JP3964210B2 - 積層体及び容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐ブロッキング性、透明性及び柔軟性に優れ、高いシール部衝撃強度を有する、血液、薬液等を充填しうる医療用容器又はレトルト食品用容器等に使用される好適な積層体及び容器に関する。医療用容器としては、血液バッグ、血小板保存バッグ、輸液(薬液)バッグ、医療用複室容器(2種類以上の医薬液を接着部により隔離された別々の収容室で保存し、使用時には接着部を剥離することによって該複数の医薬液を密封状態で混合する)、人工透析用バッグ等が挙げられる。
【0002】
【従来の技術】
血液、薬液等を充填する医療用容器としては、異物の混入有無の確認や薬剤配合による変化等を確認しやすくするための透明性、滅菌処理等に耐えられるような耐熱性、内溶液の排出等を容易にするための柔軟性等が要求される。
【0003】
従来、このような性能を満たす医療用容器またはレトルト用食品容器には、軟質塩化ビニルのほか、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系、ポリプロピレン系材料等が用いられてきた。しかし、エチレン・酢酸ビニル共重合体は耐熱性が劣り、塩化ビニル樹脂は可塑剤が薬液へ溶出するなどの問題がある。ポリプロピレンは柔軟性に乏しく、高圧法低密度ポリエチレンは強度が劣るなどの欠点がある。また、線状低密度ポリエチレンは、透明性や柔軟性を満たすために密度を低くする必要があるが、密度を低くすると耐熱性が不足する傾向にあり、また樹脂の低分子量成分等がブリードアウトしたりするなどの問題があった。
【0004】
最近、耐衝撃性、透明性に優れるシングルサイト系触媒で製造された直鎖状ポリエチレン材料が開発され、医療用容器又はレトルト用食品容器に応用しようという動きがある。また、それらを組み合わせて2層、3層等に積層して用いる方法も提案されている(特開平8−309939号公報、特開平7−125738号公報、特開平8−244791号公報等)。
【0005】
しかしながら、それら提案されている積層体においても、透明性がなお不十分であり、またヒートシール部の衝撃強度が充分とはいえず、落袋時等にヒートシール部が破損する場合があることから改良が望まれていた。さらに、水冷インフレーション法あるいはTダイ法等により成形すると、得られるフィルム、シートは特に表面が平滑になり、フィルム、シート同士がブロッキングし、これを剥がすときに表面に白化傷等が発生し、外観が著しく低下する場合があった。
現在、121℃滅菌可能な容器の需要も増加しており、耐熱性もこれまで以上に必要とされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透明性、耐ブロッキング性、柔軟性等に優れるとともに、121℃滅菌可能な高い耐熱性を有し、且つシール部の衝撃強度が従来よりも格段に向上したポリエチレン系樹脂積層体及びこれからなる医療用容器又は食品容器等を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討を行った結果、特定の樹脂材料により構成した内層と中間層と外層を組み合わせた積層体とすることによって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) 内層と中間層と外層を少なくとも有する積層体であって、
前記内層が高密度ポリエチレンからなる樹脂材料(A)からなり、
前記中間層がエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させて得られるエチレン・α−オレフィン共重合体で、以下の物性(a)〜(d)を備えたポリエチレン系樹脂Iの50質量%以上と、密度0.935g/cm 以上の樹脂であり、以下の物性(e)〜(h)を備えたポリエチレン系樹脂 II とを含む樹脂材料(B)からなり、
かつ前記外層が95〜5質量%の高密度ポリエチレンと、5〜95質量%のポリエチレン系樹脂 II とを含む樹脂材料(C)からなる積層体である。
(a)密度が0.920g/cm未満であること
(b)MFRが0.1〜50g/10分であること
(c)25℃におけるo−ジクロロベンゼン可溶分の量X(質量%)と密度d(g/cm)及びMFR(g/10分)が次の関係を満たすこと
X<9.8×10×(0.9300−d+0.008logMFR)+2.0
(d)組成分布のパラメーターCbが1.08〜2.00であること
(e)密度が0.920g/cm 以上0.960g/cm 未満であること
(f)MFRが0.1〜50g/10分であること
(g)25℃におけるo−ジクロロベンゼン可溶分の量X(質量%)と密度d(g/cm )及びMFR(g/10分)が次の関係を満たすこと
イ)d−0.008logMFR≧0.93の場合
X<2.0
ロ)d−0.008logMFR<0.93の場合
X<9.8×10 ×(0.9300−d+0.008logMFR) +2.0
(h)組成分布のパラメーターCbが2.00未満であること
【0009】
(2)外層を、前記樹脂材料(C)の代わりに、高密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレン5〜95質量%とを含む樹脂材料(C)とする(1)に記載の積層体である。
【0010】
(3)外層を、樹脂材料(C)の代わりに、ポリプロピレンとする(1)に記載の積層体である。
【0022】
また、本発明は、
(4) 水冷式共押出多層インフレーション成形法または共押出多層Tダイ成形法により(1)〜()のいずれかに記載の積層体を得る積層体の製造方法である。
【0023】
また、本発明は、
) (1)〜()のいずれかに記載の積層体からなる容器である。
) 前記積層体の内層の少なくとも一部がヒートシール層としてヒートシールされてなる()に記載の容器である。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の積層体は、以下の内層、中間層及び外層を少なくとも有する。
I.内層
本発明の積層体における内層は、高密度ポリエチレンを含む樹脂材料(A)からなる。樹脂材料(A)は、高密度ポリエチレンのみからなるものであってもよいが、高密度ポリエチレンと所定の物性を備えたポリエチレン系樹脂IIとを配合してなる樹脂組成物であってもよい。
【0025】
(1)高密度ポリエチレン
前記内層に用いられる高密度ポリエチレンは、従来公知の方法、例えばスラリ−法、溶液法または気相法により製造されるエチレン単独重合体、またはエチレンと炭素数3〜12のα-オレフィンとの共重合体及びそれらの混合物であり、具体的なα-オレフィンとしてはプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等を挙げることができる。
【0026】
高密度ポリエチレンのMFRは一般に0.1〜20g/10分程度であり、好ましくは 0.1〜10g/10分である。MFRがこの範囲内であれば組成物の溶融張力が適切な範囲となりフィルム成形がしやすい。密度は一般に0.940〜0.970g/cm3程度であり、好ましくは0.945〜0.970g/cm3である。密度がこの範囲内であれば耐熱性を保持することができるという利点がある。
【0027】
(2)ポリエチレン系樹脂II
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂IIは、以下の物性(e)〜(h)を備えたものである。
(e)密度
前記ポリエチレン系樹脂IIの密度は0.920g/cm3以上0.960g/cm3未満である。密度がこの範囲未満ではブロッキングするので好ましくない。一方、密度がこの範囲を超えると柔軟性が低下するので好ましくない。より好ましい密度範囲は0.920〜0.950g/cm3、特に好ましい密度範囲は0.920〜0.945g/cm3である。
【0028】
(f)MFR
前記ポリエチレン系樹脂IIのMFRは0.1〜50g/10分である。MFRがこの範囲未満では成形性が低下するので好ましくない。一方、MFRがこの範囲を超えると強度が低下するので好ましくない。より好ましいMFRの範囲は0.1〜20g/10分である。
【0029】
(g)25℃におけるο−ジクロロベンゼン可溶分
前記ポリエチレン系樹脂IIは、その25℃におけるo−ジクロロベンゼン(以下「ODCB」と略す)可溶分の量X(質量%)と密度d(g/cm3)及びMFR(g/10分)が所定の関係を満たすものである。
【0030】
ここで、25℃におけるODCB可溶分は、次の方法により測定する。試料0.5gを20mLのODCBにて135℃で2時間加熱して試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却する。この溶液を25℃で一晩放置後、テフロン(登録商標)製フィルターでろ過し、ろ液を採取する。このろ液について赤外分光計を用いてメチレンの非対称伸縮振動である波数2925cm-1付近の吸収ピーク面積を求め、あらかじめ作成した検量線により試料濃度を算出する。この値より、25℃におけるODCB可溶分を求めることができる。
【0031】
前記ポリエチレン系樹脂IIの25℃におけるODCB可溶分の量X(質量%)と密度d(g/cm3)及びMFR(g/10分)の関係は次のとおりである。
イ)d−0.008logMFR≧0.93の場合は、Xは2質量%未満であり、好ましくは1質量%未満である。
ロ)d−0.008logMFR<0.93の場合は、X<9.8×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+2.0、好ましくはX<7.4×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+1.0、さらに好ましくは、X<5.6×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+0.5の関係を満たすことである。
ここで、上記不等式の右辺の密度d及びMFRはそれぞれ単位を除いた数値を意味する。従って、25℃におけるODCB可溶分の量X(質量%)は、上記不等式の右辺の式にポリエチレン系樹脂IIの密度d及びMFRの数値のみを代入して得られる値よりも小さい関係を満たすことが必要である。
【0032】
25℃におけるODCB可溶分は、主としてポリエチレン系樹脂に含まれる高分岐度成分及び低分子量成分である。この含有量は、衛生性の問題や成形品内面のブロッキングを引き起こす原因となるため、少ないことが望ましい。ODCB可溶分の量はコモノマーの含有量及び分子量に影響される。従って、これらの指標である密度及びMFRとODCB可溶分の量が上記の関係を満たすことは、樹脂全体に含まれる共重合成分(α−オレフィン)の偏在が少ないことを意味する。本発明において、前記ポリエチレン系樹脂IIがODCB可溶分に関する上記関係を満たすと、耐熱性、衛生性及び耐ブロッキング性が良好となるので好ましい。
【0033】
(h)Cb
前記ポリエチレン系樹脂IIは、その組成分布のパラメーターCbが2.00未満である。
組成分布のパラメーターCbの測定方法は以下のとおりである。すなわち、酸化防止剤を加えたo−ジクロロベンゼン(ODCB)に、試料濃度が0.2質量%となるように135℃で試料を加熱溶解する。この溶液を、珪藻土(セライト545)を充填したカラムに移送し、0.1℃/分の速度で25℃まで冷却し、試料をセライト表面に沈着させる。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を5℃きざみに130℃まで段階的に昇温し、試料を溶出させて分別する。溶出液にメタノールを混合し、試料を再沈後、ろ過、乾燥し、各溶出温度におけるフラクション試料を得る。各温度における溶出試料の質量分率及びその分岐度(炭素数1000個あたりの分岐数)を同位炭素核磁気共鳴装置(13C−NMR)により測定する。
【0034】
30℃から90℃のフラクションについては次のような分岐度の補正を行う。すなわち、溶出温度に対して測定した分岐度をプロットし、相関関係を最小自乗法で直線に近似し検量線を作成する。この近似の相関係数は十分大きい。この検量線により求めた値を各フラクションの分岐度とする。なお、溶出温度95℃以上の成分については溶出温度と分岐度に必ずしも直線関係が成立しないので、この補正は行わず実測値を用いる。
【0035】
次に、それぞれのフラクションの質量分率wiを、溶出温度5℃当たりの分岐度biの変化量(bi−bi-1)で割って相対濃度Ciを求め、分岐度に対して相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得る。この組成分布曲線を一定の幅で分割し、次式より組成分布パラメーターCbを算出する。
【0036】
【数1】
Figure 0003964210
【0037】
ここで、Cjとbjはそれぞれj番目の区分の相対濃度と分岐度である。組成分布パラメーターCbは試料の組成が均一である場合に1.0となり、組成分布が広がるに従って値が大きくなる。
【0038】
本発明で用いられる前記ポリエチレン系樹脂IIの組成分布パラメーターCbは2.00未満であり、好ましくは1.04〜2.00の範囲にある。Cbが2.00以上では、耐ブロッキング性が劣り、ヒートシール特性も不良となる。また、低分子量成分等の樹脂表面へのブリードアウトが生じやすくなり、衛生上の問題が生じる。
【0039】
かかるポリエチレン系樹脂IIとしては、エチレン・α−オレフィン共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜12のものである。具体的には、プロピレン、ブテン−1,4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。また、これらα−オレフィンの共重合体中の含有量は通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲とするのが望ましい。
【0040】
ポリエチレン系樹脂IIの製造方法
ポリエチレン系樹脂IIの製造方法は特に限定されず、上記物性を満たす限り如何なる方法で製造されたものであっても使用可能であるが、好ましくはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を0個、1個または2個含む周期律表第IV族の遷移金属化合物を必須成分として含む触媒の存在下にエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られるものが用いられる。
より好ましくは、前記ポリエチレン系樹脂IIは以下に示す触媒により製造されるが、下記に限定されるわけではない。
例えば、周期律第IV族から選ばれる遷移金属を有する、シクロペンタジエニル誘導体を0個、1個または2個含有する有機遷移触媒とこれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物または/及び有機アルミニウムオキシ化合物からなる触媒系である。該触媒系には必要に応じて、有機アルミニウム化合物を使用することも可能である。また、該有機遷移触媒は必要に応じて無機化合物、微粒子等に担持して使用することもできる。
【0041】
例えば、特開平11−293054、特開平11−310607、特開平8−309939、特開平10−77370などの公報に開示されている触媒を使用して製造することができる。但し、これらに限定されるわけではない。
【0042】
(3)樹脂材料(A)
樹脂材料(A)は、上記高密度ポリエチレンを含有するものであり、該高密度ポリエチレンのみからなるものであってもよく、該高密度ポリエチレンとポリエチレン系樹脂IIとの樹脂組成物であってもよい。
【0043】
樹脂組成物の場合、前記樹脂材料(A)中における高密度ポリエチレンとポリエチレン系樹脂IIとの配合割合は、高密度ポリエチレンが40〜99質量%、好ましくは50〜99質量%、より好ましくは60〜99質量%である。高密度ポリエチレンの配合割合が上記範囲未満であると、シ−ル部の衝撃強度が低下するので好ましくない。一方、配合割合が上記範囲を超えると強度が低下するので好ましくない。
【0044】
特に、本発明においては、内層として高密度ポリエチレンを50質量%以上配合した該高密度ポリエチレンを主体とする樹脂材料により構成することにより、驚くべきことに、上記物性(e)〜(h)を備えたエチレン・α−オレフィン共重合体を主体とする樹脂材料により構成した場合に比べ、耐熱性が向上するとともに、格段にヒートシール特性、特にシール部の衝撃強度が向上する。
【0045】
なお、前記樹脂材料(A)には、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、通常用いられる公知の添加剤、例えば帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、有機あるいは無機系の顔料、紫外線吸収剤、分散剤などを適宜必要に応じて配合することができる。
【0046】
II.中間層
本発明の積層体における中間層は、以下の物性(a)〜(d)を備えたポリエチレン系樹脂Iを主体とする樹脂材料(B)からなる。
【0047】
(1)ポリエチレン系樹脂I
(a)密度
前記ポリエチレン系樹脂Iの密度は0.920g/cm3未満である。密度がこの範囲を超えると透明性、柔軟性が低下するので好ましくない。より好ましい密度範囲は0.880〜0.920g/cm3、特に好ましい密度範囲は0.890〜0.918g/cm3である。
【0048】
(b)MFR
前記ポリエチレン系樹脂IのMFRは0.1〜50g/10分である。MFRがこの範囲未満では成形性が低下するので好ましくない。一方、MFRがこの範囲を超えると強度が低下するので好ましくない。より好ましいMFRの範囲は0.1〜10g/10分である。
【0049】
(c)ODCB可溶分
前記ポリエチレン系樹脂Iは、その25℃におけるODCB可溶分の量X(質量%)と密度d及びMFRが所定の関係を満たすものである。ここで、25℃におけるODCB可溶分は、上述した測定方法により求めることができる。前記ポリエチレン系樹脂Iの25℃におけるODCB可溶分の量X(質量%)と密度d(g/cm3)及びMFR(g/10分)の関係は、次のとおりである。
X<9.8×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+2.0、好ましくはX<7.4×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+1.0、さらに好ましくは、X<5.6×103×(0.9300−d+0.008logMFR)2+0.5の関係を満たすことである。
ここで、上記不等式の右辺の密度d及びMFRはそれぞれ単位を除いた数値を意味する。従って、25℃におけるODCB可溶分の量X(質量%)は、上記不等式の右辺の式にポリエチレン系樹脂Iの密度d及びMFRの数値のみを代入して得られる値よりも小さい関係を満たすことが必要である。本発明において、前記ポリエチレン系樹脂IがODCB可溶分に関する上記関係を満たすと、耐熱性、衛生性及び耐ブロッキング性が良好となるので好ましい。
【0050】
(d)Cb
前記ポリエチレン系樹脂Iは、その組成分布のパラメーターCbが2.00未満であり、好ましくは1.08〜2.00の範囲である。Cbが上記範囲内の場合は耐ブロッキング性、ヒートシール特性に優れるという利点がある。一方、Cbが2.00以上では、耐ブロッキング性が劣り、ヒートシール特性も不良となる。また、低分子量成分等の樹脂表面へのブリードアウトが生じやすくなり、衛生上の問題が生じる。なお、組成分布のパラメーターCbの測定方法は上述したとおりである。
【0051】
かかるポリエチレン系樹脂Iとしては、エチレン・α−オレフィン共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜12のものである。具体的には、プロピレン、ブテン−1,4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等が挙げられ、これらのうち一種又は二種以上を用いることができる。また、これらα−オレフィンの共重合体中の含有量は通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲とするのが望ましい。
【0052】
(2)好ましいポリエチレン系樹脂I
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂Iの、より好ましいものとしては、上記物性(a)〜(d)を満たし、さらに以下に示す物性(i)及び(j)を満たすものが挙げられる。
【0053】
(i)Mw/Mn
本発明の好ましいポリエチレン系樹脂Iは、分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜3.5、好ましくは2.0〜3.0である。ここで、Mw/Mnの算出方法は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、この比Mw/Mnを求めるものである。Mw/Mnが上記範囲未満では成形加工性が劣り、上記範囲を超えると耐衝撃性が劣る。
【0054】
(j)TREFによる溶出温度−溶出量曲線のピーク
本発明の好ましいポリエチレン系樹脂Iは、その連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在するものである。さらに好ましくは、そのうち少なくとも1つのピークが85〜100℃の間に存在することが特に好ましい。このピークが存在することにより、成形体の耐熱性が向上する。
【0055】
ここで、TREFの測定方法は、次のとおりである。試料に酸化防止剤を加えたODCBに試料濃度0.05質量%となるように135℃で加熱溶解する。この試料溶液5mLを、ガラスビーズを充填したカラムに注入し、0.1℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、試料をガラスビーズ表面に沈着させる。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃/hrの一定速度で昇温し、試料を順次溶出させる。この際、溶剤中に溶出する試料の濃度は、メチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1に対する吸収を赤外分光計で連続的に測定する。この値から、溶液中のエチレン・α−オレフィン共重合体の濃度を定量分析し、溶出温度と溶出速度の関係を求める。TREF分析は極少量の試料で温度変化に対する溶出速度の変化を連続的に分析できるため、分別法では検出できない比較的細かいピークの検出が可能である。
【0056】
(3)ポリエチレン系樹脂Iの製造方法
ポリエチレン系樹脂Iの製造方法は特に限定されず、上記物性を満たす限り如何なる方法で製造されたものであっても使用可能であるが、好ましくはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を0個、1個または2個含む周期律表第IV族の遷移金属化合物を必須成分として含む触媒の存在下にエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られるものが用いられる。
【0057】
より好ましくは、前記ポリエチレン系樹脂Iは以下に示す触媒により製造されるが、下記に限定されるわけではない。例えば、周期律第IV族から選ばれる遷移金属を有する、シクロペンタジェニル誘導体を0個、1個または2個含有する有機遷移触媒とこれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物または/及び有機アルミニウムオキシ化合物からなる触媒系である。該触媒系には必要に応じて、有機アルミニウム化合物を使用することも可能である。また、該有機遷移触媒は必要に応じて無機化合物、微粒子等に担持して使用することもできる。例えば、前記公報に開示されている触媒を使用して製造することができる。但し、これに限定されるわけではない。
【0058】
重合方法としては、気相法、スラリー法、溶液法等いずれを用いてもよく、また一段重合法であっても多段重合法であってもよい。
【0059】
(4)樹脂材料(B)
前記樹脂材料(B)は、ポリエチレン系樹脂Iを主体とするものであり、好ましくは該ポリエチレン系樹脂Iのみからなるが、本発明の効果を損なわない範囲において該ポリエチレン系樹脂I以外の他の樹脂が配合されていてもよい。かかる他の樹脂としては、ポリエチレン系樹脂II、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体等が挙げられる。他の樹脂を配合する場合、ポリエチレン系樹脂Iの割合は、50質量%以上、好ましくは60質量%以上とするのが望ましい。ポリエチレン系樹脂Iの割合が50質量%未満では強度が低下するので好ましくない。また、他の樹脂のうち、密度0.935g/cm3以上、好ましくは0.940g/cm3以上の樹脂が積層体の耐熱性が向上するため好ましく、このような樹脂の具体例としてはポリエチレン系樹脂II、直鎖状低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンから選ばれる密度0.935g/cm3以上の樹脂などが挙げられ、とりわけ高密度ポリエチレンが好ましい。
【0060】
前記樹脂材料(B)には、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、通常用いられる公知の添加剤、例えば帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、有機あるいは無機系の顔料、紫外線吸収剤、分散剤などを適宜必要に応じて配合することができる。
【0061】
III.外層
本発明の積層体における外層は、高密度ポリエチレンを含む樹脂材料(C)からなる。該樹脂材料(C)は、高密度ポリエチレンのみからなるものであってもよいが、該高密度ポリエチレンと、上述したポリエチレン系樹脂II及び/または高圧法低密度ポリエチレンとを配合してなる樹脂組成物であってもよい。
かかる高密度ポリエチレンとポリエチレン系樹脂IIは、上述した内層を構成する高密度ポリエチレンとポリエチレン系樹脂IIとして使用できる樹脂の中から選択することができる。
【0062】
外層として、前記高密度ポリエチレンと前記ポリエチレン系樹脂IIとからなる樹脂組成物を用いる場合、その配合割合は、ポリエチレン系樹脂II5〜95質量%、好ましくは15〜85質量%、より好ましくは30〜70質量%である。ポリエチレン系樹脂IIの配合割合が上記範囲未満であると強度が低下するので好ましくない。一方、配合割合が上記範囲を超えるとブロッキングするので好ましくない。
外層として、前記高密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレンとからなる樹脂組成物を用いる場合、その配合割合は、高圧法低密度ポリエチレン5〜95質量%、好ましくは15〜85質量%、より好ましくは30〜75質量%である。高圧法低密度ポリエチレンの配合割合が上記範囲内であると、成形性が改善され、しわ等の外観不良が起こりにくくなり外観に優れたものを得ることができる。
【0063】
前記外層はまた、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点ピーク温度が130℃以上を示す耐熱性の樹脂材料(D)により構成されていてもよい。ピークが複数個存在する場合には、最も高温のピークが130℃以上を示すものである。かかる樹脂材料(D)としては、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、6−ナイロンや6,6−ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル等が挙げられる。
【0064】
外層を構成する樹脂材料(C)、(D)には、それぞれ本発明の効果を著しく損なわない範囲において、通常用いられる公知の添加剤、例えば帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、有機あるいは無機系の顔料、紫外線吸収剤、分散剤などを適宜必要に応じて配合することができる。
【0065】
IV.積層体
(1)層構成
本発明の積層体は、内層と中間層と外層(内層がヒートシール層)をこの順に有するものであれば、その他の層構成については特に限定されない。層の数については、前記外層/中間層/内層からなる3層が最も好ましいが、それに限られず、外層/中間層/内層における中間層の中にさらに層を構成させた外層/中間層/最中間層/中間層/内層という層構成や、外層と中間層、又は中間層と内層との間に必要に応じて適宜他の層を設けることができる。そのような他の層としては、接着層、ガスバリヤー層、紫外線吸収層等が挙げられる。例えば、外層/ガスバリヤ−層/中間層/接着層/内層といった5層構造をとることもできる。また、外層のさらに外側に新たに層を設けることもできる。
【0066】
なお、接着層を構成する接着剤としては、ポリウレタン系接着剤、酢酸ビニル接着剤、ホットメルト接着剤、あるいは無水マレイン酸変性ポリオレフィン、アイオノマー樹脂等の接着性樹脂が挙げられる。層構成に接着層を含める場合は、内層、中間層等の必須構成層を、これらの接着剤とともに共押出することにより積層することができる。
【0067】
本発明の層構成として最も好ましいものは、内層/中間層/外層=高密度ポリエチレン/上記物性(a)〜(d)及び(i)、(j)を備えたポリエチレン系樹脂Iと上記物性(e)〜(h)を備えたポリエチレン系樹脂IIとを配合してなる樹脂組成物/高密度ポリエチレンと上記物性(e)〜(h)を備えたポリエチレン系樹脂IIとを配合してなる樹脂組成物、である。
【0068】
かかる層構成をとることにより、驚くべきことに、耐熱性及びシール部衝撃強度が格段に向上する。これは、この特定の層構成をとるときに特に発揮される効果であって、内層を構成する樹脂材料として上記物性(e)〜(h)を備えたポリエチレン系樹脂IIを単独で用いた場合には得られないものである。このような効果が発揮される理由は必ずしも明確ではないが、内層のみでなく中間層及び場合により外層の物性(強度)が、内層同士をヒートシールしたときのシール部の強度に影響を与えるものと思われる。このような特定の樹脂材料からなる層の組み合わせにより得られる利点については先行技術に記載も示唆もされていないものである。
【0069】
(2)各層の厚み
本発明における積層体の全体厚みは特に限定されず、必要に応じて適宜決定することができるが、好ましくは0.01〜1mm、より好ましくは0.1〜0.5mmである。全体の厚みが上記範囲内であれば、透明性、柔軟性に優れるという利点がある。
【0070】
各層の厚み比は特に限定されないが、密度0.920g/cm3以下の樹脂材料を使用した低密度層(中間層)が厚みの点で主たる中心層となるように構成するのが好ましい。より好ましくは、内層 :中間層:外層=1〜30:40〜98:1〜30(厚み比)程度(ただし、全体の合計を100とする)がよい。
【0071】
(3)積層体の製造方法
本発明の積層体の製造方法は特に限定されないが、水冷式又は空冷式共押出多層インフレーション法、共押出多層Tダイ法、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法等により積層フィルム又はシートとする方法が挙げられる。これらの中で、水冷式共押出多層インフレーション成形法又は共押出多層Tダイ成形法を用いるのが好ましい。特に、水冷式共押出多層インフレーション成形法を用いた場合、透明性、衛生性等の点で多くの利点を有する。また、多層中空成形法により成形して多層中空成形品としてもよい。
【0072】
積層フィルム又はシートとした場合は、さらにヒートシールにより袋状に加工し、多層中空成形によるものはそのままあるいは栓等を取り付けて容器とし、使用することができる。特に、本発明の積層体としては、フィルム又はシート状の積層体の少なくとも一部を、内層をヒートシール層としてヒートシールした袋状のものが好ましい。
【0073】
V.用途
本発明の積層体は、特に内層をヒートシール層としてヒートシールし袋状に加工した場合に、例えば前記ヒートシール部を温度155℃でシールしたときのシール部衝撃強度が、700kJ/m以上、さらに800kJ/m2以上、特に900kJ/m以上といったような高い値を有するものが得られる。
また、本発明の積層体は、特に医療用容器や食品容器等に必要な滅菌処理等の熱処理を行った後も高いシール部衝撃強度を維持することができる。すなわち、例えば滅菌処理(121℃、20分)を行った場合、該滅菌処理後のシール部衝撃強度は、例えば500kJ/m2以上、さらに600kJ/m以上、特に700kJ/m以上といったような高い値を有するものが得られる。
なお、ここでいうシール部衝撃強度は、ヒートシール条件としてシール温度155℃、シール時間5秒、シール圧力0.4MPaの条件でヒートシールを行った場合の値である。
【0074】
このように、本発明の積層体からなる容器は、滅菌処理等の熱処理後も高いシール部強度を保持することができる。よって、滅菌処理後も高いシール部強度が求められる医療用容器やレトルト用袋等の食品用容器等に好適である。特に、医療用輸液バッグ等の医療用容器、すなわち例えば、血液バッグ、血小板保存バッグ、輸液(薬液)バッグ、医療用複室容器(2種類以上の医薬液を接着部により隔離された別々の収容室で保存し、使用時には接着部を剥離することによって該複数の医薬液を密封状態で混合する)、人工透析用バッグ等に好適に用いることができる。
【0075】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例での物性評価方法は次のとおりである。
(1)MFR;JIS−K6760に準拠して測定した。
(2)密度;JIS−K6760に準拠して測定した。
【0076】
(3)ODCB可溶分
試料0.5gを20mLのODCBにて135℃で2時間加熱して試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却した。この溶液を25℃で一晩放置後、テフロン製フィルターでろ過し、ろ液を採取した。このろ液について赤外分光計を用いてメチレンの非対称伸縮振動である波数2925cm-1付近の吸収ピーク面積を求め、あらかじめ作成した検量線により試料濃度を算出した。この値より、25℃におけるODCB可溶分を求めた。
【0077】
(4)Cb
酸化防止剤(2,6,-Di-t-Butyl-p-Cresol, 0.1%)を加えたo−ジクロロベンゼン(ODCB)に、試料濃度が0.2質量%となるように135℃で試料を加熱溶解した。この溶液を、珪藻土(セライト545)を充填したカラムに移送し、0.1℃/分の速度で25℃まで冷却し、試料をセライト表面に沈着させた。次に、このカラムにODCBを1mL/分で流しながら、カラム温度を5℃きざみに120℃まで段階的に昇温し、試料を溶出させて分別した。溶出液にメタノールを混合し、試料を再沈後、ろ過、乾燥し、各溶出温度におけるフラクション試料を得た。各温度における溶出試料の重量分率及びその分岐度(炭素数1000個あたりの分岐数)を13C−NMRにより測定した。次に、それぞれのフラクションの重量分率wiを、溶出温度5℃当たりの分岐度biの変化量(bi−bi-1)で割って相対濃度Ciを求め、分岐度に対して相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得た。この組成分布曲線を一定の幅で分割し、上記式より組成分布パラメーターCbを算出した。
【0078】
(5)Mw/Mn
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め(PS標準試料による検量線法による)、この比Mw/Mnを求めた。詳細な条件は以下の通りである。
GPC;ウォーターズ社製、150型
溶離液;ODCB
カラム温度;135℃
カラム;東ソー(株)製GMMHR−H(S)
【0079】
(6)TREFピーク数
酸化防止剤(2,6,-Di-t-Butyl-p-Cresol, 0.1%)を加えたODCBに試料濃度0.05質量%となるように135℃で試料を加熱溶解した。この試料溶液5mLを、ガラスビーズを充填したカラムに注入し、0.1℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、試料をガラスビーズ表面に沈着させた。次に、このカラムにODCBを1mL/分で流しながら、カラム温度を50℃/hrの一定速度で昇温し、試料を順次溶出させた。この際、溶剤中に溶出する試料の濃度を、メチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1に対する吸収を赤外分光計で連続的に測定した。また、測定装置としてはクロス分別クロマトグラフ(三菱化学株式会社製)を用いた。この値から、溶液中のエチレン・α−オレフィン共重合体の濃度を定量分析し、溶出温度と溶出速度の関係を求めた。それから溶出温度−溶出量曲線を作成しピ−ク数を数えた。
【0080】
(7)シール部衝撃強度
内層をヒートシール層として、圧力0.4MPa、シ−ル温度155℃、シ−ル時間5秒でヒートシールした。そのシール部分についてシール界面が中央になるように引張衝撃試験方法(ASTM−D1822)で使用するs−タイプ試験形状に打ち抜いた。滅菌処理(121℃、20分)後、シール界面を境にT字状に開き、23℃で引張衝撃試験機で測定した。
【0081】
(8)耐ブロッキング性
巾20mmの短冊にカットしたフィルムを長さ5cmだけ2枚重ね、10kgの重りをのせて50℃に保たれたオ−ブン中に48時間放置後、23℃で状態調節し、2枚フィルムを引き剥がしその剥離面を目視により観察した。
○:表面が白化していない
×:表面が白化している
【0082】
(9)耐熱性
長さ20cm、幅20cmのフィルムをカットし、三方をシール後、内部に水を入れ、残りの一方をシ−ルして四方シールされた水入りの袋を作製し、121℃、20分滅菌処理後、外観を目視で評価した。
◎:変形、シワが無い
○:変形していないが、シワが少しある
×:変形し、シワが多い。
【0083】
実施例1〜、比較例1〜2、参考例1〜9
表1に示す樹脂により構成される内層、中間層及び外層からなる積層フィルムを、水冷式共押出多層インフレーション成形を用いて製造した。各層の厚みは内層側から10μm/225μm/15μmとした。耐熱性、耐ブロッキング性、シール部衝撃強度の測定結果を表2に示す。
【0084】
実施例及び比較例に使用した樹脂を下記に記す。
(1)s−LL1;シングルサイト系触媒を用いたエチレン・ヘキセン−1共重合体(密度:0.898g/cm3、MFR:1.0g/10分、Mw/Mn:2.7)
(2)s−LL2;シングルサイト系触媒を用いたエチレン・ヘキセン−1共重合体(密度:0.905g/cm3、MFR:1.2g/10分、Mw/Mn:2.8)
(3)s−LL3;シングルサイト系触媒を用いたエチレン・ヘキセン−1共重合体(密度:0.901g/cm3、MFR:0.8g/10分、Mw/Mn;2.3)
(4)s−LL4;シングルサイト系触媒を用いたエチレン・ヘキセン−1共重合体(密度:0.924g/cm3、MFR:2.1g/10分、Mw/Mn:2.6)
(5)s−LL5;シングルサイト系触媒を用いたエチレン・ヘキセン−1共重合体(密度:0.942g/cm3、MFR:1.2g/10分、Mw/Mn:2.2)
(6)HD1;高密度ポリエチレン(密度:0.945g/cm3、MFR:2.8g/10分)
(7)HD2;高密度ポリエチレン(密度:0.952g/cm3、MFR:3.5g/10分)
(8)LD1;高圧法低密度ポリエチレン(密度:0.927g/cm3、MFR:1.5g/10分)
(9)PP1;プロピレン・エチレンランダム共重合体(密度:0.900g/cm3、MFR:4.0g/10分)
(10)PP2;プロピレン・エチレンブロック共重合体(密度:0.900g/cm3、MFR:2.5g/10分)
【0085】
【表1】
Figure 0003964210
【0086】
【表2】
Figure 0003964210
【0087】
【発明の効果】
このように、本発明の積層体は、滅菌処理等の熱処理後も高いシール部強度を保持することができる。よって、滅菌処理後も高いシール部強度が求められる医療用容器やレトルト用袋等の食品用容器等に好適である。特に、医療用輸液バッグ等の医療用容器、すなわち例えば、血液バッグ、血小板保存バッグ、輸液(薬液)バッグ、医療用複室容器(2種類以上の医薬液を接着部により隔離された別々の収容室で保存し、使用時には接着部を剥離することによって該複数の医薬液を密封状態で混合する)、人工透析用バッグ等に挙げられる好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 内層と中間層と外層を少なくとも有する積層体であって、
    前記内層が高密度ポリエチレンからなる樹脂材料(A)からなり、
    前記中間層がエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させて得られるエチレン・α−オレフィン共重合体で、以下の物性(a)〜(d)を備えたポリエチレン系樹脂Iの50質量%以上と、密度0.935g/cm 以上の樹脂であり、以下の物性(e)〜(h)を備えたポリエチレン系樹脂 II とを含む樹脂材料(B)からなり、
    かつ前記外層が95〜5質量%の高密度ポリエチレンと、5〜95質量%のポリエチレン系樹脂 II とを含む樹脂材料(C)からなることを特徴とする積層体。
    (a)密度が0.920g/cm未満であること
    (b)MFRが0.1〜50g/10分であること
    (c)25℃におけるo−ジクロロベンゼン可溶分の量X(質量%)と密度d(g/cm)及びMFR(g/10分)が次の関係を満たすこと
    X<9.8×10×(0.9300−d+0.008logMFR)+2.0
    (d)組成分布のパラメーターCbが1.08〜2.00であること
    (e)密度が0.920g/cm 以上0.960g/cm 未満であること
    (f)MFRが0.1〜50g/10分であること
    (g)25℃におけるo−ジクロロベンゼン可溶分の量X(質量%)と密度d(g/cm )及びMFR(g/10分)が次の関係を満たすこと
    イ)d−0.008logMFR≧0.93の場合
    X<2.0
    ロ)d−0.008logMFR<0.93の場合
    X<9.8×10 ×(0.9300−d+0.008logMFR) +2.0
    (h)組成分布のパラメーターCbが2.00未満であること
  2. 外層を、前記樹脂材料(C)の代わりに、高密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレン5〜95質量%とを含む樹脂材料(C)とすることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 外層を、樹脂材料(C)の代わりに、ポリプロピレンとすることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  4. 水冷式共押出多層インフレーション成形法または共押出多層Tダイ成形法により請求項1〜のいずれかに記載の積層体を得ることを特徴とする積層体の製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の積層体からなる容器。
  6. 前記積層体の内層の少なくとも一部がヒートシール層としてヒートシールされてなることを特徴とする請求項に記載の容器。
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