JP4031952B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質の両側にそれぞれ電極を設けた電解質・電極構造体と、前記電解質・電極構造体を挟持する一対のセパレータとを設けた燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜(陽イオン交換膜)からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード側電極およびカソード側電極を対設した電解質(電解質膜)・電極構造体を、セパレータによって挟持することにより構成されている。この種の燃料電池は、通常、電解質・電極構造体およびセパレータを所定の数だけ積層することにより、燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
この燃料電池において、アノード側電極に供給された燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)は、触媒電極上で水素がイオン化され、電解質を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。なお、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されているために、このカソード側電極において、水素イオン、電子および酸素が反応して水が生成される。
【0004】
上記の燃料電池では、セパレータの面内に、アノード側電極に対向して燃料ガスを流すための燃料ガス流路(反応ガス流路)と、カソード側電極に対向して酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス流路(反応ガス流路)とが設けられている。さらに、この種の燃料電池では、反応ガス流路に反応ガスである酸化剤ガスおよび燃料ガスを流すための連通孔が、電解質・電極構造体およびセパレータの積層方向に貫通して設けられた内部マニホールドが採用されている。
【0005】
この場合、所望の発電機能を維持するために、それぞれのセパレータの面内には、アノード側電極およびカソード側電極の発電面全面にわたって燃料ガスおよび酸化剤ガスを供給する必要がある。このため、セパレータには、長尺な燃料ガス流路および酸化剤ガス流路が蛇行するように設けられたり、多数本の流路溝からなる燃料ガス流路および酸化剤ガス流路が設けられたりしている。
【0006】
ところが、セパレータの面内に発電面全面にわたって設けられた反応ガス流路に、セパレータに形成された連通孔から反応ガスを均一に供給することは極めて困難である。これにより、特に連通孔から離間する部分に反応ガスが十分に供給されず、前記反応ガスの分配不均一が惹起されて濃度過電圧が上昇するという問題がある。
【0007】
そこで、この種の問題を解決するために、例えば、特開2001−250568号公報に開示された固体高分子型燃料電池の集電板が知られている。この従来技術では、図7に示すように、集電板1の陰極(図示せず)に対向する一方の積層面には、上下に2分割された燃料ガス通路2a、2bが設けられるとともに、この集電板1の陽極(図示せず)に対向する他方の積層面には、同様に、上下に2分割された酸化剤ガス通路(図示せず)が形成されている。
【0008】
集電板1の一端部には、燃料ガス通路2a、2bに燃料ガスを供給する供給側連通孔である第1および第2吸気孔3a、3bと、図示しない酸化剤ガス通路から酸化剤ガスを排出するための排出側連通孔である第1および第2排気孔4c、4dと、給水孔5aとが形成されている。集電板1の他端部には、燃料ガス通路2a、2bから燃料ガスを排出するための排出側連通孔である第1および第2排気孔3c、3dと、図示しない酸化剤ガス通路に酸化剤ガスを供給するための供給側連通孔である第1および第2吸気孔4a、4bと、排水孔5bとが形成されている。
【0009】
燃料ガス通路2a、2bは、第1および第2吸気孔3a、3b側から水平方向に直線的に延在する複数本の平行溝6a、6bと、第1および第2排気孔3c、3d側に近接するバッファ部(格子溝)7a、7bとにより所定の流路溝を構成している。第1および第2吸気孔3a、3b側にも、平行溝6a、6bの端部に対応してバッファ部(空間部)7c、7dが設けられている。
【0010】
このように、集電板1には、上下に2分割された、すなわち、上下方向に幅狭に構成された燃料ガス通路2a、2bが設けられるとともに、前記燃料ガス通路2a、2bに燃料ガスを供給する第1および第2吸気孔3a、3bと、該燃料ガス通路2a、2bから燃料ガスを排出するための第1および第2排気孔3c、3dとが設けられている。従って、第1および第2吸気孔3a、3bから燃料ガス通路2a、2bに沿って燃料ガスを良好に供給することができ、集電板1の発電面全面にわたって燃料ガスの分配性の向上を図ることが可能になる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術では、燃料ガスを供給するために2つの供給側連通孔(第1および第2吸気孔3a、3b)が設けられるとともに、燃料ガスを排出するために2つの排出側連通孔(第1および第2排気孔3c、3d)が設けられている。さらに、酸化剤ガスを供給するために2つの供給側連通孔(第1および第2吸気孔4a、4b)が設けられるとともに、酸化剤ガスを排出するために2つの排出側連通孔(第1および第2排気孔4c、4d)が設けられている。
【0012】
これにより、反応ガスを供給および排出するための連通孔数が、従来の構成に比べて2倍に増加してしまい、マニホールドが大型化および複雑化するという問題が指摘されている。しかも、連通孔をシールするためのシール部材では、シール部分が増加してシール面積が増加してしまう。このため、電極面の利用率が低下するという問題がある。
【0013】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単かつ小型な構成で、発電面全面に沿って反応ガスを均一かつ良好に供給することが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る燃料電池では、電解質・電極構造体に対向するセパレータ面内に形成された一方の反応ガス流路に、セパレータに積層方向に貫通して設けられた1つの酸化剤ガス供給側連通孔および複数の酸化剤ガス排出側連通孔から酸化剤ガスが供給および排出されるとともに、他方の反応ガス流路に、前記セパレータに積層方向に貫通して設けられた1つの燃料ガス供給側連通孔および複数の燃料ガス排出側連通孔から燃料ガスが供給および排出される。そして、一方の反応ガス流路は、少なくとも2つに分割された反応ガス流路域と、1つの酸化剤ガス供給側連通孔に連通して前記分割された反応ガス流路域に酸化剤ガスを供給する少なくとも2つのバッファ部とを備え、他方の反応ガス流体は、少なくとも2つに分割された反応ガス流路域と、1つの燃料ガス供給側連通孔に連通して前記分割された反応ガス流路域に燃料ガスを供給する少なくとも2つのバッファ部とを備え、各反応ガス流路域は、複数本の流路を備えている。さらに、セパレータの一方の辺には、中央部に酸化剤ガス供給側連通孔と、前記酸化剤ガス供給側連通孔の両側に燃料ガス排出側連通孔とが設けられ、前記セパレータの前記一方の辺に対向する他方の辺には、中央部に燃料ガス供給側連通孔と、前記燃料ガス供給側連通孔の両側に酸化剤ガス排出側連通孔とが設けられるとともに、反応ガス流路である酸化剤ガス流路と燃料ガス流路とは、互いに対向流を構成しかつ同一形状に設定される。
【0015】
このように、1つの供給側連通孔に対して少なくとも2つのバッファ部が設けられている。従って、セパレータに供給側連通孔およびバッファ部をそれぞれ二対ずつ備える従来の構成に比べ、同様の反応ガス分配性を確保しながら、マニホールドの小型化および簡素化を図ることができるとともに、シール面積が低減される。これにより、電極面の利用率が有効に向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池10の要部分解斜視図であり、図2は、前記燃料電池10の一部断面図である。
【0017】
燃料電池10は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)14と、前記電解質膜・電極構造体14を挟持する第1および第2セパレータ16、18とを備える。電解質膜・電極構造体14と第1および第2セパレータ16、18との間には、後述する連通孔の周囲および電極面(発電面)の外周を覆って、ガスケット等のシール部材19が介装されている。
【0018】
電解質膜・電極構造体14と第1および第2セパレータ16、18の積層方向(図1中、矢印A方向)に交差する矢印B方向(図1中、水平方向)の一端縁部には、積層方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス供給側連通孔20が矢印C方向(図1中、鉛直方向)に延在して設けられる。酸化剤ガス供給側連通孔20の上下両側には、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための第1および第2燃料ガス排出側連通孔22a、22bが設けられる。
【0019】
電解質膜・電極構造体14と第1および第2セパレータ16、18の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給側連通孔24が矢印C方向(図1中、鉛直方向)に延在して設けられる。燃料ガス供給側連通孔24の上下両側には、酸化剤ガスを排出するための第1および第2酸化剤ガス排出側連通孔26a、26bが設けられる。
【0020】
電解質膜・電極構造体14と第1および第2セパレータ16、18の下端縁部には、純水やエチレングリコールやオイル等の冷却媒体を供給するための冷却媒体供給側連通孔28が設けられるとともに、上端縁部には、冷却媒体を排出するための冷却媒体排出側連通孔30が設けられる。
【0021】
電解質膜・電極構造体14は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸されてなる固体高分子電解質膜(電解質)32と、該固体高分子電解質膜32を挟持するアノード側電極34およびカソード側電極36とを備える。アノード側電極34およびカソード側電極36は、カーボンペーパー等からなるガス拡散層と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されてなる電極触媒層とをそれぞれ有する。
【0022】
図1および図3に示すように、第1セパレータ16のカソード側電極36に対向する面16aには、前記カソード側電極36に沿って酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス流路(反応ガス流路)38が形成される。酸化剤ガス流路38は、複数、例えば、2つに分割された第1および第2酸化剤ガス流路域(反応ガス流路域)40a、40bと、1つの供給側連通孔である酸化剤ガス供給側連通孔20に連通して前記第1および第2酸化剤ガス流路域40a、40bに酸化剤ガスを供給する第1および第2バッファ部42a、42bとを備える。
【0023】
第1および第2酸化剤ガス流路域40a、40bは、それぞれ矢印B方向に平行に延在する所定本数の直線流路44a、44bを備えている。直線流路44a、44bの上流端は、第1および第2バッファ部42a、42bを介して酸化剤ガス供給側連通孔20に連通する。直線流路44a、44bの下流端は、第3および第4バッファ部42c、42dを介して第1および第2酸化剤ガス排出側連通孔26a、26bに連通する。第1乃至第4バッファ部42a〜42dには、例えば、それぞれエンボス部46が設けられている。
【0024】
図4に示すように、第2セパレータ18のアノード側電極34に対向する面18aには、前記アノード側電極34に沿って燃料ガスを供給するための燃料ガス流路(反応ガス流路)48が形成される。燃料ガス流路48は、複数、例えば、2つに分割された第1および第2燃料ガス流路域(反応ガス流路域)50a、50bと、1つの供給側連通孔である燃料ガス供給側連通孔24に連通して前記第1および第2燃料ガス流路域50a、50bに燃料ガスを供給する第1および第2バッファ部52a、52bとを備える。
【0025】
第1および第2燃料ガス流路域50a、50bは、それぞれ矢印B方向に平行に延在する所定本数の直線流路54a、54bを備えている。直線流路54a、54bの上流端は、第1および第2バッファ部52a、52bを介して燃料ガス供給側連通孔24に連通する。直線流路54a、54bの下流端は、第3および第4バッファ部52c、52dを介して第1および第2燃料ガス排出側連通孔22a、22bに連通する。第1乃至第4バッファ部52a〜52dは、例えば、それぞれエンボス部56を設けている。
【0026】
図1および図5に示すように、第2セパレータ18の面18aとは反対の面18bには、冷却媒体流路58が設けられる。この冷却媒体流路58は、鉛直方向(矢印C方向)に平行に延在する所定本数の直線流路60を設けている。直線流路60の両端は、冷却媒体供給側連通孔28と、冷却媒体排出側連通孔30とに連通している。シール部材19の中央部には、アノード側電極34およびカソード側電極36に対応して開口部62が形成されている(図1参照)。
【0027】
このように構成される燃料電池10の動作について、以下に説明する。
【0028】
図1に示すように、燃料電池10内には、水素含有ガス等の燃料ガスと、酸素含有ガスである空気等の酸化剤ガスと、純水やエチレングリコールやオイル等の冷却媒体とが供給される。矢印A方向に連通している酸化剤ガス供給側連通孔20に供給された酸化剤ガスは、図1および図3に示すように、第1セパレータ16の酸化剤ガス流路38に導入される。
【0029】
具体的には、酸化剤ガス供給側連通孔20には、酸化剤ガス流路38を構成する第1および第2バッファ部42a、42bが連通しており、この酸化剤ガス供給側連通孔20から前記第1および第2バッファ部42a、42bに酸化剤ガスが供給される。第1および第2バッファ部42a、42bは、第1および第2酸化剤ガス流路域40a、40bに連通している。このため、酸化剤ガスは、第1および第2酸化剤ガス流路域40a、40bに設けられているそれぞれの直線流路44a、44bを介して矢印B1方向に移動し、電解質膜・電極構造体14を構成するカソード側電極36に沿って供給される。
【0030】
一方、燃料ガスは、図4に示すように、矢印A方向に連通している燃料ガス供給側連通孔24から燃料ガス流路48に導入される。この燃料ガス流路48は、燃料ガス供給側連通孔24に連通する第1および第2バッファ部52a、52bを備えており、燃料ガスは、前記第1および第2バッファ部52a、52bを介して第1および第2燃料ガス流路域50a、50bに供給される。
【0031】
燃料ガスは、第1および第2燃料ガス流路域50a、50bを構成するそれぞれの直線流路54a、54bに沿って矢印B2方向(矢印B1方向とは逆方向)に移動し、電解質膜・電極構造体14を構成するアノード側電極34に沿って供給される。
【0032】
従って、各電解質膜・電極構造体14では、カソード側電極36に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極34に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる(図2参照)。
【0033】
次いで、カソード側電極36に供給されて消費された酸化剤ガスは、第3および第4バッファ部42c、42dを介して第1および第2酸化剤ガス排出側連通孔26a、26bに排出される(図3参照)。同様に、アノード側電極34に供給されて消費された燃料ガスは、第3および第4バッファ部52c、52dを介して第1および第2燃料ガス排出側連通孔22a、22bに排出される(図4参照)。
【0034】
また、図1および図5に示すように、冷却媒体供給側連通孔28に供給された冷却媒体は、第2セパレータ18の冷却媒体流路58に導入される。この冷却媒体は、直線流路60に沿って鉛直上方向に移動し、電解質膜・電極構造体14を冷却した後、冷却媒体排出側連通孔30に排出される。
【0035】
この場合、第1の実施形態では、図3に示すように、第1セパレータ16の面16aに形成された酸化剤ガス流路38が、少なくとも2つに分割された第1および第2酸化剤ガス流路域40a、40bと、酸化剤ガス供給側連通孔20に連通して前記第1および第2酸化剤ガス流路域40a、40bに酸化剤ガスを供給する第1および第2バッファ部42a、42bとを備えている。
【0036】
このように、1つの酸化剤ガス供給側連通孔20に対して少なくとも2つの第1および第2バッファ部42a、42bが設けられている。その際、酸化剤ガス供給側連通孔20から第1および第2バッファ部42a、42bの端部までがいため、前記酸化剤ガス供給側連通孔20から離間する第1および第2酸化剤ガス流路域40a、40bの端部側にも、酸化剤ガスが十分に供給される。
【0037】
このため、酸化剤ガス供給側連通孔20から第1および第2バッファ部42a、42bを介して第1および第2酸化剤ガス流路域40a、40bの全体にわたって前記酸化剤ガスが良好に導入される。従って、酸化剤ガス流路38の全域にわたり酸化剤ガスを均一に分配することができ、例えば、濃度過電圧の上昇を有効に抑えることができるという効果が得られる。
【0038】
しかも、単一の酸化剤ガス供給側連通孔20を備え、この酸化剤ガス供給側連通孔20に第1および第2バッファ部42a、42bが連通している。このため、第1および第2バッファ部42a、42bにそれぞれ個別の酸化剤ガス供給側連通孔を連通する構成に比べ、同様の酸化剤ガス分配性を確保しながら、酸化剤ガスマニホールドの小型化および簡素化を図ることができるとともに、シール部材19によるシール面積が低減される。これにより、電極面の利用率が有効に向上するという利点が得られる。
【0039】
一方、第2セパレータ18では、図4に示すように、同様に、単一の燃料ガス供給側連通孔24に第1および第2バッファ部52a、52bが連通して設けられている。従って、燃料ガス流路48の全域にわたり燃料ガスを均一に分配し得るとともに、燃料ガスマニホールドを小型化かつ簡素化して、電極面の利用率の向上を図ることが可能になる。
【0040】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池を構成する第1セパレータ70の一部正面説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池10を構成する第1セパレータ16と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0041】
第1セパレータ70の電極面側の面70aには、酸化剤ガス流路(反応ガス流路)72が形成される。この酸化剤ガス流路72は、複数、例えば、2つに分割された第1および第2酸化剤ガス流路域(反応ガス流路域)74a、74bと、酸化剤ガス供給側連通孔20に連通して前記第1および第2酸化剤ガス流路域74a、74bに酸化剤ガスを供給する第1および第2バッファ部76a、76bとを備える。
【0042】
第1および第2酸化剤ガス流路域74a、74bは、鉛直方向(矢印C方向)に蛇行しながら水平方向(矢印B方向)に延在する所定本数の蛇行流路78a、78bを備えている。蛇行流路78a、78bの上流端は、第1および第2バッファ部76a、76bを介して酸化剤ガス供給側連通孔20に連通する。蛇行流路78a、78bの下流端は、第3および第4バッファ部76c、76dを介して第1および第2酸化剤ガス排出側連通孔26a、26bに連通する。
【0043】
なお、図示していないが、第2セパレータ18側にも同様に、蛇行流路を備えた燃料ガス流路が形成されている。
【0044】
このように構成される第2の実施形態では、第1の実施形態に用いられた直線流路44a、44bに代替して、蛇行流路78a、78bが設けられており、酸化剤ガスが第1および第2酸化剤ガス流路域74a、74bに沿って蛇行しながらカソード側電極(図示せず)に沿って供給される。従って、図示しないカソード側電極の全面に沿って酸化剤ガスを均一かつ確実に供給することができ、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0045】
なお、第1および第2の実施形態では、第1および第2セパレータ16(70)、18に、2つに分割された第1および第2酸化剤ガス流路域40a、40b(74a、74b)と、第1および第2燃料ガス流路域50a、50bとが独立して設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、この種の反応ガス流路域を3分割、4分割または5分割以上に独立して構成してもよい。その際、特に分割数を偶数に設定すると、電極面内の反応が容易に均一化される。
【0046】
また、アノード側電極34およびカソード側電極36は、それぞれ単一に構成されているが、反応ガス流路域に対応して複数に分割して構成してもよい。これにより、電極材料を削減することができ、経済的なものとなる。
【0047】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池では、少なくとも2つに分割された反応ガス流路域と、1つの供給側連通孔または排出側連通孔に連通して前記分割された反応ガス流路域に反応ガスを供給または排出する少なくとも2つのバッファ部とが設けられている。このため、セパレータに各反応ガス流路域に対応して連通孔およびバッファ部をそれぞれ二対ずつ備える構成に比べ、同様の反応ガス分配性を確保しながら、マニホールドの小型化および簡素化を図ることができるとともに、シール面積が低減される。これにより、電極面の利用効率が有効に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池の要部分解斜視図である。
【図2】前記燃料電池の一部断面図である。
【図3】前記燃料電池を構成する第1セパレータの正面説明図である。
【図4】前記燃料電池を構成する第2セパレータの一方の面の正面説明図である。
【図5】前記第2セパレータの他方の面の正面説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池を構成する第1セパレータの一部正面説明図である。
【図7】従来技術に係る集電板の正面説明図である。
【符号の説明】
10…燃料電池 14…電解質膜・電極構造体
16、18、70…セパレータ 19…シール部材
20…酸化剤ガス供給側連通孔 22a、22b…燃料ガス排出側連通孔
24…燃料ガス供給側連通孔
26a、26b…酸化剤ガス排出側連通孔
28…冷却媒体供給側連通孔 30…冷却媒体排出側連通孔
32…固体高分子電解質膜 34…アノード側電極
36…カソード側電極 38、72…酸化剤ガス流路
40a、40b、74a、74b…酸化剤ガス流路域
42a〜42d、52a〜52d、76a〜76d…バッファ部
44a、44b、54a、54b、60…直線流路
48…燃料ガス流路 50a、50b…燃料ガス流路域
58…冷却媒体流路 78a、78b…蛇行流路

Claims (2)

  1. 電解質の両側にそれぞれ電極を設けた電解質・電極構造体と、前記電解質・電極構造体を挟持する一対のセパレータとを備え、前記電解質・電極構造体に対向するセパレータ面内に形成された一方の反応ガス流路に、前記セパレータに積層方向に貫通して設けられた1つの酸化剤ガス供給側連通孔および複数の酸化剤ガス排出側連通孔から酸化剤ガスを供給および排出するとともに、他方の反応ガス流路に、前記セパレータに積層方向に貫通して設けられた1つの燃料ガス供給側連通孔および複数の燃料ガス排出側連通孔から燃料ガスを供給および排出する燃料電池であって、
    前記一方の反応ガス流路は、少なくとも2つに分割された反応ガス流路域と、
    1つの前記酸化剤ガス供給側連通孔に連通して前記分割された反応ガス流路域に前記酸化剤ガスを供給する少なくとも2つのバッファ部と、
    を備え、
    前記他方の反応ガス流路は、少なくとも2つに分割された反応ガス流路域と、
    1つの前記燃料ガス供給側連通孔に連通して前記分割された反応ガス流路域に前記燃料ガスを供給する少なくとも2つのバッファ部と、
    を備え、
    各反応ガス流路域は、複数本の流路を備え
    前記セパレータの一方の辺には、中央部に前記酸化剤ガス供給側連通孔と、
    前記酸化剤ガス供給側連通孔の両側に前記燃料ガス排出側連通孔と、
    が設けられ、
    前記セパレータの前記一方の辺に対向する他方の辺には、中央部に前記燃料ガス供給側連通孔と、
    前記燃料ガス供給側連通孔の両側に前記酸化剤ガス排出側連通孔と、
    が設けられるとともに、
    前記反応ガス流路である酸化剤ガス流路と燃料ガス流路とは、互いに対向流を構成しかつ同一形状に設定されることを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池において、各反応ガス流路域は、複数本の蛇行する反応ガス流路を備えることを特徴とする燃料電池。
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