JP3982027B2 - 複合粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合化率が高く、機械安定性に優れ、製紙における填料として用いた時の歩留りが高く且つ紙に優れた白色度、白紙不透明度及び印刷後不透明度を付与する微小粒子と水和ケイ酸の複合粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、資源問題の観点から、また物流費、人件費の上昇から紙は軽量化される傾向にある。特に印刷用紙を軽量化した場合、紙に印刷した時の不透明度が低下し、印刷された文字や写真等が紙の反対側から透き通って見えるという問題を生じる。この対策として紙に種々の填料を内添し、用紙の不透明度を高めるということが一般に行われている。
不透明度を向上させる目的のために無機系、有機系の各種填料の研究が行われており、安価で且つ優れた印刷後不透明度向上効果を持つ填料の開発に対する要求が年々高まってきた。また、最近ではより軽量化される傾向が強いので、印刷した際、インク中の油成分の浸透を抑制することによる印刷後の不透明度を向上させる能力に加え、白紙の不透明度を向上させる能力を兼ね備えた填料の出現が強く望まれている。
【0003】
各種填料として、カオリン、タルク、二酸化チタン、水和ケイ酸(ホワイトカーボン)、尿素−ホルマリンポリマー微粒子などが用いられている。カオリン、タルクは不透明度向上に効果があり且つ安価ではあるが、吸油能が小さいため印刷後の不透明度の向上は大きくない。二酸化チタンは光散乱能が高いので不透明度の向上には有効であるが、高価であるばかりでなく吸油能が小さいという欠点を有しており、また、粒子径が小さくパルプに添加して抄紙機で抄紙する際の歩留りが非常に悪い。尿素−ホルマリンポリマー微粒子は光散乱能、吸油能が高く、印刷後不透明度の向上に優れているが、高価であり経済性の点で満足できるものではない。水和ケイ酸は印刷後不透明度を付与する効果はあるが、白紙不透明度に対する効果を含めて十分満足すべき水準に到達していないのが現状である。
【0004】
前記填料の有する欠点を克服すべく様々な填料の複合化、特に吸油能が優れ、コスト的に有利な水和ケイ酸をベースとした複合化が試みられている。たとえば、特公平6−45451号公報には硫酸チタン溶液とケイ酸溶液を混合、中和して共析出させることにより、チタンと水和ケイ酸を複合化する方法が開示されている。しかしながら、この複合体は酸化チタンの存在下又不存在下に、ケイ酸アルカリ水溶液に、その水溶液のpHが1〜7になるようにチタンの酸性溶液を少なくとも30分以上の時間を費やして添加し、80℃〜該水溶液の沸点の温度に加熱することにより製造されており、得られる複合体に含まれているチタンは焼成をしない限り、そのままでは非晶質の水酸化チタンとして存在し、光散乱能の観点から見てチタンが最適な結晶質構造を有していない。
【0005】
また本発明者らは、特開平9−156919号公報において、水和ケイ酸二次粒子を核としてその表面にチタンを担持、複合化させる方法を提案した。
しかしながらこの方法では水和ケイ酸二次粒子を核としてその表面へチタンを担持させるため、チタンの水和ケイ酸表面への担持力が弱く、厳密に管理された条件を用いないと、複合化されるチタンの割合(複合化率)は低率におさえられる。また、この複合体は機械的シェアーに対する安定性が低く、たとえば抄紙系内を循環する際にファンポンプやクリーナー等によって受けるシェアーにより、チタン分が水和ケイ酸から脱落しやすいという欠点を有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、水和ケイ酸と微小粒子の複合粒子の製造方法において、微小粒子の水和ケイ酸への複合化率が高く、また機械安定性に優れ、そのため製紙における填料として用いた時の歩留りが高く且つ紙に優れた白色度、白紙不透明度及び印刷後不透明度を付与する水和ケイ酸と微小粒子の複合粒子の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下の(1)〜(5)の5つの構成を採用する。
(1)ケイ酸アルカリ水溶液に耐アルカリ性の微小粒子を添加して分散し、次いで液温を70〜95℃まで昇温し、液温を該温度範囲に保持しながら鉱酸を添加することにより液pHを3〜6.5の範囲に調整することを特徴とする複合粒子の製造方法。
(2)前記(1)の方法において、微小粒子を添加する前または後であって液温を70〜95℃に昇温する前または昇温中に鉱酸の一部を添加することを特徴とする複合粒子の製造方法。
(3)前記(2)の方法において、鉱酸の一部は、全添加量の0〜50%であることを特徴とする複合粒子の製造方法。
(4)前記(1)〜(3)において、微小粒子が粒子径0.1〜0.4μmの二酸化チタンである複合粒子の製造方法。
(5)前記(1)〜(5)において、微小粒子をケイ酸アルカリ水溶液に分散する時から鉱酸の全部を添加し終わるまで、ケイ酸アルカリ水溶液に高剪断力を与えることを特徴とする複合粒子の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるケイ酸アルカリ水溶液は、特に限定されないが、ケイ酸ソーダ水溶液またはケイ酸カリウム水溶液が好適である。ケイ酸アルカリ水溶液のモル濃度はモル比(SiO2/Na2O)が2.0〜3.4の範囲から選ぶのが好適である。また、ケイ酸アルカリ水溶液の濃度は、水溶液中のケイ酸(SiO2)分で3〜15重量%の範囲から選ばれる。この範囲よりも濃度が高いと反応中の溶液の粘度が高くなってしまい、また、低いと反応液量が多くなって非効率的である。更に、反応中においても反応液中のケイ酸濃度を3〜15重量%の範囲に保持することが望ましい。
【0009】
本発明で使用される鉱酸としては、特に限定されず公知のものが使用される。具体的には、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸が挙げられるが、硫酸は入手が容易で且つ安価であるため好適に用いられる。鉱酸の添加時の濃度は、特に限定されないが、一般的には10〜30重量%の範囲から選ばれる。
【0010】
また、本発明で使用される耐アルカリ性微小粒子は、硫酸による中和前にpH10〜12のケイ酸アルカリ水溶液中に分散され、温度も70〜95℃と高温になるため、それぞれの条件に耐えられるだけの耐アルカリ性が必要である。
また、水和ケイ酸とともに良好な二次粒子を形成するために、粒子径は5μm以下であることが望ましく、特に好ましくは0.05〜1μmである。
このような粒子として二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムなどの無機粒子及び尿素ホルマリン、ポリスチレンなどの有機粒子が挙げられる。
【0011】
これらの微小粒子の中で、結晶性二酸化チタンは、耐アルカリ性、粒子径が本合成条件に好適であり、また複合体として紙の充填に用いられた時の不透明度向上効果も高いため、最も好ましく用いられる。
結晶性二酸化チタンは平均一次粒子径が0.1〜0.4μmの範囲にあり、結晶型がルチル型及び/またはアナターゼ型のものが選択され、単独あるいは混合して使用される。
【0012】
結晶性二酸化チタンには分散性を高めるために、アルミナを表面処理剤として処理されたものがあるが、本合成条件においてアルミナが溶解することがあり、その場合複合化率の低下につながることもあるため、アルミナ含有率として蛍光X線による分析値が10%未満のものが好ましい。また、カチオン性分散剤のコーティングや酸化亜鉛のドーピング等により水和ケイ酸と二酸化チタンのマッチングをよくすると好ましい結果が得られる。
【0013】
該結晶性二酸化チタンは、予め水に分散した後使用されるが、分散に際し粒子の再凝集を防止するため分散剤を添加しても良い。分散剤としては、ヘキサメタリン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ等が挙げられる。分散後の結晶性二酸化チタンスラリー濃度は1〜10重量%に調整される。
また、水和ケイ酸の成長を促進させたりあるいは反応途中の粘度をコントロールする目的で、硫酸ナトリウムなどの電解質を適宜加えることも可能である。
【0014】
本発明では反応の前半の工程、すなわち、温度を70〜95℃に上昇させるまでの工程において、微小粒子を核として水和ケイ酸一次粒子を形成させる。この温度が70℃未満では、液はゲル状となり、その後の複合粒子が形成できない。また、95℃を越えると蒸気圧が上がり、高温高圧釜等特殊な装置が必要となり適当でない。
昇温は、微小粒子添加後、攪拌しながら10〜30分をかけて行う。これより短い時間で昇温を行うことは、工業的には極めて能力の高い加熱装置を必要とするので現実的に難しい。
【0015】
上記の工程において、微小粒子を添加・分散する前に鉱酸の一部を添加しておくことが可能である。この方法により、水和ケイ酸一次粒子がかさ高になり吸油度を高めることができる。
また、微小粒子を添加した後、温度を上昇する前または上昇中に鉱酸の一部を添加することも可能である。この方法により、水和ケイ酸の構造を好ましいものにコントロールすることができる。ただし、この場合、鉱酸の添加は液温度が20〜55℃の間に開始することが好ましいが、粘度が上昇する等の製造上の問題がなければこの範囲外の温度で添加してもかまわない。
また、鉱酸の添加の前と後の両方で微小粒子を添加・分散することも可能である。
いずれにしろ、上記した前半の工程で液に鉱酸を添加する場合、その添加量は、全添加量(前半と後半の合計添加量)の50%以下であり、添加の際に水溶液が部分的にでもpH7を下まわることのないように、連続的に十分攪拌しながら添加する。これらの範囲を守らないと、反応液がゲル状となり製造上の問題が起きたり、また複合化率が著しく低下したりするなどの問題が生じるからである。
【0016】
液の温度が70〜95℃の目的の温度に達したら、必要に応じて70〜95℃の温度で熟成し、以後の後半の工程に進む。
後半の工程は、当該温度範囲(70〜95℃)を維持しながら鉱酸を添加し、液のpHを3〜6.5の間に調整する工程である。
鉱酸の添加は、十分に攪拌しながら、10分〜1時間程度の時間をかけて行い、その後必要に応じて、当該温度範囲で熟成することもある。
【0017】
本発明で、ケイ酸アルカリ水溶液に微小粒子を添加する時点から、後半の工程での鉱酸の添加を終了するまでは、十分に攪拌する必要があり、且つ、高い剪断力を与えることが好ましい。これにより、複合粒子の2次粒子径が紙の填料として最も好ましい範囲に調整されるのみならず、水和ケイ酸と微小粒子が均一に複合化する。
高い剪断力を与える方法としては、ホモミキサー、ホモジナイザー、インラインミキサー、ディスクリファイナー、サンドグラインダー等の公知のものが挙げられ、適宜選択して用いられる。
【0018】
また、本発明で得られる前記複合粒子は、紙の填料として用いる場合、予め湿式粉砕及び/または湿式分級して用いられる。湿式粉砕機としては、公知の連続式ホモミキサー、コロイドミル、ディスクリファイナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロッドミル等が挙げられ、粉砕して更に分級する場合は、前記複合体は、公知の振動スクリーンのような分級機で湿式分級し、複合体の70〜75μmを越える粗大粒子を除去して用いられる。このような処理を施して得られる複合体は、レーザー回折式粒度分布計(島津、SALD−1100)による平均粒子径は3〜30μm、好ましくは10〜25μmの範囲にあり、1〜30μmの粒子径のものが70重量%以上含有される。
以上説明したように、本発明の製造方法により得られる水和ケイ酸と微小粒子の複合体は、水和ケイ酸粒子中に該微小粒子が均一に複合化されており、機械安定性が高く、たとえば製紙に際し填料として用いると、水和ケイ酸とともに微小粒子を効率良く紙中に留めることができる。
【0019】
本発明による水和ケイ酸と微小粒子の複合体を抄紙の際にパルプ原料に添加して抄紙することによって、微小粒子を高い歩留りで紙中に留めることができる。それは本発明による方法のように微小粒子を水和ケイ酸の2次粒子が析出する以前に添加して複合化することにより、微小粒子を核として水和ケイ酸粒子が生成し、その後更に添加する第二の鉱酸により水和ケイ酸二次粒子が成長し、結果として局所的ではなく、水和ケイ酸二次粒子全体にわたって均一に微小粒子が複合化されるために、抄紙の際に受ける各種のシェアーにり微小粒子が脱落することがなく、機械的安定性に優れた複合体が形成されるからである。
水和ケイ酸はインク吸収性に優れるため、印刷用紙の不透明度向上特に印刷後不透明度向上のために用いられることがあるが、本発明法によるもう一方の微小粒子、たとえば不透明度の著しく高い二酸化チタンなどと複合化させることにより、製紙用途に限らず様々な分野での要望に応える填料を与えることが可能となる。
【0020】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は勿論これらに限定されるものではない。尚、以下の実施例において、%は、全て重量%である。
【0021】
<実施例1>
市販の3号ケイ酸ソーダ水溶液(徳山曹達製、SiO2濃度30%)240gを純水にて1000gに希釈し、SiO2濃度を72g/kgとして2リットルのステンレスビーカーに入れ、温度50℃において無水硫酸ナトリウム17.9gを加え、プロペラ攪拌機(スリーワンモーター)で1200rpmにて攪拌しながら予め100gの水に分散しておいた二酸化チタン(JA−4、平均粒子径250nm、テイカ製)7.2gを添加した。その後、硫酸(濃度20%)72gを15分間かけて連続的に添加した。
硫酸の添加が終わった後、攪拌しながら15分間で温度を90℃まで昇温した。
この温度でそのまま攪拌を続け10分間熟成を行い、次いで、残りの硫酸108gを20分間かけて連続的に添加した後90℃にて20分間熟成した。熟成後、30分かけて反応液を50℃まで冷却した。この時のスラリーのpHは5.7であった。
【0022】
次いで、この反応生成物を含むスラリー液に直径2.0〜2.6mmのガラスビーズ1000gを加え、50℃に保温しながら、プロペラ攪拌機にて400rpmで、3分間攪拌して粉砕処理を行い、このスラリーを200メッシュの標準篩を通過させ残さを除去した。複合体は前記レーザー回折式粒度分布測定装置でその平均粒子径を測定したところ21μmであり、1〜30μmの範囲のものが75%含有されていた。
篩を通過した複合体スラリーをブフナーロートにて濾過しケーキ状複合体を得、これを水に分散させ、攪拌し、再度スラリーとし、スラリー濃度を5%に調整した。
【0023】
<複合化率の測定>
合成した複合填料の粒度分布を島津SALD−1100にて測定し、複合化率を求めた。すなわち複合化する微小粒子と水和ケイ酸の混合物の粒度分布測定より、それぞれの粒子のシグナル比を求め検量線を作成し、複合填料の粒度分布より得られるシグナル比と先の検量線より複合填料の微小粒子含有率を求める。尚、この方法では水和ケイ酸と微小粒子のシグナルが明確に分離していることが必要であり、先に挙げた二酸化チタン、炭酸カルシウム等がある。複合化率H(%)を下記の式(1)で定義する。
H=(1−複合体微小粒子含有率/微小粒子配合率)×100 ・・・(1)
【0024】
<機械的安定性の測定>
複合体の機械安定性は以下の手順により求めた。すなわち、複合体の5%スラリー液1リットルに直径2.0〜2.6mmのガラスビーズ1000gを加え、50℃に保温しながら、スリーワンモーターにて400rpmで攪拌し適宜サンプリングを行い粒度分布測定を行い、処理時間による粒径及び上記により得られる複合化率の変化を求める。
【0025】
<手抄き紙の作製>
次に、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)15%、サーモメカニカルパルプ(TMP)34%、機械パルプ(GP)11%及び新聞脱墨古紙パルプ(DIP)40%からなる混合パルプのスラリー(濃度1.25%)に前記複合体スラリーを、パルプ絶乾重量当り3%となるように添加し、2分間攪拌後、硫酸バンド(Al2(SO43・18H2O)をパルプ絶乾重量当り1%添加した。更に2分間攪拌した後、全体を0.2%濃度になるよう調成した。調成したパルプスラリ−を用いて、実験用角型シートマシンで坪量40.0g/m2の紙を抄いて、乾燥した。
【0026】
<各種紙物性の測定>
この手抄きシートを20℃、65%相対湿度の部屋で調湿した後、線圧40kg/cmで実験用加熱カレンダーで2回通過させ平滑度を調整し、その後白色度、不透明度の紙質試験と印刷試験及び填料の歩留り試験を下記の試験法で行い、評価を行った。
用いた試験方法は次の通りである。
(1)白色度
JIS P 8148(ISO 2470)に準拠して測定した。
(2)白紙不透明度
J.TAPPI 53(ISO 2471)に準拠して測定した。
(3)印刷後の不透明度
新聞用オフセットインキを用いて、RI印刷試験機にて11×21cmの大きさのベタ印刷を行い、印刷後の不透明度Y(%)は下記の式(2)で定義した。
Y(%)={(印刷後の裏面の反射率)/(未印刷の裏面の反射率)}×100・・・(2)
【0027】
(4)填料歩留り
予め作成しておいた、填料を配合していない手抄きシート(ブランク)及び填料を配合した手抄きシートより10×10cmの紙片10枚を正確に切り取り、105℃×3時間乾燥させた後に絶乾重量を秤りとる。次にこの絶乾紙片をバーナーにて予備燃焼を行い、続けて電気炉(ヤマト、FJ31)にて900℃×2時間焼くことによりシート中に含まれる灰分を求める。填料歩留りR(%)は下記の式(3)で定義した。
R(%)={(填料入りシート灰分重量/同絶乾重量−ブランク灰分重量/同絶乾重量)}/填料配合率×100 ・・・(3)
【0028】
<実施例2>
第一の硫酸を添加せず、第二の硫酸を180gとし、二酸化チタン(JA−4、平均粒子径250nm、テイカ製)7.2gを用いた以外は、実施例1と同様に処理し、更に得られた複合体スラリーを実施例1と同様にして評価した。
得られた複合体の平均粒径は20μm、1〜30μmのものは77%含有されていた。
【0029】
<実施例3>
ホモミキサー(特殊機化工、MarkII 2.5型)により8000rpmで攪拌しながら一回目の硫酸45gを添加した後に二酸化チタン(JRNC、平均粒子径250nm、テイカ製)7.2g、を添加し、90℃に昇温後攪拌をホモミキサーからスリーワンモーター1200rpmにかえ、第二の硫酸を135g添加した。その後、実施例1と同様に熟成、降温、粉砕、分級、濾過し、再分散を行い複合体のスラリーを得た。得られた複合体の平均粒子径は19μm、1〜30μmのものは85%含有されていた。また、このスラリーを用いて実施例1と同様にして手抄きシートを作成し、評価を行った。
【0030】
<実施例4>
実施例1の二酸化チタンの代わりに尿素ホルムアルデヒド樹脂(三井東圧化学、ユーパールC−22)7.2gを用いたほかは同様の処理を行い複合粒子のスラリーを得た。得られた複合体の平均粒子径は22μm、1〜30μmのものは70%含有されていた。また、このスラリーを用いて実施例1と同様にして手抄きシートを作成し、評価を行った。
【0031】
<実施例5>
実施例1と同様にして第一の硫酸を添加した後、70℃まで昇温し第二の硫酸108gを連続的に添加した。その他は同様の処理を行い、複合粒子スラリーを得た。複合体の平均粒子径は22μm、1〜30μmのものは71%含有されていた。また、このスラリーを用いて実施例1と同様にして手抄きシートを作成し、評価を行った。
【0032】
<比較例1>
実施例1において二酸化チタン(JA−4、平均粒子径250nm、テイカ製)の添加位置を第二の硫酸の半量に相当する54g添加した後に変更した以外は、実施例1と同様にして複合体を生成させ、これを用いて手抄きシートを作成し評価を行った。複合体の平均粒子径は18μm、1〜30μmのものは75%であった。
【0033】
<比較例2>
実施例1において第一の硫酸を108g、第二の硫酸を72g添加した以外は、実施例1と同様にして複合体を生成させ、これを用いて手抄きシートを作成し評価を行った。複合粒子の平均粒子径は23μm、1〜30μmのものは70%であった。
【0034】
<比較例3>
実施例1において第一の硫酸添加後温度を60℃まで昇温させその後の反応、熟成も60℃で行った以外は、実施例1と同様にして反応を行ったところ、ゲル状で濾水性の劣悪な生成物が得られ、その後の使用に耐えられるものでなかった。
【0035】
<比較例4>
結晶性の二酸化チタンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして水和ケイ酸を生成させ、これを用いて実施例1と同様に粉砕、分級、濾過、再分散を行いスラリーを得、手抄きシートを作成し、評価を行った。得られた粒子の平均粒子径は20μm、1〜30μmのものは87%であった。
【0036】
<参考例1>
比較のために、填料を一切使用しないこと以外は実施例1と同様にして手抄きシートを作成し、評価を行った。
【0037】
<参考例2>
水和ケイ酸と二酸化チタン(JA−4、平均粒子径250nm、テイカ製)を存在比が実施例1と同じくなるように10:1で混合したスラリー−を用い、実施例1と同様にして手抄きシートを作成し評価を行った。
以上の実施例、比較例及び参考例で得られた結果を表1、2に示した。
【0038】
【表1】
Figure 0003982027
表1から明らかな如く、本発明法によって得られる微小粒子の複合化率は高く、また機械安定性にも優れていることがわかる(実施例1〜5)。
【0039】
【表2】
Figure 0003982027
【0040】
表2から明らかな如く、本発明法によって得られる複合粒子は、 紙中への歩留りが高く、これを内添した紙に高い白色度と不透明度、とりわけ顕著に優れた印刷後不透明度を付与することができる(実施例1〜5)。
これに対し、二酸化チタンの添加位置が第二の硫酸を半量添加した後あるいは第一の硫酸を全硫酸量の60%添加した場合(比較例1,2)は、微小粒子の複合化率が低かったり複合体の機械安定性が低く、その結果として紙中への歩留りも低くなる。これは水和ケイ酸粒子がほぼ完成した後に微小粒子が反応系に与えられたため、水和ケイ酸の表面に弱い力で付着しただけであることが原因として考えられる。
また、反応する時の液温が低すぎると(比較例3)複合化反応が適当に行われない。
【0041】
一方、分散処理やケイ酸ソーダ溶液の添加をしても微小粒子が全く用いられない場合(比較例4)や、填料を一切使用しない場合(参考例1)は、複合粒子であった微小粒子によりもたらされる効果、すなわち本実施例での白色度、印刷後不透明度及び白紙不透明度が劣る。
あるいは単純に混合した場合(参考例2)は、微小粒子の紙中への留りが悪く、結局実施例のような品質が得られない。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、高い複合化率で微小粒子と水和ケイ酸粒子を複合化させ、且つ優れた機械安定性を持たせることにより、紙にすき込んだ場合などに高い歩留りが得られ、白色度向上や不透明度向上といった微小粒子の持つ効果を効率良く与えることができる。

Claims (4)

  1. ケイ酸アルカリ水溶液に耐アルカリ性の微小粒子を添加して分散し、次いで液温を70〜95℃まで昇温し、液温を該温度範囲に保持しながら鉱酸の全添加量を添加することにより、液pHを3〜6.5の範囲に調整することを特徴とする複合粒子の製造方法。
  2. ケイ酸アルカリ水溶液に耐アルカリ性の微小粒子を添加して分散し、次いで液温を70〜95℃まで昇温し、液温を保持しながら鉱酸を添加する複合粒子の製造方法において、微小粒子を添加する前または微小粒子を添加した後であって、かつ、ケイ酸アルカリ水溶液の液温を昇温する前または昇温中に鉱酸の全添加量の50%以下を添加し、次いで液温を70〜95℃まで昇温し、液温を該温度範囲に保持しながら残りの鉱酸を添加することにより、液pHを3〜6.5の範囲に調整することを特徴とする複合粒子の製造方法。
  3. 微小粒子が粒子径0.1〜0.4μmの二酸化チタンである請求項1または2に記載の複合粒子の製造方法。
  4. 微小粒子をケイ酸アルカリ水溶液に分散する時から鉱酸の全部を添加し終わるまで、ケイ酸アルカリ水溶液に高剪断力を与えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合粒子の製造方法。
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