JP3790521B2 - 簡易養生朝顔 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工事現場の仮囲いや仮設足場に取付けられる簡易養生朝顔に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
簡易養生朝顔は、仮設足場の外側に設置される仮囲いの布パイプを利用して取付けられたり、枠組足場等の建枠からも簡単に取付けることができ、鉄骨建方や足場解体や溶接作業等における小物類の落下防止に用いられている。
【0003】
従来の簡易養生朝顔は、図8に示すように、本体金具50と、本体アーム51と、つなぎ材52と、筋違53から構成されている。本体金具50から垂設した垂直材54が枠組足場の建地Tや仮囲いの布パイプに添って取付けられ、フックボルト55やクランプで固定される。本体アーム51は角パイプからなり、その基端部が本体金具50にピンを介して固定され、作業完了後には上方に立てて格納し、再度作業するときは突出状態にセットすることができる。つなぎ材52や筋違53の端部は、本体アーム51の両端部のグラビティロック56に取付けられ、この上に養生シート(図示省略)が張られる。建地の一定のスパンや規格通りのスパンが取れない場合には、つなぎ材52に伸縮手摺棒が用いられる。
【0004】
また、本発明に関連する先行技術文献としては、特許文献1がある。この特許文献1の発明は、簡易養生朝顔ではなく、枠組足場に設けられる比較的頑丈な養生朝顔であり、上弦材と下弦材と縦材からなる横向き台形枠のブラケットと、隣り合うブラケットの先端部間に水平材を掛け渡して平面的な枠を構成し、枠組足場の建地に対して上弦材の基端部をクランプで固定し、下弦材の基端部をコ字形金物で固定している。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−207952号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
仮設足場の建地のスパンには、メーターサイズで1800,1500,1200,900,600(単位mm)があり、さらにインチサイズ系統、メーターサイズ系統、建設会社固有の系統によってスパンが数10mm異なっており、従来の伸縮手摺棒によるつなぎ材52では、長さ調整が面倒であるなどの問題があった。また、筋違53も各スパンの各系統ごとに多数用意しておかなければならない問題があった。
【0007】
また、本体金具50から垂直材54が垂設されているため、嵩張ると共に、建地への取付けが面倒であるなどの問題があった。さらに、コーナー部では、1本の建地に2本のアームを直角に配設する必要があるが、垂直材54の付いた本体金具50を1本の建地に取付けることはできず、コーナー部の処理に問題が生じていた。
【0008】
本発明は、前述のような問題点を解消すべくなされたもので、その目的は、比較的簡単な構成の長さ調整可能なつなぎ材と少ない種類の筋違で種々のスパンにおける各系統のスパンに容易に対応することができ、さらに本体金具を仮設足場や仮囲いの建地に簡単な取付部材で容易に固定することができると共に、コーナー部の処理も簡単に行うことのできる簡易養生朝顔を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、仮囲いや仮設足場の建地に取付けられる本体金具と、この本体金具に基端部が取付けられる本体アームと、隣り合う本体アームの基端部同士及び先端部同士をそれぞれ連結するつなぎ材と、隣り合う本体アーム間に配設される筋違を備えた簡易養生朝顔において、つなぎ材が、第一つなぎ材と第二つなぎ材を長さ調整可能に組み合わせて構成され、つなぎ材及び筋違の端部を本体アームに着脱自在に取付ける取付ピン(グラビティロックなど)が本体アームの基端部と先端部にそれぞれ複数個配設されていることを特徴とする簡易養生朝顔である。
【0010】
本発明の請求項2は、請求項1に記載の簡易養生朝顔において、建地に固定されるクランプが本体金具に設けられていることを特徴とする簡易養生朝顔である。本体金具は、例えば、鉛直に配置された取付板の表面(反建地側)に左右一対の側板を溶接等で固定して構成され、左右一対の側板間に本体アームの基端部を挿入して固定ピンで固定されており、前記取付板の裏面(建地側)にクランプを上下一対で配設し、取付板にボルト・ナット等で固定する。このクランプには、2種類の建地の径に使用できる兼用クランプを用いるのが好ましい。
【0011】
本発明の請求項3は、請求項1または2に記載の簡易養生朝顔において、本体アームが円形鋼管からなることを特徴とする簡易養生朝顔である。本体アームには、従来、角パイプが使用されてきたが、丸パイプを用いることで、後述するように本体アームにクランブが使用できるようにする。
【0012】
本発明の請求項4は、請求項1、2または3に記載の簡易養生朝顔において、第一つなぎ材に対して長さの異なる第二つなぎ材が着脱自在に接続され、かつ、第一つなぎ材と第二つなぎ材の接続端部が長穴とボルトにより位置調整可能に固定されていることを特徴とする簡易養生朝顔である。例えば、第一つなぎ材を共通の外管とし、第二つなぎ材を種々の長さの内管とし、第一つなぎ材の基端部に第二つなぎ材の先端部を挿入して、長さを変えることにより、建地の種々のスパンに対応できるようにし、さらに長穴とボルトにより固定して、長さを微調整することにより、インチサイズ系統、メーターサイズ系統、建設会社固有の系統に対応できるようにする。
【0013】
以上のような構成において、第一つなぎ材に適宜選択した第二つなぎ材を接続することにより、建地の種々のスパンに容易に対応することができる。さらに、長穴とボルトにより長さを微調整して固定することにより、インチサイズ系統、メーターサイズ系統、建設会社固有の系統に容易に対応することができる。また、アーム軸方向に一対のつなぎ材の本体アームへの取付けも、複数個の取付ピンを適宜選択することにより、インチサイズ系統、メーターサイズ系統、建設会社固有の系統に容易に対応することができる。さらに、筋違の本体アームへの取付けも、複数個の取付ピンを適宜選択することにより、インチサイズ系統、メーターサイズ系統、建設会社固有の系統に容易に対応することができる。以上により、比較的簡単な構成の長さ調整可能なつなぎ材と少ない種類の筋違で種々のスパンにおける各系統のスパンに容易に対応することができる。
【0014】
また、本体金具に従来の垂直材に代えてクランプを設けることにより、本体金具部分を簡単でコンパクトな構成とすることができると共に、仮設足場や仮囲いの建地に容易に固定することができる。また、コーナー部では、1本の建地に2本の本体アームを直角に配設する必要があるが、クランプを用いることにより1つのクランプに2つの本体金具を直角配置でき、1本の建地に2本の本体アームを直角に配設することができる。
【0015】
さらに、コーナー部において建地が隣接して設置される部分では、一方の建地に取付けた本体アームに、他方の建地に取付けていない本体アームを固定しなければならないが、本体アームに円形鋼管を使用することにより、両者をクランプで容易に固定することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施の形態に基づいて説明する。図1は本発明の簡易養生朝顔の一例を示す側面図と平面図である。図2は図1の本体アームを示す平面図と側面図と端面図である。図3、図4は図1のつなぎ材を示す平面図と分解側面図である。
【0017】
図1の実施形態において、本発明の簡易養生朝顔は、主として、仮囲いや仮設足場の建地Tに取付けられる本体金具1と、この本体金具1に基端部が取付けられる本体アーム2と、隣り合う本体アーム2、2の基端部同士及び先端部同士をそれぞれ連結するつなぎ材3と、隣り合う本体アーム2、2間に配設される筋違4から構成されている。
【0018】
つなぎ材3は、後述するように第一つなぎ材3aと第二つなぎ材3bを長さ調整可能に組み合わせて構成される。つなぎ材3及び筋違4の端部を本体アーム2に着脱自在に取付ける取付ピン、即ち先端部側面に係止爪を出没自在に設けたグラビティロック5が本体アーム2の基端部と先端部にそれぞれ複数個(図示例では2個)配設され、この複数個のグラビティロック5を適宜選択してつなぎ材3及び筋違4が取付けられる。本体金具1は上下一対のクランプ6、6により建地Tに固定される。
【0019】
図2に示すように、本体アーム2は円形鋼管であり、先端部の上部にグラビティロック5a、5bが間隔a1 をおいて突設され、基端部の上部にグラビティロック5c、5dが間隔a2 をおいて突設されている。本体アーム2の先端面には塞ぎ板10が設けられ、中間部には養生シートを留めるための留めリング11が間隔をおいて複数設けられている。本体アーム2の基端部には本体金具1に取付けるための取付穴12、12が設けられている。
【0020】
図3、図4に示すように、つなぎ材3は円形鋼管から構成され、第一つなぎ材3aが外管、第二つなぎ材3bが内管であり、第一つなぎ材3aの基端部に第二つなぎ材3bの先端部を挿入することで一体的なつなぎ材3とすることができる。第一つなぎ材3aには長さの同じ共通のものを使用し、第二つなぎ材3bに長さの異なるものを使用することにより、建地の種々のスパンSに対応させることができる。なお、これに限らず、第一つなぎ材3aと第二つなぎ材3bに長さの異なるものを使用して組み合わせてもよい。
【0021】
さらに、第二つなぎ材3bの先端部(接合部)に軸方向に長い長穴20を形成し、第一つなぎ材3aの基端部(接合部)に形成したボルト穴21と前記長穴20にボルト22を挿入して固定する。長穴20の長さ分だけ伸縮自在に接続して長さαの微調整ができ、前記各スパンSにおいて、インチサイズ系統、メーターサイズ系統、建設会社固有の系統によって数10mm異なるスパン(S−α)に対応することができる。
【0022】
第一つなぎ材3aの先端部と第二つなぎ材3bの先端部は、偏平に加工されて取付板部23が形成されており、この取付板部23にグラビティロック5が挿入される取付穴24が形成されている。なお、第一つなぎ材3aと第二つなぎ材3bには養生シートの留めリング25が設けられている。
【0023】
図3、図4の図示例は、スパンSがメーターサイズで2000,1800,1500,1200,900,600 (単位mm)の6種類の場合である。なお、図4(c) の場合は、一体型のつなぎ材3としている。
【0024】
図5は、建地のスパンSの例を横方向に連続して例示し(実際にこのように配置されるのではない)、さらにインチサイズ系統、メーターサイズ系統、ある建設会社固有の系統を示したものである。図3、図4のつなぎ材3を使用することにより、スパンS2 〜S6 (1800〜600)に対応することができると共に、αの伸縮微調整によりインチサイズ系統、メーターサイズ系統、ある建設会社固有の系統に対応することができる。
【0025】
さらに、図5において、つなぎ材3を取付けるグラビティロック5を適宜選択することにより、インチサイズ系統、メーターサイズ系統、ある建設会社固有の系統で異なる一対のつなぎ材3、3の間隔Lに対応することができる。
【0026】
また、筋違4も、グラビティロック5を適宜選択することにより、インチサイズ系統、メーターサイズ系統、ある建設会社固有の系統で同じ長さの筋違4を使用することが可能となる。スパンS2 では、同じ長さの筋違4を使用することができる。スパンS3 以下では、インチサイズ系統とある建設会社固有の系統で同じ長さの筋違4を使用することができ、メーターサイズ系統では、異なる筋違4’を使用しなければならないが、用意する筋違いの種類を少なくすることができる。
【0027】
図6は、本体金具1の一例を示したものであり、取付板30と、左右一対の側板31、31と、補強板32から構成されている。取付板30にクランプ6がボルト・ナット33により固定される。このクランプ6は、いわゆる兼用クランプであり、2種類の径の建地に固定することができる。側板31には、本体アーム2の取付穴12、12に対応した固定穴34が形成されており、これら取付穴12と固定穴34に固定ピン35を挿入することにより、本体アーム2を本体金具1に固定することができる。なお、下側の固定穴34は、上の一つの固定穴34を中心とする円弧上に複数個(図示例では3個)配設されており、本体アーム2を前方に傾斜して突出する設置状態や建地側に立てて格納する格納状態等とすることができる。
【0028】
固定ピン35は、図6(d) 、(e) に示すように、L字状のピンであり、先端に離脱防止用の係止爪36が設けられている。この係止爪36は、取付穴12と固定穴34に挿入すると、自動的に落下して固定ピン35の離脱を防止するものであり、2つのピン37、38により固定ピン35に固定され、ピン38の挿入穴を大きくすることによりピン37を中心として所定角度だけ回転し、係止爪36の先端部分が出没できるようにされている。なお、この固定ピン35はワイヤ39を介して側板31に取付けられている。
【0029】
図7は、仮設足場のコーナー部における簡易養生朝顔の平面配置を示したものであり、角部の建地T1 には、直交する2本の本体アーム2のクランプ6を同一高さ位置に取付けることができない。そこで、図7(b) に示すように、クランプ6の基体6aの直交する2面にL形鋼(アングル材)からなる取付板30を取付け、このL形鋼30の二辺にそれぞれ一対の側板31、31を取付けて2つの本体金具1,1を設ければ、図7(a) に示すように、角部の建地T1 に、直交する2本の本体アーム2、2を配置することができる。
【0030】
また、コーナー部において直交する2つの仮設足場の接続部分では、隣接する建地T2 、T3 にそれぞれにクランプ6を配置することができないため、一方の建地T2 にクランプ6を固定し、このクランプ6の本体アーム2とクランプの無い支持されていない本体アーム2’とを固定する必要があるが、本体アームを円形鋼管とすることにより、本体アーム2と本体アーム2’とをダブルクランプで接続することが可能となる。
【0031】
【発明の効果】
本発明は、以上のような構成からなるので、次のような効果が得られる。
【0032】
(1) つなぎ材を、第一つなぎ材と第二つなぎ材を長さ調整可能に組み合わせて構成し、つなぎ材及び筋違の端部を本体アームに着脱自在に取付ける取付ピンを本体アームの基端部と先端部にそれぞれ複数個配設しているため、第一つなぎ材に適宜選択した第二つなぎ材を接続することにより、建地の種々のスパンに容易に対応することができる。さらに、長穴とボルトにより長さを微調整して固定することにより、インチサイズ系統、メーターサイズ系統、建設会社固有の系統に容易に対応することができる。また、アーム軸方向に一対のつなぎ材の本体アームへの取付けも、複数個の取付ピンを適宜選択することにより、インチサイズ系統、メーターサイズ系統、建設会社固有の系統に容易に対応することができる。さらに、筋違の本体アームへの取付けも、複数個の取付ピンを適宜選択することにより、インチサイズ系統、メーターサイズ系統、建設会社固有の系統に容易に対応することができる。以上により、比較的簡単な構成の長さ調整可能なつなぎ材と少ない種類の筋違で種々のスパンにおける各系統のスパンに容易に対応することができる。
【0033】
(2) 本体金具に従来の垂直材に代えてクランプを設けることにより、本体金具部分を簡単でコンパクトな構成とすることができると共に、仮設足場や仮囲いの建地に容易に固定することができる。
【0034】
(3) コーナー部では、1本の建地に2本の本体アームを直角に配設する必要があるが、クランプを用いることにより1つのクランプに2つの本体金具を直角配置でき、1本の建地に2本の本体アームを直角に配設することができる。
【0035】
(4) コーナー部において建地が隣接して設置される部分では、一方の建地に取付けた本体アームに、他方の建地に取付けていない本体アームを固定しなければならないが、本体アームに円形鋼管を使用することにより、両者をクランプで容易に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の簡易養生朝顔の一例であり、(a) は側面図、(b) は平面図である。
【図2】図1の本体アームであり、(a) は平面図、(b) は側面図、(c) は端面図である。
【図3】図1のつなぎ材の種々の長さのもの(その1)を示す平面図と分解側面図である。
【図4】図1のつなぎ材の種々の長さのもの(その2)を示す平面図と分解側面図である。
【図5】建地のスパンの例を横方向に連続して例示し、インチサイズ系統、メーターサイズ系統、ある建設会社固有の系統別に示した簡易養生朝顔の平面図である。
【図6】図1の本体金具の一例を示したものであり、(a) は平面図、(b) は側面図、(c) は背面図、(d) は固定ピンの側面図、(e) は固定ピンの下面図である。
【図7】仮設足場のコーナー部における簡易養生朝顔の平面配置を示したものであり、(a) は平面図、(b) はクランプの平面図である。
【図8】従来の簡易養生朝顔を示す斜視図である。
【符号の説明】
T……建地
1……本体金具
2……本体アーム
3……つなぎ材
3a…第一つなぎ材(外管)
3b…第二つなぎ材(内管)
4……筋違
5……グラビティロック
6……クランプ
6a…基体
6b…抱持体
10……塞ぎ板
11……留めリング
12……取付穴
20……長穴
21……ボルト穴
22……ボルト
23……取付板部
24……取付穴
25……留めリング
30……取付板
31……側板
32……補強板
33……ボルト・ナット
34……固定穴
35……固定ピン
36……係止爪
37……ピン
38……ピン
39……ワイヤ
Claims (4)
- 仮囲いや仮設足場の建地に取付けられる本体金具と、この本体金具に基端部が取付けられる本体アームと、隣り合う本体アームの基端部同士及び先端部同士をそれぞれ連結するつなぎ材と、隣り合う本体アーム間に配設される筋違を備えた簡易養生朝顔において、
つなぎ材が、第一つなぎ材と第二つなぎ材を長さ調整可能に組み合わせて構成され、つなぎ材及び筋違の端部を本体アームに着脱自在に取付ける取付ピンが本体アームの基端部と先端部にそれぞれ複数個配設されていることを特徴とする簡易養生朝顔。 - 請求項1に記載の簡易養生朝顔において、建地に固定されるクランプが本体金具に設けられていることを特徴とする簡易養生朝顔。
- 請求項1または2に記載の簡易養生朝顔において、本体アームが円形鋼管からなることを特徴とする簡易養生朝顔。
- 請求項1、2または3に記載の簡易養生朝顔において、第一つなぎ材に対して長さの異なる第二つなぎ材が着脱自在に接続され、かつ、第一つなぎ材と第二つなぎ材の接続端部が長穴とボルトにより位置調整可能に固定されていることを特徴とする簡易養生朝顔。
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