JP4003332B2 - 眼用レンズ用モノマー、それを用いたポリマー、眼用レンズおよびコンタクトレンズ - Google Patents

眼用レンズ用モノマー、それを用いたポリマー、眼用レンズおよびコンタクトレンズ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モノマー、およびそれを用いたポリマー、プラスチック成形体に関するものであり、該プラスチック成形体はコンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズとして特に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
近年高い酸素透過性を有するプラスチック成形体として3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレートなどのシロキサニル基含有メタクリレートや、変性ポリシロキサンを一成分とするポリマーからなるものが開発され利用されている(特開昭60−142324号、特開昭54−24047号)。
【0003】
しかしながらこれらのモノマー(マクロマー)からなるポリマーは、酸素透過性を向上させる目的で導入されているシリコーンが持つ性質、即ち疎水性と分子間相互作用が小さいという性質のために表面が疎水性となりやすく水をはじいたり汚れが付きやすいという物性上の欠点が存在していた。
【0004】
また、これらのモノマー(マクロマー)は、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのような親水性モノマーとの相溶性が悪く、ポリマーの親水性向上のためにこのような親水性モノマーを共重合させた場合には相分離が起こり透明なポリマーが得られないという欠点を有していた。
【0005】
そこで、我々は2−ヒドロキシエチルメタクリレートのような親水性モノマーと共重合した場合にも高い透明性を有し、しかも高酸素透過性および高親水性を有するプラスチック成形体として、新規シロキサニルモノマーを(共)重合してなるプラスチック成形体を発明した(特開平10―72525号公報および特願平9―223777号)。
【0006】
しかしこれらのプラスチック成形体は、引張強度が若干低く取扱い時に破損が起こりやすいという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる課題を解決するものであり、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのような親水性モノマーと共重合した場合にも高い透明性を有し、高酸素透過性および高親水性を有し、なおかつ引張強度の改善されたプラスチック成形体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のプラスチック成形体は、下記の構成を有する。
「(1)下記一般式(a)で表されることを特徴とする眼用レンズ用モノマー。
【0009】
【化3】
Figure 0004003332
【0010】
[式(a)中、R1はHまたはメチル基を表す。
【0011】
およびRはそれぞれ独立にHまたはメチル基を表す。
【0012】
XはN−Y、OおよびSから選ばれた基を表す。YはH、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシペンチル基、5−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシヘキシル基、6−ヒドロキシヘキシル基、3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−エトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル基、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル基、3−[トリメチルシロキシジメチルシリル]プロピル基、下記式(y1−1)〜(y1−14)および(y2−1)〜(y2−15)で表される置換基、4−ヒドロキシフェニル基ならびに2−ヒドロキシフェニル基からなる群からから選ばれた置換基を表す。
【化5】
Figure 0004003332
【化6】
Figure 0004003332
[式(y1−10)および(y1−13)中、iは3〜8の整数を表す。]
【0013】
下記式(A)で表されるシロキサニル基で置換されたメチル基または下記式(A)で表されるシロキサニル基で置換されたプロピル基を表す
【化7】
Figure 0004003332
[式(A)中、A 〜A 11 はそれぞれが互いに独立にH、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、フェニル基、およびナフチル基からなる群から選ばれた置換基を表す。kは0〜10の整数を表し、a、b、cはそれぞれが互いに独立に0〜5の整数を表す。ただしk=a=b=c=0の場合は除く。]
【0014】
2)上記(1)記載のモノマーを重合してなるポリマー。
【0015】
(3)上記(1)記載のモノマーを重合してなるプラスチック成形体。
【0016】
(4)上記(3)記載のプラスチック成形体を用いてなるコンタクトレンズ。」
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
本発明のプラスチック成形体は下記一般式(a)で表されるモノマーを重合して得られることを特徴とする。
【0019】
【化4】
Figure 0004003332
【0020】
[式(a)中、R1はHまたはメチル基を表す。
【0021】
およびRはそれぞれ独立にHまたはメチル基を表す。
【0022】
XはN−Y、OおよびSから選ばれた基を表す。YはH、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシペンチル基、5−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシヘキシル基、6−ヒドロキシヘキシル基、3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−エトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル基、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル基、3−[トリメチルシロキシジメチルシリル]プロピル基、下記式(y1−1)〜(y1−14)および(y2−1)〜(y2−15)で表される置換基、4−ヒドロキシフェニル基ならびに2−ヒドロキシフェニル基からなる群からから選ばれた置換基を表す。
【化8】
Figure 0004003332
【化9】
Figure 0004003332
[式(y1−10)および(y1−13)中、iは3〜8の整数を表す。]
【0023】
下記式(A)で表されるシロキサニル基で置換されたメチル基または下記式(A)で表されるシロキサニル基で置換されたプロピル基を表す
【化10】
Figure 0004003332
[式(A)中、A 〜A 11 はそれぞれが互いに独立にH、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、フェニル基、およびナフチル基からなる群から選ばれた置換基を表す。kは0〜10の整数を表し、a、b、cはそれぞれが互いに独立に0〜5の整数を表す。ただしk=a=b=c=0の場合は除く。]
【0026】
式(a)中、XはN−Y1、OおよびSから選ばれた基を表す。Y1はH、置換されていてもよいアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群から選ばれた置換基を表すが、その好適な置換基の例を以下に挙げる。
【0027】
置換されていてもよいアルキル基としては直鎖状であっても分枝状であっても特に限定されるものではないが、炭素数1〜20のものが好ましく、具体的にはヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシペンチル基、5−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシヘキシル基、6−ヒドロキシヘキシル基、3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−エトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル基、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル基、3−[トリメチルシロキシジメチルシリル]プロピル基、および下記式(y1)および(y2)で表される置換基を挙げることができる。
【0028】
【化5】
Figure 0004003332
【0029】
[式(y1)および(y2)中、R2〜R4はそれぞれ独立に、H、置換されていてもよいアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群から選ばれた置換基を表す。またR3とR4は互いに結合してN原子を含む環を形成してもよい。]
式(y1)および(y2)で表される置換基をさらに具体的に例示するなら、下記式(y1−1)〜(y1−14)および(y2−1)〜(y2−15)で表される置換基が挙げられる。
【0030】
【化6】
Figure 0004003332
【0031】
【化7】
Figure 0004003332
【0032】
[式(y1−10)および(y1−13)中、iは3〜8の整数を表す。]
置換されていてもよいアリール基としては、4−ヒドロキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基が挙げられる。
【0033】
式(a)中、R下記式(A)で表されるシロキサニル基で置換されたメチル基または下記式(A)で表されるシロキサニル基で置換されたプロピル基を表す
【0036】
以下、シロキサニル基で置換されたメチル基またはシロキサニル基で置換されたプロピル基についてさらに説明を加える。
【0037】
本明細書において、シロキサニル基とは、少なくとも1つのSi−O−Si結合を有する基を表す。シロキサニル基としては下記式(A)で表される置換基が使用される。
【0038】
【化9】
Figure 0004003332
【0039】
[式(A)中、A〜A11はそれぞれが互いに独立にH、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、フェニル基、およびナフチル基からなる群から選ばれた置換基を表す。kは0〜10の整数を表し、a、b、cはそれぞれが互いに独立に0〜の整数を表す。ただしk=a=b=c=0の場合は除く。]
【0040】
=0の場合、好ましいa、b、cの組み合わせはa=b=c=1、a=b=1かつc=0、およびa=1かつb=c=0である。
【0041】
式(A)で表される置換基の中で、工業的に比較的安価に入手できることから特に好適なものは、トリス(トリメチルシロキシ)シリル基、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル基、トリメチルシロキシジメチルシリル基、ポリジメチルシロキサン基、ポリメチルシロキサン基およびポリ−コ−メチルシロキサン−ジメチルシロキサン基などである。
【0042】
ロキサニル基で置換されたメチル基およびシロキサニル基で置換されたプロピル基の中でも特に好適なものは3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル基、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル基、3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル基、トリス(トリメチルシロキシ)シリルメチル基、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルメチル基およびトリメチルシロキシジメチルシリルメチル基である。
【0047】
一般式(a)で表されるモノマーの合成法の一例としては、以下の方法を挙げることができる。すなわち、式(a1)
【0048】
【化12】
Figure 0004003332
【0049】
で表される化合物に式(a2)
【0050】
【化13】
Figure 0004003332
【0051】
で表される化合物を付加させることによって式(a)で表される化合物を得る方法である。
【0052】
本発明のプラスチック成形体は、一般式(a)で表されるモノマーを単独で重合して得ることも、他のモノマーと共重合して得ることも可能である。他のモノマーと共重合する場合の共重合モノマーとしては、共重合さえ可能であれば何ら制限はなく、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、アリル基、ビニル基および他の共重合可能な炭素炭素不飽和結合を有するモノマーを使用することができる。
【0053】
以下、その例をいくつか挙げるがこれらに限定されるものではない。(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、ビニル安息香酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールビス(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(メタ)アクリレート、両末端に炭素炭素不飽和結合を有するシロキサンマクロマーなどの多官能(メタ)アクリレート類、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレートなどのハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピルアクリルアミド、N,N−ジイソプロピルアクリルアミド、N,N−ジn−ブチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、N−メチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどの芳香族ビニルモノマー、マレイミド類、N−ビニルピロリドンなどのヘテロ環ビニルモノマー、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、
3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル(メタ)アクリルアミド、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル(メタ)アクリルアミド、3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリルアミド、
[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]メチル(メタ)アクリレート、[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]メチル(メタ)アクリレート、[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]メチル(メタ)アクリレート、
[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]メチル(メタ)アクリルアミド、[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]メチル(メタ)アクリルアミド、[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]メチル(メタ)アクリルアミド、
[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]スチレン、[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]スチレン、[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]スチレン、
および下記式(c1)〜(c19)の化合物などである。
【0054】
【化14】
Figure 0004003332
【0055】
【化15】
Figure 0004003332
【0056】
【化16】
Figure 0004003332
【0057】
【化17】
Figure 0004003332
【0058】
【化18】
Figure 0004003332
【0059】
[式(c1)〜(c19)中、R11はHまたはメチル基を表す。R12はH、置換されていてもよいアルキル基および置換されていてもよいアリール基から選ばれた置換基を表す。R13およびR14はそれぞれ独立にH、置換されていてもよいアルキル基および置換されていてもよいアリール基から選ばれた置換基を表し、R13とR14が互いに結合してNを含む環を形成していてもよい。]
以下に式(c1)〜(c19)中における、各置換基の具体例を述べる。
【0060】
11はHまたはメチル基を表す。
【0061】
12はH、置換されていてもよいアルキル基および置換されていてもよいアリール基から選ばれた置換基を表すが、好適な具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、オクタデシル基、
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、
ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシペンチル基、5−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシヘキシル基、6−ヒドロキシヘキシル基、3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−エトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、フェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基
および下記式(d1)〜(d10)で表される置換基が挙げられる。
【0062】
【化19】
Figure 0004003332
【0063】
[式(d1)〜(d10)中、mは2〜20の整数を表す。]
13およびR14はそれぞれ独立にH、置換されていてもよいアルキル基および置換されていてもよいアリール基から選ばれた置換基を表し、R13とR14が互いに結合してNを含む環を形成していてもよいが、好適な具体例としては、前述のR12の好適な具体例と同様の置換基を挙げることができる。また、R13とR14が互いに結合してNを含む環を形成している場合、下記構造(E2)で示される部分の具体例としては、
【0064】
【化20】
Figure 0004003332
【0065】
下記式(e1)〜(e7)を挙げることができる。
【0066】
【化21】
Figure 0004003332
【0067】
本発明のプラスチック成形体においては、良好な機械物性が得られ、消毒液や洗浄液に対する良好な耐性が得られるという意味で、1分子中に2個以上の共重合可能な炭素炭素不飽和結合を有するモノマーを共重合成分として用いることが好ましい。1分子中に2個以上の共重合可能な炭素炭素不飽和結合を有するモノマーの共重合比率は0.1重量%以上が好ましく、0.3重量%以上がより好ましく、0.5重量%以上がさらに好ましい。
【0068】
また、本発明のプラスチック成形体における一般式(a)で表されるモノマーの(共)重合比率は、十分な引張強度の改善効果が得られるという点からは、2重量%〜100重量%、より好ましくは3重量%〜50重量%、最も好ましくは5重量%〜30重量%である。
【0069】
また、高酸素透過性と高親水性を両立させるという点からは、本発明のプラスチック成形体はシロキサニル基含有モノマーを(共)重合して用いることが好ましく、その場合のシロキサニル基含有モノマーの(共)重合比率は30重量%〜100重量%、より好ましくは50重量%〜99重量%、最も好ましくは60重量%〜95重量%である。一般式(a)で表されるモノマーがシロキサニル基を含有する場合、一般式(a)で表されるモノマーが該シロキサニル基含有モノマーの全部または一部であってもよい。
【0070】
本発明のプラスチック成形体は、紫外線吸収剤や色素、着色剤などを含むものでもよい。また重合性基を有する紫外線吸収剤や色素、着色剤を、共重合した形で含有してもよい。
【0071】
本発明のプラスチック成形体を(共)重合により得る際は、重合をしやすくするために過酸化物やアゾ化合物に代表される熱重合開始剤や、光重合開始剤を添加することが好ましい。熱重合を行う場合は、所望の反応温度に対して最適な分解特性を有するものを選択して使用する。一般的には10時間半減期温度が40〜120℃のアゾ系開始剤および過酸化物系開始剤が好適である。光重合開始剤としてはカルボニル化合物、過酸化物、アゾ化合物、硫黄化合物、ハロゲン化合物、および金属塩などを挙げることができる。これらの重合開始剤は単独または混合して用いられ、およそ1重量%くらいまでの量で使用される。
【0072】
本発明のプラスチック成形体を(共)重合により得る際は、重合溶媒を使用することができる。溶媒としては有機系、無機系の各種溶媒が適用可能であり特に制限は無い。例を挙げれば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、安息香酸メチル等のエステル系溶剤、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロへキサン、エチルシクロへキサン等の脂環族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、石油系溶剤等各種のものであり、これらは単独あるいは混合して使用することができる。
【0073】
本発明のプラスチック成形体の重合方法、成形方法としては、公知の方法を使用することができる。例えば、一旦、丸棒や板状等に重合、成形しこれを切削加工等によって所望の形状に加工する方法、モールド重合法、およびスピンキャスト重合法などである。
【0074】
一例として一般式(a)で表されるモノマーを含むモノマー組成物をモールド重合法により重合してプラスチック成形体を得る場合について、次に説明する。
【0075】
モノマー組成物を一定の形状を有する2枚のモールドの空隙に充填する。そして光重合あるいは熱重合を行ってモールドの形状に賦型する。モールドは、樹脂、ガラス、セラミックス、金属等で製作されているが、光重合の場合は光学的に透明な素材が用いられ、通常は樹脂またはガラスが使用される。プラスチック成形体を製造する場合には、多くの場合、2枚の対向するモールドにより空隙が形成されており、その空隙にモノマー組成物が充填されるが、モールドの形状やモノマーの性状によってはプラスチック成形体に一定の厚みを与えかつ充填したモノマー組成物の液モレを防止する目的を有するガスケットを併用してもよい。空隙にモノマ組成物を充填したモールドは、続いて紫外線のような活性光線を照射されるか、オーブンや液槽に入れて加熱されて重合される。光重合の後に加熱重合したり、逆に加熱重合後に光重合する両者を併用する方法もありうる。光重合の場合は、例えば水銀ランプや捕虫灯を光源とする紫外線を多く含む光を短時間(通常は1時間以下)照射するのが一般的である。熱重合を行う場合には、室温付近から徐々に昇温し、数時間ないし数十時間かけて60℃〜200℃の温度まで高めて行く条件が、プラスチック成形体の光学的な均一性、品位を保持し、かつ再現性を高めるために好まれる。
【0076】
本発明のプラスチック成形体は、水濡れ性は純水に対する動的接触角(前進時、浸漬速度0.1mm/sec)が130゜以下が好ましく、120゜以下がより好ましく、100゜以下が最も好ましい。含水率は3%〜50%が好ましく、5%〜50%がより好ましく、7%〜50%が最も好ましい。酸素透過性は、酸素透過係数[ml(STP)cm・cm-2・sec-1・mmHg-1]50×10-11以上が好ましく、60×10-11以上がより好ましく、70×10-11以上が最も好ましい。引張弾性率は0.01〜30MPaが好ましく、0.1〜7MPaがより好ましい。引張強度は7kgf/cm2以上が好ましく、8kgf/cm2以上がより好ましい。
【0077】
本発明のプラスチック成形体は、コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズとして特に好適である。
【0078】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
〔測定方法〕
本実施例における各種測定は、以下に示す方法で行った。
(1)プロトン核磁気共鳴スペクトル
日本電子社製のEX270型を用いて測定した。溶媒にクロロホルム−dを使用した。
(2)引張強度
サンプルとして、2.0mm×15mm×0.2mm程度のサイズのフィルム状のものを使用し、オリエンテック社製のテンシロンRTM−100型を用いて測定した。引張速度は100mm/minとし、つかみ間距離は5mmとした。
〔合成例1〕
200mlナス型フラスコに下記式(h1)
【0079】
【化22】
Figure 0004003332
【0080】
で表される化合物(41.28g,205.0mmol)、およびトルエン(50ml)を入れ,フラスコを水浴(約25℃)に浸し、マグネチックスターラーで撹拌した。ここへN,N−ジエチルアミン(15.0g,205.0mmol)およびトルエン(10ml)からなる溶液を20分間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間撹拌を続けた。ロータリーバキュームエバポレーターでトルエンを留去した後、再結晶法(溶媒ヘキサン)により精製し、白色針状晶(10.7g)を得た。この結晶のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、1.2ppm付近(6H)、1.7ppm付近(6H)、2.2ppm付近(3H)、3.2ppm付近(4H)、4.6ppm付近(1H)、5.1ppm付近(1H)、5.4ppm付近(1H)、7.3ppm付近(3H)および7.5ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下記式(M1)
【0081】
【化23】
Figure 0004003332
【0082】
で表される化合物であることを確認した。
〔合成例2〕
塩化カルシウム管を備えた200mlナス型フラスコに式(h1)の化合物(40.0g,198.7mmol)、エチレングリコールモノメチルエーテル(15.12g,198.7mmol)、トルエン(50ml)、ジラウリン酸ジブチル錫(50μl)および4−tert−ブチルカテコール(5mg)を入れ,50℃で8時間撹拌した。ロータリーバキュームエバポレーターによって溶媒を留去した後、さらに減圧下、55℃で4時間かけて揮発成分を除去し、無色透明液体を得た。この液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、1.7ppm付近(6H)、2.2ppm付近(3H)、3.4ppm付近(3H)、3.5ppm付近(2H)、4.1ppm付近(2H)、5.1ppm付近(1H)、5.3ppm付近(1H)、5.4ppm付近(1H)、7.3ppm付近(3H)および7.5ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下記式(M2)
【0083】
【化24】
Figure 0004003332
【0084】
で表される化合物であることを確認した。
〔合成例3〕
エチレングリコールモノメチルエーテル(15.12g,198.7mmol)のかわりにジエチレングリコールモノメチルエーテル(23.87g,198.7mmol)を使用するほかは合成例2と同様に行って,無色透明液体を得た。この液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、1.7ppm付近(6H)、2.2ppm付近(3H)、3.4ppm付近(3H)、3.5〜3.8ppm付近(6H)、4.2ppm付近(2H)、5.1ppm付近(1H)、5.4ppm付近(2H)、7.3ppm付近(3H)および7.5ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下記式(M3)
【0085】
【化25】
Figure 0004003332
【0086】
で表される化合物であることを確認した。
〔合成例4〕
エチレングリコールモノメチルエーテル(15.12g,198.7mmol)のかわりにトリエチレングリコールモノメチルエーテル(32.63g,198.7mmol)を使用するほかは合成例2と同様に行って,無色透明液体を得た。この液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、1.7ppm付近(6H)、2.2ppm付近(3H)、3.4ppm付近(3H)、3.5〜3.8ppm付近(12H)、4.2ppm付近(2H)、5.1ppm付近(1H)、5.4ppm付近(2H)、7.3ppm付近(3H)および7.5ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下記式(M4)
【0087】
【化26】
Figure 0004003332
【0088】
で表される化合物であることを確認した。
〔合成例5〕
塩化カルシウム管を備えた200mlナス型フラスコに3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(50.0g,141.3mmol)および酢酸エチル(35ml)を入れ,フラスコを水浴(約25℃)に浸し、マグネチックスターラーで撹拌した。ここへ式(h1)の化合物(28.45g,141.3mmol)および酢酸エチル(20ml)からなる溶液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、室温で18時間放置した。ロータリーバキュームエバポレーターで酢酸エチルを留去した後、さらに減圧下、60℃で3時間かけて揮発成分を除去し、白色ワックス状物を得た。プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(27H)、0.3ppm付近(2H)、1.3ppm付近(2H)、1.7ppm付近(6H)、2.2ppm付近(3H)、3.0ppm付近(2H)、4.1ppm付近(1H)、4.8ppm付近(1H)、5.1ppm付近(1H)、5.4ppm付近(1H)、7.3ppm付近(3H)および7.5ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下記式(M5)
【0089】
【化27】
Figure 0004003332
【0090】
で表される化合物であることを確認した。
実施例1〕1Lのナス型フラスコにメチルアクリレート(48g,0.56mol)、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(200g,0.56mol)、酢酸エチル(250ml)を加えて室温で7日間撹拌した。反応終了後、ロータリーバキュームエバポレーターを用いて溶媒を除去した後、減圧蒸留を行ない透明な液体を得た。この液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(27H)、0.4ppm付近(2H)、1.5ppm付近(3H)、2.4〜2.7ppm付近(4H)、2.9ppm付近(2H)および3.7ppm付近(3H)にピークが検出されたことから下記式(h2)
【0091】
【化28】
Figure 0004003332
【0092】
で表される化合物であることを確認した。
【0093】
塩化カルシウム管を備えた200mlナス型フラスコに式(h2)の化合物(50.0g,113.7mmol)および酢酸エチル(35ml)を入れ,フラスコを水浴(約25℃)に浸し、マグネチックスターラーで撹拌した。ここへ式(h1)の化合物(22.88g,113.7mmol)および酢酸エチル(20ml)からなる溶液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、室温で18時間放置した。ロータリーバキュームエバポレーターで酢酸エチルを留去した後、さらに減圧下、60℃で3時間かけて揮発成分を除去し、無色透明液体を得た。この液体を室温で一晩放置すると固化して白色ワックス状物となった。プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(27H)、0.5ppm付近(2H)、1.5〜1.9ppm付近(8H)、2.2ppm付近(3H)、2.6ppm付近(2H)、3.2ppm付近(2H)、3.6ppm付近(2H)、3.7ppm付近(3H)、5.1ppm付近(1H)、5.3ppm付近(1H)、5.4ppm付近(1H)、7.3ppm付近(3H)および7.5ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下記式(M6)
【0094】
【化29】
Figure 0004003332
【0095】
で表される化合物であることを確認した。
実施例2〕1Lのナス型フラスコにN,N−ジメチルアクリルアミド(55.5g,0.56mol)、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(200g,0.56mol)、酢酸エチル(250ml)を加えて室温で7日間撹拌した。反応終了後、ロータリーバキュームエバポレーターを用いて溶媒を除去した後、減圧蒸留を行ない透明な液体を得た。この液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(27H)、0.5ppm付近(2H)、1.5ppm付近(2H)、2.4〜2.7ppm付近(4H)および2.8〜3.1ppm付近(8H)にピークが検出されたことから下記式(h3)
【0096】
【化30】
Figure 0004003332
【0097】
で表される化合物であることを確認した。
【0098】
塩化カルシウム管を備えた200mlナス型フラスコに式(h3)の化合物(51.49g,113.7mmol)および酢酸エチル(35ml)を入れ,フラスコを水浴(約25℃)に浸し、マグネチックスターラーで撹拌した。ここへ下記式(h4)
【0099】
【化31】
Figure 0004003332
【0100】
で表される化合物(22.88g,113.7mmol)および酢酸エチル(20ml)からなる溶液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、室温で18時間放置した。ロータリーバキュームエバポレーターで酢酸エチルを留去した後、さらに減圧下、60℃で3時間かけて揮発成分を除去し、無色透明液体を得た。この液体を室温で一晩放置すると固化して白色ワックス状物となった。プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(27H)、0.5ppm付近(2H)、1.5〜1.9ppm付近(8H)、2.2ppm付近(3H)、2.6ppm付近(2H)、2.8〜3.8ppm付近(10H)、5.0〜5.6ppm付近(3H)および7.2〜7.6ppm付近(4H)にピークが検出されたことから下記式(M7)
【0101】
【化32】
Figure 0004003332
【0102】
で表される化合物であることを確認した。
実施例3〕1Lの三角フラスコに水(500g)、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(25.0g)およびメトキシトリメチルシラン(81.0g)を入れ,マグネチックスターラーを用いて室温で10.5時間撹拌し、その後一晩放置した。反応液は有機層と水層に分離したので分液し、水層はさらにエチルエーテルを用いて抽出を行った。有機層とエチルエーテル抽出液を混合し、無水硫酸マグネシウムを加えて脱水を行った後、硫酸マグネシウムを濾過で除き、ロータリーバキュームエバポレーターによって溶媒を留去した。減圧蒸留を行って分離精製し、無色透明液体(10.7g)を得た。この液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(27H)、0.4ppm付近(2H)、1.5ppm付近(2H)、2.4ppm付近(3H)および2.6ppm付近(2H)にピークが検出されたことから3−(N−メチルアミノ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランであることを確認した。
【0103】
塩化カルシウム管を備えた100mlナス型フラスコに3−(N−メチルアミノ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(10.0g,27.2mmol)および酢酸エチル(10ml)を入れ,フラスコを水浴(約25℃)に浸し、マグネチックスターラーで撹拌した。ここへ式(h1)の化合物(5.47g,27.2mmol)および酢酸エチル(5ml)からなる溶液を15分間かけて滴下した。滴下終了後、室温で18時間放置した。ロータリーバキュームエバポレーターで酢酸エチルを留去した後、さらに減圧下、60℃で3時間かけて揮発成分を除去し、白色ワックス状物を得た。プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(27H)、0.5ppm付近(2H)、1.5〜1.9ppm付近(8H)、2.2ppm付近(3H)、3.0〜3.8ppm付近(5H)、5.1ppm付近(1H)、5.3ppm付近(1H)、5.4ppm付近(1H)、7.3ppm付近(3H)および7.5ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下記式(M8)
【0104】
【化33】
Figure 0004003332
【0105】
で表される化合物であることを確認した。
実施例4〕5Lの三角フラスコに水(2194.2g)、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(108.94g)およびメトキシトリメチルシラン(356.0g)を入れ,マグネチックスターラーを用いて室温で10時間撹拌し、その後一晩放置した。反応液は有機層と水層に分離したので分液し、水層はさらにエチルエーテルを用いて抽出を行った。有機層とエチルエーテル抽出液を混合し、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水を行った後、硫酸ナトリウムを濾過で除き、ロータリーバキュームエバポレーターによって溶媒を留去した。減圧蒸留を行って分離精製し、無色透明液体(63.6g)を得た。この液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(21H)、0.4ppm付近(2H)、1.1ppm付近(2H)、1.4ppm付近(2H)および2.6ppm付近(2H)にピークが検出されたことから3−アミノプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シランであることを確認した。
【0106】
塩化カルシウム管を備えた100mlナス型フラスコに3−アミノプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン(10.0g,35.8mmol)および酢酸エチル(10ml)を入れ,フラスコを水浴(約25℃)に浸し、マグネチックスターラーで撹拌した。ここへ式(h1)の化合物(7.20g,35.8mmol)および酢酸エチル(10ml)からなる溶液を15分間かけて滴下した。滴下終了後、室温で18時間放置した。ロータリーバキュームエバポレーターで酢酸エチルを留去した後、さらに減圧下、60℃で3時間かけて揮発成分を除去し、白色ワックス状物を得た。プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(21H)、0.3ppm付近(2H)、1.3ppm付近(2H)、1.7ppm付近(6H)、2.2ppm付近(3H)、3.0ppm付近(2H)、4.1ppm付近(1H)、4.8ppm付近(1H)、5.1ppm付近(1H)、5.4ppm付近(1H)、7.3ppm付近(3H)および7.5ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下記式(M9)
【0107】
【化34】
Figure 0004003332
【0108】
で表される化合物であることを確認した。
実施例5〕200mlの三角フラスコにメチルアクリレート(9.24g,107.3mmol)、3−アミノプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン(30.0g,107.3mol)、酢酸エチル(30g)を加えて室温で7日間撹拌した。反応終了後、ロータリーバキュームエバポレーターを用いて溶媒を除去した後、減圧蒸留を行ない透明な液体(34.6g)を得た。この液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(21H)、0.4ppm付近(2H)、1.2ppm付近(1H)、1.5ppm付近(2H)、2.4〜2.7ppm付近(4H)、2.9ppm付近(2H)および3.7ppm付近(3H)にピークが検出されたことから下記式(h5)
【0109】
【化35】
Figure 0004003332
【0110】
で表される化合物であることを確認した。
【0111】
塩化カルシウム管を備えた100mlナス型フラスコに式(h5)の化合物(10.0g,27.3mmol)および酢酸エチル(10ml)を入れ,フラスコを水浴(約25℃)に浸し、マグネチックスターラーで撹拌した。ここへ式(h1)の化合物(5.49g,27.3mmol)および酢酸エチル(5ml)からなる溶液を15分間かけて滴下した。滴下終了後、室温で18時間放置した。ロータリーバキュームエバポレーターで酢酸エチルを留去した後、さらに減圧下、60℃で3時間かけて揮発成分を除去し、無色透明液体を得た。プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(21H)、0.5ppm付近(2H)、1.5〜1.9ppm付近(8H)、2.2ppm付近(3H)、2.6ppm付近(2H)、3.2ppm付近(2H)、3.6ppm付近(2H)、3.7ppm付近(3H)、5.1ppm付近(1H)、5.3ppm付近(1H)、5.4ppm付近(1H)、7.3ppm付近(3H)および7.5ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下記式(M10)
【0112】
【化36】
Figure 0004003332
【0113】
で表される化合物であることを確認した。
参考例1〕下記式(N1)
【0114】
【化37】
Figure 0004003332
【0115】
で表される化合物(60重量部)、合成例1で得た式(M1)の化合物(10重量部)、N,N−ジメチルアクリルアミド(30重量部)およびトリエチレングリコールジメタクリレート(1重量部)を均一に混合し、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.1重量部)を添加した後、このモノマ混合物をアルゴン雰囲気下で脱気し、ガラス板間に注入し、密封した。まず100℃で4時間重合させ、続いて100℃から40まで3.5時間かけて降温させた後、40℃で2時間以上保持し、プラスチック成形体のフィルム状サンプルを得た。
【0116】
該サンプルは透明で濁りが無かった。該サンプルを水和処理したときの引張強度を表1に示した。該サンプルは高い引張強度を有していた。
参考例2〜5、実施例6〜10〕合成例1で得た式(M1)の化合物のかわりに、合成例2〜5、実施例1〜5で得た式(M2)〜(M10)の化合物をそれぞれ使用する他は、参考例1と同様に行ってプラスチック成形体のフィルム状サンプルを得た。
【0117】
各サンプルは透明で濁りが無かった。各サンプルを水和処理したときの引張強度を表1に示した。各サンプルは高い引張強度を有していた。
〔比較例1〕式(N1)の化合物(60重量部)、N,N−ジメチルアクリルアミド(40重量部)およびトリエチレングリコールジメタクリレート(1重量部)を均一に混合し、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.1重量部)を添加した後、参考例1と同様に行って、プラスチック成形体のフィルム状サンプルを得た。
【0118】
該サンプルは透明で濁りが無かった。該サンプルを水和処理したときの引張強度を表1に示した。該サンプルは一般式(a)で表されるモノマーが共重合されていないため引張強度が低かった。
【0119】
【表1】
Figure 0004003332
【0120】
参考例6〜10、実施例11〜15〕N,N−ジメチルアクリルアミドのかわりに2−ヒドロキシエチルメタクリレートを使用する他は、参考例1〜5、実施例6〜10とそれぞれ同様に行ってプラスチック成形体のフィルム状サンプルを得た。
【0121】
各サンプルは透明で濁りが無く、眼用レンズとして好適であった。
〔比較例2〕3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(60重量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(40重量部)およびトリエチレングリコールジメタクリレート(1重量部)を均一に混合し、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.1重量部)を添加した後、参考例1と同様に行って、プラスチック成形体のフィルム状サンプルを得た。
【0122】
該サンプルは白濁して不透明であり、眼用レンズとして不適であった。
【0123】
【発明の効果】
本発明により、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのような親水性モノマーと共重合した場合にも高い透明性を有し、高酸素透過性および高親水性を有し、なおかつ引張強度の改善されたプラスチック成形体を提供することができた。

Claims (4)

  1. 下記一般式(a)で表されることを特徴とする眼用レンズ用モノマー。
    Figure 0004003332
    [式(a)中、RはHまたはメチル基を表す。RおよびRはそれぞれ独立にHまたはメチル基を表す。XはN−Y、OおよびSから選ばれた基を表す。YはH、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシペンチル基、5−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシヘキシル基、6−ヒドロキシヘキシル基、3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−エトキシ−2−ヒドロキシプロピル基、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル基、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル基、3−[トリメチルシロキシジメチルシリル]プロピル基、下記式(y1−1)〜(y1−14)および(y2−1)〜(y2−15)で表される置換基、4−ヒドロキシフェニル基ならびに2−ヒドロキシフェニル基からなる群からから選ばれた置換基を表す。R下記式(A)で表されるシロキサニル基で置換されたメチル基または下記式(A)で表されるシロキサニル基で置換されたプロピル基を表す。]
    Figure 0004003332
    Figure 0004003332
    [式(y1−10)および(y1−13)中、iは3〜8の整数を表す。]
    Figure 0004003332
    [式(A)中、A 〜A 11 はそれぞれが互いに独立にH、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、フェニル基、およびナフチル基からなる群から選ばれた置換基を表す。kは0〜10の整数を表し、a、b、cはそれぞれが互いに独立に0〜5の整数を表す。ただしk=a=b=c=0の場合は除く。]
  2. 一般式(a)においてRが3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル基、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル基、3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル基、トリス(トリメチルシロキシ)シリルメチル基、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルメチル基およびトリメチルシロキシジメチルシリルメチル基から選ばれた置換基であることを特徴とする請求項に記載の眼用レンズ用モノマー。
  3. 請求項1または2に記載の眼用レンズ用モノマーを重合してなることを特徴とする眼用レンズ
  4. 請求項1または2に記載の眼用レンズ用モノマーを重合してなることを特徴とするコンタクトレンズ
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