JP3863831B2 - 冷媒組成物およびこの冷媒組成物を用いた冷凍回路 - Google Patents

冷媒組成物およびこの冷媒組成物を用いた冷凍回路 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非共沸混合冷媒を用いる超低温冷凍装置に好適であり、且つ、オゾン層を破壊する危険性がない冷媒組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、非共沸混合冷媒を用いる冷凍装置は、より沸点の高い冷媒の蒸発と最終段の蒸発器からの低温帰還冷媒によって、より沸点の低い冷媒を順次凝縮して行くことにより、最終段において最も沸点の低い冷媒を蒸発させて超低温を得ている。
【0003】
この様な冷凍装置および冷媒組成物の一例を本件発明者は、特公平6−55944号公報にて提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この冷媒は、HCFCを用いているので、地球のオゾン層を破壊する恐れがある。
【0005】
このため、オゾン層を破壊する危険性が無く、且つ、従来からの冷凍回路を変更すること無くその性能を維持できる代替可能な冷媒組成物の開発が要望されている。
【0006】
そこで、本出願人は、特願2001−526882号で、R600(n−ブタン:H3CH2CH2CH3)と、R125(CHF2CF3)と、R23(トリフルオロメタン:CHF3)と、R14(テトラフルオロメタン:CF4)とから成る冷媒組成物を提案したが、この冷媒組成物は、可燃性のあるR600を使用しているので、漏れた際に燃える恐れがあり、なるべく可燃性のものは使用したくない。
【0007】
本発明は、漏れた際に燃えにくく、且つ、オゾン層をを破壊する危険性が無い冷媒組成物及びこの冷媒組成物を用いた冷凍回路を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の冷媒組成物は、R245fa(CF3CH2CHF2)と、R125(CHF2CF3)と、R23(トリフルオロメタン:CHF3)と、R14(テトラフルオロメタン:CF4)とから成るものである。
【0009】
また、本発明の冷媒組成物は、R245fa(CF3CH2CHF2)と、R125(CHF2CF3)と、R508A(R23/R116:39/61)またはR508B(R23/R116:46/54)と、R14(テトラフルオロメタン:CF4)とから成るものである。
【0010】
また、本発明の冷媒組成物は、前記R245fa(CF3CH2CHF2)が17.4〜50質量%、前記R125が12〜25質量%、前記R508A(R23/R116:39/61)または前記R508Bが13.2〜36.4質量%、前記R14が13.2〜36.4質量%の割合で混合させたものである。
【0011】
更に、本願発明の冷媒組成物は、更にn−ペンタンを0.1〜12質量%加えたものである。
【0012】
また、本発明は、凝縮器、蒸発器及び圧縮機と、多段に設けた熱交換器及び気液分離器により実質的に構成される1元超低温システムである冷凍回路において、上述のいずれかに記載の非共沸混合冷媒組成物を用いたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1を参照しつつ、本発明の第1実施形態を説明する。
【0014】
図1は不燃性のR245fa、R125、R508A及びR14から成る非共沸混合冷媒を用いた冷媒回路を示している。
【0015】
圧縮機(1)の吐出側配管(2)は、凝縮器(3)を通過し、フレームパイプ(20)を通り圧縮機(1)のオイルクーラー(4)に接続される。
【0016】
オイルクーラー(4)を出た配管は、再び凝縮器(3)を通過して第1の気液分離器(5)に接続されている。
【0017】
この第1の気液分離器(5)から出た液相配管(6)は、第1のキャピラリチューブ(7)に接続される。
【0018】
この第1のキャピラリチューブ(7)は、第1の中間熱交換器(8)に接続される。
【0019】
第1の気液分離器(5)から出た気相配管(9)は、第1の中間熱交換器(8)中を通過して第2の気液分離器(10)に接続されている。
【0020】
第2の気液分離器(10)から出た液相配管(11)は、第2のキャピラリチューブ(12)に接続され、第2のキャピラリチューブ(12)は第2の中間熱交換器(13)に接続される。
【0021】
第2の気液分離器(10)から出た気相配管(14)は、第2の中間熱交換器(13)及び第3の中間熱交換器(15)中を順次通過して第3のキャピラリチューブ(16)に接続される。
【0022】
第3のキャピラリチューブ(16)は、蒸発器(17)に接続される。
【0023】
蒸発器(17)から出た配管(18)は、第3の中間熱交換器(15)に接続され、第3の中間熱交換器は第2の中間熱交換器(13)に接続されると共に、第2の中間熱交換器(13)は第1の中間熱交換器(8)に順次接続され、第1の中間熱交換器(8)は圧縮機(1)の吸込側配管(19)に接続される。
【0024】
この冷媒回路内には、R245fa、R125、R508A及びR14から成る非共沸混合冷媒が充填される。尚、508Aの代わりに508Bを用いても良いと考えられる。
【0025】
各冷媒の沸点は大気圧において、R245faが14.9℃、R125が−48.57℃、R508Aが−85.7℃、R14が−127.85℃である。
【0026】
また、実施例で使用する各冷媒の組成は、図2に示すように、n−ペンタンを添加していない状態での割合で、R245faが37.4質量%、R125が21.6質量%、R508Aが19.8質量%、R14が21.2質量%とした。そして、更にn−ペンタン5.8質量%を添加して、使用する冷媒組成物とした。
【0027】
次に動作を説明する。
【0028】
圧縮機(1)から吐出された高温高圧のガス状混合冷媒は、凝縮器(3)に流入して放熱し、オリルクーラー(4)で圧縮機(1)の潤滑オイルを冷却して、再び凝縮器(3)で放熱し、その内のR245fa及びR125の大部分は液化して第1の気液分離器(5)に入る。
【0029】
そこで液状のR245faとR125は液相配管(6)へ、また、未だ気体のR125の残りとR508A及びR14は気相配管(9)へと分離される。
【0030】
液相配管(6)に流入したR245faとR125は第1のキャピラリチューブ(7)にて減圧されて第1の中間熱交換器(8)に流入し、そこで蒸発する。
【0031】
第1の中間熱交換器(8)には、蒸発器(17)からの帰還冷媒が流入しているので、その温度は−5.7℃程になっている。
【0032】
一方、気相配管(9)に流入したR125、R508A及びR14の中のR125及びR508Aの一部分は第2の中間熱交換器(8)内を通過する過程で、そこで蒸発するR245faとR125及び蒸発器(17)からの帰還冷媒により冷却されて凝縮液化して第2の気液分離器(10)に入る。
【0033】
そこで液状のR125とR508Aは液相配管(11)へ、また、未だ気体のR508Aの残りとR14は気相配管(14)へと分離される。
【0034】
液相配管(11)に流入したR125とR508Aは第2のキャピラリチューブ(12)にて減圧されて第2の中間熱交換器(13)に流入し、そこで蒸発する。第2の中間熱交換器(13)には蒸発器(17)からの帰還冷媒が流入しているので、その温度は−34.4℃程になっている。
【0035】
他方、気相配管(14)に流入したR508A及びR14Rの中のR508Aは第2の中間熱交換器(13)内を通過する過程で、そこで蒸発するR125とR508A及び蒸発器(17)からの帰還冷媒により冷却されて凝縮液化し、次に第3の中間熱交換器(15)を通過する。
【0036】
ここで、第3の中間熱交換器(15)は、蒸発器(17)を出てすぐの冷媒が流入しており、温度は−55.2℃程になっている。
【0037】
従って、気相配管(14)を流れるR14もここで凝縮し、これら液化したR508A及びR14は第3のキャピラリチューブ(16)で減圧されて蒸発器(17)に流入し、そこで蒸発して周囲を冷却する。
【0038】
この時蒸発器(17)の温度は平均で−92.7℃程の超低温になった。この蒸発器(17)を例えば冷凍庫の庫内の冷却に用いることにより庫内を−91.5℃程に冷却できた。
【0039】
蒸発器(17)を出た冷媒は、各中間熱交換器(15),(13),(8)に次々に流入してそこで蒸発する冷媒を合流して吸込配管(19)より圧縮機(1)に帰還する。
【0040】
冷媒回路中を循環する圧縮機(1)のオイルは、R245faに溶け込んだ状態で圧縮機(1)に戻される。
【0041】
又、R245faは、圧縮機(1)の吐出温度を下げる役割も果たしている。
【0042】
この冷凍回路の性能を図2に示す。
【0043】
これら各冷媒の組成は、実施例に限られるものではない。即ち、使用割合は、実験によりR245faが17.4〜50質量%、R125が12〜25質量%、R508AまたはR508Bが13.2〜36.4質量%、R14が13.2〜36.4質量%の範囲内で混合することにより(図3参照)蒸発器(17)において−90℃以下の超低温が得られることが確かめられた。
【0044】
更に、この冷媒において、0.1〜12質量%のn−ペンタンを添加することにより、一層オイル戻りが良くなることも確認された。
【0045】
尚、上記混合冷媒において、R508AからR116を取り除いたR23(トリフルオロメタン、CHF3、沸点−82.1℃)を使用しても同様の超低温は得られる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、冷媒がオゾン層を破壊する危険性はなく、しかも、冷媒組成物が漏れた際にも不燃性のため、燃焼の危険を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための冷媒回路の図である。
【図2】この実施態様の性能を説明するための図である。
【図3】この冷媒組成物の使用割合を説明するための図である。
【符号の説明】
1 圧縮機
5 第1の気液分離器
10 第2の気液分離器
7 第1のキャピラリチューブ
12 第2のキャピラリチューブ
16 第3のキャピラリチューブ
8 第1の中間熱交換器
13 第2の中間熱交換器
15 第3の中間熱交換器
17 蒸発器

Claims (5)

  1. R245fa(CF3CH2CHF2)と、R125(CHF2CF3)と、R23(トリフルオロメタン:CHF3)と、R14(テトラフルオロメタン:CF4)とから成る冷媒組成物。
  2. R245fa(CF3CH2CHF2)と、R125(CHF2CF3)と、R508A(R23/R116:39/61)またはR508B(R23/R116:46/54)と、R14(テトラフルオロメタン:CF4)とから成る冷媒組成物。
  3. 前記R245faが17.4〜50質量%、前記R125が12〜25質量%、前記R508Aまたは前記R508Bが13.2〜36.4質量%、前記R14が13.2〜36.4質量%であることを特徴とする請求項2の冷媒組成物。
  4. 更にn−ペンタンを0.1〜12質量%加えたことを特徴とする請求項1乃至3に記載の冷媒組成物。
  5. 凝縮器、蒸発器及び圧縮機と、多段に設けた熱交換器及び気液分離器により構成される1元超低温システムである冷凍回路において、前記請求項1〜4のいずれかに記載の非共沸混合冷媒組成物を用いたことを特徴とする冷凍回路。
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