JP3713562B2 - 洗濯機用の摩擦ダンパ - Google Patents
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Description
本発明は、特に洗濯機用に構成された摩擦ダンパに関する。
従来から知られているように、洗濯機のバスケットは、その回転中において、該バスケットと、その内部に保持されたリネンとの回転質量の動的アンバランスによる振動から影響を受ける。
前記バスケットは、通常、バネによって洗濯機のフレームに懸架され、上述した揺れ又は振動を緩衝するために、従来は、それぞれ、その下端部が洗濯機フレームに接続され、その上端部がバスケットに接続された2つのダンパ又はショックアブソーバが使用されている。
洗濯機用のダンパは、摩擦ダンパによって構成され、これらは、ほぼ円筒形状のシェルと、その内部で摺動するように構成されたロッドと、これらロッドとシェルとの間に配設され、摩擦材から成り、かつ、前記シェル又はロッドに固定接続されたガスケットから構成されている。
このガスケットは、シェルに対するロッドの相対移動を制動するべく摩擦制動作用を提供するように構成されている。
上述したダンパは、洗濯機においてバスケットの振動を効果的に緩衝させる作用を提供するものではあることが判っているが、それらは洗濯機の洗濯工程中において比較的高い摩擦こすりを発生し、比較的僅かではあるにしてもバスケットを振動させてしまう。その結果、ダンパは、特に、その前記摩擦材ガスケットに係合している部分において急速に摩耗され、これによって、このガスケット作業効率が低下し、ガスケットを頻繁に取り替えなければならない。
発明の要旨
従って、本発明の目的は、洗濯機用に特に構成された摩擦ダンパであって、洗濯機のバスケットの振動振幅が大きい時により大きな緩衝作用を提供するべく、洗濯機の作業工程、即ち、洗濯機のバスケットの振動の振幅、に応じて可変作動する摩擦ダンパを提供することによって上述した問題を解決することにある。
上述の目的の範囲内において、本発明の主要課題は、洗濯機の通常の作動工程中、即ち、洗濯機のバスケットが小さな振幅の振動によって影響される時に、摩擦エネルギ消散を減少させることによって、従来の摩擦ダンパよりも動作寿命の長い摩擦ダンパを提供することにある。
本発明の別の課題は、非常に構造的に単純で、競争的コストで製造が可能な摩擦ダンパを提供することにある。
本発明の更に別の課題は、その動作の信頼性と安全性が非常に高い摩擦ダンパを提供することにある。
本発明の一態様によれば、上述の目的と課題、及び以下から明らかになるであろう。その他の課題は、洗濯機用に構成された摩擦ダンパであって、互いに同軸に配置されてテレスコピック構造を形成する中空シェルとロッドとを有し、前記ロッドは、前記中空シェルの内径よりも小さな外径を有し、前記中空シェルと前記ロッドとの間にはロッドガイド手段が設けられており、前記中空シェルと前記ロッドの間に形成される径方向の空間に、軸心方向の上下夫々に弾性部材を設け、この一対の弾性部材の間に形成された空間内の前記中空ロッドとシェルとの間に摩擦ダンパ手段が設けられていて、この摩擦ダンパ手段は、貫通孔を備え、前記ロッドの周りに取り付けられた略筒形状の保持ブッシュを有し、このブッシュの内面と外面とには、その内部に、第1摩擦クランプと第2摩擦クランプとを収納するシートが形成されていると共に、前記第1摩擦クランプと第2摩擦クランプは同軸状に配置されていて、前記第1摩擦クランプは、前記ロッドの外周面と摩擦係合する第1作用面を有し、前記第2摩擦クランプは前記中空シェルの内周面と摩擦係合する第2作用面を有して、前記第1作用面は前記第2作用面より大きく、これによって、前記第1作用面は、前記ロッドに対して、前記第2作用面が前記中空シェルに対して提供する摩擦反作用よりも大きな摩擦反作用を提供することを特徴とする摩擦ダンパによって達成される。
【図面の簡単な説明】
本発明による摩擦ダンパその他の特徴及び利点は、添付の図面に単に例示的に、かつ非限定的に図示された摩擦ダンパのいくつかの好適で非限定的な実施例の記載から明らかになるであろう。図面において、図1は、本発明による摩擦ダンパの第1実施例を示す軸心方向断面図、図2は、図1の拡大詳細を示している、図3は、前記摩擦ダンパの第2実施例を示す軸心方向断面図、図4は、図3の拡大詳細を示している、図5は、本発明の摩擦ダンパの第3実施例を示す軸心方向断面図、図6は、図5の拡大詳細を示している、図7は、本発明のダンパの負荷の線図であって、ダンパに対する押力および/又は伸長力を変化させた時のダンパ負荷の変化を明示している。
好適実施例の説明
上記図面の参照番号を参照して、その三つの実施例においてその全体を参照番号1a,1b,1cで示された本発明による摩擦ダンパは、互いに同軸状に配置され、テレスコピック作動構造を形成する中空シェル2a,2b,2cとロッド3とを有する。
前記ロッド3は、前記シェル2a,2b,2cの内径よりも小さな外径を有し、前記シェルと前記ロッドとの間には、前記ロッド3をガイドするロッドガイド手段4が設けられている。
本ダンパは、更に、前記ロッド3と前記シェル2a,2b,2cとの間に配設されて、前記ロッド3の外面に摩擦摺動自在に係合された第1作用面6と、前記シェル2a,2b,2cの内面に摩擦摺動自在に係合された第2作用面7とを備える摩擦ダンパ部材5を有する。
より詳しくは、前記摩擦ダンパ部材5は、ここに開示される実施例において、ほぼ筒形状を有する保持ブッシュ8を有し、このブッシュには、前記ロッド3の貫通を許容する貫通穴9が形成され、前記ブッシュは前記ロッド3周りに取り付けられている。
前記保持ブッシュ8の内面には、第1摩擦クランプ11を受けるように構成された保持シート10が設けられ、他方、その外面には、前記シェル2a,2b,2cの内面に接触するべく設けられた別の第2摩擦クランプ13を受けるために別の保持シート12が形成されている。
図示されているように、前記第1作用面6、即ち、前記ロッド3の外面に係合する前記第1摩擦クランプ11の作用面は、前記第2作用面7、即ち、前記シェル2a,2b,2cの内面に係合する前記第2摩擦クランプ13の作用面の摩擦反作用よりも大きな摩擦反作用を提供する。
前記ダンパ部材5は、一対の弾性部材によって軸心方向に形成された、前記ロッド3とシェル2a,2b,2cとの間の空間に配設されている。
図1及び図2に明示されているように、前記弾性部材は、それぞれ参照番号15及び16によって示され、略図示されている一対のカップ状プレスバネから構成することができる。
図3及び図4に明示されているように、前記摩擦ダンパ部材5がその内部に保持される前記空間を軸心方向に形成する前記弾性部材は、一対の弾性圧縮可能なパッド18及び19から構成することができる。
図5及び図6に図示されているように、前記弾性部材は、一対のカップ状プレスバネ21,22から構成することができる。
図1及び2に図示された第1実施例において、前記シェル2aは、その内部に前記摩擦ダンパ部材5を収納するその端部において、前記最内側のカップ状プレスバネ15用のショルダを形成する大径を有する。
前記シェル2aの上記拡大部分の端部軸心方向部分は、ガイドブッシュ23から成るロッドガイド手段4を支持している。
前記ガイドブッシュ23は、前記シェル2aの前記拡大径部に取り付けられた閉じディスク24によって軸心方向に固定されている。
前記シェル2aの前記拡大径部分と反対側の端部は、アンカヘッド30で終端し、これは、前記シェル2aと一体に形成することが可能である。
前記ロッド3の前記シェル2aに入る端部の反対側の端部も、アンカーヘッド31と一体に形成される。
図3及び4に図示された第2実施例において、前記ロッド3をシェル2b内でガイドするためのロッドガイド手段は、それぞれ参照番号35及び36によって示す一対のガイドブッシュから成る。
前記パッド18及び19が当接する前記ガイドブッシュ35,36は、前記シェル2bの内方変形部分によって軸心方向に固定されるが、これら変形部分は、たとえば、かしめアップセット(押し縮め)部分、又は、その他の適当な変形方法によって変形された部分、から構成することができる。
この実施例において、前記シェル2bの前記ロッド3が貫通保持された端部の反対側の端部は、アンカヘッド37に接続され、他方、前記ロッド3の前記シェル2bに貫通している端部の反対側の端部は、アンカヘッド38に接続されている。
図5及び6に図示された実施例においても、前記ロッドガイド手段は、その両側に前記カップ状プレスバネ21と22のための支持面を形成し、かつ、図3及び4に図示した実施例を参照して既に開示した方法に類似の方法で、シェル2cの内方変形部分によって固定された一対のガイドブッシュ40,41から構成されている。
この場合においても、前記シェル2cの一端部は、アンカヘッド43に接続され、他方、前記ロッド3のシェル2cの内部に係合された端部の反対側の端部は、アンカヘッド44に接続されている。
この発明による摩擦ダンパは、次のように働く。
洗濯機の通常の作動、即ち、洗濯機のバスケットが、前記摩擦ダンパ部材5とロッド3との間に存在する比較的高い摩擦により、比較的小さな振幅の振動によって影響される時は、前記ダンパ部材5は、前記ロッド3と一体的に軸心方向に移動可能であり、従って、前記摩擦クランプ13と前記シェル2aの内面との間には比較的小さな摩擦消散が発生する。
洗濯機の遠心機が作動されると、又は、前記遠心機が停止されると、又は、前記バスケットがより大きな振幅の振動を受ける時は、前記摩擦ダンパ部材5は、前記ロッド3によって、前記カップ状バネ15、16、21、22又は前記パッド18、19から構成される前記弾性部材の一つに接当して駆動され、この接当の結果、ロッド3は、前記摩擦クランプ11に対して摺動され、これによって、前述したように、前記摩擦クランプ13によって提供される摩擦反作用よりも大きな摩擦反作用が提供される。
従って、バスケットの大きな振幅の揺れは、より大きな摩擦緩衝によって緩衝される。
この点に関して、前記摩擦ダンパ部材5は、その長さが該ダンパ部材が、異常振動が無い時に、遠心分離工程中において、前記カップ状バネ15,16,21及び22又は前記パッド18及び19に接触することを防止するように構成された筒状ハウジング内で摺動可能であることを指摘しておかなければならない。
上記開示及び添付の図面から、本発明がその意図した目的及び課題を完全に達成するものであることが明らかであろう。
特に、バスケットが比較的小さな振幅の振動を受ける時、即ち、洗濯機の通常の作業中において、比較的小さな摩擦反作用を発生し、これによって、ダンパの摩擦を減少させ、かつ、たとえば洗濯機の遠心機が始動又は停止される時等においてバスケットが比較的大きな振幅の振動を受ける時に比較的大きな摩擦緩衝反作用を提供し、これによってこれらの振動を効果的に緩衝させる摩擦ダンパが提供されたという事実が指摘されなければならない。
以上、本発明をその好適実施例を参照して開示、図示したが、これらの開示された実施例は、そのすべてが添付の請求項の範囲内に含まれる多くの改変及び改造が可能であることは明らかであろう。
Claims (7)
- 洗濯機用に構成された摩擦ダンパであって、互いに同軸に配置されてテレスコピック構造を形成する中空シェルとロッドとを有し、前記ロッドは、前記中空シェルの内径よりも小さな外径を有し、前記中空シェルと前記ロッドとの間にはロッドガイド手段が設けられており、前記中空シェルと前記ロッドの間に形成される径方向の空間に、軸心方向の上下夫々に弾性部材を設け、この一対の弾性部材の間に形成された空間内の前記中空ロッドとシェルとの間に摩擦ダンパ手段が設けられていて、この摩擦ダンパ手段は、貫通孔を備え、前記ロッドの周りに取り付けられた略筒形状の保持ブッシュを有し、このブッシュの内面と外面とには、その内部に、第1摩擦クランプと第2摩擦クランプとを収納するシートが形成されていると共に、前記第1摩擦クランプと第2摩擦クランプは同軸状に配置されていて、前記第1摩擦クランプは、前記ロッドの外周面と摩擦係合する第1作用面を有し、前記第2摩擦クランプは前記中空シェルの内周面と摩擦係合する第2作用面を有して、前記第1作用面は前記第2作用面より大きく、これによって、前記第1作用面は、前記ロッドに対して、前記第2作用面が前記中空シェルに対して提供する摩擦反作用よりも大きな摩擦反作用を提供することを特徴とする摩擦ダンパ。
- 前記弾性部材は、一対のカップ状バネである請求項1の摩擦ダンパ。
- 前記弾性部材は、一対の弾性圧縮可能なパッドである請求項1の摩擦ダンパ。
- 前記ロッドガイド手段は、前記中空シェルの内部に軸心方向に固定され、かつ、前記ロッドはその内部を摺動可能に延出する少なくとも一つのガイドブッシュを有する請求項1〜3のいずれか1の摩擦ダンパ。
- 前記ロッドガイド手段は、前記中空シェルの内部に軸心方向に固定され、かつ、前記ロッドがその内部を摺動可能に延出する一対のガイドブッシュを有し、このガイドブッシュは、前記一対の弾性部材によって軸心方向に形成された前記空間の外部に配設されている請求項1〜4のいずれか1の摩擦ダンパ。
- 前記ガイドブッシュは、前記中空シェルを部分的に径方向内側に変形させることによって軸心方向に固定されている請求項5の摩擦ダンパ。
- 前記一対の弾性部材によって軸心方向に形成された前記空間は、前記シェルの拡大径部によって形成され、この空間の軸心方向の上下夫々に弾性部材を配置している請求項1の摩擦ダンパ。
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