JP3653504B2 - イオントラップ型質量分析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部に生成した高周波電界により、試料内の全イオン種を一旦安定に捕捉後、質量分離対象のターゲットイオンを共鳴し、電極間空間から出射させることにより、質量分離するイオントラップ型質量分析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のイオントラップ型質量分析装置では、イオンのz方向での振動の均等性を保つ為、イオンの入射側,出射側で対称の電界を生成させる。
【0003】
たとえば、米国特許第5,693,941 号では、リング電極の中心点に対して、非対称になるように2つのエンドキャップ電極を配置しているが、2つのエンドキャップ電極間に印加する電圧を調整して、電極内部には、イオンの入射側,出射側で対称な電界を生成している。2つのエンドキャップ電極位置が非対称であるが、それに合わせて各々に印加する電圧自身も非対称化しているため、内部電界は対称となり、従来の対称なイオントラップの場合とイオン挙動を変えることなく、検出器が設置されている側のエンドキャップ電極の穴を通過するイオン数の増加により、感度向上を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のイオントラップ型質量分析装置では、マスピークの位置が、イオンの正しい質量数位置からずれるマスずれ現象が発生する可能性があるという課題がある。
【0005】
本発明の一つの目的は、安定に、高感度・高精度質量分析可能なイオントラップ型質量分析装置を提供する事にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の一つの特徴は、イオントラップ内部に、リング電極中心に対して非対称となる捕捉電界を生成し、イオンを急激に共鳴増幅させて、イオントラップから短時間に出射させる手段を有することである。
【0007】
本発明の上記特徴及び他の特徴は、以下の記述により、さらに説明される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施例について説明する。
【0009】
イオントラップ型質量分析装置の質量分析部であるイオントラップは、理論的には、図2に示すように、双曲面から成るリング電極10とそれを挟むように各々逆向きに配置された、リング電極10とは異なる双曲面を持つ二つのエンドキャップ電極11,12により構成される。各電極間に直流電圧Uと高周波電圧
VRFcosΩt が印加されて電極間空間に四重極電界がつくられる。以下、リング電極10と二つのエンドキャップ電極11,12の総称として、イオントラップ電極と称する。このとき、イオントラップ電極間空間に生成される電位分布は、次式で表される。
【0010】
四重極電位分布:Φ4=φ0(r2−2z2)/r0 2 …(1)
但し、φ0=U+VRFcosΩt
ここで、r0 はリング電極内径、z0 はリング電極中心点16から各エンドキャップまでの距離、r,zはリング電極中心点16を原点とした際の座標を表す。このとき、z0=r0/√2の関係を持つ。(1)式の電位分布から生成される電界中に捕捉されたイオンの軌道の安定性は、装置の大きさ(リング電極内径
r0 )と電極に印加される、直流電圧U、高周波電圧の振幅VRFとその角周波数Ω、更に、イオンの質量対電荷比m/zによって与えられるa,q値によって定まる((2)式)。
【0011】
a=8eU/(mr0 2Ω2) , q=4eV/(mr0 2Ω2) …(2)
ここで、Zはイオンの価数、mは質量、eは素電荷を表す。イオントラップ電極間空間内で安定軌道を与えるa,qの範囲を表した安定領域図を図3に示す。通常、高周波電圧VcosΩt(RFドライブ電圧)のみがリング電極に印加されるため、安定領域内のa=0の直線上に相当する全てのイオンが、電極間空間内を安定に振動し電極間に捕捉される。このとき、イオンは質量対電荷比m/zに応じて安定領域(図3)上の(0,q)点が異なり、(2)式より質量対電荷比の値が大きいものから小さいものの順にa軸上のq=0からq=0.908 の間に配置される。従って、イオントラップ型質量分析計では、或る範囲内の質量対電荷比(m/z)値を持つ全てのイオン種が、一旦安定に捕捉されるが、このときイオンは質量対電荷比(m/z)値に応じて異なる周波数で振動する。この点を利用して、ある特定周波数の補助交流電界をイオントラップ電極間空間に重畳することにより、補助交流電界に共鳴するイオンを、イオントラップ電極間空間より出射させ、質量分離する。
【0012】
現実的なイオントラップは、図4に示されるように、試料イオンをイオントラップ電極間空間に入射させる開口であるイオン入射口13、或いは、イオンをイオントラップ電極間空間から出射させる開口であるイオン出射口14をエンドキャップ電極11,12上に設けていたり、また、エンドキャップ電極間距離を理論的な大きさ(2z0=√2r0)より大きく設定し、配置するなど、理想的な電極形状・配置からのずれがある。従って、実際のイオントラップ電極間空間内には、四重極電界以外に、微小に多重極電界が生成される。代表的な2n重極電位分布(n=3〜6)Φ2nは、具体的に次式で表される。
【0013】
ここで、r,z座標の原点は、図4に示すように、リング電極中心点16とし、Cn は各項の係数を表す。式(3)〜(6)を各々、r方向,z方向に微分すれば、r方向,z方向の多重極電界が求められる。通常、図4に示すように、片方のエンドキャップ電極11にイオン入射口13があり、もう一方のエンドキャップ電極12にイオン出射口14がある。リング電極中心点16を通り、リング電極10の回転対称軸と垂直な基準面18に対して、イオンの入射側と出射側で、内部電界分布が対称である場合、n=4,6,…,2m,…(偶数項)の8重極,12重極電界、…,2m重極電界,…、が微小に生成され、n=3,5,…,2m+1,…(奇数項)の6重極,10重極電界、…,2m+1重極電界,…、はほとんど生成されない。図4に示すように、基準面18に対して、対称電極形状を持つ場合に、内部に生成される電位分布及び電界を数値解析で求めた。但し、図5に示すように、イオン入射口13,イオン出射口14が共に直径Φ=
2.8mm の開口で、リング電極中心点16から各エンドキャップ電極11,12までの距離が共にz0′=6.75mmである場合に、リング電極10の電位を単位電位φ0=1、エンドキャップ電極の電位をφ0=0とした場合の、電位分布及び電界を求めた。得られたr−z系の等電位線図を図5に、r=0のときのz方向電界を図6,図7に示す。図6に示すように、トータルの電界が零となる点とリング電極中心点16(z=0)はほぼ一致し、リング電極中心点16に対して対称的分布となっている。また、トータル電界値に対する四重極電界の割合が大きいが、トータルの電界と四重極電界との差分、つまり、四重極電界以外の多重極電界をみると(図7)、8重極,12重極電界が大きく、n=3,5(奇数項)の6重極,10重極電界はほとんど生成されていないのがわかる。
【0014】
一方、リング電極中心点16を通り、リング電極の中心軸17と垂直な基準面18に対して、内部電界分布が対称でない場合、n=3,5(奇数項)の6重極,10重極電界の大きさは、図5,図6,図7に示したような対称電界時に比べ増加する。図10,図11,図12に、基準面18に対して内部電界分布が対称でない電極形状を持つ際の、内部生成電位分布及び電界を数値解析により求めた結果を示す。但し、図10に示すように、イオン入射口13,イオン出射口14の直径が、各々、Φin=1.8mm,Φout=1.3mmで あり、リング電極中心点
16から各エンドキャップ電極11,12までの距離が、各々、共にz0′in =6.75mm,z0′out=5.75mmである場合に、リング電極の電位を単位電位
φ0=1、エンドキャップ電極の電位をφ0=0 とした場合の、電位分布及び電界を求めた。得られたr−z系の等電位線図を図10に、r=0のときのz方向電界を図11,図12に示す。図11に示すように、トータルの電界が零となる点とリング電極中心点16(z=0)は一致せず、リング電極中心点16に対して非対称的分布となっている。また、図12より、四重極電界以外の多重極電界をみると、8重極,12重極電界と同等に、n=3,5(奇数項)の6重極,
10重極電界も生成されているのがわかる。通常のイオントラップ型質量分析装置では、イオンのz方向での振動の均等性を保つ為、イオンの入射側,出射側で対称の電界を生成させる。
【0015】
一般に、イオントラップ電極間空間にはヘリウムガスのような中性ガスが内在するため、内部にトラップされたイオンは中性ガスと衝突を繰り返す。不安定な構造をもつイオンは中性ガスとの衝突により、幾つか種類の低質量数イオンに解離される。このようなヘリウムガスとの衝突による解離は、イオンがイオントラップ電極間空間に重畳印加された補助交流電界と共鳴し始め、イオン振動が増幅される場合、つまり、イオンが共鳴出射する直前に発生する確率が高くなる。このとき、親イオンより質量数が小さくなった解離イオンの(a,q)点が、図3に示した安定領域外の点に相当すると、解離の瞬時にイオントラップ電極間空間から出射し、そのタイミングで出射すべき質量のイオンとしてカウントされる。イオンはほぼ同様に共鳴振動している為、解離し易いイオンの場合、中性ガスとの衝突から得られるエネルギーがイオンの結合エネルギーを超える、つまり、解離するタイミングがほぼ一致する可能性がある。そのとき、マスピークの位置が、イオンの正しい質量数位置より、低質量数側にずれる、マスずれ現象が発生する可能性がある。このようなマスずれがあると、分析結果の誤認を招く恐れがある為、回避しなければならない。
【0016】
まず、第一の実施例について説明する。図1は、本発明の第一の実施例であるイオントラップ型質量分析装置全体の概略図である。質量分析対象の混合物試料は、ガスクロマトグラフや液体クロマトグラフ等の前処理系1を経て成分分離され、イオン化部2でイオン化される。イオントラップ型質量分析部4は、リング電極10と、それを挟むように向かい合わせて配置された二つのエンドキャップ電極11,12から構成され、電極間空間には、RFドライブ電圧電源7からリング電極10に供給されるRFドライブ電圧VRFcosΩt によって、イオンを捕捉する為の高周波電界が生成されている。イオン化部2で生成されたイオンは、イオン輸送部3を経て、エンドキャップ電極11のイオン入射口13を通り、リング電極10とエンドキャップ電極11,12の間(電極間空間)に入射され、高周波電界によって一旦安定にトラップされ、その後、異なる質量対電荷比を持つイオンが順次質量分離(質量スキャン分析)される。このとき、補助交流電圧電源8からエンドキャップ電極11,12間に単一周波数の補助交流電圧を印加して生成される補助交流電界によって、特定イオン種を共鳴励起させ、イオントラップ電極間空間より出射させて質量分離する。通常、一定の周波数の補助交流電圧が印加される為、(2)式の関係に基づき、RFドライブ電圧VRFcosΩt の振幅VRFをスキャンすることにより、質量分離対象イオンの質量対電荷比は、順次掃引される。このように、電極空間から出射したイオンのうち、エンドキャップ電極12のイオン出射口14を通過してきたイオンに関しては検出系5によって検出され、データ処理部6で処理される。この一連の質量分析過程:〔試料のイオン化,試料イオンビームのイオントラップ型質量分析部への輸送及び入射,試料イオン入射時のRFドライブ電圧振幅の調整、不要イオンのイオントラップ電極間空間からの排出,親イオンの解離(タンデム分析する場合),RFドライブ電圧振幅の掃引(質量分析されるイオンの質量対電荷比の掃引)、及び補助交流電圧の振幅,補助交流電圧の種類及びタイミング等の調整,検出,データ処理〕の全体を制御部9で制御している。
【0017】
通常、イオンを捕捉する為にイオントラップ電極間空間に生成する高周波電界は、図5,図6,図7に示すように、リング電極10の中心点16を通り、リング電極の中心軸17に垂直な基準面18に対し、イオンの入射側と出射側で対称な分布を持つ。図5乃至図7に示すようにイオンの捕捉電界が対称分布であるとき、図4に示すエンドキャップ電極11に+vdcosωt,エンドキャップ電極
12に−vdcosωtを印加し、更に補助交流電界を重畳生成させた際、内部に捕捉されたイオンが共鳴出射される際のイオン軌道を数値解析した。結果を図8に示す。経過時間tに対し、徐々に、イオンの振動振幅Aが増加し、遂にイオンの振動振幅がエンドキャップ電極位置まで到達し、イオントラップ電極間空間から出射することがわかる。イオンの振動振幅Aが大きいと、イオンの振動エネルギーも増加し、イオントラップ電極間空間に内在するHe等の中性ガスとの衝突により解離する確率も高まる。このとき、イオンが解離し易くなる振動エネルギーとなる振動振幅Aの閾値をAt とすると、それを超えて振動を繰り返している期間Td 、イオンは解離する可能性が高く、本来出射する時間より早く出射することによるマスずれを起こしてしまう可能性が高くなる。
【0018】
本実施例では、図9に示すように、リング電極10の中心点であるリング電極中心点16を通り、イオントラップ電極の中心軸17に垂直な基準面18に対し、イオン入射側と出射側で内部に生成される電界が非対称となるように、非対称な電極形状とする。例えば、図9に示すように、エンドキャップ電極11上のイオン入射口13の直径Φinが、エンドキャップ電極12上のイオン出射口14の直径Φoutより大きくなるように(Φin>Φout)、また、リング電極中心点16から各エンドキャップ電極11,12までの距離z0′in,z0′out に対し、イオン入射側の距離z0′in の方がイオン出射側の距離z0′outより長くなるようにエンドキャップ電極形状及び配置を設定している。本実施例の一例として、図10に示すように、イオン入射口13,イオン出射口14の直径が、各々、Φin=1.8mm,Φout=1.3mm であり、リング電極の中心点16から各エンドキャップ11,12までの距離が、各々、共にz0′in=6.75mm,z0′out=5.75mmである場合に、リング電極の電位を単位電位φ0=1 、エンドキャップ電極の電位をφ0=0 とした場合の、電位分布及び電界を数値解析により求めた。得られたr−z系の等電位線図を図10に、r=0のときのz方向電界を図11,図12に示す。図11に示すように、トータルの電界が零となる点とリング電極中心点16(z=0)は一致せず、リング電極中心点16に対して非対称的分布となっている。また、図12より、四重極電界以外の多重極電界をみると、8重極,12重極電界と同等に、n=3,5(奇数項)の6重極,10重極電界も生成されているのがわかる。このような捕捉電界が生成されているとき、図9に示すエンドキャップ電極11に+vdcosωt,エンドキャップ電極12に−vdcosωtを印加し、更に補助交流電界を重畳生成させた際、内部に捕捉されたイオンが共鳴出射される際のイオン軌道を数値解析した。結果を図13に示す。経過時間tに対し、イオンの振動振幅Aが急激に増加し、イオントラップ電極間空間から共鳴増幅し始めてから短時間で出射することがわかる。このとき、イオンが解離し易くなる振動エネルギーとなる振動振幅Aの閾値をAt とすると、それを超えて振動を繰り返している期間Td も非常に短い。このように、非対称電界は、イオンを急激に不安定化する効果がある。従って、この場合、イオンは解離する確率が低くなり、本来出射する時間より早く出射することによるマスずれが発生する可能性が低くなる。つまり、本実施例によると、構造が不安定で解離し易いイオンも解離しにくくなる為、イオンの構造安定性に依らずマスずれを回避でき、安定に高精度な分析が可能となることが期待できる。また、本実施例では、イオン入射口径がイオン出射口径より大きく設定している為、イオントラップ電極間空間に流入するイオン量を増やすことができ、感度を向上させることも期待できる。
【0019】
次に、本発明の第二の実施例について図14を用いて説明する。ここでは、イオントラップ電極間空間の非対称電界を、エンドキャップ電極11上のイオン入射口13の穴径Φinを、エンドキャップ電極12上のイオン出射口14の穴径
Φout に対し、Φin>Φout と設定することにより生成する。このとき、様々に電極形状を変更させることなく、単にエンドキャップ電極の穴径を変更するだけで、非対称電界を生成することが可能となる。さらに、本実施例では、Φin>
Φoutである為、イオントラップ電極間空間に流入するイオン量を増やすことができ、感度を向上させることも期待できる。
【0020】
次に、本発明の第三の実施例について図15を用いて説明する。ここでは、イオントラップ電極間空間の非対称電界を、リング電極中心点16からエンドキャップ電極11までの距離z0′in とリング電極中心点16からエンドキャップ電極12までの距離z0′outを異ならせること(z0′in≠z0′out)により生成する。このとき、様々に電極形状を変更させることなく、単にリング電極中心点
16から各エンドキャップ電極11,12までの距離を変更するだけで、非対称電界を生成することが可能となる。また、リング電極中心点16から各エンドキャップ電極11,12までの距離をz0′in≠z0′out のように設定することは、非対称電界を生成するのに非常に効率がよい為、リング電極中心点16から各エンドキャップ電極11,12までの距離が微小に違っていても、イオンが急激に不安定化する可能性が高くなる。
【0021】
次に、本発明の第四の実施例について図16を用いて説明する。ここでは、イオン捕捉電界の対称性の基準面18に対して、リング電極内側の凸面の、3つ以上の頂点から成る面を基準面18とし、その面とリング電極凸面が交わる点から構成される円の中心をリング電極の中心点16と設定しても良い。つまり、図
16に示すように、リング電極が、設置上の制約などにより、回転対称形状で無い場合でも、本実施例によると、実質的なリング電極の中心点16,基準面18を設定可能となる。つまり、本実施例によれば、リング電極が回転対称形状で無い場合でも、適切な中心点16,基準面18に基づき、内部に非対称電界を生成させることが可能となる。
【0022】
次に、本発明の第五の実施例について図17,図18,図19を用いて説明する。ここでは、リング電極10,エンドキャップ電極11,12が、イオントラップ電極の中心軸17に垂直な基準面18に対し、対称形状を持っていても良い。つまり、エンドキャップ電極11上のイオン入射口13の穴径Φinを、エンドキャップ電極12上のイオン出射口14の穴径Φoutに対し、Φin= Φout 、リング電極中心点16から各エンドキャップ電極11,12までの距離z0′in,z0′outに対し、z0′in=z′outの関係を持っていても良い。但し、本実施例では、図17に示すようにリング電極に高周波電圧VRFcosΩt の他、2つのエンドキャップ電極11と12間に直流電圧電源19より、微小の直流電圧ΔVを印加することにより、基準面18に対して、非対称な捕捉電界を生成する。本実施例による場合の、微小直流電圧ΔV>0,ΔV<0の各ケースにおけるr=0軸上の電位分布の概念図を図18,図19に各々示す。2つのエンドキャップ電極11と12間に微小の直流電圧ΔVを印加することにより、リング電極中心点16の位置とz方向の電界が零となる点がずれていることがわかる。つまり、本実施例によっても、基準面18に対して、非対称な電界を生成することが可能となる。また、本実施例によれば、電極形状を故意に非対称とすることなしに、電圧調整のみで容易に非対称電界を生成可能となる。
【0023】
次に、本発明の第六の実施例について図20を用いて説明する。ここでは、内部に捕捉したイオンを共鳴出射させるために二つのエンドキャップ電極11,
12間に印加する補助交流電圧Vdcosωtの周波数ω/2nに対して、リング電極に印加する高周波電圧VRFcosΩt のΩ/2πの1/3、或いはそれに近い周波数(ω/2π〜Ω/6π )に設定する。このとき、共鳴ポイントは、図3の安定領域上のβz=2/3 に相当する。つまり、共鳴し始めたイオンは、安定領域(図3)上のβz=2/3 のポイントに近づくことになる。βz=2/3 のポイントでは、イオントラップ電極間空間に捕捉されているイオンは、6重極電界により急激に増幅し、不安定化する。これを、一般に、6重極電界による非線形共鳴現象という。本発明では、イオントラップ電極間空間に生成される捕捉電界が非対称な為、通常よりも6重極電界成分が大きくなっている。従って、本発明では、6重極電界による非線形共鳴現象の効果が通常のイオントラップよりも大きくなると考えられる。そこで、本発明の第一の実施例と同じ非対称な電極形状(図9)により、基準面18に対して非対称な捕捉電界(図10,図11,図
12)が生成された際に、エンドキャップ電極11に+vdcos(Ωt/3),エンドキャップ電極12に−vdcos(Ωt/3)を印加した場合のイオン軌道を数値解析した。結果を図20に示す。この場合もイオンが急激に増幅し、イオントラップ電極間空間から出射しているのがわかる。従って、本実施例によれば、更にイオンを急激共鳴出射することが可能な為、解離し易いイオンによるマスずれを回避することができる。
【0024】
次に、本発明の第七の実施例について図21,図22を用いて説明する。図
21は、本実施例であるイオントラップ型質量分析装置全体の概略図である。本実施例では、第五の実施例同様、図17に示したように、イオントラップ電極形状を対称にし、直流電圧電源19により、二つのエンドキャップ電極11,12間に微小直流電圧ΔVを印加して非対称なイオン捕捉電界を生成させる。さらに、本実施例では、イオントラップ電極間空間に対称な捕捉電界を生成する機能も持たせる。つまり、生成する捕捉電界が、基準面18に対して対称にするか、非対称にするかを、微小直流電圧ΔVを印加する(ΔV≠0)か、否か(ΔV=0)で制御する。
【0025】
図4,図5,図6,図7に示すような、基準面18に対して対称なイオン捕捉電界を生成するようなイオントラップでは、イオンは図8に示されるように、徐々に共鳴増幅する。このような現象は、ターゲットとするイオンを中性ガスとの衝突により解離させ、その解離イオンを質量分析するようなタンデム質量分析
(MS/MS分析)する場合には、中性ガスとの衝突確率が高くなる為、非常に有効である。しかし、タンデム質量分析しない場合は、内部に非対称電界を生成して、図13に示すようにイオンを急激に共鳴出射させることにより、解離し易い構造を持つイオンが解離してマスずれが発生するのを回避する必要がある。そこで、本実施例では、ユーザー入力部15から入力された質量分析モードに基づいて、微小直流電圧ΔVの値を設定し、イオントラップ電極間空間に生成するイオン捕捉電界の対称性を制御する。つまり、図22の制御フロー図に示すように、ユーザー入力部15から入力された質量分析モードに基づいて、通常のMS分析の場合はΔV≠0、タンデム質量分析の場合はΔV=0となるように、制御部9により制御される。従って、本実施例によると、タンデム質量分析時は、基準面18に対して対称な捕捉電界が発生され、イオンが徐々に増幅する為、高効率にイオンが解離され、高感度分析可能となる。また、通常のMS分析時も、基準面18に対して非対称な捕捉電界が発生され、イオンが急激に共鳴増幅し、出射するため、マスずれが回避され、質量分析精度が向上する。
【0026】
次に、本発明の第八の実施例について図23,図24,図25を用いて説明する。本実施例でも、第七の実施例と同じく、内部に生成するイオン捕捉電界が基準面18に対して、対称とするか、非対称とするかを、二つのエンドキャップ電極11,12間に印加する微小直流電圧ΔVの値を制御する事による切り替え機能がある構成を持つ。但し、その切り替えを、構造異性体を分析するか否かにより、判断する。構造異性体とは、質量数が同じで構造が異なるイオンである。構造異性体同士で、構造の安定性も異なる場合が多く、解離のしやすさが異なってくる。このようなイオンを、通常のMS分析のターゲットとする場合は、同じ質量として観測され為には、ほぼ同じタイミングで共鳴出射する必要がある。図8に示したようにイオンが徐々に共鳴増幅すると、解離し易い方の異性体が、中性ガスとの衝突により解離され、解離し易いイオンが、もう一方の異性体イオンより早く出射してしまい、本来同じ質量数ポイントでピークを持つはずのイオンが、異なる位置でマスピークを持ってしまうことになる(図24)。このとき、同じ質量数を持つイオンは、異なる質量数を持つと誤った判断をされる危険性がある。従って、構造異性体を通常のMS分析する場合は、微小直流電圧ΔV≠0に設定して、内部に生成する捕捉電界を非対称化することにより、図13に示すようにイオンを急激共鳴出射させ、マスずれを回避させる(図25)。
【0027】
一方、構造異性体イオンのみをイオントラップ電極間空間に捕捉した(アイソレーションした)後、解離し易い構造のイオンと解離し難い安定構造を持つイオンとを分類する等、構造異性体イオン間の分離・分析を行う場合などは、微小直流電圧ΔV=0に設定して、内部に生成する捕捉電界を対称化し、構造異性体イオンを、図8に示すように徐々に増幅させて、中性ガスとの衝突確率を高める。このとき、解離のしやすさで、異性体イオンを分析・分類することも可能となる(図24)。つまり、図23の制御フロー図に示すように、ユーザー入力部15から、入力された異性体の質量分析モードに基づいて、通常のMS分析の場合はΔV≠0、異性体間分離分析の場合はΔV=0となるように、制御部9により制御される。従って、本実施例によると、通常、質量分析装置では、タブーとされている異性体間分離分析を回避することもでき、また、それを利用して分離・分析することも可能となり、質量分析装置における構造解析の可能性を広げると考える。
【0028】
次に、本発明の第九の実施例について図26を用いて説明する。図26は、本実施例であるイオントラップ型質量分析装置全体の概略図である。本実施例では、基準面18に対して非対称な捕捉電界分布を持つイオントラップ型質量分析部4の後流に、飛行時間型質量分析(TOF−MS)部20を結合させている。ここでは、イオントラップ型質量分析部4は、イオン源からの試料イオンを溜め込むことに主に用いられ、イオントラップ型質量分析部4により溜め込まれたイオンは、輸送光学系21を通過し、TOF−MS部20内のイオン加速領域23に入射される。イオン加速領域23では、イオン加速用電圧電源22から加速電圧が印加され、イオン加速電界が生成されている。加速されたイオンは、各々の質量数に応じて異なる速度で無電界の飛行領域を飛行した後、反射用電圧電源24により反射電界が生成されているイオン反射領域25において、進行方向と逆向きの電界を受けて、再度無電界の飛行領域を逆向きに飛行し、検出器5に検出される。この時、イオンの質量数に応じて、飛行時間が異なる為、その飛行時間により質量分離した結果として、データ処理部6により処理される。特に、イオントラップ型質量分析部4により溜め込まれたイオンを排出する際に、イオントラップ電極間空間の捕捉電界を非対称化して、イオンを急激に出射させることにより、イオンの排出タイミングの差による飛行時間の誤差を低減させることができる。また、本実施例によれば、イオントラップ型質量分析部4単独では分析困難とされている高質量数イオンの高感度質量分析を可能とすると考える。また、
TOF−MS部20は、反射型だけではなく、直線型を採用しても良い。
【0029】
以上説明したように、リング電極の中心点を通り、リング電極の中心軸に垂直な基準面に対して、イオントラップ電極間空間に生成されるイオン捕捉電界を非対称化することにより、イオンを急激に共鳴出射することができ、イオンの構造の安定性に因るマスずれを回避し、高精度で高感度な質量分析結果を安定に得ることが可能となる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、安定に、高感度・高精度質量分析可能なイオントラップ型質量分析装置を提供する事にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例によるイオントラップ型質量分析装置全体の概略図である。
【図2】イオントラップの各電極の断面図である。
【図3】イオントラップ内でのイオン軌道の安定性を決定するa,q値の安定領域図である。
【図4】現実的なイオントラップの一例を説明する図。
【図5】イオントラップ内において、リング電極の電位を単位電位φ0 =1、エンドキャップ電極の電位をφ0 =0とした場合の、r−z系の等電位線図の一例を示す。
【図6】イオントラップ内において、リング電極の電位を単位電位φ0 =1、エンドキャップ電極の電位をφ0 =0とした場合の、r=0のときのz方向電界の一例を説明する図。
【図7】イオントラップ内において、リング電極の電位を単位電位φ0 =1、エンドキャップ電極の電位をφ0 =0とした場合の、r=0のときのz方向電界の一例を説明する図。
【図8】イオンを捕捉する為にイオントラップ電極間空間内部に捕捉されたイオンが共鳴出射される際のイオン軌道を数値解析した一例を説明する図。
【図9】本発明の実施例におけるイオントラップ電極の電極形状の一例を説明する図。
【図10】イオントラップ電極間空間において、基準面に対して内部電界分布が対称でない電極形状を持つ際の、内部生成電位分布の数値解析結果の一例を説明する図。
【図11】イオントラップ電極間空間において、基準面に対して内部電界分布が対称でない電極形状を持つ際の、内部生成電界の数値解析結果の一例を説明する図。
【図12】イオントラップ電極間空間において、基準面に対して内部電界分布が対称でない電極形状を持つ際の、内部生成電界の数値解析結果の一例を説明する図。
【図13】イオントラップ電極間空間において、内部に捕捉されたイオンが共鳴出射される際のイオン軌道を数値解析結果の一例を説明した図。
【図14】本発明の第二の実施例を説明する図。
【図15】本発明の第三の実施例を説明する図。
【図16】本発明の第四の実施例を説明する図。
【図17】本発明の第五の実施例を説明する図。
【図18】本発明の第五の実施例を説明する図。
【図19】本発明の第五の実施例を説明する図。
【図20】本発明の第六の実施例を説明する図。
【図21】本発明の第七の実施例を説明する図。
【図22】本発明の第七の実施例を説明する図。
【図23】本発明の第八の実施例を説明する図。
【図24】本発明の第八の実施例を説明する図。
【図25】本発明の第八の実施例を説明する図。
【図26】本発明の第九の実施例を説明する図。
【符号の説明】
1…前処理系、2…イオン化部、3…イオン輸送部、4…イオントラップ型質量分析部、5…検出器、6…データ処理部、7…RFドライブ電圧電源、8…補助交流電圧電源、9…制御部、10…リング電極、11…イオン入射側のエンドキャップ電極、12…検出器側のエンドキャップ電極、13…イオン入射口、14…イオン出射口、15…ユーザ入力・分析データ出力部、16…リング電極中心点、17…中心軸、18…基準面、19…直流電圧電源、20…飛行時間型質量分析部、21…イオン輸送光学系、22…イオン加速用電圧電源、23…イオン加速領域、24…イオン反射用電圧電源、25…イオン反射領域。
Claims (1)
- 環状のリング電極と、該リング電極が間に配置されるように対向して配置された二つのエンドキャップ電極と、前記リング電極とエンドキャップ電極間に高周波電圧を印加する高周波電源と、イオンを生成するイオン源と、その生成されたイオンを前記高周波電界が生成される前記電極間空間に捕捉する手段と、前記電極間空間から出射されたイオンを検出する手段と、前記エンドキャップ電極間に交流電圧を印加する補助交流電圧電源とを備え、前記補助交流電圧電源からエンドキャップ電極間に印加される交流電圧の周波数を前記リング電極とエンドキャップ電極間に印加される高周波電圧の周波数の約1/3とすることを特徴とするイオントラップ型質量分析装置。
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