、金属アルコキシドとアミノアルコールとを反応させる際に有機溶媒を使用し、有機溶媒の沸点もしくはその近傍温度で加熱することが好ましい。このように有機溶媒の沸点付近で加熱することにより、有機溶媒を還流させることができ、反応温度を一定に調整することが容易となる。
ここで、有機溶媒を使用した場合、反応温度を50〜160℃の範囲内の値とするのが好ましく、70〜100℃の範囲内の値とするのがより好ましい。
【0042】
また、反応時間は反応温度との関係があるが、当該反応時間を好ましくは1〜10時間の範囲内の値、より好ましくは、2〜9時間の範囲内の値とすることである。この理由は、反応時間が1時間未満となると、金属アルコキシドとアミノアルコールとの反応が不均一となる場合があり、一方、反応時間が10時間を超えると、金属酸化物前駆体の生産性が著しく低下する傾向があるためである。
なお、反応時間を短縮し、反応制御をより容易にするために、反応器を減圧状態にすることが好ましい。
【0043】
さらに、反応圧力についても、特に制限されるものではないが、当該反応圧力を好ましくは0.01〜1.0気圧の範囲内の値、より好ましくは0.01〜0.2気圧の範囲内の値とすることである。この理由は、反応圧力が0.01気圧未満となると、減圧状態に保持するのが困難となる場合があり、一方、反応圧力が1気圧を超えると、副成するアルコールの沸点が上昇し、反応率が低下する傾向があるためである。
【0044】
(3)有機溶媒
金属アルコキシドとアミノアルコールとの反応は有機溶媒の存在下に行うのが好ましい。このように有機溶媒の存在下に反応させることにより、金属アルコキシドとアミノアルコールとの反応を均一に生じさせることができる。このような有機溶媒としては、例えばモノアルコール、ジオールまたはトリオールのアルコール化合物が挙げられる。あるいは、有機溶媒として、過剰のアミノアルコールを使用することも、ゲル化防止の観点から好ましい。
【0045】
具体的に、好ましいモノアルコールとしては、R5OHで示されるアルコール化合物が挙げられ、式中のR5は炭素数6〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基、もしくは炭素数5〜10の直鎖状または分岐状の酸素結合を有するアルキル基である。したがって、好ましいモノアルコールとして、2−エチルヘキサノール、3、3、5−トリメチル−1−ヘキサノール、オクタノール、メトキシエトキシエタノール等が挙げられる。
【0046】
また、ジオールとしては、HO(R6)OHで示されるアルコール化合物が挙げられ、式中のR6は炭素数2〜12の、直鎖状または分岐状のアルキレン基である。したがって、好ましいジオールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、2−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、ヘキサメチレンジオールなどの1種、または2種以上の組み合わせを挙げることができる。
さらに、好ましいトリオールとしては、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオールなどを挙げることができる。
これらのジオール、トリオールのなかでエチレングリコールとグリセリンが最も好ましい。
【0047】
(4)ドーピング工程
第2の実施の形態においては、ドーパント化合物を(A)成分に対して添加するドーピング工程を含んでいる。このドーピング工程は、主工程と同時に実施しても良いし、あるいは主工程の終了後に実施しても良い。また、ドーピング工程として成分(A)あるいは成分(B)のいずれかに対して添加して実施した後、主工程を実施しても良い。したがって、ドーピング工程の順序について、金属アルコキシドとアミノアルコールとの反応工程の関係において、以下のような場合が挙げられる。
【0048】
▲1▼ 金属アルコキシドとアミノアルコールとを反応させた後に、ドーパント化合物を添加する。
▲2▼ 金属アルコキシドと、アミノアルコールと、ドーパント化合物とを混合した状態で、金属アルコキシドとアミノアルコールとを反応させる。
▲3▼ 金属アルコキシドとアミノアルコールとを反応させる前にドーパント化合物を添加し(プレドープ)、さらに、金属アルコキシドとアミノアルコールとを反応させた後に、ドーパント化合物を添加する(ポストドープ)。
▲4▼ アミノアルコールとドーパント化合物とを混合した状態で、金属アルコキシドを添加して、金属アルコキシドとアミノアルコールとを反応させる。
▲5▼ 金属アルコキシドとドーパント化合物とを混合した状態で、アミノアルコールを添加して、金属アルコキシドとアミノアルコールとを反応させる。
【0049】
(5)副成アルコールの除去
金属アルコキシドとアミノアルコールとを反応させて金属酸化物前駆体を形成した後に一般式(3)で表わされるアルコールの含有量を80重量%以下の値とする工程を含んでいる。この理由は、副成アルコールが80重量%を超えて存在すると、金属酸化物前駆体の保存安定性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、かかる副成アルコールの除去工程において、一般式(3)で表わされるアルコールの含有量を50重量%以下の値とするのがより好ましく、20重量%以下の値とするのがさらに好ましい。
なお、金属酸化物前駆体の形成中においても副成アルコールを除去することが好ましく、その場合にも、最終的に、アルコールの含有量を副生する理論アルコール量の80重量%以下の値とすれば良い。
【0050】
なお、副成アルコールの除去方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、第1の実施形態で説明したように、一般式(3)で表わされる副成アルコールの沸点以上の温度、または沸点の近傍温度で加熱することが好ましい。
したがって、金属アルコキシドとアミノアルコールとの反応温度T1(℃)とし、一般式(3)で表わされる副成アルコールの沸点をT2(℃)としたときに、T1≧T2の関係を満足するのが好ましく、より好ましくは、T1≧T2+10℃の関係を満足することである。
【0051】
(6)水分除去
また、金属アルコキシドとアミノアルコールとの反応を実施するに際して、副生する水を反応系から除去することが好ましい。このように水を除去することにより、金属アルコキシドとアミノアルコールとの反応がより促進されて、金属酸化物前駆体を効率的に得ることができる。
また、有機溶媒を除去することにより、反応混合物から副生成物である水の除去も併せて促進されるため、反応系から有機溶媒を徐々に除去することも好ましい。
さらに、反応を減圧下に行なうことによっても水の除去が促進されるため、金属アルコキシドとアミノアルコールとを反応を減圧状態、例えば、1〜100Torrの圧力下で行うことが好ましい。
【0052】
[第3の実施の形態]
本発明における第3の実施形態は金属酸化物に関し、第1の実施形態の金属酸化物前駆体を酸化(加熱)して得ることができる。すなわち、第3の実施形態は、第1の実施形態である金属酸化物前駆体、例えばチタンアミノアルコール錯体を所定温度で加熱することにより得られる金属酸化物(二酸化チタン)であり、かかる金属酸化物は、特定の結晶構造、例えばアナターゼ型結晶構造を多く含んでいるという特徴がある。
【0053】
(1)加熱温度
金属酸化物前駆体を酸化するための加熱温度を、400℃〜1000℃の範囲内の値とするのが好ましく、500℃〜700℃の範囲内の値とすることがより好ましく、最も好ましくは550〜650℃範囲内の値とすることである。この理由は、金属酸化物前駆体の加熱温度が400℃未満となると、特定の結晶構造を有する金属酸化物を得ることが困難となる場合があり、一方、金属酸化物前駆体の加熱温度が1000℃を超えると、過度に酸化されて、逆に特定の結晶構造を有する金属酸化物を得ることが困難となる場合があるためである。
【0054】
(2)加熱方法
また、金属酸化物前駆体の加熱方法も特に制限されるものではないが、より具体的には、金属酸化物前駆体(金属酸化物前駆体溶液、あるいはこれから得られるゲル)を基体上に塗布して層を形成した後、加熱することが好ましい。したがって、金属酸化物前駆体としてチタンアミノアルコール錯体を使用した場合、このように加熱することにより、アナターゼ型結晶構造の含有率が多い二酸化チタンを基体上に形成することが可能である。より具体的には、アナターゼ型結晶構造の含有率を80重量%以上とすることができ、さらに加熱条件等を調節することにより、アナターゼ型結晶構造の含有率を95重量%以上の値とすることができる。また、このようにして得られた二酸化チタンは、650℃以上に長期間加熱してもアナターゼ型結晶構造を維持し、ルチル型結晶構造にほとんど変換しないという特徴がある。
【0055】
(3)粒子径
また、金属酸化物が結晶粒子の場合、その平均粒子径を50〜500nmの範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、平均粒子径が50nm未満となると、光触媒活性が十分得られない場合があり、一方、平均粒子径が500nmを超えると、粒子や結晶構造に不規則性を生じる場合があるためである。
したがって、金属酸化物の平均粒子径を60〜400nmの範囲内の値とするのがより好ましく、70〜350nmの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0056】
(4)フィルム厚さ
また、金属酸化物がフィルムの場合、その厚さを50〜500nmの範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、フィルムの厚さが50nm未満となると、下地に対する密着力が低下するという問題が生じる場合があり、一方、厚さが500nmを超えると、均一な厚さに形成するのが困難となる場合があるためである。
したがって、金属酸化物のフィルム厚さを60〜400nmの範囲内の値とするのがより好ましく、70〜300nmの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
なお、フィルムを形成する際の、金属酸化物前駆体の形成方法についても特に制限されるものでなく、例えば、ディップ法、キャスト法、ロールコート法、スピンコート法、スプレーコート法等を採ることができる。
【0057】
(5)基材
また、金属酸化物を形成する基材についても特に制限されるものでなく、例えば、ソーダガラスおよび石英ガラスなどのガラス、ジルコニアおよびアルミナなどのセラミックス、鉄およびステンレススチールなどの金属等を挙げることができる。したがって、金属酸化物として、例えば、アナターゼ型結晶構造を多く含む二酸化チタン(膜)をガラス上に形成した場合、自動車などの車輌用ガラス、住宅用ガラス、ビル用ガラスなどの建築物用ガラス、あるいは蛍光灯、水銀灯などの照明器具用ガラスとして広く使用することができる。
【0058】
【実施例】
以下実施例を基に、さらに本発明を詳細に説明する。ただし、言うまでもなく、本発明の範囲は実施例の記載に制限されるものではない。
【0059】
[実施例1]
(金属酸化物の作成)
500mlの丸底フラスコ内に、アミルアルコールとしてのトリエタノールアミン(200mmol、29.8g)および水酸化カルシウム粉末(1mmol、0.074g)を収容して撹拌混合することにより、水酸化カルシウム粉末を懸濁させた。次いで、金属アルコキシドとしてのテトライソプロポキシドチタン(100mmol、28.4g)を収容して、温度50℃、1時間、圧力760Torrの条件で、撹拌機を用いて均一に撹拌しながら反応させて、金属酸化物前駆体を含む反応液とした。この反応液をエバポレーターポンプが連結された真空槽に収容し、室温(25℃)、圧力20〜40Torr、時間30分の条件で、揮発成分(副成アルコールであるイソプロパノール)を吸引除去した。次いで、ヒーターを用いて、丸底フラスコの周囲温度を50℃に昇温させた状態で1時間放置した後、さらなる泡立ちがなくなるまで温度を80℃に昇温させるとともに、圧力を10Torrとして黄色のシロップ状物を得た。なお、この時点で、シロップ状物(金属酸化物前駆体)中のイソプロパノールの含有量を測定したところ、7重量%であった。結果を表1に示す。
【0060】
次いで、得られたシロップ状物に対して15mlの水を添加した後、溶液が均一となるまで撹拌し、さらに合計量が50mlになるまで水を添加して、約2mol/lのチタンアミノアルコール錯体溶液を得た。得られたチタンアミノアルコール錯体溶液20mlに対して、10mlのアンモニア濃縮溶液(濃度37重量%)を添加した後、温度50℃で、1日放置させてチタンアミノアルコール錯体溶液をゲル化させた。このゲル化したチタンアミノアルコール錯体溶液を、換気された炉内に収容した後、5℃/分の条件で室温から650℃まで昇温させることにより、粉末状の二酸化チタンを得た。
【0061】
一方、得られたシロップ状物に対して15mlの水を添加した後、溶液が均一となるまで撹拌し、さらに合計量が50mlになるまで水を添加して、約2mol/lのチタンアミノアルコール錯体溶液を得た。このチタンアミノアルコール錯体溶液25mlに対して、フッ素系界面活性剤FC−170(住友スリーエム(株)製)を18.75gと、所定量の水とを加えて、濃度1mol/lの界面活性剤入りチタンアミノアルコール錯体溶液を調製した。
この界面活性剤入りチタンアミノアルコール錯体溶液を、スピンコータを用いてガラス板(厚さ2mm、50mm角)上に、回転数1000rpm、時間60秒の条件で塗工した。次いで、換気された炉内に収容した後、温度150℃、2時間の条件で加熱乾燥し、さらに、温度600℃、5分間の条件で加熱することにより、厚さ240nmのフィルム状二酸化チタンを得た。
【0062】
(金属酸化物の評価)
(1)製膜性
得られたフィルム状二酸化チタンの外観を、光学顕微鏡で観察し、製膜性を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:均一な厚さを有しており、表面が平滑である。
△:若干不均一な厚さを有しているが、表面が平滑である。
×:厚さが不均一であり、表面に凹凸が観察される。
【0063】
(2)結晶含有率
得られた粉末状の二酸化チタンに回折角度2θのX線(出力条件:400kV×100mA、CuK波長)を照射し、回折ピークチャートを得た。そして、2θ=25.3〜25.5のピーク強度(アナターゼ型結晶構造TiO2)をIaとし、2θ=27.5〜27.9のピーク強度(ルチル型結晶構造TiO2)をIrとして、下記式から、得られた二酸化チタンにおけるアナターゼ結晶構造の結晶含有率(f)を求めた。その結果、アナターゼ結晶構造の結晶含有率は96重量%であった。得られた結果を表1に示す。
f=1/(1+1.265×Ir/Ia)
また、この二酸化チタンは650℃で、30分間加熱しても、アナターゼ結晶構造からルチル型結晶構造に変化しないことが確認された。
【0064】
(3)光触媒性
得られたフィルム状二酸化チタンに、ブラックライトを24時間照射した後、2mmol/lのメチレンブルー水溶液に浸漬塗布し、さらに乾燥した。次いで、基材であるガラス面に付着したメチレンブルーを除去した後、ガラス面と反対側から、フィルム状二酸化チタンにブラックライトを照射して、メチレンブルーの分解率を測定し、光触媒性を評価した。すなわち、紫外線吸収測定器により、波長670nmにおけるメチレンブルー塗布前の吸光度(logIg)と、メチレンブルー塗布直後の吸光度(logI0)と、ブラックライトを20分間照射後の吸光度(logI)とをそれぞれ測定し、下式からメチレンブルーの分解率を算出した。その結果、フィルム状二酸化チタンによるメチレンブルーの分解率は81%であった。得られた結果を表1に示す。
分解率=(1−(logI−logIg)/(logI0−logIg))
【0065】
(4)鉛筆硬度
得られたフィルム状二酸化チタンについて、JIS H8602に準拠した鉛筆硬度を測定し、以下の基準で硬度を評価した。
◎:鉛筆硬度が7H以上
○:鉛筆硬度が5H以上
△:鉛筆硬度がH以上
×:鉛筆硬度がH未満
【0066】
[実施例2]
500mlの丸底フラスコ内に、アミルアルコールとしてのトリエタノールアミン(200mmol、29.9g)および5gの0.1mol/l水酸化カルシウム溶液(0.741gの水酸化カルシウムを、100mlのエチレングリコールに、120℃で分散させたもの)を収容して撹拌混合した。次いで、金属アルコキシドとしてのテトライソプロポキシドチタン(100mmol、28.4g)を収容して、温度50℃、1時間、圧力760Torrの条件で、撹拌機を用いて均一に撹拌しながら反応させて、金属酸化物前駆体を含む反応液とした。この反応液をエバポレーターポンプが連結された真空槽に収容し、室温(25℃)、圧力20〜40Torr、時間60分の条件で、揮発成分(副成アルコールであるイソプロパノール)を吸引除去した。
【0067】
次いで、ヒーターを用いて、丸底フラスコの周囲温度を50℃に昇温させた状態で1時間放置し、さらに温度を80℃に昇温させ、圧力を10Torrとして1時間放置した。さらに、エチレングリコールを全て揮発させるため、温度を150℃に昇温させて30分間放置して、黄色のシロップ状物を得た。なお、この時点で、シロップ状物(金属酸化物前駆体)中のイソプロパノールの含有量を測定したところ、0.5重量%であった。結果を表1に示す。
次いで、得られたシロップ状物を水に溶解させて2mol/lの溶液とし、実施例1と同様に、チタンアミノアルコール錯体溶液を得た後、ゲル化させて、さらに焼成することにより、粉末状の二酸化チタンを得た。また、実施例1と同様に、厚さ190nmのフィルム状二酸化チタンを得た。得られた粉末状およびフィルム状二酸化チタンにつき、実施例1と同様に、製膜性等を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0068】
[実施例3〜4]
実施例2における水酸化カルシウムのかわりに、酢酸カルシウム(実施例3、0.158gの酢酸カルシウムを、100mlのエチレングリコールに、80℃で分散させたもの)または硝酸カルシウム(実施例4、0.164gの硝酸カルシウムを、100mlのエチレングリコールに、80℃で溶解させたもの)を用いたほかは、実施例2と同様に黄色のシロップ状物を得た。なお、シロップ状物(金属酸化物前駆体)中のイソプロパノールの含有量を測定したところ、それぞれ0.5重量%(実施例3)および0.3重量%(実施例4)であった。得られた結果を表1に示す。
次いで、得られたシロップ状物を水に溶解させて2mol/lの溶液とし、実施例1と同様に、チタンアミノアルコール錯体溶液を得た後、ゲル化させて、さらに焼成することにより、粉末状の二酸化チタンを得た。また、実施例1と同様に、厚さ175nmのフィルム状二酸化チタンを得た。得られた粉末状およびフィルム状二酸化チタンにつき、実施例1と同様に、製膜性等を評価した。得られた結果をそれぞれ表1に示す。
【0069】
[実施例5]
実施例1における水酸化カルシウム粉末量を1mmol(0.074g)から20mmol(1.48g)に増加したほかは、実施例1と同様に、黄色のシロップ状の金属酸化物前駆体(チタンアミノアルコール錯体)を得た。この金属酸化物前駆体中のイソプロパノールの含有量を測定したところ、5重量%であった。結果を表1に示す。
次いで、実施例1と同様に、金属酸化物前駆体から2mol/lのチタンアミノアルコール錯体溶液を得た後、ゲル化させて、さらに焼成することにより、粉末状の二酸化チタンを得た。また、実施例1と同様に、厚さ230nmのフィルム状二酸化チタンを得た。得られた粉末状およびフィルム状二酸化チタンにつき、実施例1と同様に、製膜性等を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0070】
[実施例6]
500mlの丸底フラスコ内に、トリエタノールアミン(200mmol、29.8g)および2mlの0.5mol/lの硝酸カルシウム分散液(溶媒イソプロパノール、濃度11.8重量%)を収容して撹拌混合した後、テトライソプロポキシドチタン(100mmol、28.4g)を収容して反応させたほかは、実施例1と同様に黄色のシロップ状物を得た。なお、この時点で、シロップ状物(金属酸化物前駆体)中のイソプロパノールの含有量を測定したところ、4.5重量%であった。結果を表1に示す。
次いで、実施例1と同様に、金属酸化物前駆体から2mol/lのチタンアミノアルコール錯体溶液を得た後、ゲル化させて、さらに焼成することにより、粉末状の二酸化チタンを得た。また、実施例1と同様に、厚さ210nmのフィルム状二酸化チタンを得た。得られた粉末状およびフィルム状二酸化チタンにつき、実施例1と同様に、製膜性等を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0071】
[実施例7]
無水酢酸カルシウム(1mmol、0.158g)をトリエタノールアミンに70℃で溶解させた後、テトライソプロポキシドチタン(100mmol、28.4g)と反応させたほかは、実施例1と同様に黄色のシロップ状物を得た。なお、この時点で、シロップ状物(金属酸化物前駆体)中のイソプロパノールの含有量を測定したところ、3重量%であった。結果を表1に示す。
次いで、実施例1と同様に、金属酸化物前駆体から2mol/lのチタンアミノアルコール錯体溶液を得た後、ゲル化させて、さらに焼成することにより、粉末状の二酸化チタンを得た。また、実施例1と同様に、厚さ190nmのフィルム状二酸化チタンを得た。得られた粉末状およびフィルム状二酸化チタンにつき、実施例1と同様に、製膜性等を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0072】
[実施例8]
500mlの丸底フラスコ内に、アミルアルコールとしてのトリエタノールアミン(200mmol、29.8g)および金属アルコキシドとしてのテトライソプロポキシドチタン(100mmol、28.4g)を収容して、温度50℃、1時間、圧力760Torrの条件で、撹拌機を用いて均一に撹拌しながら反応させて、金属酸化物前駆体を含む反応液とした。この反応液をエバポレーターポンプが連結された真空槽に収容し、室温(25℃)、圧力20〜40Torr、時間30分の条件で、揮発成分(副成アルコールであるイソプロパノール)を吸引除去した。次いで、ヒーターを用いて、丸底フラスコの周囲温度を50℃に昇温させた状態で1時間放置した後、さらなる泡立ちがなくなるまで温度を80℃に昇温させるとともに、圧力を10Torrとして黄色のシロップ状物を得た。なお、この時点で、シロップ状物(金属酸化物前駆体)中のイソプロパノールの含有量を測定したところ、5重量%であった。結果を表2に示す。
【0073】
次いで、得られたシロップ状物に対して、濃度1mol/lの酢酸カルシウム水溶液(7.41gの水酸化カルシウムを2倍モル量の酢酸に溶解した液を蒸留して100mlに調整したもの)10mlおよび水5mlを添加した後、溶液が均一となるまで撹拌し、さらに合計量が50mlになるまで水を添加して、約2mol/lのチタンアミノアルコール錯体溶液を得た。得られたチタンアミノアルコール錯体溶液を、実施例1と同様にして、粉末状の二酸化チタンを得た。また、実施例1と同様に、厚さ250nmのフィルム状二酸化チタンを得た。得られた粉末状およびフィルム状二酸化チタンにつき、実施例1と同様に、製膜性等を評価した。得られた結果を表2に示す。なお、参考のために回折ピークチャートを図1に示す。
【0074】
[実施例9]
実施例8における濃度1mol/lの酢酸カルシウム水溶液10mlおよび水5mlのかわりに、濃度0.2mol/lの硝酸カルシウム水溶液10mlおよび水10mlを添加したほかは、実施例8と同様に黄色のシロップ状の金属酸化物前駆体(チタンアミノアルコール錯体)を得た。
次いで、実施例1と同様に、金属酸化物前駆体からチタンアミノアルコール錯体溶液を得た後、ゲル化させて、さらに焼成することにより、粉末状の二酸化チタンを得た。また、実施例1と同様に、厚さ150nmのフィルム状二酸化チタンを得た。得られた粉末状およびフィルム状二酸化チタンにつき、実施例1と同様に、製膜性等を評価した。得られた結果を表2に示す。
【0075】
[実施例10]
実施例8における濃度1mol/lのカルシウム水溶液10mlおよび水5mlのかわりに、濃度0.2mol/lの酢酸カルシウム水溶液(炭酸カルシウムを2倍モル量の酢酸に溶解した液を蒸留して100mlに調整したもの)5mlおよび水10mlを添加したほかは、実施例8と同様に黄色のシロップ状の金属酸化物前駆体(チタンアミノアルコール錯体)を得た。
次いで、実施例1と同様に、金属酸化物前駆体からチタンアミノアルコール錯体溶液を得た後、ゲル化させて、さらに焼成することにより、粉末状の二酸化チタンを得た。また、実施例1と同様に、厚さ180nmのフィルム状二酸化チタンを得た。得られた粉末状およびフィルム状二酸化チタンにつき、実施例1と同様に、製膜性等を評価した。得られた結果を表2に示す。
【0076】
[実施例11]
実施例8における濃度1mol/lのカルシウム水溶液10mlおよび水5mlのかわりに、濃度0.5mol/lの酢酸カルシウム水溶液(水酸化カルシウムを2倍モル量の酢酸に溶解した液を蒸留して100mlに調整したもの)2mlおよび濃度0.5mol/lのホウ酸2mlを添加し、最終的に50mlのを加えたほかは、実施例8と同様に黄色のシロップ状の金属酸化物前駆体(チタンアミノアルコール錯体)を得た。
次いで、実施例1と同様に、金属酸化物前駆体からチタンアミノアルコール錯体溶液を得た後、ゲル化させて、さらに焼成することにより、粉末状の二酸化チタンを得た。また、実施例1と同様に、厚さ180nmのフィルム状二酸化チタンを得た。得られた粉末状およびフィルム状二酸化チタンにつき、実施例1と同様に、製膜性等を評価した。得られた結果を表2に示す。
【0077】
[実施例12]
実施例1における濃度1mol/lのカルシウム水溶液10mlのかわりに、ドーパント化合物として、濃度0.2mol/lの水酸化バリウム5mlを添加したほかは、実施例1と同様に黄色のシロップ状の金属酸化物前駆体(チタンアミノアルコール錯体)を得て、さらに、粉末状の二酸化チタンおよび厚さ150nmのフィルム状二酸化チタンを得た。
得られた二酸化チタンにつき、実施例1と同様に、製膜性等を評価した。得られた結果を表2に示す。
【0078】
[実施例13〜15]
実施例8における濃度1mol/lのカルシウム水溶液10mlのかわりに、ドーパント化合物として、実施例13では、濃度0.1mol/lのホウ酸10ml、実施例14では、濃度1mol/lのホウ酸10ml、実施例15では、濃度0.1mol/lのリン酸10mlをそれぞれ添加したほかは、実施例8と同様に黄色のシロップ状の金属酸化物前駆体(チタンアミノアルコール錯体)を得て、さらに、粉末状の二酸化チタンおよびフィルム状二酸化チタンを得た。
得られた二酸化チタンにつき、実施例1と同様に、それぞれ製膜性等を評価した。得られた結果を表2に示す。なお、実施例14における回折ピークチャートを参考のため図2に示す。
【0079】
[比較例1]
500mlの丸底フラスコ内に、アミルアルコールとしてのトリエタノールアミン(200mmol、29.8g)および金属アルコキシドとしてのテトライソプロポキシドチタン(100mmol、28.4g)を収容して、温度50℃、1時間、圧力760Torrの条件で、撹拌機を用いて均一に撹拌しながら反応させて、金属酸化物前駆体を含む反応液とした。この反応液をエバポレーターポンプが連結された真空槽に収容し、室温(25℃)、圧力20〜40Torr、時間30分の条件で、揮発成分(副成アルコールであるイソプロパノール)を吸引除去した。次いで、ヒーターを用いて、丸底フラスコの周囲温度を50℃に昇温させた状態で1時間放置した後、さらなる泡立ちがなくなるまで温度を80℃に昇温させるとともに、圧力を10Torrとして黄色のシロップ状物(チタンアミノアルコール錯体)を得た。このチタンアミノアルコール錯体に、ドーパント化合物を添加することなく、実施例1と同様に、これを塗布および加熱して、粒子状二酸化チタンを得た。また、実施例1と同様に、これに界面活性剤を添加して、フィルム状二酸化チタンを得た。
得られた粒子状およびフィルム状二酸化チタンにつき、それぞれ実施例1と同様に、製膜性、結晶含有率および光触媒性を評価した。得られた結果を表3に示す。
【0080】
[比較例2〜4]
比較例1における金属アルコキシド(チタン化合物)として、チタンテトライソプロポキド(比較例2)、乳酸チタン(比較例3)、チタンジブチレートトリエタノールアミン(TiDBDT)(比較例4)をそれぞれ用いたほかは、比較例1と同様に、粒子状およびフィルム状二酸化チタンを得た。得られた粒子状およびフィルム状二酸化チタンにつき、それぞれ実施例1と同様に、製膜性、結晶含有率および光触媒性を評価した。得られた結果を表3に示す。
【0081】
【表1】

Figure 0004216383
【0082】
【表2】
Figure 0004216383
【0083】
【表3】
Figure 0004216383
【0084】
【発明の効果】
本発明の金属酸化物前駆体組成物、例えば、特定のドーパント化合物を含むチタンアミノアルコール錯体組成物によれば、酸化加熱することにより、アナターゼ型結晶構造の含有率の高く、触媒活性の高い二酸化チタンを安定して得ることができるようになった。
【0085】
また、本発明の金属酸化物前駆体組成物の製造方法によれば、例えば、アナターゼ型結晶構造の含有率が高く、触媒活性の高い二酸化チタンが得られる、特定のドーパント化合物を含んだチタンアミノアルコール錯体を効率的に、しかも安定して得ることができるようになった。
【0086】
また、本発明の金属酸化物、例えば二酸化チタンによれば、アナターゼ型結晶構造の含有率が高く、硬度が高く、しかも触媒活性に優れている。よって、これらの金属酸化物、例えば二酸化チタンを含む製品は、建築、車両部品、照明器具などの表面改質用途等に用いることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例8における二酸化チタンの回折ピークを表す図である。
【図2】実施例14における二酸化チタンの回折ピークを表す図である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a metal oxide precursor composition from which a metal oxide can be obtained, a method for producing the same, and a metal oxide. More specifically, the present invention relates to a metal oxide precursor composition obtained as a metal oxide, such as titanium dioxide having a high proportion of anatase type crystal structure, a method for producing the same, and a metal oxide obtained from the metal oxide precursor composition.
[0002]
[Prior art]
Traditionally, film-like titanium dioxide has often been used as an efficient photocatalyst and semiconductor electrode (T Sakata, in Photocatalysis, ed. N Serepone and E Pelizzetti, Wiley, New York, 1989, p311; and DE Scaife Sol. Energy, 1980, 25, 41). Titanium dioxide is also used as an active reagent and an inert carrier. As a method for producing titanium dioxide suitable for such applications, TiO as a catalyst on the inert carrier is used.2And V2OThreeIs well known as a commercial process (MS Wainwright and NR Foster, Catal. Rev. Sci). Eng. (1917), 19 (2), 211).
Furthermore, studies have been made on the photocatalytic decomposition of water using titanium dioxide and the generated hydrogen as fuel (AJ Bard, Science, (1980), 207, 139; E Borgarello et al, J Am. Chem. Soc. (1982), 104 (11), 2996).
[0003]
Thus, although titanium dioxide has attracted attention in recent years, it is necessary to have an anatase type crystal structure among the crystal structures in titanium dioxide in order to exert photocatalytic activity, and has a high anatase ratio, and In order to maximize the photocatalytic ability, there is a problem that it is difficult to produce a molded product of titanium dioxide having a large surface area.
Conventionally, as a method for producing particulate titanium dioxide having such a high anatase ratio, titanium sulfate is obtained by a sulfuric acid method using ilmenite as a raw material, and the titanium sulfate is thermally hydrolyzed to metatitanic acid (TiO (TiO ( OH)2Or TiO2・ H2It was known to prepare O) and peptize this metatitanic acid with a monobasic acid such as nitric acid. However, since these titanium sols are strong acids having a pH of about 1-2, it is necessary to pay attention to the handling, and when they are made into a film, the adhesive strength to the adherend is weak and easily peels off due to friction or the like. It had the problem that it ended up.
[0004]
In addition, titanium tetrachloride purified by repeated distillation, (NHFour)2(TiO (C2OFour)2) And isopropyl titanate have been studied as raw materials for titanium dioxide. However, none provided titanium dioxide containing a sufficient anatase type crystal structure. Specifically, J European Ceramic Society, 1988, 287-297 describes a titanium dioxide powder produced from a precursor obtained by reacting titanium dioxide with triethanolamine and ethylene glycol. Thus obtained titanium dioxide contained a rutile type crystal structure in the range of 10 to 15%, and it could not be said that the content of the anatase type crystal structure was still high.
[0005]
In addition, according to the recently developed sol-gel method, titanium alkoxide such as isopropyl titanate is used as a starting material, and a product made of a titanium compound (titanium oxide) is powdered, fibrous, filmy, etc. Can be obtained. However, a solution or sol made of titanium alkoxide is easily hydrolyzed with water to form a gel, so that the storage stability is poor, and it is difficult to stably obtain a titanium compound having uniform characteristics. . Moreover, since these solutions contain alcohol, they are designated as hazardous materials, and there are problems such as requiring explosion-proof equipment in the equipment used.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
Under such circumstances, the inventors diligently studied the above-mentioned problem, and by adding (doping) a dopant compound containing a specific atom to the metal oxide precursor, the inventors have a high anatase crystal structure. It discovered that metal oxides, such as a titanium dioxide containing by rate, were obtained, and completed this invention.
Further, the present inventors have found that a water solution obtained by adding water to a reaction product of a specific metal alkoxide and amyl alcohol is stable, and that the pH is substantially neutral or weakly alkaline, thereby completing the present invention. It is a thing.
Furthermore, a specific metal oxide precursor composition can be efficiently obtained by reacting a specific metal alkoxide with amyl alcohol and adding a dopant compound containing a specific atom. The title and the present invention have been completed.
[0007]
That is, the object of the present invention is to obtain a metal oxide such as titanium dioxide having a high content (ratio) of anatase type crystal structure, and since it is aqueous, no explosion-proof equipment is required as equipment to be used, and pH It is to provide a metal oxide precursor composition with less restrictions on the use conditions since is substantially neutral or weakly alkaline.
Another object of the present invention is to provide a method for producing a metal oxide precursor composition capable of efficiently and stably obtaining such a metal oxide precursor composition.
Furthermore, another object of the present invention is to provide a metal oxide such as titanium dioxide having a high content (ratio) of anatase type crystal structure obtained from the metal oxide precursor composition described above.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
  This invention is a titanium dioxide precursor composition containing the following (A) component and (B) component, Comprising: The ratio of the dopant compound of (B) component with respect to 100 mol of titanium atoms of the following (A) component is 0.00. The titanium dioxide precursor composition is in the range of 5 to 20 mol.
(A) A titanium amino alcohol complex formed by reacting a titanium alkoxide represented by the following general formula (1) with an amino alcohol represented by the following general formula (2)
          Ti (OR1)4      (1)
[In general formula (1), R1Represents an alkyl group, an aryl group or an acyl group. ]
          (HOR 2 ) 3 N      (2)
[In general formula (2), R2Is an alkylene group, an arylene group orIs an acylene group. ]
(B) a dopant compound having at least one atom selected from the group consisting of calcium, barium, strontium, boron and phosphorus
  Thus, by comprising a specific dopant compound as a component (B) to constitute a metal oxide precursor composition, the metal oxide precursor composition has a high content of anatase type crystal structure. A metal oxide such as titanium can be obtained. In addition, a metal oxide such as titanium dioxide having high hardness and excellent catalytic activity can be obtained by the action of the component (B).
[0009]
  Another aspect of the present invention is a method for producing a metal oxide precursor composition, which is represented by the following general formula (1).titaniumAn alkoxide and an amino alcohol represented by the following general formula (2):To make titanium amino alcohol complexProcess,as well asCalcium, BaliUmm, strikeRonchiUmm, BorElementaryAnd from phosphorusA dopant having at least one atom selected from the group consisting ofThe compound at a ratio in the range of 0.5 to 20 mol with respect to 100 mol of titanium atom of the titanium amino alcohol complex.Including a step of addingtitanium dioxideThe present invention relates to a method for producing a precursor composition.
[0010]
          Ti (OR 1 ) 4       (1)
[General formula (1)Medium, R 1 Is an alkyl group, aryl group or acyl groupShow. ]
[0011]
        (HOR 2 ) 3 N      (2)
[In general formula (2), R2Is an alkylene group, an arylene group orIs an acylene group. ]
[0012]
When the metal oxide precursor composition is produced in this manner, a metal oxide precursor composition that can obtain a metal oxide, for example, titanium dioxide having a high content (ratio) of anatase type crystal structure is efficiently produced. be able to.
[0013]
  In addition, another aspect of the present invention is described above.titanium dioxideOxidized (heated) precursor compositiontitanium dioxideAbout. Obtained in this wayTitanium dioxideEven when the anatase type crystal structure is included at a high content and it is formed as a film on the adherend, it has a strong adhesive force to the adherend and does not easily peel off due to friction or the like.
[0014]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The metal oxide precursor composition (first embodiment), the method for producing the metal oxide precursor composition (second embodiment), and the metal oxide (third embodiment) according to the present invention are concretely described. Explained.
[0015]
[First Embodiment]
1st Embodiment is related with a metal oxide precursor composition, It contains (A) component and (B) component, It is characterized by the above-mentioned. Each will be described in detail.
[0016]
(1) (A) component
The metal oxide precursor as the component (A) used in the first embodiment can be suitably used as long as it generates a metal oxide by oxidation (heating).
As such a metal oxide precursor, a metal amino alcohol complex, a metal carboxylate, a metal alkoxide, or a metal ammonium salt can be used. Specifically, titanium triethanolamine complex (for example, alkanolamine complex), titanium hydroxycarboxylate (for example, titanium lactate), carboxylic acid (for example, oxalic acid or phthalic anhydride), alkoxy titanium compound (for example, tetra Isopropoxide titanium and tetrabutoxy titanium), beta diketone compounds (for example, acetylacetonate titanium compounds) and the like.
[0017]
  A compound represented by the following general formula (4) can also be used as a metal oxide precursor.
      Ti x[(OR4)nN]x[(OR4)x(R4OH)y] (4)
[General formula (4)Medium, R 4 Represents an alkylene group or an arylene group, x represents an integer of 1 to 3, y represents an integer of (3-x), and n represents an integer of 1 to 3, respectively. ]
[0018]
However, it is easier to handle, excellent in storage stability, and when the metal oxide is titanium dioxide, the content of the anatase type crystal structure can be further increased, so that the metal oxide precursor as the component (A) More preferably, the body is a metal amino alcohol complex. Hereinafter, the metal amino alcohol complex will be described in more detail.
[0019]
The metal aminoalcohol complex includes a metal alkoxide represented by the following general formula (1) (including metal hydroxide and metal acid; hereinafter, these may be referred to as metal alkoxide) and the following general formula ( It is a compound formed by reacting with amino alcohol represented by 2).
[0020]
      Ti (OR 1 ) 4       (1)
[General formula (1)Medium, R 1 IsAn alkyl group, an aryl group orIndicates an acyl group. ]
      (HOR 2 ) 3 N      (2)
[In general formula (2), R2Is an alkylene group, an arylene group orIs an acylene group. ]
[0021]
  Accordingly, the metal amino alcohol complex is more preferably a compound represented by the following formula (5).
  Ti [N (CH2CH2OH)Three]x     (5)
[In Formula (5), x is a number of 0.1-5. ]
[0022]
Next, the metal alkoxide represented by the general formula (1) will be specifically described. Such a metal alkoxide may contain a hydrolyzable group other than an alkoxy group, but even in such a case, in the present invention, it may be referred to as a metal alkoxide.
Further, R in the general formula (1)1The type of alkyl group, aryl group or acyl group is not particularly limited, but specific examples of preferred alkyl groups include methyl, ethyl, propyl, i-propyl, and n-propyl. Group, n-butyl group and i-butyl group are mentioned. Preferred aryl groups are phenyl group, benzyl group and naphthyl group. More preferred acyl groups are formyl group, acetyl group and propionyl group. .
Further, since a more stable metal oxide precursor, for example, a titanium amino alcohol complex having excellent storage stability is obtained, R1Is more preferably a linear or branched alkyl group, and particularly preferably a branched alkyl group such as an i-propyl group.
[0023]
  The metal alkoxide represented by the general formula (1) isBy oxidizingCan produce titanium oxideTo be a metal oxide precursorpreferable.
[0024]
Further, specific examples of preferred metal alkoxides include one kind alone or a combination of two or more kinds such as tetraethoxy titanium, tetrapropoxy titanium, tetraisopropoxy titanium, tetrabutoxy titanium, etc., and particularly tetraisopropoxy titanium. It is preferable.
[0025]
  Next, the amino alcohol represented by the general formula (2) will be described. R in the general formula (2)2ofAlkylene groupOrArylene groupThe type of is not particularly limited, but since a metal oxide precursor with more excellent storage stability can be obtained,Alkylene groupas,Methylene group, ethylene group, i-propylene group, n-propylene group, i-butylene group, n-butylene groupEtc. are preferred. Also preferredArylene groupas,Phenylene group, benzylene group, naphthylene groupIs mentioned. Further, since a more stable metal oxide precursor is obtained, R in the general formula (2) is obtained.2Has straight or branchedAlkylene groupIt is more preferable that it has a branch.Alkylene groupIt is preferable that
[0026]
  Therefore, as a specific example of preferred amino alcohol,Triethanolamine, triisopropanolamine, etc.A single type of or a combination of two or more typesBe mentioned.
[0027]
  Next, the reaction ratio between the metal alkoxide represented by the general formula (1) and the amino alcohol represented by the general formula (2) when forming the metal oxide precursor will be described. The reaction ratio of the metal alkoxide and amino alcohol is not particularly limited, but for example, the metal (Ti) And nitrogen ratio of nitrogen element (N) (Ti: N), a value within the range of 2: 1 to 1: 4 is preferable. This is because when the molar ratio of the metal (Ti) to the nitrogen element (N) is smaller than 2: 1, the storage stability of the reaction product may be lowered, whereas the molar ratio is 1 If the ratio is larger than 4: 4, the amount of organic matter decomposed by heating may increase, and further, the transparency of the film may be reduced when it is formed into a film. Therefore, it is more preferable to set the reaction ratio between the metal alkoxide and the amino alcohol so that the molar ratio of the metal (Ti) and the nitrogen element (N) is a value within the range of 1: 1 to 1: 3. preferable.
[0028]
Next, the content of alcohol in the metal oxide precursor will be described. The alcohol represented by the general formula (3) is an alcohol that is generated when the metal alkoxide represented by the general formula (1) is hydrolyzed, but usually 80% by weight or less of the total alcohol that generates this alcohol amount. The value is preferably 50% by weight or less, more preferably 20% by weight or less.
[0029]
The method for adjusting the content of the by-product alcohol represented by the general formula (3) is not particularly limited. For example, the temperature is equal to or higher than the boiling point of the by-product alcohol represented by the general formula (3). It is preferable to heat at a temperature close to the boiling point or evaporate at a low pressure.
[0030]
Moreover, in 1st Embodiment, C1-C10 alcoholic solvents, such as water, hexaethylene glycol, isopropylene glycol, methanol, ethanol, or these alcoholic solvents, and non-alcoholic properties, such as toluene and chloroform It is preferable to add a mixture with a solvent to convert the metal oxide precursor into a metal oxide precursor solution. Thus, when the metal oxide precursor is a metal oxide precursor solution, not only the contact efficiency with the doping compound is improved, but also the usability is good and the storage stability is good. The solvent to be added is most preferably water for the reason that no dangerous substance is designated. That is, it is preferable to use a metal oxide precursor (metal oxide precursor solution) as an aqueous solvent system from the viewpoint of less influence on the environment and better performance when forming a film.
Furthermore, in the present invention, the amount of alcohol contained in the aqueous solution of the metal oxide precursor is usually preferably 50% by weight or less, more preferably 30% by weight or less, and particularly preferably The value is 10% by weight or less. Moreover, when making a metal oxide precursor into a metal oxide precursor solution, it is preferable to make a viscosity into the value within the range of 0.1-100 cps (temperature 25 degreeC). With such a viscosity, the usability and storage stability of the metal oxide precursor solution are further improved. Further, when the metal oxide precursor is used as a metal oxide precursor solution, the concentration of the metal oxide precursor is specifically converted to the metal concentration and is within the range of 0.1 to 2.0 mol / liter. The value is preferably set to a value within the range of 0.12 to 2.0 mol / liter.
Moreover, when using water to make a metal oxide precursor into a metal oxide precursor solution, the concentration of the metal oxide precursor is 0.06 to 1.6 mol / in terms of metal oxide concentration. A value in the range of liters is preferred.
[0031]
  Next, hydrolysis in the metal oxide precursor will be described. Before the metal oxide precursor is mixed with other components in the first embodiment, some or all of the hydrolyzable groups such as alkoxy groups may be hydrolyzed in advance. By hydrolyzing in this way, a metal oxide can be obtained at a high concentration. In hydrolyzing the hydrolyzable group in the metal oxide precursor, specifically, by adding water to the metal oxide precursor or dissolving the metal oxide precursor in a water-containing organic solvent. It can be carried out. In addition, the water for hydrolysis is converted into water and metal contained in the metal oxide precursor (Ti) Molar ratio (H2O /Ti) Is preferably added to a value within the range of 0.5 / 1 to 200/1, and more preferably within a range of 1/1 to 50/1.
[0032]
In addition, a considerable amount of non-volatile oligomeric or polymeric amines such as polyethylene glycol and polyvinyl alcohol may be added to the metal oxide precursor (metal oxide precursor solution). By adding such an additive, the storage stability can be further improved.
In the present invention, the metal oxide precursor is preferably an aqueous solution, and as such an aqueous solution, the metal oxide precursor is finely dispersed in water and is uniformly dissolved visually. Shall also be included.
[0033]
(2) (B) component
  (B) component is calcium (Ca), barium(Ba), strikeRonium(Sr), boron(B)andRinConsisting of (P)It is a dopant compound having at least one atom selected from the group, and in the case of containing a metal, it is a dopant compound containing a different type of metal from the component (A). By containing these dopant compounds, when the metal oxide precursor is titanium dioxide, the content of the anatase crystal structure can be further increased. Moreover, metal oxides, such as titanium dioxide which has high hardness and was excellent in catalyst activity, can also be obtained by including these dopant compounds.
[0034]
Of these dopant compounds, a dopant compound having calcium, barium or strontium as an atom is more preferable.
By adding these dopant compounds, when the metal oxide precursor is titanium dioxide, the content of the anatase type crystal structure can be further increased, and higher hardness can be obtained.
[0035]
The properties of the dopant compound are not particularly limited, but are selected from the group consisting of hydrates, hydroxides, oxides, chlorides, sulfides, cyanides, carbonates, nitrates and acetates, for example. It is preferable that it is at least one. Specifically, calcium hydrate, barium hydrate, calcium hydroxide, barium hydroxide, strontium hydroxide, calcium oxide, calcium chloride, calcium sulfide, calcium cyanide, calcium carbonate, calcium nitrate, calcium acetate, etc. These may be used alone or in combination of two or more.
In this way, by using a dopant compound having properties such as hydroxide, the atomic dopant for the component (A) can be made uniform and the atoms can function as ions, so the content of the anatase type crystal structure A metal oxide such as titanium dioxide having a higher (ratio) can be obtained.
[0036]
It is also preferable to use at least one dopant compound selected from the group consisting of boric acid, boron oxide, phosphoric acid, and phosphonic acid as the dopant compound. As described above in part, by using these boric acids or the like as the dopant compound, when the metal oxide precursor is titanium dioxide, the content of the anatase type crystal structure can be further increased, A metal oxide such as titanium dioxide having higher hardness and excellent catalytic activity can be obtained.
[0037]
Next, the addition amount of the dopant compound which is (B) component is demonstrated. The amount of addition is preferably determined in consideration of the crystal structure of the metal oxide obtained by oxidation, but for example, the amount of addition of the dopant compound is 0.01 to 100 parts by weight with respect to 100 parts by weight of component (A). A value within the range of 100 parts by weight is preferred. The reason for this is that when the addition amount of the dopant compound is less than 0.01 parts by weight, the effect of addition may not be exhibited. On the other hand, when the addition amount exceeds 100 parts by weight, the crystal structure of the resulting metal oxide is disturbed, resulting in amorphous oxidation. It is because it may become a thing.
Therefore, it is more preferable to set the addition amount of the dopant compound to a value in the range of 0.01 to 70 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the component (A), and a value in the range of 0.02 to 50 parts by weight. More preferably.
[0038]
[Second Embodiment]
  2nd Embodiment in this invention is related with the manufacturing method of a metal oxide precursor, The reaction process of the metal alkoxide represented by General formula (1), and the amino alcohol represented by General formula (2) ( Main process) is a method for producing a metal oxide precursor composition comprising calcium, burrUmm, strikeRonComposed of thium, boron and phosphorusA dopant compound having at least one atom selected from the group, and, when a metal is included, a step of adding a dopant compound containing a metal of a type different from the component (A); And a step of adjusting the content of the alcohol represented by 50) to 50% by weight or less. In addition, about the metal alkoxide, amino alcohol, or the formed metal oxide precursor, since the thing similar to the content demonstrated in 1st Embodiment can be used, description here is abbreviate | omitted.
[0039]
(1) Reaction ratio of metal alkoxide and amino alcohol
The reaction ratio between the metal alkoxide and the amino alcohol is not particularly limited, but the reaction ratio of the amino alcohol with respect to 1 mole of the metal alkoxide is 0.5 mole or more, preferably within the range of 1 to 3 moles. Particularly preferably, the value is in the range of 1.5 to 2.5 mol. This is because when the reaction rate of amino alcohol is less than 0.5 mol, the stability of the metal amino alcohol complex may decrease.
[0040]
(2) Reaction conditions for metal alkoxide and amino alcohol
Further, the reaction temperature of the metal alkoxide and amino alcohol is not particularly limited, but specifically, the reaction temperature is preferably in the range of room temperature (20 ° C.) to 170 ° C., preferably from room temperature to A value in the range of 150 ° C. is more preferable. The reason for this is that when the reaction temperature is lower than room temperature, the reactivity between the metal alkoxide and the amino alcohol may be significantly reduced. On the other hand, when the reaction temperature exceeds 170 ° C., it is difficult to control the reaction. Because there is.
[0041]
Further, it is preferable to use an organic solvent when reacting the metal alkoxide and amino alcohol, and to heat at the boiling point of the organic solvent or a temperature in the vicinity thereof. By heating near the boiling point of the organic solvent in this way, the organic solvent can be refluxed and the reaction temperature can be easily adjusted to a constant value.
Here, when an organic solvent is used, the reaction temperature is preferably set to a value within the range of 50 to 160 ° C, and more preferably set to a value within the range of 70 to 100 ° C.
[0042]
The reaction time is related to the reaction temperature, but the reaction time is preferably a value within the range of 1 to 10 hours, more preferably a value within the range of 2 to 9 hours. The reason for this is that when the reaction time is less than 1 hour, the reaction between the metal alkoxide and the amino alcohol may be non-uniform, whereas when the reaction time exceeds 10 hours, the productivity of the metal oxide precursor is reduced. This is because there is a tendency to significantly decrease.
In order to shorten the reaction time and make the reaction control easier, it is preferable to put the reactor in a reduced pressure state.
[0043]
Further, the reaction pressure is not particularly limited, but the reaction pressure is preferably within a range of 0.01 to 1.0 atm, more preferably within a range of 0.01 to 0.2 atm. The value of. The reason for this is that when the reaction pressure is less than 0.01 atm, it may be difficult to maintain a reduced pressure state. On the other hand, when the reaction pressure exceeds 1 atm, the boiling point of the by-product alcohol increases, This is because the reaction rate tends to decrease.
[0044]
(3) Organic solvent
The reaction between the metal alkoxide and amino alcohol is preferably carried out in the presence of an organic solvent. Thus, by making it react in presence of an organic solvent, reaction of a metal alkoxide and amino alcohol can be produced uniformly. Examples of such an organic solvent include monoalcohol, diol, and triol alcohol compounds. Alternatively, it is also preferable from the viewpoint of preventing gelation to use an excess amino alcohol as the organic solvent.
[0045]
Specifically, preferred monoalcohols are RFiveAn alcohol compound represented by OH, and R in the formulaFiveIs a linear or branched alkyl group having 6 to 10 carbon atoms, or an alkyl group having a linear or branched oxygen bond having 5 to 10 carbon atoms. Accordingly, preferred monoalcohols include 2-ethylhexanol, 3,3,5-trimethyl-1-hexanol, octanol, methoxyethoxyethanol and the like.
[0046]
As the diol, HO (R6) Alcohol compounds represented by OH, R in the formula6Is a linear or branched alkylene group having 2 to 12 carbon atoms. Accordingly, preferred diols include one or a combination of two or more of ethylene glycol, propylene glycol, 1,2-butanediol, 1,3-butanediol, hexamethylenediol, and the like.
Furthermore, preferable triols include glycerin and 1,2,6-hexanetriol.
Of these diols and triols, ethylene glycol and glycerin are most preferred.
[0047]
(4) Doping process
In 2nd Embodiment, the doping process which adds a dopant compound with respect to (A) component is included. This doping process may be performed simultaneously with the main process or after the main process is completed. Further, the main process may be performed after the doping process is performed by adding to either component (A) or component (B). Therefore, with respect to the order of the doping process, the following cases may be mentioned in relation to the reaction process of the metal alkoxide and amino alcohol.
[0048]
(1) After reacting the metal alkoxide and amino alcohol, a dopant compound is added.
(2) The metal alkoxide and amino alcohol are reacted in a state where the metal alkoxide, amino alcohol, and dopant compound are mixed.
{Circle around (3)} A dopant compound is added before reacting the metal alkoxide and amino alcohol (pre-dope), and further, after reacting the metal alkoxide and amino alcohol, the dopant compound is added (post-dope).
(4) In a state where the amino alcohol and the dopant compound are mixed, a metal alkoxide is added to react the metal alkoxide with the amino alcohol.
(5) In a state where the metal alkoxide and the dopant compound are mixed, an amino alcohol is added to react the metal alkoxide with the amino alcohol.
[0049]
(5) Removal of byproduct alcohol
After the metal alkoxide and amino alcohol are reacted to form the metal oxide precursor, the step of setting the content of the alcohol represented by the general formula (3) to a value of 80% by weight or less is included. This is because when the by-product alcohol is present in an amount exceeding 80% by weight, the storage stability of the metal oxide precursor may be significantly lowered.
Accordingly, in the by-product alcohol removal step, the content of the alcohol represented by the general formula (3) is more preferably 50% by weight or less, and further preferably 20% by weight or less.
Incidentally, it is preferable to remove the by-product alcohol even during the formation of the metal oxide precursor. In this case, the content of the alcohol is finally 80% by weight or less of the theoretical alcohol amount by-produced. Just do it.
[0050]
The method for removing the by-product alcohol is not particularly limited. For example, as described in the first embodiment, a temperature equal to or higher than the boiling point of the by-product alcohol represented by the general formula (3), Or it is preferable to heat at the temperature of the boiling point vicinity.
Therefore, when the reaction temperature T1 (° C.) between the metal alkoxide and amino alcohol is set, and the boiling point of the byproduct alcohol represented by the general formula (3) is T2 (° C.), the relationship of T1 ≧ T2 is satisfied. More preferably, the relationship of T1 ≧ T2 + 10 ° C. is satisfied.
[0051]
(6) Water removal
Further, when carrying out the reaction between the metal alkoxide and amino alcohol, it is preferable to remove by-produced water from the reaction system. By removing water in this way, the reaction between the metal alkoxide and amino alcohol is further promoted, and the metal oxide precursor can be efficiently obtained.
Moreover, since removal of the water which is a by-product from a reaction mixture is also accelerated | stimulated by removing an organic solvent, it is also preferable to remove an organic solvent from a reaction system gradually.
Furthermore, since removal of water is also promoted by carrying out the reaction under reduced pressure, it is preferable to carry out the reaction between the metal alkoxide and amino alcohol under reduced pressure, for example, at a pressure of 1 to 100 Torr.
[0052]
[Third Embodiment]
The third embodiment of the present invention relates to a metal oxide, and can be obtained by oxidizing (heating) the metal oxide precursor of the first embodiment. That is, the third embodiment is a metal oxide (titanium dioxide) obtained by heating the metal oxide precursor according to the first embodiment, for example, a titanium amino alcohol complex at a predetermined temperature. The product is characterized by containing many specific crystal structures, for example, anatase type crystal structures.
[0053]
(1) Heating temperature
The heating temperature for oxidizing the metal oxide precursor is preferably set to a value within the range of 400 ° C to 1000 ° C, more preferably set to a value within the range of 500 ° C to 700 ° C. The value is within the range of 550 to 650 ° C. The reason for this is that when the heating temperature of the metal oxide precursor is less than 400 ° C., it may be difficult to obtain a metal oxide having a specific crystal structure, while the heating temperature of the metal oxide precursor is This is because if it exceeds 1000 ° C., it is excessively oxidized, and it may be difficult to obtain a metal oxide having a specific crystal structure.
[0054]
(2) Heating method
The heating method of the metal oxide precursor is not particularly limited, but more specifically, the metal oxide precursor (metal oxide precursor solution or gel obtained therefrom) is applied onto the substrate. Then, after forming the layer, it is preferable to heat. Therefore, when a titanium amino alcohol complex is used as the metal oxide precursor, it is possible to form titanium dioxide having a high content of anatase type crystal structure on the substrate by heating in this way. More specifically, the content of the anatase crystal structure can be set to 80% by weight or more, and the content of the anatase crystal structure is set to a value of 95% by weight or more by further adjusting the heating conditions. be able to. In addition, the titanium dioxide thus obtained has a feature that it maintains an anatase type crystal structure even when heated to 650 ° C. or higher for a long period of time and hardly converts to a rutile type crystal structure.
[0055]
(3) Particle size
Moreover, when a metal oxide is a crystal particle, it is preferable to make the average particle diameter into the value within the range of 50-500 nm. This is because when the average particle size is less than 50 nm, sufficient photocatalytic activity may not be obtained. On the other hand, when the average particle size exceeds 500 nm, irregularities may occur in the particles and the crystal structure. is there.
Therefore, the average particle diameter of the metal oxide is more preferably set to a value within the range of 60 to 400 nm, and further preferably set to a value within the range of 70 to 350 nm.
[0056]
(4) Film thickness
Moreover, when a metal oxide is a film, it is preferable to make the thickness into the value within the range of 50-500 nm.
The reason for this is that when the film thickness is less than 50 nm, there may be a problem that the adhesion to the substrate is lowered. On the other hand, when the thickness exceeds 500 nm, it is difficult to form a uniform thickness. This is because there may be cases.
Therefore, the film thickness of the metal oxide is more preferably set to a value within the range of 60 to 400 nm, and further preferably set to a value within the range of 70 to 300 nm.
In addition, the formation method of the metal oxide precursor when forming the film is not particularly limited, and for example, a dip method, a cast method, a roll coat method, a spin coat method, a spray coat method, etc. are adopted. Can do.
[0057]
(5) Base material
Further, the base material for forming the metal oxide is not particularly limited, and examples thereof include glass such as soda glass and quartz glass, ceramics such as zirconia and alumina, metals such as iron and stainless steel, and the like. it can. Accordingly, as a metal oxide, for example, when titanium dioxide (film) containing a large amount of anatase type crystal structure is formed on glass, vehicle glass for automobiles, glass for buildings, glass for buildings such as glass for buildings, Or it can use widely as glass for lighting fixtures, such as a fluorescent lamp and a mercury lamp.
[0058]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail based on examples. Needless to say, the scope of the present invention is not limited to the description of the examples.
[0059]
[Example 1]
(Creation of metal oxide)
Triethanolamine (200 mmol, 29.8 g) as amyl alcohol and calcium hydroxide powder (1 mmol, 0.074 g) were placed in a 500 ml round bottom flask and stirred and mixed to suspend the calcium hydroxide powder. Made cloudy. Next, tetraisopropoxide titanium (100 mmol, 28.4 g) as a metal alkoxide was accommodated and reacted under uniform stirring with a stirrer at a temperature of 50 ° C. for 1 hour under a pressure of 760 Torr. A reaction solution containing a metal oxide precursor was obtained. This reaction solution was housed in a vacuum tank connected to an evaporator pump, and the volatile component (isopropanol as a by-product alcohol) was removed by suction under conditions of room temperature (25 ° C.), pressure of 20 to 40 Torr, and time of 30 minutes. Next, using a heater, the sample was allowed to stand for 1 hour in a state where the ambient temperature of the round bottom flask was raised to 50 ° C., then the temperature was raised to 80 ° C. until no further foaming occurred, and the pressure was changed to 10 Torr. A syrup was obtained. At this time, the content of isopropanol in the syrup (metal oxide precursor) was measured and found to be 7% by weight. The results are shown in Table 1.
[0060]
Next, 15 ml of water was added to the obtained syrup, and the mixture was stirred until the solution became homogeneous. Further, water was added until the total amount reached 50 ml, and about 2 mol / l titanium amino alcohol was added. A complex solution was obtained. To 20 ml of the obtained titanium amino alcohol complex solution, 10 ml of an ammonia concentrated solution (concentration: 37% by weight) was added and allowed to stand at a temperature of 50 ° C. for 1 day to gel the titanium amino alcohol complex solution. After this gelled titanium amino alcohol complex solution was housed in a ventilated furnace, the temperature was raised from room temperature to 650 ° C. under conditions of 5 ° C./min to obtain powdered titanium dioxide.
[0061]
On the other hand, after adding 15 ml of water to the obtained syrup, the mixture was stirred until the solution was uniform, and further water was added until the total amount reached 50 ml, and about 2 mol / l titanium amino alcohol was added. A complex solution was obtained. To 25 ml of this titanium amino alcohol complex solution, 18.75 g of a fluorosurfactant FC-170 (manufactured by Sumitomo 3M Co., Ltd.) and a predetermined amount of water are added to obtain a surfactant having a concentration of 1 mol / l. A titanium aminoalcohol complex solution was prepared.
This surfactant-containing titanium amino alcohol complex solution was applied on a glass plate (thickness 2 mm, 50 mm square) using a spin coater under the conditions of a rotation speed of 1000 rpm and a time of 60 seconds. Next, after being housed in a ventilated furnace, it is heated and dried at a temperature of 150 ° C. for 2 hours, and further heated at a temperature of 600 ° C. for 5 minutes to form a 240 nm thick titanium dioxide film. Obtained.
[0062]
(Evaluation of metal oxide)
(1) Film forming property
The appearance of the obtained film-like titanium dioxide was observed with an optical microscope, and the film forming property was evaluated according to the following criteria. The results are shown in Table 1.
○: It has a uniform thickness and the surface is smooth.
Δ: Although the thickness is slightly non-uniform, the surface is smooth.
X: The thickness is non-uniform, and irregularities are observed on the surface.
[0063]
(2) Crystal content
The obtained powdery titanium dioxide was irradiated with X-rays having a diffraction angle of 2θ (output conditions: 400 kV × 100 mA, CuK wavelength) to obtain a diffraction peak chart. And the peak intensity of 2θ = 25.3 to 25.5 (anatase type crystal structure TiO2) Is Ia, and 2θ = 27.5-27.9 peak intensity (rutile crystal structure TiO)2) As Ir, and the crystal content (f) of the anatase crystal structure in the obtained titanium dioxide was determined from the following formula. As a result, the crystal content of the anatase crystal structure was 96% by weight. The obtained results are shown in Table 1.
f = 1 / (1 + 1.265 × Ir / Ia)
Further, it was confirmed that the titanium dioxide did not change from the anatase crystal structure to the rutile crystal structure even when heated at 650 ° C. for 30 minutes.
[0064]
(3) Photocatalytic properties
The obtained film-like titanium dioxide was irradiated with black light for 24 hours, then dip-coated in a 2 mmol / l methylene blue aqueous solution, and further dried. Next, after removing methylene blue adhering to the glass surface as a base material, the film-like titanium dioxide was irradiated with black light from the side opposite to the glass surface, the decomposition rate of methylene blue was measured, and the photocatalytic property was evaluated. That is, the absorbance (logIg) before application of methylene blue at a wavelength of 670 nm and the absorbance (logI) immediately after application of methylene blue were measured by an ultraviolet absorption measuring device.0) And the absorbance (log I) after irradiation with black light for 20 minutes, respectively, and the decomposition rate of methylene blue was calculated from the following equation. As a result, the decomposition rate of methylene blue by the film-like titanium dioxide was 81%. The obtained results are shown in Table 1.
Decomposition rate = (1− (logI−logIg) / (logI0-LogIg))
[0065]
(4) Pencil hardness
About the obtained film-form titanium dioxide, the pencil hardness based on JISH8602 was measured, and the hardness was evaluated on the following references | standards.
A: Pencil hardness is 7H or more
○: Pencil hardness is 5H or more
Δ: Pencil hardness is H or higher
X: Pencil hardness is less than H
[0066]
[Example 2]
In a 500 ml round bottom flask, triethanolamine (200 mmol, 29.9 g) as amyl alcohol and 5 g 0.1 mol / l calcium hydroxide solution (0.741 g calcium hydroxide in 100 ml ethylene glycol) And the mixture was stirred and mixed. Next, tetraisopropoxide titanium (100 mmol, 28.4 g) as a metal alkoxide was accommodated and reacted under uniform stirring with a stirrer at a temperature of 50 ° C. for 1 hour under a pressure of 760 Torr. A reaction solution containing a metal oxide precursor was obtained. This reaction solution was accommodated in a vacuum tank connected with an evaporator pump, and the volatile component (isopropanol as a by-product alcohol) was removed by suction under conditions of room temperature (25 ° C.), pressure of 20 to 40 Torr, and time of 60 minutes.
[0067]
Next, using a heater, the flask was left for 1 hour with the ambient temperature of the round bottom flask raised to 50 ° C., further raised to 80 ° C., and left for 1 hour at a pressure of 10 Torr. Furthermore, in order to volatilize all ethylene glycol, the temperature was raised to 150 ° C. and left for 30 minutes to obtain a yellow syrup. At this time, the content of isopropanol in the syrup (metal oxide precursor) was measured and found to be 0.5% by weight. The results are shown in Table 1.
Next, the obtained syrup-like product was dissolved in water to give a 2 mol / l solution, and after obtaining a titanium amino alcohol complex solution in the same manner as in Example 1, it was gelled and further baked to obtain a powder. A titanium dioxide was obtained. Further, in the same manner as in Example 1, a film-like titanium dioxide having a thickness of 190 nm was obtained. About the obtained powder-form and film-form titanium dioxide, the film forming property etc. were evaluated similarly to Example 1. The obtained results are shown in Table 1.
[0068]
[Examples 3 to 4]
Instead of calcium hydroxide in Example 2, calcium acetate (Example 3, 0.158 g of calcium acetate dispersed in 100 ml of ethylene glycol at 80 ° C.) or calcium nitrate (Examples 4, 0,. A yellow syrup was obtained in the same manner as in Example 2 except that 164 g of calcium nitrate was dissolved in 100 ml of ethylene glycol at 80 ° C.). The content of isopropanol in the syrup (metal oxide precursor) was measured and found to be 0.5% by weight (Example 3) and 0.3% by weight (Example 4), respectively. The obtained results are shown in Table 1.
Next, the obtained syrup-like product was dissolved in water to give a 2 mol / l solution, and after obtaining a titanium amino alcohol complex solution in the same manner as in Example 1, it was gelled and further baked to obtain a powder. A titanium dioxide was obtained. Further, in the same manner as in Example 1, a film-like titanium dioxide having a thickness of 175 nm was obtained. About the obtained powder-form and film-form titanium dioxide, the film forming property etc. were evaluated similarly to Example 1. The obtained results are shown in Table 1, respectively.
[0069]
[Example 5]
A yellow syrup-like metal oxide precursor (titanium amino alcohol) as in Example 1 except that the amount of calcium hydroxide powder in Example 1 was increased from 1 mmol (0.074 g) to 20 mmol (1.48 g). Complex). The content of isopropanol in this metal oxide precursor was measured and found to be 5% by weight. The results are shown in Table 1.
Next, in the same manner as in Example 1, after obtaining a 2 mol / l titanium amino alcohol complex solution from the metal oxide precursor, it was gelled and further baked to obtain powdered titanium dioxide. Further, as in Example 1, a film-like titanium dioxide having a thickness of 230 nm was obtained. About the obtained powder-form and film-form titanium dioxide, the film forming property etc. were evaluated similarly to Example 1. The obtained results are shown in Table 1.
[0070]
[Example 6]
In a 500 ml round bottom flask, triethanolamine (200 mmol, 29.8 g) and 2 ml of 0.5 mol / l calcium nitrate dispersion (solvent isopropanol, concentration 11.8 wt%) were mixed and stirred. A yellow syrup was obtained in the same manner as in Example 1 except that tetraisopropoxide titanium (100 mmol, 28.4 g) was contained and reacted. At this time, the content of isopropanol in the syrup (metal oxide precursor) was measured and found to be 4.5% by weight. The results are shown in Table 1.
Next, in the same manner as in Example 1, after obtaining a 2 mol / l titanium amino alcohol complex solution from the metal oxide precursor, it was gelled and further baked to obtain powdered titanium dioxide. Further, as in Example 1, a film-like titanium dioxide having a thickness of 210 nm was obtained. About the obtained powder-form and film-form titanium dioxide, the film forming property etc. were evaluated similarly to Example 1. The obtained results are shown in Table 1.
[0071]
[Example 7]
Anhydrous calcium acetate (1 mmol, 0.158 g) was dissolved in triethanolamine at 70 ° C. and then reacted with tetraisopropoxide titanium (100 mmol, 28.4 g). A syrup was obtained. At this time, the content of isopropanol in the syrup (metal oxide precursor) was measured and found to be 3% by weight. The results are shown in Table 1.
Next, in the same manner as in Example 1, after obtaining a 2 mol / l titanium amino alcohol complex solution from the metal oxide precursor, it was gelled and further baked to obtain powdered titanium dioxide. Further, in the same manner as in Example 1, a film-like titanium dioxide having a thickness of 190 nm was obtained. About the obtained powder-form and film-form titanium dioxide, the film forming property etc. were evaluated similarly to Example 1. The obtained results are shown in Table 1.
[0072]
[Example 8]
In a 500 ml round bottom flask, triethanolamine (200 mmol, 29.8 g) as amyl alcohol and tetraisopropoxide titanium (100 mmol, 28.4 g) as metal alkoxide were placed, and the temperature was 50 ° C. for 1 hour. The reaction solution was reacted under uniform pressure with a stirrer under a pressure of 760 Torr to obtain a reaction solution containing a metal oxide precursor. This reaction solution was housed in a vacuum tank connected to an evaporator pump, and the volatile component (isopropanol as a by-product alcohol) was removed by suction under conditions of room temperature (25 ° C.), pressure of 20 to 40 Torr, and time of 30 minutes. Next, using a heater, the sample was allowed to stand for 1 hour in a state where the ambient temperature of the round bottom flask was raised to 50 ° C., then the temperature was raised to 80 ° C. until no further foaming occurred, and the pressure was changed to 10 Torr. A syrup was obtained. At this time, the content of isopropanol in the syrup (metal oxide precursor) was measured and found to be 5% by weight. The results are shown in Table 2.
[0073]
Subsequently, 10 ml of an aqueous calcium acetate solution having a concentration of 1 mol / l (adjusted to a volume of 7.41 g of calcium hydroxide dissolved in 2-fold molar amount of acetic acid by distillation was adjusted to 100 ml) Then, 5 ml of water was added and stirred until the solution became homogeneous, and water was further added until the total amount reached 50 ml to obtain a titanium amino alcohol complex solution of about 2 mol / l. The obtained titanium amino alcohol complex solution was treated in the same manner as in Example 1 to obtain powdered titanium dioxide. Further, as in Example 1, a film-like titanium dioxide having a thickness of 250 nm was obtained. About the obtained powder-form and film-form titanium dioxide, the film forming property etc. were evaluated similarly to Example 1. The obtained results are shown in Table 2. For reference, a diffraction peak chart is shown in FIG.
[0074]
[Example 9]
In the same manner as in Example 8, except for adding 10 ml of an aqueous calcium acetate solution having a concentration of 1 mol / l and 5 ml of water, 10 ml of an aqueous solution of calcium nitrate having a concentration of 0.2 mol / l and 10 ml of water were added. The metal oxide precursor (titanium amino alcohol complex) was obtained.
Next, in the same manner as in Example 1, after obtaining a titanium amino alcohol complex solution from the metal oxide precursor, it was gelled and further baked to obtain powdered titanium dioxide. Further, as in Example 1, a film-like titanium dioxide having a thickness of 150 nm was obtained. About the obtained powder-form and film-form titanium dioxide, the film forming property etc. were evaluated similarly to Example 1. The obtained results are shown in Table 2.
[0075]
[Example 10]
Instead of 10 ml of a 1 mol / l aqueous calcium solution and 5 ml of water in Example 8, a 0.2 mol / l aqueous calcium acetate solution (a solution obtained by dissolving calcium carbonate in 2-fold molar amount of acetic acid was distilled to adjust to 100 ml) A yellow syrup-like metal oxide precursor (titanium amino alcohol complex) was obtained in the same manner as in Example 8, except that 5 ml and 10 ml of water were added.
Next, in the same manner as in Example 1, after obtaining a titanium amino alcohol complex solution from the metal oxide precursor, it was gelled and further baked to obtain powdered titanium dioxide. Further, in the same manner as in Example 1, a film-like titanium dioxide having a thickness of 180 nm was obtained. About the obtained powder-form and film-form titanium dioxide, the film forming property etc. were evaluated similarly to Example 1. The obtained results are shown in Table 2.
[0076]
[Example 11]
Instead of 10 ml of a 1 mol / l aqueous calcium solution and 5 ml of water in Example 8, a 0.5 mol / l aqueous calcium acetate solution (a solution of calcium hydroxide dissolved in 2-fold molar amount of acetic acid was distilled to 100 ml). 2 ml) and 2 ml of boric acid having a concentration of 0.5 mol / l were added, and finally 50 ml of boric acid was added, and a yellow syrup-like metal oxide precursor (titanium amino acid) was added as in Example 8. Alcohol complex) was obtained.
Next, in the same manner as in Example 1, after obtaining a titanium amino alcohol complex solution from the metal oxide precursor, it was gelled and further baked to obtain powdered titanium dioxide. Further, in the same manner as in Example 1, a film-like titanium dioxide having a thickness of 180 nm was obtained. About the obtained powder-form and film-form titanium dioxide, the film forming property etc. were evaluated similarly to Example 1. The obtained results are shown in Table 2.
[0077]
[Example 12]
A yellow syrup-like metal oxidation was carried out in the same manner as in Example 1 except that 5 ml of barium hydroxide having a concentration of 0.2 mol / l was added as a dopant compound instead of 10 ml of the calcium aqueous solution having a concentration of 1 mol / l in Example 1. A product precursor (titanium amino alcohol complex) was obtained, and powdered titanium dioxide and a film-like titanium dioxide having a thickness of 150 nm were further obtained.
About the obtained titanium dioxide, the film forming property etc. were evaluated similarly to Example 1. The obtained results are shown in Table 2.
[0078]
[Examples 13 to 15]
Instead of 10 ml of a 1 mol / l aqueous calcium solution in Example 8, 10 ml of boric acid having a concentration of 0.1 mol / l in Example 13, 10 ml of boric acid having a concentration of 1 mol / l in Example 13, as a dopant compound, In Example 15, a yellow syrup-like metal oxide precursor (titanium amino alcohol complex) was obtained in the same manner as in Example 8 except that 10 ml of phosphoric acid having a concentration of 0.1 mol / l was added. Powdered titanium dioxide and film-like titanium dioxide were obtained.
About the obtained titanium dioxide, the film forming property etc. were evaluated similarly to Example 1, respectively. The obtained results are shown in Table 2. In addition, the diffraction peak chart in Example 14 is shown in FIG. 2 for reference.
[0079]
[Comparative Example 1]
In a 500 ml round bottom flask, triethanolamine (200 mmol, 29.8 g) as amyl alcohol and tetraisopropoxide titanium (100 mmol, 28.4 g) as metal alkoxide were placed, and the temperature was 50 ° C. for 1 hour. The reaction solution was reacted under uniform pressure with a stirrer under a pressure of 760 Torr to obtain a reaction solution containing a metal oxide precursor. This reaction solution was housed in a vacuum tank connected to an evaporator pump, and the volatile component (isopropanol as a by-product alcohol) was removed by suction under conditions of room temperature (25 ° C.), pressure of 20 to 40 Torr, and time of 30 minutes. Next, using a heater, the sample was allowed to stand for 1 hour in a state where the ambient temperature of the round bottom flask was raised to 50 ° C., then the temperature was raised to 80 ° C. until no further foaming occurred, and the pressure was changed to 10 Torr. A syrup (titanium amino alcohol complex) was obtained. This titanium amino alcohol complex was coated and heated in the same manner as in Example 1 without adding a dopant compound to obtain particulate titanium dioxide. Further, in the same manner as in Example 1, a surfactant was added thereto to obtain film-like titanium dioxide.
The obtained particulate and film-like titanium dioxide was evaluated in the same manner as in Example 1 for film forming property, crystal content, and photocatalytic property. The obtained results are shown in Table 3.
[0080]
[Comparative Examples 2 to 4]
In addition to using titanium tetraisopropoxide (Comparative Example 2), titanium lactate (Comparative Example 3), and titanium dibutyrate triethanolamine (TiDBDT) (Comparative Example 4) as the metal alkoxide (titanium compound) in Comparative Example 1, respectively. Obtained particulate and film-like titanium dioxide as in Comparative Example 1. The obtained particulate and film-like titanium dioxide was evaluated in the same manner as in Example 1 for film forming property, crystal content, and photocatalytic property. The obtained results are shown in Table 3.
[0081]
[Table 1]
Figure 0004216383
[0082]
[Table 2]
Figure 0004216383
[0083]
[Table 3]
Figure 0004216383
[0084]
【The invention's effect】
According to the metal oxide precursor composition of the present invention, for example, a titanium amino alcohol complex composition containing a specific dopant compound, by oxidation heating, the content of anatase type crystal structure is high and the catalytic activity is high. Titanium can be obtained stably.
[0085]
In addition, according to the method for producing a metal oxide precursor composition of the present invention, for example, a titanium amino acid containing a specific dopant compound can be obtained which has a high content of anatase type crystal structure and high catalytic activity. Alcohol complexes can be obtained efficiently and stably.
[0086]
Moreover, according to the metal oxide of the present invention, for example, titanium dioxide, the content of the anatase type crystal structure is high, the hardness is high, and the catalytic activity is excellent. Therefore, products containing these metal oxides, such as titanium dioxide, can be expected to be used for surface modification applications such as construction, vehicle parts, and lighting equipment.
[Brief description of the drawings]
1 is a diagram showing a diffraction peak of titanium dioxide in Example 8. FIG.
2 is a diagram showing a diffraction peak of titanium dioxide in Example 14. FIG.

Claims (7)

下記(A)成分および(B)成分を含有する二酸化チタン前駆体組成物であって、下記(A)成分のチタン原子100モルに対する(B)成分のドーパント化合物の割合が0.5〜20モルの範囲内であることを特徴とする二酸化チタン前駆体組成物。
(A)下記一般式(1)で表されるチタンアルコキシドと、下記一般式(2)で表されるアミノアルコールとを反応してなるチタンアミノアルコール錯体
Ti(OR (1)
[一般式(1)中、Rはアルキル基、アリール基またはアシル基を示す。]
(HOR (2)
[一般式(2)中、Rはアルキレン基、アリーレン基またはアシレン基である。]
(B)カルシウム、バリウム、ストロンチウム、硼素及びリンからなる群から選択される少なくとも一つの原子を有するド−パント化合物
A titanium dioxide precursor composition containing the following component (A) and component (B), wherein the ratio of the dopant compound of component (B) to 100 mol of titanium atom of component (A) is 0.5 to 20 mol A titanium dioxide precursor composition characterized by being in the range of
(A) A titanium amino alcohol complex formed by reacting a titanium alkoxide represented by the following general formula (1) with an amino alcohol represented by the following general formula (2)
Ti (OR 1 ) 4 (1)
[In General Formula (1), R 1 represents an alkyl group, an aryl group, or an acyl group. ]
(HOR 2 ) 3 N (2)
[In General Formula (2), R 2 represents an alkylene group, an arylene group, or an acylene group . ]
(B) a dopant compound having at least one atom selected from the group consisting of calcium, barium, strontium, boron and phosphorus
前記(B)成分が、ホウ素、酸化ホウ素、リン酸、ホスホン酸からなる群から選択される少なくとも一つのド−パント化合物であることを特徴とする請求項1に記載の二酸化チタン前駆体組成物。  The titanium dioxide precursor composition according to claim 1, wherein the component (B) is at least one dopant compound selected from the group consisting of boron, boron oxide, phosphoric acid, and phosphonic acid. . 水溶液であることを特徴とする請求項1又は2に記載の二酸化チタン前駆体組成物。  The titanium dioxide precursor composition according to claim 1, wherein the titanium dioxide precursor composition is an aqueous solution. 下記一般式(3)で表されるアルコールの含有量を50重量%以下であることを特徴とする請求項3に記載の二酸化チタン前駆体組成物。
(OH) (3)
[一般式(3)中、Rはアルキル基、アリール基またはアシル基を示す。]
The titanium dioxide precursor composition according to claim 3, wherein the content of the alcohol represented by the following general formula (3) is 50% by weight or less.
R 1 (OH) (3)
[In General Formula (3), R 1 represents an alkyl group, an aryl group, or an acyl group. ]
下記一般式(1)で表されるチタンアルコキシドと、下記一般式(2)で表されるアミノアルコールとを反応させてチタンアミノアルコール錯体とする工程、及びカルシウム、バリウム、ストロンチウム、硼素及びリンからなる群から選択される少なくとも一つの原子を有するド−パント化合物を、前記チタンアミノアルコール錯体のチタン原子100モルに対して0.5〜20モルの範囲内の割合で添加する工程を含むことを特徴とする二酸化チタン前駆体組成物の製造方法。
Ti(OR (1)
[一般式(1)中、Rはアルキル基、アリール基またはアシル基を示す。]
(HOR (2)
[一般式(2)中、Rはアルキレン基、アリーレン基またはアシレン基である。]
A step of reacting a titanium alkoxide represented by the following general formula (1) with an amino alcohol represented by the following general formula (2) to form a titanium amino alcohol complex, and from calcium, barium, strontium, boron and phosphorus Adding a dopant compound having at least one atom selected from the group consisting of 0.5 to 20 moles with respect to 100 moles of titanium atoms of the titanium amino alcohol complex. A method for producing a titanium dioxide precursor composition.
Ti (OR 1 ) 4 (1)
[In General Formula (1), R 1 represents an alkyl group, an aryl group, or an acyl group. ]
(HOR 2 ) 3 N (2)
[In General Formula (2), R 2 represents an alkylene group, an arylene group, or an acylene group . ]
請求項1〜4のいずれか一項に記載の二酸化チタン前駆体組成物を加熱してなる二酸化チタン。  Titanium dioxide formed by heating the titanium dioxide precursor composition according to any one of claims 1 to 4. 前記二酸化チタンが平均粒子径50〜500nmの結晶粒子または厚さ50〜500nmのフィルムであることを特徴とする請求項6に記載の二酸化チタン。  The titanium dioxide according to claim 6, wherein the titanium dioxide is a crystal particle having an average particle diameter of 50 to 500 nm or a film having a thickness of 50 to 500 nm.
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