JP4058864B2 - 真空紫外線励起発光素子用蛍光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下「PDP」という。)および希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子に好適な蛍光体およびその蛍光体を用いた真空紫外素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、希ガス放電により放射される真空紫外線によって蛍光体を励起して発光させる構造を有する真空紫外線励起発光素子の開発が盛んに行われている。その代表例がPDPの開発である。PDPは画面の大型化および薄型化が可能なことから、陰極線管(CRT)に代わり得るフラットパネルディスプレイとして注目されている。PDPは多数の微小放電空間(以下「表示セル」と略すことがある)をマトリックス状に配置して構成した表示素子であり、各表示セル内には放電電極が設けられ、各表示セルの内壁には蛍光体が塗布されている。各表示セル内の空間にはHe−Xe、Ne−Xe、Ar等の希ガスが封入されており、放電電極に電圧を印加することにより、表示セル内で希ガスの放電が起こり、真空紫外線が放射される。この真空紫外線により蛍光体が励起され、可視光を発する。表示素子の所定位置の表示セルの蛍光体の発光によって画像が表示される。各表示セルに用いられる蛍光体としてそれぞれ、青、緑、赤に発光する蛍光体を用い、これらをマトリクス状に塗り分けることにより、フルカラーの表示を行うことができる。
【0003】
また、最近では、環境問題から有害な水銀を低減する傾向にあり、水銀を使用しない希ガスのみの放電で真空紫外線を放出し蛍光体を励起して発光させる希ガスランプが注目されている。
【0004】
近年、希ガス放電により放射される真空紫外線等によって励起して発光させる蛍光体の開発が盛んに行われている。例えば、PDP用では、青色発光蛍光体としてはBaMgAl10O17:Eu、緑色発光蛍光体としてZn2SiO4:Mn、赤色発光蛍光体として(Y,Gd)BO3:Euが実用化されている。しかしながら、フルカラーPDPの特性を改良するためには、蛍光体の輝度、色純度、寿命などの向上が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発光効率が良好で、PDPなど真空紫外励起素子用緑色発光蛍光体およびそれを用いた真空紫外励起素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、係る状況下、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、Gd−Al−BO3成分系、またはGd−Y−Al−BO3成分系の母体結晶系でTb3+イオンを付活した蛍光体が有用であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の(1)〜(4)に関するものである。
(1)Gd、Al、B、Oからなる化合物基体にTbが添加されることを特徴とする真空紫外線励起発光素子用蛍光体。
(2)一般式Gd1‐aTbaAl3(BO3)4(但し、0.003≦a≦0.5)で表されることを特徴とする上記(1)記載の真空紫外線励起発光素子用蛍光体。
(3)Gdの0.5乃至95mol%がYに置換されることを特徴とする上記(1)または(2)記載の真空紫外線励起発光素子用蛍光体。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の蛍光体を含有することを特徴とする真空紫外線励起発光素子。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明の真空紫外線励起発光素子用蛍光体は、Gd、Al、B、Oからなる化合物基体に付活剤としてEuが添加された緑色発光蛍光体であるが、Gd−Al−BO3成分系の母体結晶系において、付活剤としてTb(Tb3+イオン)を添加した場合、一般式Gd1‐aTbaAl3(BO3)4(但し、0.003≦a≦0.5)で表される真空紫外線励起発光素子用蛍光体が好ましい。
【0009】
また、本発明はGdの一部をイットリウム(Y)で置換したGd−Y−Al−BO3成分系の母体結晶系で付活剤としてTb(Tb3+イオン)を付活した場合、Gdの0.5乃至95mol%がYに置換される蛍光体が好ましい。
【0010】
一般式Gd1‐aTbaAl3(BO3)4においてGdの一部をYに置換した蛍光体では、発光強度の点から特に該蛍光体の付活剤として有効なEuの組成比aは0.003以上0.5以下であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は真空紫外励起素子用蛍光体は、真空紫外域以外の紫外線、X線および電子線励起の蛍光体およびそれを用いた素子へも応用可能である。
【0012】
本発明に係わる蛍光体の製造方法(合成方法)は、特に限定されるものではなく、例えば、下記のようにそれぞれの蛍光体原料を所定成分組成となるように配合して製造される。アルミニウム原料としては、高純度(99.9%以上)のα−アルミナ、γ−アルミナあるいは同じく高純度(99%以上)の水酸化アルミニウム、硝酸塩、ハロゲン化物など、ホウ素原料としては、高純度の酸化ホウ素、ホウ酸などが使用される。ガドリニウム、イットリウム原料としては、高純度(99%以上)の酸化物、あるいは同じく高純度(99%以上)の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など高温で分解し酸化物になりうるものが使用できる。
【0013】
該蛍光体で発光を生じさせるための付活剤となるテルビウムの原料としては、高純度(99%以上)の酸化物、あるいは同じく高純度(99%以上)の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など高温で分解し酸化物になりうるものが使用できる。
【0014】
これら原料をボールミル、V型混合機、または攪拌装置等を用い、混合した後、900℃から1100℃の範囲にて数時間焼成し、蛍光体を得る。原料に水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など高温で分解し酸化物になりうるものが使用した場合、本焼成の前に、600℃から800℃の範囲にて仮焼することも可能である。
このときの焼成雰囲気としては、特に限定されるものではないが、酸素雰囲気、大気雰囲気等が好ましい。また、焼成反応を促進するために、適量のフラックスを添加してもよい。
【0015】
さらに上記方法にて得られた生成物をボールミル、ジェットミル等を用い解砕した後、洗浄するが、必要に応じ分級する。また、さらに得られた蛍光体の結晶性を高めるために、必要に応じて再焼成を行う。
【0016】
以上の発明により、PDPおよび希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子に用いると発光強度が高く、好適な蛍光体が得られる。
【0017】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0018】
実施例1
酸化ガドリニウム(Gd2O3)3.64g、硝酸アルミニウム9水和物[Al(NO3)3・9H2O]23.76g、酸化ホウ素(B2O3)2.94g、酸化テルビウム(Tb2O3)0.19gの各蛍光体原料を混合した後、硝酸を添加し攪拌溶解し、上記蛍光体原料の硝酸水溶液を得た。得られた硝酸水溶液を加熱・蒸発乾固し、Gd、Tb、Al、Bの混合硝酸塩を得た。得られた混合硝酸塩をアルミナボートに充填し、空気中で1000℃の温度で24時間焼成した。このようにして、組成式がGd0.95Tb0.05Al3(BO3)4で表される緑色発光蛍光体を得た。この蛍光体を例えばHe‐Xe混合ガス中での放電によって放射される147nmの輝線によって励起した場合、高輝度の緑色発光を示した。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、PDPおよび希ガスランプなどの真空紫外線励起発光素子に用いると発光強度が高く、好適な蛍光体が得られ、高輝度な真空紫外励起発光素子が実現でき、工業的に極めて有用である。
Claims (3)
- Gd、Al、B、Oからなる化合物基体にTbが添加される一般式Gd 1-a Tb a Al 3 (BO 3 ) 4 (但し、0.003≦a≦0.5)で表されることを特徴とする真空紫外線励起発光素子用蛍光体。
- Gdの0.5乃至95mol%がYに置換されることを特徴とする請求項1記載の真空紫外線励起発光素子用蛍光体。
- 請求項1または2に記載の蛍光体を含有することを特徴とする真空紫外線励起発光素子。
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