JP3753082B2 - はかり - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は過負荷防止機構を備えたはかりに関し、更に詳しくは、固定部に可撓部を介して変位部が一体に形成されてなるセンサ機構体を備えたはかりに関する。なお、本発明は、被測定荷重によるセンサ機構体の変位部の変位もしくは変形を電気的に検出するいわゆる電子はかりのほか、被測定荷重による変位部の変位に抗して電磁力を発生して、その発生電磁力から被測定荷重を検出するいわゆる電子天びんにも適用し得るものである。
【0002】
【従来の技術】
電子はかりにおいては、一般に、被測定荷重によるセンサ機構体の変位量ないしは変形量を電気的に検出し、その検出結果を用いて被測定荷重の大きさを演算する。センサ機構体としては、固定部に対して可撓部を介して変位部が一体に形成され、その変位部の変位量ないしは変形量を検出するための歪みゲージが装着されてなるロードセルが多用され、このロードセルの変位部に荷重受け部を係合した構成が採用されている。このような電子はかりのセンサ機構体に用いられるロードセルとしては、固定部と変位部とを、両端部に可撓部を有してなる互いに平行な2本の梁で連結した、いわゆるロバーバル機構(パラレルガイドとも称される)に準じた構造のもの一般的に用いられており、このような構造のロードセルを用いることによって四隅誤差の解消に有利となる。
【0003】
また、電磁力平衡型の電子天びんにおいても、固定部(固定柱)と変位部(可動柱)を、両端部に可撓部を有する互いに平行な2本の梁を介して相互に連結してなるロバーバル機構に基づくセンサ機構体を設け、その変位部の変位を検出して、その変位検出結果が常にゼロになるような電磁力を発生し、その発生した電磁力の大きさから被測定荷重を検出する。このような電子天びんに用いられるロバーバル機構においても、固定部と可撓部および変位部を、天びんレバーとともに一つの母材から一体にくり抜いたものが知られている。
【0004】
以上のような電子はかりや電子天びんにおいては、センサ機構体の可撓部などに過負荷が作用すると損傷する恐れがあるため、通常は過負荷防止機構が設けられる。
【0005】
従来の過負荷防止機構を備えた電子はかりの構成例を図7に例示する。
この例では、固定部811に可撓部812を介して一体に形成された変位部813を備えるとともに、各可撓部812に歪みゲージ814をそれぞれ貼着してなるセンサ機構体81を、その固定部811においてはかりベース82に固定するとともに、変位部813に荷重受け部83を固定し、その荷重受け部83に測定皿84を搭載している。過負荷防止機構85は、変位部813の下方に所定の隙間Δを介してはかりベース82に固定されたストッパ851と、そのストッパ851の高さを調節するねじなどの調節機構852によって構成されている。
【0006】
以上の構成において、変位部813の変位はストッパ851との隙間Δに制限されることになり、この隙間Δを正しく調整しておくことによって、荷重受け部83に過剰な負荷が作用してもセンサ機構体81が損傷することを防止することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のような従来の過負荷防止機構によると、組立時にセンサ機構体81を取り付けた後、調節機構852によって隙間Δを調整する必要があるとともに、センサ機構体81を取り外して再度取り付ける場合にも同様の調整が必要であり、手間が掛かるばかりでなく、調整不良や調整ミスといった人為的なミスが生じる可能性があるとい問題があった。
【0008】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、組立時やセンサ機構体の取り外し〜再取り付け時等において過負荷防止機構の調整作業が不要であり、併せて、変位部のねじれをも規制することのできるはかりの提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のはかりは、固定部に対して可撓部を介して変位部が一体に形成されてなるセンサ機構体を備え、そのセンサ機構体の変位部に荷重受け部を係合させ、その変位部の変位量もしくは変位による変形量から荷重受け部に作用する荷重を検出するはかりにおいて、上記センサ機構体に、当該センサ機構体の変位部の変位を規制するためのストッパが一体に形成されているとともに、このセンサ機構体には、上記変位部のねじれを規制するためのねじれ止め部材が装着されていることによって特徴づけられる(請求項1)。
【0010】
ここで、本発明においては、上記ストッパを、被測定荷重による上記変位部の変位方向およびその反対側の双方に形成すること(請求項2)もできる。
【0011】
本発明は、センサ機構体と当該センサ機構体の変位部の変位量を規制するためのストッパとを一体に形成することで、センサ機構体そのものに過負荷から自らを保護する機能を持たせ、更にセンサ機構体にねじれ止め部材を装着することにより、過負荷による変位部のねじれをも規制しようとするものである。
【0012】
すなわち、従来の過負荷防止機構においてストッパと変位部との間の隙間の調整が必要な理由は、センサ機構体とストッパとが個別にはかりベース等に取り付けられているためである。本発明では、変位部が固定部に対して一体に形成されているセンサ機構体の特性を利用し、ストッパを固定部に対して一体に形成することにより、センサ機構体自体が変位部の固定部に対する変位量を制限する機能持つことになり、組立時やセンサ機構体の取り外し〜取り付け時において過負荷防止機構の調整が不要となり、センサ機構体にねじれ止め部材を装着することで、過負荷による変位部のねじれをも規制することが可能となる。
【0013】
また、請求項2に係る発明のように、センサ機構体に、変位部の上下両側にストッパを一体に形成することにより、被測定荷重による変位部の変位方向のみならず、その反対方向への変位を規制することが可能となる。
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明を電子はかりに適用した実施の形態の機構部分を示す要部構成図で、図2はその右側面図である。
【0015】
センサ機構体1は、固定部11に対して4箇所の可撓部12を介して変位部13を一体に形成したものであり、各可撓部12は、固定部11と変位部13との間に介在する互いに平行な上下2本の梁部14の両端部に形成され、その各可撓部12に歪みゲージ15が貼着されている。
【0016】
変位部13には持ち出し部13aを一体に形成して荷重受け部3を固着している。また、固定部11には、変位部13の持ち出し部13aの上下両側に伸びる2本の持ち出し部11a,11bを一体に形成し、そのうち、下側の持ち出し部11bを固定部材21を介してはかりベース2に固定している。そして、下側の持ち出し部11bの上面と変位部13の持ち出し部13aの下面との間に隙間Δを形成して、この下側の持ち出し部11bの上面を下側ストッパ5とする一方、上側の持ち出し部11aの下面と変位部13の持ち出し部13aの上面との間に隙間Δ′を形成して、この上側の持ち出し部11aの下面を上側ストッパ5′としている。
【0017】
また、固定部11の上下の持ち出し部11a,11bの両側面に、変位部13の持ち出し部13aの側面に対して僅かな隙間δを以て接近するねじれ防止部材6a,6bの両端が固定されている。
【0018】
以上の本発明の実施の形態におて、測定皿4上に被測定荷重を載せると、その荷重は荷重受け部3を介して変位部13に伝達され、この荷重により4箇所の可撓部12が撓み、変位部13がその荷重の大きさに応じた量だけ固定部11に対して下方に変位する。このときの可撓部12の撓みは、それぞれに貼着された歪みゲージを歪ませ、これによって測定皿4上の被測定荷重に応じた検出信号が得られる。その荷重検出信号は例えばデジタル化された後に演算部(図示せず)に取り込まれ、あらかじめ設定されている係数を乗じる等によって測定皿上の重量値に換算されたうえで表示器(図示せず)表示される。
【0019】
そして、測定皿4ないしは荷重受け3に大重量の物品などを載せることによって下向きの過負荷が作用したとき、変位部13の下向きへの変位が下側ストッパ5に規制され、変位部13の下向きへの変位量がΔに制限されるとともに、荷重受け3に上向きの大荷重が作用したときには、変位部13の上向きへの変位が上側ストッパ5′によって規制され、変位部13の上向きへの変位量がΔ′に制限される。更に、荷重受け部3にねじれる向きの荷重が作用したとき、変位部13のねじれ量はねじれ止め部材6との隙間δに制限される。従って、この実施の形態によると、センサ機構体1は上下の過負荷並びにねじれから保護されることになる。そして、各ストッパ5,5′はセンサ機構体1に一体に形成されているための隙間Δ,Δ′の組立時並びに再取り付け時における調整が不要であり、また、ねじれ止め部材6についてもセンサ機構体1に直接的に取り付けられているため、センサ機構体1の再取り付け時においてδの調整は不要である。
【0020】
ここで、以上の実施の形態においては、過負荷防止用の上下のストッパ5a,5bを設けて、変位部13の上下双方への変位を規制する例を示したが、本発明においては、変位部13の変位については、下方への変位のみ、つまり皿に対して下方に向けて作用する過負荷による変位のみを規制するように構成することもできる。図3はその例を示す要部構成図であり、図4はその右側面図である。なお、これらの図においては、図面の煩雑化を避ける目的で、ねじれ防止部材6a,6bについてはその図示を省略しているが、これらのねじれ防止部材6a,6bは先の例と同等の位置に装着されるものとする。
【0021】
この例におけるセンサ機構体1′は、固定部11に対して4箇所の可撓部12を介して変位部13を一体に形成したものであり、各可撓部12は、固定部11と変位部13との間に介在する互いに平行な上下2本の梁部14の両端部に形成され、その各可撓部12に歪みゲージ15が貼着されている点において先の例と同じである。
【0022】
固定部11には、変位部に向けて突出する1本の持ち出し部11aが形成されているとともに、変位部13にも、固定部11に向けて突出する1本の持ち出し部13aが形成されている。そして、固定部11の持ち出し部11aが、はかりベース2に対して固定部材21を介して固定され、変位部13の持ち出し部13aには荷重受け部3が固着され、この荷重受け部3上に測定皿4が載せられる。
【0023】
変位部13の持ち出し部13aに対する荷重受け部3の固着部位は、固定部11の持ち出し部11aに対する固定部材21の固着部位の鉛直上方に位置しており、変位部13の持ち出し部13aの下面と固定部11の持ち出し部11aの上面との間には所定の微小な隙間Δが設けられている。そして、この固定部11の持ち出し部11aの上面が、以下に示すように過負荷防止用ストッパ5を形成している。
【0024】
以上の構成において、測定皿4ないしは荷重受け部3に大きな荷重が作用すると、変位部13の変位量が大きくなり、その変位量が隙間Δ以上になれば、変位部13の持ち出し部13aの下面が固定部11の持ち出し部11aの上面である過負荷防止用ストッパ5に当接し、変位部13の変位量が隙間Δ以下に制限される。その結果、各可撓部12には、変位部13の変位量がΔとなる荷重よりも大きな荷重が作用することがない。
【0025】
そして、この例においても、先の例と同様に、変位部13の変位を規制するための過負荷防止用ストッパ5が、センサ機構体1に変位部13と一体に形成されている点であり、これにより、センサ機構体1の製造時に過負荷防止用ストッパ5と変位部13との間の隙間Δを正確に加工しておけば、はかりの組立時や、組立後にセンサ機構体1を取り外して再度取り付ける場合において、隙間Δの調整を全く行うことなく、常に一定以上の負荷からセンサ機構体1を保護することが可能となる。
【0026】
ここで、以上の各実施の形態においては、過負荷防止用ストッパ5ないしは5′を、センサ機構体1ないしは1′の内部に一体に形成した例を示したが、少なくとも変位部13の下向きへの変位を規制するためのストッパ5については、センサ機構体に対してその外側に一体に形成することも可能である。図5にその例を示す。また、以下の各例においても、ねじれ止め部材についてはその図示を省略する。
【0027】
この図5の例におけるセンサ機構体1″は、固定部11に対して互いに平行な2本の梁14の両端部に形成した合計4箇所の可撓部12を介して変位部13を一体に形成した構造を備え、各可撓部12にはそれぞれ歪みゲージ15を貼着するとともに、固定部11をはかりベース2に固定し、変位部13には荷重受け部3を固着して、その上に測定皿4が載せられる。そして、固定部12の下端部に過負荷防止用ストッパ5″を変位部13側に向けて一体に突出形成し、その先端部の上面と変位部13の下面との間に隙間Δを設けている。このような構成によっても、変位部13の下向きへの変位量はΔに制限され、また、センサ機構体1″の取り外し〜再取り付け時等において隙間Δの調整が不要である。
【0028】
更にまた、電磁力平衡型の電子天びんにおいても、上記と同様に過負荷防止用ストッパをセンサ機構体の外側に一体に形成した構成を採用することにより、容易に本発明を適用することができる。その例を図6に示す。
【0029】
この例におけるセンサ機構体10は、上記した各例と同様にロバーバル機構に基づく機構体であって、固定部11に対して互いに平行な上下2本の梁14の両端部に形成した合計4箇所の可撓部12を介して変位部13を一体に形成し、更には天びんレバー16とその支点16a、およびこの天びんレバー16と変位部13とを連結するための連結部17を一体に形成した構造を有している。固定部11は天びんベース2に固定され、変位部13には荷重受け部3が固着されて、その荷重受け部3に測定皿4が載せられる。
【0030】
センサ機構体10には電磁力発生装置7の磁気回路71が固定されており、この磁気回路71は、永久磁石71aを主体として、ポールピース71bとヨーク71cの間の筒状空間に静磁場を形成するものであって、その磁気回路71か作る静磁場中に、天びんレバー16に固定されたフォースコイル72が可動に配置されている。
【0031】
また、天びんレバー16の変位は変位センサ(図示せず)によって検出され、その検出出力は演算部(図示せず)に取り込まれ、その変位検出結果が常にゼロになるような電磁力を発生するように電磁力発生装置7のフォースコイル72に流れる電流がフィードバック制御され、そのフォースコイル72に流れる電流の大きさから測定皿4上の被測定荷重が検知される。
【0032】
そして、センサ機構体10には、固定部11の下端から変位部13の下端に向けて突出する過負荷防止用ストッパ50が一体に形成されており、その過負荷防止用ストッパ50の上面と変位部13の下面との間に所定の隙間Δが設けられている。
【0033】
以上の電磁力平衡型の電子天びんにおけるセンサ機構体10の変位部13の変位量は、荷重受け部3に作用する下向きの荷重が電磁力発生装置7による発生電磁力によって逐次相殺されるために小さなものとなる。しかしながら、衝撃的な荷重や、電磁力発生装置7が発生可能な電磁力を越える荷重が荷重受け部3に作用したときには、変位部13は大きく変位し、センサ機構体10が損傷する可能性がある。この実施の形態においては、変位部13の下方に隙間Δを開けて設けられた過負荷防止用ストッパ50の存在により、変位部13の変位量はΔに制限されるため、センサ機構体10の損傷を防止することができ、しかも過負荷防止用ストッパ50はセンサ機構体10と一体に形成されているため、先の各例と同様に、組立時やセンサ機構体10の取り外し〜再取り付け時において隙間Δの調整が不要である。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、固定部に対して可撓部を介して変位部が一体に形成されたセンサ機構体を備えた電子はかりや電子天びんにおいて、センサ機構体に変位部の変位を制限するストッパを一体に形成するとともに、センサ機構体にはねじれ防止部材を装着しているので、従来のようにセンサ機構体とストッパを個別にはかりベース等に取り付ける場合のように、組立時やセンサ機構体の取り外し〜再取り付け時にストッパと変位部との隙間を調整する必要がなくなり、部品点数並びに調整工数の削減によるコスト低減を達成できると同時に、調整不良や調整忘れといった人為的ミスを生じることをなくすることができる。また、簡単な構成のもとに過負荷による変位部のねじれをも併せて防止することができる。
【0035】
また、センサ機構体の形状を少し変更するだけで、請求項2に係る発明のように、変位部の変位量を上下両方にわたって制限することが可能となり、更には簡単な形状のねじれ止め部材の装着によってねじれに対してもセンサ機構体を保護することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の機構部分を示す要部構成図である。
【図2】 図1の右側面図である。
【図3】 本発明の他の実施の形態の機構部分を示す要部構成図である。
【図4】 図3の右側面図である。
【図5】 本発明の更に他の実施の形態の機構部分を示す要部構成図である。
【図6】 本発明を電磁力平衡型の電子天びんに適用した実施の形態の機構部分を示す要部構成図である。
【図7】 従来の過負荷防止機構を備えた電子はかりの要部構成図である。
【符号の説明】
1 センサ機構体
11 固定部
11a 持ち出し部
12 可撓部
13 変位部
13a 持ち出し部
14 梁部
15 歪みゲージ
2 はかりベース
3 荷重受け部
4 測定皿
5 過負荷防止用ストッパ
6a,6b ねじれ止め部材

Claims (2)

  1. 固定部に対して可撓部を介して変位部が一体に形成されてなるセンサ機構体を備え、そのセンサ機構体の変位部に荷重受け部を係合させ、その変位部の変位量もしくは変位による変形量から荷重受け部に作用する荷重を検出するはかりにおいて、
    上記センサ機構体に、当該センサ機構体の変位部の変位を規制するためのストッパが一体に形成されているとともに、このセンサ機構体には、上記変位部のねじれを規制するためのねじれ止め部材が装着されていることを特徴とするはかり。
  2. 上記ストッパが、被測定荷重による上記変位部の変位方向およびその反対側の双方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のはかり。
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