JP3927667B2 - 養魚用餌料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は養魚用餌料に関するものであり、さらに詳しくは鯛、鮃、フグ、ウナギ、鱒、鮭などの海水魚、淡水魚などの陸上養殖、沿岸養殖を含む養殖全般に利用することができる、魚病発生防止、生育促進、増肉係数アップなどが可能な餌料効率がよい養魚用餌料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、水産資源保護のため世界的に獲る漁業から育てる漁業へと変化し、鮃、ウナギ、鱒などの陸上養殖、ハマチ、ブリ、マグロ、鯛、鮭などの海面養殖が行われ、日本においても最初はブリ養殖を初めとし、現在はマグロが人工ふ化され養殖されるまでになっており、その養殖技術も向上している。
【0003】
しかし、このような養殖においては、与えた配合餌料の残餌や魚の糞などが水底に沈むことにより水や水底の汚染が起こり、細菌性の病害が多発する問題がある。このため、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリンなどの抗生物質の投与が行われるが、抗生物質に対する耐性がでてききめがなくなり魚病が発生し、生育が阻害されて歩留が悪くなり、魚の価格が上がるなどの問題が発生しており、早急に解決することが望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、抗生物質などを投与しなくても魚病の発生が防止でき、消化効力が高く、生育が促進され、増肉が可能で、餌料効率がよく、早期出荷が可能で、しかも鯛などの色がよくなるなど色上げがよいなどの効果がある、養殖全般に利用できる安全性の高い養魚用餌料を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等はかかる問題について鋭意研究し、その結果、例えば、入江で養殖されいる魚種についてみると海岸に近い所の方で養殖するのと、沖合に出て養殖するのとを比較すると、同じ魚種の魚で、同じ養殖技術で養殖すると、海岸に近い方の生簀で養殖されている魚の方が良い品質の魚が得られることを見いだし、この現象は、土の中に含まれたミネラル、有効微生物などが雨の日に雨水と一緒に流れ出して海岸近い生簀の魚に影響を及ぼしたものと考えられた。
また、トラフグ、鮃、コチ、オコゼ、その他の魚種は土の中に目だけを出して潜って生存している魚もおり、土の中に潜って目だけを出す行為は土の中にいる有効微生物やその微生物が産生する抗生物質などを利用する、えら虫などによる魚病を防ぐための自然の行為であって、土の中に潜ることによって、魚の身体の調子を整えているのではないかと考えられた。
本発明者等は、これらから魚の生育や魚病などと土との間には強い関連性があると考え、魚病の発生防止、生育促進などに有効な土麹を主体とし、微生物などを組み合わせた養魚用餌料を検討した結果、有用な養魚用餌料を見いだし、本発明を成すに到った。
【0006】
すなわち、本発明の請求項1の発明は、(1)穀類あるいはそのカス、(2)海藻類、(3)成分(1)以外のブドウ糖、澱粉、砂糖、およびこれらを主成分として含む炭水化物から選ばれるもの、(4)塩基置換容量(m.e./100g)が20〜600の粘土鉱物、ゼオライト、赤土から選択される少なくとも1つの有効土、および(5)水からなる混合物に(6)土麹を配合して発酵させて得られる発酵処理生成物を乾燥した生成物あるいはこの生成物に配合餌料を添加した混合物から成ることを特徴とする養魚用餌料である。
【0007】
本発明の請求項2の発明は、請求項1記載の養魚用餌料において、前記成分(1)穀類あるいはそのカスが米糠、小麦粉、大麦粉、コーン、大豆、大豆油カス、フスマから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の養魚用餌料であって、
(1)穀類あるいはそのカス 10〜30重量%
(2)海藻類 5〜20重量%
(3)成分(1)以外のブドウ糖、澱粉、砂糖から選ばれる炭水化物
0.1〜15重量%
(4)塩基置換容量(m.e./100g)が20〜600の粘土鉱物、ゼオライト、赤土から選択される少なくとも1つの有効土 5〜25重量%
(5)水 27〜47重量%
(6)土麹 0.1〜15重量%
を配合して発酵させて得られる発酵処理生成物を用いることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の養魚用餌料をさらに詳細に説明する。
本発明においては、(1)穀類あるいはそのカス、(2)海藻類、(3)ブドウ糖、澱粉、砂糖から選ばれる炭水化物、(4)有効土、および(5)水からなる混合物に(6)土麹を配合して発酵させて得られる発酵処理生成物を乾燥した生成物をそのまま養魚用餌料としてもよい。また、この生成物を配合餌料に添加した混合物を養魚用餌料としてもよい。
【0011】
本発明で使用する前記成分(1)の穀類あるいはそのカスの具体例としては、例えば、米糠、小麦粉、大麦粉、コーン、大豆、大豆油カス、フスマなどを挙げることができ、これらは発酵の培地となるものであり、1種類使用しても、あるいは2種類以上混合したものを使用してもよい。
【0012】
本発明で使用する前記成分(2)の海藻類は一般に海中にはえているソウ類であり、アオサ、アオノリ、シオグサなどの緑ソウ類、コンブ、ワカメ、ヒジキ、カジメ、ホンダワラなどのカッソウ類、アマノリ、トサカノリ、テングサ、オゴノリ、フノリ、ツノマタなどの紅ソウ類などを挙げることができ、これらは1種類使用しても、あるいは2種類以上混合したものを使用してもよい。
【0013】
本発明で使用する前記成分(3)はブドウ糖、澱粉、砂糖、およびこれらを主成分として含む炭水化物から選ばれるものである。これらは発酵の培地となるものであり、1種類使用しても、あるいは2種類以上混合したものを使用してもよい。
【0014】
本発明で使用する前記成分(4)の有効土とは、魚病の発生防止、生育促進などに有効な土である。
前記成分(4)の有効土の具体例としては、例えば、モンモリロナイトやバーミキュライトなどの粘土鉱物、ゼオライト(天然ゼオライト、合成ゼオライトいずれでもよい)、赤土などを挙げることができる。これらは1種類使用しても、あるいは2種類以上混合したものを使用してもよい。
これらの中でも、大なり小なりマイナス(−)に帯電しており、プラス(+)に帯電している例えば加里、石灰、苦土等の塩基類又はアンモニア等のN、そのほか鉱石ミネラル類を吸着する性質があるものは好ましく使用できる。
【0015】
本発明においては、前記成分(4)の有効土として、例えばカオリナイト[塩基置換容量(m.e./100g)3〜15]や川砂[塩基置換容量(m.e./100g)0]は不適当であり、例えばモンモリロナイトやバーミキュライト[塩基置換容量(m.e./100g)80〜150]、ヒューマス(腐植、化土質)[塩基置換容量(m.e./100g)600]などは好適である。一般的に作物に対して良い土壌の塩基置換容量(m.e./100g)は20以上であり、悪い土壌の場合は5以下であることなども考慮して、前記成分(4)の有効土の塩基置換容量(m.e./100g)は20〜600の範囲であることが好ましい。
【0016】
なお、上記の作物に対して良い土壌とは、常に呼吸をして活動している健康な土壌のことであり、この健康な土壌中で動植物は自然に備わった生命力て自ら育って大きく成長し、悪い土壌であれば正反対になる。そして、このような健康な土の中には、1g中に下記の糸状菌などの有用な微生物が凡そ1000万〜数億存在しており、また、多くのミネラルや多種の抗生物質も含まれていることが知られている。
【0017】
本発明で使用する前記成分(5)の水とは特別な水ではなく、例えば通常の水道水を使うことができる。
【0018】
本発明で使用する前記成分(6)の土麹とは、下記のようにして作られた元種を、次いで、山土、米糠、デンプなどに添加して発酵させたものである。
元種を作るには先ず、果実酵素と澱粉酵素を作り、この果実酵素と澱粉酵素を通常は果実酵素1、澱粉酵素2の割合で混合したものを元種とするか、あるいはこの混合物をさらに米、麦、大豆などに加えて培養した後、塩、砂糖などを添加して発酵を抑えたものを元種とする。このような元種は有機農業、園芸用などとして市販されており、本発明においては市販の元種を使用することもできる。本発明において使用できる市販の元種の例としては、バイムフード(商品名、島本微生物研究所)がある。
【0019】
果実酵素には主として酒精酵母、ビール酵母、ブドウ酒酵母、パン酵母などの酵母菌類が含まれており、その他に少量の馬鈴薯菌、納豆菌、乳酸菌などの細菌類と麹カビ、青カビ、赤カビ、白カビ、黒カビなどの糸状菌が含まれている。果実や樹木の新芽や特に樹皮には強力な果実酵素が含まれている。
そして、澱粉酵素には麹カビを主体とする糸状菌および馬鈴薯菌、納豆菌などの細菌類が含まれている。したがって、この元種中には、上記酵母菌類、および上記細菌類、および上記糸状菌などの好気性菌が多く含まれている。
【0020】
果実酵素は、例えば、次のようにして作られる。リンゴ、ブドウ、イチゴ、小桃、イチジクなどの果実を3種類以上、ニンジン、大根、ほうれん草などの野菜を2種類以上用い、砂糖を混合して数日間〜1週間培養して、これらに付いている酵母菌類を主として繁殖させ、果実や野菜粕を除去して得られる。この果実酵素は栄養飲み物として美味しいものである。
澱粉酵素は、主として上記糸状菌と上記細菌を多く含むものであり、例えば次のようにして作られる。米糠、馬鈴薯クリーム、小麦粉、麦芽、糸引き納豆の所定量に水を加えて混合して、馬鈴薯菌、納豆菌、ミソ菌などの細菌類を培養し、この培養物を蒸し米と米麹に混合し、発酵を続けると澱粉酵素が得られる。
【0021】
次に、この元種を使用して、本発明で使用する前記成分(6)の土麹を作る例を示す。
山土と米糠は予め混合しておき、澱粉はノリ状にしたものを加えて水分40〜45%に調整し、1〜3日間おくと発酵してきて発酵熱により40〜60℃に達する。切り返して温度を低下させ、24時間後再び発酵熱により45〜60℃に達し、上記酵母菌類や糸状菌のコロニーができる。発酵熱がでなくなってから、広く広げて直射日光をさけて風通しのよいところで数日間乾燥させて土麹が出来上がる。この土麹は紙袋などに入れて長期間保存可能である。
【0022】
本発明で使用する配合餌料としては、一般に市販されている下記のような組成を有する配合餌料を用いることができる。
(従来の配合餌料)の例:
1袋の正味重量 20Kg
(従来の配合餌料に約2〜3重量%添加される餌料添加物)の例:
ビタミンA、ビタミンD3 、ビタミンE、ビタミンK3 、ビタミンB1 、ビタミンB3 、ビタミンB6 、ビタミンB12、ニコチン酸、パントテン酸、コリン、葉酸、ビオチン、パラアミノ安息酸、イノシトール、ビタミンC、硫酸マンガン、硫酸鉄、硫酸コバルト、硫酸銅、ヨウ素酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、水酸化アルミニウム、リン酸−水素ナトリウム、リン酸−水素カリウム、フマル酸第一鉄、アスタキサンチン、エトキシキン、ガーリック末、肝臓粉末、コーングルテンミール、動物性油脂、小麦粉末など。
【0023】
本発明においては、上記の作物などに良い土壌に鑑みて、先ず、成分(1)穀類あるいはそのカス、成分(2)海藻類、成分(3)ブドウ糖、澱粉、砂糖から選ばれる炭水化物、成分(4)有効土、および成分(5)水からなる混合物に、有用微生物のかたまりである成分(6)の土麹を配合して、発酵させて、上記酵母菌類、上記糸状菌、上記細菌を非常に多く含むとともに、多くのミネラルや多種の抗生物質が含まれている発酵処理生成物を作り、この発酵処理生成物を乾燥して、得られる生成物をそのまま養魚用餌料とするか、あるいは、この生成物を上記の配合餌料に添加したもを養魚用餌料とする。
【0024】
成分(1)〜成分(6)を発酵させる際の各成分の配合割合は魚の種類、魚体の大きさ、重さなどにより異なるので特に限定されないが、下記の成分(1)〜成分(6)の配合割合は好ましく使用できる。
(1)穀類あるいはそのカス 10〜30重量%
(2)海藻類 5〜20重量%
(3)ブドウ糖、澱粉、砂糖から選ばれる炭水化物 0.1〜15重量%
(4)有効土 5〜25重量%
(5)水 27〜47重量%
(6)土麹 0.1〜15重量%
【0025】
次に上記発酵の実施例を示す。例えば、24時間から72時間、40℃から80℃近い温度で発酵させると、発酵熱が生じるので、これを切り返し、再び積んで約1日、1回から2回の切返しを繰り返すと、盛んに甘い香りや、酒精臭の芳香を放しながら、土麹の表面に糸状菌や酵母酸のコロニーができる。さらに表面がパン状に固まり、段々と甘い香りや酒精臭からカビ臭い臭いに変化してくる。この発酵処理生成物中には、上記の酵母菌類、細菌類、糸状菌が1g中に総数十億以上も存在している。
【0026】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
下記の混合割合で成分(1)〜成分(5)の混合物を作り、この混合物に成分(6)の土麹を下記の混合割合で配合して、48時間、60℃で発酵させ、切り返しを行い、再び積んで約1日、1回から2回の切返しを繰り返して発酵させて発酵処理生成物を作った。
(1)新鮮な米糠 15kg (28.4重量%)
(2)天草 7kg (13.2重量%)
(3)澱粉 0.3kg(0.57重量%)
(4)有効土(ゼオライトを含む粘土鉱物)10kg (18.9重量%)
(5)水(水道水) 20kg (37.9重量%)
(6)土麹 0.5kg(0.95重量%)
【0028】
そして上記発酵処理生成物を乾燥して、次の組成を有する生成物を得た。
(1)新鮮な米糠 45.4重量%
(2)天草 21.2重量%
(3)澱粉 0.9 重量%
(4)有効土(ゼオライトを含む粘土鉱物) 30.3重量%
(5)水 0.6 重量%
(6)土麹 1.5 重量%
【0029】
本発明においては、錦鯉などの養殖の場合はこの生成物をそのまま養魚用餌料とすることができる。
実施例1においては上記生成物2kgを上記配合餌料(市販品)20kgに添加したものを養魚用餌料[成分(4)有効土の混合割合約3重量%]として使用し、下記の投与方法▲1▼および投与方法▲2▼により投与して真鯛(育成当初魚体重7g)の養殖を行った。なお比較のために下記の投与方法▲1▼および投与方法▲3▼により投与して同様にして真鯛(育成当初魚体重7g)の養殖を行った。
【0030】
(投与方法▲1▼)(生餌の投与)
図1に示したように、木を組み立てて作った生簀1(縦13m×横13m×深さ12m)をフロート2を用いて海面に浮かせ、生簀1の真中に生餌3(イワシ、サバ、サンマ、エビ、その他の小魚)を入れた網4を置き、養殖する真鯛5自身が網目の合間から引っ張り出して食べるようにした投与方法。
【0031】
(投与方法▲2▼)(本発明の養魚用餌料の投与)
上記生餌に上記養魚用餌料を配合して攪拌機を用いて攪拌してミンチにして、成長する真鯛の口に合った大きさの粘質状の粒状固形物(モイストと呼ばれる)とし、それを生簀に投与する投与方法。
【0032】
(投与方法▲3▼)(比較のための養魚用餌料の投与)
上記投与方法▲2▼において上記生成物を用いず、上記配合餌料(市販品)を用いた他は、同様にしてモイストとし、それを生簀に投与する投与方法。
【0033】
(養殖方法)
(1)A生簀、およびB生簀を用いて、各生簀に真鯛(育成当初体重7g)を10,000匹の養殖を行った。
(2)A生簀は投与方法▲1▼と投与方法▲2▼を組み合わせた投与方法を用い、B生簀は比較のために投与方法▲1▼と投与方法▲3▼を組み合わせた投与方法を用いた
(3)1日の餌料の投与量は、A生簀、B生簀、同量とした。
(4)1日の餌料の投与時間は、A生簀、B生簀、ほぼ同じ投与時間とした。
(5)養殖期間:約2年6ヶ月(平成5年6月15日から平成7年12月末日まで)
(6)A生簀における実際の餌料の投与方法
夏期(平成5年6月15日〜同9月30日)の間は、毎日、投与方法▲1▼と投与方法▲2▼を交互に用いて投与した。
冬期(平成5年10月1日〜平成6年6月30日)の間は、1日置きに、投与方法▲1▼と投与方法▲2▼を交互に用いて投与した。
夏期(平成6年7月1日〜同9月30日)の間は、1日置きに、投与方法▲1▼と投与方法▲2▼を併用して投与した。
冬期(平成6年10月1日〜平成7年6月30日)の間は、1日置きに、投与方法▲1▼と投与方法▲2▼を交互に用いて投与した。
夏期(平成7年7月1日〜同9月30日)の間は、1日置きに、投与方法▲1▼と投与方法▲2▼を併用して投与した。
冬期(平成7年10月1日〜同12月末日)の間は、1日置きに、投与方法▲1▼と投与方法▲2▼を交互に用いて投与した。
(7)B生簀における実際の餌料の投与方法
夏期(平成5年6月15日〜同9月30日)の間は、毎日、投与方法▲1▼と投与方法▲3▼を交互に用いて投与した。
冬期(平成5年10月1日〜平成6年6月30日)の間は、1日置きに、投与方法▲1▼と投与方法▲3▼を交互に用いて投与した。
夏期(平成6年7月1日〜同9月30日)の間は、1日置きに、投与方法▲1▼と投与方法▲3▼を併用して投与した。
冬期(平成6年10月1日〜平成7年6月30日)の間は、1日置きに、投与方法▲1▼と投与方法▲3▼を交互に用いて投与した。
夏期(平成7年7月1日〜同9月30日)の間は、1日置きに、投与方法▲1▼と投与方法▲3▼を併用して投与した。
冬期(平成7年10月1日〜同12月末日)の間は、1日置きに、投与方法▲1▼と投与方法▲3▼を交互に用いて投与した。
【0034】
養殖した真鯛を出荷した際に、A生簀およびB生簀について、それぞれ、出荷量(匹数、kg)、最大魚重量(kg/匹)、最小魚重量(kg/匹)、平均重量(kg/匹)、養殖期間中に死亡した匹数(匹)、死亡率(%)を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
表1から判るように、本発明の養魚用餌料を使用したA生簀においては、本発明の養魚用餌料を使用しないB生簀に比較して、魚病の発生が防止できて死亡率が低い上、生育が促進され、約7%〜30%の増肉[(A生簀の平均体重−B生簀の平均体重)/(B生簀の平均体重)]アップがみられた。
しかも、本発明の養魚用餌料を使用したA生簀においては真鯛の色が赤みが強くなるなど色上げがよかった。
【0037】
(実施例2)
陸上の水槽A〜水槽D(いずれも8角型簡易水槽)を用いて、魚病などの発生率の高い高水温の夏期(平成8年6月1日〜平成8年9月30日の4ヶ月間)において、水槽A、水槽Bで真鯛(育成当初体重0.1kg)の養殖を行い、水槽C、水槽Dで鮃(育成当初体重50g)の養殖実験を行った。
図2は、使用した8角型簡易水槽の平面図であり、6は水槽本体、7は注水口、8は排水口、9は側溝を示す。水槽本体6の上部には図示しない飛び出し防止用ネットが装着されている。
【0038】
(養殖方法)
(1)A水槽およびB水槽では真鯛各1000匹の養殖を行い、A水槽では、毎日、投与方法▲3▼を用い、B水槽では毎日、投与方法▲2▼を用いて餌料を投与した。1日の餌料の投与量は、A水槽、B水槽ともに、同量とした。1日の餌料の投与時間は、A水槽、B水槽ともに、ほぼ同じ投与時間とした。
(2)C水槽およびD水槽では鮃各1000匹の養殖を行い、C水槽では毎日、投与方法▲3▼を用い、D水槽では比較のために毎日、投与方法▲2▼を用いて餌料を投与した。1日の餌料の投与量は、C水槽、D水槽ともに、同量とした。1日の餌料の投与時間はC水槽、D水槽ともに、ほぼ同じ投与時間とした。
【0039】
養殖した真鯛および鮃を約1か月毎に、平均重量(kg/匹)、死亡した匹数(匹)を測定し、死亡率(%)、増肉率(倍)(9月末平均体重/育成当初体重)を求めた。結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
表2から、本発明の養魚用餌料を使用した場合は、本発明の養魚用餌料を使用しない場合に比較して、死亡率が低い上、生育が促進され、増肉率(倍)が高いことが判る。
【0042】
以上、本発明の養魚用餌料を使用した実施例を示したが、本発明はこれに限定されず各種の変形実施態様を包含するものである。
【0043】
【発明の効果】
本発明の養魚用餌料は養殖全般に利用できる安全性の高い養魚用餌料であり、抗生物質などを投与しなくても魚病の発生を防止でき、消化効力が高く、生育が促進され、増肉率がアップし、餌料効率がよく、しかも鯛などの魚の色がよくなるなど色上げがよいなどの効果がある。生育が促進され、稚魚から成魚になるまでの養魚期間が短縮されるので、早期出荷が可能となる。
また、従来は与えた配合餌料の残餌や魚の糞などが水底に沈むことにより水や水底の汚染が起こり、細菌性の病害が多発する問題があったが、投与した本発明の養魚用餌料の食い残りや生育した魚から排出されるフンなどが海水などに沈んだりしても、本発明で用いる土麹などの作用によりこれらがきれいに分解されるので魚病の発生を防止できる上、水や水底の汚染を防止でき公害にならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 生簀中で養殖する魚、生餌などの関係を示す説明図である。
【図2】 8角型簡易水槽の平面図である。
【符号の説明】
1 生簀
2 フロート
3 生餌
4 網
5 真鯛
6 水槽本体
7 注水口
8 排水口
9 側溝
Claims (3)
- (1)穀類あるいはそのカス、(2)海藻類、(3)成分(1)以外のブドウ糖、澱粉、砂糖、およびこれらを主成分として含む炭水化物から選ばれるもの、(4)塩基置換容量(m.e./100g)が20〜600の粘土鉱物、ゼオライト、赤土から選択される少なくとも1つの有効土、および(5)水からなる混合物に(6)土麹を配合して発酵させて得られる発酵処理生成物を乾燥した生成物あるいはこの生成物に配合餌料を添加した混合物から成ることを特徴とする養魚用餌料。
- 前記成分(1)穀類あるいはそのカスが米糠、小麦粉、大麦粉、コーン、大豆、大豆油カス、フスマから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載の養魚用餌料。
- (1)穀類あるいはそのカス 10〜30重量%
(2)海藻類 5〜20重量%
(3)ブドウ糖、澱粉、砂糖から選ばれる炭水化物 0.1〜15重量%
(4)有効土 5〜25重量%
(5)水 27〜47重量%
(6)土麹 0.1〜15重量%
を配合して発酵させて得られる発酵処理生成物を用いることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の養魚用餌料。
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Cited By (1)
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