JP3876355B2 - Ophthalmic solution - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂製容器に吸着しやすく、且つ、水に難溶なプロスタグランジン誘導体を有効成分として含有する点眼液において、非イオン性界面活性剤および/または抗酸化剤を配合することで、点眼液中での該プロスタグランジン誘導体の含有率の低下を防止することを特徴とする点眼液に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然のプロスタグランジンは、種々の生理活性を有する物質として広く知られており、また、それらのプロスタグランジンをリード化合物として、多数のプロスタグランジン誘導体が研究開発されている。例えば、眼科用途に用いられるプロスタグランジン誘導体として、特表平3−501025、特開平2−108、特開平11−71344に開示されているプロスタグランジン誘導体などが眼圧下降作用を有する緑内障や高眼圧症の治療薬として有用であることが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
プロスタグランジン誘導体は上記の様に緑内障や高眼圧症の治療剤として有用なものであるが、プロスタグランジン誘導体には、水に難溶で且つ樹脂製容器に吸着しやすい性質を有するものがあり、この様なプロスタグランジン誘導体を点眼液に調製するには、水に対する溶解性の課題と、容器に吸着することによる薬物濃度低下の課題を解決しなければならない。また、プロスタグランジン誘導体には、水に溶解すると分解しやすい性質を有するものがあり、このようなプロスタグランジン誘導体を点眼液に調製するには安定性の課題を解決する必要がある。点眼容器への吸着および点眼液中での薬物の分解は薬物の点眼液中での含有率の低下につながり、これらの課題を解決することは点眼液の調製において重要な課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、樹脂製容器に吸着しやすく、且つ、水に難溶なプロスタグランジン誘導体を点眼液に調製する方法について鋭意研究を行った。その結果、点眼液にポリソルベート80やポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60などの非イオン性界面活性剤を配合することで、プロスタグランジン誘導体の水に対する溶解性が向上し、且つ、樹脂製容器に対する吸着性が顕著に抑制できることを見出した。また、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムやジブチルヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤を配合することで、プロスタグランジン誘導体の分解が顕著に抑制できることも併せて見出した。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α(以下、本プロスタグランジン誘導体という)もしくはそのアルキルエステルまたはその塩を有効成分として含有する点眼液であって、非イオン性界面活性剤および抗酸化剤を配合することで、点眼液中での該有効成分の含有率の低下を防止することを特徴とする点眼液、および、16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2αもしくはそのアルキルエステルまたはその塩を有効成分として含有する点眼液に、非イオン性界面活性剤および抗酸化剤を配合することで、点眼液中での該有効成分の含有率の低下を防止する方法に関するものである。
【0006】
ここで、本プロスタグランジン誘導体は、特開平11−71344に開示されている16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2αもしくはそのアルキルエステルまたはその塩である。アルキルエステルの具体例としては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、tert-ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステルなどの低級アルキルエステルが挙げられる。
【0007】
本発明の点眼液においては、本プロスタグランジン誘導体は水に溶解した状態で存在する。
【0008】
プロスタグランジン誘導体が樹脂製容器に吸着しやすいとは、プロスタグランジン誘導体を水溶液にして樹脂製容器に保管したとき、残存率(残存率とは溶解させた本プロスタグランジンの量に対して、点眼液中に有効に溶解して存在する量をいう。)が大きく低下することをいい、たとえば、本プロスタグランジン誘導体水溶液の濃度が、0.001%(%は特に記載しないかぎり、質量%を示す。以下同様。)の場合、40℃で6ヶ月間、ポリエチレン製容器またはポリプロピレン製容器に保存後、同化合物の40%以上(液中の残存率60%未満)、通常は40−60%、典型的には約50%が容器に吸着している状態をいう。
【0009】
水に難溶なプロスタグランジン誘導体とは、1gを溶解するのに1000ml以上の水を要するものをいう(第十三改正 日本薬局方解説書 通則 A−51(1996))。
【0010】
本発明で用いられる非イオン性界面活性剤は、点眼液中での本プロスタグランジン誘導体の水溶性を向上させ、且つ、樹脂製容器に対する吸着を抑制することによって含有率の低下を防止する目的で配合するものであり、それらの具体例としては、ポリソルベート80[ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート]、ポリソルベート60[ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート]、ポリソルベート40[ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート]、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリソルベート65[ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート]などのポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール[プルロニックF68]、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール[プルロニックP123]、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール[プルロニックP85]、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール[プルロニックF127]、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール[プルロニックL−44]などのポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ステアリン酸ポリオキシル40、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられ、好ましくは、ポリソルベート80[ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート]、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ステアリン酸ポリオキシル40などが挙げられる。また、これらの非イオン性界面活性剤はそれぞれ単独または2種以上を併せて使用できる。
【0011】
特に好ましい非イオン性界面活性剤としては、点眼液の添加物として汎用されるポリソルベート80[ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート]またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60が挙げられる。
【0012】
抗酸化剤は、点眼液中での本プロスタグランジン誘導体の分解を抑制することによって含有率の低下を防止する目的で配合するものであり、それらの具体例としては、亜硝酸ナトリウム、アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、亜硫酸水素ナトリウム、アルファチオグリセリン、エチレンジアミン四酢酸、エリソルビン酸、塩酸システイン、クエン酸、酢酸トコフェロール、ジクロルイソシアヌル酸カリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、大豆レシチン、チオグリコール酸ナトリウム、チオリンゴ酸ナトリウム、天然ビタミンE、トコフェロール、パスチミン酸アスコルビル、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、1,3−ブチレングリコール、ペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネート、没食子酸プロピル、2−メルカプトベンズイミダゾール、硫酸オキシキノリンなどが挙げられる。また、これらの抗酸化剤はそれぞれ単独または2種以上を併せて使用できる。
【0013】
好ましい抗酸化剤としては、点眼液の添加物として汎用されるエチレンジアミン四酢酸若しくはその塩またはジブチルヒドロキシトルエンが挙げられ、エチレンジアミン四酢酸またはその塩とジブチルヒドロキシトルエンを併せて使用することが特に好ましい。
【0014】
樹脂製容器の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン6などが挙げられ、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。また、これらの樹脂は高密度樹脂であっても、低密度樹脂であってもよい。
【0015】
本プロスタグランジン誘導体の点眼液中の配合量(濃度)は、対象疾患や症状等に応じて適宜選択できるが、0.00005〜0.05%が好ましい。
【0016】
非イオン性界面活性剤の点眼液中の配合量(濃度)は、本プロスタグランジン誘導体の配合量に応じて適宜増減できるが、本プロスタグランジン誘導体の水溶性向上の観点から、非イオン性界面活性剤の濃度は、本プロスタグランジン誘導体の濃度の5倍以上に設定するのが好ましく、さらにより確実な水溶性の保証の観点から、10倍以上に設定することが特に好ましい。非イオン性界面活性剤の配合量を増加すればするほど本プロスタグランジン誘導体の水溶性は上昇するので、濃度の上限には理論上の制約はないが、点眼液への使用の観点から自ずと制約がある。即ち、非イオン性界面活性剤を高濃度に配合すると角膜等の眼組織に悪影響を与えるので、有効成分の濃度には関係なく、点眼液における非イオン性界面活性剤の配合量は、通常0.5%以下に設定される。
【0017】
抗酸化剤の点眼液中の配合量(濃度)は、抗酸化剤の種類により適宜選択できるが、例えば、抗酸化剤がエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの場合には、通常0.005%〜0.5%であり、0.01〜0.1%が好ましい。また、抗酸化剤がジブチルヒドロキシトルエンの場合には、通常0.00001%〜0.001%であり、0.00005〜0.0005%が好ましい。
【0018】
本発明の効果は、後述の実施例で詳細に説明するが、点眼液にポリソルベート80やポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60などの非イオン性界面活性剤を配合することで、本プロスタグランジン誘導体の水溶性を向上させ、且つ、樹脂製容器に対する吸着性を顕著に抑制した。また、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムやジブチルヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤を配合することで、本プロスタグランジン誘導体の点眼液中での分解を効果的に抑制した。これらの実験結果は、点眼液中の本プロスタグランジン誘導体の含有率の低下を顕著に防止できることを示すものである。
【0019】
本発明の点眼液を調製するに際しては、上記の非イオン性界面活性剤や抗酸化剤以外に塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、グリセリン、プロピレングリコールなどの等張化剤、ホウ酸、ホウ砂、クエン酸、リン酸水素二ナトリウム、ε−アミノカプロン酸などの緩衝剤、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチルなどの防腐剤等の製剤的に許容される種々の添加物を配合することができる。
【0020】
本プロスタグランジン誘導体の点眼液のpHは3〜8、特に4〜7とするのが好ましい。
【0021】
本発明の点眼液の調製方法は特別な手法や操作を要さず、汎用されている方法によって調製することができる。
【0022】
以下に、本発明の点眼液が、プロスタグランジン誘導体の含有率の低下を有効に防止することを実施例を挙げて説明するが、これらの例は、本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0023】
【実施例】
以下、実施例では、本プロスタグランジン誘導体の代表例として、16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α イソプロピルエステル(以下、本化合物)を用いた。
【0024】
1.安定性試験1
非イオン性界面活性剤の配合による本化合物の樹脂製容器に対する吸着防止効果を調べた。非イオン性界面活性剤を配合していない溶液をコントロール1とし、非イオン性界面活性剤としてポリソルベート80を配合した溶液(処方1)および非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(以下、HCO60)を配合した溶液(処方2)における本化合物の残存率を比較した。尚、表中の%は質量%を表す。
【0025】
【表1】
【0026】
試験方法:各処方の溶液をポリエチレン製容器およびポリプロピレン製容器に充填し、40℃で6ヶ月間保存した後、溶液中の本化合物の残存率を高速液体クロマトグラフィー法(以下、HPLC法)にて測定した。
【0027】
結果および考察:HPLC法で測定した結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
表2は、ポリエチレン製またはポリプロピレン製のいずれの樹脂製容器においても、非イオン性界面活性剤を配合していないコントロール1に比べて、非イオン性界面活性剤を配合した処方1または処方2の方が、溶液中の本化合物の残存率が高く、本化合物の樹脂製容器への吸着が顕著に抑制されたことを示している。
【0030】
2.安定性試験2
抗酸化剤の配合による本化合物の分解抑制効果を調べた。抗酸化剤を配合していない溶液をコントロール2とし、抗酸化剤としてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(以下、EDTA塩)を配合した溶液(処方3)における本化合物の残存率を比較した。尚、本化合物の溶解補助剤として各処方において、ポリソルベート80を0.05%配合し、また、本化合物の分解性のみを評価する為、保存容器としてガラス製容器(これは本化合物の吸着性をほとんど示さない)を用いた。さらに、本化合物の分解を促進させる物質として塩化第二鉄(尚、下記表3中には、鉄イオン濃度に換算し記載した)を加えた。表中の%は質量%を表す。
【0031】
【表3】
【0032】
試験方法:各処方の溶液をガラス製容器に充填し、40℃で6ヶ月間保存した後、溶液中の本化合物の残存率をHPLC法にて測定した。
【0033】
結果および考察:HPLC法で測定した結果を表4に示す。
【0034】
【表4】
【0035】
表4は、EDTA塩を配合していないコントロール2に比べて、EDTA塩を配合した処方3の方が、溶液中の本化合物の残存率が高く、本化合物の分解が顕著に抑制されたことを示している。
【0036】
3.安定性試験3
2種類の抗酸化剤の併用による本化合物の分解抑制効果を調べた。抗酸化剤を配合していない溶液をコントロール3とし、抗酸化剤として、EDTA塩とジブチルヒドロキシトルエンの二種の抗酸化剤を配合した溶液(処方4)における本化合物の残存率を比較した。尚、本化合物の溶解補助剤として各処方において、ポリソルベート80を0.05%配合し、また、本化合物の分解性のみを評価する為、保存容器としてガラス製容器(これは本化合物の吸着性をほとんど示さない)を用いた。さらに、本化合物の分解を促進させる為、保存温度を60℃とした。表中の%は質量%を表す。
【0037】
【表5】
【0038】
試験方法:各処方の溶液をガラス製容器に充填し、60℃で2週間保存した後、溶液中の本化合物の残存率をHPLC法にて測定した。
【0039】
結果および考察:HPLC法で測定した結果を表6に示す。
【0040】
【表6】
【0041】
表6は、抗酸化剤を配合していないコントロール3に比べて、抗酸化剤としてEDTA塩とジブチルヒドロキシトルエンを配合した処方4の方が、溶液中の本化合物の残存率が高く、本化合物の分解が顕著に抑制されたことを示している。
【0042】
4.安定性試験4
非イオン性界面活性剤および抗酸化剤の配合による本化合物の樹脂製容器に対する吸着防止効果および分解抑制効果について調べた。非イオン性界面活性剤としてポリソルベート80を配合し、且つ、抗酸化剤としてEDTA塩を配合した点眼液(処方5)における本化合物の残存率を調べた。尚、表中の%は質量%を表す。
【0043】
【表7】
【0044】
試験方法:処方5の点眼液をポリプロピレン製容器に充填し、40℃で6ヶ月保存した後、点眼液中の本化合物の残存率をHPLC法にて測定した。
【0045】
結果および考察:HPLC法で測定した結果を表8に示す。
【0046】
【表8】
【0047】
表8は、処方5の点眼液をポリプロピレン製容器にて、長期保存した場合においても、本化合物の残存率は高く、点眼液中での本化合物の含有率の低下が顕著に防止されたことを示している。
【0048】
5.溶解度試験
水に難溶な薬物を点眼液の形に調製するには、薬物を溶解させる工夫が必要となる。非イオン性界面活性剤はこの溶解補助剤としての働きがあり、その必要量を見極めるために、つぎの溶解度試験を行った。
【0049】
試験方法:水10mlに本化合物(溶解度を上回る量)およびポリソルベート80を加え5℃、室温および40℃で24時間攪拌した後、20000rpmで遠心分離し、その上清中に含まれる本化合物濃度をHPLC法にて測定した。
【0050】
結果および考察:HPLC法で測定した結果を図1に示す。尚、図中の%は質量%を表す。
【0051】
この結果は、ポリソルベート80の添加量に応じて、本化合物の溶解度が向上することを示しているが、保存条件や本化合物の濃度の変動を考慮すると、本化合物を溶解するためのポリソルベート80(非イオン性界面活性剤)の添加量は本化合物の濃度の5倍以上配合することが好ましいことを示している。尚、本化合物は、低い温度の方が高い温度に比べて水溶性が増す性質を有している。
【0052】
【発明の効果】
本発明の効果は、点眼液にポリソルベート80やポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60などの非イオン性界面活性剤を配合することで、本プロスタグランジン誘導体の水に対する溶解性を向上し、且つ、樹脂製容器に対する吸着性を顕著に抑制し、また、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムやジブチルヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤を配合することで、本プロスタグランジン誘導体の点眼液中での分解を効果的に抑制することであり、これらの実験結果は、点眼液中の本プロスタグランジン誘導体の含有率の低下を顕著に防止したことを示すものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本化合物の溶解度に及ぼすポリソルベート80濃度の影響を示すグラフである。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention includes a nonionic surfactant and / or an antioxidant in an ophthalmic solution that contains a prostaglandin derivative that is easily adsorbed to a resin container and hardly soluble in water as an active ingredient. And an ophthalmic solution characterized by preventing a decrease in the content of the prostaglandin derivative in the ophthalmic solution.
[0002]
[Prior art]
Natural prostaglandins are widely known as substances having various physiological activities, and many prostaglandin derivatives have been researched and developed using these prostaglandins as lead compounds. For example, as prostaglandin derivatives used for ophthalmological applications, glaucoma having a lowering action on intraocular pressure, such as prostaglandin derivatives disclosed in JP-T-3-501025, JP-A-2-108, JP-A-11-71344, etc. It is known to be useful as a therapeutic agent for ocular hypertension.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
Prostaglandin derivatives are useful as therapeutic agents for glaucoma and ocular hypertension as described above, but some prostaglandin derivatives have properties that are hardly soluble in water and easily adsorbed on resin containers. In order to prepare such a prostaglandin derivative as an ophthalmic solution, it is necessary to solve the problem of solubility in water and the problem of lowering the drug concentration due to adsorption to a container. Some prostaglandin derivatives have a property of being easily decomposed when dissolved in water, and it is necessary to solve the stability problem in order to prepare such prostaglandin derivatives as eye drops. Adsorption to the eye drop container and decomposition of the drug in the eye drop lead to a decrease in the content of the drug in the eye drop, and solving these problems is an important issue in the preparation of eye drops.
[0004]
[Means for Solving the Problems]
Therefore, the present inventor conducted intensive research on a method for preparing an ophthalmic solution, which is a prostaglandin derivative that is easily adsorbed to a resin container and hardly soluble in water. As a result, by adding a nonionic surfactant such as polysorbate 80 or polyoxyethylene hydrogenated castor oil 60 to the ophthalmic solution, the solubility of the prostaglandin derivative in water is improved and the adsorption to the resin container is improved. It was found that the property can be remarkably suppressed. Moreover, it also discovered that decomposition | disassembly of a prostaglandin derivative can be suppressed remarkably by mix | blending antioxidants, such as disodium ethylenediaminetetraacetate and dibutylhydroxytoluene.
[0005]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The present invention relates to 16-phenoxy-15-deoxy-15,15-difluoro-17,18,19,20-tetranor prostaglandin F2α (hereinafter referred to as the present prostaglandin derivative) or an alkyl ester thereof or a salt thereof. An ophthalmic solution contained as an active ingredient, which contains a nonionic surfactant and an antioxidant to prevent a decrease in the content of the active ingredient in the ophthalmic solution And ophthalmic solution containing 16-phenoxy-15-deoxy-15,15-difluoro-17,18,19,20-tetranorprostaglandin F2α or an alkyl ester thereof or a salt thereof as an active ingredient, by blending sex surfactants and antioxidants, to prevent a reduction in the content of the active ingredient in the ophthalmic solution It relates to the law.
[0006]
Here, the prostaglandin derivative is 16-phenoxy-15-deoxy-15,15-difluoro-17,18,19,20-tetranor prostaglandin F2α disclosed in JP-A No. 11-71344 or a compound thereof. An alkyl ester or a salt thereof . Specific examples of the alkyl ester include lower alkyl esters such as methyl ester, ethyl ester, propyl ester, isopropyl ester, tert-butyl ester, pentyl ester and hexyl ester.
[0007]
In the ophthalmic solution of the present invention, the present prostaglandin derivative is present in a state dissolved in water.
[0008]
Prostaglandin derivatives are likely to be adsorbed to resin containers when the prostaglandin derivatives are stored in resin containers as an aqueous solution (the residual ratio is the amount of the prostaglandin dissolved in the solution). , Which means that the amount effectively dissolved in the ophthalmic solution is significantly reduced. For example, the concentration of the aqueous solution of the prostaglandin derivative is 0.001% (% is mass unless otherwise specified). In the case of 40% or more (residual ratio in the liquid is less than 60%) after storage in a polyethylene container or a polypropylene container at 40 ° C. for 6 months, usually 40− 60%, typically about 50%, is adsorbed on the container.
[0009]
A prostaglandin derivative that is hardly soluble in water is one that requires 1000 ml or more of water to dissolve 1 g (13th revision Japanese Pharmacopoeia Manual A-51 (1996)).
[0010]
The nonionic surfactant used in the present invention is intended to improve the water solubility of the present prostaglandin derivative in ophthalmic solution and to prevent a decrease in content by suppressing adsorption to a resin container. Specific examples thereof include polysorbate 80 [polyoxyethylene sorbitan monooleate], polysorbate 60 [polyoxyethylene sorbitan monostearate], polysorbate 40 [polyoxyethylene sorbitan monopalmitate], poly Polyoxyethylene fatty acid esters such as oxyethylene sorbitan monolaurate, polyoxyethylene sorbitan trioleate, polysorbate 65 [polyoxyethylene sorbitan tristearate], polyoxyethylene hydrogenated castor oil 10, polyoxyethylene Hydrogenated castor oil 40, polyoxyethylene hydrogenated castor oil 50, polyoxyethylene hydrogenated castor oil such as polyoxyethylene hydrogenated castor oil 60, polyoxyethylene (160) polyoxypropylene (30) glycol [Pluronic F68], polyoxyethylene (42) Polyoxypropylene (67) glycol [Pluronic P123], Polyoxyethylene (54) Polyoxypropylene (39) Glycol [Pluronic P85], Polyoxyethylene (196) Polyoxypropylene (67) Glycol [Pluronic F127] Polyoxyethylene (20) polyoxypropylene (20) glycol [Pluronic L-44] and other polyoxyethylene polyoxypropylene glycol, stearic acid polyoxyl 40, And fatty acid esters and the like, preferably, polysorbate 80 [polyoxyethylene sorbitan monooleate], polyoxyethylene hydrogenated castor oil 60, and the like stearic acid polyoxyl 40. These nonionic surfactants can be used alone or in combination of two or more.
[0011]
Particularly preferred nonionic surfactants include polysorbate 80 [polyoxyethylene sorbitan monooleate] or polyoxyethylene hydrogenated castor oil 60, which is widely used as an additive for eye drops.
[0012]
Antioxidants are formulated for the purpose of preventing a decrease in the content by inhibiting the decomposition of the present prostaglandin derivative in ophthalmic solution. Specific examples thereof include sodium nitrite and ascorbic acid. , L-ascorbic acid stearate, sodium bisulfite, alphathioglycerin, ethylenediaminetetraacetic acid, erythorbic acid, cysteine hydrochloride, citric acid, tocopherol acetate, potassium dichloroisocyanurate, dibutylhydroxytoluene, 2,6-di-t -Butyl-4-methylphenol, soybean lecithin, sodium thioglycolate, sodium thiomalate, natural vitamin E, tocopherol, ascorbyl pastimelate, sodium pyrosulfite, butylhydroxyanisole, 1,3-butylene glycol, pe Taerisuchiru - tetrakis [3- (3,5-di -t- butyl-4-hydroxyphenyl)] propionate, propyl gallate, 2-mercaptobenzimidazole, and the like oxyquinoline sulfate. These antioxidants can be used alone or in combination of two or more.
[0013]
Preferred antioxidants include ethylenediaminetetraacetic acid or a salt thereof or dibutylhydroxytoluene, which is widely used as an additive for eye drops, and it is particularly preferable to use ethylenediaminetetraacetic acid or a salt thereof in combination with dibutylhydroxytoluene.
[0014]
Examples of the material for the resin container include polyethylene, polypropylene, polyethylene terephthalate, polyvinyl chloride, acrylic resin, polystyrene, polymethyl methacrylate, nylon 6, and the like, and preferably polyethylene, polypropylene, polyethylene terephthalate, and the like. . Further, these resins may be high-density resins or low-density resins.
[0015]
The blending amount (concentration) of the prostaglandin derivative in the ophthalmic solution can be appropriately selected according to the target disease, symptoms, etc., but is preferably 0.00005 to 0.05%.
[0016]
The amount (concentration) of the nonionic surfactant in the ophthalmic solution can be appropriately increased or decreased depending on the amount of the prostaglandin derivative, but from the viewpoint of improving the water solubility of the prostaglandin derivative, it is nonionic. The concentration of the surfactant is preferably set to 5 times or more of the concentration of the present prostaglandin derivative, and more preferably set to 10 times or more from the viewpoint of ensuring more reliable water solubility. As the amount of nonionic surfactant increases, the water solubility of the prostaglandin derivative increases, so there is no theoretical limit on the upper limit of the concentration, but it is naturally from the viewpoint of use in eye drops. There are limitations. That is, if the nonionic surfactant is added at a high concentration, it adversely affects the eye tissue such as the cornea, so the amount of the nonionic surfactant in the ophthalmic solution is usually 0 regardless of the concentration of the active ingredient. Set to less than 5%.
[0017]
The blending amount (concentration) of the antioxidant in the ophthalmic solution can be appropriately selected depending on the type of the antioxidant. For example, when the antioxidant is disodium ethylenediaminetetraacetate, it is usually 0.005% to 0.001. 5%, preferably 0.01 to 0.1%. Further, when the antioxidant is dibutylhydroxytoluene, it is usually 0.00001% to 0.001%, preferably 0.00005 to 0.0005%.
[0018]
The effect of the present invention will be described in detail in the examples described later. By adding a nonionic surfactant such as polysorbate 80 or polyoxyethylene hydrogenated castor oil 60 to the ophthalmic solution, the present prostaglandin derivative The water solubility was improved and the adsorptivity to the resin container was remarkably suppressed. Moreover, the decomposition | disassembly in ophthalmic solution of this prostaglandin derivative was suppressed effectively by mix | blending antioxidants, such as disodium ethylenediaminetetraacetate and dibutylhydroxytoluene. These experimental results indicate that a decrease in the content of the present prostaglandin derivative in the ophthalmic solution can be remarkably prevented.
[0019]
In preparing the ophthalmic solution of the present invention, in addition to the above nonionic surfactants and antioxidants, isotonic agents such as sodium chloride, potassium chloride, calcium chloride, glycerin, propylene glycol, boric acid, borax , Buffering agents such as citric acid, disodium hydrogen phosphate, ε-aminocaproic acid, benzalkonium chloride, chlorhexidine gluconate, benzethonium chloride, sorbic acid, potassium sorbate, ethyl paraoxybenzoate, butyl paraoxybenzoate, etc. Various pharmaceutically acceptable additives such as an agent can be blended.
[0020]
The pH of the ophthalmic solution of the present prostaglandin derivative is preferably 3 to 8, particularly 4 to 7.
[0021]
The preparation method of the ophthalmic solution of the present invention does not require any special technique or operation, and can be prepared by a widely used method.
[0022]
In the following, the ophthalmic solution of the present invention will be described with reference to examples to effectively prevent the decrease in the content of the prostaglandin derivative, but these examples are for better understanding of the present invention. It does not limit the scope of the present invention.
[0023]
【Example】
Hereinafter, in the Examples, 16-phenoxy-15-deoxy-15,15-difluoro-17,18,19,20-tetranor prostaglandin F2α isopropyl ester (hereinafter referred to as the present prostaglandin derivative) Compound) was used.
[0024]
1. Stability test 1
The adsorption preventing effect of this compound on a resin container by blending a nonionic surfactant was examined. A solution containing no nonionic surfactant was used as control 1, a solution (formulation 1) containing polysorbate 80 as a nonionic surfactant, and polyoxyethylene hydrogenated castor oil 60 (as a nonionic surfactant) Hereinafter, the residual ratio of the present compound in the solution (prescription 2) containing HCO 60) was compared. In addition,% in a table | surface represents the mass%.
[0025]
[Table 1]
[0026]
Test method: The solution of each formulation is filled in a polyethylene container and a polypropylene container and stored at 40 ° C. for 6 months, and then the residual ratio of the present compound in the solution is determined by a high performance liquid chromatography method (hereinafter, HPLC method). Measured.
[0027]
Results and discussion: Table 2 shows the results measured by the HPLC method.
[0028]
[Table 2]
[0029]
Table 2 shows the prescription 1 or prescription 2 containing a nonionic surfactant compared to the control 1 containing no nonionic surfactant in any of the polyethylene or polypropylene resin containers. However, the residual ratio of the present compound in the solution was high, indicating that the adsorption of the present compound to the resin container was significantly suppressed.
[0030]
2. Stability test 2
The decomposition inhibitory effect of this compound by adding an antioxidant was investigated. A solution containing no antioxidant was used as control 2, and the residual ratio of this compound in a solution (formulation 3) containing ethylenediaminetetraacetic acid disodium (hereinafter referred to as EDTA salt) as an antioxidant was compared. In addition, 0.05% of polysorbate 80 was blended in each formulation as a solubilizing agent for this compound, and in order to evaluate only the decomposability of this compound, a glass container (this is the adsorptivity of this compound) Was used). Furthermore, ferric chloride (in the following Table 3, converted to iron ion concentration and described) was added as a substance that promotes the decomposition of this compound. % In the table represents mass%.
[0031]
[Table 3]
[0032]
Test method: The solution of each formulation was filled in a glass container and stored at 40 ° C. for 6 months, and then the residual ratio of the compound in the solution was measured by HPLC.
[0033]
Results and discussion: Table 4 shows the results measured by the HPLC method.
[0034]
[Table 4]
[0035]
Table 4 shows that the prescription 3 containing the EDTA salt had a higher residual ratio of the compound in the solution and the decomposition of the compound was remarkably suppressed compared to the control 2 not containing the EDTA salt. Is shown.
[0036]
3. Stability test 3
The decomposition inhibitory effect of this compound by the combined use of two kinds of antioxidants was investigated. A solution containing no antioxidant was used as control 3, and the residual ratio of the present compound in a solution containing two kinds of antioxidants, EDTA salt and dibutylhydroxytoluene, as the antioxidant (formulation 4) was compared. In addition, 0.05% of polysorbate 80 was blended in each formulation as a solubilizing agent for this compound, and in order to evaluate only the decomposability of this compound, a glass container (this is the adsorptivity of this compound) Was used). Furthermore, in order to accelerate the decomposition of the present compound, the storage temperature was set to 60 ° C. % In the table represents mass%.
[0037]
[Table 5]
[0038]
Test method: The solution of each formulation was filled in a glass container and stored at 60 ° C. for 2 weeks, and then the residual ratio of the compound in the solution was measured by HPLC.
[0039]
Results and discussion: Table 6 shows the results measured by the HPLC method.
[0040]
[Table 6]
[0041]
Table 6 shows that the prescription 4 containing EDTA salt and dibutylhydroxytoluene as an antioxidant has a higher residual ratio of the compound in the solution than the control 3 containing no antioxidant. It is shown that the decomposition of was significantly suppressed.
[0042]
4). Stability test 4
The anti-adsorption effect and the decomposition inhibition effect of this compound on a resin container by blending a nonionic surfactant and an antioxidant were investigated. The residual rate of this compound in ophthalmic solution (formulation 5) in which polysorbate 80 was blended as a nonionic surfactant and EDTA salt was blended as an antioxidant was examined. In addition,% in a table | surface represents the mass%.
[0043]
[Table 7]
[0044]
Test method: The ophthalmic solution of formulation 5 was filled in a polypropylene container and stored at 40 ° C. for 6 months, and then the residual ratio of the present compound in the ophthalmic solution was measured by HPLC method.
[0045]
Results and discussion: Table 8 shows the results measured by the HPLC method.
[0046]
[Table 8]
[0047]
Table 8 shows that even when the ophthalmic solution of prescription 5 was stored in a polypropylene container for a long period of time, the residual rate of the present compound was high, and the decrease in the content of the present compound in the ophthalmic solution was significantly prevented. Is shown.
[0048]
5). In order to prepare a drug which is hardly soluble in the solubility test water in the form of eye drops, a device for dissolving the drug is required. The nonionic surfactant has a function as a solubilizing agent, and the following solubility test was conducted in order to determine the necessary amount.
[0049]
Test method: The compound (amount exceeding solubility) and polysorbate 80 are added to 10 ml of water, stirred at 5 ° C., room temperature and 40 ° C. for 24 hours, and then centrifuged at 20000 rpm, and the concentration of the compound contained in the supernatant is determined. Measured by HPLC method.
[0050]
Results and Discussion: The results measured by the HPLC method are shown in FIG. In addition,% in a figure represents the mass%.
[0051]
This result shows that the solubility of the present compound is improved according to the amount of polysorbate 80 added. However, considering the storage conditions and fluctuations in the concentration of the present compound, the polysorbate 80 ( It shows that the addition amount of (nonionic surfactant) is preferably 5 times or more the concentration of the present compound. In addition, this compound has a property in which water solubility increases at a lower temperature than at a higher temperature.
[0052]
【The invention's effect】
The effect of the present invention is that by adding a nonionic surfactant such as polysorbate 80 or polyoxyethylene hydrogenated castor oil 60 to the ophthalmic solution, the solubility of the present prostaglandin derivative in water is improved, and the resin Remarkably suppresses the adsorptivity to containers made and effectively suppresses the decomposition of this prostaglandin derivative in ophthalmic solution by blending with antioxidants such as disodium ethylenediaminetetraacetate and dibutylhydroxytoluene These experimental results show that the decrease in the content of the present prostaglandin derivative in the ophthalmic solution was remarkably prevented.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a graph showing the effect of polysorbate 80 concentration on the solubility of this compound.
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