JP3722828B2 - 紙幣等の検査装置 - Google Patents

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本発明は、紙幣やトラベラーズチェックなど透かしや特殊印刷を施された紙媒体について、透かし等の存在を確認し、偽造紙幣等の使用を未然に防ぐことのできる検査装置に関する。
近年、カラーコピー等の複写装置やその周辺技術の性能向上により、偽造紙幣の製造が容易になったきたことに伴い、偽造紙幣使用の犯罪が多発している。
代金の精算など、貨幣受け渡しの状況としては、自動販売機や券売機のように、機械を介在して貨幣の受け渡しをしている所と、スーパーのレジなど店舗における対面販売のように、人から人へ直接貨幣の受け渡しを行う所があり、前者については高精度の真贋判定が出来るものの、後者については、人間の目や感触に頼らざるを得ない状況にあり、個人の能力や偽造に対する意識レベルの大小と、貨幣受け渡し場所の明るさなど環境条件に大きく左右されているのが現状である。
特に対面販売の場合における紙幣の真贋判定については、受け取る際に、紙幣の手触りを確認したり、天井の蛍光灯に向けて、透かしが有るかどうかなどのチェックを行ったりする行為が考えられるが、対面販売の業種によっては、客の目前でこのようなチェック行為をすることが客に不快感を抱かせることもあり、また、混雑した忙しい時間帯などでは、業務の効率が悪くなるなど、業務に支障が生じるため、事実上困難である。
このような問題を解決する手段として、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示された技術では、貨幣受け渡しの現場で使用される、貨幣受け皿の底板を光が透過可能なものにして、その下方に発光体を備えるよう構成した、貨幣受け皿を使用する。そして、貨幣受け皿に紙幣を載せた時、発光体より光を発すると、この光が貨幣受け皿底板部を透過して、紙幣を照らし、透かしや裏側の模様が目視可能となり、瞬時に紙幣の真贋判定ができる。
特開2002−216242
しかしながら、受け渡しされる紙幣は、小さく折りたたまれたり、しわになっていたりすることも多く、このようなとき、上述した特許文献1に開示された装置では、貨幣受け皿の上で紙幣を押し広げて押さえつけたうえで、発光体を発行させる動作が必要となる。
このような動作は、上述したように、客の目前で行うことになるため、客に対して不快感を与えるうえに、紙幣を押し広げて、押さえつけて発光体の発行操作をするという、代金精算のための一連の動作から外れた作業であるため、代金精算という本来の業務の効率が低下するという惧れもある。
そこで、本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、客に不快感を与えることなく、また、代金精算等の紙幣受渡の動作にも支障を来さずに、透かし等の存在を確認し、効率的に偽造紙幣を発見することのできる検査装置を提供することをその課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、紙幣等の紙媒体が挿入される間隙が形成された本体と、間隙内において、紙媒体を把持する把持部と、紙媒体を間隙に上方から挿入可能なように、本体を自立させる固定手段と、把持部の背面に設けられ、把持部に把持された紙媒体を照射する発光部と、間隙内に挿入された紙媒体を検出し、この検出結果に基づいて発光部を発光させるスイッチ部とを有し、前記本体は、内部中空の函体であり、前記把持部は、間隙内において、本体内部の中空開口部を覆う透明板と、間隙内下部の軸部により回動可能に取付けられ、透明板に押しつけられるように付勢された透明な板部材とにより構成されている
このような本発明によれば、紙幣等の紙媒体を把持した状態で、その背面から光を照射するため、紙幣等に存在する透かしを容易に目視確認することができる。このとき、本発明では、紙幣が把持された状態を検出して発光体を照射させるため、紙幣を把持させるという動作と、発光体のスイッチをオンにするという動作とを一つの動作で行うことができ、透かし等を確認するために特別な操作を要することなく、代金精算という本来の業務における一連の自然な動作の中で、偽造紙幣等の確認発見を行うことができる。
すなわち、代金精算の作業では、客から紙幣を受け取った際に、精算後のトラブルを回避するため、受け取った紙幣の枚数や種類を取り違えないように(或いは、客に対して確認を促すように)、受け取った紙幣をレジに入金する前(釣り銭等を勘定している間)、レジ周りに取付けられたクリップ等に受け取った紙幣を把持させるという所作がなされている。本発明では、この紙幣を把持させるという所作と、透かし等の確認とを同時に行うことができ、通常通りのごく自然な動作により、客に不快感を与えることなく、紙幣の確認を行うことができる。
なお、上記固定手段としては、前記把持部を立設させるスタンドや、壁面やレジ装置等に固着可能な磁石や粘着部とすることができる。
上記発明において前記スイッチは、前記把持部内の紙幣の端部に当接され、紙幣に対して付勢された突出部であることが好ましい。この場合には、特殊なセンサーを用いずに簡単な構成により、紙幣の検出と発光体のON/OFFを実行することができる。
さらに、上記発明では、把持部に把持された紙幣の前面に紫外線やブラックライトなど、紙幣に印刷されたインクを発光させる特殊光を照射する手段や、紙幣に印刷された磁気、模様を読み取る読み取り手段を設けてもよい。この場合には、透かしのみならず、特殊インクによる印刷や、磁気印刷、バーコードや数字など、紙幣の真贋判定に利用可能な他の印刷を判別することができ、偽造紙幣の発見をより確実なものとすることができる。
以上説明したように本発明によれば、屋台や屋外販売などレジスターの無い対面販売、タクシー内や露店などの野外における夜間営業等においても、客に不快感を与えることなく、また、代金精算等の紙幣受渡の動作にも支障を来さずに、透かし等の存在を確認し、効率的に偽造紙幣を発見することができる。この透かしは、特殊技術により入れられているため、偽造しにくく、透かしを確認することにより、偽造紙幣の判別が可能となる。そして、本発明を使用することによって、偽造紙幣の使用者に対し、紙幣のチェックを行っていることをアピールすることが可能となり、不正使用者に対する抑止力とし得る。
(紙幣等の検査装置の構成)
本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1〜4は、本実施形態に係る検査装置の構成を示す外観図であり、図1はその前面斜視図、図2は背面斜視図、図3は上面図、図4は側面図であり、図5は当該検査装置に紙幣を把持させた状態を示す前面斜視図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係る検査装置は、内部中空の函体をなす本体1の開口部を、カバー2で覆った構成となっており、これら本体1とカバー2とは、紙幣が差し込まれる間隙6を形成するように、着脱可能に貼り合わせられている。
カバー2は、本体1内部の中空開口部に対向する位置において、紙幣の把持された部分を覆う部材であり、その中央に内部を透視可能とする矩形状の透視部3を備えており、この透視部3は拡大レンズが嵌め込まれている。また、この透視部3の上部は、透視部3へ外部から入射する光を遮る遮光カバー31が取付けられているとともに、透視部3の下方には、紙幣等を仮置きするクリップ5が取付けられている。
本体1の下部には略L字形のスタンド4が取付けられ、自立可能となっている。また、本体1の上部には、前記間隙6に臨むようにガイド部11が突設されている。
次いで、本実施形態に係る検査装置の内部構成について説明する。図6は、検査装置の内部を示す解体図であり、図7は、検査装置の上断面図である。
上述したように本体1の内部には中空部12が形成され、この中空部の開口面は透明板12aで覆われている。この透明板12aの上部(前方)には、透過性のある透明な舌部材7が、下部の軸部71により回動可能に取付けられている。
この舌部材7は、カバー2を本体1に嵌め込んだ状態において、バネ等の付勢手段72により透明板12aの表面(図中矢印方向)に押しつけられるようになっており、これら透明板12aと舌部材7とにより、上記間隙6内において、紙幣等の紙媒体を把持する把持部が構成される。この舌部材7は、少なくとも紙幣等の透かし部分よりも大きい面積を有する板状の部材で形成されるとともに、その上方が透明板12aから離間するように屈曲され、上方から紙幣が挿入しやすいようになっている。
また、中空部12の内面は鏡面加工が施され、全体として反射板の機能を果たすようになっている。そして、この中空部12の内部には、把持部に把持された紙媒体を背面から(本体1側から)照射する発光体9が設けられている。この発光体9は、電池やACアダプター等の電源部(図示せず)から電力の供給を受け、後述するスイッチ部8のON/OFFにより点灯及び消灯する。なお、この発光体9としては、豆電球や発光ダイオード、小型蛍光灯など種々のものを採用することができる。
さらに、舌部材7の軸部71の近傍には、上下動可能に取り付けられるとともに、バネ等の付勢手段81によって上方に付勢されたスイッチ部8が設けられている。このスイッチ部8は、把持部における紙媒体の把持状態を検出し、この検出結果に基づいて、上記発光体9を点灯及び消灯させるスイッチ手段である。具体的にこのスイッチ部8は、把持部内に挿入された紙幣100の下端に当接されるように、紙幣100側に向けて付勢された突出部であり、間隙6(把持部)に紙幣等の紙媒体が挿入されることにより、下方に押下されてON状態となり、紙幣等が把持部から取り去られることにより、付勢手段81の反発力によって上方に押し上げられ、OFF状態となる。
(検査装置の作用・効果)
このような構成を有する本実施形態に係る紙幣等の検査装置により、紙幣等の検査を行う手順は以下の通りである。
先ず、図5に示すように間隙6内に紙幣100を上方或いは側方から挿入すると、紙幣100は、間隙6内の透明板12aと舌部材7とにより把持される。このとき、舌部材7の上方が透明板12aから離間するように屈曲されていることから、紙幣100は容易に挿入される。
そして、間隙6内に挿入された紙幣100の下端が、スイッチ部8に当接され、スイッチ部8が下方に押下されてON状態となり、発光体9が点灯される。この発光体9からの光は、透明板12aを透過し、把持された状態の紙幣100をその背面から照射し、紙幣100を透過した光は、舌部材7を透過し、紙幣100に存在する透かしが透視部3を通じて目視確認することができる。
その後、紙幣100を、間隙6から取り去ることにより、スイッチ部8が付勢手段81の反発力によって上方に押し上げられ、OFF状態となり、発光体9が消灯される。
このような、本実施形態に係る検査装置によれば、紙幣100が把持された状態をスイッチ部8で検出して、発光体9を照射させるため、紙幣100を把持させるという動作と、発光体のスイッチをオンにするという動作とを一つの動作で行うことができ、透かし等を確認するために特別な操作を要することなく、代金精算という本来の業務における一連の自然な動作の中で、偽造紙幣等の確認発見を行うことができる。
なお、本実施形態に係る検査装置では、紙幣100を把持させた状態でのみ、発光体9が点灯されることから、必要最低限の時間だけ電力が消費されることとなり、省電力化を図ることができる。
また、上記実施形態では、紙幣100が把持された部分を覆うカバー2を設け、このカバー2にレンズを設けたため、レンズを通して透かしを拡大して目視することができ、透かしの確認が容易になるとともに、カバー2により他へ光が漏れないため、透かしを確認している所作を客に気づかせないようにすることができる。
さらに、上記実施形態では、間隙6の内部において、透明板12aと舌部材7とにより、紙幣100を把持させるため、舌部材7により紙幣100の透かし部分を押し広げて押さえつけた状態とすることができ、紙幣100に折り目や皺があっても、容易に透かしを目視することができる。
また、上記実施形態において前記スイッチ部8は、間隙6内の紙幣100の端部に当接することによってON状態となる機構であるため、紙幣100の検出と、発光体9のON/OFFとを簡単な単一の装置で実現することができ、製造コスト等を削減することができる。
さらに、本実施形態では、カバー2の前面に仮置き用のクリップ5を設けたため、例えば金額の低い紙幣など、偽造の検査をする必要性が低い場合には、このクリップ5を利用して、発光体9を発光させることなく、通常の代金精算作業を行うこともできる。
(変更例)
本発明は、上述した実施形態に限定されず、例えば以下のような変更を加えることができる。
例えば、図8に示すように、把持された紙幣100の前面(例えば、カバー2の内面)に、紫外線やブラックライトなど紙幣100印刷されたインクを発光させる特殊光を照射する発光手段91を設けてもよい。また、紙幣100に印刷された磁気、模様(数字、バーコード等)を読み取る読取手段(磁気リーダー、CCDカメラ)92を設けてもよい。CCDを設けたような場合には、パーソナルコンピュータ等のコンピュータと接続し、CCDにより撮像された画像を、解析ソフトウェア等で判別するようにしてもよい。この場合には、透かしのみならず、特殊インクによる印刷や、磁気印刷、バーコードや数字など、紙幣の真贋判定に利用可能な他の印刷を判別することができ、偽造紙幣の発見をより確実なものとすることができる。
また、上記実施形態では、本体1を固定する手段として、装置を自立させるスタンド4を設けたが、このスタンド4に代えて、壁面やレジ装置等に固着可能な磁石や粘着部とすることができる。さらに、図9に示すように、本体1をレジ装置200と一体的に設けてもよい。
実施形態に係る検査装置の構成を示す前面斜視図である。 実施形態に係る検査装置の構成を示す背面斜視図である。 実施形態に係る検査装置の構成を示す上面図である。 実施形態に係る検査装置の構成を示す側面図である。 実施形態において、検査装置に紙幣を把持させた状態を示す前面斜視図である。 実施形態に係る検査装置の内部を示す解体図である。 実施形態に係る検査装置の内部を示す上断面図である。 変更例に係る検査装置の内部を示す上断面図である。 変更例に係るレジ装置を示す前面斜視図である。
符号の説明
1…本体
2…カバー
3…透視部
4…スタンド
5…クリップ
6…間隙
7…舌部材
8…スイッチ部
9…発光体
11…ガイド部
12…中空部
12a…透明板
31…遮光カバー
71…軸部
72…付勢手段
81…付勢手段
91…発光手段
92…読取手段
100…紙幣
200…レジ装置

Claims (5)

  1. 紙幣等の紙媒体が挿入される間隙が形成された本体と、
    前記間隙内において、該紙媒体を把持する把持部と、
    前記紙媒体を前記間隙に上方から挿入可能なように、前記本体を自立させる固定手段と、
    前記把持部の背面に設けられ、該把持部に把持された前記紙媒体を照射する発光部と、
    前記間隙内に挿入された前記紙媒体を検出し、この検出結果に基づいて前記発光部を発光させるスイッチ部と
    を有し、
    前記本体は、内部中空の函体であり、
    前記把持部は、前記間隙内において、
    前記本体内部の中空開口部を覆う透明板と、
    前記間隙内下部の軸部により回動可能に取付けられ、前記透明板に押しつけられるように付勢された透明な板部材と
    により構成されている
    ことを特徴とする紙幣等の検査装置。
  2. 前記スイッチ部は、前記軸部の近傍に上下動可能に取付けられ、前記間隙内に挿入された前記紙媒体の下端に当接されるように、付勢手段によって上方に付勢された突出部であり、前記紙媒体が挿入されることにより該突出部が下方に押下されて前記発光部を発光させ、該紙媒体が取り去られることにより該突出部が上方に押し上げられて前記発光部を消灯することを特徴とする請求項1に記載の紙幣等の検査装置。
  3. 前記部材は、その上方が前記透明板から離間するように屈曲されていることを特徴とする請求項に記載の紙幣等の検査装置。
  4. 前記紙媒体の前面に該紙媒体に印刷されたインクを発光させる特殊光を照射する発光手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の紙幣等の検査装置。
  5. 前記紙幣に印刷された磁気や模様を読み取る読取手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の紙幣等の検査装置。
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