JP3918871B2 - 発光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、LEDチップ(発光ダイオードチップ)を利用した発光装置に関するものである。
従来から、LEDチップと、LEDチップが実装された実装基板と、当該実装基板におけるLEDチップの実装面側でLEDチップおよび当該LEDチップに接続されたボンディングワイヤを封止したエポキシ樹脂からなる封止部とを備え、封止部の一部を凸レンズ状の形状とすることで放射される光の指向性を高めた発光装置が提案されている(例えば、特許文献1)。なお、上記特許文献1には、青色光ないし紫外光を放射するLEDチップと当該LEDチップから放射された光によって励起されてLEDチップの発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体とを組み合わせることにより、白色を含めLEDチップの発光色とは異なる色合いの混色光を得る技術が開示されている。
特開2003−243724号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の発光装置のように封止部の材料としてエポキシ樹脂を用いたものでは、封止部の耐候性が低く、しかも、LEDチップが青色光を放射する青色LEDチップの場合には封止部が青色光により劣化しやすいという不具合があった。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、信頼性および指向性を高めることが可能な発光装置を提供することにある。
請求項1の発明は、LEDチップと、LEDチップが実装された実装基板と、当該実装基板におけるLEDチップの実装面側でLEDチップおよび当該LEDチップに電気的に接続されたボンディングワイヤを封止した透明樹脂からなり弾性を有する封止部と、封止部に重ねて配置されたレンズと、LEDチップから放射された光によって励起されてLEDチップの発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体および透光性材料により形成されたものであって実装基板の前記実装面側でレンズおよび封止部を囲むドーム状の色変換部材とを備え、当該色変換部材の内側に空気層が形成され、レンズが両凸レンズからなることを特徴とする。
この発明によれば、封止部が弾性を有する透明樹脂により形成されているので、封止部がエポキシ樹脂により形成されている場合に比べて、封止部の信頼性を高めることができ、また、封止部に重ねて配置されたレンズを備え、レンズが両凸レンズからなるので、指向性を高めることが可能となる。また、実装基板におけるLEDチップの実装面側でレンズおよび封止部を囲むドーム状の色変換部材を備え、当該色変換部材の内側に空気層が形成されているので、LEDチップから放射される光と色変換部材の蛍光体から放射される光との混色光を得ることができるだけでなくレンズおよび封止部を保護することができ、しかも、色変換部材に外力が作用したときに色変換部材に発生した応力がレンズおよび封止部を通してLEDチップやボンディングワイヤに伝達されるのを抑制でき、前記外力に起因したLEDチップの発光特性の変動やボンディングワイヤの断線を抑制できるから、信頼性をより高めることができる。また、色変換部材の内側に空気層が形成されていることにより、色変換部材の蛍光体で発生した熱がLEDチップへ伝熱されるのを抑制することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記レンズは、前記光出射面が、前記封止部側の光入射面から入射した光を前記光出射面と前記空気層との境界で全反射させない凸曲面状に形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記LEDチップから放射された光が前記光出射面と前記空気層との境界で全反射されることなく前記色変換部材まで到達しやすくなり、全光束を高めることができる。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記実装基板における前記LEDチップの実装面側で封止部を囲んだ枠体を備え、当該枠体が前記封止部と同種の透明樹脂により形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記実装基板における前記LEDチップの実装面側で封止部を囲んだ枠体を備えているので、枠体によって前記封止部の形状を規定することができるから、金型などを用いることなく前記封止部を形成することができ、しかも、枠体が前記封止部と同じ透明樹脂により形成されているので、枠体と前記封止部との線膨張率差に起因した信頼性の低下を防止することができる。
請求項1の発明では、信頼性および指向性を高めることができるという効果がある。
(実施形態1)
以下、本実施形態の発光装置について図1〜図3を参照しながら説明する。
本実施形態の発光装置1は、LEDチップ10と、LEDチップ10が実装された実装基板20と、実装基板20におけるLEDチップ10の実装面側でLEDチップ10を囲む枠体40と、枠体40の内側に透明樹脂材料を充填して形成されてLEDチップ10および当該LEDチップ10に電気的に接続されたボンディングワイヤ14,14を封止し且つ弾性を有する封止部50と、封止部50に重ねて配置されるレンズ60と、LEDチップ10から放射された光によって励起されてLEDチップ10の発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体および透光性材料(透明材料)により形成されたものであって実装基板20におけるLEDチップ10の実装面側でレンズ60および枠体40を囲みレンズ60の光出射面60bおよび枠体40の外側面との間に空気層80が形成される形で配設されるドーム状の色変換部材70とを備えている。
なお、本実施形態の発光装置1は、例えばスポットライトなどの照明器具の光源として用いるものであり、例えば、シリカやアルミナなどのフィラーからなる充填材を含有し加熱時に低粘度化する樹脂シート(例えば、溶融シリカを高充填したエポキシ樹脂シートのような有機グリーンシート)により形成される絶縁層90を介して金属(例えば、Al、Cuなどの熱伝導率の高い金属)製の器具本体100に接合することで、LEDチップ10から器具本体100までの熱抵抗を小さくすることができて放熱性が向上し、LEDチップ10のジャンクション温度の温度上昇を抑制できるから、入力電力を大きくでき、光出力の高出力化を図れる。ここで、照明器具の光源として用いる場合には、所望の光出力が得られるように、器具本体100に複数個の発光装置1を実装して複数個の発光装置1を直列接続したり並列接続したりすればよい。
実装基板20は、熱伝導性材料からなりLEDチップ10が搭載される矩形板状の伝熱板21と、伝熱板21の一面側(図1における上面側)に固着された矩形板状の配線基板22とで構成され、配線基板22の中央部に伝熱板21におけるLEDチップ10の搭載面(上記一面の一部)を露出させる矩形状の窓孔24が形成されており、LEDチップ10が窓孔24の内側に配置されたサブマウント部材30を介して伝熱板21に搭載されている。したがって、LEDチップ10で発生した熱が配線基板22を介さずにサブマウント部材30を介して伝熱板21に伝熱されるようになっている。なお、本実施形態では、伝熱板21の熱伝導性材料として熱伝導率の高い金属であるCuを採用している(つまり、伝熱板21として金属板を採用している)が、熱伝導性材料としてはCuに限らず、例えば、Alのように熱伝導率の高い他の金属やこれら金属と同様に熱伝導率の高い非金属を採用してもよい。
上述の配線基板22は、ガラスエポキシ基板からなる絶縁性基材22aの一表面側に、LEDチップ10の各電極(図示せず)と電気的に接続される一対の給電用のリードパターン23,23が設けられている。各リードパターン23,23は、Cu膜とNi膜とAu膜との積層膜により構成されており、平面視において枠体40よりも内側の部位がインナーリード部23a,23aを構成し、色変換部材70よりも外側の部位がアウターリード部23b,23bを構成している。伝熱板21と配線基板22とは、絶縁性を有するシート状の接着フィルムからなる固着シート25を介して固着されている。なお、絶縁性基材22aの材料は、FR4のようなガラスエポキシ樹脂に限らず、例えば、ポリイミド系樹脂や、フェノール樹脂などでもよい。
LEDチップ10は、青色光を放射するGaN系青色LEDチップであり、結晶成長用基板としてサファイア基板に比べて格子定数や結晶構造がGaNに近く且つ導電性を有するn形のSiC基板からなる導電性基板11を用いており、導電性基板11の主表面側にGaN系化合物半導体材料により形成されて例えばダブルへテロ構造を有する積層構造部からなる発光部12がエピタキシャル成長法(例えば、MOVPE法など)により成長され、導電性基板11の裏面に図示しないカソード側の電極であるカソード電極(n電極)が形成され、発光部12の表面(導電性基板11の主表面側の最表面)に図示しないアノード側の電極であるアノード電極(p電極)が形成されている。要するに、LEDチップ10は、一表面側にアノード電極が形成されるとともに他表面側にカソード電極が形成されている。上記カソード電極および上記アノード電極は、Ni膜とAu膜との積層膜により構成してあるが、上記カソード電極および上記アノード電極の材料は特に限定するものではなく、良好なオーミック特性が得られる材料であればよく、例えば、Alなどを採用してもよい。なお、本実施形態では、LEDチップ10を、当該LEDチップ10の発光部12が導電性基板11よりも伝熱板21から離れた側となるように伝熱板21に搭載してあるが、発光部12が導電性基板11よりも伝熱板21に近い側となるように伝熱板21に搭載するようにしてもよい。光取り出し効率を考えた場合には、LEDチップ10の発光部12を伝熱板21から離れた側に配置することが望ましいが、本実施形態では導電性基板11と発光部12とが同程度の屈折率を有しているので、発光部12を伝熱板21に近い側に配置しても光の取り出し損失が大きくなりすぎることはない。
また、LEDチップ10は、上述の伝熱板21に、LEDチップ10のチップサイズよりも大きなサイズの矩形板状に形成されLEDチップ10と伝熱板21との線膨張率の差に起因してLEDチップ10に働く応力を緩和するサブマウント部材30を介して搭載されている。サブマウント部材30は、上記応力を緩和する機能だけでなく、LEDチップ10で発生した熱を伝熱板21においてLEDチップ10のチップサイズよりも広い範囲に伝熱させる熱伝導機能を有している。本実施形態では、サブマウント部材30の材料として熱伝導率が比較的高く且つ絶縁性を有するAlNを採用しており、LEDチップ10は、上記カソード電極がサブマウント部材30におけるLEDチップ10側の表面に設けられ上記カソード電極と接続される導体パターン31(図4参照)および金属細線(例えば、金細線、アルミニウム細線など)からなるボンディングワイヤ14を介して一方のリードパターン23と電気的に接続され、上記アノード電極がボンディングワイヤ14を介して他方のリードパターン23と電気的に接続されている。なお、LEDチップ10とサブマウント部材30とは、例えば、SnPb、AuSn、SnAgCuなどの半田や、銀ペーストなどを用いて接合すればよいが、AuSn、SnAgCuなどの鉛フリー半田を用いて接合することが好ましい。また、サブマウント部材30は、導体パターン31の周囲に、LEDチップ10から放射された光を反射する反射膜32(図4参照)が形成されている。なお、反射膜32は、例えば、Ni膜とAg膜との積層膜により構成すればよい。
サブマウント部材30の材料はAlNに限らず、線膨張率が導電性基板11の材料である6H−SiCに比較的近く且つ熱伝導率が比較的高い材料であればよく、例えば、複合SiC、Siなどを採用してもよい。
ところで、本実施形態の発光装置1は、LEDチップ10およびサブマウント部材30それぞれの平面視における外周形状が正方形状であり、平面視においてLEDチップ10の外周線がサブマント部材30の外周線よりも内側に位置し且つ両外周線が並行しないようにLEDチップ10がサブマウント部材30の中央部で導体パターン31と接合されており、LEDチップ10の対角線とサブマウント部材30の対角線とが非平行となっている。より具体的には、LEDチップ10の対角線とサブマウント部材30の対角線とのなす角度が略45度となるようにLEDチップ10がサブマント部材30の中央部で導体パターン31に接合されている。なお、本実施形態では、窓孔24も平面視において正方形状となっている。
また、上記アノード電極に電気的に接続されるボンディングワイヤ14はLEDチップ10の一表面の中央付近で上記アノード電極に接続され、上記カソード電極に電気的に接続されるボンディングワイヤ14は、LEDチップ10の1つの角部付近でサブマウント部材30の導体パターン31に接続されている。ここで、本実施形態では、各ボンディングワイヤ14,14がLEDチップ10の1つの対角線に沿った方向へ延出されているので、ボンディングワイヤ14,14に起因した光取出し効率の低下を抑制することができる。また、LEDチップ10とサブマウント部材30とが両者の外周線が並行するような位置関係にある場合に比べて、サブマウント部材30の平面サイズを小さくすることなく、LEDチップ10の1つの対角線に沿った方向へ延出されるボンディングワイヤ14の両端間の直線距離を短くすることができ、枠体40および発光装置1全体の小型化を図ることができる。要するに、サブマウント部材30による熱伝導機能を低下させることなく、ボンディングワイヤ14に起因した光取出し効率の低下を抑制することができるとともに、枠体40や発光装置1全体の小型化を図ることができる。
上述の封止部50の透明樹脂材料としては、シリコーン樹脂を用いているが、シリコーン樹脂に限らず、アクリル樹脂などを用いてもよい。
これに対して、枠体40は、円筒状の形状であって、透明樹脂により形成されている(透明樹脂の成形品により構成されている)が、当該透明樹脂としては、シリコーン樹脂を採用している。要するに、本実施形態では、封止部50の材料である透明樹脂の線膨張率と同等の線膨張率を有する同種の透明樹脂(透光性の材料)により枠体40を形成してある。ここに、本実施形態では、枠体40を実装基板20に固着した後で枠体40の内側に封止部50の透明樹脂を充填(ポッティング)して熱硬化させることで封止部50を形成してある。なお、封止部50の透明樹脂としてシリコーン樹脂に代えてアクリル樹脂を用いている場合には、枠体40をアクリル樹脂により形成することが望ましい。
レンズ60は、封止部50側の光入射面60aおよび光出射面60bそれぞれが凸曲面状に形成された両凸レンズにより構成されている。ここにおいて、レンズ60は、シリコーンにより形成されており(シリコーンの成形品により構成してあり)、封止部50と屈折率が同じ値となっているが、レンズ60は、シリコーンに限らず、例えば、アクリル樹脂により形成してもよい。
ところで、レンズ60は、光出射面60bが、光入射面60aから入射した光を光出射面60bと上述の空気層80との境界で全反射させない凸曲面状に形成されている。したがって、LEDチップ10から放射された光が光出射面60bと空気層80との境界で全反射されることなく色変換部材70まで到達しやすくなり、全光束を高めることができる。ここで、レンズ60は、当該レンズ60の光軸がLEDチップ10の厚み方向に沿った発光部12の中心線上に位置するように配置されている。なお、LEDチップ10の側面から放射された光は封止部50および空気層80を伝搬して色変換部材70まで到達し色変換部材70の蛍光体を励起したり蛍光体には衝突せずに色変換部材70を透過したりする。
色変換部材70は、シリコーンのような透光性材料(透明材料)とLEDチップ10から放射された青色光によって励起されてブロードな黄色系の光を放射する粒子状の黄色蛍光体とを混合した混合物の成形品により構成されている。したがって、本実施形態の発光装置1は、LEDチップ10から放射された青色光と黄色蛍光体から放射された光とが色変換部材70の外面70bを通して放射されることとなり、白色光を得ることができる。なお、色変換部材70の材料として用いる透光性材料は、シリコーンに限らず、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ガラス、有機成分と無機成分とがnmレベルもしくは分子レベルで混合、結合した有機・無機ハイブリッド材料などを採用してもよい。また、色変換部材70の材料として用いる透光性材料に混合する蛍光体も黄色蛍光体に限らず、例えば、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを混合しても白色光を得ることができる。
ここで、色変換部材70は、内面70aがレンズ60の光出射面60bに沿った形状に形成されている。したがって、レンズ60の光出射面60bの位置によらず法線方向における光出射面60bと色変換部材70の内面70aとの間の距離が略一定値となっている。なお、色変換部材70は、位置によらず法線方向に沿った肉厚が一様となるように成形されている。色変換部材70は、開口部の周縁を実装基板20に対して、例えば接着剤(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)を用いて接着すればよい。
なお、本実施形態の発光装置1の製造にあたっては、例えば、LEDチップ10をサブマウント部材30を介して実装基板20の伝熱板21に搭載してから、LEDチップ10の各電極と実装基板20における配線基板22のリードパターン23,23とを電気的に接続するワイヤボンディングを行い、その後、枠体40を実装基板20におけるLEDチップ10の実装面側に固着してから、封止部50の材料である透明樹脂を実装基板20と枠体40とで囲まれた空間に充填し、その後、レンズ60を枠体40上に載置してから、上記透明樹脂を熱硬化させることで封止部50を形成するのと同時に封止部50とレンズ60とを固着し、最後に、色変換部材70を接着剤などを用いて実装基板20に固着すればよい。
以上説明した本実施形態の発光装置1では、枠体40の内側でLEDチップ10およびボンディングワイヤ14,14を封止した透明樹脂からなり弾性を有する封止部50を備えているので、封止部50の材料として従来のようにエポキシ樹脂を用いる場合に比べて封止部50の耐候性を高めることができるとともに、LEDチップ10から放射された光による劣化が起こりにくくなる。
ところで、枠体40の材料として例えばアルミニウムなどの金属材料を採用して枠体40をLEDチップ10から放射された光をレンズ60側へ反射するリフレクタとして用いることも考えられる。しかしながら、枠体40の材料としてアルミニウムを採用した場合には、封止部50の材料であるシリコーン樹脂の線膨張率が枠体40の材料であるアルミニウムの線膨張率の10倍以上の値であり、−40℃の低温期間と80℃の高温期間とを交互に繰り返すヒートサイクル試験(温度サイクル試験)を行うと、両者の線膨張率差に起因してヒートサイクル試験の低温時に封止部50中にボイドが発生してしまう。
これに対して、本実施形態の発光装置1では、枠体40が透明樹脂により形成されているので、枠体40が金属材料により形成されている場合に比べて枠体40と封止部50との線膨張率差を小さくすることができ、ヒートサイクル試験の低温時に封止部50にボイドが発生するのを抑制することができるから、信頼性を高めることができる。要するに、本実施形態の発光装置1では、実装基板20におけるLEDチップ10の実装面側で封止部50を囲んだ枠体40を備えているので、枠体40によって封止部50の形状を規定することができるから、金型などを用いることなく封止部50を形成することができ、しかも、枠体40が封止部50と同じ透明樹脂により形成されているので、枠体40と封止部50との線膨張率差に起因した信頼性の低下を防止することができる。
また、本実施形態の発光装置1では、封止部50とは別に形成された両凸レンズからなるレンズ60が封止部50に重ねて固着されているので、放射する光の指向性を高めることができ、特にスポットライトなどの照明器具のように指向性の要求の高い照明器具の光源として適している。
また、本実施形態の発光装置1では、色変換部材70はレンズ60の光出射面60bおよび枠体40の外側面との間に空気層80が形成される形で配設すればよく(つまり、色変換部材は、内側に空気層80が形成される形で配設すればよく)、色変換部材70をレンズ60および枠体40に密着させる必要がないので、色変換部材70の寸法精度や位置決め精度に起因した歩留まりの低下を抑制できる。また、本実施形態の発光装置1では、組立時に色変換部材70の組付けが最終工程となるので、LEDチップ10の発光波長に応じて透明材料に対する蛍光体の配合を調整した色変換部材70を用いることで色ばらつきを低減することもできる。
また、本実施形態の発光装置1では、上述のように色変換部材70とレンズ60との間に空気層80が形成されているので、色変換部材70に外力が作用したときに色変換部材70が変形してレンズ60に当接する可能性が低くなって上記外力により色変換部材70に発生した応力がレンズ60および封止部50を通してLEDチップ10や各ボンディングワイヤ14,14に伝達されるのを抑制でき、上記外力によるLEDチップ10の発光特性の変動や各ボンディングワイヤ14,14の断線が起こりにくくなるから、信頼性が向上するという利点がある。また、色変換部材70とレンズ60との間に上記空気層80が形成されていることにより、外部雰囲気中の水分がLEDチップ10に到達しにくくなるという利点や、色変換部材70の蛍光体で発生した熱がLEDチップ10へ伝熱されるのを抑制することができるという利点がある。
また、色変換部材70とレンズ60との間に上記空気層80が形成されていることにより、LEDチップ10から放射され封止部50およびレンズ60を通して色変換部材70に入射し当該色変換部材70中の黄色蛍光体の粒子により散乱された光のうちレンズ60側へ散乱されてレンズ60を透過する光の光量を低減できて装置全体としての外部への光取り出し効率を向上できるという利点がある。
ここで、図5(a),(b)に示すように、色変換部材70の光軸とLEDチップ10の光軸とが一致しており、色変換部材70における光軸方向の中央の位置PでLEDチップ10からの青色光が全方位に散乱されたとし、色変換部材70と空気層80との界面での全反射角をφa、色変換部材70と当該色変換部材70の外側の媒質である空気との界面での全反射角をφb、位置Pで散乱された光に関して色変換部材70の内面70a側のエスケープコーンECaの広がり角を2θa、位置Pで散乱された光に関して色変換部材70の外面70b側のエスケープコーンECbの広がり角を2θbとすれば、図5(a)に示すように全反射角φa,φbが40°のときには2θa=60°、2θb=98°となり、図5(b)に示すように全反射角φa,φbが50°のときには2θa=76°、2θb=134°となる。
ここにおいて、色変換部材70に用いている透光性材料(透明材料)の屈折率をn、位置Pで散乱され内面70a側のエスケープコーンECaを通して放出される青色光の最大放出効率をηとすれば、η=(1/4n2)×100〔%〕で表されるので、上述のように透光性材料としてシリコーンを用いている場合には、n=1.4として、η≒13%となる。したがって、色変換部材70とレンズ60との間に空気層80が形成されていない場合には、位置Pで散乱された青色光の50%がレンズ60に戻ってしまうのに対して、空気層80を形成したことにより、位置Pで散乱された青色光の13%しかレンズ60に戻らなくなるので、青色光による封止部50の劣化を抑制できる。なお、エスケープコーンECaを通して放出される青色光を少なくするには、色変換部材70の厚みを大きくすることが望ましい。
また、本実施形態における発光装置1は、サブマウント部材30の厚み寸法を、当該サブマウント部材30の表面が配線基板22の表面よりも伝熱板21から離れるように設定してあり、LEDチップ10から側方に放射された光が配線基板22の窓孔24の内周面を通して配線基板22に吸収されるのを防止することができるとともに、LEDチップ10から側方に放射された光が色変換部材70と実装基板20との接合部を通して出射されるのを防止することができる。また、上述のように、サブマウント部材30におけるLEDチップ10の接合部位の周囲に、LEDチップ10から放射された光を反射する反射膜32を形成してあるので、LEDチップ10から側方に放射された光がサブマウント部材30に吸収されるのを防止することができ、外部への光取出し効率を高めることが可能となる。
(実施形態2)
以下、本実施形態の発光装置について図6〜図8に基づいて説明する。
本実施形態の発光装置1の基本構成は実施形態1と略同じであって、レンズ60と枠体40とが同一の透光性材料(例えば、シリコーンなど)により一体成形されている点などが相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
また、本実施形態における配線基板22は、絶縁性基材22aにおける伝熱板21側とは反対の表面側に、リードパターン23,23および絶縁性基材22aにおいてリードパターン23,23が形成されていない部位を覆う白色系の樹脂からなるレジスト層26(図6および図8参照)が積層されている。したがって、LEDチップ10の側面から放射されレジスト層26の表面に入射した光がレジスト層26の表面で反射されるので、LEDチップ10から放射された光が配線基板22における伝熱板21側とは反対の表面を通して吸収されるのを防止することができ、外部への光取り出し効率の向上による光出力の向上を図れる。
ここにおいて、レジスト層26は、配線基板22の窓孔24の近傍において各リードパターン23,23のインナーリード部23a,23aを露出させる円形状の開口窓26aが形成され、配線基板22の周部において各導体パターン23,23のアウターリード部23b,23bそれぞれを露出させる円形状の開口窓26b,26bが形成されている。
ここにおいて、レンズ60と枠体40とは上述のように、同一の透光性材料(例えば、シリコーンなど)により一体成形されており(言い換えれば、レンズ60と枠体40とが連続一体に形成されており)、封止部50と屈折率および線膨張率が同じ値となっている。なお、レンズ60と枠体40とは封止部50の透明樹脂の屈折率および弾性率を下回らない透光性材料により形成すればよく、例えば、封止樹脂がアクリル樹脂である場合には、レンズ60と枠体40とをアクリル樹脂により一体成形してもよい。また、レンズ60および枠体40の材料として採用する透光性材料は、封止部50の透明樹脂の線膨張率と同等の線膨張率を有していればよい。
また、本実施形態の発光装置は、LEDチップ10が、実装基板20の最表面(レジスト層26の表面)を含む平面から当該平面の法線方向に離間した位置に配置されており、レンズ60と枠体40とで構成されるレンズブロックにおいてレンズ60と枠体40とで囲まれた空間がLEDチップ10を収納する収納凹部を構成している。
本実施形態の発光装置の製造方法としては、図10に示すように、LEDチップ10とボンディングワイヤ14,14とを電気的に接続した後、レンズ60と枠体40とで囲まれる空間に上述の封止部50となる液状の透明樹脂材料(例えば、シリコーン樹脂からなる封止樹脂)50cを注入してから、レンズ60を実装基板20との間に枠体40が介在する形で実装基板20に対向配置して透明樹脂材料50cを硬化させることにより封止部50を形成するような製造方法が考えられる。しかしながら、このような製造方法では、製造過程において封止部50にボイドが発生する恐れがある。
そこで、本実施形態の発光装置1の製造にあたっては、図9に示すように、実装基板20にLEDチップ10を実装してLEDチップ10とボンディングワイヤ14,14とを電気的に接続した後、LEDチップ10およびボンディングワイヤ14,14を封止部50の一部となる液状の第1の透明樹脂材料(例えば、シリコーン樹脂からなる封止樹脂)50aにより覆ってから、レンズ60と枠体40とで囲まれる空間に第1の透明樹脂材料50aと同一材料からなり封止部50の他の部分となる液状の第2の透明樹脂材料(例えば、シリコーン樹脂からなる封止樹脂)50bを注入し、その後、レンズ60を実装基板20との間に枠体40が介在する形で実装基板20に対向配置して各透明樹脂材料50a,50bを硬化させることにより封止部50を形成するようにしている。このような製造方法によれば、製造過程で封止部50にボイドが発生しにくくなり、信頼性が高く且つ光出力が大きな発光装置1を提供することができる。ここで、第2の透明樹脂材料50bを注入する前に、第1の透明樹脂材料50aを硬化させておけば、第1の透明樹脂材料50aの粘度が低下し上記収納凹部内に閉じ込められたボイドが抜けやすくなるという利点がある。なお、本実施形態では、実装基板20のレジスト層26の中央部に形成された円形状の開口窓26aの内径を色変換部材70の最大外径よりもやや大きな寸法に設定してあり、第1の透明樹脂材料50aをポッティングした際に開口窓26aの内周面近傍まで流れ込んだ第1の透明樹脂材料50aを、色変換部材70と実装基板20とを接合する接着剤として利用している。
以上説明した本実施形態の発光装置1では、レンズ60と枠体40とが同一の透光性材料により一体成形されているので、レンズ60と枠体40とが別部材である場合に比べて部品点数を少なくできるとともに、LEDチップ10とレンズ60との光軸のずれに起因した光出力の低下を防止することができる。
(実施形態3)
以下、本実施形態の発光装置1について図11に基づいて説明する。
本実施形態の発光装置1の基本構成は実施形態2と略同じであって、レジスト層26の中央部の開口窓26aの内径を色変換部材70の最大内径よりもやや小さく設定してあり、色変換部材70における実装基板20側の端縁とレジスト層26における開口窓26aの周部とを全周に亘って接着剤からなる接合部75により接合している点が相違する。なお、実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
したがって、本実施形態の発光装置1の製造にあたっては、実施形態2と同様、図12に示すように、実装基板20にLEDチップ10を実装してLEDチップ10とボンディングワイヤ14,14とを電気的に接続した後、LEDチップ10およびボンディングワイヤ14,14を封止部50の一部となる液状の第1の透明樹脂材料(例えば、シリコーン樹脂からなる封止樹脂)50aにより覆ってから、レンズ60と枠体40とで囲まれる空間に第1の透明樹脂材料50aと同一材料からなり封止部50の他の部分となる液状の第2の透明樹脂材料(例えば、シリコーン樹脂からなる封止樹脂)50bを注入し、その後、レンズ60を実装基板20との間に枠体40が介在する形で実装基板20に対向配置して各透明樹脂材料50a,50bを硬化させることにより封止部50を形成するようにしている。ここにおいて、本実施形態の発光装置1の製造にあたっては、レジスト層26により、色変換部材70の接合部位まで第1の透明樹脂材料50aが流出するのを防止しており、色変換部材70の実装基板20側の端縁と実装基板20とを接着剤により接合しているので、色変換部材70と実装基板20との間に介在する接合部75の厚みの制御が容易になるとともに、色変換部材70と実装基板20との接合の信頼性が向上する。なお、接合部75の接着剤としては、色変換部材70と同じ材料を用いるのが望ましい。
ところで、上述の各実施形態では、LEDチップ10として、発光色が青色の青色LEDチップを採用しており、導電性基板11としてSiC基板を採用しているが、SiC基板の代わりにGaN基板を用いてもよく、SiC基板やGaN基板を用いた場合には結晶成長用基板として絶縁体であるサファイア基板を用いている場合に比べて、結晶成長用基板の熱伝導率が高く結晶成長用基板の熱抵抗を小さくできる。また、LEDチップ10の発光色は青色に限らず、例えば、赤色、緑色などでもよい。すなわち、LEDチップ10の発光部12の材料はGaN系化合物半導体材料に限らず、LEDチップ10の発光色に応じて、GaAs系化合物半導体材料やGaP系化合物半導体材料などを採用してもよい。また、導電性基板11もSiC基板に限らず、発光部12の材料に応じて、例えば、GaAs基板、GsP基板などから適宜選択すればよい。
実施形態1の発光装置の概略断面図である。 同上を示し、一部破断した概略分解斜視図である。 同上を示す要部概略平面図である。 同上におけるサブマウント部材の概略斜視図である。 同上の要部説明図である。 実施形態2の発光装置の概略断面図である。 同上の発光装置の一部破断した概略分解斜視図である。 同上の発光装置における配線基板の概略平面図である。 同上の発光装置の製造方法の説明図である。 同上の発光装置の製造方法の説明図である。 実施形態3の発光装置の概略断面図である。 同上の発光装置の製造方法の説明図である。
符号の説明
10 LEDチップ
14 ボンディングワイヤ
20 実装基板
40 枠体
50 封止部
60 レンズ
60a 光入射面
60b 光出射面
70 色変換部材
80 空気層

Claims (3)

  1. LEDチップと、LEDチップが実装された実装基板と、当該実装基板におけるLEDチップの実装面側でLEDチップおよび当該LEDチップに電気的に接続されたボンディングワイヤを封止した透明樹脂からなり弾性を有する封止部と、封止部に重ねて配置されたレンズと、LEDチップから放射された光によって励起されてLEDチップの発光色とは異なる色の光を放射する蛍光体および透光性材料により形成されたものであって実装基板の前記実装面側でレンズおよび封止部を囲むドーム状の色変換部材とを備え、当該色変換部材の内側に空気層が形成され、レンズが両凸レンズからなることを特徴とする発光装置。
  2. 前記レンズは、前記光出射面が、前記封止部側の光入射面から入射した光を前記光出射面と前記空気層との境界で全反射させない凸曲面状に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
  3. 前記実装基板における前記LEDチップの実装面側で封止部を囲んだ枠体を備え、当該枠体が前記封止部と同種の透明樹脂により形成されてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の発光装置。
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