JP3750428B2 - 車両 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Auxiliary Drives, Propulsion Controls, And Safety Devices (AREA)
  • Arrangement Of Transmissions (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はエンジンの自動停止再始動を行う車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
走行中に信号待ちなどで一時的に車両が停止したようなときにエンジンを自動的に停止させ、かつ発進させるときなどには、再び自動的に始動し、これにより燃費などの改善を図るようにしたエンジン自動停止再始動機能を備える車両がある(特開平8−291725号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動変速機への作動油圧供給をエンジンにより駆動される機械式ポンプで行う場合、エンジン自動停止によりエンジン停止状態になると、自動変速機への油圧供給を行えなくなるので、機械式ポンプ以外にもバッテリにより駆動される電動ポンプを設け、エンジン停止状態でアクセルペダルが踏み込まれるなどの始動発進操作が行われたとき、この電動ポンプを働かせて油圧を立ち上げ、前進クラッチを発進用シフト状態にしてから、エンジンを自動的に再始動して発進させるようにしたものがある(特開平8−14076号公報参照)。
【0004】
しかしながら、電動ポンプを働かせてもすぐには油圧が立ち上がらないので、電動ポンプを働かせるタイミングが始動発進操作と同時であると、電動ポンプの油圧の立ち上がり遅れの影響を直接受ける。つまり、電動ポンプの油圧が立ち上がってからエンジンの始動、車両の発進を行わせるのでは、敏速に車両を発進させることができない。かといって、油圧の立ち上がりを待たずにエンジンの始動を行うと、前進クラッチの締結が不十分なためにエンジンが大きく吹き上がり、その後のクラッチ締結時にトルクショックが生じてしまう。
【0005】
そこで本発明は、エンジン自動停止の条件が成立してからエンジンを実際に停止させるまでのディレイ期間内に、電動ポンプの作動を開始して油圧の立ち上がった状態で保持しておくことにより、俊敏な車両の発進を可能とすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図10に示すように、エンジン41と、このエンジン41に同期して回転する電動機42と、エンジン41および電動機42の出力を駆動輪に伝達する自動変速機43と、所定の運転条件が成立したとき所定のディレイ期間DLY後にエンジン41を自動停止し、別の所定の運転条件が成立したときエンジン41を再始動させる機能45を有するコントローラ44とを備えた車両において(なお、同図はエンジン、電動機、変速機の連結状態を示すものでない)、エンジン41により駆動される機械式ポンプ46と、バッテリからの電力で駆動される電動ポンプ47と、これらポンプ46、47の発生する油圧を前記自動変速機43に供給する手段48とを備え、前記コントローラ44が、前記ディレイ時間DLY内に前記電動ポンプ47の作動を開始させる機能49を備える。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において前記電動ポンプの発生する油圧を検出する手段を備え、前記ディレイ期間の終了時にこの検出油圧が所定値Pt0以上になっていない場合にエンジンの停止を禁止する。
【0008】
第3の発明は、第1の発明において前記ディレイ期間中とその後のエンジン停止中とで個別に前記電動ポンプの油圧目標値を設定し、ディレイ期間中の油圧目標値Pt1をその後のエンジン停止中の油圧目標値Pt2より低めにする。
【0009】
第4の発明は、第3の発明において前記ディレイ期間中より前記その後のエンジン停止中に移行するときの油圧追従遅れが大きく生じない範囲で前記ディレイ期間中の油圧目標値Pt1を設定する。
【0010】
第5の発明は、第3の発明において前記ディレイ期間中および前記その後のエンジン停止中における電動ポンプの油圧目標値Pt1、Pt2を油温に応じて変化させる。
【0011】
第6の発明は、第1の発明おいて前記電動ポンプの作動を開始させるまでの待機期間Tpを油温に応じて変化させる。
【0012】
第7の発明は、第1から第6までのいずれか一つの発明において前記油圧供給手段から前記自動変速機への油圧の供給先を、自動変速機内の車両発進に必要となる要素(たとえば前後進クラッチの油圧室および自動変速機がCVTの場合にプーリ油圧室)に限る。
【0013】
【発明の効果】
第1の発明によれば、ディレイ期間中に電動ポンプの作動を開始するため、エンジン停止状態に移行するときまでには電動ポンプの油圧が立ち上がる。つまり、ディレイ期間の終了によりエンジンおよび機械式ポンプが停止しても電動ポンプの油圧が立ち上がっているので、変速機の油圧が連続的に保たれる。そのため、エンジン停止状態に移行直後にアクセルペダルを踏み込むなどの始動発進操作が行われても、すぐさまエンジンを始動し、前進クラッチをつないで俊敏に車両を発進させることが可能となり、かつクラッチ締結遅れによるエンジン吹き上がりやトルクショックが生じることもない。
【0014】
第2の発明によれば、ディレイ期間の終了時に、電動ポンプの油圧が立ち上がらないままエンジンと機械式ポンプが停止し、変速機の油圧が低下する事態を防ぐことができる。これによって、ディレイ期間の終了直後に始動発進操作がなされても、エンジン始動とクラッチ締結を即座に行うことができる。
【0015】
第3の発明によれば、ディレイ期間中における油圧目標値の低下で電動ポンプの駆動負荷が下がるため、その分だけ電力消費量を節約できる。
【0016】
第4の発明によれば、エンジン停止状態への移行時に目標油圧を即座に確保できるため、エンジン停止状態への移行直後の車両発進性を確保できる。
【0017】
油温が高いほど電動ポンプの油圧の立ち上がりが早いと考えられるので、第5の発明によれば、油温の状況に応じて、電動ポンプの油圧目標値を極力低く設定することができ、結果として電力消費量を節約できる。
【0018】
第6の発明によれば、温度が比較的高く油圧の立ち上がりが早い場合は、電動ポンプの作動開始タイミングを遅くできるので、そのぶん電動ポンプの作動期間が少なくなり、電力消費量を節約できる。
【0019】
第7の発明によれば、エンジン停止中のオイルの漏れ流量を最小限にできる。結果として、電動ポンプの負荷を軽減することができ、電力消費量を軽減できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1において、1はエンジン、3は無段自動変速機であり、これらの間にはモータジェネレータ(電動機)2が配置される。エンジン1またはモータジェネレータ2の回転が無段自動変速機3からドライブシャフト7を介して図示しない駆動輪に伝達される。
【0021】
なお、エンジン1としては、ガソリンエンジンのほか、ディーゼルエンジンを備えることもでき、また無段自動変速機3の代わりにトルクコンバータ付きもしくは発進クラッチ付きの有段自動変速機を用いることもできる。
【0022】
無段自動変速機3はトルクコンバータ4と、前後進切換機構5と、可変プーリ6a,6b間に掛け回した金属ベルト6から構成され、可変プーリ6a,6bのプーリ比を変えることにより、金属ベルト6を介して伝達される速度比が変化する。無段自動変速機3の目標変速比が運転状態に応じて設定され、これが実際の入力回転数と出力回転数の比である変速比と一致するように、可変プーリ6a,6bを駆動するためのプライマリ油圧とセカンダリ油圧とが制御される。
【0023】
前後進切換機構5は前進時と後進時とで出力回転の方向を逆転させるもので、またトルクコンバータ4は入力回転トルクを流体力を介して出力側に伝達し、入力側の極低速回転時など出力側の回転の停止を許容できる。
【0024】
前記モータジェネレータ2はエンジン1のクランクシャフトに直結もしくはベルトやチェーンを介して連結され、エンジン1と同期して回転する。モータジェネレータ2はモータ、あるいは発電機として機能し、電力コントロールユニット12によりその機能と回転数、発電量などが制御される。
【0025】
モータジェネレータ2がエンジン1の出力を補ってモータとして、あるいはエンジン1を始動するためにモータとして機能するときは、バッテリ13からの電流が電力コントロールユニット12を介して供給され、また車両の走行エネルギを回収すべく発電機として機能するときは、電力コントロールユニット12を介して発生した電流によりバッテリ13が充電される。
【0026】
また、車両の一時停止時などにエンジンを自動的に停止し、その後に発進させるときにエンジン1を自動的に再始動させるために、自動停止再始動コントローラ10が備えられ、車両停止時にエンジン1の作動を停止させ、また発進時にモータジェネレータ2によりエンジン1を始動させるようになっている。
【0027】
このため、自動停止再始動コントローラ10には、エンジン回転数センサ9、ブレーキセンサ11、アクセルセンサ15、無段自動変速機3のシフトポジションセンサ17、車速センサ18などからの信号が入力し、これらに基づいて自動停止と始動の制御を行う。
【0028】
車両には、無段自動変速機3への作動油圧供給を行うため、エンジンにより駆動される機械式ポンプと、バッテリにより駆動される電動ポンプを備える。
【0029】
これを図2により説明すると、同図において、21はトルクコンバータ2に連結されている機械式ポンプで、エンジン作動時にはこの機械式ポンプ21が働いて発生させた油圧がライン圧制御弁22により調圧され、この調圧された油圧が油圧供給通路23を介して前後進クラッチの油圧室24に供給される。
【0030】
また、機械式ポンプ21と無段自動変速機のプーリ油圧室26とを連通する油圧供給通路25に遮断弁27が介装され、この遮断弁27はエンジンの作動中に開かれるため、前記調圧された油圧が無段自動変速機のプーリ油圧室26にも供給される。この場合、逆止弁28により機械式ポンプ21からの油圧が電動ポンプ14に伝わるのを防ぐことができる。
【0031】
一方、電動ポンプ14は、DCモータ29により駆動され、エンジンの作動と関係なく、前後進クラッチの油圧室24および無段自動変速機のプーリ油圧室26に必要油圧を供給する。この場合、遮断弁27を遮断することで、電動ポンプ14からの油圧が機械式ポンプ21のほうへ伝わることを防ぐことができる。
【0032】
なお、31は電動ポンプ14の吐出圧が規定値を超えると開いてオイルを電動ポンプ14に戻すリリーフ弁である。32はマニュアル弁で、前進クラッチの油圧を逃す機能を持つ。
【0033】
上記の電動ポンプ14を制御するのも自動停止再始動コントローラ10で、エンジン停止状態でアクセルペダルを踏み込むなどの始動発進操作が行われたとき、即座に前進クラッチを締結して車両を発進させることができるように、エンジンの自動停止の条件が成立してからエンジンを停止させるまでのディレイ期間内に、電動ポンプ14の作動を開始し、油圧が立ち上がった状態で保持させる。
【0034】
これを図3を用いて説明すると、アイドル状態においてt0のタイミングで車両を停止すると、その車両停止のタイミングであるt0でエンジンを自動停止する条件が成立し、このt0よりディレイ期間DLYが経過したタイミングであるt2でエンジンが実際に停止される。このため、t2のタイミングまでは機械式ポンプの作動により十分な変速機油圧(変速機のライン油圧)が保たれるものの、t2のタイミングより機械式ポンプの油圧が低下してゼロになる。
【0035】
この場合に、自動停止再始動コントローラ10では、ディレイ期間DLYの開始であるt0より待機期間Tpが経過したタイミングt1で電動ポンプの作動を開始する。その際、ディレイ期間中は電動ポンプの油圧目標値を低めの値Pt1に設定し、ディレイ期間DLYが過ぎてからは油圧目標値をPt1より大きな値Pt2へと高める。そして、その後に始動発進操作がなされたt3のタイミングからは、油圧目標値をPt2よりさらに大きな値Pt3へと上昇させる。
【0036】
また、エンジン停止のタイミングt2からの機械式ポンプの油圧低下により、電動ポンプの発生する油圧のほうが高くなると、電動ポンプから機械式ポンプへとオイルが逆流することになるので、これを防止するため、機械式ポンプの油圧低下に合わせて遮断弁27を閉じる。
【0037】
一方、始動発進操作でエンジンが再始動されると、機械式ポンプが働いて油圧が立ち上がってくるので、機械式ポンプによる油圧が十分と判断されるt4のタイミングで電動ポンプの作動を停止するとともに、遮断弁を開く。
【0038】
次に、コントローラ10で実行されるこの制御内容を以下のフローチャートに従って説明する。
【0039】
まず、図4はエンジン自動停止再始動の処理を行うためのもので、一定時間毎(たとえば10msec毎)に実行する。
【0040】
ステップ1ではアイドルストップ(自動停止)の許可条件であるかどうかみる。ここで、アイドルストップ許可条件には、たとえば次のものがある。
【0041】
▲1▼バッテリの充電状態(SOC)が所定の範囲にあること。
【0042】
▲2▼エンジンの冷却水温が適正な範囲にあること(たとえば暖機完了後)。
【0043】
上記2つの条件をすべて満たしているときは、アイドルストップ許可条件の成立時であると判断し、ステップ2、3、4、5、6に進み、車速センサ18により検出される車速、ブレーキセンサ11により検出されるブレーキペダルの状態、アクセルセンサ15により検出されるアクセルペダルの状態、自動停止禁止フラグ、エンジン回転数をみる。▲3▼車速=0km/hである、▲4▼ブレーキペダルが踏み込まれている、▲5▼アクセルペダルが踏み込まれていない、▲6▼自動停止禁止フラグ=0である、の各条件が成立するものの、アイドル回転域(たとえば800rpm以下)でないときは、そのまま今回の処理を終了する。なお、自動停止禁止フラグの設定については図5により後述する。
【0044】
上記▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼の条件に加えて▲7▼アイドル回転域である、という条件をすべて満たすときは、ステップ7に進み、上記▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼、▲7▼のすべての条件が初めて成立したかどうかをフラグFCOND(0に初期設定)から判断する。
【0045】
FCOND=0であるとき(初めて成立したとき)は、エンジンの停止処理に入るためステップ8でフラグFCOND=1とするとともに、エンジンを停止させるまでのディレイ期間(たとえばディレイ時間DLY)を設定する。ディレイ時間DLYとしてはたとえば2秒程度を設定する。
【0046】
ステップ9ではエンジン停止中かどうかみて、エンジン停止中であればそのまま今回の処理を終了する。エンジン停止中でないときは、ステップ9よりステップ10に進み、上記ディレイ時間DLYを設定してからの経過時間を計測するカウンタTdと上記ディレイ時間DLYを比較し、カウンタTdがディレイ時間DLYを超えると、ステップ12でエンジン停止処理を実行する。この処理では、たとえばモータジェネレータ2の発生トルクをゼロにし、エンジン1の燃料噴射を停止する。なお、上記のカウンタTdとしては、たとえばコントローラ10に内蔵されているタイマを使えばよい。
【0047】
一方、前記▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼の条件のいずれかが外れたとき、つまり、ブレーキペダルが解除されたり、アクセルペダルが踏み込まれたり、あるいは車速がゼロでなくなったときなどの場合は、ステップ13でフラグFCOND=0とする。そして、ステップ14でエンジン停止中かどうかみて、エンジン停止中ならステップ15に進んでエンジンを再始動する処理を行う。
【0048】
なお、上記のフラグFCONDの値はRAMに保存しておく。
【0049】
図5はエンジン自動停止の禁止判定を実行するためのもので、一定時間毎(たとえば10msec毎)に実行する。
【0050】
ステップ21でアイドルストップ許可条件が成立しているときは、図4でも使用したディレイカウンタTdをステップ22で読み込み、これと上記のディレイ時間DLYをステップ23において比較する。
【0051】
カウンタTdがディレイ時間DLYを超えたタイミングでステップ24に進み、センサ33(図2参照)により検出される電動ポンプ14の発生する実油圧を読み込み、これと所定値Pt0をステップ25で比較する。ここで、所定値Pt0はエンジンの自動停止を禁止するかどうかを定めるための判定値で、実油圧がPt0以下の場合は、エンジンの自動停止を禁止するためステップ26で自動停止禁止フラグ=1とする。このフラグ=1より、図4においてステップ6以降に進むことができず、したがってエンジンの自動停止が禁止される。
【0052】
これは、ディレイ期間の終了時に、電動ポンプ14の油圧の立ち上がりが所定値Pt0以上になっていないときはエンジン停止を禁止することにより、電動ポンプの油圧が立ち上がらないままエンジン1と機械式ポンプ21が停止し、変速機の油圧が低下する事態を回避するようにしたものである。これによって、ディレイ期間の終了直後に発進操作がなされても、クラッチの締結を即座に行って車両を速やかに発進させることが可能となり、クラッチ締結遅れによるエンジンの吹き上がりやトルクショックが生じることがない。
【0053】
これに対して、実油圧が所定値Pt0を超えるときは、エンジンの自動停止を禁止する必要がないので、ステップ27に進み自動停止禁止フラグ=0とする。
【0054】
図6、図7は電動ポンプ14を制御するためのもので、これも一定時間毎(たとえば10msec毎)に実行する。
【0055】
図6において、ステップ41ではRAMに保存されているフラグFCONDをみる。FCOND=1のときはステップ42に進み、エンジン停止中であるかどうかみる。エンジン停止中でない場合(つまりディレイ期間中か自動停止禁止フラグ=1となっているときのいずれかの場合)はステップ43に進み、電動ポンプ14の作動状態をみる。
【0056】
電動ポンプ14が作動していない場合は、図5でも使用したディレイカウンタTdをステップ44で読み込み、これと所定値Tpをステップ45において比較する。ここで、所定値Tpは電動ポンプ14の作動待機時間を定めるものである。このため、TdがTp以下であるときはステップ46に進んで電動ポンプを非作動状態に保持し、TdがTpを超えると電動ポンプの作動タイミングになったと判断し、ステップ47、48に進み、所定値Pt1(Pt1>Pt0)を電動ポンプの油圧目標値Ptとして設定し、電動ポンプの作動を開始する。そして、次回よりエンジン停止中になるまでステップ43よりステップ47、48へと進むことになり、これによって電動ポンプの発生する油圧が所定値Pt1へと制御される。
【0057】
ここで、ディレイ期間中の油圧目標値である所定値Pt1はその後のエンジン停止中の油圧目標値である所定値Pt2(すぐ後で後述する)よりも低めに設定している。油圧目標値を低めに設定すると電動ポンプの駆動負荷が下がるため、その分だけ電力消費量を節約できる。また、その後のエンジン停止状態への移行時に目標油圧が即座に確保できるような範囲内でPt1の値を決定することにより、エンジン停止状態への移行直後の車両発進性も確保することができる。
【0058】
なお、ディレイ期間が終了するまで遮断弁27は開状態に保たれる(ステップ42、49)。
【0059】
その後、エンジン停止状態になると、ステップ42よりステップ50に進み、所定値Pt2(Pt2>Pt1)を電動ポンプの油圧目標値Ptとして設定した後、ステップ51の処理を実行する。次回より始動発進操作がなされるまでステップ50、51が繰り返されることになり、これによって電動ポンプの発生する油圧が所定値Pt2へと高められる。
【0060】
なお、このとき遮断弁27を閉じている(ステップ42、52)。これは、エンジン停止により機械式ポンプの油圧が低下し、この機械式ポンプの油圧低下に伴い、電動ポンプから機械式ポンプに向けてオイルが逆流することを防止するためである。
【0061】
一方、フラグFCOND=0になると、図6のステップ41より図7のステップ53に進み、始動発進中かどうかみる。始動発進中であるときは、ステップ54で所定値Pt3(Pt3>Pt2)を電動ポンプの油圧目標値Ptとして設定した後、ステップ55、56の処理を実行する。ここで、所定値Pt3は始動発進時の油圧目標値である。次回より始動発進操作が終了するまでステップ54、55、56が繰り返されることになり、これによって電動ポンプの発生する油圧が所定値Pt3へとさらに高められる。
【0062】
これに対して始動発進操作が終了したときなど始動発進中でないときはステップ53よりステップ57、58に進み、電動ポンプを非作動状態とし、遮断弁27を開く。
【0063】
上記の作動待機時間Tpと各所定値Pt0、Pt1、Pt2、Pt3とは一定値でもよいが、ここでは変速機オイルのそのときの油温から図8、図9を内容とするテーブルを検索することにより求めている。油温が上昇してくるほど値を低くしているのは、油温が上昇するほど電動ポンプの油圧の立ち上がりが早いためである。
【0064】
ここで、本実施形態の作用効果を図3を再び参照して説明する。
【0065】
本実施形態では、エンジンを停止するまでのディレイ期間中のt1で電動ポンプ14の作動が開始される。ディレイ期間中は、機械式ポンプ21により必要な油圧が得られているので、電動ポンプ14による油圧は本来必要でない。したがって、ディレイ期間終了後のエンジン停止中に電動ポンプ14の油圧が素早く立ち上がれるように、ディレイ期間中の電動ポンプ14の油圧は小さめの値Pt1に制御される。これによって電動ポンプ14の駆動負荷が下がるため、その分だけ電力消費量を節約できる。
【0066】
また、ディレイ期間中よりその後のエンジン停止状態に移行するときの油圧追従遅れが大きく生じない範囲で所定値Pt1を決めているので、エンジン停止状態への移行時に目標油圧を即座に確保できることになり、これによってエンジン停止状態への移行直後の車両発進性を確保できる。
【0067】
ディレイ期間の終了でエンジンが停止されると、電動ポンプ14の油圧が応答よく所定値Pt2へと立ち上がり、これによってエンジン停止に伴い機械式ポンプの作動が停止されても変速機の油圧は、大きく低下することなくある値で落ち着く。
【0068】
そして、この状態で始動発進操作がなされると、電動ポンプの油圧が所定値Pt2よりさらに高い値のPt3へと応答よく立ち上がる。このとき、変速機の油圧は、必要油圧(エンジンを吹き上がらせずにエンジントルクを変速機に伝えるのに必要な最低油圧のこと)を上回って、エンジン停止前の値へと速やかに回復する(つまり、始動再発進時に必要な変速機の油圧が瞬時に確保される)ため、素早くスムーズにエンジンの始動とクラッチを締結しての車両の再発進とを行わせることができる。
【0069】
このように本実施形態によれば、エンジン停止状態に移行する前のディレイ期間中から、電動ポンプの油圧を予め立ち上げておくことで、エンジン停止中に変速機の油圧が大きく低下することがなく、常に始動再発進しやすい状態が保たれることから、始動再発進を素早くスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す概略構成図。
【図2】自動変速機の概略の油圧供給回路図。
【図3】一実施形態の作用を説明するための波形図。
【図4】エンジン自動停止再始動の処理を説明するためのフローチャート。
【図5】エンジン自動停止の禁止判定を説明するためのフローチャート。
【図6】電動油圧ポンプの制御を説明するためのフローチャート。
【図7】電動油圧ポンプの制御を説明するためのフローチャート。
【図8】作動待機時間Tpの特性図。
【図9】所定値Pt0、Pt1、Pt2、Pt3の各特性図。
【図10】第1の発明のクレーム対応図。
【符号の説明】
1 エンジン
2 モータジェネレータ
3 無段自動変速機
10 自動停止再始動コントローラ
14 電動ポンプ
21 機械式ポンプ
27 遮断弁

Claims (7)

  1. エンジンと、このエンジンに同期して回転する電動機と、エンジンおよび電動機の出力を駆動輪に伝達する自動変速機と、所定の運転条件が成立したとき所定のディレイ期間後にエンジンを自動停止し、別の所定の運転条件が成立したときエンジンを再始動させる機能を有するコントローラとを備えた車両において、
    エンジンにより駆動される機械式ポンプと、バッテリからの電力で駆動される電動ポンプと、これらポンプの発生する油圧を前記自動変速機に供給する手段とを備え、前記コントローラが、前記ディレイ時間内に前記電動ポンプの作動を開始させる機能を備えることを特徴とする車両。
  2. 前記電動ポンプの発生する油圧を検出する手段を備え、前記ディレイ期間の終了時にこの検出油圧が所定値以上になっていない場合にエンジンの停止を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車両。
  3. 前記ディレイ期間中とその後のエンジン停止中とで個別に前記電動ポンプの油圧目標値を設定し、ディレイ期間中の油圧目標値をその後のエンジン停止中の油圧目標値より低めにすることを特徴とする請求項1に記載の車両。
  4. 前記ディレイ期間中より前記その後のエンジン停止中に移行するときの油圧追従遅れが大きく生じない範囲で前記ディレイ期間中の油圧目標値を設定することを特徴とする請求項3に記載の車両。
  5. 前記ディレイ期間中および前記その後のエンジン停止中における電動ポンプの油圧目標値を油温に応じて変化させることを特徴とする請求項3に記載の車両。
  6. 前記電動ポンプの作動を開始させるまでの待機期間を油温に応じて変化させることを特徴とする請求項1に記載の車両。
  7. 前記油圧供給手段から前記自動変速機への油圧の供給先を、自動変速機内の車両発進に必要となる要素に限ることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の車両。
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